日課の朝錬をしている。今日からカエデも加わり五人でしている。

あぁ、あとの一人はリリィだ。 買い物にいた数日後から朝錬に加わっている。

 

 カエデが加わったお陰で楽が出来ている。大河のランニングはカエデに任せて俺はリリィと未亜のトレーニングを見ている。

ランニングは前と同じだが二人には瞬発力を上げるトレーニングをさせている。

敵がめったにこない後衛をしている二人にはダッシュ力よりも一動作で距離を取ることのほうが重要になる。それを鍛えている。

 

「相変わらず化け物ね」

 

 リリィが俺に向かって以前大河が言った言葉と同じ事を言う。

 

「そりゃ、鍛えてますから」

 

 未亜とリリィのランニングを終えても俺は息一つ乱していない。俺としては当然だ。

 カエデと大河が戻ってくる。さすがに基礎体力が違うのか大河は疲労困憊となっている。

 

「はぁ、はぁ、終わった」

「師匠お疲れでござった」

 

 倒れこんでいる大河をカエデがかいがいしく介護している。ふむ、カエデも息を乱していないか。

俺のトレーニングもしてみるのもいいかもしれないな。

 

「ヒイラギさん。私と一緒に走ってもらえませんか?」

「いいでござるよ。兄君と一緒に走るのは面白そうでござるから」

 

 了承してくれたか。現役の忍者とどれぐらい基礎体力の差があるか知っておきたいしな。

それにカエデのメニューも考えるのに参考になるし。

 

「では、そうですね。ヒイラギさんが勝ったら好きなお菓子を私が作るということで」

「本当でござるか!?」

 

 カエデは案外甘い物好きだ。元の世界に洋菓子が無かった反動かこの世界のお菓子をいたく気に入っている。

まぁ、やる気を出させるには十分だろう。

 

「では、当真さん。合図を」

「じゃあ、よーい、どん!!」

 

 二人して一歩目にトップスピードにのる。前衛はこれぐらい出来なければならない。

そして、学園一週ぐらいはトップスピードを維持しながら回りきれるぐらいで無いと。

 結果はほぼ、同着。大河、未亜、リリィは唖然としていた。

 

 

 

 

 

第二十三話 タッグマッチ

 

 

 

 

 

 

 

 午後になり、試験が始まる。ダリアの案で今回は変則的に二対二で行う。もっとも戦場ではそれもありえる。

というよりも戦場では一対一で戦うことはない。これは有効だろう。

 のはずなのだが、

 

「師匠、早くするでござるよ〜」

「わりぃわりぃ、今行くぜ」

 

 闘技場にカエデのノンビリした声が響き渡り、それに答えるように大河の声が響き渡った。昨日言った言葉は嘘だったのか?

 

「これは、どういう事なのかしらねん?」

 

 ダリアの疑問に他の救世主候補たちは答えることができない。理解不能なのだろう。

 

「早く早く〜」

 

 急がせるカエデに大河は苦笑しながら闘技場の中に入った。

まだ誰と誰が組むかも決めていないのにカエデが先駆けて中に入ってしまった。

 

「カエデさん。私たちの話聞いてましたか?」

「む?」

 

 ベリオの愚痴のような言葉にカエデが反応した。確かにカエデの行動はそう取れてもおかしくない。

 ベリオに便乗して未亜も遠慮がちというか困り顔でカエデを説得しだした。

 

「どういうペアを組むかは、みんなで話し合って決めようって」

「他の組み合わせに関しては関知しないと申したはず。自由に決めてもらって結構でござるよ」

「だからって、わざわざ、お兄ちゃんと組まなくても。前衛二人が組んだらバランスが悪いでしょ?」

 

 未亜のいうことももっともだ。この形式は前衛と後衛の役割を認識するためでもある。

まぁ、それでも前衛対後衛というのも悪くは無い。それも想定しなければいけないことだ。

 

