優しい歌 第8話 春のさざなみ
*
私はこの春休み、海鳴の大学病院で看護士をしている知り合いの藤林椋さんを訪ねることにしました。
「ふう、やはり乗り物は疲れますね」
改札をくぐって駅前に出ると時計で時間を確認します。
「少し早かったようですね」
私は近くのベンチに腰掛けて待つことにしました。
「そう言えば、ここへ来るのはずいぶんと久しぶりですね。椋さん、元気かな?」
そんなことを考えていると遠くから見知った顔が駆けてきました。
「おーい、静香―♪」
「あっ……」
そう言いながら駆けてくるのは椋さんの下宿先のさざなみ寮の住人の陣内美緒さんです。いつも猫達を引き連れて駆け回っている元気な人です。
「久しぶりー。元気してた?」
「はい、美緒さんもお久しぶりです。さざなみの皆さんはお元気ですか?」
「うん。皆ありあまるくらい元気だよ。ところで今日はどうしたの?」
「せっかくの春休みなので椋さんの所へ遊びにきたんです」
「ああ、なるほど。だから朝からあんなに慌ててたんだ。……あっ、でも椋も那美ほどじゃないけどドジだからなー。待ち合わせしてるんならもう少しかかるんじゃない?」
「……美緒ちゃん、本人の前で言うことないでしょ」
「わー!椋っ、いつのまに」
「……さっき」
「ごっ、ごめん」
「はは、いいよ。手際が悪いのは事実だし」
「そっ、それじゃああたしはバイトがあるから行くね。それから静香、ゆっくりしてってね」
「はい、バイト頑張ってください」
そう言って美緒さんは去っていきました。
「それじゃあ、いこっか。まずは荷物を置きに寮のほうだよね?」
椋さんが仕切りなおすように笑いながら言いました。
「はい。そうさせていただきます」
*
どことも知れないとある洋館の前に男は立っていた。
「相変わらず悪趣味な造りですねえ」
男は自分のことは棚に上げて溜息を吐いていた。
*
私はこの街が好きです。
ここには温かい力が流れています。
そしてそれは世界の歪みを調和する安らぎとなる……
*
私は椋さんに連れられて久しぶりにさざなみ寮にやってきました。
「お邪魔します」
「あっ、静香ちゃん。いらっしゃい」
そう言って出迎えてくれたのはここのオーナーである槙原愛さんです。
「お久しぶりです。愛さん」
「半年ぶりくらいになるのかしら」
「はい、ちょっといろいろあって慌しかったものですから。皆さん、お元気ですか?」
「相変わらずここの住人は元気よ。今日はこれからどうするの?」
「椋さんと出かける予定です。買い物したり公園を散歩したりです」
「しばらくはこっちにいるのよね?」
「お世話になります」
そう言って頭を下げる私に、愛さんはにこにこ笑顔でこちらこそと言ってくれました。
「じゃあ、とりあえずお買い物はお昼からにしてこれからどうする?」
「そうですね。他の人達にも挨拶をしたいですし」
「解かった。じゃあ私、部屋でレポートの整理してるから何かあったら呼んでね」
そう言って部屋に向かう椋さんに頷きながら、私は靴を脱いで上がりました。
並んでいる靴がやたらと多いですが、誰かお客さんでもきているのでしょうか。
そう思っていると、リビングからは楽しそうな笑い声が聞こえてきました。
そこには去年の夏にここへ来たときに知り合ったドジだけど優しい神咲那美さんが見知
らぬ三つ編みメガネの女の子と何やら刀を抜いてうっとりしていました。
はたから見るとちょっと危険です。
しばらくそんな光景を眺めていると那美さんが私に気付いて声を掛けてきました。
「あっ、静香さん。お久しぶりです」
「はい。お久しぶりです、今日は久遠は一緒じゃないんですか?」
「久遠はお出かけしてるんです。多分、今はお友達のところじゃないかと」
そう言う那美さんは何だかとっても嬉しそうです。
「あの……那美さん、この人は誰ですか?」
「あああ、すっ、すみません。久しぶりの再会だったのでつい。ええと、紹介しますね。この人は亀谷静香さん」
「はじめまして、亀谷静香です」
「はじめまして、高町美由希です」
良い眼をしていますね。刀を持っているということは剣士さんかな?
