『魔法少女リリカルなのは外伝・仮面ライダーXs』





闇の書事件が解決してしばしの時が流れた。
時空管理局の巡洋艦『アースラ』に所属するなのは達3人の魔法少女は、
散発的に発生する事故や事件などの対応に勤しむ日々を送っていた。
そんなある日、海鳴近郊にて魔獣の反応が検知され、
近くを巡回中だったフェイトとアルフが急行する事になった。

「なんだってこんな所に魔獣なんか出てきたんだろ?」

「わからない・・・けどほっておけないよ」

そこに居たのは石の身体を持つ悪魔のような姿をした魔獣。

「ガーゴイル!?なんでAクラスの魔獣がこんなとこに!?」

「アースラに連絡するからアルフは結界を!」

「解った!」

フェイトの指示に従い結界を張るアルフ。フェイトはその間にアースラへと現状を知らせる。

「こちらフェイト、エイミィ聞こえる?」

『どうしたの?』

「ガーゴイルを目視で確認。私とアルフだけじゃ厳しいかもしれない」

『ガーゴイルが!?わかった、すぐになのはちゃんとはやてちゃんを向かわせるわ。
 5分ほどで着くはずよ』

「了解」

フェイトが通信を終えるのと同時にガーゴイルがこちらに向き直った。

「フェイト、くるよ!」

「うん!」

「ギシャアァァァ!」

おぞましい咆哮と共に数発の火球が飛来する。
アルフは結界の維持に専念し、フェイトがガーゴイルと対峙する。
一進一退の攻防が続く中、フェイトが着地した足場が僅かながら崩れ体勢を崩す。
ガーゴイルはその隙を見逃さなかった。

「ガァァァァ!」

「しまった!?」

「フェイト!!」

一瞬の隙を逃がさず飛び掛ったガーゴイルの腕がフェイトをとらえようとした瞬間、黒い閃光が走った!

「ライダーキック!!」


                  第一話『仮面ライダーXs、参上!』

電光石火と呼ぶに相応しき一撃はガーゴイルを正確に捕らえ弾き飛ばす。
そこには黒い戦士が立っていた。

「フェイト!大丈夫!?」

「う、うん」

あわててやってきたアルフに肩を抱かれながら黒い戦士に向き直るフェイト。

「あなたは・・・?」

「Xs(エクス)・・・仮面ライダーXs」

「仮面?」

「ライダー?」

聞き覚えの無い名前にキョトンとした顔になるフェイトとアルフ。

「あ、あいつの相手は俺がする。下がっていろ」

「え?で、でも」

フェイトが何か言おうとするがそれを聴かずにライダーはガーゴイルに向かっていく。
少し恥ずかしがっているように見えたのは気のせいなのだろうか?

「ギシャァ!」

向かってきたライダーを叩き伏せようと振り下ろされた一撃をかわし、わき腹へと鋭い蹴りを放つ。
ガーゴイルの身体が石で出来ているにもかかわらず、大きなダメージを与える。

「グアアァァァ!?」

痛みにのたうちながら腕を振り回し攻撃するが、ライダーにはカスリもしない。

「一撃一撃が大振りすぎだ」

そう言いつつライダーはベルトに手をかざす。

「ガディン、Xsライザーブレードモードだ!」

《Yes XsRiser Wake up》

ライダーの声にベルトについた青い宝石が輝き答える。
それに合わせて左右の腰についていたパーツが離れ、展開され、ライダーの両手に納まる。

《Blade Mode Set up》

手にしたパーツから刃が現れ二本の剣となる。

「うそっ!?」

「あれはまさか!」

『インテリジェンス・デバイス!?』

驚きに染まるフェイトとアルフの声が重なる。

「なんでデバイスを持ってるの!?」

「あいつ何者なんだ!?」

二人が呆気に取られている間にもライダーとガーゴイルの戦いは続く。
ガーゴイルの攻撃をことごとく回避し、攻撃を浴びせていくライダー。
ダメージがどんどん蓄積しているガーゴイルは動きが鈍くなってくる。

「強い・・・」

「ガーゴイルがまるで子供あつかいだなんて・・・」

二人はライダーの強さに驚嘆する。

「ガァァッ!」

「遅いッ!せやぁぁぁぁ!」

ライダーはガーゴイルの一撃を難なくかわし背後へ回ると高速の4連斬を見舞う。
それによりガーゴイルの羽はバラバラに切り裂かれる。

「ギャアァァァァァ!」

(あれ?今の動きどこかで・・・?)

