この話は全てにおいてご都合主義で進んでいきます。
そういった話が嫌いな方は読まないほうがいいかも知れません。
そして全体的にキャラは壊れ気味なのでそういったのが嫌いな方も読まないほうがいいと思います。
それでもいいという方はどうぞお進み下さい。
天使の花園
第1話「出会い」
リリアン女子学園のマリア像の前で祐巳は黄昏ていた。
[祐巳]
「はぁ……今まで大変だったなぁ」
高校の制服を身に纏った祐巳は大きくため息をついてそんなことを呟いた。
[祐巳]
「お姉様ってばどうして私にあんなことを…?」
去年の体育祭以降ほぼ毎日と言っていいほどに祥子に追いかけられ続けたのだ。
とちょうどその時、
[蔦子]
「その表情いただき」
カシャッ
[祐巳]
「わわっ」
急にフラッシュで目が眩みよろけてしまいマリア像の台座にもたれ掛かる。
[蔦子]
「祐巳さんのしんみりとした表情が珍しいから撮らせてもらったわ」
武嶋蔦子彼女は写真部姉妹である。
蔦子自身はさばさばした雰囲気である。
[祐巳]
「もうびっくりしたじゃない」
[蔦子]
「はっはっはごめんごめん」
この二人はいつも通りのやりとりをしていた。
[さくら]
「ふふ、あいかわらずですね」
[フィリス]
「だめだよさくらさん笑っちゃ」
後ろのほうから押さえ気味の笑う声と、咎めようとしているけれど顔は笑うことを堪えている二人がいた。
[祐巳]
「ああー二人とも見てたのー」
[蔦子]
「ごきげんようお二人さん」
[さくら]
「ごきげんよう」
[フィリス]
「ごきげんよう、祐巳さん、蔦子さん」
綺堂さくら周囲からはカスミ草と呼ばれている姉妹のつぼみの妹である。少しからかう癖がある。
フィリス・矢沢薔薇様と呼ばれる中の青薔薇のつぼみの妹である。姉であるリスティ・槙原と違い大人しい性格である。
[さくら]
「ところで祐巳さん」
[祐巳]
「なんですか?」
[さくら]
「相変わらず祥子様からは逃げてらっしゃるのね」
[祐巳]
「な、なにを急に」
[フィリス]
「だめだよさくらさんそのことに触れては」
[祐巳]
「むうぅー」
[さくら]
「いい加減に観念なさったら?」
[祐巳]
「観念って…そういうわけにはいきません」
[さくら]
「あら、どうして?」
[祐巳]
「そ、それは…」
[さくら]
「祥子様のこと憧れていたんでしょう?」
[祐巳]
「それはそうだけど…」
[さくら]
「ならどうしてなんですか?」
[祐巳]
「私を追いかけてくる時の祥子様の目が怖くて…」
[3人]
「「「あ、あはは…」」」
苦笑する3人。3人共追いかけ合いをしている2人を間近で見ているだけに同情の色を隠せない。
丁度そこへ、
[祥子]
「酷いわ祐巳こんなにも貴女の事を大切に思っているのに」
泣き真似をしながら祐巳の背後に現れたのは祥子だった。
[祐巳]
「ぎゃあぁ、でたー」
逃げようとする祐巳を捕まえる祥子。
[祥子]
「逃げなくてもいいじゃない祐巳」
[祐巳]
「す、すみません……って何処掴んでるんですかぁ」
泣きそうな顔をしながら尋ねる。
[祥子]
「いいじゃない祐巳と私の仲じゃない。それに酷いこと言った罰よ」
[祐巳]
「うぅー罰ってなんですか…」
[祥子]
「うふふそれはね…」
その時祥子の言葉を遮るように、
[フィリス]
「ごきげんよう祥子様」
[蔦子]
「ごきげんよう赤薔薇のつぼみ」
[さくら]
「ごきげんよう赤薔薇のつぼみ」
フィリス、蔦子、さくらが挨拶をした。
[祥子]
「んもういい所だったのに…ごきげんよう、皆さん」
[祐巳]
「(た、助かったぁ)」
[フィリス]
「そういえば祥子様山百合会の準備はもうよろしいのですか?」
[祥子]
「んもうフィリスったらせっかくの逢瀬の時間を作ってきたのに…」
[祐巳]
「は、ははは…はぁ」
[祥子]
「名残惜しいけどそろそろ行くわね」
去っていこうとする祥子。
しかし振り返り様に、
[祥子]
「あっそうそう祐巳」
[祐巳]
「な、なんでしょう?」
ビクビクしながら聞き返した。
[祥子]
「入学おめでとう」
軽く会釈をして去っていった。
[祐巳]
「入学式……何事もないといいけどなぁ…」
[さくら]
「まぁ楽しみにしてればいいんじゃない?」
[蔦子]
「私としてはその様子を写真に収められればいいし」
[フィリス]
「でも蔦子さん式のときにまた目立たないでね」
[蔦子]
「わかってるわよ」
[フィリス]
「ほんとかしら…」
[さくら]
「ふふっ」
そんな話をしていると、
[???]
