にぎやかな昼食会を終えた山百合会の面々

 

そしてそんな彼女たちに気に居られた恭也

 

果たして彼はこの後どうなるのか?

 

でわでわ〜〜

 

薔薇に愛されし者

『恭也を知る者?』

 

 

食事が終わり少々マッタリとした時間を楽しんでいる山百合会の面々

恭也の目がウトウトしていたときに蓉子が問題点を指摘した

 

「この子のことどうしようか……」

 

「どうって、どうするつもり?まさか、自分の家にお持ち帰りするき?」

 

蓉子はまじめに言ったのに対して江利子が茶々を入れる

 

「あのね〜〜そう言うことじゃなくてね………

このこの親御さんは、どうしているのかとか

警察に預けたほうが良いか?とかそう言うことよ」

 

「そう言うことか………

じゃあ本人に聞いてみたら?蓉子」

 

「そうね………

恭也君、ちょっと質問いいかしら?」

 

聖が本人に聞いたらどうかと言うと蓉子は

寝ているのに悪いと思いながらも恭也を起こして質問をする

 

「はい、何ですか?蓉子お姉さん?」

 

眠たそうに目をこすりながら、小さくあくびをして蓉子の質問に答えようとする恭也

しかし、肝心の蓉子はと言うと恭也の仕草とお姉さんと呼ばれたことで顔を赤くしていた

 

「あ、あのね、恭也君のご両親について聞きたいの?」

 

「?」

 

「そうね………。

恭也君のお父さんとお母さんは何処に居るのかな?」

 

「ボクの父さんは何処に行ったか分かりません

母さんは会ったこともありません………」

 

俯いてそう答える恭也

そのためか恭也の表情を窺うことが出来ない

 

「何処に行ったか分からない?

お父さんが?

じゃあお母さんは?」

 

どういう意味なのか図れないために質問を続ける蓉子

 

「父さんは、時折仕事でどこか行っちゃうんです

母さんは僕を産んで死んだって、よく父さんは言うんですけど

毎回死んだときの内容が違うんでたぶん………」

 

これだけ述べると恭也は俯いたまま震えていた

そんな様子に流石に蓉子は謝りながらも、質問を続けなければ埒が明かないと判断し

次の質問をする

 

「じゃあ、恭也君の親戚はどうしているの?

お父さんが迎えにこれないんだったらそっちに行かないとね」

 

この質問は恭也にとっては、はっきり行ってNGであった

その証拠に………

 

「こ、琴江お姉さんの…………結婚式が………

ウッ

みんな、いなくなって

ヒック

爆弾テロがあって………

ウッウッ

静馬さんや、一臣さん………御影さんが………」

 

突然泣き出した恭也

蓉子たちは部分部分でしか聞き取ることが出来なかったが、この話は触れてはいけないことだけは分かり

泣きじゃくる恭也を慰めようと必死に声を掛けた

 

 

 

「ご、ゴメンなさいね、恭也君。

そんなことあったなんて気がつけなくて……」

 

質問をしていた蓉子は最も済まなそうな顔をし

 

「大丈夫だよ。お姉さんたちは何処にも行かないからね」

 

江利子は穏やか声で落ち着くように慰め

 

「大丈夫、大丈夫だからね。だから泣き止んで」

 

聖は恭也を後ろから抱きしめがなら声を掛け

 

「泣かないで、恭也君。お姉さんたちは一緒に居てあげるから……」

 

令は恭也の黒髪を撫でながら泣き止ませようとし

 

「お父さんがきっとここに来てくれるからね

それまでは一緒に居て上げられるからね〜〜」

 

由乃は恭也の手を握り、そっと頬に当てながら慰める

 

「きょ、恭也………くん。おね…がいだからウッ泣き止んで」

 

祐巳はもらい泣きしてしまい、慰めると言うより恭也の心情を不憫に思っていた

 

 

「ご、ごめんなさい。泣いたりして

お姉さんたちが僕のことを思って質問していたのに…」

 

六人が思い思いに恭也を慰めていると、次第に恭也の方も泣き止み申し訳なさそうに謝った

そんな恭也に対して特に蓉子は

 

「いいのよ、こちらこそゴメンなさいね」

 

と言っていると部屋の扉が開く

 

 

 

「ごきげんよう、お姉様方」

 

扉を開いて部屋に入ってきたのは城薔薇のつぼみである藤堂志摩子であった

 

「どうしたんですか?皆様で固まって」

 

椅子に座って小さくなっていた恭也を全員で囲っていたのだ

恭也の姿が隠れてしまい、何をしているのか分かるはずもないだろう

 

「あれ、志摩子。遅かったね」

 

と彼女の姉である聖が声を掛け続きを述べようとしたときに

黒いものが志摩子のほうへ疾走する

 

『バフッ』

 

志摩子の腰元あたりに何かがぶつかる音がする

 

 

「お久しぶりです、志摩子お姉さん」

 

「恭也君なの?」

 

花がほころんだような笑顔を浮かべながら志摩子にしがみつく恭也

 

一方、志摩子の方は少々驚いた様子を見せながらも恭也を抱きしめながら久しぶりの再会を喜ぶ二人

 

「な、なに、志摩子と恭也君は知り合い?」

 

令が不思議に思いながら、質問をぶつける

すると

 

「ええ、はい。今から五年ほど前になりますけど……」

 

 

 

 

………約五年前

 

恭也君とその父親の士郎さんは私の家の近くで倒れかけていたんです

 

どうしたものかと私のお父さんが二人に声を掛けると士郎さんは

 

「腹が減って動けない……このあたりで武術の道場を知らないか?」

 

っと聞いてきたので、どうして武術の道場の位置を知りたがるのか聞いたところ

何でも道場破りをして食事するとおっしゃったそうです

 

