前書き

 

これは原作の設定とは違い、オリジナルの要素が含まれています。

そういった類のものが嫌いな方、許せない方はこれ以上先を読まないでください。本当に。

稚拙な文章ですがそれでも良いという方だけお読みになって下さい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ノイズが走る――ざぁざぁと、ざぁざぁと

 

様々な映像が断片的に写る。それがなんなのかはわからない

 

ノイズが走る――ざぁざぁと、ざぁざぁと

 

『――。俺達の剣は護るときにこそ真価を発揮する。だから忘れるな』

 

あなたはだれ?

 

『ねえ―――。今日は何をするの?』

 

あなたはだれ?

 

ノイズが走る――ざぁざぁと、ざぁざぁと

 

 

 

わたしは・・・だれ?

 

 

 

ノイズが走る――ざぁざぁと、ざぁざぁと

 

 

 

 

 

 

魔法少女リリカルなのは 

〜 PRAYER AND WISHER 〜

 

第二節 「彼と彼女が出会う日」

 

 

 

 

 

 

 

月は夜空に浮かび世界を照らす、旅人を惑わすよう、旅人が迷わぬよう

 

 

 

 

 

 

 

夜の不気味な静寂が覆う森のなか・・・・白い閃光が浮かぶ。

それはやがて形を作り、人型を成す。完全な形を成すと・・粒子が周囲に拡散し、一人の少年が現われ、その場に倒れ込む。

 

「うっ・・・ぐっ」

 

少年はやや苦しげに身じろぎした後・・・身体を起こす。

 

「ここは・・・俺は・・・生きて、 いるのか・・・?」

 

呆然とする頭のなか・・立ち上がる少年の眼に飛び込んできたのは、薄っすらと森の木々・・・そして・・ぼんやりと佇み・・・自分が生きていることを自覚する。

 

「助かった・・・のか?・・あの爆発で・・・」

 

少年は記憶を巡らせる。だが思い出せない。そもそも自分が爆発に巻き込まれたのかを疑問におもった。自分が誰なのか、何故こんなところに居るのか、思い出せない。思い出せない。

 

「・・・・・記憶喪失という奴か?」

 

脳への外傷、あるいは精神的なショックなど何らかの知識障害により、過去の記憶を思い出せないことをいう。健忘症ともいわれ、程度により全健忘、部分健忘などがある。名前、家族など自分自身に関することを忘れてしまうものを全生活史健忘という。

ドラマなどでよく見るもので、笑いたくなることだが、生憎今の少年は笑えない。

 

少年は感覚を確認するように己の手を見やり・・・眉を寄せた。

 

「むぅ?・・俺の手・・・こんなに小さかったか・・・・・・・」

 

自分は結構長身な方だったはずである。それなのに周囲に聳える木々は自分よりも果てしなく高く見える。だが、呟きに疑問を覚える。それが本当か思い出せない。ただ妙な違和感を憶える。

 

「・・・・実際なってみると困るものだな」

 

少年は苦笑して、何か手がかりになるものがないか調べる。

そして、自分の首に何かがかかっているのに気が付いた。

 

胸元にあるそれは・・・白い十字架・・

 

それが何かはわからない。

それでも何か重要なもののような気がして手にとって考えるが、その答は当然ながらでない。

仕方なくまずは自分の現在の状況を確認しようとした。

 

体力は消耗しているようだが、傷は消え、出血は無い。

しかし、武器が何もないのは少し心もとない。

周りは見渡す限りの森だが―――深いというわけではなさそうだ。歩いていけばその内出られるだろう、とそう考え歩き始める。

 

 

「・・・!?」

 

 

しばらく歩いていると、いくつかの気配と殺気を感じ、そちらに自分の気配を消しながら走る。

何故そんなことができるのか、知っているのか。それに疑問など抱かず。

 

 

走り辿り着いたそこには、綺麗な金髪で十歳ぐらいの少女とその傍らに狼のようなものがいた。少女は手に棒を持っており、その先端には光刃が形成されており、それは鎌のようにも見える。

少女を見たとき恭也は頭に痛みを感じた。頭を振り、辺りに意識を広げる。もう一つの気配が少女の方に動きだしていた。

しかし、少女達が気づく様子は無い。手を出す必要はないかと思っていたが、叫んでいた。

 

「後ろだ!!」

 

叫びに反応して僅かな殺気を感じ振り向く。叫んだのと同時に無意識で少年はモノクロの世界へと入る。ゼリーを掻き分けるように動く。少年は襲いかかろうとした影と少女の間に割り込み、少女を押し庇う。

 

「ぐっ・・・」

 

しかし、少年は避けきれず背中を軽く抉られる。少女と犬?は突発的なことで事態に着いて行けず唖然としている。少年は影と対峙する。影は熊のようであり、まるで違った。

僅かに頭と背中に痛みを覚えるが、それを顔には出さない。

 