「あの申し訳ないのですが…」
声をかける人物がいた。
[フィリス]
「はい、なんでしょう……か?」
動きが止まってしまうフィリス。
[???]
「あの大丈夫ですか?」
[フィリス]
「えっあ…はい。だ、大丈夫です」
慌てて取り繕うフィリス。
それを見ていた3人は、
[祐巳]
「(誰だろうこの人…でも綺麗な人だなぁ)」
[さくら]
「(ふーんあのフィリスちゃんが慌てるなんて珍しいわね。それにかっこいいじゃない)」
[蔦子]
「(あー今シャッターチャンス逃しちゃった)」
などと考えていた。
[さくら]
「あの失礼ですが貴方は?」
[恭也]
「失礼しました。私は高町恭也といいます。新任の教師としてここに来たのですが職員室が何処にあるのかわからないのでお尋ねしようと」
と答えた。
[祐巳]
「新任の方なのですか?随分若い気がするのですが…」
[フィリス]
「祐巳さん失礼ですよ」
[祐巳]
「そ、そうですね。失礼しました」
[恭也]
「いえかまいませんよ。今年で24になります」
[さくら]
「まぁお若いんですね」
[蔦子]
「え、えっと…職員室でしたらあちらの校舎の1階にございますよ」
[恭也]
「そうですかありがとうございます」
[蔦子]
「いえ」
[恭也]
「それではまた後ほど」
頭を下げ翠屋で鍛えられたスマイルを残して立ち去っていく恭也
それを上の空で見送る4人
そこに、
[由乃]
「あれみんなどうかしたの?」
由乃が声をかけてきた。
島津由乃は黄薔薇のつぼみの妹である。
[4人]
「「「「ぽー」」」」
頬を赤らめて立ち尽くしている4人は由乃の存在に気がついていない。
[由乃]
「んーこれは…」
4人の周囲を回りながら観察をするが、
[由乃]
「分かんないから…えいっ」
と気合一閃4人にチョップをしたのだ。
[祐巳]
「ふぎゅ」
[蔦子]
「あいた」
[さくら]
「いたっ」
[フィリス]
「うぅ」
身悶える4人
[祐巳]
「いきなり何するの由乃さん」
[由乃]
「いきなりじゃないわよ…みんなしてぼーっとしてどうしたの?」
[フィリス]
「い、いつから見てらしたの?」
[由乃]
「いつからってぽーっと中空を見つめ始めたころからだけど…」
[さくら]
「あら先ほどの方はもう行ってしまったんですね。もう少しお話がしたかったのに…」
「由乃」
「誰かいたの?」
[祐巳]
「新任の先生がいたんだけど…」
[由乃]
「けど?」
[フィリス]
「若い男の方で」
[さくら]
「綺麗な笑顔だったわ」
さっきの笑顔を思い出したのかまた4人の頬が赤くなっていく。
[由乃]
「ふーん」
[祐巳]
「ふーんって興味ないの?」
[由乃]
「無いって訳じゃないけど直接見てみないことにはなんとも言えない」
[さくら]
「まぁ確かにね」
[由乃]
「でもみんなが好きになるくらいだから…」
[4人]
「な、何言ってるんだよー」
[由乃]
「照れなくてもいいじゃない」
[4人]
「「「「照れてないって」」」」
[由乃]
「ふーん」
疑いのまなざしを向ける由乃
4人は頬を赤くしながらも目線を背けることで精一杯になっていた。
[さくら]
「ま、まぁとにかくクラス発表見に行かない?」
話題を変えようとするさくら
[祐巳]
「そ、そうだね」
[フィリス]
「い、行こうか」
[蔦子]
「よーし行こ行こ」
由乃をほったらかしにして移動しようとする4人
[由乃]
「あ、待ってよー答えなさいよー」
4人の後を追いかけていった。
後書き
[圭] 「と言う訳で第1話をおおくりしました」
[恭也]「随分メンバー少なくないか?」
[圭] 「急に人数増やすと書き分けられないからな。えっへん」
[祐巳]「威張ることじゃないですよまったく…」
[圭] 「祐巳ちゃん厳しいの(うるうる)」
[さくら]「泣きまねしても駄目ですよ」
[圭] 「むぅ…厳しいねさくらちゃんも」
[蔦子]「所で次ははどうなってるの?」
[圭] 「次の話は入学式前の日常みたいなものかな」
[フィリス]「多少は考えてるんですね」
[圭] 「それは褒めてるの?貶してるの?」
[恭也]「貶してるんだろ」
[圭] 「うぅみんなして苛めるのね」
[祐巳]「はいはい、これ以上話をややこしくしないでねー。それでは第2話でー」
[ALL]「それでは〜」
果たして無事に入学式が終るのかどうか。
美姫 「ここはやはり、新任教師の紹介とかがあるでしょから」
おお、無事では済みそうも無い予感。
美姫 「更に、蔦子さんが何かしそうだし」
後は、祥子とか。
美姫 「非常に面白そうな入学式ね」
うんうん。実際に何が起こるのかは次回の楽しみだね。
美姫 「次回が待ち遠しいわ」
それでは、次回を待ってます。
美姫 「待ってま〜す」