 それにしても未亜は成長したな。

本音は自分が大河と組みたいと思っているのだろうが、建前をきちんと用意し、正論で封じ込めようとしている。

 

「おぉ、そういう事でござったか」

「ござったも何も、そうなんです」

 

 カエデの嬉しそうな声に未亜とベリオは疲れたように返した。

どうやら、カエデは未亜とベリオの言葉を正しく認識できていない。これだから、天然は

 

「しかし、拙者は師匠と一心同体ゆえ、離れることが不可能なのでござるよ。まことに申し訳ないでござるが」

 

 カエデの言葉には裏がない。純粋に自分の本音を言っているだけだ。

しかし、未亜とベリオにとってはただ事ではない。

 カエデの言葉とともに未亜とベリオが凄まじい視線を大河に送る。

あれはもはや嫉妬に狂った鬼女の目だ。未亜が最近俺にいらぬ感情を抱いていたようだがこの様子なら安心か。

 

 大河の体が悪寒で震える。今きっと、北極の真ん中に服を着ずに放置されてような錯覚に囚われているだろう。

逃げ腰になっている。

 しかし、逃げられない。逃げた暁には俺をも凌ぐ拷問が待っているだろうからな。

 

「お兄ちゃん。一心同体って何をしたの?」

 

 絶対零度を通り越した声が響く。今の未亜の前には絶対に立ちたくない。

 

「い、いや未亜。これはな」

「何か、弁解するようなことはある?」

 

 未亜の顔は鬼女を超え、般若になっていた。しかし、角度の関係で俺と大河以外には見えていない。

他のメンバーが見たなら一発で気絶ものだ。夢にも出てきそうだ。他のメンバーは助かってるな。

 

「さて、そのような事より、我々の相手となるペアはどなた方でござるか? 遠慮はせぬので覚悟なされよ」

 

 未亜を遮ったカエデの言葉。怖いもの知らずだ。そのカエデの言葉にリリィは疲れたように呟く。

 

「はぁ、前衛系が2人って、すっごくバランスが悪いっていうのに。

それに、せっかく前衛が増えたから、前衛と後衛で組めば訓練になると思ってたんだけどなぁ」

 

 ため息をつきながら諦めたようにリリィが呟く。まさかリリィの口からそんな言葉が出てくるとは思わなかったんだが、

 

「ベリオさん。組みましょう」

「えぇ、未亜さん」

 

 もはや、未亜もベリオも何も語らない。眼光のみが語っている。

そんな事をせずとも、もはや二人は分かり合えているようだった。

 

そんな勢いで決まったしまった振り分けにダリアは間抜けな声を上げてしまった。

 

「あららららん〜」

 

 ダリアが困惑している。誰がこんな展開を予測できただろう。もっともダリアにとってはどうでもいいことだろう。

あれは面白ければ何でもいいのだ。

 明らかに教師としては間違っている。これなら破滅軍主幹のダウニーのほうが教師らしい。

 

「ベリオさん。こっちに来て」

 

 口調はまだ丁寧だがそれはもはや命令形だった。

 何やら、作戦会議のようだ。怒りに身を寄せながらもちゃんとそれが出来るとは感心だ。

そして、ベリオも怒りに身を任せながら作戦を細部まで聞いて実行する事を決めていた。

 

 突然、未亜が左手を空に掲げた。その行為に誰もが息を呑んだ。

 

「ジャスティ!! お兄ちゃんの煩悩を吹き飛ばすほどの力を!」

「ユーフォニア!! 大河君の穢れきった魂を浄化しなさい!!」

 

 私情百%の未亜とベリオはジャスティとユーフォニアを召喚する。

 しかし、大河はあせらず、深呼吸を一度した。それを気に大河の雰囲気が一変する。

いつものふざけた様子でも、未亜に恐れおののいている様子でもない。あれは戦うことを決めた者の雰囲気だ。

 やるじゃないか。

 

