『魔法詩篇とらいあるぐるハートA's』




第三話

儚い星空 前編


会話設定


「」=人間の会話
【】=場所、他
『』=回想
≪≫=ディバイス英語、もしくはドイツ語
<>=ディバイス日本語
()=人間思っていること








【アースラ艦内】





 レイジングハートとバルディッシュがユーノによって修復されている。もともと調べる事に関しては、ユーノは発掘で鍛えているの
で、元レイジングハートの持ち主であるわけだから問題はないだろう。

「破損状況は」

 クロノが現れ、ディバイスの破損状況を聞いてくる。その顔は険しい。

「正直言って思わしくない。特にレイジングハートはコアにまでかなりダメージがある。」

「そんなに酷いのか?」

「ああ。今は自動修復機能を使って基礎構造を修復しているところだけど、終了したら再起動して部品交換をする必要がある。」

「断章は?」

 レイジングハートとバルディッシュの下に置かれているものを見ながらユーノは言う。

「……救護班の人が回収してくれたみたいだけど……コアが機能停止したから修復なんて無理だ。だから、レイジングハートには断章
の基礎構造を移植して、バルディッシュにはまだ機能できるシステム自体を移植しているよ」

「まて、あの断章を二人のディバイスに移植!? 正気か」

「仕方ないだろ、いくら部品が届くといってもこのままじゃ敵に太刀打ちできない。なら謎が多いディバイスを移植するのは当たり前
だよ」

「……そうだな」

「そういえばさぁ、あいつらの魔法、なんかおかしくない?」

 アルフは、ディバイスの難しい話は嫌いだったようで、二人の話を逸らす。本当の所はこの場の雰囲気が嫌になったからだろう。

「あれは、多分ベルカ式だ。」

「ベルカ式?」

「その昔、ミッドチルダと大きく魔法勢力を二分した魔法体系だよ」

「アウトレンジ攻撃をある程度無視してもお釣りがくる。対人戦闘に特化したディバイスだ」

 守護騎士達との戦闘をディスプレイ上で見るユーノ。シグナムのディバイスを見ながらクロノは苦悶の表情をする。

「そして、ベルカ式のディバイスを操る優れた魔導士は騎士と呼ばれる。」

「ベルカ式の特徴は、カートリッジシステムだ。」

「儀式で圧縮した魔力を弾丸に込めてディバイスに組み込む」

「瞬間的に膨大な魔力を得られるけど、危険で物騒な代物だよ」

 もともとユーノは争いを好まない。その上、魔法で自分の周りにいる大切な人達が傷ついたとあって、顔には出さないが、声にはか
なりの怒りが込められている。

「恭也はどうなるの? 起きたとしてもディバイスがないと」

「それについては問題ないよ。もともと断章が使いづらくて、僕に作成依頼が恭也さんの方からあったから」

「ディバイスがあるのか?」

「うん、でもね。ディバイスの基礎構造自体はもうできてるんだけど、恭也さんが依頼したシステムの構築がまだなんだよ」

「それってもしかしてベルカ式かい?」

「それもあるけど、カートリッジシステムは、もう部品もシステムもそろってるんだ。」

「どんなシステムを構築しろっていうんだあの人は・・・・・・」

 ユーノが持っていた資料をクロノは読んでみた。アルフも背が高いことを利用してクロノの後ろから覗いている。





『システム案件定義書』

◆カードインサート◆
 ディバイスが記憶するディバイスフォーム分のシステム領域を減らすことを目的とする。

◆カードスラッシュ◆
 ディヴァイスに記憶する魔法の分のシステム領域を減らすことを目的とする。

◆ブレイジングディヴァイス◆
 シンクロ型ディヴァイス。ディヴァイスとの部分融合。
 魔法発動時のタイムラグ減少が目的。

◆S2U◆

 支援システム。対象を高揚させ、回復も可能とする。

◆LIMIT ACCELL SYSTEM◆

 音速を超えた超高速戦闘を可能にする。





『AS-001 ベルカ式カートリッジシステム カートリッジロード変更対応システム詳細仕様書』

◆フォースカートリッジロード◆
 今現在確認されているカートリッジのロードはシングルだが、威力向上を目的としフォースロードを可能とする。





「凄い。下流工程から上流工程のシステム設計書がこんなに詳細に作成してあるなんて……」

「でも、テストに関しては何も資料がないんだ。だから一つのシステムが出来上がってもテストに凄く時間が掛かって、単体のシステ
ムテストが終わったら、結合テストと本稼動テストをしなくちゃいけない」

「断章が使いにくいと言っていたが、これだと断章より扱いがトリッキーになるんじゃないか?」

「まあ、一般論はそうかも知れないけど、恭也さんだからね」

「あとどれぐらいでできるのさ!」

「テストを省いて後一週間あればできるよ。でも、システム自体が特殊だからテスト無しだと何が起こるか全く分からないし、そんな
危険なディバイスを恭也さんに渡すのは……」

