注意)このSSは、「ひぐらしのなく頃に」「DUEL SAVIOR DESTINY」のネタばれを含みます。

なるべく見た事がない方でも楽しめるようにはしたいと思いますが、どこまでできるかは判りません。

また、オリジナル要素も多少含まれています。

そういったものが嫌いな方は、即座にブラウザの「戻る」ボタンなどをば。



















――魅音、詩音、レナ、沙都子、梨花ちゃん、羽入。

みんな元気か?

昭和58年7月から、もう三年も経つんだな。

魅音が卒業して、俺とレナが卒業して。

みんなバラバラになっちまったけど、俺たちが仲間である事に変わりはない。

俺の最高の仲間達へ――。




「グワアアアアアアアアアアアッッッ!!!!!」

「うわあっ!」



――――俺は今。




―――――モンスターから逃げ回っています―――







DUEL SAVIOR DESTINY ×ひぐらしのなく頃に



DUEL SAVIOR BREAKER


                     〜プロローグ〜









その日の放課後、前原圭一はいつもの様に特に何かをするでもなくブラブラしていた。

高校は楽しい。勉強もできる方だし、友達も少なくはない。


だが、それでも―


「…みんな…どうしてるかなぁ…」




―魅音は、今は詩音と共に園崎家の当主としての修行の真っ最中。


―レナは、デザイナーの学校へ進んだ。


―沙都子と梨花ちゃん、羽入はまだ分校にいる。

悟史が戻ってきたために沙都子は悟史と共に暮らしているが、皆相変わらず仲が良い。


―そして俺は、雛見沢から少し離れた進学校へと進学した。




正直な話、皆がいる雛見沢を離れたくなかった。

だけど、雛見沢の近くの学校となると、レベルがかなり低くなってしまう。

みんなは、俺がそんな学校に通うのを好まなかった。

帰れるのは数カ月に一度くらい。電話や手紙はよくやり取りするが、それでも自分一人が雛見沢にいない、というのはさみしかった。







物思いに耽っていたからだろう。

圭一は、足元に何かあるのに気付かず、それをそのまま蹴り飛ばしてしまった。

「何だ?」

しゃがみ込んで、蹴り飛ばした何かを見つめる圭一。

「青色の…本?」

手に取って確認してみるも、やはりただの青い本だった。

「タイトルは…書いてないか」

どうしたものかと思考する。近くに落とし主がいるわけでもなし、だからといって放置するのもどうか。

「どんな内容なんだろ?」

興味本位で本を開こうとする圭一。だが、その瞬間―

やっと、みつけた…。ボクたちの、救世主―



誰かの声と共に、突如圭一の意識が消える。

そして世界が、光に包まれた。












救世主クラスの授業。その最中、突然救世主候補の一人、リコ・リスが立ち上がった。

「どうかしましたか?リコ・リス君」

教師―ダウニー・リードがリコに問いかける。

「…誰かが、世界を越えてこちらにやって来ます」

その言葉に、教室の全員が驚いた。

「なによ?また新しい救世主候補?」

救世主候補の一人、リリィ・シアフィールドの問いにリコは首を横に振る。

「わかりません。書は何も言っていませんし、しかし大河さん達のような事もあり得ます」

「とにかく、行ってってみようぜ!またかわいい女の子だ!」

そう言い、当麻大河が駆け出す。

ダウニーが「待ちなさい」と追いかけ、大河の言動にため息をつきつつも残る救世主候補達“六人”も後に続いた。








「う…ここは…?」

圭一が目を覚ました時、そこは知らない部屋だった。

「確か…青い表紙の本を拾って…そしたら声が聞こえて…」

気を失う直前の事を思い出そうとした矢先、外から複数人の足音が聞こえてくる。

状況から誘拐の可能性も考え身構えた圭一だが、部屋に入ってきた人物を見て思わず叫ぶ。

「やほー!カワイコちゃ…」

「…大河!?」

クラスメイトで友人の、当真大河だった。








「青色の本、ですか…」

現状の説明を受けながら大河たちに案内されて連れてこられたのは、「校長室」と看板がある部屋だった。

そこで引き合わされた人物、ミュリエル・シアフィールド学園長。

「リコ・リス。あなたは、その「青色の本」について何か知っていますか?」

「いえ、知りません…」

リコの返答を確認して、ミュリエルは圭一に向き直る。

「貴方の事象は大体わかりました。どうやら、貴方は此方にとってはイレギュラーな存在のようです」

そこで言葉をいったん区切り、しかし、と続ける。

「可能性がないわけではありません。ですので、救世主候補試験を受けていただけませんか?」

「救世主候補…。でも、話を聞いている限りだとなれるのは女性のみ、しかも赤い本に選ばれてなきゃダメなんでしょう?」

「確かに、今まではそうでした。ですが、前例がないわけではないのです」

ミュリエルがそう言ったとたん、場の視線が圭一以外大河に集中する。

「大河、お前まさか…」

「ふふふ、気がついたのか。そう!俺様こそが…!」

「女だったのか!」

圭一以外のその場全員が盛大にずっこけた。

「と、まぁ冗談は置いておいて…。男が選ばれた、って言うんなら確かに可能性がないわけじゃないよな…」




皆から受けた説明を思い出す。


―千年に一度現われ、すべてを滅ぼしていく存在、破滅。

滅ぼされるのはこの世界からだというが、何れは自分たちの世界にも被害が及ぶという。

―あいつらに危害が加わるなんて事、許せるわけがない…!!


―それに対抗する存在。

インテリジェントウエポン、召喚器と呼ばれる武器をふるう救世主。


俺に、それを防ぐ力がある、救世主になれる可能性があるって言うのなら…!!