「来い!!トレイター!」

「ちょっと、二人とも。まだ、開始の合図は」

 

 リリィが止めようとするよりも速く、未亜が大河に向けて矢を放つ。それをいとも簡単にトレイターで弾く。

それと同時に大河と未亜の間にカエデが割り込んできた。面白くなってきた。

 

 しかし、リリィ。戦いに開始の合図なんてものは無い。これが本来の姿だ。

 

「師匠はそこで休んでくださればいいでござる。ここは拙者が」

 

 そう言うとカエデは未亜に向けて突進していった。最早、止めるすべは無い。

 

「それじゃあ、始め♪」

 

 戦いのゴングはなった。まぁ、すでに戦いは始まっていたのだが。

 

 

 

 

 

 ダリアの合図とともに未亜とベリオは一箇所に固まる。ほぉ、早速使うか。

 未亜との夜の訓練では座学もした。

最初は集団で戦ったときの後衛の戦い方を教えるだけのつもりだったのだが、

あまりにも未亜が熱心に聞いてくるものなのでつい、教えすぎてしまった。まぁ、大河も鍛えてるからイーブンだろう。

 未亜とベリオが集まったことにより、大河とカエデの進路が狭まる。大河とカエデの距離がある程度近くなったとき、

 

「ホーリーウォール」

 

 ベリオがその進路を遮るようにホーリーウォールを展開した。大河たちはそれに慌てることなかった。

 

「しゃらくせぇ!!」

 

大河はトレイターをナックルに変化させ、壁に向かって突撃した。その突撃に壁はあっさりと崩壊する。

 

「師匠、あぶない!!」

 

 カエデがホーリーウォールを壊したため硬直していた大河を蹴り飛ばす。

その数瞬もしない内に大河がいた場所に未亜の矢が通り過ぎていった。

 固まる事が危険だと理解した大河とカエデは離れようとするがそこに矢とシルフィスが行く手を遮るように繰り出される。

何とか交わすものの二人の距離は元に戻ってしまった。

 大河たちは距離を詰めようと前進するがまたしてもベリオのホーリーウォールによって遮られる。

大河たちは進路を変えホーリーウォールを迂回しようとしたが、ホーリーウォールから出た途端、未亜の二方向同時の一斉射撃によって出ることが出来なくなった。

 ベリオのホーリーウォールは壁であるため未亜の攻撃を弾いてしまう。

その特性を利用し、大河たちは機会をうかがうために足を止めた。

 大河たちが足を止めると同時にベリオは展開をやめ、そのタイミングに合わせ未亜は大河たちに向かって矢を放つ。

 大河たちは慌てて矢を避けお互いの距離を取ろうとするが、またしても未亜たちの攻撃によって離れられなくなってしまう。

 

 

 それからは、大河たちが壁を避けようとするがそれを遮られ、ホーリーウォールを消され、攻撃される。

消されずとも上空から矢が降ってきたり攻撃の仕方をランダムに展開される。

離れようとすれば一箇所に戻される。

ホーリーウォールの消えるタイミングはベリオが握っていて、その上ホーリーウォールは透けているので未亜は大河たちの初動作を見てから狙いを定めることが出来る。

その二つの要因があるため大河たちは自分たちの思うように動くことが出来ない。

 それの繰り返しによって大河たちの疲労は溜まっていくばかりだった。

 

「師匠!!このままではジリ貧でござる!」

「分かってる!!くそっ!うまく動けねぇ。それにしても未亜がすぐにこんな戦い方を思いつくなんて考えられねぇな」

「授業で習ったのではないでござるか?」

「そんなわけ無いだろ!!」

 

 会話をしながら矢を避け、弾いている。本来なら話す余裕など無いはずだが、この状況では愚痴もこぼしたくなるだろう。

 少しだけ、大河たちの動きが止まる。注意していなければならないほどだが。誘っているのか?

