※ 1. 本作は真・恋姫†無双のネタバレを多量に含みます。
※ 2.真(チェンジ!)恋姫†無双 ―孟徳秘龍伝― の外伝に当たります。
※ 3.非常に危険な展開です。
※ 4.仮面ライダーディケイド本編の視聴を推奨します。
※ 5.主役はどちらかというと関羽さんです。
蜀の国で鬼の出現が確認されてから三ヶ月が経過した。関羽率いる小隊は鬼の目撃情報を元に、各地を転々と戦い続けている。幸いに、呉からの情報で鬼の弱点が頭部であることは既に判明しており、一般兵でも集団戦術を用いれば何とか対処できる。
しかし所詮は数頼みの戦い方であり、鬼が多数出現した際、またやむなく一対一の状況に置かれた際、何処まで持ち堪えられるか、考えたくも無かった。今のところ目撃情報が殆どで襲撃を受けた話は聞こえてこない。それでも呉では「鬼、建業を強襲せり」との噂もあり、軍部に限らず動揺は広がるばかりだ。
(士気の低下も已む無し、か)
報告にあった最後の目撃地点の調査を終え、関羽が拠点にしている村に戻る時だった。特に痕跡なども発見できず、外れを引いたと隊の全員が頷き合った矢先である。
「関羽様! 村から煙が!」
「何だと!?」
先行していた兵の一人が慌てた様子で戻ってきたと思えば、最悪の報告に換羽は舌打ちした。どうやら鬼はちょうど野に出て『狩りの時間』だったらしい。
「急ぐぞ! 全速前進だ!」
「はっ!」
間に合ってくれ、と祈りつつ村の門まで辿り着いた時にはすでに状況は最悪を通り越していた。
全滅。
調査に出発する前までは多くの村人が暮らしていた場所が、今では只の墓場と化している。無残に引き裂かれた死体の山、齧られたと思しき人間の腕……撒き散らされた臓物が死臭を濃く漂わせる。
戦場では別段珍しい光景ではない。だが今は平和の時代であり、ここは戦場ではなかった。
「くっ……各員、周囲を警戒しつつ生存者を探せ!」
それが指示として的を射ていないことは関羽を含む全員が承知している。しかし探さずにはいられないほど、目の前に広がる惨状は絶望的だった。
家屋を一軒ずつ周り、その度に込み上げる吐き気を押さえ込むことのなんと大変なことか。結局、十七軒あった家のすべてが住人を失っていた。
それでも諦めきれず、村の周辺へ足を向ける。鬼を警戒してか設置された木製の外壁は大穴を開けていた。恐らく此処から進入したか、
「あるいは、此処から出て行った―――――――む!?」
穴から村の外へ視線を向けると、草原の向こうに蠢く影が一つ。隊に後方から付いて来るよう命じ、関羽は愛用の青龍刀を抜いて駆け出した。
彼女の脚力ならば数秒で追いつける距離だが、
「こ、子供が!?」
まずいことに鬼は辛うじて逃げ延びた子供を追いかけていた。子供は三人で、その内の一人は足が遅いのか、他の二人よりも大きく距離を離されている。追いつかれるのも時間の問題だ。
「はあっ!」
関羽は迷うことなく堰月刀を鬼の背中目掛けて投擲した。深々と突き刺さる刀身に錆色の巨体が仰け反る、その隙に前方へ回りこんで最後尾の子供を保護する。
「私が時間を稼ぐ! 走れ!」
子供はただ頷くと、あとの二人の方へ走り出した。
だが関羽は見送ることなく前へ向き直る。
「……どうするか」
怒り狂った鬼と視線がぶつかった。部隊の兵が追いつくまでもう少し掛かる。最大の武器である青龍刀はいまだ敵の背に刺さったまま。
鬼が大きく右腕を振りかぶった。
呼吸を整え、
「ガァアァァァァァァッ!!!」
咆哮を真っ向から受けながら関羽が跳躍する。大地へ叩きつけられた右腕は相手を捕らえることなく、宙を舞う彼女の体は一回転して鬼の背に着地。
掴んだ愛刀に渾身の怒りを籠めて薙げば、醜悪な造詣の頭部はたちまち刎ね飛んだ。崩れ落ちる巨体から飛び退き、深く息を吐き出す。
関羽が実際に鬼と相対するのはこれが三度目である。今のところ一対一の状況とささやかな幸運で勝ちを拾っているが、一歩間違えば自分が挽肉になっていたと考えると薄ら寒いものが背筋を走る。
この異形との戦闘は歴史上、恐らくこれまで誰も経験し得なかったことだ。先人の知恵など無いに等しく、自分達でそれを見つけていかなければならない。
(いかん……)
思考を打ち切り、子供たちの姿を探そうと視線を巡らせる。
「う、うわああああああああああああああっ!」
残念ながら、関羽の行動よりも三人の悲鳴が耳を打つほうが早かった。
どうやら鬼はもう一匹いたらしい。考えに耽っていた己の浅はかさを悔いる前に、再び走り出す。
だが、今度こそ間に合いそうに無い。
すでに鬼の両腕は子供の一人を捕まえて、今にも引き千切ろうとしているのだ。走っても敵を間合いに捉えるのは死体が一つ出来上がってからになることは明白だ。
子供達が悲鳴を上げる。
関羽が吼える。
しかし現実は変わらない。
鬼は一瞬だけ下卑た笑みを浮かべると、見せ付けるように腕に力を籠め―――――
「うおりゃああっ!」
「ガァッ!?」
若い男の叫びが、鬼の行動を一瞬だけ遅らせる。新しい獲物の方へ向き直る刹那、鬼の片腕を見たこともない服を着た青年の跳び蹴りが襲った。完璧な不意打ちに捕まっていた子供が放り出され、それを青年がギリギリのところで受け止める。
青年の出で立ちはこの時代ではあまりに奇抜だった。現代で言うならば、オレンジと赤のチェック柄に彩られたフード付きパーカー。中には白地にイラストをプリントされたTシャツ。下はやや緩めになっているベージュのボトムパンツ。
子供たちを抱えて関羽の側まで下がってきた青年は、恐れなど微塵も見せずに鬼を睨んでいた。
「何なんだ、こいつ……!」
「それよりも子供たちを頼むぞ」
「へ?」
初対面の少女に子供たちを任され、呆気に取られる青年。
だが関羽はそんなことなど気にも留めずに再び跳躍し、宙空からの打ち降ろしの一撃で鬼を頭部諸共に一刀両断した。
軍が駐留する砦が近かったことが幸いした。
関羽は保護した子供たちを連れて壊滅した村を後にし、この砦へ身を寄せた。鬼に家族を皆殺しにされたことで、最初は殆ど恐慌状態に近かった子供たちだが、ついでに連れてきた謎の青年にあやされて今は穏やかな寝息を立てている。
宛がわれた客室の寝台に子供を寝かせると、青年はようやく落ち着いた様子で息をついた。時は既に夕暮れから夜へ変わりつつある。
「何とか落ち着いてくれたみたいだ」
本当に、心底安心した、と言う顔に関羽は視線を注いでいる。
「俺が、どうかした?」
「まだ名を聞いていなかったな。私は関羽、この国の武将だ」
砦に戻るまでの間、彼は子供たちに付きっ切りで碌々言葉を交わしていなかった。もちろん互いに名乗ってもいない。周辺に鬼が複数も潜伏していたという事実が、関羽の精神的余裕を削いでいた。
ようやくである。此処に来てようやく彼女は落ち着きを取り戻した。
そういえば、と彼も気付いた様子で改めて関羽に向き直った。
「俺は小野寺ユウスケ。よろしく」
「それは……姓がオノデラ、名がユウスケでいいのか?」
「へ、ああ、そうだね。別にユウスケでいいよ」
ユウスケの名前を聞いて関羽は思い出した。彼とよく似た並びの名前―――――即ち、天の御遣いの名を。彼の服装も含めて推測が正しければ、この青年は天界から来た人間のはずだ。
もしかしたら、鬼の出現に対して天が救い手として地上に寄越したのかもしれない。
そんな淡い期待を抱きつつ、関羽は続けて尋ねた。
「率直に聞く。お前は天界から来たのか?」
「天界? いや……別の世界から来たのは確かだけど」
少なくとも違う世界の人間、ということは間違いないらしい。
しかし言葉を続けようとする小野寺ユウスケを遮ったのは、自身の腹の虫の声だった。
『その者、闇を超え、雷を纏う愛の戦士――――――』
真(チェンジ!)
