『魔法少女リリカルなのは外伝・仮面ライダーXs』
新必殺技編その1 『一撃必中!マックスシュート!』
アースラ内、トレーニングスペース。
射撃練習場のようなところでXsに変身した恭也が弓に変形したXsライザーを手に的を撃っていく。
連続して、そしてランダムに、移動しながら次々と現れる的を撃ち抜いていく恭也。
「頑張っているようだな」
「シグナムか」
「あまり成績は揮わないようだな」
入ってきたシグナムはスコアボードを見て呟く。
「射撃はイマイチ得意じゃないんだ」
「ん?以前私とやりあった時は射撃も苦手ではないと言ってなかったか?」
「ああ、あれはハッタリだ」
「なっ!?」
不思議そうに聞いてくるシグナムにサラリとぶっちゃける恭也。
「時間を稼ぐ方が重要だったからな、正面からやりあうよりハッタリで警戒させたほうがいい」
「はぁ・・・してやられたという事か」
思いっきり警戒してしまった事に肩を落とす。
「で、どう苦手なんだ?」
気を取り直して聞いてくるシグナム。
「ガディンが補正してくれるおかげで命中精度は悪くないし射程距離も中々のものなんだが、
魔力の収束に時間がかかるのと集中が必要なために移動しながら撃てないのが欠点だな」
「接近戦型の魔導師なのに難儀だな」
「ああ、長距離からの狙撃か後方支援くらいしか出来ん」
しばし二人して考え込む。
「何か他に特性は無いのか?」
「そうだなぁ……弾速が早くある程度の誘導性もあってそう簡単には外れんし、
貫通力がかなりあるな。並のシールドくらいならぶち抜ける」
「ほう、威力的には申し分無しか」
「だが、接近戦の補助に使うには撃つまでが長すぎる。攻撃してくださいと言ってるようなもんだからな」
「むぅ……」
再び考え込んでしまう二人。どことなくシュールな絵である。
「そういえば……」
ふとシグナムが何かを思い出したように顔をあげる。
「エイミィから聞いた話なんだが……お前の妹、高町なのはがスターライトブレイカーを改良する際に、
発射時間の短縮よりチャージを長くして破壊力を上げたそうだ。
ついでに結界破壊効果もついたらしい」
「ふむ、常用するのではく動きを止めての一撃必殺に特化したわけか」
「そんなとこだ。それに加えてお前のそれは距離による減衰率も低いし射程も長い、
接近戦に拘らなければ使いようもあろう」
「なるほど……」
シグナムの言葉を受け三度考え込む恭也。
しばしして顔を上げると、
「ありがとうシグナム、参考になった」
必殺の恭也スマイルでそう言った。
「うっ、なっ、あ、き、気にするな!私はこれで!」
例の如く顔を真赤にして足早に立ち去るシグナム。
「???」
やっぱり解ってない恭也。
そんなやりとりから数日たったある日の事。
恭也となのはは偵察中に見つけた亀のような魔獣との戦いに苦戦していた。
「ディバイィィィン、バスタァァァァァッ!」
レイジンクハートから放たれる閃光が魔獣を包むが、その四肢を堅固な甲羅に収めダメージをやりすごす。
「また無傷か」
「うぅ〜硬すぎるよ〜」
「ただ硬いだけじゃこれほどの防御力にはならん、
おそらく甲羅自体が強力なシールドを帯びているはずだ」
「む〜、スターライトブレイカーは周りが危ないしどうしよぉ……」
結界は張っているものの市街地が近いため大技すぎるものも使えず、
なのはの手の内は尽きかけていた。
「おにいちゃんなんか手はある?」
「貫通力の高い矢なら」
「よし!それでいこ!」
「解った!」
《XsRiser Wake up》
「アーチェリーモード起動!」
《Archery Mode Set up》
Xsライザーが弓型に変形する。
「発射に隙が大きい、牽制してくれ」
「おっけ〜!」
なのはディバインシューターと高機動を使って注意を自分に引きつける。
その隙に恭也は光の弦を引き絞り魔力を収束する。
