『魔法少女リリカルなのは外伝・仮面ライダーXs』
日常編その1 『高町恭也氏の平凡な休日』
早朝ようやく空が明るくなったころ彼は起床する。
今日は日曜だが相変わらず高町恭也の朝は早い。
いつもどおり手早く着替えて顔を洗う。
軽く身体を解したら妹の美由希を連れ立って神社までランニング。
わずかな休憩を挟みいつもの鍛錬を始める。
「もう少し反応を早めろ、技の威力が上がっても持ち味の速度が殺されては意味が無い」
「うう、せっかく皆伝したのに、
恭ちゃんの膝が治るにつれてまた差がひらいてくなんてぇ・・・恭ちゃんホントに人間?」
「やかましい」
<ビシッ>
「あうっ!」
余計な事を言う弟子に一発くれてやるのもいつもの事。
鍛錬を終え帰宅すると汗を流すために入浴、この朝風呂が密かに楽しみだったりする。
晶が作った朝食を平らげ、皆でリビングにてくつろぐ。
ここから彼の休日はスタートする。
しばし時が流れ昼前、皆所用で出かけ残っているのは恭也だけになっていた。
桃子は翠屋へ、フィアッセは病院で検査の後アイリーンとショッピングに、
美由希は那美に呼ばれて外出、晶は道場、レンはクラスの友人と遊びに、
なのはは小学生5人集で遊びにと家には恭也しか残っていない。
盆栽の手入れはついこの間済ました。治りかけが肝心と必要以上の鍛錬は止められている。
読書という手もあるが、一人家に残って本を読むというのもなんだかもの悲しいものがある。
要するに暇なのだ。
「・・・散歩にでも行くか」
家に居ても何もする事が無いのでとりあえず外に出て暇つぶしの材料を探す事にした。
「ん?あれは・・・」
商店街に差し掛かったところで見知った顔を見つける。
赤みを帯びた髪をお下げにした少女、ヴィータである。
「こんな所で会うとは珍しいなヴィータ。買い物か?」
「ああ、恭也か、ちょっと散歩ついでにぶらっとな」
恭也と顔を会わせにぱっと笑うヴィータ。
実際はそれなりに長い時を生きているのだが外見が子供なのでとても愛らしい。
「恭也はどしたんだ?」
「家のみんなが出かけてしまってな、俺も散歩だ」
「そっか、はやてもなのは達と一緒に出かけてたもんな」
二人はなんとなしに連れ立って歩いて行く。
丁度臨海公園に差し掛かったあたり、
「少し小腹が減ってきたな、何か食うか?」
ふと立ち止まり恭也が言う。
「オゴリか?」
「・・・ふふっ、いいよ、オゴってやる」
にやにやしながら聞いてくるヴィータに恭也は苦笑しながらも頷く。
「やたっ♪」
それを受けてヴィータはかわいらしくガッツポーズ。
それを見て微笑ましくなったのか恭也はヴィータの頭をくしゃと撫でる。
「ふにゅ・・・あ、あんまし子供あつかいすんなよぉ・・・」
一瞬嬉しそうに笑みを浮かべるが思い出したようにむくれる。
しかしその否定はどことなく弱く、軽く頬を染めまんざらでもないよう見える。
(なんか恭也に撫でられると落ち着くんだよなぁ・・・なんでだろ?)