恋姫†無双
―孟徳秘龍伝・外典―
愛、空我
互いの情報交換は、食事の合間におおよそ終わっていた。
「なるほど、だいたい分かった」
親友の台詞を拝借しながら、ユウスケは関羽たちを取り巻く状況を理解したようだ。
「やはり別の世界の人間など、信じられんが……」
改めて彼の話を聞いて関羽は眉をしかめるばかりである。普通なら与太話で片付けられてしまうほど突拍子も無い内容だったからだ。
曰く――――小野寺ユウスケは仲間と共に様々な世界を旅している。今回はちょっとしたアクシデントで仲間とはぐれてしまい、彷徨っている途中で窮地の関羽たちと出会ったという。
恐らく天一刀に出会っていなければ、一笑して城から叩き出していただろう。
「お前が今、私の目の前に居ることは事実だ。前例もある」
「よかった! 信じてもらえた……って、前例!?」
「あ、ああ。お前の他にもう一人、天界から来た男がいる。機会があれば会えるだろう」
「申し訳ない、その人の名前って……」
もしかしたら仲間かもしれない。ユウスケの考えは関羽にも理解できた。
「うむ。確か、ホンゴウカズトだったか。知っているのか?」
「いいや。俺とはまた違う世界から来た人だと思う」
首を横に振ってユウスケは否定した。確かなことは現状、彼が仲間と合流する方法は特に見当たらないということだけ。見ず知らずの土地に一人、頼る当てもない。普通の人間なら途方に暮れてしまうところなのだが……
「よし!」
小野寺ユウスケは勢いよく立ち上がると、真っ直ぐに関羽を見つめて言った。
「俺も鬼退治を手伝う!」
「は? いや、だがそれではお前が」
「何言ってるんだ。今は俺よりも、この子達の方が大事だよ」
寝台で眠る三人の子供の寝顔を見て、やっぱりとユウスケが頷く。
「それに、あんな奴らの為に誰かの涙は見たくないじゃないか」
ユウスケの顔は真剣だ。嘘や冗談の類は微塵も混じっていない、真っ直ぐな視線で関羽に訴えかける。「そうだろ?」と。
しかし、協力を受けることは関羽の中でそれなりに抵抗があった。蜀の一軍を預かる将であるが故の自尊心が、彼女をすぐに頷かせなかった。それでも精神力の強さ、優れた状況判断と行動力を兼ね備えた小野寺ユウスケは、鬼との戦闘において喉から出るほど欲しい人材であることも事実だ。
大抵の兵士は鬼の姿を見ただけで一歩下がる。
だがユウスケは、逆に一歩前に出る。
この違いは非常に大きかった。
「だが―――――――」
何より関羽が恐れているのは、ユウスケの優しさを利用する結果に繋がるのではないか、ということだ。戦士としての資質を見た以上、彼を鬼と戦うための道具として扱ってしまうのではないか。何より関羽の主はそれを嫌う。
蜀の国としての理念に、反するのではないか。
異邦人であるユウスケが、関羽たちに与する義理は無いのだ。
「分かった!」
渋る様子を続ける関羽に痺れを切らしたのか、ユウスケが切り出した。
「俺が手伝う代わりに、あんたのことを姐さんと呼ばせてくれ!」
◇
結局、折れたのは関羽だった。
「姐さん」と呼ぶことを条件にユウスケの協力を承諾したのである。将軍として誇り高い関羽にとって、この呼び方は威厳もへったくれもないのだ。それを許すことで彼女は自分の中での葛藤に一つの決着をつけた。勿論ユウスケ本人が、その意味を正しく理解しているかは定かではないが。
こうして翌朝から、小野寺ユウスケの戦いが始まった。
まずは一般兵に混じっての訓練である。装備一式を担いでの行軍に始まり、陣の設営、弓による射撃訓練などなど……その中で槍を用いた近接戦闘訓練では、ユウスケは無類の強さを発揮した。何せ参加した部隊で随一と言われるほどの兵士を、三合打ち合っただけで倒してしまったのだ。その技は華麗としか言いようがなく、相手の攻撃を受け流す様はまさに流水の如し。
一つ確かなことは、ユウスケが相当な修羅場を潜ってきたということか。でなければ説明がつかないほど、彼の動きは洗練されていたのである。
「ユウスケ、やはりお前は『戦士』だったか」
その日の夜、関羽の自室で遅めの夕食をとるユウスケに関羽は問うた。
なぜ関羽の部屋なのかというと、彼の参加が急な話であったため兵舎に空きが無く、また参加を頼んだのが関羽自身ということもあって彼女が引き取る形になったのだ。ちなみに子供たちも関羽の部屋で寝泊りすることになっている。
「ふぇ? 何がだよ、姐さん」
「…………むぅ」
「姐さん、顔赤いぜ」
「いや、慣れないだけだ。それよりも、お前の腕の話だ」
まだ『姐さん』と呼ばれることに羞恥を感じているのか、関羽は耳まで真っ赤だ。
追及を受けたくない意味も含めて、関羽は仕切りなおした。
「ユウスケの実力は素人のそれではないな。旅をしているなら、危険から身を守るだけの力はあるだろうが……お前の力はその域を超えている」
今日、ユウスケが倒した兵士は武道の修練を積んでいた。もちろん関羽には及ばないが、並みの男では束になっても到底敵わないほどの腕前だった。
そして模擬戦とはいえ、素人相手に後れを取るような指導を関羽がするはずも無い。故に結論として、相手が純粋に強かったとしか考えられない。
「俺も、戦ってたからね。俺の元々居た世界も、鬼みたいな奴が沢山暴れててさ……俺は戦えない人たちの為に戦ってた」
「ユウスケ……」
「あ、俺の世界はもちろん無事だよ? まあ……だから放っておけないんだ、姐さんを」
ずずっ、とラーメンを啜るユウスケを、椅子の下から心配そうに見上げる顔が三つ。昨日保護した子供たちが――――名前はそれぞれ少年が?(ソウ)、?(チョウ)、少女が瑩(ヨウ)というらしい―――――じぃ、と見つめてくる。
「ユウスケ、泣いてる」
「泣いてるー!」
「……泣いてるの?」
子供たちは周囲の感情の揺らぎに敏感である。器から口を離したユウスケは「泣いてなんかないぞー!」と笑顔で返してきた。きっと涙はラーメンの汁と一緒に飲み込んでしまったのだろう。
だが関羽は今の一瞬のやり取りで、ユウスケの心の傷に触れてしまった気がしていた。あんな化け物どもと闘って、何も失わずに済むわけがない。恐らく戦いの中でユウスケは、とても大切な何かを失くしてしまったのではないだろうか。
食事を終え、城の将たちと相談事があるというので関羽は退出した。子供たちも布団に潜り込んでぐっすり眠っている。そうして一人になって、小野寺ユウスケはようやく溜め込んでいた息を吐き出した。
(まさかこんな世界に来ちゃうなんてなぁ)
古臭い剣や槍で人が鬼と戦う世界。関羽などの名前の響きからして中国とよく似た文明圏のようだが、とりあえず日本語で通じているのは幸いだった。もちろん文字はさっぱり読めないが。
あるアクシデントで仲間たちと離れ離れになってしまったユウスケがこの世界に辿り着いたのは、関羽たちと出会うほんの数分前だった。そして訳も分からないまま鬼に襲われる子供たちを助けて、此処に居る。
いや、自分のことはどうでもいい。
今気になって仕方がないのは、関羽を最初見たときの直観だった。
(姐さんに、似てた)