 

 

家が剣道場で自らも剣道をしている令は気になって聞くと

 

「剣道してるの?恭也君は……だったら見てみたいな〜〜」

 

「い、いえ、僕がやってるのは剣術なんです

ですから………あまりお見せするわけにはいかないんです」

 

 

 

それで、恭也君と士郎さんを父が招きいれて食事を勧めたんです

そしたら士郎さんが

 

「このあたりで仕事をしてこないとな〜〜」

 

とぼやいた後に電話を借りて少し経つと……

 

「恭也、仕事の依頼があった。

悪いがここで待っててくれ」

 

と言って、いきなり恭也君を預けて何処か行ってしまったんです

 

 

 

「ものすごいお父様ね……」

 

蓉子が少しあきれた口調で言うと

 

「恥ずかしい限りです………」

 

恭也は真っ赤になりながら恥ずかしそうにしていた

 

 

 

その後、二週間ほど家に居たんですけれど

その間に恭也君は『お手伝いをする』って言っていろんな事をしていたんです

 

 

 

「そうか〜〜偉いね。よしよし」

 

「あ、あう〜〜

当然のことをしていただけですよ〜〜」

 

「謙虚なのがますます良いね〜〜よしよし」

 

そういって恭也の頭を優しく撫でる聖

聖が撫でるのを恭也はされるままで居た

 

 

 

それで恭也君は料理を手伝ったり

庭の掃き掃除をしたり、部屋の掃除をしたりといろいろしていたんです

 

私はと言うと、当時の恭也君の遊び相手をしたりして

弟のように可愛がっていたんです

 

 

 

「そりゃ〜、こんな可愛い子が居たら当たり前だよね〜志摩子さん」

 

由乃が羨ましそうに言うと

 

「でも、とっても大人しくて、礼儀正しい子だったので

そんなに甘えることはなかったんですよ、恭也君は」

 

そう言うが今の恭也は志摩子の膝元で猫のように甘えている

 

「あう〜〜♪」

 

「その話を聞くと恭也君は今より大人な感じだったわけ?」

 

「ええ、そんな感じです

何があったんでしょうね……」

 

蓉子がふと疑問に思い志摩子に質問する

志摩子は心配そうにしながらも、嬉しそな表情で甘えてくる恭也をあやしていた

 

 

 

「じゃあ、恭也君のことどうしようか」

 

この場を仕切るかのように蓉子が言うと

 

「警察に預けるってのもね……なんだか可哀想だし。

どうしようか?」

 

江利子が別れを偲んでか恭也のほうをそっと見て呟く

すると、聖がいたずらっぽく微笑んで

 

「いい案があるけど、聞く?」

 

聖が何か思いついたのか、この場にいた全員を見回してはっきりと聞こえるように言う

恭也は志摩子にじゃれついて疲れたのか夢の世界に旅立っているようだ

 

 

「どんなアイディアなんですか?白薔薇様」

 

祐巳が心底知りたそうな表情をして聞くと聖は心底楽しそうな表情をして告げた

 

「私たちで順番に預かるんだ♪」

 

「預かる?」

 

「そう。一人の家に長いこと滞在すると、恭也君は気にするかもしれないし

それに負担も掛かるでしょ?

だから、ここに居るメンバーで順番に預かるだ」

 

「それ、良いわね。恭也君と一緒に居るのは面白そうだし

何より独り占めできるしね♪」

 

面白いこと大好きな黄薔薇様こと江利子がこの案に賛同する

もちろん他の面々も面白そうとかいって賛同したので、この案は可決された

一応迷子として警察のほうへは届け出ておくとして……

 

「そうだ、祥子はどうするの?」

 

「大丈夫でしょ。いくら男嫌いの祥子でも、こんなかわいい子を拒絶しないって♪」

 

そういうと聖は恭也を起こして告げた

 

「恭也君には、まず私の家に来てもらうからね♪

じゃあ行こうか」

 

「………はい」

 

眠そうな目を擦りながら聖の差し出した手を握り返し返事をする恭也

そんな恭也を皆で微笑ましく見守りながら見送った

 

 

「じゃあ、明日は私の家だからね」

 

「いいわよ、江利子が先で。私の場合一言親にいっとかないとね」

 

「で、では、私の家には紅薔薇様の次に…」

 

「それじゃあ、私は令ちゃんの次〜〜」

 

「えっとえっと志摩子さん先にならない?」

 

「いいんですか?」

 

「志摩子さんの話を聞かせてもらってから、預かったほうがいいと思うから」

 

 

恭也の立ち去った薔薇の館では順番を決めるために、白熱した議論が展開していた

 

 


〜あとがき〜〜

 

いかがだったでしょう

最近スランプで『黒衣の守護者』という作品が作れずに

こちらのほうばかり書いております(汗)

 

こっちのほうが書きやすいんですよね〜〜

シリアスじゃないし、バトルシーンとかもないからへんに悩む必要ないし………

 

師匠が応援してくれている『黒衣』のほう頑張っているんですが、なかなか〜〜(泣)

でわでわタカでした〜〜



美姫 「タカさん、グッジョブ!泣く恭也、最高〜」

このSめ。

美姫 「何か言った?」

ブンブンブン。

美姫 「そう。フフフ。次回からは、山百合会メンバーと順次、お家でのやりとりなのかしら?
     ああー、楽しみ♪聖さまの次は私!そしたら、お風呂に入れて、一緒の布団で……」

えーい、やめんか!

美姫 「浩、五月蝿い」

ドガガガガガッ!!
ドゲッ!ぐぅぅぅぅ……。ひ、一言+連撃ですか……。
や、山は死にますか?僕は……。バタリ。

美姫 「タカさん、次回も楽しみにしてるわ」




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