「そんなことを言ってられる状況でもないがな」

「これは、その試作品「ブレイジングディヴァイス」と「フォースカートリッジロード」システムだけ積んでいる。」

「へぇ〜、携帯の形してる」

 アルフは携帯を見たことはあるが使い方はわからないので、興味を惹かれている。耳は先ほどまでとは違いピンと伸びていた。

「名前は?」

「MOT-A01 DUAL STYLE UNISON DEVICE 「SAVE ME」」

「私を救う? 何でそんな名前を……」

「それは分からないけど、断章の起動パスワードとこのSAVE MEの起動パスワードを聞けば謎が分かるかもしれないよ」

「まて、起動パスワードってことはこのディバイスのマスター登録は済ませてしまっているのか?」

「うん、このディバイスは特徴があってね、製作者である僕と、フェイトとクロノは、使用者権限が振られていて、そして管理者権限
は恭也さんが持つようになっているんだ。」

「使用者権限と管理者権限? 何か僕達だと使えないシステムがあるのか?」

「それは分からないよ。これには、恭也さんが断章のシステムをコピーしたものをカスタマイズして、僕はそのものをディバイスに組
込んだだけだからね。それに、その媒体にはプロテクトと自動崩壊機能が厳重に掛かっているし」

「??」

 アルフは既にチンプンカンプンになっている。

「とりあえず起動するよ」

「願ってはならない誓い 積み重ねた消えない想い 深遠の闇を切り裂き 破綻する輪廻 知ることのない記憶 刻まれた望まぬ想い
 すべての想いは悲しみと泣き叫ぶ心 その想い 命の鼓動と供に奏でよ SAVE ME STOP UP」





≪Order of the Stop up was accepted≫

≪Operating check of the new system has started≫

≪The deformation mechanism confirmation is in good condition≫

≪authority by younoscrire≫

≪divice style Standing by ready≫

≪Drive ignition≫






「正直言ってこのディバイスはどんな時でも使いたくないよ」

 ユーノの姿は何故か変わらずバリアジャケットすら着ていないが、SAVE MEはユーノの右腕に盾の形をして存在した。

「どうしてだ?」

「クロノなら僕より嫌って言うほどこのディバイスは使いたくなくなる」

「?」

「このディバイス、権限登録さえすれば、自分の所持するディバイスよりも遥かに使いやすいはずだよ。僕なんてレイジングハートより
このSAVE MEの方が相性いいんだから」

「相性がいいだけだろ?」

「いや、例えば、攻撃系の魔法が全く使えない僕のことを理解して、チェーンバインドですら発展させて新しい魔法、束縛系攻撃魔法
を作ったり、封時結界も空間切断魔法なんて恐ろしいほど攻撃的な魔法を作成支援してくれるよ。クロノが使ったら、戦闘スタイルを
すぐ理解して、スティンガーレイ・エクスキュージョンシフトに自動追尾機能とバリア無効化属性とか付けたりすると思うよ……最低
限の支援がそれぐらいなんだ」

「……それで、この試作品の機能の40%位、使用者権限設定で使える機能だよ」

「……そんな馬鹿げているのか?」

「恭也さんはこれ位の力は必要だと思っているんだ。なら、今よりもっと危険なことが起こるのかもしれない……まっ、今は現状維持
だね」

「あとは恭也だけだね。恭也のことは私が何とかするよ」

「わかった。僕はこれで失礼する。」

「私も、おねぼーを起こしてくるよ」

 去っていく二人を見ながらユーノは呟く。

「何でこれだけシステムが完成してるんだろ?」

 手に持っている黒いチップをさわりながら、ユーノは思考に耽る。

「そういえばこっちの言語読めなかったはずなんだけど、恭也さん」






◆MOTION SYSTEM◆
 設定した数値以上に純粋な感情が高まったときにディバイスが起動する。このシステムを組み込んだ場合、大人になるとそのディバ
イス所有者であっても使用不可能になる。





「本物のシステム資料と3割事実を混じらせた相手に見せる偽者の資料……」

「偽者の資料と本物のシステム資料、これを見る限り本物の資料も案外8割の事実しか含まれていないかもしれない。一体、あの人は
何者なんだろうか……」









『MOT-0089 ベルカ式カートリッジシステム カートリッジロード変更対応システム詳細仕様書』

◆フォースカートリッジロード◆

 1概要

 1.1変更概要

  ・今現在確認されているカートリッジのロードはシングルだが、威力向上を目的としフォースロードを可能とする。

 1.2現行仕様

  ・カートリッジシステム
     圧縮魔力を込めたカートリッジをロードすることで、瞬時に爆発的な魔力を得るベルカ式アームドデバイスに採用されてい
    るシステムである。

