. 本作は真・恋姫無双のネタバレを多量に含みます。

    2.真・恋姫無双、魏エンド後のストーリーです。

    3.原作プレイ後にお読み頂く事を激しく推奨します。

    4.華琳様の涙を拭い去るため頑張ります。

    5.一部、登場人物の名前が違う漢字に変更されている場合があります。

 

 

 

 

『深緑の雷光奔り駆ける天将、

遂に我が元へ戻り誓いを遂げん』

孟徳秘龍伝・巻の七「還天将」より

 

(チェンジ!)

恋姫無双

―孟徳秘龍伝―

巻の七・還天将

 

 

 

 

 天一刀が呉を訪れてからおよそ一ヶ月が過ぎた。魏の武将という事で呉の将や臣民からは距離を置かれていたものの、『命の恩人』として孫権が認め、また彼自身も行動によって礼節と親睦の意を示し続けたことから徐々に打ち解けていった。

 朝は周泰と共に訓練と称して野を駆け、昼は周瑜と熱く論議を交わし、夜は黄蓋の酒宴に招かれる。

 そうして日々は過ぎ、建業の街も鬼の襲来による被害からおよそ立ち直った頃……ついに、その時は来た。

「そう。ついに曹操が動くのか」

 中庭の中央に建てられた吹き抜けの小屋で、天一刀と茶を飲み交わす孫権が呟いた。今朝方到着した魏からの使者によると、今や三国を脅かす鬼を撃滅する為の三国会合を魏で催すのだという。現状、南方から攻め来る鬼に対して蜀と呉が前線を展開する形に結果としてなっている以上は、後方の魏が全体の作戦指揮、支援を行うのが常道というのは間違いではなかった。

 もとより三国の中枢は魏である。会合の開催と出席に孫策も周瑜も難色は示さなかった。むしろ問題となったのは「誰が代表として魏に赴くか」である。まず一番手で名乗りを上げたのは孫策。次いで孫尚香。

「どちらかというと行動派、みたいだからなぁ。あの二人は」

 茶を啜って天一刀が頷く。両人とも並々ならぬ行動力の持ち主であることは疑いようも無く、政務の為に国を離れられない周瑜にすぐさま却下されてしまった。開催の期日まではまだ若干猶予があるので、今夜から明日までに取り決めるとは周瑜の言である。

「まあ、いずれにせよ俺も魏には戻らないと」

「会合参加者に同行する、ということか?」

「あんまりお世話になりっ放しっていうのも悪いしさ」

 庭の林から飛び立つ野鳥の群れに視線を移し、天一刀は自嘲気味に笑った。

「私には貴方へ報いなければならない恩がある。それに……」

 秘めていたものを吐露するように言葉を紡ぐ孫権を、天一刀はあえて遮った。その先に続く内容を分かっていたからか、彼は視線を戻さなかったし孫権も俯いたままである。

「一度の恩で『おんぶに抱っこ』なんて御免だよ。世の中『持ちつ持たれつ』さ」

 孫権という孫家への人脈は個人にも国家にも有益だ。だが天一刀はそういった利益に見向きもしない。いや、気付いてはいるのだろうが拘らないのだ。天人故に地上の者とは価値観が異なるから、と言えばそれまでだが少なくとも孫権には彼の立ち振る舞いが眩しかった。

 助けを求める者に手を伸ばす時、天一刀は如何なる窮地にも踏み込んでいった。その結果、どれほど自分が傷つこうとも彼はその行動を止めなかった。

 敵に包囲され孤立した呂布を救ったときも。

 鬼に惨殺されようとする孫権を救ったときも。

 その無鉄砲さが危うく感じられるのも事実だ。孫尚香と共に薬草を探しに行ってくれば、心身衰弱して城に担ぎ込まれる。孫策と共に賊の討伐に行けば、全身血まみれで帰って来た。街で放蕩の武人に決闘を挑まれれば満身創痍で部下に引き摺られてくる始末。

 その危うい在り方が孫権を不安にさせるのだが、彼の身を案ずるのは筋違いだ。自分はあくまで孫呉の後継者であり、魏の将との交流は節度を以って行なわなければならない。そして彼は覇王曹操の寵愛を一身に受ける天抱翼。

 思慕の念を抱いてはならない。国に戻ってから彼女は幾度と無く己を律してきたのだ。

「無理は、しないでくれ……」

「もちろん」

 それでも殺しきれない感情が絞り出した一言に、天一刀は「心配無用」と屈託のない笑みで応えた。

 穏やかながらも切ない時間が流れ、それは彼女が政務に戻るまでのほんの一時に過ぎない。それでも彼女は満足していた。孫権の望む形で互いの道が交わらなくとも、同じ世界に二人は生きていると確かめられたのだから。