フェイトが思案していると、

「フェイトちゃ〜ん!アルフ〜!」

「二人ともだいじょぶか〜?」

なのはとはやてが降りてきた。

「うん、私たちは大丈夫だけど・・・」

「あの変身ヒーローっぽいのは誰なん?」

「わからない、本人は仮面ライダーXsって名乗ってたけど」

「仮面ライダーって」

「あの日曜の朝方やってる?」

「さ、さぁ?私はあんまりそういうの知らないから・・・
 でも、あの人デバイスを持ってるみたい」

「デバイスを!?」

驚いてなのはとはやてはライダーを見やる。

(彼女たちも来たのか・・・そろそろ終わらせるか)

ガーゴイルは翼を切り落とされ満身創痍、身動きが取れないほどに疲弊している。

「決めるぞガディン!ライダーキックフルチャージだ!」

《Yes RiderKick Fullcharge》

宝石の声と共に魔方陣が展開され、ライダーの左足に赤い光が、右足に青い光が集まる。

《Guide Circle》

「ふんっ!」

ライダーが左足を振りぬくと赤い光弾が発射され、無数の輪を作り出しながらガーゴイルに着弾する。

《Bind》

着弾した光弾は4つの紐になってガーゴイルの四肢を拘束する。

「ガッ、アァァァァ!?」

身動きが取れなくなり焦るガーゴイル。

「はっ!」

ライダーが飛び上がると赤い輪もそれに合わせて動く。
それはさながら敵の中心に導くレールのようにも見えた。
ジャンプの頂点に着くと赤い輪が明滅し黄色に変わる。

「ライダァァァァァァァ・・・」

《Go!》

宝石の掛け声と共に輪は黄色から青へ、信号機のように色を変える。

「キィィィィィィィィック!!」

雄叫びと共に放たれた蹴りは無数の輪に沿って一直線にガーゴイルへと向かっていく。
キックと共に燃え上がるように輝きだした右足は輪を潜るごとに輝きを増し加速していく。

<ドガァッ!!>

「グアァァァァァァァァ!!?!?」

キックが当たると同時に眩い光が走る。

「わわっ!?」

「くっ!」

「なんちゅう魔力や!」

「うおっまぶしっ!」

なのは達はその光に思わず目を瞑る。
光が治まり目を開けると。胸を貫かれたガーゴイルとその背後で悠然と立っているライダーが居た。
ガーゴイルはそのまま前のめりに倒れ爆散する。