元々自分が生まれ育った世界で一緒に戦っていた女性がいて、『姐さん』の呼び名はその時に使っていたものである。最初はその人に認めてもらいたくて、ただそれだけで戦っていたのだ。しかし戦いの最中で彼女は負傷し、自分の願いをユウスケに託して逝ってしまった。以来、その願いがユウスケの戦う理由――――――否、存在意義となった。
(姐さん……)
顔立ちなどは全くの別人だ。
しかし人々を守る為に戦う姿勢、凛々しく一本気なところなど……見れば見るほど、話せば話すほどその人を思い出してしまう。
子供達の窮地を前に必至に立ち向かおうとする関羽に、ユウスケは今は亡き恩人の影を見ていたのだ。
◇
翌朝、関羽は城の防備を強化すべく陣頭指揮を執っていた。しかし胸中を過ぎるのは、あの屈託の無い笑顔だ。
小野寺ユウスケとは何とも不思議な男である。
天界人だからか、身分の差などまるで無いかのように振る舞うのだ。それが関羽の悩みの種になっているとは、あの気楽な様子から見て露ほども知らないだろう。
自分が主と認め、武を捧げるは劉備のみ。対等の姉妹は張飛のみである。後は全て、戦友や同僚としての認識であり、どちらかと言えば『部下』と表現すべきだろう。蜀を興す前から劉備に付き従う、一の家臣を自負する彼女にとって他の多くは役職として自分の下に就くのだから。
にもかかわらず、あの男はいきなりやってきて自分と同じ高さで話をする。関羽がもっとも困惑しているのは、それを不快と感じない自分が居ることだった。
ソウとチョウとヨウの三人と、砦の中の小さな空き地で遊び相手をしているユウスケをちらりと見つつ、関羽は何度目とも知れない溜息をついた。
「関羽様、やはり子供たちを避難させるべきでは」
「ああ、分かっているが―――――」
部隊長の兵の進言に答えつつ、しかし頷かない。今後、国境付近は鬼との戦闘が激化する方向に推移するだろう。そして、それが何時になるかは誰にも分からないのだ。残念ながらこの砦に子供を三人、鬼から守りながら後方へ送り届けるような人員的余裕は無い。現状、一般兵が鬼を一匹仕留めるためには十人から二十人で相対する必要があった。
だからといって、このまま戦いに巻き込むわけには――――――
「で、伝令! 伝令―――――――――――ッ!」
門に駆け込んできた早馬の蹄と兵の声が、思考に没頭する関羽を現実に引き戻す。声色から察するに、只ならぬ様子だが……間もなく関羽の前に現れた兵がもたらした報告に、その場の誰もが背筋を凍りつかせた。
「砦より東方へ六里の村が、鬼の急襲を受けて壊滅……防衛隊も自分を残して、全、滅で――――」
そこで兵は息絶えた。背には鬼にやられたのだろう、爪で大きく抉られたような傷があった。手当などする暇も無かったらしく、傷からは今も鮮血が流れ出ている。
関羽は顔を上げ、兵士の歩いてきた道を目線で追っていく。即ち、兵が落としてきた血の跡である。血は砦の門を経て、外の街道へ続き、
「門を閉じよ! 戦えるものは武装して直ちに門の前へ集結!」
鬼を此処へ導く道標となっていた。
案の定、閉じられていく門の向こうに黒い巨体がいくつも見える。
「敵襲! 敵襲だぁっ! 鬼が来るぞ!」
「俺の槍を出せ! 弓なんか効くものか!」
「敵は幾つだ!? 一匹じゃねえんだろ、畜生め!」
たちまち其処は戦場と化した。怒号が飛び交い、鬼との対決に備えるべく兵士達が走り回る。
その中で、三人の子供は行き場を失っていた。この子たちには分かっているのだ。部屋に隠れようと外に逃げようと、助からない。手足が震え、何とか記憶の底にしまい込んだモノが溢れ出てくる。
ヨウがその場にへたり込んだ。ソウとチョウも立ち尽くすばかりで言葉の一つも出なかった。迫り来る恐怖に抗うことすら忘れてしまっていた。
「大丈夫」
そんな三人の髪を、ユウスケがぐしゃぐしゃとかき回した。
突然のことに見上げてくる子供たちに、ゆっくりと言い聞かせる。
「俺が、何とかするよ」
けれどヨウは首を横に振る。だって相手は、相手はあの鬼なのだ。父も母も兵隊もあっという間に食べてしまったのだ。勝てるわけが無い。
「大丈夫!」
ユウスケは揺るがない。
たった二日で見慣れてしまった、お気楽な笑顔で答える。
「皆が笑顔なら、俺は絶対に負けない」
気休めにもならない言葉に、三人はつい頷いてしまった。ユウスケの満面の笑みが、鬼の恐怖に打ち勝ったのだ。
走り出す男を、子供たちは涙を堪えた瞳で見送る。
「姐さん、状況は!?」
「ユウスケか! 遅いぞ!」
門の前ではすでに五十名もの兵達が関羽と共に迎撃態勢を整えていた。
聞けば鬼は先頭に三匹、そこからやや遅れて一匹が砦を目指してまっすぐに来ているという。複数の怪物を同時に相手にして果たして生き残れるか……計算の上では、戦力はこちらが勝っているが。
息を呑む兵たちを前に、関羽は作戦を説明する。
「まず私が斬り込む。各隊は討ち漏らしを各個に撃破せよ。一匹たりとも抜かせるな!」
『御意!』
「鬨の声を上げろっ! 開門だ!」
『うおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!』
大地を震わすほどの気迫で叫び、開き始めた門から関羽を戦闘に突撃していく。
宣言どおり、関羽が先頭の一匹に斬りかかってこれを撃破。残り二匹の鬼はこれを受けて左右に分かれ、関羽を迂回する形で砦へ迫る。これにそれぞれ二十五人の槍兵が待ち構え、迎え討った。
結果は惨敗。鬼の突進力を微塵も殺せず、二匹の突破を許してしまったのだ。
「い、いかん! 各員、態勢を――――ぐあっ!?」
指示を出そうと振り返る関羽の背を、遅れて突っ込んできた鬼の爪が襲う。咄嗟に身を捻ったことで致命傷は避けたが、これで彼女は後ろの援護へ向かうことは事実上不可能になった。
「くっ……!」
焦る関羽は、それでも愛刀を操って眼前の鬼と対峙する。しかし、このままでは砦は鬼達に蹂躙されてしまう。そうなれば中に残っている子供たちも……
兵たちも、もはやこれまで、と敗北を感じ取った時だった。
「おりゃあっ!」
猛然と突き進む鬼たちの顔面を、胴をユウスケの拳が打った。門の前に、まさしく『最後の砦』として立ちはだかる青年は、よろめく鬼へ猛打を叩き込んでいく。
二匹がやむを得ず一歩、二歩と後退し、間合いが開いた。
この機を逃すまい、とユウスケは駆け出し、しかしあろう事か両手は下腹部へ添えられる。
「おおおっ!」
刹那の閃光が迸り、すると彼の腰には誰も見たことも無いような、神秘的な腰巻が出現していた。見たところ金属製で、中央には紅く輝く大きな宝石がある。何より驚くべきは、それが彼の体内から光と共に現れたことか。
右手を薙ぐように右斜め上へ。
左手は腰巻の左で拳を作る。
「変――――――――――身!」
叫びと共に右手を左手へ当て、瞬き一つの間に小野寺ユウスケは紅蓮の体躯をした、異形の戦士へと生まれ変わっていた。額に燦然と輝く黄金の角、手足に巻かれた防具も眩い金。人の服で言う襟元の辺りには不思議な文字が刻まれている。
これぞ、クウガ。
これぞ、空我。
古より異形を封印すべく生まれた、戦士だ。
「うおおおおりゃああああっ!」
状況は一刻を争う、とユウスケは判断した。関羽は負傷しながらも鬼の一匹と交戦し、兵たちは半数が行動不能。残りの鬼は合わせて三体。
ここは、速攻で撃破すべし!