 程なくして迎えに現れた甘寧と共に孫権が去ると、天一刀は深く息をついた。

(好意を抱かれるのは嫌いじゃないんだけど……)

 如何せん状況が予断を許さないだけに、迂闊なことで三国の足並みを乱したくない。出来ることなら彼女の思いに応えたくはあるが、やはり魏の将であるが故に節度ある態度を……と自制してしまう。

「ん?」

 ふと複数の蹄の音が耳に入り、興味本位で城門のほうへ歩いていくと、

「………………ただいま」

「れ、恋にねね!? 最近見かけないと思ったら何処に行ってたんだ?」

 帰還したのは呂布と陳宮だった。どういうわけか二人とも服がボロボロで、特に陳宮はあちこちに擦り傷や打ち身の痣が見受けられる。

「…………特訓、してきた」

「恋殿はその武で更なる高みに至ろうとこの半月、試行錯誤をなさっていたのです! もちろんねねがお手伝いいたしましたが……」

「むしろ、ねねの特訓」

「恋殿、それは御内密にと……!」

 なにやら色々と秘密がありそうだが、とりあえず元気そうで何よりと天一刀は思い込むことにした。聞いたら無事で居られるか分かったものではない。

「しっかしえらく汚れたなぁ。メイド服もボロボロじゃないか」

「あ…………ごめん、なさい」

 言われて気付いたのか、呂布がぺこりと頭を下げる。確かに呂布のメイド服はボロボロだ。特にスカートの破け具合などいい感じに露出が……と天一刀の視線が下のほうへ動いた瞬間だった。

「ちんきゅー・こんびねーしょん!」

 1・2・パンチからの蹴り上げという、華麗なコンボを喰らって宙を泳ぐ天一刀の体は物理法則に従って大地に激突した。驚くべきはこれほど高度な体術を軍師の陳宮が繰り出したことである。

 彼女は呂蒙のような元武人という経歴も無ければ、常日頃から別段鍛錬をしていたわけでもない。それにしては「ちんきゅーきっく」の破壊力は尋常ではなかったが、恐らくは武の才を眠らせていたに違いない。

「でなければ、到底説明がつか……な、い」

 がくりと意識を失って地面に突っ伏す天一刀。

 こうして彼は応急手当の名目で一時間ほどメイド服の呂布に膝枕をしてもらうことになるのだが、それを物陰から口惜しや、と歯軋りする陳宮は血涙を流していたとかいなかったとか。

 

 

 

 

「蓮華様、よろしいのですか?」

 執務室で書類仕事に没頭する孫権の傍で、唐突に甘寧が問いかけた。時刻はもう夕暮れで仕事に一区切りつけるには良い頃合だったが、質問の意味を図りかねて孫権は眉根を寄せた。

「思春……」

「天一刀のことです」

「私は――――――っ」

「無理に隠そうとなさらないでください。それにお傍に控えさせていただいていれば、否応なく気付きます」

 そこまで露骨だったか、と唇を噛む孫権。本人としては隠していたつもりだっただけに、甘寧の言葉に受けた衝撃は軽くなかった。

 黙りこくったまま、やがて陽は沈んで夜の帳で部屋が闇に染められていく。互いを僅かに照らし上げるのは窓からの星明りのみ。

「ごめんなさい……私は孫呉の後継者。いずれはこの国を背負っていかなければならないのに、惹かれてはならないのに――――――」

 王とは絶対にして孤高。故に自分を律し続けなければならない彼女は、今の今まで独白さえままならなかった。

 他国の人間とは決して馴れ合えぬ立場であるが故に、彼女に恋は許されない。それが例え「命の恩人」であったとしても、その応対は王としてのものであるべきで女にはなりえない。

 にも拘らず、甘寧の返す言葉は孫権を驚かせた。

「良いのです、蓮華様」

「え?」

「恋に身を焦がしても、貴方が王たる御自身をお忘れにならなければ……だから、その想いを殺すことはだけはなさらないで下さい」

 雲間から射す月光に浮かぶ甘寧の表情には、仄かな優しさが滲んでいる。気付けば孫権の体は彼女の両腕に抱きしめられていた。じんわりと伝わる温もりにいつの間にか涙が頬を伝い、孫権は初めて自分が泣いているのだと自覚した。

