リリとらのアトリエ

 

 

 

〜なのはのある一日〜

 

 

 

 

 ジリリリリ

 

「うにゃあ〜」

 

 眠い目をこすりながら私は目覚ましを止めました。

 そのままベッドの上でぼーっとしていると、部屋のドアがノックされました。

 

「マスター、起きていますか?」

 

「あ〜、レイジングハートおはよう」

 

「おはようございます、マスター。

 朝食の準備はできていますから、着替えてきてくださいね」

 

「は〜い」

 

 私の名前は高町なのは。

 現在アカデミーの二年生。錬金術士のたまごです。

 おとーさんとおかーさんは同じ街に住んでいますが、私は工房で別々に暮らしています。

 たまにおとーさんが寂しいと泣きついてきますが、我慢してもらってます。

 

 そんな私と一緒に生活しているのが、さっき起こしに来てくれたレイジングハートです。

 一人で生活するのが大変だろうと言うことで、アカデミー入学の際にユーノ君がくれたホムンクルスなの。

 燃えるような赤い色の長い髪と瞳が特徴なんです。

 家事万能、スタイル抜群、調合・採集なんのその。

 私の身近な理想像でもあったりします。

 

 

 

「マスター、今日の予定はどうなっていますか?」

 

「今日はアカデミーに行くつもりだよ。

 その帰りにおとーさん達のお店に寄ってくるかな」

 

「わかりました。それでは私は工房にいますので」

 

「うん、留守番よろしくね」

 

「はい。気をつけて行ってらっしゃいませ」

 

 

 うーん、今日もいい天気。

 弾む気持ちでアカデミーに向かっていると、見慣れた背中を見つけました。

 

「おはよー、はやてちゃん」

 

「あ、なのはちゃん、おはよう」

 

「はやてちゃんも特別講義聴きに行くの?」

 

「うん。ちょい興味のある内容だったしなぁ」

 

 はやてちゃんは私と同じアカデミーの二年生。

 私の親友の一人です。

 はやてちゃんはすべての分野で優秀で、成績学年トップの秀才さんです。

 すでに自分でホムンクルス六体を生み出していたりします。

 

 

 二人で世間話をしながらアカデミーに到着し、講義を受けるために教室へ移動します。

 席に着いたところで声をかけられました。

 

「なのはにはやて、おはよう」

 

「おはようフェイトちゃん」

 

「おはようや」

 

 声をかけてきたのはフェイトちゃん。

 もちろん私の親友の一人です。

 フェイトちゃんはアカデミー入学後、初めて知り合った友達です。

 はじめはそっけなかったけど今ではとっても仲良くなれました。

 二人ともリンディ先生の受け持ちで、得意分野も同じです。

 でもフェイトちゃんは理論派、私は感覚派とよく言われます。

 

 三人で談笑していると時間になり、先生が入ってきました。

 

「はーい、皆さんオハヨー♪」

 

 ハイテンションで教室に入ってきたのは月村忍先生。

 天才肌の先生で錬金術世界ではかなりの高名です。

 でも思い切りが良すぎると言いますか…結構実験で失敗する様子が見られます。

 アカデミー入学前はおにーちゃんと同級生だったらしく、おにーちゃんはその失敗によく巻き込まれていたみたいです。

 

 

 

 

 忍先生の難しいながらも解りやすい講義を終えた私達はこの後の予定について話しました。

 

「フェイトちゃんとはやてちゃんはこれからどうするの?

 私はおとーさんのお店に行くんだけど」

 

「あたしはこれから採集に行く予定やからここでお別れやね」

 

「そっか、フェイトちゃんは?」

 

「私は特に決めてなかったから…。

 なのはさえ良ければ一緒に行っていい?」

 

「うん、それじゃ一緒に行こう」

 

 はやてちゃんと別れた私達はおとーさん達がやっているお店『翠亭』へと向かいます。

 『翠亭』は街一番のお食事屋さんなの。

 だから錬金術士への依頼や冒険者さんが集まるところとなっています。

 ちなみにおとーさんがオーナー兼マスター。

 おかーさんがチーフパティシエで、アシスタントの松尾さん。

 さらにチーフコックの真一郎さんにアシスタントの小鳥さん。

 コック見習いの晶ちゃんにレンちゃん。

 そして看板娘の二人、フィアッセさんとエリスさん。

 このメンバーが常時働いています。

 時々、おにーちゃんとおねーちゃんがお手伝いしています。

 

 

 

 

 

 カランカラーン

 

「いらっしゃいませー」

 

「おう、なのはにフェイトちゃんじゃないか。今日はどうしたんだ?」

 

 お店に入るとおとーさんが声をかけてくれました。

 それにしても相変わらずの盛況ぶりです。

 

「えーっとね、何かお仕事ない?」

 

「私は恭也さんにお願いが…」

 

「フェイトちゃんは恭也だな…フィアッセー、恭也は?」

 

「恭也はお城の稽古に出て行ってるよー。

 お昼までだから、もうすぐ帰ってくると思うよー」

 

「…と言うことだからもう少し待ってね」

 

「はい」

 

 ここに着くまでの間にフェイトちゃんは採集の予定を思い出していました。

 そのために護衛をおにーちゃんに頼むみたいです。

 本人に聞いたわけではありませんが、どうやらフェイトちゃんはおにーちゃんに好意を持ってるみたいです。

 おにーちゃん、かなりモテモテです。…本人が気づいていませんけど…。

 ……もしおにーちゃんとフェイトちゃんが結ばれると、フェイトちゃんは私のおねーちゃん?