「なっ!?」
兵士たちが驚愕の声を上げる。ユウスケは宙空へと跳躍し、爪先に焔を纏った跳び蹴りを放ったのだ。この一撃はまだよろめいていた鬼の一匹に直撃し、その醜悪な巨体をたちどころに爆散させた。
一撃。
たった一撃で、鬼を葬り去った。しかもただ殺すのではなく、炎と共に粉微塵に吹き飛ばしたのだ。
だが目の前には鬼がまだ一匹残っている。早く倒して関羽を助けに行かなければならない。
「そいつを貸してくれ!」
近くに居た兵士の一人から槍を貰い受け、ユウスケはそれを戦闘訓練の時の様に軽々と振い、叫んだ。
「超変身!」
紅蓮の体だったユウスケは再び閃光と共に、今度は晴天の如き蒼穹を纏った体へと転じた。併せて持っていた槍も、群青の棍へ変貌している。
これがクウガの力の一つ。流水の心を持って邪悪を払う力だ。
「でやあぁっ!」
その体捌きは変身する前よりも遥かに鋭さを増していた。その力、速度、技の精度、どれをとっても蜀随一の武将・張飛にも匹敵せんばかりだ。
打ち、払い、さらに一際強く突き出された昆の一撃を受けて二匹目の鬼も爆散する。これには残った最後の一匹も恐慌をきたすばかりだ。空を薙ぎ、腰を落として棍を構え直すユウスケの姿に背を向け、一目散に走り去る。
鬼の脚力は人など到底及ばないほど強靭だ。損耗した関羽隊では追撃は不可能だった。
「――――――――よし」
それでも現状においては充分すぎる戦果である。防衛線を瓦解寸前まで追い込まれながらも、敵の撃退に成功したのだから。五十人の兵たちも負傷者は多数でたようだが、幸いにも死者は居ない。
「姐さん、大丈夫……?」
一人、その場に立ち尽くす関羽にユウスケが歩み寄り、
「寄るなっ!」
差し出した右手は彼女の左手によって打ち払われた。
「え――――――」
何が起こったのか理解できない。
感情が停止し、ユウスケの表情が固まった。
「お前も、お前も鬼だったのか! 小野寺ユウスケ!」
関羽の叫びは剥き出しの感情だ。鬼への憎しみ、裏切られた怒りが渦巻いてそのままユウスケへ叩きつけられる。
「その姿、その力……化け物で無ければ何だ!」
「ち、違う! 俺は!」
「寄るなと言っている!」
突き付けられる青龍堰月刀は、即ち決別の意志の表れだ。
無理もない。クウガの力は異形を倒すべく生まれた、異形の力。関羽たちと敵対する鬼とは似ても似つかないが、変身した今のユウスケの姿は人ならざるものだ。
人は、あくまで人として現実に立ち向かう。
「姐さん……」
「即刻失せろ。今回は見逃す。次はない」
砦の中へ消える関羽の背中を、ユウスケは黙って見つめるしかない。
やがて日が沈み、ようやく踏ん切りがついたのか、青年はふらつく足取りで砦の前から立ち去った。
◇
頻発する鬼の出現に増援を引き連れて、劉備自ら関羽が陣を敷く砦に到着したのは翌日の昼だった。劉備曰く、最も近くに居たのが自分だった、という事だが王自身が出陣するとは只事ではない。
実際、只事ではなかった。
「と、桃香様!?」
びしゃり、と関羽の頬を打ったのは主である劉備の平手だ。昨日の事の顛末を聞いた彼女は、無言で関羽を打ち据えた。
「……愛紗ちゃんはしばらく自室で謹慎して。理由は分かってるよね?」
「で、ですが!」
関羽には信じられなかった。あれほど温厚で、余程の事では激昂することはない劉備の逆鱗に触れてしまったことを。いや、劉備の笑顔は普段と同じだ。
しかし、その背から立ち昇る怒気はどんな敵よりも恐ろしかった。
「謹慎、しててね」
もはや反論も許されない。それだけ関雲長のしでかした失態は劉備の心を深い悲しみの淵へ追いやったのだ。
勇敢な青年、小野寺ユウスケの追放。
確かに彼は異形の姿へ変身し、驚異的な力で鬼を蹴散らした。人ならざるものかもしれない。人を捨ててしまった存在なのかもしれない。
(でも、心は違うんだよ……愛紗ちゃん)
関羽の居なくなった部屋で、俯く劉備の後ろで三人の子供が心配そうに彼女を見ていた。ソウ、チョウ、ヨウだ。
「ユウスケ、まだ?」
「帰ってこないの?」
「……ユウスケ」
もしも小野寺ユウスケが真に忌むべき鬼なら、果たしてこの子達が彼に懐くはずがない。
ここに、答えはすでに出ていたのだ。
自室の椅子に座る関羽は、茫然自失も同然だった。
いや、本当は分かっていたのだ。
小野寺ユウスケが自分達を裏切るような男ではない、という事は感じていた。あの笑顔で「姐さん」と話しかけてくる彼は、本当に自分を慕ってくれていた。ユウスケにとって将軍も何も関係ない、『姐さんと自分』という一つの形だけ。会って間もない関羽を、本当の姉のように。
「ユウスケ……」
遠く離れて初めてその価値に気付く。
誇りという名の線引きを越えて、ぶつかってきたあの笑顔をもう一度――――
「会いたい……」
謝らなければ。
そして認めなければ。
ユウスケの優しさを忘れ、異形の姿に鬼の恐怖を重ねてしまっていたことを。
立ち上がる。決意は固まった。
今すぐにでも此処を飛び出して、ユウスケを探しにいかなければ。しかし、先ほど劉備から謹慎を命じられた以上、勝手に出て行くわけにはいかない。
そんな歯軋りする関羽を、鼻で笑う人影が一つ。
「ふん。本当に馬鹿かよ」
「―――――何者だ!?」
窓から現れたのは一人の男だ。鍛え上げられた体に、顔の堀は深く、まるで剣の様に鋭い瞳は恐ろしいまでの緊迫感がある。服装から判断するに、この男も天界――――――他の世界からやってきたのだろう。
「俺の名は剣崎一真(ケンザキ・カズマ)。小野寺ユウスケの知り合い、といったところか」
「ユウスケの……?」
半ば信じられなかったが、初対面にも拘らずユウスケの名前を知っていることから事実なのだろう。
「奴を探している。どこにいる?」
「……今は分からない」
兵たちの報告を聞く限り、ユウスケは日没と共に砦の前から姿を消したという。その後の行方は誰も知り得なかった。
息を一つ吐いて、剣崎一真は再び窓の縁に足をかけた。
「何処に行く」
「奴を探すんだ。事情は大体把握している……もし奴が、あんたに裏切られたことに絶望して暴走し始めたなら、俺は奴を止めなければならない」
裏切られた、という言葉が関羽の胸を抉る。
それでも彼女は怯まない。もし怯んだら、二度と動けなくなる。
「待て」
だから、踏み出さなければ。
「私も連れて行け」
◇
砦から北に半日ほど歩いた場所に広がる竹林の中で、小野寺ユウスケは一人苦悩していた。彼自身も心のどこかでこうなるのではないか、と予感はしていたのだ。