「蓮華様、どうか覚えていて下さい。貴方が御自身の在り方を殺すことは、この甘興覇も殺すことだと」

「ええ……ありがとう、思春」

 この忠義厚い猛将はどこまでも共に在ると宣言した。いや、孫仲謀に仕えると決めたその日から誓いを貫いてきた甘寧に、自らが定めた主を束縛することなど出来る筈もない。

 とはいえ、現実に天一刀を夫に迎えるならば立ち塞がる壁は十や二十では済むまい。まず彼が真名と命を捧げる曹操を説得し、愛人全てと折り合いをつけなければ。

「……なんというか、逆に私も愛人の一人にされてしまいそうね」

「否定できない事が果たして幸か不幸か。ですが蓮華様が認められた男ならば、あるいは。いずれにせよ行動すれば結果は伴うものです」

「そうね。今はただ、この感情を信じるだけ」

 一度だけ瞳を閉じ、再び夜天を見据える孫権の貌には一片の迷いも見受けられなかった。

 しかし、と甘寧は思う。ここしばらくの天一刀の行動について不可解な報告が上がってきていたからだ。虐殺とも取れる山賊の一方的な殲滅、独断による放蕩の武人との決闘……もしあの男の抱える闇が孫権に矛先を向けるならば、一切の手心を加えることなくその首を刎ねなければなるまい。

(そうならなければ、良いがな……)

 

 

 

 その夜遅く、周瑜は魏での会合を任せられる人員の選考に没頭していた。

 最も理想的なのは周瑜自身が赴くことだが、生憎と内政を放り出していくわけにはいかない。現状、呉の国は彼女が支えていると言っても過言ではないのだ。

 そうなると、対鬼の軍略に重きを置く会合になることは予想がつくので陸遜が適任だろう。その奇抜な発想と行動力、機転は充分三国間でも通用するはずだ。

 現場の経験を積ませたい呂蒙も候補としては捨てがたい。これからは若い世代が未来の国造りを担っていかなければならない。もっとも陸遜にせよ、呂蒙にせよ、集団を引っ張っていく指揮官としてはやはり二流であり、孫策を頭に抱かねば十二分に活躍することは難しく思える。

(やはり雪蓮頼みになってしまうわね……)

 ついつい『英雄』に縋ってしまう自分に苦笑して、周瑜は思考を打ち切った。夜風を部屋に入れようと窓を開けると、

「とおぅっ!」

「っ!?」

 一陣の風と共に天一刀が飛び込んできた。ここは地上二階で地面から少なくとも人二人分以上の高さが……と混乱する周瑜を余所に天一刀は焦った様子で窓を閉めると、入り口の戸の横の壁にぴたりと身を寄せて息を潜めて外の様子を伺い、

「……まいたみたいだな」

 慌しく通り過ぎていく複数の足音が遠ざかっていくのを確かめてようやく安堵の息を漏らした。

「今度はどうした、天一刀」

「うあ、周瑜の部屋だったのか。悪い、騒がしくしちまった」

 別に構わん、と周瑜は首を横に振り、椅子に腰掛けると別の一脚を天一刀に勧めた。彼もまだ外に出るわけにもいかないのか、そのまま腰を下ろした。

「疑わないのか?」

 率直に疑問を口にしたのは天一刀だ。そも、他国の将がこんな夜分に城内を駆け回っている時点で、何らかの諜報活動を行なっていた可能性は否めない。否めないのだが……

「むしろ夜這いに来た可能性を追求したいのだがな、魏の種馬?」

「それは機会を改めて――――――じゃない!」

「心配はいらん。その手の下心があるならお前はとうの昔に雪蓮に斬られているさ」

 苦笑とも自慢とも取れる笑みを浮かべて周瑜は断言した。天一刀もこうはっきりと言われてしまっては、ただ頷くしかない。断金の絆の前では一介の種馬風情など入り込む余地などないのである。