「す、すごい・・・」

「強い上にかっこええなぁ」

「少なくともAAAランク以上の力・・・」

「ちょっとアンタ!一体何者なの!?」

アルフが思わず詰め寄ろうとするがライダーはそれを遮るが、

「すまない、今はまだ語るべき時じゃないんだ」

「アンタに話す気が無くても私たちには聞きたい事が山ほどあるの!」

「うん、助けてくれたのは嬉しいけど・・・」

「なんでデバイスを持ってるのかとか、何者なんかとか色々な」

「・・・・・・」

それに構わずライダーに詰め寄る。

「お願い、悪いようにはしませんから。私たちに着いて来て下さい!」

「・・・すまない、エクスピーダー!」

ライダーの呼び声に答えどこからとも無く漆黒のバイクが無人で走ってくる。
素早くそのバイクに乗るとそのままライダーは走り去ってしまった。

「あっ!?逃げた!」

「アルフ!」

「・・・ダメだ、魔力を遮断してステルス状態にあるのかまるで感じられない。
 探査魔法での追跡は無理だね」

アルフは首を振りながら答える。

「あのスピードじゃ追いかけるんも難しそうやなぁ」

「とりあえずアースラに戻って報告して」

「戦闘記録から調査かな」

「せやね」

4人はそのまま飛び立ち帰っていく。


海鳴某所

暗がりの中に白衣を着た女性が立っている。
そこへライダーがやってくる。

「お疲れ様」

女性はライダーに労いの言葉をかける。
暗い上にサングラスをかけている女性の顔を窺い知る事はできない。

「変身解除」

《Form Off》

声に従いスーツが光の粒子に変わりベルトの宝石に吸い込まれる。
光が治まるとそこには青年が立っている。青年はベルトから宝石が埋め込まれたプレートを抜き取り、

「ガディン、お疲れ」

《All Right》

労うと胸のポケットにしまう。

「どうだった?」

「そうだな・・・少し恥ずかしかったな」

女性の問いに青年は答える。

「恥ずかしい?」

「ライダーとして名乗ったり技の名前を叫んだりポーズ決めたりがな・・・」

俯く青年の顔も暗くてよく解らない。

「音声入力が基本なんだししかたないわよ。あとは様式美ね」

「様式美?」

「そ、正義のヒーローとしてのね。やっぱりヒーローはかっこよくなくちゃ」

「はぁ・・・そういうのは苦手なんだがな・・・」

「まぁまぁ、それでなのはちゃん達の手伝いが出来るんだから安いもんでしょ?」

「まあな」

どうやらこの二人はなのは達の事を知っているようだ。

「しかしなんで正体を隠さなきゃならんのだ?」

「それはやっぱりヒーローの招待はヒ・ミ・ツってのがお約束だし」

「そんな理由なのか!?」

青年はおもわず声を荒げる。

「冗談よじょ〜だん」

「本当か?」

慌てて否定する助成に訝しげな目を向ける青年。

「私達はなのはちゃん達が魔法を使って戦っている事、時空管理局という組織に所属している事、
 実のところそれくらいの情報しか持ってないわ。
 一体どのような活動をしているのか、目的はなんなのか。
 まぁ悪い組織じゃ無いのは確かだけど、実はそんなに詳しい情報は持ってないのよ。
 それに彼女達の会話から察するにガディンの存在はかなりのイレギュラーらしいし、
 もう少し情報が揃わないと迂闊には動けないわ。」

「ふむ・・・」

「まぁヒーロー的な理由が全くないってわけじゃないけど」

「あのなぁ・・・まぁいい、しばらくは正体を隠しつつやるしかないか」

青年はそう呟きつつ夜空を見上げる。

「ま、なるようになるわよ」

「楽観的だな」

「無意味に悲観的に考えたって事態は好転しないわよ」

「フッ・・・そうだな」

二人はお互いを見やると女性をバイクの後ろに乗せその場から走り去った。




次回予告!
いつも通りの日常を過ごす面々、
そんな中魔獣を倒しに出動したシグナムはライダーに出会ってしまう。
連れ帰ろうとするシグナムとそれを拒否するライダーが激突する!
そこに現れた謎の女性プロフェッサーSと謎のメイド。
シグナムとライダー、勝つのはどっちだ!?
次回、魔法少女リリカルなのは外伝・仮面ライダーXs第二話
『激突!シグナムVSライダー!?鉄(くろがね)のメイド現る!!』に、Program Drive!!





あとがきと言うかなかがきと言うか

夜「どんも夜叉丸です」
凛「相方の凛で〜す」
夜「というわけでリリなの外伝・仮面ライダーXs第一話、いかがでしたでしょうか?」
凛「ねぇ、このライダーの招待っt」
夜「すとぉ〜っぷ!!それはネタバレだ!」
凛「いや、だってバレバr」
夜「そこはそれ!『どこの誰だか知ってるけれど誰もがみんな知らんぷり』で一つよろしく!」
凛「月○仮面なんて誰もわかんないって」
夜「まぁそれはおいといて、ベタなヒーロー物をやってみたかったとですよ」
凛「そもそもどんなコンセプトの話なの?」
夜「えっと・・・ヒーロー物であまりシリアスになりすぎずにほのぼのしつつギャグもちりばめて
  マターリしつつもカッコイイとこはカッコイイお話?」
凛「それなんてカオス?ってか書けるの?そんな話」
夜「さぁ?」
凛「さぁって・・・いいのかそんなんで」
夜「そこはもう成せば成るの精神で!」
凛「やれやれ」
夜「でわみなさんまた次回で〜」
凛「ばいば〜い」



おお、謎のヒーロー現る。
美姫 「いや、その正体って…」
わーわーわー!
美姫、世の中には変身しても顔が丸出しであるにも関わらず、何故か正体がばれないというヒーローもいるんだよ。
美姫 「まあ、確かにいるわよね」
だろう。ならば、全身が変わってしまったライダーの正体はまだ分からない、謎のままなんだ。
美姫 「べ、別に良いけど」
これぞ、ヒーローの鉄則ですよね!
美姫 「誰に同意を求めてるのよ」
あははは。いやー、色々と謎もあるんだけど。
美姫 「ライダーの持っていたデバイスとかよね」
うん。どうやって手に入れたのか、とか。次回が楽しみだな。
美姫 「次回も待ってますね〜」
待ってます。



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