『魔法少女リリカルなのは外伝・仮面ライダーXs』




バトル編その2  『特訓!フェイトがんばります!』


アースラ内トレーニングスペース。
Xsとフェイトが戦闘形態で向かい合っている。

「この状態での鍛錬は初めてだな」

「はい」

「当然の事だが以前と比べて魔法によりお互いの能力は格段に上がっている。
 あくまで近接戦闘の訓練ではあるが使用能力の制限はしない、遠慮せず全力で来い」

「はい!」

すでに武装は展開されており、お互いに構えを取る。

「…………」

「……ッ!」

しばしの膠着から痺れを切らしたのかフェイトが先手を取る。

「せやぁ!」

右上段から迫るハーケンフォームの一撃を左の一刀で受け止め蹴りを返す。
フェイトは咄嗟に体をひねって蹴りをかわしつつ横薙ぎに切りつけようとするが、
Xsはそれを跳んで回避し、魔力を込めた蹴りを見舞う。
かろうじてバルディッシュで受け止めるがそのまま弾かれ再び互いの距離が開いた。

「良い反応だ、悪くないぞ」

「ありがとうございます……」

楽しそうに言うXsを見据えつつフェイトは考える。

(魔法無しの恭也さん相手でも苦戦してたのにXsになってからもっと差が開いたような気が……
 今の攻防でも恭也さんは結構余裕があったみたいだし……)

しばし考えにふけっている隙にXsが間合いを詰めてくる。
咄嗟に一撃を防ぎもう一度間合いを開ける。

「考え事をするなとは言わんが相手への警戒は疎かにするなよ」

「はい……」

フェイトは腰を落とししっかりと構えると正面の強敵に意識を集中させる。

「バルディッシュ!」

《Plasma Lancer!》

空中に作り出された8つの光弾が矢継ぎ早に放たれる。
高速で飛来する光弾をXsは紙一重でかわし、手にしたXsブレードで打ち払い、
瞬く間にその距離を詰めていく。

「はぁぁっ!」

「っ!?」

フェイトまで後わずかの距離からさらに加速したXsは反撃の隙を与えない程の連撃を繰り出す。
一瞬慌てそうになるが、恭也の教えを守り落ち着いて防御していく。
反撃のチャンスを掴むべく防御に徹するフェイトに突如衝撃が走る。

「痛ぅっ!?」

小太刀二刀御神流『貫』、防御をすり抜けるかの如く相手を襲う技術、
正確無比な一撃はフェイトの左肩と左腰に一撃づつ、
『徹』のこめられた攻撃はバリアジャケットの上からでも十分なダメージを与えていた。

「くっ!」

フェイトは空中に逃げようと飛翔するが僅かに飛んだところで左足が強く引っ張られる。

「えっ!?」

左足にはいつの間にか特殊金属の鋼糸『Xsストリング』が絡み付いている。

「しまった!?」

「遅いっ!」

フェイトが鋼糸を切ろうとするがその隙を逃さず浴びせ蹴りを叩き込む。

「あうぅっ!」

不十分な体勢のまま直撃を食らったフェイトはそのまま地面に叩きつけられる。
しかしなんかと体勢を立て直し立ち上がる。

「よし、すぐに体勢を立て直したのは上出来だ」

「は、はい……」

「だがフェイトは右腕を軸に武器を振るうせいか左側の防御が甘くなりがちだ、
 俺やシグナムクラスになるとそういった隙は決して見逃さない。
 シグナムと試合う時も左側からの連携で負ける事が多いはずだ」

「それは……」

思い返してみると確かにその通りだった。フェイトは近接戦闘になると左側の被弾率が格段に上がるのだ。

「さて、今の一撃はかなり効いてるはずだ、そろそろ締めにかかるぞ」

「バルディッシュ、全開でいくよ!」

《Get set Zamberform》

バルディッシュはその身を巨大な剣へと変化させる。
強い輝きを放つ魔力刃はフェイトの身長を凌駕するサイズを誇る。

「ザンバーフォームは破壊力と攻撃範囲は驚異的だが取り回しが難しい、
 そこをよく考えて使え」

「はい!」

言うやいなやフェイトが縦一文字に切りかかる。
受け止めるのは危険と判断しXsは横に飛んで回避する。地面に当たった刃は大地を容易く破壊した。

(当たれば無事じゃ済まんな……)