「さて、天一刀。今の情勢をどう見る?」

 眼鏡の奥で美周郎の瞳が冷たい輝きを放った。先ほどまでの緩やかな流れから一変、軍師の顔となって問う。

「鬼か」

「そうだ。今や大陸全土を脅かす邪悪の軍勢にどう相対するか、貴公の考えを聞かせてくれ」

 周瑜曰く、鬼の出没地域は蜀、呉のみならず西方にまで拡大しているという。すでに砂漠地帯を経由する交易路の幾つかは寸断され、壊滅した都市も一つや二つではない。

 すでに蜀は国境付近の警備を強化し、難民の受け入れ態勢も整えつつある。

「だが、蜀に辿り着いた―――――もとい辿り着けた難民はごく少数らしい」

「そこまで勢力の拡大が?」

 街から一歩外に出ればそこは鬼の巣窟。蜀よりも西ではすでにそんな状況にまで追い込まれている。となれば、一刻も早く鬼を殲滅しなければならない。

「今のところ三国へ侵攻する兆しは無いが、明日もそうだとは限らんだろう。民の動揺も抑えられまい」

「下手すりゃ鬼が来る前に国が崩壊しかねない、か」

 災害の頻発、景気の低迷などが続けば民衆のフラストレーションは高まり、そう遠くない未来に暴動あるいは革命などの形で爆発する。彼らにとって最も重要なのは「安定した生活の保障」であり、その喪失を最も恐れる。

 乱世において有力な諸侯達はこの心理を衝き、安全の確保と引き換えに地位と権力を手に入れ、拡大していった。この原理は無論、21世紀の現在も同様であり、政府は国民の生活を守ることで初めてその存在と力を発現するのだ。

 逆に為政者が身の安全を確保してくれないのであれば、民衆は容赦なく敵対するだろう。周瑜の懸念はまさにそこにあった。

「確かに鬼の脅威は凄まじい。だが何より恐ろしいのは自分達の膝元とは、皮肉にもならんよ」

「でも、そうならないために俺達は頑張るんだ」

「ふっ……弱音など吐いている場合ではなかったな。早速だが南部の領土における鬼の出現に関する報告書が―――――」

 そう言って書簡を取り出そうと周瑜が立ち上がった瞬間、勢いよく戸が開け放たれた。ずばん、という豪快な音と共に現れた孫伯符の顔にはぎこちない笑みが張り付いている。

 そして彼は直感した。――――――まずい、勘違いしている、と。

「天一刀」

「はい、孫策さん」

「冥琳とは、ど・こ・ま・で! いったのかしらねぇ?」

「呉呉呉、誤解だって孫策さん!」

 伯符の右手がゆっくりと宝剣・南海覇王を振り上げ、抱翼の両手もつられるように挙がった。しかし降伏の意を示してなお、彼女の笑顔は凍りついたままである。

「お、俺たちは戦友だろ? それ以上のことはない、華琳に誓ってだ」

「じゃあ蓮華は?」

「戦友だ……って待った、何でそこで蓮華が――――――」

 断言した天一刀に対して、孫策がやれやれと呆れた様子で首を振った。まるで「この優男、甲斐性無し」と言わんばかりだ。この超展開に天一刀の思考は追いつけず、もう瞬きして流れに身を任せるしかない。

 つまらなそうに愛剣を鞘に戻すと、孫策は周瑜に向き直った。

「魏での会合なんだけど、蓮華に行って貰うわ」

「ふむ、承知した」

 ―――――ちょっと待て、この流れで一体何処からそんな話になった?

 喉の先まで出掛かった言葉を何とか飲み込んで、天一刀は何とか沈黙を保つことに成功した。この場での迂闊な発言は、先ほどの問題を蒸し返される切っ掛けにされかねない。

「と言うわけで天一刀、蓮華をよろしくね。じゃ、おやすみ〜」

「は、はあ」

 言うだけ言って孫策は部屋を出て行ってしまった。自分は曹操の所有物である、と何度訴えても押し切られてしまうのだから彼女の押しの強さは筋金入りである。

 困り顔の天一刀に、しかし周瑜は至極真剣な口調で言った。

「蓮華様を頼むのは、私も同じだ」

「だからって本人の意思も……」

「蓮華様が貴公を憎からず思っていることは、あくまで私と雪蓮の推測にすぎん。しかし今後、この国が鬼との戦場になる可能性を考慮すれば」

「最後方の魏が一番安全、だな」

 孫権本人には「呉の代表を任せられる筆頭の御方」とでも言えば丸く収まるだろう。王である孫策は国許を離れるわけには行かず、孫尚香は将としてはまだ幼いところが目立つ。周瑜としても騙すような気がして申し訳なくはあるが、すでに外堀は埋められてしまっているのだ。鬼の勢力は途方も無く巨大なものとなり、それが何時襲い掛かってくるかは神のみぞ知るばかり。

「頼まれてくれるか?」

「……勝手にすれば良い」

 突っぱねられても文句は言えない。孫権の恋愛感情と天一刀の人格を利用しているのは明らかだ。

 それでも……

「まあ、俺が呉に来た時もそうだったし。出発にだけは遅れないようにな」

 席を立つ天一刀はそう言って不敵に笑って見せたのだった。

 

