<スペース削減! 一行で分かる前回のあらすじ>
柳也はやっぱり他の人から見ても変態らしい。
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内容がよく分かったところで本編へどうぞ。
るーちゃん「い・い・か・げ・ん・に、しなさぁぁぁい!!!」
才人「最後のあれか? 最後のコルベール先生とロングビルのくだりか!?」
柳也「なるほど! そういう話かッ。つまり俺はいやん、ばかん、うっふん、そこはお乳なの、な展開の中で、伝説の傭兵マイク・エイジャックスと戦えばいいんだな!」
タバサ「……うるさい。シルフィード、やっちゃって」
柳也「ぎゃぱあああああああッ!!!」
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……というわけで、改めて本編へどうぞ。
◇
昼。
アルヴェーズ食堂の厨房の流し場で、褌の男こと桜坂柳也は鼻歌混じりに皿を磨いていた。
彼がなにゆえいまだに褌一丁でいるかは永遠の謎に包まれている。
貴族達に振る舞われる一流の料理の供には、やはり一級の食器がよく似合う。
ヤスデの葉のような大きな手の中で、くるくる、と皿を回す彼の鼻腔から漏れる、調子はずれのメロディ・ラインは、勿論ミリタリー・オタクの青年が愛して止まない軍歌だった。
白磁の食器を丹精に拭いながら、柳也の意識は別な時代、別な世界へと飛んでいた。
時代は明治三七年三月二七日。場所はロシア太平洋艦隊拠点、要塞軍港旅順港。日露戦争当時、日本連合艦隊に託された使命は、日本海の制海権を確保することにあった。日露戦争は最強の陸軍大国ロシアと、極東の小国日本が中国の大地で激突した戦争だった。当時、ロシアはシベリア鉄道と接続する東清鉄道、南満州支線を使うことで欧州から奉天、遼陽、旅順までを繋ぐ大鉄道網を構築していた。ロシア軍はその鉄道力をフルに活用して兵を送り込むことが出来た。他方、日本が大陸に兵を送り込み、その戦闘力を維持するべく物資を送り続けるためには、日本海を渡らねばならない。日本海の制海権を守ることは、大陸で戦う陸軍を支援することでもあった。
連合艦隊が日本海の制海権を確保する上での最大の敵は、ロシア海軍だった。当時の日本とロシアの海軍力は、公平に見て四対一〇といったところだった。当時、ロシア海軍はバルト海のバルチック艦隊、黒海の黒海艦隊、旅順の旅順艦隊の三つの艦隊を持っていた。それぞれ、四、二、四といったところだろう。このうち黒海艦隊は、親日国トルコがボスポラス海峡を閉鎖してくれたおかげで日本を脅かす脅威たりえなかったが、バルチック艦隊はアジアへ向けて出航の準備をしていた。
旅順艦隊とバルチック艦隊が合流をはたせば、敵の海軍力は連合艦隊を大きく上回ることになる。なんとしてもバルチック艦隊がやって来る前に、旅順艦隊を倒さねばならない。それも連合艦隊のダメージを最小に抑えながら。連合艦隊はロシア太平洋艦隊打倒のために、様々な作戦を実行した。
そうした作戦の一つが、三次にわたって実施された旅順閉塞作戦だった。旅順艦隊を無力化するという意味では、何も敵艦隊を撃滅する必要はない。旅順港口は東の黄金山と西の老虎尾半島に挟まれた、袋の口のような構造をしていた。この狭い袋の口に、バラストを満載した船を沈めてしまえば、敵艦隊は身動きが取れなくなる。
第一回が二月二四日に行われ失敗。続いて第二階が、三月二七日に実施された。その中で、日本海軍初の軍神が生まれた。名を、広瀬武夫という。
「とっどろ〜く、つっつお〜と、とびく〜るだぁんがぁぁん♪」
広瀬武夫は明治元年、豊後竹田(現在の大分県竹田市)の地に生まれた。あの『荒城の月』の作曲者、滝廉太郎と同郷で、面識もあったという。彼は海軍兵学校に入学し、日露戦争に際しては戦艦“朝日”に乗船、水雷長として出征した。
「あっらなぁ〜み、あぁら〜う、デッキぃ、のうえっに〜♪」
決して優秀な軍人ではなかった。事実、兵学校時代の成績はあまり振るわなかった。しかしもっぱら柔道に強く、豪放磊落な性格は周囲の人々からの敬愛を集めた。
旅順港に対する閉塞作戦の第二回が実施される時、広瀬は自らも作戦の参加を志願、福井丸に乗船し、作戦の陣頭指揮を執った。
第一回の作戦失敗により、敵は旅順港に強固な防衛体制を敷いていた。
激しい砲火に晒される中、ついに広瀬の福井丸も被弾。沈没寸前となる。広瀬は救命ボートに移って脱出しようとした。しかしその時、彼はあることに気付いた。部下の杉野兵曹の姿が見えない。広瀬は福井丸へと戻った。
「闇をぉ、つっらぬ〜く、中佐ぁの叫びぃぃぃ〜〜♪」