「判りました。その試験、受けさせてください」






場所が変わり闘技場。

観客席は生徒たちで埋め尽くされ、圭一に声援を送ってくる。

「それでは、始めます」

ミュリエルの声。それと共に、前方にあった檻が開く。

そこから出てきたのは、おとぎ話の存在―ワーウルフ。

「聞いてはいたけど、やっぱり実際に見るとなぁ…」

そう呟いた瞬間、獲物を見定めたワーウルフが襲い掛かってくる。

「うわっ!!」

とっさに横に跳び回避する。そのまま走りだし、距離をとる。

ワーウルフの追撃をかわしながら、過去を振り返る。

圭一が戦闘を行ったことは数えるほどしかない。


そしてそのいずれの戦闘でも、正直な話余り役に立つことはできなかった。






「べリオ、カエデ、リコ、どう見る?」

観客席で、リリィは同じく救世主候補のベリオ・トロープ、ヒイラギ・カエデ、リコに問いかけていた。

「見た限りは素人の動きでござるな…。熟練の技術は見受けられないでござるよ」

「そうね…。大河君と同じ世界の出身らしいし、戦ったことがないんでしょうね」

「つまりはお気楽バカがまた一人増えただけ、と」

リリィの呟きにべリオとカエデが苦笑する。


「…いえ、そうとも言えないかもしれません」

だが、リコだけは違う反応を示した。

「どういう意味よ?」

「確かに彼は戦闘に関しては素人です。ですが…おそらく」

「確かに…そうかもしれないでござるよ」

「カエデまで…どうしたってのよ?」

「見て下さい、リリィ…。あんなギリギリでかわすなんて、普通の人なら腰が引けてしまうわよ」

言われてリリィも圭一の動きに注目する。

素人の動きであることは変わりない。だが、確かに彼は魔物に怯えることなく逃げ回っている。

「どう言う事よ…あいつ、大河と同じモンスターとかいない世界から来たんでしょ?」

「おそらく圭一さんは…恐怖を感じていません」

「そうでござるな…。どちらかといえば…殺し合いに慣れている、と言った所、でござるよ…」

「どう言う事よそれ…」






―思い出すのは、三年前。

まだ十数年しか生きていない人生の中で、最もたくさんの事があった時期。

そこで経験した、


――殺すこと――

――殺されること――


――裏切ること――

――裏切られること――


――信じること――

――信じられること――


守りたかった。自分の力で。

大切な仲間たちだから。





「グワアアアアアアアッッッ!!!」

「しまっ…!!」

普通の人間にしか過ぎない圭一が、いつまでも動き続けられるわけがない。

とうとう体力の限界を迎え、回避に失敗し、体のあちこちに怪我を負い、追いつめられる。

追い詰められた圭一を見て、周囲から悲鳴が上がる。

ワーウルフが圭一にとどめを刺そうと、腕を振り上げた―





―――殺される?


―――結局、俺はこの程度なのか…?


―――だれも守れずに…死ぬのか…?


――魅音

――レナ

――沙都子

――梨花ちゃん

――詩音


――――羽入―――


いやだ、いやだ、いやだ、いやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだいやだ―――






「絶対に…嫌だッ!!」



―――その瞬間、世界が止まる。





―――貴方は、ここで死ぬ。

―――これが、貴方の運命よ。

―――だけど、かつて貴方は言った。

―――運命なんて、金魚すくいの網よりも簡単に破れると。

―――まだその思い、変わっていないのなら。

―――私の力を、貸してあげる。


―――――神に踊らされるこの運命、壊して見せなさい!!






「来いっ!!ブレイカァァーーーーーッ!!」





告げられたその名を叫んだ右手に現れたのは、色々な意味で圭一が使い慣れた物―バット。

他の者達から見れば馬鹿らしい武器だろうが、圭一にとっては相性抜群の武器である。


ワーウルフの腕をバットで受けとめ、振り払う。

そして、振り上げたブレイカーをそのまま頭めがけて勢い良く振り下ろした――!!





「まさか、あいつ…!!」

「お兄ちゃん、あれって…」

圭一の右手に現れたものを見て、闘技場全体が息をのむ。

「…召喚器…」

突然後ろからつぶやきが聞こえて、二人は驚き振り返る。

そこにいたのは、“六人目の”救世主候補生だった。

「あれ?お前、どこに行ってたんだよ?」

「本当だ…。確か、召喚の塔に向かった時には一緒だったよね?」

「あうあう…。実は、道を間違えて森に行ってしまい、更に迷ってしまったのですよ…」









「おいおい…大丈夫かよ?








―――――羽入」






【あとがき】

こんにちは、湯浅の父と呼ばれた男です。

今回の作品は、

DUEL SAVIOR DESTINY 

ひぐらしの鳴く頃に

のクロスオーバーという訳判らない長編作品です。

本編を終了した圭一が、デュエルの世界へと何者かに召喚され、救世主候補生となります。

そして大河達と共に破滅と闘っていくという(ことになると思う)ストーリーです。

ぶっちゃけると、クロスオーバーと言いながらもひぐらしのキャラは殆ど登場しません。

圭一は当然として後もう一人出ますが、それ以外の面々は圭一君の回想に出てくる事になると思います。

もし外伝とかを書けばそちらには登場するかもしれませんが…。

圭一君のカップリングは当然彼女とですが、大河君のカップリングは正直未定です。

誰にしようかなぁ…。

とにかく頑張って更新してみますので、楽しみにしていただけると嬉しいです。


それでは今回はこの辺で失礼します。


感想、修正点など頂けると幸いです。



青い本とは一体何なんだろうか。
美姫 「うーん、召喚に関しては大河以上に謎ね」
さてさて、これからどうなっていくのか。
美姫 「それじゃあ、この辺で」
ではでは。



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