 

 

 

 

 

 夕陽が地平線に触れ、沈んでいく。この数ヶ月、同じ光景を曹操は毎日のように見つめていた。

 今日は帰ってこないのか。明日なら帰ってくるだろうか。日が経てば経つほどに、あの間の抜けた笑顔が見たくてたまらなくなる。そんな自分に気付き、果たして自分はこれほどに恋する乙女だっただろうか、と自問する。

 そんなことの繰り返しだ。そして今日も天一刀は帰らない。信頼できる筋からの情報では、元気一杯に暗殺されかかったりしているということだが……

「はぁ……」

 他国の将を口説こうとして―――――容易く想像できてしまう辺り、あの男の業も相当深い。思わず溜息も出てしまうというものだ。

「華琳様、夕餉の用意が」

 それ見たことか、夕食を準備していた典韋が心配して迎えに来てしまった。

「兄様……ですか?」

「まったく、どこをほっつき歩いているのかしら」

 もう間もなく日も沈みきる。区切りをつけて曹操が踵を返した瞬間だった。

「!?」

 盛大に銅鑼が打ち鳴らされ、正門が開かれる。遥か地平に目を凝らせば殆ど沈んだ夕陽を影に立ち昇る砂煙。たなびく旗は【孫】、そして【魏】。

 ついぞ待ち望んだ、自分達の旗だ。

「流琉、悪いけれど食事の追加を頼めるかしら」

「はい、華琳様!」

 満面の笑みで答える典韋を残し、曹操は一気に階段を駆け下りた。廊下を抜け、門に集まる野次馬を跳び越えて其処に立つ。

 砂塵は既に近い。

 走る馬の一頭一頭、そして乗る者たちの姿もはっきり分かるほどに。

「お、華琳じゃないか! カリィィィィィィィィンッ!!!」

 馬上から大きく手を振る天一刀。その笑顔はやっぱり、いつも通りに、見慣れたままに馬鹿丸出しだった。

 

 


あとがき

 

ゆきっぷう「こんにちわー。ゆきっぷうであります。今回は真(チェンジ!)恋姫無双 ―孟徳秘龍伝― 巻の七・還天将をお読み頂きありがとうございました……よし、天一刀」

 

天一刀「どうした?」

 

ゆきっぷう「あとは、たの、ん……だ、ぞ」(灰化して崩れ落ちる)

 

天一刀「ゆきっぷう!? どうしたんだゆきっぷう!? いくらお前でも中途半端でお預け的なところで次回に持ち越した以上、説明責任からは逃れられないんだぞっ!?」

 

ゆきっぷう「―――――――――」(返事が無い。ただの灰のようだ)

 

曹操「さて、カズト。貴方にも説明責任はあるわよ?」

 

天一刀「え?」

 

曹操「そうねえ。まずは貴方の出番が私の十数倍になっていることから」

 

天一刀「それは俺の責任じゃねえ!」

 

曹操「黙りなさい! 魏ルートアフターにも関わらず貴方との絡みが殆ど無かったこの屈辱、覚悟なさい!」

 

天一刀「や、八つ当たりはよせ!」

 

ゆきっぷう(ゴースト)【心配するな。次回は華琳乱舞】

 

曹操「もし嘘だったら、分かってるわよね」

 

天一刀「荀ケの新開発した拷問術が待ってるだろうなぁ」

 

曹操「ちょっと、桂花ったら何時そんな物騒なものを」

 

天一刀「間違いなく俺にかまそうとして華琳に暴発するだろ」

 

曹操「やれやれ、後できっちり言い聞かせないと……じゃあ、そろそろ時間ね」

 

天一刀「ああ。それでは皆さん、また次回!」

 

ゆきっぷうMk−U「合言葉はチェェンジッ!! ゲッ―――――」

 

程c&郭嘉「「合言葉は、ぷにぷにぷ〜!」」

 

ゆきっぷうMk−U「ぐわあっ!? キャラソンだというのか、おのれBasesonめぇっ!!」




ようやく華琳の元へと戻れた一刀だけれど。
美姫 「うーん、呉でもまた色々と頑張ったからね〜」
それを知られたらどうなるやら。
美姫 「と言うか、今更って感じかもね」
だな。鬼の脅威が迫る中、とりあえずは華琳と久しぶりに再会か。
美姫 「次回はどうなるのかしらね」
次回も楽しみにしてます。
美姫 「待ってますね」



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