福井丸に戻った広瀬は、部下の名前を呼び回った。
「杉野は何処〜、杉野は居ずや〜♪」
船内隈なく尋ぬる三度。
呼べど答えず、探せど見えず。
船は次第に波間へと沈み。
敵弾いよいよ辺りに繁し。
福井丸は沈んだ。広瀬と、杉野を乗せたまま、沈んだ。
広瀬の死後、彼の友人達は愛すべき男を失った、と泣いた。いつしか広瀬は、軍神と呼ばれるようになった。階級も死後、少佐から中佐へと昇進した。
部下のために命を張った広瀬の美談は、たちまち一般国民の間で感動を呼んだ。彼にまつわる様々な軍歌が生まれた。そうした中で最も有名なのが、柳也の歌う、『広瀬中佐』だった。
心行くまで軍神広瀬の活躍を口ずさんだ柳也は、晴れ晴れとした気持ちで次の皿を手に取った。
自らを美声の持ち主と信じて疑わない柳也だった。実際は美声には程遠い喉と壊滅的な音感の持ち主の彼だったが、調子に乗った青年は、続いて即興の歌を口ずさんだ。勿論、作詞作曲はともに柳也自身だ。曲名は……そう、『熟女道』とでもしようか。
「この道一筋幾十年〜♪
ただれった乳房が大好物〜
若い女子もいいけれど〜
やっぱり女子は四十過ぎ〜♪」
「って、おのれは何を歌っているか〜〜〜ッ!」
「うぎゃああああっ!!」
黄色い声。そして、突如として背後より衝撃。そのまま、どんがらがっしゃん、と転倒してしまう。
無防備な背中をしたたかに蹴られ、柳也はもんどりうって床を転がった。武人のたしなみとして受身を取るのは忘れなかったが、その被害は甚大だった。柳也の手の中にあった一等品の大皿は、彼の手の中を滑って落下。ビスケットのように割れてしまった。
「んのわぁぁ〜〜〜! お、おでの一ヶ月分の給料ぐぁわあああっっ!!」
柳也は泣いた。澎湃と泣いた。出産を終えた海亀のように泣いた。宇宙に帰りたがるシーボーズのように泣いた。地球に帰ってきたジャミラのように泣いた。彼は初代ウルトラマンが大好きだった。ちなみにいちばん好きな怪獣は、ゴモラだ。
眼下には割れてしまった大皿の破片。
ふと顔を上げれば、そこにはたいそうご立腹の様子のルイズが立っていた。胸の前で腕を組み、高圧的に柳也を見下している。
柳也は立ち上がるとご主人様に食ってかかった。
「るーちゃん! 突然何をするんだ? 何でこんなことをしたんだ? 俺が何をしたっていうんだ!?」
柳也は荒々しい語気を唇から迸らせて、ルイズに訊ねた。
応じて、ルイズの唇から紡ぎ出された言の葉も、烈々たる語調を孕んでいた。まるで怒りの感情が舌を動かしているかのようだ。
「それはこっちの台詞よ! 何なの、あの歌は!? 食堂どころか、本塔の外にまで響いてたじゃない! あんた、私に恥をかかせたいわけ!? あと、いい加減るーちゃんって呼ぶのをやめなさい!」
「質問に答えよう。あの歌は俺の熟女への熱い想いをポップ調のメロディ・ラインに乗せた調べだ。べつにるーちゃんに恥をかかせようなどという腹積もりはない。それから、この作品では、俺は最後までるーちゃんで押し通させてもらう!」
「作品って何よ……」
ルイズは頭を抱えて嘆息した。
そんな彼女の背後では、僕たちの大好きなマルトーコック長が「うんうん。やっぱり女は四〇過ぎてからだなぁ」と、頷いている。柳也の歌に何か感じ入るものがあったらしい。
厨房の外に目を向ければ、メイジの少年達の中には、はっ、とした様子で「そうだ。熟女には若い娘にないただれた魅力があるじゃないか!」と、開眼する者が続出していた。異世界ハルケギニアに間違った啓蒙思想が蔓延しようとしていた。
「柳也さん……」
不意に背後から声をかけられた。
振り向くと、いつの間に厨房に顔を出していたのか、才人が神妙な面持ちで自分を見ていた。
少年は舌先で言葉を選びながら、ゆっくり、と口を開いた。
「その、熟女ってそんなに良いですか?」
「お前もかぁ!」
次の瞬間、ルイズの拳が閃光と化した。
お手本のような右ストレートが才人の顔面に炸裂し、少年の身体が宙を舞う。
小柄なルイズの見た目からは考えられないパワーだ。おそらく、背筋をひた走る怒りが、彼女の拳に人知を超越した偉大な力を与えたのだろう。こう、セブンズ・センシズ的な。
「セブンズ・センシズかぁ……昔、俺もよく練習したよ。ペガサス流星拳を放とうとして、近所の空き地で」
【あ〜。ペガサス流星拳とかめはめ波は男の子の夢らしいですからね〜】
【ふむ。音速拳は流石に無理だが、我らと契約しているいまの主ならば、秒速一〇〇メートルくらいは……む?】
まるで理科の教科書に掲載されている図のように、美しい放物線を描く才人を眺める柳也。その柳也に寄生する永遠神剣の一振が、不意に怪訝な感情イメージを発した。
――どうした、〈決意〉?