「お二人は何をなさってたんですか?」
「刀の見せ合いっこをしてたんです。美由希さん刀剣マニアなんですよ」
そう言って那美さんは抜き身の短刀“雪月”を見せてくれました。
陽光を反射して光る刀身はとても綺麗で、私も思わず見惚れてしまいました。
本物の退魔師である彼女の剣にはその霊力の残滓が色濃く残っているようです。
「あの、わたしのもよかったら見ます?」
雪月を熱心に眺めていた私に、美由希さんがそう言って自分の刀を差し出してきました。
それは日本刀より少し短い、小太刀というものでしょうか。
美由希さんはそれを二本、それぞれ左右の腰に一本ずつ差しているようです。
「小太刀の二刀流ですか。珍しいですね」
「御神流っていうんです。って知りませんよね」
そう言って苦笑する美由希さんに、私は済みませんと言いながら内心考えていました。
――小太刀二刀……御神流……ですか。
確か正式な名称は永全不動八門一派・御神真刀流小太刀二刀術。
麗奈さんの書斎で名前を見たことがあります。
その流派を代々伝えてきた一族は今はもう滅びてしまったとも聞いています。
「美由希さんはその剣を誰に教わったんですか?」
「私の兄です」
「ご兄弟で剣術をされているのですね」
「はい。兄にはまだまだかないませんけど」
そう言って目を細める美由希さんの目にはきっとお兄さんの背中が眩しく映っているのでしょう。
「ところでお二人はこの後どうされるんですか?」
「わたしたちですか」
「私、午後から椋さんとお買い物に行くんですけど、よければお二人もご一緒にどうですか?」
「ああ、いいですねぇ。実は私達もそうしようかと話していたところなんですよ」
雪月を鞘に納めつつそう言う那美さんに、美由希さんも頷いて肯定しました。
「あ、でもわたしはその前にやることがあるので」
そう言って時計を確認する美由希さん。何か動作がわざとらしいです。
そのとき玄関のほうからチャイムの音が聞こえてきました。
今日はお客さんが多いですね。まあ、私もその一人なのですが。
しばらくするとリビングに愛さんとこれまたずいぶんと懐かしい人が入ってきました。
「あっ、薫ちゃん。どうしたの?急に」
そう、那美さんのお義姉さんの薫さんです。
私はこの人に何かと良くしてもらっています。
直接会うのは二年ぶりくらいでしょうか。
最近は鹿児島に帰ってしまい、仕事の都合で各地を転々としているそうです。
「おお、那美か。仕事でこの近くまで来とったんよ。それでこっちにいる間泊まらせてもらおうと思って。……っと、静香じゃないか。久しぶりだね。元気にしとったか?」
「はい、薫さんもお久しぶりです」
「しばらく見んうちにずいぶんと大人っぽくなったね」
「あはは、ありがとうございます。お世辞でも嬉しいです」
「いやお世辞じゃなかよ。本当に綺麗になったよ静香」
「もう、薫さんったら」
「薫ちゃんは相変わらず静香さんにべったりなんだから」
隣で那美さんが呆れたように笑っています。
「おかしなこと言うもんじゃなか。うちは純粋にかわいい妹分の成長を喜んどるだけよ」
「はいはい。そういうことにしておいてあげます」
那美さん、ここぞとばかりに薫さんをあしらってます。私はどうなっても知りませんよ。
「あの、薫さん。しばらくこっちにいるんですよね」
美由希さんがおずおずとそう尋ねました。
「ああ、そのつもりだけど」
「じゃあその間にまた一度手合わせをお願いしてもいいですか?」
「もちろん。寧ろこっちからお願いしたいくらいだよ」
「ありがとうございます」
そう言って頭を下げる美由希さん。
「じゃあ、どうする。うちのほうはこれからすぐにでも構わないけど」
「お願いします。装備は一式揃えてありますんで」
そう言って美由希さんは竹刀袋を開いて見せる。
「あの、2人ともいったい何を」
急な展開に困惑する那美さん。そこへお茶を持って愛さんがやってきました。
「ああ、愛さんちょうどいいところに。今から一本試合をするので庭に近づかないようにと他の皆に伝えてもらえませんか」
「えっ?いいけど。危なくないですか?」
愛さんは2人が持っている練習刀を見て困ったように尋ねます。
「大丈夫です。一応うちも彼女もプロですから」
