『魔法少女リリカルなのは外伝・仮面ライダーXs』
バトル編その1
恭也達がアースラ預かりになって数日、恭也はアースラブリッジに呼び出されていた。
「失礼します」
「あ、恭也さ〜ん、お待ちしてました」
エイミィが笑顔で出迎える。
「名指しで呼び出しとは、何が問題でも起こりましたか?」
「そうじゃないよ、前にランク付けのテストは後でするって言ったでしょ?
それの準備ができたからね。もしかしてなんか用事あった?」
「いえ、特には」
「そぉ〜?デートの予定とかあったんじゃないの〜?」
エイミィがにやにやしながら聞いてくるが、
「俺なんかと付き合う女性なんてそう居ませんよ」
恭也的定型文で返す。
「やれやれ・・・」
「?」
あきれたように頭を抱えるエイミィを恭也は不思議そうに見ている。
「まぁ、それは置いといて・・・トレーニングルームに移動してくれる?
そこで試験を行うから」
「はい、解りました」
トレーニングルームに到着するとそこには青空が広がっていた。
「これは・・・?」
『立体映像よ、質量を持たせてあるから本物と同じように干渉できるわ』
「凄いな・・・」
恭也は辺りを見回しながら近くの木に触れてみる。
その木には確かな感触が感じられた。
『さてと・・・能力や技術は忍さんから貰ったデータで解ってますんで、
戦闘時の状況判断や戦術などを見るために模擬戦を行ってもらいます』
「なるほど、それは数値で計れる物じゃないからな」
『はい、それとこの模擬戦は本人たっての希望で彼女に相手を勤めてもらいます』
「彼女?」
上空に現れた女性は長い髪を束ね、白い騎士服に身を包み、一振りの剣を携えて恭也を見つめていた。
「魔法ありでやりあうのは初めてだな・・・高町恭也」
「シグナムか・・・」
『ライダーVSシグナム!激闘、ランク選定試験!!』
「レヴァンティン」
《Ja》
「Xs、変身」
《Program Drive》
二人とも揃って戦闘形態をとる。
『えっと、攻撃は言うまでも無く非殺傷設定でお願いします。
あと能力を測るのが目的なので、一撃必殺とかはカンベンってことで』
「了解した」
「ああ、解った」
エイミィの言葉を聞きつつもお互いに相手から視線は外さない。
「剣技では負け続けだが・・・魔法を用いるならば負けん!」
「俺も負けるつもりは無いさ。それに・・・戦えば勝つのが御神の剣士だ」
『それでは・・・始め!』
「はぁぁぁぁぁっ!!」
開始の合図と同時にシグナムが高速で切りかかる。
「せぇいっ!」
Xsはそれを蹴りで迎え撃つ。
青白い輝きを纏ったXsの一撃はレヴァンティンとぶつかり合いお互いを弾き飛ばす。
「くっ・・・二度も私の一撃を蹴りで止めるとはな・・・」
「Xsの装甲部分はデバイスだからな、普通のデバイスで受け止めるのとさして変わらん」
「なるほどな、だがこれなら・・・」
《Explosion!》
レヴァンティンがカートリッジロードが成され刀身が炎に包まれる。
「ガディン!」
《XsBlade Set up》
Xsライザーが腰にマウントされたままブレード形態をとる。
「紫電一閃!!」
「しッ!」
シグナムが放った電光石火の一撃を同じく高速の抜刀で迎え撃つ。
しばし刃を合わせた後、二人は互いに距離を取る。
「紫電一閃をも返すとは、流石だな。
よもやその武器で抜刀術までやってのけるとはな」
「俺もよく解らんが、腰の接続部が鞘の代わりにもなるらしい」
「そうか、やはり正面切っての剣技では分が悪いか・・・ならばッ!」
《Schlange Form》
シグナムはレヴァンティンをシュランゲフォルムへと変え、上空に上がる。
「むっ!」
「空が飛べないのであれば定石どおり上空から攻めさせてもらう!シュランゲバイゼン!!」
シグナムの振り回すレヴァンティンは変幻自在の動きで次々とXsに襲い掛かる。
「ちぃっ!」
Xsは大蛇の猛撃をかわしながら考えていた。
(なんとかして近付かないと埒が明かない。
飛行できない俺がシグナムに一撃加えるには足場が必要だが、
足場は・・・『ある』!)