【いや。窓の外にな、赤い影が見えたゆえ、ちと気になった】
――赤い影?
指摘を受け、柳也は窓の方を振り返った。
ぎょろり、とした目つきの爬虫類と、目が合った。赤い体躯をしたトカゲだった。体長だけで二メートル近くある。昔図鑑で読んだコモドオオトカゲが、こんなシルエットをしていたか。
赤いトカゲは、きゅるきゅる、と喉を鳴らし、こちらを見ている。正確には、放物線を描き落下した、才人を。
「…………」
柳也は両手で熊手を作り、トカゲを威嚇してみた。ちょうど、熊が自らの体を大きく見せようとするのと同じポーズだ。
赤いトカゲは一瞬、ビクリ、として足早に姿を消した。
柳也はそれを見送った後、床に突っ伏する才人の耳元に口を近づけた。
「今日の夕方、ヴェストリ広場で始めるぞ」
「了解っす」
才人の力のない返事を受けて、柳也は莞爾と微笑んだ。
永遠のアセリアAnother
× ゼロの使い魔クロスオーバー
ゼロの魔法使いとその使い魔と、ついでに現われた守護の双刃
EPISODE08:「俺の心筋は一〇〇万馬力だぁ!(いい加減筋肉でサブタイ考えるのも疲れてきた編。でも、この作品の柳也のウリは褌と筋肉だしなぁ)」
夕方。
今日も今日とて沈みゆく西日に照らされるヴェストリ広場には、二人の少年と、一人の変態が集まっていた。
二人の少年とは勿論才人とギーシュだ。そして一人の変態とは、無論、褌の男桜坂柳也だった。
「変態か……フッ。認めよう」
「いえ、あの……ミスター・リュウヤ? なんでそんな無駄にニヒルな冷笑を浮かべながらの第一声がそれなんです?」
「気にするなギーシュ君。……さて、そんなことより」
柳也は冷笑を引っ込めると、真顔になって二人の少年達を見た。その右手には、樫を自ら削って作ったと思われる木刀が二振り、握られている。
「お待ちかねの、稽古の時間だ」
柳也の言葉に、彼に弟子入りした二人の少年は表情を引き締めた。
これからいよいよ本格的な稽古を始めるとあって、ともに緊張と好奇の入り混じった眼差しを柳也に向けている。
柳也は不敵に微笑んだ。
「そう、硬くなる必要はない。今日はまだ一回目だから、軽い運動と、今後の修行方針を伝えるだけに留めるつもりだ。……時に二人は、戦いの原則というものを知っているか?」
才人とギーシュは顔を見合わせた。二人とも聞いたことのない言葉だったからだ。
かぶりを振った少年達に、柳也はにこやかに告げる。
「これさえ押さえておけば必ず勝てる……というようなものじゃない。だが、これを押さえておかなければどんな敵にも勝てない、というようなものだ。その中の一つに、得意技を身に付けろ、というのがある」
「得意技、ですか?」
才人がオウム返しに言った。
「ああ。軍隊の世界では、戦闘ドクトリンとも言う。広範に適応出来る基本的な戦い方のことだが……。ちょっと比喩を使おうか。
これは特に格闘技の世界に顕著なんだが、どんなスポーツにも基本の技というものがある。その基本技の中から、能力に応じて一つか二つ、あるいは三つくらいを絞り込む。そして特別な工夫を加え、得意技として身につけるんだ」
柳也は一旦言葉を区切ると、僅かに間を置いてまた口を開いた。
異世界人のギーシュにも分かる例えとして彼が選んだのは、相撲だった。相撲は日本固有の格闘技だが、肉体を使った最も素朴な武術の一つだ。その技はレスリングに通じるものがある。
「例えば、相撲の世界で、ある力士は上手投げを得意技にしたとする。するとその力士は、単に上手投げの技術だけを磨くだけでなく、相手力士を上手投げに掛かりやすい体勢に誘導する技術なんかも工夫するようになる。また、その稽古は、上手投げの威力を最大に活かせるような筋力と運動性を作り上げるものに洗練されていく。もっと得意技を活かすための研究をするようになる。得意技たる上手投げを中心に、戦略・戦術を組むようになるわけだ」
「……だんだんとミスター・リュウヤの言いたいことが分かってきましたよ」
ギーシュが得心したように歓声を上げた。
「つまり、得意技を持て、と言いたいわけですね? 得意技を持つことで、基本の修行方針を固めることが出来る。僕でいえば、ワルキューレをどう使うか」
「その通りだギーシュ君。それぞれが自律行動可能なワルキューレは、君の最大の武器だ。最大の武器をどう使うか。その能力を十全に活かすような状況をどうやって作り出すか。こいつを研究するだけでも、君はかなり強くなることが出来るだろう」
「あの、柳也さん」