ならば、当たらなければ良い。
それを可能とするだけの技術と能力を恭也は、Xsは持っている。

「やぁぁぁっ!」

次々と放たれる斬撃を交わしていくXs。
まっすぐな性格ゆえかフェイトの剣閃は基本通りの綺麗なものだ、それ故に避けやすい。
しかしそれが僅かばかりの油断を生んだ。

「はぁっ!」

(今だっ!)

横薙ぎの一撃をかわし懐に入ろうとするXs、しかしフェイトがそこで大胆な策に出る。

「っああぁぁぁぁ!」

そのまま遠心力を利用し体ごと回転したのである。

「なっ!?」

フェイトらしからぬ博打にも近い一撃、しかしそれで一瞬反応が遅れた。
咄嗟に通常の神速を発動するも横や後ろに回避する余裕は無い。
そこでXsはフェイトの上を行く大胆さを見せた。
刀身の側面に手を着きそれを軸に飛び越えたのである。
通常は触れるのも危険な魔力刃、掌に魔力を集中し防御とすることでそれを可能としたのだ。

「えっ!?」

必殺のつもりで放った一撃をかわされ、体が泳ぐ。
マズいと思った時にはフェイトの首筋に刃が突きつけられていた。

「っ……まいりました……」

あと一歩と思ったのにまだ果てなく遠い差を見せ付けられて肩を落とすフェイト。

「良い出来だった、最後の一撃は流石に危なかったぞ」

そんなフェイトに恭也は変身を解いて賞賛の言葉をかける。

「え?」

「あまり博打を打つのは感心しないが、程よい大胆さは必要だ。
 フェイトはどんどん強くなっているさ、自身を持っていい」

「えと……あの」

「それにフェイトに神速を使ったのは初めてだったな、大したものだ」

恭也はそういうと困惑するフェイトの頭を優しく撫でる。

「あっ……はいっ!」

撫でられた事と恭也に認められた喜びから少し照れたような、それでいて満面の笑みを浮かべる。

「あっ!」

突然フェイトが顔をしかめる。

「どうした?」

「足が……」

「最後の一撃の時か」

無理な体勢からの強引な一撃のせいでフェイトは足を捻っていたようだ。

「大丈夫か?」

「あ、はい、大丈夫で……つっ!」

やはり痛むのかすこし辛そうにするフェイト。

「ふむ……よっと」

「え!?」

恭也は少し思案するといきなりフェイトを抱きかかえた。

「ええっ!?きょ、恭也さん!?」

「じっとしてろ、足に響く」

「あのっ、でもっ……」

フェイトが焦るのもそのはず、今の状況を一言で言うならば『お姫様だっこ』だからだ。

「まぁ俺みたいに無愛想な男に抱きかかえられるのは嫌だろうが医務室まで我慢してくれ」

「あの、その、嫌じゃないです……
 どっちかというと……その、嬉しいです……」

「そうか?ありがとう」

そして至近距離のからの恭也スマイル。

「はぅ……」

フェイトは真っ赤になって縮こまってしまう。
結局フェイトは医務室に着くまで真っ赤な顔で恭也にしがみついていたそうな。







あとがっき〜
バトル編その2はフェイトのおけいこです。
オチはかわいいフェイト……になってたらいいなぁ……
バトル部分は何日もかけたのにバトル後はものの3時間ほどで書き上げて、
やはりほのぼのっつうかまったりな話が書きやすいなぁと思ったりしました。
こ、このままではほのぼの仮面ライダーなんてわけわからんジャンルになってしまう……



今回のバトル編はフェイトの特訓という感じに。
美姫 「フェイトも強くなっているはずなのに、それさえも上回るとは」
益々、恭也が人間離れしていく。
美姫 「次は一体どんなお話になるのかしら」
次回も待っています。



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