 ………そうなったら嬉しいですけど、なんだか複雑です。

 

「で、なのはは仕事と……なのは〜、そんなことしなくても父さんに言えばお金くらい出すぞ〜」

 

 おとーさんはいつもこう言ってくれます。

 でも、アカデミーに入ると決めたときから雑費は自分で稼ごうと決めていたので断ります。

 

「おとーさん、いつも言うけど一人前になったときの予行練習も兼ねてるんだから。

 だからお仕事お願い」

 

「まあ、なのはがそう言うんだったらいいけどな」

 

「あ、おとーさん。また採集のみとかはやめてね」

 

「うっ…。…わかった…」

 

 そうなんです、実は以前お仕事を頼んだら、おとーさんってば採集のお仕事ばかり勧めて来たんです。

 心配してくれてるのは分かるんですが、もう少し信頼してくれてもいいんじゃないかと思います。

 

 

 普通のお仕事表を受け取り、私のできるものを探しているとおにーちゃんが帰ってきました。

 

「おう恭也、おかえり。フェイトちゃんがお前に用があるってよ」

 

「恭也さん、こんにちわ」

 

「ああ、元気そうで何よりだ。それで用と言うのは?」

 

「あの、えっとその……また採集に付き合ってもらってもいいでしょうか?」

 

「ああ、そんなことか。

 フェイトに頼まれたのなら断るわけがないだろう。

 怪我でもされたら悲しいからな」

 

「あうぅ…」

 

 暗に「君のことが大切なんだよ」と言われたフェイトちゃんは、顔を真っ赤にしてうつむいてしまいました。

 そんなフェイトちゃんを微笑みながらやさしくなでるおにーちゃん。

 むぅ、私にももう少し素直に優しくしてほしい…。

 って、あああ、フェイトちゃんが溶けてる!!

 …おにーちゃん…もっと自覚しようよ…。

 

 

 

 無事仕事を見つけた私は、採集の打ち合わせをするフェイトちゃん、おにーちゃんと一緒に昼食をとった後、工房に戻りました。

 

 

「ただいまー」

 

「おかえりなさい、マスター」

 

 工房へ入ると、私がいなかったうちにレイジングハートが掃除してくれたのか、すっかりピカピカになっていました。

 綺麗なのは気持ちがいいです。ありがとう、レイジングハート。

 

「お仕事もらってきたんだけど、手伝ってもらってもいいかな?」

 

「もちろんです、マスター」

 

そうして私達は調合に取り掛かりました。

 

 

 

 

「うん、これで終了だね」

 

「お疲れ様です、マスター」

 

「レイジングハートもお疲れ。

 ん〜、だいぶ遅くなっちゃったね。晩御飯どうしようか」

 

「マスターさえ良ければこれからお作りしますが」

 

「じゃあお願いしていいかな?

 私はこっちを片付けているから」

 

「わかりました」

 

 

 

 片づけがちょうど終わったときにレイジングハートが呼びに来て、そのままちょっと遅い晩御飯を食べました。

 そしてお風呂に入ってこれからおやすみです。

 

 今日も一日がんばりました。

 

 明日はできた品物を翠亭に持っていかなきゃ。

 …そう言えばリンディ先生に出されている課題がありました。

 資料すらないので図書館に行って調べなきゃ。

 それで無い材料があったら取りに行かなくちゃ。

 

 うん、明日も忙しくなりそうです。

 

 それじゃあ、お休みなさーい。

 

 

 

 


あとがき

 

どうも、船貴です。

ひさしぶりにアトリエシリーズで遊んでいたら、ふと思いついたので書いてみました。

リリカルのキャラからとらハシリーズのキャラまで大体役割は決まっています。

上手くはまる人もいればどうしようか悩んだ人も数知れず。

設定も一応決定していて、書くのは意外と楽だったりします。

 

このシリーズは関連のある短編の集合と言う形式にしようと思っています。

とりあえずいつになるかはわかりませんが、次回ははやてかフェイトで。

そのあとに主要人物人物設定や舞台背景なども公開しようと思っています。

 

ちなみにこのシリーズ、色々書けるネタがあるつもりでいるので、このキャラとこのキャラの絡みを!!など希望があれば受け付けたいと思います。

 

では次回。





アトリエシリーズとなのはのクロス。
美姫 「錬金術士としてのなのはたちね」
世界設定はアトリエの方みたいだな。
美姫 「だとすると、採取とかも楽じゃないわよね」
これからどんなお話が出てくるのか楽しみです。
美姫 「それではまた」



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