才人が腕を組んだ状態で、おずおず、と言い出した。
「得意技を持て、って言われても、俺は得意技どころか、基本が出来ないんですけど……」
「無論、その点も踏まえているさ。そもそも、武術未経験の君が、何を得意技にするっていうんだ」
柳也は苦笑をこぼしながら、右手に持った木刀を掲げた。
「君にはまず、俺の修めている剣術……直心影流の稽古をやってもらう。得意技云々はそれからだ。
とりあえず修行の方針としては、才人君は剣術の稽古、ギーシュ君はワルキューレを使った戦闘技術の研究をメインに据えることにする。ただ、俺はまだ君達のことをよくは知らないから、あくまで“当面の”という冠頭句が付くが」
「ミスター・リュウヤ。出来れば僕にも剣術を教えていただけないでしょうか?」
ギーシュが言った。過日の決闘騒動で彼が薔薇の花弁を錬金して作ったのは剣だった。
「僕もあなたの学んでいる剣術というのに興味があるのですが」
「……ちょっと難しいかもしれないな」
柳也は木刀を足下に置くと、褌に対して閂に差した脇差を鞘から抜き放った。
無銘の業物一尺四寸五分の刀身が、夕日を受けて眩く輝く。
「これが俺の得物だ。こいつは俺が普段使っているのより一尺……三〇サントほど短いが、まぁ、おおむね違いはない。先日、君が錬金して見せてくれた剣と比べてどうだ?」
「細い、ですね。片刃で……しかも反っている」
「そうだ。つまり、俺の学んだ剣術とは、こういう形状の武器を扱う技術だ。勿論、共通点がまったくないとは言わないが、君の求めている剣術とは、だいぶ毛先が違うと思う」
「そうですね……。こんな細い剣じゃ、五・六度振るっただけで折れてしまいそうだ」
「正確には刀、という。敵を斬るのではなく、切ることを目的とした武器だ。達人が使えば人間の胴体くらいは真っ二つにしてしまう。だが、下手な奴が使うと、小指一本断っただけで刃こぼれする」
「ミスター・リュウヤはどうなんですか?」
「時と場合にもよるが……使い慣れた愛刀でなら、胴一つくらいは」
もっとも、有限世界で斬り捨ててきた敵は女ばかりで、その胴は細身ばかりだったが。
「剣術の稽古は、いまは諦めてくれ。どの道、体は鍛えてもらうことになる」
「どういうことです?」
柳也の言い様に、ギーシュは怪訝な表情を浮かべた。
隣で才人も首を傾げている。
どうやら彼らにとって、メイジと肉体の鍛錬とはイメージの結びつきにくいものらしい。
柳也はニヤリと笑って言った。
「聞くところよればメイジの魔法のエネルギー源は、使い手の精神力だそうじゃないか? 古来より、強き肉体には強き精神が宿るものなのさ」
◇
早速、二人の稽古が始まった。
柳也はまず、五体に馴染んだ剣術の技を才人に教えることにした。
「空手における正拳突き。ボクシングにおける左ジャブ。剣道、剣術における上段斬り」
柳也は足下に転がしていた木刀を掴むと、才人に手渡した。
「才人君にはまず、いちばんの基本、上段斬りをやってもらう。いわゆる素振りというものは、この上段斬りを繰り返すことで地力を練るものだ。これを正しく出来なければ、実戦はおろか、まともな稽古は出来ん」
「はい。わかりま……ッ」
木刀を手にした才人は思わず顔をしかめた。
手の中の木刀と柳也の顔を交互に見る。
六尺豊かな大男はニヤリと笑った。
才人が手渡された木刀は、見た目こそ全長九〇センチの普通の木刀だったが、実際に持ってみると三キログラムはあるように思われた。
柳也は薄い笑みを浮かべながら言う。
「鍛錬用に、特別にあしらえた木刀だ。樫の木を削った中に、マルトーコック長に頼んでいらない鉄の棒を仕込ませてもらった。重量は、まぁ、三キロちょいか」
本来、柳也の学ぶ直心影流では、振棒という特別な素振りの道具を用いて稽古を行う。これは全長が一五五センチ、重量が一六キロもある特大の棒で、同流派にはこれを一万本振るうという荒行もある。直心影流の剣士達は、まずこの振棒を百本、五百本、一千本と振るって、地力を鍛え、呼吸を練り、運剣の基礎を学ぶのだ。
「とはいえ、さすがにこの世界でいきなり振棒を用意するのは俺にも出来なかった。だから、とりあえずはこの重量級の木刀を使って足腰を鍛えようと思う。特に腰だな。腰はあゆる武道において最も重要な部位の一つだから。それから、あとはまぁ、手の内」
「手の内?」
「柄の握り方のことだ。空手でいうところの、正しい拳骨の握り方だな。これがちゃんと出来ないと怪我をするし、筋肉の運動エネルギーを十分刀に伝えることが出来ない」