「だからかえって心配なんです。二人ともすごいから」
と愛さん。いくら解かっていても怪我はしてほしくないのでしょう。
「愛、本人達が大丈夫って言ってんだから任せてやりな」
そこにはいつの間に現れたのか真雪さんが立っていました。
「お久しぶりです。仁村さん」
「ああ、神咲姉に静香。久しぶり」
「はい。お久しぶりです」
軽く手を挙げる真雪さんに、私と薫さんはそれぞれ会釈しました。
「でっ、やるのか?試合」
「せっかくの機会ですし。うちもたまにはやらないと腕が鈍ってしまいますんで」
「よし、あたしが審判をしてやる」
「ま、真雪さん」
「大丈夫だって。こいつらだって自分の力量が測れないほど素人じゃないんだから」
「むう……。じゃあお願いしますけど危なくなったらちゃんと止めてくださいよ」
「わーってるって」
こうして愛さんは渋々引き下がっていきました。
「さ、那美さん。私達も見に行きましょう」
「ええっ!?わたし達も行くんですか」
那美さんはおっかないと言わんばかりにたじろいでいます。
「ここで待っているのも退屈なので行きましょう」
「わたしは遠慮します〜」
那美さんの悲鳴には聞く耳を持たず、私は彼女を引きずっていきました。
*
男は無数の巨大な石像と対峙していた。どれも同じ顔でしかも悪趣味である。
「これはまた大人数での歓迎ですか。あまり嬉しくない歓迎ですね。貴方達には用はありません、ここを通してもらいますよ」
そう言って男は地を蹴った。
*
「よーし、制限時間は無制限で投げ物は禁止。先に一本とったほうの勝ち。それでいいな?」
「はい」
真雪さんの指示に二人は頷きました。
「それじゃあ……始めっ!」
こうして戦いの火蓋は切って落とされた。
しかしどちらも一歩も動かずにらみ合っています。
「……どうして2人とも動かないんですか?」
観念して2人を観察していた那美さんが不思議そうに呟きました。
「ありゃあ、動かないんじゃなくて動けないんだ」
そんな那美さんに隣まで来て真雪さんが解説してくれました。
「実力が拮抗してるやつ同士の戦いってのは大体先に動いたほうが負けるんだ。そうだな……二人の足元をよく見てみな」
「あっ!2人とも足を少しずつずらしてる」
「ああやって互いの機先を牽制しあってるんだ」
真雪さんがそんな説明をしているとふいに美由希さんが飛び出しました。
「はあああああ――!!」
二本のうちの片方を抜刀して一気に間合いを詰め、上段からの斬撃。
「ふっ……!」
薫さんはそれを軽いバックステップでかわす。
美由希さんは間をおかずにもう一本の刀を抜いて薫さんの胴を狙います。
薫さんはこれも後ろに下がってかわすと、上段から刀を振り下ろしました。
美由希さんはこれを右の小太刀で流し、左の小太刀で突きを繰り出しますが、薫さんは胴を捻ってそれをかわしました。
そして下段からの切り上げ。
美由希さんは今度は受けずに後ろへ大きく跳んで間合いを取りました。
「……この間合い、何か仕掛けるつもりですね」
私は美由希さんの動きに注目しました。
薫さんもそれが分かっているのか、一度刀を鞘に納めると上体を捻って抜刀術の構えを取りました。
美由希さんが左の小太刀を納め、右の小太刀をゆっくりと肩の高さまで持っていきます。
あれは刺突の構え。それもあんなに体を引き絞っているということは必殺技でしょうか。
対する薫さんは抜刀術の構えのままで体をぎりぎりまで前に倒して少しでも技の威力を上げようとしています。
「おい、那美。神咲の使う技の中にあんなのあったか?」
「わたしは知りませんよ」
真雪さんの疑問に那美さんは首を横に振っています。
「けど、ありゃ半端な技じゃねえぞ。高町妹のほうも奥義を出すみたいだし」
「止めたほうがいいんじゃ」
「おまえ、あの状態の二人の間に割って入る度胸あるか?」
そうこうしているうちに二人は動き出していました。
一歩目は美由希さんのほうが先。でも、そこから先の速さはどちらもそんなに違わない。
「はあっ!!」
薫さんの刀が美由希さんの小太刀を弾き飛ばす。
しかし、そのとき美由希さんは既に左の小太刀を抜き放っていたのです。
放たれた刺突が刀の斬撃を掻い潜って薫さんの首筋へと向かう。
「きゃあ、薫ちゃん!」