ユウスケの手を払いのけ、睨む関羽の瞳には明らかに怒りと恐怖の色があった。そもそも、ユウスケを筆頭とした『仮面ライダー』は人では抗えぬ脅威と戦うために存在する。故にその力は人外の領域にあり、常人からすれば敵と同じく恐ろしい物にしか成り得ない。
ユウスケもかつては『化け物』と呼ばれたこともあった。確かにこの姿、力を見れば否定のしようもない。
「俺は、俺はっ」
それでも、彼女だけには信じて欲しかった。自分の心を、世界中の人の笑顔の為に戦う決意を。
「姐さん……っ!」
地に伏せ、むせび泣く。
かつての恩人の影を重ねていたこともあってか、受けた衝撃は並々ならぬ。
「だいぶ参っているみたいだね」
「海東――――――なんで此処に」
ユウスケの前に一人の青年―――――――海東大樹が現れた。紆余曲折を経て今ではユウスケとも仲間と呼べる関係にある。もちろん、彼も仮面ライダーだ。といっても普段は別行動で、たまに顔を合わせたりする程度。
「此処に君が飛ばされたって聞いてね。もちろん、この世界のお宝は僕がもらうよ」
海東大樹は様々な世界を廻り、眠っている『お宝』を探し回る盗掘者でもある。そんな彼のいつもの軽口に、しかしユウスケは特に反応をしなかった。
「……おや、張り合いがないな。確かにあんなこと言われたら僕でも怒るけど」
「見てたのか」
「まあね、情報収集はお宝探しの基本だよ」
どうやら昨日のユウスケたちのやり取りも見ていたらしい。
「とりあえず、ここは『恋姫の世界』だ」
「……は? 何をいきなり」
「まあ聞きたまえ。この世界は僕たちで言うところの古代中国……三国志の時代にあたる。相違点は主だった歴史上の人物が、軒並み可愛い女性に置き換えられていること。そして鬼の存在さ」
そうか、この世界はそんな古い時代だったのか。それにしてはラーメンだの麻婆豆腐だの、いやそもそもこの時代に唐辛子が中華大陸に存在していたとは思えない。
浮かんだ疑問点は一旦無視して、ユウスケは続けて海東の話に耳を傾ける。
「鬼が出没するようになったのは比較的最近……でも、三ヶ月以上前ってことらしいから僕たちと直接的な関係は無さそうだ」
「だとしても、姐さんの強さはそれこそ普通じゃない」
「そこはほら、ヒロイン補正って奴だよ」
また訳の分からないことを……と、ユウスケはとりあえずスルーした。第一この世界の概要が分かったところで、自分が関羽のところへ戻れるとは思えない。
「戻るのかい?」
ようやく決心がついて、立ち上がったユウスケに海東大樹が問いかける。
「いや、戻れないだろ」
「だが君が戻らないと―――――」
不敵な笑みを浮かべて、青年が竹林の一点を指鉄砲で差し示した。何のことか分からぬままにユウスケはその方角へ目を凝らし、
「なっ!」
そして戦慄した。
蜀の国境を越えて何百匹という鬼が平野を駆け抜けていく光景が、もうもうとたち込める砂煙の向こうに見える。行き先は進行方向から見て、恐らく関羽の居る砦だろう。
「どうする? 君の言う『姐さん』とやらは、このままだと間違いなく死んでしまうね。敵は圧倒的だ」
「…………」
「それとも、自分を拒絶した相手はもう守れないかい?」
問い続ける海東大樹の顔は真剣だった。先ほどまでの軽い口調もない。只、小野寺ユウスケの答えを待っている。
「決まってる」
ユウスケは、海東に背を向けたまま答えた。
「俺は、世界中の人の笑顔を守る。姐さんだってその一人だ」
そして走り出す。
腰に手を沿え、叫ぶ。
「変身!」
相手は何せ数が多い。生半可な戦い方では到底、関羽たちを守りきれないだろう。こちらも全力で掛からなければ勝利はない。
自身に眠る、暗い闘争本能を解き放つ。
それは正に、人の心が抱える闇だ。その闇を全身に纏って、ユウスケは凄絶と呼ぶに相応しい戦士となる。
「うおおおおおおおおおっ!」
クウガへと変身したユウスケの体は漆黒に染まり、赤かった両の複眼までも黒くなっている。
今のユウスケを支配しているのは、まさしく凄絶な怒りであった。侵略者への怒り、暴虐への怒り、無力である事実への怒り、自分を拒絶する不条理への怒り……すべての怒りが彼の闘う原動力と化した。
鬼の群れへ突撃する。繰り出した右の拳は爆炎を呼び起こし、たった一撃で百体の鬼を焼き払った。超自然発火能力――――――ファイア・スターターとも呼ばれる能力だ。
しかし、威力は桁違いである。もはや発火ではなく爆発そのものだ。
この乱入者に鬼達も混乱を隠せない。それでもクウガへ狙いを定めて、十匹を越える集団で一斉に飛び掛る。
「ウオリャアアアッ!!!」
今のクウガにその程度の攻撃は通用しなかった。たちまち炎の拳で周りを取り囲む数十匹諸共、薙ぎ払われてしまう。
この大攻勢が沈静化するまで、わずか十分と少しだった。
城を出た関羽と剣崎一真は、鬼襲来の噂を聞きつけて砦から北へ向かって走っていた。もちろん、関羽が持ち出してきた馬に跨ってだ。
「……まあ、これもライダーか」
「らい――――何だ?」
「気にするな。それより、こっちで合ってるのか?」
「大丈夫だ」
馬を操る関羽の後ろに一真、そして彼が抱きかかえる形で子供たちが乗っていた。三人の子供たちは、城を抜け出そうとする関羽に気付いて追って来たのだ。帰れと言ったら泣き出してしまったので、仕方なく同行させることにした。
明らかに馬が辛そうだったが、今回は耐えてもらわなければならない。
「あれか!」
一真が前方を見据えて叫んだ。其処はちょうど左右を小高い山に挟まれた平地で、まっすぐ伸びていた街道は黒煙に覆われて先を見通すことが出来ない。とりあえず、やや離れた場所で馬を降りて様子を見る。
やがて、重厚な足音と共に煙幕を破って一つの影が現れた。こちらを見つけたからか、足を止めて仁王立ちの姿勢で対峙する。
「ユウ、スケ?」
身に纏う鎧の形や色以外は、ユウスケの変身した姿と非常に酷似している。だが彼の全身から噴き出す、他を圧倒する闘気は禍々しささえ感じさせた。何より周囲に散らばる鬼の死骸が、相手の戦闘力の高さを物語っている。
「まずい……」
剣崎一真は焦燥を露わにして身構えた。
「奴は、暴走している!」
やはり関羽の拒絶は小野寺ユウスケの心を著しく傷つけてしまっていた。思慕の念は強ければ強いほど、裏切られた時に強い敵意に転じる。
関羽も覚悟はしていた。自分の言葉が、あの優しい青年をここまで追い立ててしまったのだ。飛び出そうとする一真を片手で制し、抜き放った青龍刀を―――――
「ユウスケっ!」
投げ捨てて関羽はユウスケを抱きしめた。