柳也は自らも重量三キロの木刀を掴むと、才人に手の内を練って見せた。
「いいか? いわゆる鷲掴みはNGだ。両手とも小指を要として握り込み、打ち込みの瞬間、薬指から順に締めていくんだ」
こうすることで刃筋正しく斬り込むことが出来、目標に衝突した際に刀身が弾かれてしまう、というようなことがなくなる。
腕力に頼った斬撃では、相手を斬ることはできない。ただ叩いているだけになり、刀身が曲がったり、最悪、武器の寿命が尽きかねない。刀法や運剣に秀でていても、刃筋が立っていなければ、まさに腕は立つが刃が立たないといった状況に陥ってしまう。剣術における打突とは、木刀や竹刀の打ち合いが目的ではないのだ。
また、正しく刃筋の立たない状態で肩や頭といった硬い部位を打つと、衝突の際にこちらの刀身が弾かれてしまうことになる。弾かれるというのは、当然、大きな隙を晒すことに繋がる。それを防ぐために、指を締めることで振り下ろす太刀を強きものとすることが肝要なのだ。
ちなみに、ここまでの記述は狭義でいうところの手の内を指す。広義の意味における手の内とは、狭義の手の内に肩や肘、そして身勢も加味した、強く鋭い太刀を放つための技法全般を指す。これら全ての最適な連動こそが、広義の手の内のことをいう。
柳也はまず、才人に狭義の手の内を叩き込むことにした。
言葉は悪いが、才人は決して要領の良いタイプではない。たくさんのことを一度に教えるよりも、一つ一つの要点を確実に叩き込むべき、と柳也は判断した。
「……よし。中段に構えてみせろ」
「中段、ですか? ええっと……」
「とりあえずでいい。学校で習った剣道の、見様見真似で構わない」
どうすればよいのか、と目線で問うてきた才人に、柳也は鋭く言った。
かの剣豪・宮本武蔵は、その著書“五輪書”の中で、剣法というものにはそもそも構えなど存在しない、と説いている。戦う相手や状況に応じて、応対も刻々と変化していくのだから、構えという、何か定まった態勢があるなどとは考えず、敵を斬るのに都合の良いようにするのが本位だ、という。
とはいえ、これはある一定の境地に達した達人ならではの考え方であり、いまだ己を未熟と悟っている柳也は、基本の五行の構えを重視した。基本の構えを状況に対し、臨機応変に使い分けることこそが、いまの自分には必要な技量と考えていた。
刀の構えの基本は五つある。中段、上段、下段、八双、脇構えの五つだ。これらは総称して五行の構えと呼ばれる。五行とは、風水で言うところの万物を組成する気のことをいう。木・火・土・金・水の、五つの気だ。
一方で兵法の世界において五行とは、方・円・曲・直・鋭と、地形に応じて陣地を組むことを指している。
すなわち剣者にとって、構えを取るのは戦場において陣立てをするのも当然だった。
特に、中段と上段の構えは、現代剣道の試合でも主に使われるほどで、剣を学ぶ者にとっての基礎中の基礎といえた。
柳也は才人の取った中段の構えをざっと概観した。いかにも素人臭い構えだ。だが、下手に玄人ぶって変な癖がついていない分、指導はしやすい。
「左右の足の幅は、中にもう一つ足が入るくらいに開け。……そう、そうだ。右の踵を、左の爪先の前に出せ。左の踵は自然に上げて、右の踵は軽く踏め」
「ううっ……はい」
踵を上げれば、両足に掛かる負担は当然大きくなる。手にした木刀の重さも手伝って、才人は早くも額に脂汗を浮かべた。
「体の重心はやや前にかけろ」
「や、言われなくても、木刀が重くて自然とそうなります」
「無駄口を叩くな」
柳也は、ぴしゃり、と言い放った。
胆力を篭めた叱責に、才人の肩が、びくり、と震えた。
「口を開き、呼吸をし、喉を震わせ音を出す。立派な運動だ。エネルギーの無駄遣いだ。……よし。それでいい。まだまだ不自然なところがいくつかあるが、それが剣術の基本、中段の構えだ」
中段は攻防自在の構えにして、常の構えとも呼ばれる。すなわち、五行の構えのいちばんの基本だ。
「今日伝えられる各流派のすべての剣技は、状況に応じて五行の構えを使い分けることを前提に練られている。どんなに素晴らしい剣法も、まずはこの中段を正しく出来なければ、まったく意味がない。幼児に核ミサイルのボタンを持たせるようなものさ」
「はぁ……なるほど」
「ちなみにお手本は、これだ」
柳也は手の内を練ってみせた時と同じように、才人に中段の構えを取ってみせた。