 

「なんかこんな事未亜に教えそうな奴が一人思い浮かんだんだが」

「奇遇でござるな。拙者も一人浮かんだでござる」

 

 ん? あの二人。俺が教えたって考えたな。まぁ、あたっているんだが。

 

「今、この状況見ながら笑ってるんじゃね?」

「想像できるでござるな。」

 

 うん。正解。笑ってます。面白いよ?

 

「これが蛍火が考えた作戦だっていうんならなんとしても乗り越えて見せる!!」

 

 大河たちの目の前にまたしても壁が展開される。大河はカエデに目配せする。そのまま壁寸前まで走り、急に後ろを向く。

大河のすぐ後ろについていたカエデは低く飛び、手を組んだ大河に迫る。そのまま、大河の手の上に乗り、勢いをつけ飛び越える。

 

「なっ!?」

「嘘!?」

 

 大河たちのこれまで違う行動に未亜たちは騒然となる。

その驚きとカエデの壁を飛び越える速度が速すぎるせいもあって、未亜は照準を合わせ切れなかった。

 上空のカエデに未亜たちが気を取られている間に大河は壁を迂回し、未亜たちに詰め寄る。

 カエデは未亜たちの上空まで来ると急降下する。

 

雷神

 

 カエデの雷を纏った拳とその余波をかわすため未亜たちは離れ離れになる。この試合始めての行動である。

 大河は離れた二人のうち、迷わずベリオに狙いを定めトレイターをナックルに変化させ突撃する。

 未亜たちの作戦の要はベリオ。それにホーリーウォールはかなり厄介だ。だからこそ先にベリオを狙ったのだ。

 ベリオもすぐに体勢を整え大河を迎撃しようと身構える。しかし、大河は空中に滑空している時にトレイターを三節棍に変化させる。

 大河は三節棍を右薙ぎに振い、ベリオのユーフォニアに巻きつくようにあたり、ベリオの背中を強打する。

 ベリオに生じた隙に大河はユーフォニアに接触させたままのトレイターを剣に変化させ力任せにユーフォニアを弾き飛ばす。

そのままベリオの首筋にトレイターを押し付けた。

 

「参りました」

 

 

 

 

 ベリオと大河が応戦したいた頃カエデと未亜は、

 カエデの攻撃を距離を取ってかわした未亜にカエデが追撃をかける。カエデは勢いよく踏み切り飛び蹴りを繰り出す。

それに未亜は落ち着いた様子でジャスティの本弭でカエデの攻撃を流す。

しかもカエデの攻撃の反動を利用し、末弭でカエデを攻撃する。

 

 この攻撃法は俺が教えたものである。槍術と合気術を合わせた攻撃方法で相手の力を利用し攻撃するといった方式である。

召喚器で力が上がっているとはいえ未亜は非力だ。力を使わず攻撃するこの方法と相性が良かったのですぐに腕が上がった。

といってもこの方法は弓に相当の強度が無ければ出来ないので召喚器と魔力弓を所持するもの以外は使うことは出来ない。

無論こんな武術は無いので(あるかもしれないが俺は知らないので)俺が創った。

 

 カエデは未亜の攻撃をガードしつつ吹き飛ばされつつもクナイを未亜に向け数本放つ。

未亜はそれを数歩動くだけで避けるがカエデにとっては体勢を整えるにはそれだけで十分だ。

 着地と同時に未亜に向かってジグザグに駆ける。

 飛び道具に対しランダムに走るというのは有効だ。狙いをあわすことが難しく、むやみに打てば隙が出来てしまうからだ。

 カエデが未亜に後数歩といったところでカエデがスピードをさらに上げ未亜の前から姿を消す。

 そして、未亜が気付いた時には後ろから首筋にクナイが添えられていた。

 

「参りました」

 

 勝敗は決した。大河たちの勝ちだ。まぁ、いろいろな面から見てこれがほぼ当然の結果だ。未亜は善戦した。

だが、今回でまた課題が増えた。未亜には連携の重要性を嫌というほど教えたが他の奴はまだ分かっていない。

というよりも仕方を分かっていない。そこを教えないとな。もちろん学園長を通してだがな。

 