木々からは距離があり、跳躍では届かない高さ、しかしXsは刃の蛇が蠢く空間に活路を見出した。
(一か八か、『アレ』をやってみるか・・・)
「行くぞ!」
《Flash Assault》
瞬間、Xsの視界がモノクロに染まる。
それは全てが神速よりゆっくりと動く世界。
それはXSが神速よりも早く動ける世界。
神速は驚異的な集中力によって感覚を極限まで研ぎ澄ませる技術。
ガディンの特殊能力『複合多重演算能力』より、集中力向上、感覚強化、
身体強化、高速機動の魔法を同時展開する事により神速を超えた神速を発動したのである。
「なっ!?」
シグナムは驚愕した。Xsとの距離は数十m、跳躍では詰めきれないはずのその距離が瞬く間にゼロへと近付くのだ。
そしてシグナムは見た、いや見えたのではない、感じたのだ、
Xsと自分の間にあるレヴァンティンの刃が、
暴れまわる大蛇が、自らの場に赴くための『足場』にされた事を。
「せぇい!」
「くぅっ!」
Xsが放ったのは蹴り、シグナムはそれをとっさに取り出した鞘で辛くも受け止めるが、
ただの蹴りとはいえ恐るべき加速と魔力が込められ、その上『徹』まで込められた一撃はシグナムを大地に向かって叩き落した。
「あうぅ!!」
大地に打ち付けられたシグナムはあまりの衝撃に思わず目を瞑ってしまった。
そしてもうもうと立ち込める砂煙のなか目を開くと、そこには刃を突きつけるXsが悠然と立っていた。
「勝負あり、だな」
「ああ・・・完敗だ・・・」
『そこまで!』
エイミィの終了の合図を聞き、二人は武装を解く。
「さっきのは一体なんだったんだ?神速かとも思ったがそれにしても速すぎる」
「神速さ、ただしガディンで強化したな」
「なるほどな、神速を使ってくるかも知れないとは思っていたがあそこまで強化された物があるとはな、
勝てないはずだ」
シグナムは少し自嘲気味に笑う。
「そうでもないさ、フラッシュアサルトは構想こそしていたものの今回がぶっつけ本番だったし、
もっと距離を取られていたりボーゲンフォルムでさらに高空から砲撃されていたら手も足も出なかった」
「剣での勝負に拘りすぎたと言うことか・・・」
「安心しろシグナム、お前は強い。
それに俺も剣に拘っていたところはある」
「う、あ、ありがとう・・・」
シグナムをフォローするためににこやかに笑った恭也だったが、
顔を赤くして俯くシグナムを見る限り予定外の効果が発生したようだ。
二人が戻るとエイミィとリンディが出迎えてくれた。
「二人ともお疲れ様〜、凄かったねぇ」
「お疲れ様、良い勝負だったわ」
「おつかれ〜、恭也さんはホンマ強いなぁ」
なぜかはやても居た。
「あ、主はやて!?み、見ていたのですか!?」
「うん、恭也さんの相手をシグナムがするって聞いたからちょっと見にきてん」
シグナムは思いもよらない主の登場にとても驚いたようだ。
「も、申し訳ありません。主の前で無様な・・・」
「そないなことあらへんよ〜、それに恭也さんはたまに人間なんか不安になるくらい強いし」
「おい、それはあんまりじゃないか?」
「だってホンマの事やもん」
にこやかに言うはやての言葉にがっくりと肩を落とす恭也。
「ところで恭也君は射撃はできなかったかしら?」
「いえ、あるにはありますが足を止めて撃たないといけない物なんであの状況では使えませんでした」
「なるほどね、まぁ遠距離がダメなのを差し引いても十分するくらい高い能力だし・・・」
リンディは恭也の言葉を加味して思案する。
「これだけ歪なバランスの人って居ないから難しいところだけど、
貴方を陸戦・近接AAA+の魔導師として登録しておくわね」
「はい」
「お〜いきなりAAA+とは、流石恭也さんやなぁ」
はやてがぱちぱちと拍手しながら恭也を見て微笑む。
「はやては空戦、その上Sランクじゃないか」
「いや〜でも恭也さんと勝負しても勝たれへんし〜」
「そんな事は無いさ」
「いやいや、恭也さん強いもん」
しばしお互い譲り合う二人。それを3人が温かい目で見ている。
それがひと段落したところでシグナムがはやてに近付く。
「それにしても主はやて、来るなら来ると言って下さればよかったのに」
「ごめんな〜、まさかそないに驚くとは思わへんかったから」
「あ、いえ、流石に取り乱しすぎたとは思いますが」
「そういえば、慌ててるシグナムは意外とかわいかったな」
「なっ!」
恭也の不意打ち気味の言葉にボンと赤くなって沈黙するシグナム。
「む、何かマズい事を言ったか?」
「相変わらず鈍感ですねぇ」
「あんまり鈍いのも考え物よ?」
「むぅ・・・ああ、そうか」
しばし思案したあと何かに気づいた恭也。それを見て「おっ?」となるエイミィ、リンディ、ハヤテだが・・・
「シグナムは普段からかわいいんだから意外というのは失礼だったな」
「ッ!?」
ボボンとさらに赤くなったシグナムは、
「よ、用事を思い出したので失礼する!」
真赤な顔のまま飛び出して行った。
「・・・なぜだ?」
「恭也さん、もちっと鋭くならんとそのうち刺されるで?」
「・・・?」
はやてにポンと肩に手をおかれしみじみといわれても気づかない鈍感王恭也であった。
あとがっき〜
夜「恭也、シグナムにフラグを立てるの巻でした」
凛「違うで・・・いや、違わないかな?」
夜「ぢつはこのオチやりたかっただけという理由があったり無かったり」
凛「あんですと?」
夜「まぁ恭也が無事にAAA+の魔導師として登録されたわけですな」
凛「AAA+ってどうなの?」
夜「ん〜近接のみならS以上なんだけど遠距離があるにはあるけどかなり弱いってのを加味してってとこかね」
凛「遠距離そんなに弱いの?」
夜「移動しながら撃てない、連射はそれほど効かない、誘導弾が撃てないと、
トドメ専用武装って感じ?」
凛「接近戦で弱らせないと使えないと」
夜「そゆこと」
凛「それ持ってる意味あるの?」
夜「無いよりはマシ、あとは援護するには十分」
凛「ふむ〜」
夜「では今回はこのへんで」
凛「まったね〜」
神速の上をいく技か。
美姫 「流石のシグナムも完全に捉える事は無理だったみたいね」
後半の照れるシグナムはとっても良かった。
可愛らしい。
美姫 「普段は凛としているだけに余計ね」
うんうん。今回はランクの為の模擬戦だったけれど、次はどんなお話になるのかな。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。