(くそっ!?・・・・・勢いで飛び出したのはいいが・・)

 

武器も何も無い事を思い出し、苦笑しそうになったが、頭に声が響く。

 

≪私の名を呼んでください≫

 

「・・・!?ベルヴェルク!!」

 

頭の中に響いた声に驚いたが、反射的に知らないはずの名を呼んでいた。

その声に呼応し、胸の十字架が光を発し、両手にそれぞれ小太刀が握られていた。

 

「「デバイス!?」」

 

少女と狼が驚きの声をあげ、影はそれを合図に少年に飛びかかる。

少年はそれを右に踏み込み避け、すれ違いざまに左の小太刀で切りつける。

 

「ガアアアアーーーーーー」

 

痛みに影は咆哮上げながら再び少年の方に向かっていく。

少年は小太刀を何時の間にかあった鞘に収め。影の方に走り始める。

影の攻撃は少年に届くことなく、四つの傷を刻まれ吹き飛び、倒れる。

 

「・・・・・?」

 

少年は自分の行動に戸惑っていると、影から青い宝石のようなものがでてくる。

狼は焦ったように傍らの少女に声を掛ける。

 

「ふぇ、フェイト。封印、封印」

 

「う、うん。バルディッシュ!シーリングフォーム」

 

Yes,Sar.

 

突然の事態に未だついていけない少女―-フェイトだったが、疑問はとりあえず置いておき、現在槍のような形状になったデバイス――バルディッシュを握って青い宝石の方へと向ける。

青い宝石――ジュエルシードは吸い込まれるようにバルディッシュの金色の宝玉へと消える。

それを眺めていた少年は全身に痛みを感じ足元が覚束無くなり、視界は霞み、フラフラとし始める。

少年の意識は消え、少年の方を向いたフェイトの方に倒れこむ。

フェイトは反射的に抱き止め、困惑した顔を傍らの狼に向けて口を開く

 

「・・・・どうしよう、アルフ」

 

「私に聞かれても、ね〜」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

闇の世界、黒い空間、そこに少年は浮かんでいる。

これは夢か何かだと漠然に思い、浮かんでいる。

 

<マスター・・・>

 

「・・・・・ベルヴェルク、か」

 

そこに声が響き、少年は応える。確信を持って。

 

<はい。ベルとでも呼んでください>

 

 

 

「わかった・・・それで、俺自身について何かわからないか?それに」

 

<私がマスター自身を知っているわけではありません。しいて言うならマスターは私に相応しかったということです。他のことについては口で説明するより、直接理解してもらったほうが良いでしょう。・・・もっとも私も全てを知っているわけではありませんが>

 

「・・それは、どうい――――――――!!」

 

少年は声に聞き返そうとしたが、突然頭の中に何かが流れ込んできて、頭が引き裂かれるような痛みを覚え、音にならない悲鳴をあげる。声は沈黙し、少年が落ち着いたころを見計らい言葉を続ける。

 

<この世界はマスターが居た世界に限りなく似ています。それ故にこの世界にいれば記憶は戻るかもしれません>

 

「はあ・・・はあ・・・そうか・・・しかし、俺も爆発に巻き込まれるとは・・・」

 

納得できない部分もあるが、とりあえず自分の理解できた事を整理しながら、流れ込んできた自分の最期と言うべき境遇に苦笑し、そしてあれだけの痛みに関わらず自分が何者かというのが結局わからなかったことに少し落胆する。

 

「マスター、勝手に転移させてすいませんでした」

 

「気にすることはない。どうせ死ぬ筈だったんだ。礼を言えども恨みは言わんさ。・・・これからよろしく頼む、ベル」

 

「はい、マスター」

 

少年は笑みを浮かべていい、声は嬉しそうに言う。

少年から光が発し、少年が消え始める。

 

<どうやらマスターの意識が戻るようですね>

 

「みたい、だな」

 

 

 

 

少年が消えた後、その空間には一人の女性が浮かんでいる。

 

 

<・・・・アレだけの情報を一気に送っても廃人にならないとは、さすがはマスター>

 

苦笑しながら、僅かに楽しそうに、危険な事を言っているが当事者の少年は知らない。知ったらどうなっていたかはわからないが。

 

<だからこそ、マスターならば・・・・・>

 

先ほどまでの空気が一切感じられない、悲しみの篭ったその声は少年に届く事は無い。・・・今はまだ・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うっ・・・・ぐっ」

 

ベットの上で少年は身じろぎし、意識が朦朧とする。頭を振り、気を失う前を思いだし、辺りを見渡すと気を失う前に見た狼と目が合う。少年は意識を戻そうとして、狼はただ見返している。