「いけぇ!」
弓から放たれた光の矢が魔獣に直撃する。
「クキュアァ!」
魔獣が痛みに顔を歪める。その自慢の甲羅には僅かながら傷がついている。
「やった、効いてるよ!」
「いや、ダメージが低すぎる。やはり連射が効かんのは痛いな」
「えぇ〜」
せっかく希望が見出せたと思ったら速攻で兄に否定されしょんぼりするなのは。
なのはが注意を引きつけつつ攻撃するが決定打は与えられない。
こちらがやられるような敵ではないのがせめてもの救いか。
「むぅ〜」
「これでは時間がかかりすぎるな……」
そこでふとこの間のシグナムとの会話を思い出した。
「なのは、一つ思いついた事がある。時間を稼いでくれるか?」
「なにするの?」
「思いつきだが大技をいく」
「ん、わかったよ!」
なのはは再び魔獣に向かっていく。
「ガディン、ありったけの魔力をXsアーチェリーへチャージだ!」
《Yes XsArchery Fullcharge》
恭也の言葉を受け膨大な魔力がXsライザーへと注ぎ込まれる。
先ほどまでは青白い輝きを発してた光の矢はいつしか金色の輝きを発する物へと変わっていた。
「いくぞなのは!」
「おっけ〜!レイジングハート!」
《Bind》
なのはは射線上から飛び退き、バインドで魔獣の動きを止める。
《Lock ON》
「Xsアーチェリー、マックスシュート!!」
《Fire》
放たれた光の矢は真っ直ぐ魔獣の中心へ向かって行く。
その一撃はあれほど堅牢だった甲羅を容易く貫き、魔獣に深々と突き刺さった。
「キュアァァァァァ!!」
致命傷を負いのたうつ魔獣をよそに光は膨張し、
<ドガァァン!!>
爆散した。
「やったぁ!」
「ふぅ……少し博打だったが上手くいったな」
敵を倒しほっと胸を撫で下ろす二人。
「おにいちゃん、今の技凄かったね」
「ああ、シグナムから聞いた話を参考にな」
「どんなおはなし?」
「なのはがスターライトブレイカーを強化しようとした時の話さ。
大きい隙を無くすより隙は増えても威力の向上を狙うとは面白いと思ってな、覚えていたんだ。」
「え!?な、なんでシグナムさんがその事しってるの?」
「エイミィから聞いたそうだが?」
「エイミィさぁ〜ん、うぅ……はずかしい……」
なのはは頭を抱え込んで蹲ってしまう。
「そんなに恥じる事はないだろう?向上心は大切だぞ?」
「だって、その後一発で魔力尽きちゃってな〜んにも出来なかったなんて恥ずかしいよぉ……」
「……すまん、それは初耳だ」
「へっ?」
「「…………」」
双方が沈黙している間にみるみるなのはの顔が赤く染まっていく。
「にゃ……」
「な、なのは?」
「にゃあぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
「あっ、なのは!」
なのはは真赤な顔のまま逃げるように飛び去っていってしまった。
「むぅ……」
その後なのはの自己嫌悪はなかなか治らず、数日に渡り避けられて結構凹んだ恭也だったとさ。
あとがき
今回は新必殺技編をお送りしました。
いや〜、構成に難儀しましたわ〜。
始め必殺技のとこだけでシンプルにいこうと思ったら短すぎてお話にならないなんて事に……
まぁ元々そんな長い話じゃないですがそれにしても短すぎて、
仕方ないんで前後の話を考えたんですがこれまたどう持ってくか悩みました。
ヒーロー物書いてるのにバトルより日常とか解説の方が書きやすいってどうなのよと思うこともしばしば……
とりあえず今回の見所はなのはの墓穴っぷりです。
それではまた次回〜。
遠距離攻撃は牽制用よりも必殺型か。
美姫 「恭也に新たな技が出来たわね」
だな。まあ、なのはに関しては…。
美姫 「ちょっとした可愛らしいうっかりよね」
避けられて凹む恭也が目に浮かぶ…。
美姫 「次回はどんなお話になるのかしらね」
次回も待っています。