両足の爪先は正しく前方に。左右の足幅の感覚は正しく足一つ分。右の踵は左の爪先の延長上に出し、踵から踵までの距離は一足長とする。左の踵は自然に挙げ、右の踵は軽く踏む。体の重心はやや前方に置き、両方の膝は自然に曲げる。
五体に染み付いた動作をなぞれば、出来た中段は教科書のように正確で、堂々とし、美しい。
また服を着ていないことから、中段を取った柳也の各筋肉の動きがよく見える。
柳也の筋肉はすべて自然に運動し、無理な緊張はいささかも見受けられなかった。
「次、上段の構え」
中段の構えを解いて、柳也が言った。
上段には左半身を前に出して刀を頭上に振りかぶる諸手左上段と、諸手右上段とがある。諸手左上段では左半身を前にすることから、振りかぶった刀はやや右に寄せた方が自然となる。一方、諸手右上段では、刀先が体の中心線を外れないようにして振りかぶる。
はたして、才人が取った序段は、諸手右上段だった。
「振りかぶった刀は、左の拳が額の上に来るように構えろ。角度は身体に対して四五度!」
「ううっ……きつぅ……」
重量三キロの木刀を、才人は真っ赤な顔をして振りかぶった。
柳也はそこからさらに指示を下した。
「臍の下に力を篭めろ。腰を据えろ。それから、相手の正中線を斬割するつもりで、木刀を振り下ろせ!」
「うああッ!」
才人は思いっきり木刀を振り下ろした。三キログラムの質量を、重力に任せて、振り下ろした。
ガスッ、と、木刀の尖端が地面に埋もれる。
柳也は顔をしかめた。
才人の一撃はまごうことなく全力を篭めた一刀だったろうが、それは木刀の重みから解放されたいが一心の技だった。ゆえに腰は浮き、手の内は一気に鷲掴み、刀勢はいまいち勢いに欠け、正中線を正しく通過するはずの斬撃は、右へと流れていた。
「……自分の力ではなく、重力に任せて振り下ろすからそうなる。重力を使うなとは言わん。むしろ、重力はどんどん利用していけ。だが、重力に自分の太刀筋のすべてを委ねるな。重力が手伝ってくれるのは、剣を振り下ろすこと一つのみ。剣に精細さを与えるのは、己の腕だ。己の体だ」
柳也は淡々と言った。
「別に難しいことを要求しているつもりはない。中段に構え、上段に振りかぶり、真っ向に斬り下ろす。それだけのことだ。あと百本繰り返せ」
「うへぇ……」
「返事は?」
「は、はい」
才人は力なく返事をすると、粛々と木刀をまた中段に構えた。
◇
柳也は才人から目線をそらすと、ギーシュに向き直った。
「さて今度はギーシュ君の番だが……」
「はい! ミスター・リュウヤ、僕はいったい何をすれば?」
ギーシュ少年は、キラキラ、と輝く眼差しで柳也に訊ねた。
年齢は柳也とそうさほど変わらないはずだが、こういう無邪気な顔を見せられると、自分よりも二、三歳若く見えるから不思議だ。
ちなみに、ファンタズマゴリアに飛ばされた時点で柳也の年齢は一七歳だった。その後有限世界で一年余りを過ごし、ハルケギニアに飛ばされた。ゆえに、実際の年齢は一八歳となる。
「基本的には昨日、提出してくれたシミュレーションと変わらない。ワルキューレを使った戦闘の研究をしてもらう。ただ、文献を漁ったり、イメージ・トレーニングだけでは限界があるから、実戦もする」
「実戦? 相手は誰です?」
「勿論俺だ」
柳也は木刀を、ぶんぶん、振り回しながら言った。
その表情は久しぶりに自ら戦えるとあって楽しげだ。
「とりあえず、一本やるぞ。ほれ。さっさとワルキューレを召喚しなさい」
「あ、はい。……ミスター・リュウヤ、何でそんなにうきうきしているんです?」
「いやぁ、こうやって剣を振り回すの、結構久しぶりだからさ」
柳也は重量三キログラムの木刀を軽々と操り、中段に構えた。
嬉々としたその様子は、先ほどまで真剣な眼差しで才人に剣術を教えていた男とは思えない。
しかしよく見ると気付かされる。柳也の瞳には、才人に剣術を教えていた時以上に獰猛な、凶悪な光が灯っていた。
「ほれ、バチこ―――ー――いッ!」
口調こそ諧謔を含んだものだったが、全身から発せられる覇気はどこまでも剣呑だ。
ギーシュは七体のワルキューレをすべて召喚した。
目の前の男が並々ならぬ実力者なのは分かっている。最初から、全力で攻めるつもりだった。
戦いの開始を告げるゴングはなかった。
ギーシュはいきなりワルキューレを全機投入し、柳也を揉み潰そうと一斉に襲い掛からせた。
次の瞬間、ギーシュの視界で幾条もの閃光が走り、直後、荒ぶる猛牛が突進してきた。
◇
ギーシュと柳也の模擬戦は結局十戦やって、十戦とも柳也の勝ち星となった。
