『魔法少女リリカルなのは外伝・仮面ライダーXs』
日常編その2 『八神はやて、押して参る!』
昼下がりの高町家、学生組が帰って少したったころ、恭也が玄関で外出の支度をしていた。
「おししょ〜、お出かけですか〜?」
「ああ、ちょっと約束があってな。少し出てくる」
「お帰りはどれくらいになりそうですか?」
「夕飯までには帰るつもりだが……まぁ遅くなりそうなら電話するよ」
「はい〜」
レンに見送られて出て行く恭也。
ところ変わって八神家、はやても外出の用意をしていた。
「主はやて、お出かけですか?」
「うん、ちょっとな〜」
「では私も」
「ああ、ええよええよ、二人で会う約束やしシグナム達はゆっくりしとって」
「ん?はやて出かけんのか?」
「うん、ちょっと恭也さんとデートしてくるわ〜。ほないってきま〜す」
にこやかに手を振りつつ出て行くはやて。
「ふ〜ん恭也とデートか……」
「恭也とデートですか……」
<ガチャ……バタン>
「「………………」」
沈黙、そして、
「「でぇとぉぉぉぉぉ!?」」
絶叫。
「きょ、恭也とデートってどういうこった!?」
「わ、私に聞くな!」
二人してやいやい言い合うシグナムとヴィータ。
「あらあら、なかなかの爆弾発言ね」
にこにこしながら傍観するシャマル。
騒がしい自宅を尻目にハヤテはマンションを後にした。
駅前の電信柱に体を預けて立っている恭也、例のごとく道行く女性たちが遠巻きに熱い視線を飛ばしている。
「きょ〜やさ〜ん!」
そんな恭也の元へはやてがぽてぽてと走って(?)くる。
歩けるようになったとは言えまだ足は完治しておらず走るのは難しいようだ。
「おまたせしました〜」
「大丈夫、時間ぴったりだ。足はまだ完全じゃない、あまり無理はするなよ」
「あはは、恭也さんの姿が見えたらつい」
はやてはすこし頬を染めながらぽりぽりと頭を掻く。
「ふっ、まぁほどほどにな」
恭也はそう言ってはやての頭をくしゃと撫でる。
「あ……えへへ……」
はやては嬉しそうに撫でられる。
傍目にも微笑ましい光景だ。
「それで、どこに行くんだ?」
「ん〜、まずは服を買いたいんやけどいいかな?」
「ああ、解った」
「やたっ、ほないこか〜」
はやては言うと同時に恭也の腕に抱きつく。
「なっ!?はやて?」
「まぁまぁ遠慮せんと」
「いや、しかし……」
「それとも、私と腕組むの……いや?」
はやては上目づかいにうるうるとした瞳で見上げる。
恭也はこの瞳に弱い。
「あ、その、嫌というわけでは」
「ほんま?よかったぁ」
とても嬉しそうに笑うはやてにしばし見惚れる。
「さっ、いこいこ!」
「あ、ああ」
はやては恭也の手をひっぱって歩いていった。
ここは海鳴商店街の女性向け洋服店、恭也は遠慮したんだがはやてに強引に連れ込まれた。
「なぁはやて……外で待ってちゃいかんのか?」
「だめだよ〜恭也さんに選んでもらうんやから」
「なっ!?そ、そういうのは苦手なんだが……」
「まぁまぁそう言わんと、これなんかどかな?」
はやてはレースのついた可愛いワンピースを合わせてみせる。
「む、ああ、よく似合うと思うよ」
「ほんま?ほな試着してみよっかな」
そう言って試着室に入るはやて。
はやてが居なくなり一人になると恭也に視線が集中する。
(むぅ……これがどうも居心地が悪い)
「きょ〜やさ〜ん」
ほどなくしてはやてからお呼びがかかる。
試着室のカーテンを開け覗き込む。
「どかな?」
スカートの裾をもってくるんっと回るはやて。
「うん、よく似合ってる」
「ほんまですか〜、私としてはもうちょっとスカート短くてもいいかな〜と」
そう言ってギリギリまでスカートを捲り上げる。
「っ!?」
あわや『見えそう』なところまで行きそうな勢いから慌てて視線をそらす恭也。
「ん?も〜恭也さんたら、私みたいな子供の見てもなんともあらへんでしょ〜」