 

 

 

 

 

「未亜。あの戦い方教えたの蛍火だろ?」

 

 大河に指摘され未亜は苦笑しながら答える。

 

「うん。そうだよ。あ〜あ、やっぱり分かっちゃったか」

「分からいでか。こう、なんていうか未亜らしくない戦法だし、それに意地が悪い」

「たしかにあの戦い方には苦戦させられたでござる」

 

 まぁ、それはなぁ。あれはベリオと組んだ時どんな相手でも使えるようにした戦法だしな。

あぁ、ちゃんと救世主クラス全員分の組んだときの使える戦法は未亜に教えたよ。

 

「そうだったんですか。本当に使える作戦でしたし、すごいですね」

 

 ベリオが感嘆している。そうか?戦ってればその内思いつくと思うぞ。

 

「はぁ、それにしてもホーリーウォールを飛び越えてくるのには驚きましたよ」

「ふっ、当然だ。この俺が考えたんだからな! さすがにこんな事は蛍火の奴も思いつかなかっただろう」

 

 と高々と笑っている。いやいや、ちゃんと考えてたよ。未亜には教えなかっただけで。

というよりも俺は基本となる敵を一箇所に集めベリオにホーリーウォールを使わせて足止め、出てきたら狙い撃ちとしか教えてない。

それ以外は未亜なりに考えて作った戦法だろう。

 

「そうでもないと思うよ。私に教えてくれたのは本当に基礎だけ。後は自分でアレンジしろって言われたから。

飛び越えてきたのに対応できなかったのは私が考えてなかったせいだよ」

 

「げっ!? マジか? はぁ、喜び損だ。」

「まぁまぁ、師匠そう落ち込まれないで下され。試合には勝ったんでござるから」

 

 よしよしとカエデが大河を慰める。その姿にまたしてもベリオと未亜はいい表情をしない。

まぁ、俺から見たらいい表情なんだけど。

 

「負けたのはしまったのは仕方ありません。しかし、今度タッグマッチがある時は違うペアを組んでください。訓練になりませんから」

 

 言うことだけはきちんと言う。さすがだ、ベリオ。しかし、個人的感情を入れながらだとあまり説得力無いぞ。

 

「誠に申し訳ないが、拙者は師匠意外と組む気はないので……」

「え、え〜っと、でも、流石にそれだと色々な場面を想定した訓練ができないんだけど〜」

 

カエデのこの発言にさしものダリアも口を挟むが、カエデは何処か嬉しそうに反論する。

 

「しかし、拙者、師匠に俺に付いて来いよ、とプロポーズされた以上、操を立てる必要があるのでござる」

「おっ、おい!!カエデ!!」

「……へっ!?」

「ぷろ、ぷろぽぉず?」

 

未亜が素っ頓狂な言葉を上げたかと思えば、ベリオまでまるで何か知らない言葉でも聞いたかのように呟く。

そんな二人の反応を余所に、更には大河の言葉さえも聞こえていないのか、カエデは嬉しそうに大河へと言う。

 

「という訳で師匠、今夜も部屋へとお邪魔しても宜しいですか。

何でしたら、昨夜の続きをして頂いても、拙者は一向に構わんでござるよ。

一昨日の夜は、拙者が先に寝てしまった所為で、師匠には迷惑を掛けたでござるが、今夜は大丈夫でござるから……(///)」

 

 恥じらいながらも自分の要求だけはきっちりと述べる。天然は強いな。

 

「えっ!? えっ? 一昨日の夜?」

「一昨日の夜の続き? 先に寝た? お兄ちゃん一体、どういう事?」

 

 言葉の意味がうまく租借できずベリオはうろたえている。未亜は理解はしているが認めたくないといった感じだ。

というか自分も久しくしてもらってないというのにと顔に出ている。あぁ、もちろんプラトニックな方ね。

 