二人の戦いが終わった頃、才人もようやく百本の素振りを終えた。
二人の弟子達は浅い呼吸を何度も繰り返しながら、大の字になって芝生の上に寝転がっていた。額に、玉のような汗が浮かんでいる。
他方、褌一丁の師匠は三キロの木刀片手にまだまだ余裕があった。汗はかいているが、それは疲労から来るものではなく、激しい運動によって上昇した体温を冷やすための発汗だった。かつては一六キロの振棒を一刻も二刻も振るって自らを鍛えてきた柳也だった。
「なんだなんだ二人とも。稽古を始めてまだ半刻しか経っていないぞ? もっと体力をつけなければ。レバーを喰え、レバーを」
「……なこと、言ったって……」
「ミスター・リュウヤの、体力は……底無しですか……?」
「あのね? 人を化け物みたいに言うなや……それからギーシュ君、俺は体力だけで動いていないぞ?」
柳也は胡坐をかくと、仰向けに寝転がる二人と視線を近づけた。
「阿吽の呼吸と言ってな。直心影流に伝わる特別な呼吸法を使うことで、気の力を以って肉体を動かしている。それから、俺は君達と違って、ある程度の要諦を知っているからな」
「よう、てい……?」
「そうだ、才人君。物事の肝心要のところだな。要諦を知ることにより、動きから無駄なものが取れる。また要諦を知ることにより、最小の力で、最大の効果を得ることが出来る。要諦を知ることで、エネルギーの節約が出来るわけだ。そしてこの要諦とは、基本に宿る」
基本とは、物事の極意、奥儀だ。武術に限らず、世の中のあらゆる分野において、基本と呼ばれるものはその道の奥儀である。接客業における第一声「いらっしゃいませ」も、剣術における手の内も、すべては基本の技である。
「基本をないがしろにする者は、どんな分野においてもある一定の水準を抜け出すことは出来ない。包丁を扱う基本を熟知せねば、一流の料理人にはなれない」
柳也はニヤリと笑って言った。
「才人君はまず、この木刀で素振りが百本出来るようになれ。それが出来るようになったら三百本、次は五百本だ。その頃にはこちらでも振棒が用意出来るようになるだろう。
ギーシュ君の方は、せめて俺との戦闘を二分もたせるようにしろ。それが無理なら、三十秒で片を付けられるよう戦術を組め」
「う、うす」
「は、はい」
「ん。よろしい。……さて、俺はこれから自分の稽古を始めるが……」
言いかけて、柳也は口をつぐんだ。
とうに夕陽は沈んでいまは夜。二つの月が放つ銀色の光に照らされた地面の上を、小さな白い影が走っている。
白い影は柳也の足下で立ち止まると、六尺豊かな大男を見上げた。
「……なんだ? ネズミ?」
「モートソグニルじゃないか」
柳也が怪訝な顔をした次の瞬間、仰向けのまま首だけを動かしてギーシュが言った。
白いネズミが、ちゅう、と鳴いた。
「モートソグニル?」
「学園長の使い魔ですよ」
「学園長というと……ああ、ダンブルドア先生か」
「……柳也さん、それは色んな意味で不味い発言です。……と」
仰向けに寝転んでいた才人は寝返りを打つと、うつ伏せになった。
モートソグニルを見つめる。
「……なんか、柳也さんに着いて来い、って行っているみたいです」
「分かるのか?」
「はい。……同じ使い魔だからですかね? なんとなく、そう言っている気がするんです」
才人が言うと、モートソグニルは同意とばかりに、ちゅう、と鳴いた。
それから、白いハツカネズミは地面を駆け回り、やがて立ち止まって、後ろを振り返った。
「……どうやらそうらしいな」
柳也は呟くと立ち上がった。
二人を見下ろし、軽くウィンク。
「学園長のお呼びとあっちゃあ、応じないわけにはいかん。俺は行くから、二人は好きにしてくれ」
「好きに……って」
「稽古を続けるもよし。体を休めるのもよしだ」
柳也は木刀片手に歩き出した。
歩き始めた柳也を見て、モートソグニルはまた先を進んだ。
◇
「……おい、君」
柳也がいなくなったヴェストリ広場には、才人とギーシュだけが残された。
しばらくは地面に黙然と寝転がり、体力の回復に努めていた二人だったが、やがてギーシュが口を開いた。
才人はうつ伏せのままぶっきらぼうに呟く。疲弊した声が、口からこぼれた。
「なんだよ?」
「そう、喧嘩腰にならないでくれたまえ。……いや、なに、まだちゃんと名前を聞いていなかったからな。教えてくれないか?」
才人は少し沈黙を挟んで、やがて口を開いた。
「……平賀才人だ」
「ヒラガ・サイト? 変な名前だな」