 

「「・・・・・・・」」

 

「「・・・・・・・」」

 

「なんだい?」

 

「いや、状況が掴めなくてな・・・って」

 

(・・・・人になる狐とかいるんだ。喋る狼がいても可笑しくは・・・いや待て、そんなものが居るのか?・・・だが魔法があるなら居ても・・・だが、だが・・・)

 

少年は思い出せないはずの記憶や常識や新しく得た知識やらと葛藤を始め、狼は変わらず少年を不思議そうに眺めている。

 

「アルフ、様子はどう―――目、醒ましたんだ」

 

様子を見に少女がきたことにより、少年は葛藤をやめ、視線を少女に向ける。

 

「・・・えーと。助けてくれたようだな。ありがとう」

 

「・・先に助けてもらったのはこっちでしたから」

 

「・・・そうか」

 

「「・・・・・・・」」

 

少女は経験がないためにどうすればいいかわからず、少年は何を喋っていいかわからず、そこで会話は終わる。また、なんとなく少年と少女は目を逸らせず見合う形になる。

とりあえずこのままでいるわけにもいかないと思い、少年は口を開く。

 

「・・・・名前を教えてもらっても構わないかな」

 

「・・・・フェイト=テスタロッサです」

 

「私はアルフだよ」

 

フェイトとアルフは一瞬戸惑ったが名乗り、少年を見る。

少年は口を開こうとして、自分の状態を思い出した。だから頭を下げて言う。

 

「・・・あー、なんだ。名前を聞いておいてなんだが、すまないが名乗れないことを思い出した」

 

「人に名前を聞いておいてなんだい!!」

 

「まあまあ、アルフ」

 

アルフは少し怒ったようにいい、フェイトはアルフを宥める。

 

「・・・思い出せないんだ。自分の名も家族も・・・あったはずなのにいたはずなのに」

 

少年は顔をあげ、二人に首を振りながら答える。

少年の言葉にフェイトとアルフは顔を見合わせる。信じられないような話だが、少年が嘘をついているようにはみえない。

 

「思い出せる中に俺の名前のようなものはなくてな・・・しかし、仮にでも名前を考えないと困るな・・・」

 

前半は心配させないようになんでもないように言い、後半は苦笑しながら言う。

その言葉にフェイトは考え込み、少年は目を閉じ何か無いか考える。

 

(・・・・・・さすがにナナシとかはどうかと思うし・・・ふむ、鴉というのはどうだろうか・・・いや、いい思い出がないな。何故かは思いだせんが)

 

「・・・・・・なら“リニス”というのはどうですか?」

 

「フェイト!?」

 

「む?」

 

フェイトは顔を少年に向けてそう言い、アルフは驚き、少年は考えるのをやめ、閉じていた目を開ける。

 

「・・・リニス、か。・・・・しかし、いいのか何かあるのだろ?」

 

「はい、あなたがいいのなら構いません。・・・それ以外に思いつきませんから」

 

「・・・・フェイトがいいっていうなら私は何も言わないよ」

 

「・・・そうか、ありがとう。・・・ならば、俺はリニスと名乗らせてもらおう」

 

 

少年―-リニスは、二人に確認し、噛み締めるように、そう宣言した。

 

 

 

 

 

 

かくして彼らは出会った

 

今はそれが齎すものを知るものはいない

 

それでも舞台は続く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

後書き

 

ここまで読んでくださった方ありがとうございます。ディスです。

【リ】「高町恭也改めリニスです。」

後書きは対話形式でやろうかと思います。

【リ】「その心は?」

・・・・・・・・・面白そうだから

【リ】「阿呆が!!」

ぐふっ!!・・・・ま、まあそれは置いといて、一応主役として何か質問はないの?

【リ】「・・・そうだな。・・・何故俺の記憶を無くす必要があったのか?だ」

・・・・・・・・面白そうだから

【リ】「逝け!!」

がはっ!!・・・・・・・だって特徴が欲しかったんだ!!

【リ】「はあ、やれやれ。だから失敗するというのに・・・駄目作者としての他に反省点は無いのか?」

えっ・・・・・話がかなり強引なところかな?読み直して感じtがはっ!!

【リ】「・・・救えんな。わかっていてやるとは・・・」

えーと、今回はこの辺で。第三節も読んでくだされば幸いです。(読んでくれてる人いるのかなぁ)

【リ】「投稿できたらだろが、この無計画者が!!」

 

 

 

 


いやー、まさかの展開。
美姫 「記憶をなくしてリリカルの世界へ」
リニスとなった恭也がどう動くのか。
美姫 「それによって、フェイトたちの方もどう変わるのかしらね」
次回も楽しみにしてます。
美姫 「待ってますね」
ではでは。



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