それを見たはやてがどことなく忍や桃子を彷彿とさせる笑顔で笑う。
スカートを戻したのを気配で確認してから恭也は向き直る。
「それは違う、はやては立派な女性だ」
「え?」
予想と違い、真剣な目で見つめられ戸惑うはやて。
「君が大人だろうが子供だろうがはやてははやてだ、年齢や外見で必要以上に対応を変えたりはしないさ」
「あ、ありがと……」
恭也スマイルをまともに見てしまったはやては真っ赤になりながら俯く。
「はやてははやてらしく在ればいい」
恭也はそう言って優しく髪をなでる。
「うん!」
元気良く顔をあげたはやての顔には満面の笑みが浮かんでいた。
しばらく店内を見て回ったあと、最初のワンピースを買うことにした。
「ここは俺が出そう」
「え?せやけど……」
「なんだかんだ言っても俺の方が経済力はある。それに……」
「それに?」
「男女二人で買い物をするなら男が出すのが普通だろ?」
そう言って再び恭也スマイル。
「はぅ……」
またも真っ赤になってしまうはやてであった。
(こ〜ゆ〜とこがまた乙女を引き付けるんやろなぁ)
はやてが思案しているうちに会計を終える。服はこの場で着ていく事にした。
この後も散歩したり買い物したり、臨海公園でおやつを食べたりとデートを楽しむ二人。
楽しい時はあっという間に過ぎ、日も随分と傾いてきた。
「そろそろいい時間だな」
「あ〜、もうこんな時間かぁ」
「このへんでお開きだな」
「はい、今日はめっちゃ楽しかったです!」
「ああ、俺も楽しかったよ」
「服もプレゼントしてもろて、私は幸せもんですわぁ」
さっき買ってもらい着ているワンピースを抱きしめるように腕を組む。
「また誘ってもええですか?」
「もちろん」
「えへへ〜、ほな今日はそろそろ帰ります」
「送っていこうか?」
「もう近くなんで大丈夫、恭也さんまた〜!」
そういいつつ走ると言うには遅いが、はやてなりに走って帰っていく。
何度もこちらを振り返りつつ手を振って離れていくはやてを恭也は微笑ましげに見つめていた。
「ただいま〜」
元気良くはやての帰還を知らせる声が八神家に響く。
「主はやて、お帰りなさい」
「はやて、おかえり〜!」
どうやらシグナムとヴィータは落ち着きを取り戻したようだが……
「あら?はやてちゃんその服は?」
「ああ、恭也さんからのプレゼント〜」
この一言で再び混乱していく。
「あら〜、良かったですねぇ」
「恭也からのプレゼントってどういうことだ!?」
「一体何があったのです!?」
マイペースなシャマルとは対照的に混乱しきりの二人。
「二人ともうらやましい?」
「なっ!?うらやましいとかじゃなくってだな」
「そ、そうです!高町恭也がそういうことをするのが予想外だったので確認をと」
もはやしどろもどろになっているシグナムとヴィータ。
「二人ともバレバレなのにねぇ」
「…………」
リインとザフィーラは部屋の隅に避難していた。
「シグナム!ヴィータ!」
「え!?」
「は、はい!」
いきなりはやてに大声で呼ばれ動きが止まる二人。
はやては二人が大人しくなったのを確認するとにっこりと微笑み、
「二人とも、負けへんからな」
ビシィと指を突きつけつつそう言って自室に入っていった。
あとがっき〜
というわけで今回ははやてとのデートでした〜。
どうも俺の中ではやてはやや策士キャラのようでこんな性格になりました。
なんか忍や桃子と気があいそうだなぁ……
日常編はできるだけ萌えられるようにとがんばってみてますが、いかがでしょう?
萌えていただければ幸いです。
それではまた次回〜
今回ははやてとの日常か。
美姫 「最後にしっかりと宣戦布告までしてたわね」
これを受けてシグナムたちがどう動くのかも気になる所だけれど。
美姫 「他の面々がこの事を知ったらどうなるのかしらね」
デートの上にプレゼントだもんな。
美姫 「次はどのお話になるのかしらね」
次回も待っています。