ギーシュは夜空を眺めたまま苦笑した。
首を動かしてその様子を見た才人は、カチン、ときた。いちいち気に障る言い回しをしやがる男だ。しかもなまじ顔立ちが端整なだけに、空を見上げる様子は一枚の絵のようで面白くない。
「ギーシュ・ド・グラモンよりはマシだろ? 何だよ、その無駄に長ったらしい名前?」
「君のご主人様には負けるよ。……なぁ、サイト?」
「あんだよ?」
「だからそう喧嘩腰にならないでくれ。……ミスター・リュウヤのことなんだが」
ギーシュは視線を夜空から才人に移動させた。
男の才人から見ても惚れ惚れとするハンサムな顔が、手を伸ばせば届く距離にあった。
そういえばこいつと面と向かって話をするのはこれが始めてだったか。
「あの人は、大きな人だな」
ギーシュは優しい微笑みを浮かべながら言った。
才人は一瞬、彼が何を言っているのか分からなかった。
才人の中にあるギーシュのイメージといえば、高慢で、鼻持ちならない貴族のおぼっちゃま。平民を見下し、自分こそが世界の中心であるみたいに考えている人物、というものだった。
そんなギーシュが誰かを評価し、しかもそれを認めるような口ぶりをしている事実が、才人には信じられなかった。
ギーシュはそんな才人を不思議そうに見つめながらも、言葉を続けた。
「本当に大きな器を持った人だ。何が大きいって、あの人は自分の器が小さいと自覚している。自覚しているからこそ、前向きに、貪欲に、自らを鍛えている。本当の、強さを持った人だ。僕も、あんな強い人になりたいよ」
「お前……」
「その、な……この間のことは、悪かった」
才人は本日二度目の衝撃を受けた。この間のこと、というのは過日の決闘騒動のことだろう。よもやギーシュの口から「悪かった」などという言葉が出てくるとは、思ってもみなかった。
ギーシュは才人の顔を真正面から見据えた。真摯な眼差しだった。
「天狗になっていたんだ。魔法戦闘の才能も、女の子にモテるのも。驕っていたんだな。僕は貴族だ。僕達は選ばれた人間だ。僕達こそが天に恵まれた存在なんだ、って。でも、それは錯覚だった。君と戦って、思い知らされた。僕の力は、本当はちっぽけなものだった。世界は広い。僕なんかより強い人間は大勢いる。力もそうだが、きっと、心もそうだ。そう思った瞬間、平民だ何だと色眼鏡を掛けて相手を見るのが、馬鹿馬鹿しく思えてしまったよ」
「…………」
「サイト、君はすごい平民だ。僕は君に、感謝しているんだよ」
ギーシュは上体を起こした。
金髪のメイジは、素直な気持ちで才人に頭を下げた。
「ありがとう。僕にそのことを気付かせてくれた」
「よ、よせよ。俺は何もしちゃいない」
「たしかに、君自身に何かをした、という自覚は薄いだろうな」
ギーシュはそう言って微笑んだ。
それから、彼は才人に右手を差し出した。
照れくさそうに頬を掻き、言う。
「そういうわけで、僕は君を認めている。出来れば、その……僕と、友達になってくれないかい?」
西洋世界において、握手は友好の挨拶であり、敵意のないことの証明でもある。
才人はうつ伏せの体勢から起き上がった。胡坐を掻き、差し出された右手を取る。
ギーシュは気さくに笑った。
「光栄に思いたまえ。ヒガラ・サイト。君は僕が認めた、初めての平民だ」
<あとがき>
褌の魅力に取り付かれた少年達は、かくして人の道を踏み外すのだった。
ゼロ魔刃、EPISODE:08、お読み頂きありがとうございました。
SS板時代は終始ギャグテイストで貫いていた修行編ですが、今回の掲載に当たってまぁ、真面目に修行させました。
あと、才人とギーシュの友情物語を加筆。この二人のコンビ、タハ乱暴好きなんですよねぇ。特に十二巻の才人とギーシュのやり取りが大好きです。ただ、不満なのは原作において、この二人が友情を育んでいく場面が、はっきり、と描写されていないこと。今回の話ではその不満をちょこちょこぶつけてみました。
さて、次回はダンブルドア先生との初対面です。
はたして女好きの柳也と、女好きの学園長が組み合わさった時、どんな化学反応を起こすのか!?
次回もお読みいただければ幸いです。
ではでは〜
今回から柳也の修行講座が始まったな。
美姫 「意外とまともに教えているわね」
だな。まあ、流石の柳也もここは真面目だったと。
さて、サイトとギーシュが友情を育もうとする中、柳也は学園長に呼ばれたが。
美姫 「一体どうなるかしらね」
気になる次回は……。
美姫 「この後すぐ!」