 2カスタマイズ

  ・レイジングハートに採用するカートリッジシステムは、ベルカ式とは異なり、魔力総量の底上げを目的とすること。

  ・バルディッシュで使用されているカートリッジシステムは、ベルカ式と同等に、瞬間的な攻撃力の強化やデバイス変形を行うこ
  とを目的とする。

  ・高町恭也の作成依頼ディバイスについては、上記と同上。

 3カートリッジ支給形態
 
  ・フェイト・テッサロッサ、高町なのはは時空管理局から支給されるものとする。

  ・高町恭也は、ユーノ・スクライアから支給されるものとする。

 4カートリッジ

 4.1圧縮率

  ・フェイト・テッサロッサ、高町なのは支給用カートリッジの魔力圧縮率は30%とする。

  ・高町恭也支給用カートリッジの魔力圧縮率は85〜93%とする。





『MOT-0022 挿入型リンカーコア発動システム作成仕様書』

◆カードインサート◆

 1機能概要

  ・カードに封印したリンカーコアをディバイスに挿入する形をとり、魔力総量のランクアップを可能となる。また、ディバイスフ
   ォームをカードに記録しておくことで、ディバイスが記憶するディバイスフォーム分のシステム領域を減らすことができることを
   目的とする。





『MOT-0023 読込型リンカーコア発動システム作成仕様書』

◆カードスラッシュ◆
 
 1機能概要

  ・カードに封印したリンカーコアをスラッシュすることで読込み、リンカーコアに記録されている術者の技を再現することができ
   る。また、カードに自信の技を記録しておくことで、ディヴァイスに記憶する魔法の分のシステム領域を減らすことができること
 を目的とする。

 9.0問題点

  ・MOT-0022,MOT-0023に関しては、より術者と相性の良いリンカーコアが必要。また、このシステムは危険な為、起動許可が下りな
   いと使用できないように設定されている。

  ・使用許可者は管理局提督に一任の予定だったが、人格的に不向きな為、高町恭也に一任する。







『MOT-0793 感情探知型メタモルフォーゼシステム(ディーヴァシステム)作成仕様書』


◆MOTION SYSTEM◆

 1機能概要

  ・設定した数値以上に純粋な感情が高まったときにシステムが起動する。このシステムを組み込んだ場合、大人になるとそのデ
   ィバイス所有者であっても使用不可能になる。

 2.1機能詳細

  ・アースラの同型機2番艦エスティアから送られてくるビームを浴びることにより、術者の身体能力を最適な状態にする。






『MOT-0125 短期決戦型システム 作成仕様書』

◆LIMIT ACCELL SYSTEM◆

 1機能概要

  ・音速を超えた超高速戦闘を可能にすると同時に、攻撃力の向上を目的とする。

 2機能詳細

 2.1問題点

  ・リンカーコアから出される魔力の出力を強制的に最高値まで引き上げるため、術者に多大な負担を強いる。その為、3秒間のシ
   ステム起動しか許可できない。ディバイスにもリミッターとして取り付けるが、インテリジェントディバイスには余り意味はな
   い。

  ・長期的にこのシステムを使った場合、リンカーコアが崩壊をたどり、術者は二度と魔法を行使できないようになる。





『MOT-0223 近距離戦闘用バリアジャケットフォーム作成仕様書』

◆ブレイジングディヴァイス◆

 1機能概要

  ・戦闘能力の向上を目指したバリアジャケット。

 2機能詳細

  ・ディバイスとの完全融合型フォーム。バリアジャケットと言うには逸脱しているので、ディバイスの装甲フォームと言う。本来
   ハンドアームであるディバイスをバリアジャケットの代わりに装着する。

 3使用目的

  ・『MOT-0793 感情探知型ディーヴァメタモルフォーゼシステム』を使用した際に発生する術者の違和感等を無くすことを目的とす
   る。





『MOT-0923 アドベントシステム作成仕様書』

◆S2U◆

 1機能概要

  ・支援システム。対象を高揚させ、回復も可能とする。





『俺は、自分が敗れたことを自覚した。不破でありながら敗れた。護りたい人も護れずに……』

『だから、この地獄の夢を見続ける。護る為に……』

『大切な人、大切だった人をただ食べ続けるこの地獄。例え俺がどうなっても、護る為の力が欲しい。だから俺は再びあの力を使う』

『だが、俺の心はどんなに強靭を装っても、あの力を一人だけで使うことはできない。』

『だから、助けに来てくれたアルフに最悪の選択を強いる。』

『『次回、魔法詩篇とらいあんぐるハートA's 「儚い星空 後編」に ドライブ、イグニッション』』





えっと……。
美姫 「何やら過ごそうなデバイスが…」
出来上がりそうなんですが。
美姫 「一体、どんなデバイスが出来上がるのか!?」
その力は?
美姫 「次回が非常に気になるわ」
次回へドライブ…。
美姫 「イグニッション!」



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