切れたと思ったらしい那美さんが悲鳴を上げています。
「勝負あったな。まさか神咲が負けるとは思わなかったよ」
真雪さんが神妙な面持ちで頷きました。
「はぁはぁ、しっ死ぬかと思った」
小太刀をしまいつつ、美由希さんはがっくりと脱力してしまいました。
よほど怖かったのでしょう。
確かにあの勢いの抜刀術を受け止めたりしたら腕が千切れかねませんものね。
刀を合わせた瞬間に手を放した一瞬の判断はさすが、御神の剣士です。
それとも最初から右はフェイントで、左が本命だったんでしょうか。
いずれにしても興味深いです。零一さんが見たらさぞかし喜ぶことでしょうね。
「うちの負けだよ。まさか、ここまで強くなってるとは思わなかったよ。うちもまだまだ修行が足らんな」
薫さんも刀をしまい両手を振りながら満足そうに笑っていました。
「ありがとうございます」
そのとき後ろから拍手の音が聞こえてきました。
「あっ、母さん」
「見事だったよ。美由希」
そこに立っていたのは全身黒尽くめの独特な雰囲気を漂わせた女性でした。
「うひゃあ、この人はまた一段と曲者だな」
隣で真雪さんが舌を巻いています。
「あっあの、貴方は?」
薫さんも声が少し上ずっているようです。
「美由希の母で御神美沙斗です。娘に付き合っていただいてありがとうございます」
「いえ、そんな。うちも勉強になりましたし」
「ありがとうございます。ところで美由希、テーブルの上に忘れ物だよ」
そう言って美沙斗さんが美由希さんに紙袋を手渡しました。
「あっ、今日那美さんに返そうと思ってた本だ。母さんありがとう」
美由希さんはちょっと恥ずかしそうにそれを受け取って那美さんのところまで駆けて来ました。
「那美さん、これ返すの遅くなってすみませんでした」
「あはは、それはいいんですけど……できればここから下ろしてもらえませんか」
那美さんは半泣き状態になってます。
そういえば逃げられないように簀巻きにしていたのをすっかり忘れていました。
「あっあはは」
美由希さんは困ったような笑いを浮かべながらナイフで縄を切ってあげています。
「うう……、静香さんひどいです……」
涙目になりながらそう言って私のほうを見る那美さん。ちょっと反省です。
「そうだ。美由希、せっかくだから昨日の鍛錬の続き、ここでやっておく?ちょうど刀もあることだし」
美沙斗さんが竹刀袋から練習刀を取り出して美由希さんに尋ねます。
「あっ……えーと」
頷きそうになった美由希さんは那美さんのほうを見て困った顔をしています。
「あっわたしはいいですよ。ここで見てますから。それにお昼も近いことですし」
那美さんは美由希さんの意図を察して笑って頷きました。
「すみません、後で一杯遊びましょうね」
美由希さんは済まなそうに、でもとても嬉しそうに美沙斗さんの下へ駆けていきました。
「いいんですか?一緒に遊んでいたのでしょう」
私はふと気になったので那美さんにいにを聞いてみました。
「いいんですよ。だって美由希さんあんなに嬉しそうでしょう?これは最近美由希さんから聞いた話なんですけど、美由希さんは恭也さんやなのはちゃんとは血が繋がっていないんだそうです」
恭也やなのはというのは美由希さんのご家族なのでしょう。
「美由希さんの本名は御神、恭也さん達とは従姉妹同士なんだそうです。そして美由希さんの本当のお母さん、美沙斗さんはご家族や親戚が全員テロリストに殺されてそのショックで復讐に走った。その時に美由希さんは今のお家に預けられ“親に捨てられた”と教えられ育ってきたそうです。それが美沙斗さんが美由希さんを託したときの約束だったそうです」
「つまり誤解したまま育ってきたのですね?」
「はい。そして2人が再会したのは暗殺者とボディガードとしてでした」
「悲しい再会ですね。誤解をしたまま立ちはだかるのと娘と知りながら切り捨てる」
「でも2人は最終的に分かり合えました。2人とも無事でした。わたしは幼い頃に両親を亡くしました。今は薫ちゃんの家族として温かく包んでもらってますけど温かく包んでくれるのはやっぱり本当の血の繋がった家族、特にお母さんであって欲しいですよ。だから美由希さんがあんなに嬉しそうに笑ってくれるのならわたしは親友として見守ってあげたいんです」