どうして彼に刃を向けられよう……傷つくことに怯まず、守る為に戦う戦士に。
「すまなかった、ユウスケ。私は……分からなかった。いつも笑ってくれるお前と、異形の姿となって戦うお前。そのどちらが本当の小野寺ユウスケなのか」
「――――――」
「今なら言える。どちらのお前も、ユウスケだ。いや、二つを合わせて初めてユウスケなのだ」
だから、と関羽はユウスケの……クウガの顔を見つめる。
「私をもう一度、『姐さん』と呼んでくれ」
その時、不思議なことが起こった。
クウガの体から黒い霧が噴き出して空中へ霧散していく。それと共にクウガも姿を変えていき、最後に現れたのは涙で顔をくしゃくしゃにした小野寺ユウスケだった。
怒りの、闇の呪縛から解き放たれたのだ。
「姐さんっ!」
「ユウスケ!? 待て、力が強すぎる、抱きしめ過ぎだ!」
正気に戻った途端、力一杯抱きしめるユウスケ。これには関羽もあたふたするばかりだ。なおも抱きつこうとするユウスケを何とか引き離し、関羽は改めて向き直った。
「今なら私のもう一つの名前を預けられるな」
「え? もう一つ?」
「ああ。愛紗という……真に心を許した相手にだけに教える名前だ」
真名。
この世界における姓、名、字と並ぶ重要な名前である。この真名を許す相手は極々一部であり、それ以外の人間が真名を口にする事は最大の禁忌とされている。特に男性が女性から真名を預かるという事は、まさに愛の告白に等しい。
「……つまり、愛紗の姐さん!」
「合わせるな!」
叫んだ瞬間、ユウスケは関羽の鬼を一刀両断するほどの腕力で殴り倒された。
「普段は『姐さん』でいい。その名前は、その……二人きりの時だけにしろ」
関羽に其処まで言わせるとは相当ひどい男である。何とか立ち上がるユウスケは、もう頷くことしかできない。
「とりあえず、イチャつくのはそれぐらいにしておけ」
「お前は――――!」
いい加減痺れを切らした剣崎一真に、ユウスケが身構える。
二人はどうも、あまり友好的な関係ではないらしい。
「心配するな。お前たちと敵対するつもりはない。クウガの暴走は気掛かりだったんだが、もう大丈夫だろう。お似合いだぜ二人とも」
「なっ!?」
一真の意外な言葉にユウスケが顔を赤くする。
「お、俺がお似合いだなんて、姐さんに失礼だろ!」
「いや―――――私は構わない」
そっぽを向きながらも関羽がユウスケの手を握る。これは確かに似合いの二人と言うべきだろう。そこへ後ろで待っていた子供たちもユウスケへ抱きついてくる。
「ユウスケ、帰ってきた!」
「帰ってきたー!」
「……おかえり、なさい」
この三人はずっとユウスケのことを信じていたのだ。笑顔で待っていれば、必ず帰ってくると……ユウスケの言葉を信じ続けた。
「ただいま〜! ソウもチョウもヨウも元気だな〜!」
しかし、鬼の攻勢はまだ終わっていなかった。じゃれ合うユウスケたちを地響きが襲い、地中からまるでモグラのように何十体という鬼が這い出てくる。
単独ならいざ知らず、子供たちを守りながら戦うにはユウスケと関羽だけでは厳しい数だ。
「この世界をこいつらの好きにはさせない。手伝うぜ」
「ああ!」
二人の隣に進み出るのは剣崎一真だ。それでも三人……
「この世界のお宝は『思い人の真名』か。悪くないね」
「海東!?」
「このまま見過ごすのは面白くない。子供たちは僕が引き受けよう」
何処に隠れていたのか。颯爽と駆けつけてきた海東大樹が、子供たちを守るように鬼と対峙する。
これで四人。寡兵であることに変わりはないが、これほど心強い布陣はあるまい。異界から現れた男三人に囲まれ、ふと気になった関羽はユウスケに尋ねた。
「まさか、二人とも」
「もちろん! 変身するよ」
サムズアップで答えるユウスケに、関羽は以前趙雲からあった『華蝶連者』なる物の誘いを受けようか真剣に悩んでしまった。子龍曰く、仮面をつけて正体を隠し、悪と戦う集まりらしい。
雑談は此処まで。鬼達は今にも四人の守りを突破し、蜀の民を蹂躙しようとしている。
「変身!」
まずユウスケがクウガへ変身する。最初に見せた紅蓮の戦士を経て、さらに雷を体に集めて全身に行き渡らせた。赤い複眼は愛の炎に燃え、雷鳴を象ったような黄金の鎧がユウスケの体を覆う。
「おぉぉっ!――――ヘシンッ!」
【Turn Up!】
続いて剣崎一真が叫び、まだこの時代には存在しないトランプを象った意匠のバックルへカードを挿入する。バックルから投射された等身大のカードの幻影を数馬が潜り抜けると、出現するのは金と銀に彩られた重厚な甲冑。
十三種の不死生命体の力を具現する、剣の王。
人呼んで、仮面ライダーブレイド・キングフォーム。
「じゃあ、僕かな。変身!」
【Kamen Ride. . . DiEnd!】
蒼い拳銃にカードを通し、宙空へ向かって弾丸を撃ち出す。途端に幾つもの影と光が海東大樹に重なり、彼を銃撃の戦士へと生まれ変わらせる。
あまねく世界を渡り歩き、強者の歴史を辿る者。
即ち、仮面ライダーディエンド。
「愛紗ちゃん!」
「桃香様!?」
後方から追いかけてきたのは、砦で慌てふためきながら迎撃の準備に追われていると思っていた劉備だ。護衛に魏延も居る。まだ軍は編成中らしく、二人以外に特に駆けつけてきた様子はない。
「ど、どうしてこちらへ!?」
「其処の人から、『関羽が大変だ』って教えてもらったの」
「そ、そうでしたか……」
「いいの、いいの! それよりも、ちゃんと答えを出せたみたいだね」
ぷいとそっぽを向く海東大樹。彼が状況を見かねて情報を漏らしたのだ。それにしても、劉備には二人が再び寄り添うことを見抜いていたらしい。腰の剣を抜き、彼女も鬼達と向かい合う。
「私もたまには戦わないとね!」
「焔耶、桃香様の背中を頼む」
「応よ!」
戦いが始まる。
たった六人の、快進撃だ。
「はっ! おおっ! だぁっ!」
雷光を纏うユウスケの拳撃が次々に鬼を薙ぎ倒していく。
「ヴェェェイッ!」
一真の操る長剣―――キングザウラーの切れ味も凄まじい。振り回せばたちどころに鬼の首がいくつも刎ね飛んだ。
「えいやっ! ってあれ、効いてない!?」
「此処はお任せを! どっせぇぇいっ!」
劉備の膂力では鬼の外皮を破るの難しいらしく、彼女はもっぱら牽制に回っていた。とどめは打撃力に優れる魏延の金棒に譲れば、原形を残さぬ肉塊と化すばかりだ。
「さて、本番は此処からだ」
【Koihime Ride. . . DAIKYO! Koihime Ride. . . SYOUKYO!】