「ど、どういう事なんだろうな。カ、カエデ……?」

 

大河はカエデの発言に冷や汗を流しながら、その名を呼んで誤解を解かせようとするが、

それよりも早く、何かが切れるような音を聞いたような気がした。

その発生源をゆっくりと見れば、そこにはゆっくりと立ち上がりながらその手に召還器を握り締める未亜とベリオの姿があった。

 

「ジャスティ、私の生命力をあげる。だから、限界を超えた力を……。ううん、それさえも更に越え、全てを無に還すほどの力をっ!」

「ユーフォニア、主の命に従い限界すら超えた力を……。いえ、全てを浄化するほどの力をっ!!」

 

 未亜とベリオが大河を追いかける。その姿をカエデはおろおろと見ている。

リリィは呆れた顔で、でも悪くないといった表情で見ていた。

リコは本で顔を隠しながらチラチラと大河を伺い、ダリアは笑っていた。

 

あぁ、今日もまだ平和だなぁ。

 

 

 

 


後書き

 さて、未亜がかなり強くなっていますがコレは地力ではありません。あくまでも戦術的に事が上手く運んだからです。

 といっても正面からのぶつかり合いなど戦争ではあまりないので未亜の成長はある意味で心強いものです。

 未亜は蛍火に思いを寄せていますが、それでもやっぱり大河にも思いを寄せています。

 まだ未亜は自分の正確な思いに気づけていないですからね。

 

 

観護(という訳で今回は大河&カエデVS未亜&ベリオのお話ね)

 なにがという訳なのか分からんのだけど今回から観護も後書きに出てきます。脅されて仕方なくなんだけどね()

??「ペルソナが悪い。それよりも蛍火が活躍してないけどどうして?」

 いや、前にも言ったとおり蛍火は裏方だから。

観護(でも、蛍火君って珍しいわよね。なんというか今までにないって言うか)

 ん、この作品とか全般に今までにない物をっていうのを狙ってるからね。蛍火は確実に異常であり異端なんだ。

??「むっ、蛍火は変じゃない」

 あはは、ごめんなさい。(土下座)

観護(ねぇ、前から思ってたんだけどこの作品の話の切り方っておかしくない?

本来、続いているべきの話が次の話に持ち越されていたりとか。特に今回)

 あぁ、それは元々この作品の一話は原作と同じようにくくりにしようと思ってたんだ。

けど投稿させてもらうに当たっては一話当たりが激しく長い。

だから、本来の一話は一度に贈っている話を纏めたのが一話。つまり実際はまだ五話でしかないんだ。

??「長いってどれくらい?」

 wordファイルで今回のは343KB。でもそれは修正前だから、修正したらたぶん400KBぐらいに増えると思う。

観護(無駄に長いわね。しかも途中で読む気をなくすと思うわ)

 うん、だから無理やり切ってる。しかし、今回は完全に楽屋ネタになってるね。

??「蛍火が活躍してないからあんまり話す気ない」

 うん、ごめんなさい。だからこの後で出す予定の伎だけは向けないで下さい。

??「ペルソナ次第」

観護(私の出番を増やしてくれたなら考えてあげてもいいわよ♪)

 ひでぇ!! まぁ、そろそろ巻いていこうか?

観護(それもそうね。では次回予告)

??「初めて触れる破滅の片鱗。その事態に蛍火はどう動くのか?期待してくれると嬉しい」

 では、次話でお会いいたしましょう。





おお、いよいよ破滅が動くのかな。
美姫 「次回が気になるわね」
今回は、まあ順当に大河たちの勝ちだったな。
美姫 「流石に前衛二人だと、近付けばね」
以下に近づけないか。それが未亜たち後衛の戦術かな。
美姫 「今回も面白かったわ」
うんうん。次回も楽しみにだな〜。
美姫 「次回も待っていますね〜」
ではでは。



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