そう言いながら那美さんは美沙斗さんと真剣な表情で向き合う美由希さんを優しい眼で見つめるのでした。
*
「やっと見つけましたよシュウ・シラカワ」
男は肩で息をしながら壁に寄りかかっていた。
「ほう、ここまでたどり着くとはさすがですねシルフィス。まさかあのシュンを退けるとは思ってもみませんでした」
「なかなか骨の折れる歓迎ありがとうございます」
「ちょっとした余興ですよ。それで今日は何の用です?」
「貴方の真意を確かめにきました」
シュウはそれを聞いて楽しそうに眼を細めた。
「それはいったいどういうことです?」
「ラミアスの柱を時空の狭間に流したのは貴方でしょう?」
「そういえば時空制御装置の実験テストの時座標の特定を間違えてしまいましたからね。その時に流れたのでしょう」
くっくっく、と不気味な笑い声を上げてシュウは楽しそうに語った。
「あれが消失すれば世界がどうなるか試したかったのではないですか?」
「ほう?さすがは察しが早い、どこかの方向音痴とは大違いですね」
「マサキはまだ貴方を追いかけているのですね」
「彼もいろいろと素質はあるのですがどうも直情的で困ります」
「貴方も本当にお変わりないのですね」
「ええ、私は変わりませんよ。今も昔もそして、これからも」
「……それが貴方の真意なのですね。用はそれだけですお騒がせしました」
そう言ってシルフィスは踵をかえした。
「私をこのまま放置しておくのですか?」
「私程度の力では貴方を倒すことはできませんし、その気になれば私を倒すこともできるはず。つまりそれが貴方の望みなのでしょう?」
シュウはそれを聞いてますます愉快だと言わんばかりに笑い出した。
「こちらの手の内は見え透いているということですか。ですが忘れないでくださいシルフィス、貴方は私と同じ種類の人間なのだということを。私は今でも貴方を気に入っています。どうです?“こちら”へ戻ってくる気はありませんか」
「……私はそちらの世界から足を洗ったつもりです。私が今仕えているのはボルクルスでもダークスターでもありません」
「偽りの神は本物の神には勝てませんからね。まあこの話はまたの機会にしましょう。今はゆっくりと平穏な日々を楽しむといいでしょう。じきにそんな暇もなくなるのですから」
辺りにはシュウの不気味な笑い声と暗黒の世界が広がるばかりだった。
あとがき
こんにちは堀江紀衣です。
今回のお話はほのぼので密かに動き出す陰謀です。
麗奈「そんなのはどうでもいいからとっとと始めるわよ」
紀衣、何か喋る前に舞台裏へ連れて行かれる。
麗奈「それではただいまより第4回堀江紀衣着せ替えショーを始めます」
佐祐理「わくわく」
麗奈「さて今回はなんと今や絶滅の危機に瀕している幻の天然記念物。誰もが一度は萌えただろうあの姿、そう昔はどこでもお目にかかることのできた美少女の魅力をされに引き立てる必須アイテムブルマっ!!」
紀衣「疲れたときには眼の保養、そんな時はわたしを見て元気を出して(もう何も語るまい)」
佐祐理「今となってはほとんど見かけなくなりましたね」
麗奈「売ってるところはあるらしいけど、それにしても聞き捨てならないわね。ブルマ着用を廃止するなんて、全国のブルマファンが泣くわよ」
紀衣「変な眼で見られるほうの身にもなってください。そんな人がいるから廃止されるんです」
麗奈「あんた、あたしに口答えするとはいい度胸ね。次回のこの場でフルヌードで立たせるわよ」
紀衣「ひぃ、それだけは勘弁してください」
麗奈「まっ、それはさておき、今年もまた梅雨の時期ね」
佐祐理「湿気が多くなるしお洗濯してもなかなか乾きにくくなるから嫌ですね」
麗奈「それを耐えしのげばいよいよ例のモノがお披露目できるわ」
佐祐理「わあ、それは楽しみです」
麗奈「そんな訳で次回もお楽しみに」
今回は、ほのぼの〜。
美姫 「でも、その影では何やら怪しげな動きが…」
一体、どんな陰謀が動き出しているのか。
美姫 「次回以降も非常に楽しみ〜♪」
一体、どんなお話が待っているのか。
美姫 「そして、どんな着せ替えが待っているのか」
本編と後書きの一粒で二度美味しいこの『優しい歌』
美姫 「さてさて、次回はどんなお話かな〜」
楽しみに待ってますね〜。
美姫 「それじゃ〜ね〜」