「すまんすまん、ついな」
「ま、まぁいいけどさ」
二人だって屋台に赴く。ヴィータはあんこタイヤキを恭也は定番のチーズとカレーを注文する。
出来たてを受け取ってベンチに座って食べ始める。
「あむあむ・・・うめぇ〜」
「ん、それはよかった」
上機嫌でタイヤキをほおばる姿はとてもかわいらしく、恭也もおもわず頬が緩んでしまう。
「ところで恭也、タイヤキでカレーとチーズって美味いのか?」
「ああ、俺は好きなんだがな。どうも家族にはウケが悪い」
「そりゃあなぁ・・・タイヤキにしちゃイロモノだし」
「むぅ・・・」
ちょっと残念そうに手にしたタイヤキを見つめる恭也。
「まぁ気にすんなよな、そういうのは好みだしさ」
「ああ、ありがとな」
「お、おう」
不意打ち気味の恭也スマイルをマトモに見たヴィータは思わず顔を赤らめてしまう。
「そういえばヴィータは男の子みたいな話し方をするな」
「ん、変か?」
「いや、それがヴィータのキャラクターと言うか味なんだろうが・・・」
恭也は少し言いよどみ、
「可愛らしいのだから勿体無いと思ってな」
「んなっ!?」
デカめの爆弾を投下した。
「あ、あたしがそんな話し方しても気味わりぃだろ」
「いや、良く似合うと思うが」
「む〜・・・」
そんな言葉を受け、俯いて考え込んでしまうヴィータ。
恭也はと言うと、
(むぅ、見た目はかわいらしい少女とはいえ長い時を生きてきた騎士、
なにか気に触る事でも言ってしまったのだろうか・・・)
などと相変わらずな事を考えていた。
「・・・きょ、恭也は・・・」
「ん?」
しばらく沈黙が続いたあと、おずおずとヴィータが話しかける。
「恭也はあたしが、その・・・かわいく話した方がいいの?」
やや潤んだ瞳で上目遣いに見つめてくるヴィータに何故か男心ではなく兄心を刺激された恭也は、
すこし申し訳なさそうに微笑みながら優しくヴィータの頭を撫でる。
「んぅ・・・」
ヴィータはその大きく無骨ながら優しい手の感触に気持ちよさそうに目を細める。
「すまないな、少し気になっただけなのだが混乱させてしまったようだ。
変えろといわれて変わるようなものでもないのにな」
「・・・」
謝罪する恭也の言葉を黙って聞いているヴィータ。
「ヴィータはヴィータらしくあれば良いと思う」
「あたしらしく?」
「ああ、俺は無理して可愛らしく振舞うより、ヴィータらしいヴィータの方がいい」
「あたしらしい、あたし・・・か」
ヴィータはまた少し考え込んだ後、すっと顔を上げる。
「なぁ恭也・・・ちょっとだけ、ぎゅってしてもらって・・・いいか?」
言ったあとにおかしな事を口走ったと後悔したヴィータだったが、
恭也は何もいわず微笑むとヴィータをそっと抱きしめる。
(あ・・・なんだか、あったかい・・・なんか・・・落ち着くな・・・)
(小さくて細い身体・・・こんな身体で騎士として生きるのは大変なんだろうな・・・)
数分の間恭也に包まれた後、ヴィータはパッと離れると、
「ありがと!あたしはあたしらしく行くよ!可愛らしいのは似合わないし」
そう晴れやかな顔をして言った。
恭也はそれを見て、
「そうでもないさ、さっきのヴィータは十分に可愛かったよ」
再び爆弾を投下した。
「なっ!えと・・・あ!は、腹ごなしにさ、ちょっと歩こうぜ!な?」
真赤になったヴィータは誤魔化すようにまくし立てる。
「ああ、そうだな」
優しく微笑んだ恭也はヴィータに手を引かれ歩いていく。
その姿は仲の良い兄妹のようでもあり、歳の離れた恋人同士のようでもあった。
<おまけ>
八神家
「今日恭也さんとデートしてたんやって?」
「ええっ!?な、なんでそれを!?」
はやてに今日の行動がバレていた事に驚くヴィータ。
「いやな、ガッコの友達が偶然見たらしくて教えてくれてん。
恭也さん相変わらずモテモテやね〜」
「あ、いや、あれはデートとかそういうんじゃなくてだな!」
「ええやん、照れなくても」
「いや、だから・・・」
誤魔化そうとしてどんどん泥沼にハマるの図。
「しかしげに恐ろしき天然ジゴロっぷり、シグナムに続いてヴィータもかぁ」
「え!?」
はやての言葉を受けてシグナムを見るヴィータ。
「あ、主はやて!アレはその・・・違うんです!」
シグナムも誤魔化そうとするが、根が正直なので誤魔化せていない。
「あらあら、二人ともいいわね〜」
「「だから違うってシャマル!」」
結局二人はシャマルとはやてに一晩中からかわれたそうな。
あとがき
夜「いや〜大分開いちゃったけどなんと送れるわ」
凛「まさかAドライブがイカレたあとはメールソフトとはね」
夜「というわけでなんとか完成した日常変でした」
凛「ヴィータちゃんかわいいね〜」
夜「書いてるうちにどんどんヴィータが萌えキャラ化してきてお兄さんびっくりさ」
凛「でもこれって恋心なのか兄を慕う妹心なのか微妙よね?」
夜「まぁそのへんはねぇ・・・ヴィータって身体は子供で精神が大人なのに
思考は結構子供だったりするアンバランスなところがあるから」
凛「難しいところね」
夜「ま、そのへんは今後の展開しだいという事でこのへんで」
凛「またね〜!」
今回は日常編。
美姫 「その最初はヴィータちゃんね」
いやいや、萌え殺す気ですか。
何だ、あの可愛いヴィータは。
美姫 「本当に可愛いわよね〜」
兄心をくすぐられる恭也。なのはのポジションがピンチ!?
美姫 「日常編のほのぼのとしたのは良いわよね」
うんうん。次回も待っています。
美姫 「待ってますね〜」