ディエンドの拳銃……ディエンドライバーから二つの光が放たれ、出現するのは武装した――――スクール水着の女の子だった。年端も行かぬ少女二人は鉄扇と身軽さを武器に鬼達を翻弄する。
僅かに六人の防衛線は、どれだけ鬼が押し寄せても堅牢だった。撃破数がそろそろ百の大台に乗ったか、と思い始めた頃である。
生き残った鬼が一箇所に集結し始めた。
「あれはまさか!?」
「姐さん、知ってるのか?」
「ああ。聞いた話では、鬼は合体するらしい」
関羽が言い終わるよりも早く、巨大化した鬼が姿を現した。辺りの小高い山など比べ物にならないほどで、これにはさすがに手の打ち様もない、と関羽が肩を落とす。
そんな彼女に、ユウスケは首を横に振った。
一真も怖気づいた様子はない。
大樹も余裕の姿勢である。
劉備も何とかなる、と楽観的。その後ろで魏延が悶絶していたが、気にしないで置く。
「隙は僕が作ろう。あとは君たちで決めたまえ」
【Final Form Ride. . . B, B, B, Blade!】
大樹が新しいカードをドライバーに挿入し、「痛みは一瞬だ」と告げて発射する。すると一真―――――仮面ライダーブレイドの体がまるでロボットのように変形し、人二人分の身長はある巨大な剣となった。
これがディエンドの特殊能力。仔細は省くが、他の仮面ライダーを武器に変形させ、さらに使用することが出来るのだ。
しかし、大樹はこの巨大剣『キングブレイド・ブレード』をあろうことか、劉備へ放り投げた。
「わ、使っていいんですか?」
「もちろんさ。ただし、攻撃は僕に合わせてくれ」
さらにカードを二枚、続けて挿入する。
【Final Attack Ride. . . B, B, B, Blade!】
【Final Attack Ride. . . D, D, D, DiEnd!】
劉備が振りかぶるキングブレイド・ブレードの刀身に黄金の光が宿る。
巨大化した鬼へ向けられたディエンドライバーの銃口の先から、無数の光の我が出現した。
「はっ!」
「えいやっ!」
振り下ろされる巨大剣から放たれる光刃と、蒼の拳銃から撃ち出された圧縮エネルギー波が大鬼の胸に直撃する。悪の黒幕を一撃のもとに葬り去ることも可能にする超破壊力を受けては、鬼もたまらず膝をついた。
「よっしゃ! 今だ、姐さん!」
「当然だ! いくぞ!」
二人とも全く同じ、深く腰を落とした態勢からユウスケと関羽が助走をつけて跳躍する。クウガの封印エネルギーと関羽の練り上げられた気が二人の足に宿り、凄まじい雷の本流を生み出した。
「うおりゃああああっ!」
「たあああああああっ!」
鬼の唯一の弱点である頭部へ、二人の跳び蹴りが炸裂した。必殺必滅の奥義を受けては、如何に強靭な生命体と言えど耐えられる道理なし。ただ粉微塵に砕け散るべし。
爆発する大鬼を背に、華麗に着地したクウガの両腕にはしっかり関羽が抱き止められていた。
◇
「初めまして、小野寺ユウスケです!」
砦で一番豪奢な広間でユウスケと関羽は、改めて王である劉備に事の顛末を報告するように命じられた。
というわけで、ユウスケはまず自己紹介するところから始めたのだが、
「愛紗ちゃん……私の居ないところで、こんな格好良い人囲ってるなんて」
肝心の劉備がよよ、と泣き崩れてしまった。
無理もない。平成仮面ライダーは基本的にイケメンなのだ。
しかしこれでは話が先に進まないので、ユウスケがフォローする。
「いやいや、劉備さんだって美人なんだから」
「本当? じゃあ愛紗ちゃんから乗り換える?」
「いや、俺は姐さん一筋だから」
むしろトドメを刺す形になってしまった。ユウスケの隣では関羽が顔を真っ赤にして俯いていたが、後が怖いので追及はしない。
「――――――冗談はともかく。ぐすっ。ユウスケさん」
「なんだい?」
ユウスケを名指しする劉備の声は上ずっていた。先ほどまでの涙が、とても芝居だったとは思えない。
「愛紗ちゃんをお願いしますね」
「もちろん!」
笑顔からの爽やかなサムズアップ。この根拠のない説得力こそが、彼をクウガ足らしめる所以なのかもしれない。
「そういえば、ユウスケは旅の途中ではなかったのか?」
自室に戻る途中―――――劉備の命令で同室は維持となった――――――で、不意に関羽が尋ねてきた。確かにユウスケは仲間たちと共に世界を渡る旅を続けている。
しかし、ユウスケは首を横に振ると、
「俺の旅の終着点は、姐さんだよ。もう決めたんだ」
「っっっっっっっっ!!!」
一気に耳まで赤くなった関羽が、ユウスケの背を思い切り叩いた。照れ隠しなのだろうが、関羽の腕力は鬼を一刀両断できるほど強いのだ。ユウスケの体は六回ほど床を跳ねて食堂の入り口の前でようやく止まった。
彼がクウガでなかったら、恐らく死んでいただろう。
「あだだだだ……姐さん、ひどいって」
「す、すまん」
変な方向へ曲がった首を元に戻そうとするユウスケ。謝りつつも関羽が手伝おうと駆け寄ったところで、食堂の奥から最近聞いたような声が聞こえてきた。
「やあ、昼間からご機嫌だね」
その声の主は食堂の厨房に居るようだ。首を戻すのもそこそこに、二人が厨房を覗いてみると、やはり奴が居た。
「しばらく料理人として滞在することにしたよ。まだお宝が他に在るはずだし」
「海東! まだ居たの!?」
まだ乱痴気騒ぎは、終わりそうにない――――――――
あとがき
ゆきっぷう「スタンディンバーイ!(挨拶) どうもゆきっぷうであります。今回はチェン恋本編でも空気と化しつつある蜀の関羽をヒロインに据えて、なんと仮面ライダーディケイドとのクロスであります!」
関羽「正確にはディケイド本編に登場する仮面ライダークウガこと、小野寺ユウスケとの絡みだ」
ゆきっぷう「あれ? もしかしてご立腹!?」
関羽「ここはあれだろう! 私も仮面戦士に変身したりするべきだ! 陳宮のように!」
ゆきっぷう「あー、うーん。そうすると『生身なのに愛紗ツエー』が出来なくなるから。『変身しなくても仮面ライダーと互角に戦えそうな恋姫武将』っていうのが今回の売りだからね」
関羽「そ、そうか……」
大樹「ところで君かい? 僕のカードの中に変なものを仕込んだのは」
ゆきっぷう「え? 大喬と小喬のカードのこと?」
大樹「当然だ。理由を聞かせてもらおう」
ゆきっぷう「決まっている。あの二人は、歴史の波に取り残された悲劇のヒロインだからだ」
大樹「…………」
ゆきっぷう「…………」
大樹「友よ!」
ゆきっぷう「同志よ! それでは皆さん、またチェン恋本編でお会いしましょう!」
関羽「では、失礼致します!
・
・
・
おまけ
劉備「いいなー。なんで愛紗ちゃんばっかり……」
関羽「そう仰られましても、私には如何ともし難く」
劉備「そうだ! 原作みたいに『半分こ』すればいいんだよ!」
関羽「お断りします」
劉備「ふえ〜ん!」
以下、用語解説
小野寺ユウスケ
『愛、空我』編のもう一人の主人公にして、仮面ライダークウガ。憧れの女性から託された願い―――――『世界中の人々を笑顔にする為に戦う』ことを信条とし、自身も日頃から良く笑っている。
気さくな青年だが一直線な性格で、一度思い込むと突っ走る傾向がある。今回も関羽の名前を聞いて、有名な武将だと気付かなかったりと、おバカな側面もある。
『愛、空我』編では、出会った関羽と共に鬼と戦っていくことになる。その過程で徐々に関羽に心惹かれて(?)いき、変身してカッコよく戦って見せたら化け物呼ばわりされてしまった。
仮面ライダークウガ
小野寺ユウスケが変身する仮面ライダーで、2000年から続く『平成ライダーシリーズ』史上、最強と謳われる戦士である。状況に応じて様々な形態にチェンジ出来る他、そのフォームに応じて周囲の物体を分子変換して、自身の武器に変えて戦う。
『愛、空我』編ではスタンダードな『赤のクウガ(マイティフォーム)』、技と速さで戦う『青のクウガ(ドラゴンフォーム)』、ユウスケの怒りによって戦闘本能を開放した『凄まじき戦士(アルティメットフォーム)』に変身する。
さらに、正気を取り戻したユウスケが変身した『雷光を纏った戦士(ライジングアルティメットフォーム)』は、劇場版『仮面ライダーディケイド オールライダーV.S.大ショッカー』にて登場した形態である。
本作では鬼に間違われたり、途中からいきなり暴走したり、と散々な目に遭っていた。
剣崎一真
『仮面ライダー剣』の主人公で、仮面ライダーブレイドに変身する。仮面ライダーディケイド(TV本編)の最終局面において、敵として登場し、世界の破壊者となるディケイドと対決する(おや、どっちが敵だ?)。この出演はあくまで友情出演であり、放映当時、多くのファンを驚かせた。
あくまで世界を守ることが目的である為、ユウスケとは特に敵対しようとはしていない。しかし「ディケイドを犠牲にして世界を救う」ことに反発したユウスケはディケイド側についた。
『愛、空我』編では関羽を再びユウスケの元へ引っ張っていく、という何故か重要なポジションに。また仮面ライダーブレイド・キングフォームに変身して鬼と戦った。先述の通り、世界を守るという目的で動いているので、きっと恋姫の世界にも巡回目的で現れたのだろう。
仮面ライダーブレイド・キングフォーム/キングブレイド・ブレード
仮面ライダーブレイドの最強形態。十三体の不死生命体の能力を取り込んで完成する姿は、まさに『王』そのもの。ギルドラウズカードと呼ばれる、不死生命体を封じ込んだカードと、キングラウザーと呼ばれるカードリーダー付の大剣で戦う。
キングブレイド・ブレードは『ファイナルフォーム・ライド』のカード(詳細は後述)によってキングフォームが巨大剣に変形したもの。ディケイド本編でノーマルフォームの仮面ライダーブレイドが変形した『ブレイド・ブレード』を、ゆきっぷうが「キングフォームでも変形すればいいじゃないか」と勝手にやらかした。原作にはこんなものは存在しないので気をつけて!
『愛、空我』編では鬼を相手に果敢に戦うも、ディエンドによって変形させられ、キングブレイド・ブレードは大鬼の隙を作る為に劉備が使用した。
海東大樹
『仮面ライダーディケイド』に登場する青年で、仮面ライダーディエンドに変身する。様々な世界を渡り歩いては、行く先々で宝を盗む大泥棒。海東=怪盗とはよく言ったものである(ゆきっぷうの私見)。
神出鬼没で逃げ足が速い上に、主武装が飛び道具(拳銃)。危なくなると高額迷彩のカードを使って撤退する。へっぴり腰のライダーと思われがちだが、かなりのしっかり者である。少なくともユウスケよりは身体能力は高く、料理の腕も確かだとか。ライダーなのにバイクを所有していない、悲運のライダーでもある。
『愛、空我』編では関羽に叩き出されたユウスケの前に現れ、進むべき道を指し示した。
仮面ライダーディエンド
海東大樹が変身する仮面ライダー。拳銃型ツール『ディエンドライバー』にカードを挿入し、宙空へ向けてトリガーを引くことで変身が完了する。カードを使うことで様々な仮面ライダーをどんな場所でも召喚し、手下として戦わせることが出来る(一部例外あり)。
その能力を利用したのが【Koihime Ride. . . DAIKYO! Koihime Ride. . . SYOUKYO!】である。真・恋姫では前作のヒロインの一部が登場できていない、という状況を逆手に取ったのだ。ちなみに恋姫の大喬と小喬が戦闘能力を有しているか、ゆきっぷうは一切責にn(ry
また『ファイナルフォーム・ライド』のカードを使うことで他のライダーを武器などに変形させ、使用することができる。なお変形させられるライダーは、かなり無茶をさせられるためか、くすぐったかったり痛かったりするらしい。
『愛、空我』編では子供たちを庇いつつ鬼の大群をいなし、劉備との『ファイナルアタック・ライド』で大鬼を怯ませ、ユウスケと関羽の勝機を作った。
遂に本家というか本物のライダーが登場。
美姫 「驚きの展開よね」
だよな。まさか、鬼対ライダーとは。
美姫 「そのライダーとほぼ変わらない力を発揮する武将たち」
改めて凄い人たちだ。
美姫 「本編の方も楽しみにしてますね」
ではでは。