『Dear』




始まりはあまり覚えていない。
山火事の中に独りで居た所を近くにいた人に助けて貰ったと聞いている。
其の後、孤児院に入り数年経った時にある人に養子として引き取られた。
しかし、そこでは虐待を受けたのではないかと言われている。
発見された時に背中や腕、足に無数の傷があり、其の傷は今でも残っている。
発見者は郵便局員で、配達物を届ける時に家に入ろうとドアに手を掛けたら
玄関に倒れていた私が居たらしい。
家の中は生活感がなく、誰も居なかった。
その郵便局員によって病院に連れて行かれて一命を得た。
その後警察の調査を行なったが、何一つ手がかりは無かった。
そして私はその郵便局員の所に引き取られて今に至る。




「・・・起きください」

「ん、後二分・・・」

「駄目です。いい加減に起きて下さい」

「うぅ、解りました・・・」

目を開けると目の前に慧の顔が・・・えっ!?
「うおっ!?」
「きゃっ!」

ゴン!! 

「「〜〜〜!!」」

い、痛いけど・・・

「ご、御免なさい、マナ。大丈夫」

「だ、大丈夫です」

この子は、マナ・シノン。
ロシアからの留学生で私の高校の後輩。
珍しい銀色の髪に金色の目を持っている子で、
中学二年の時、親しくもない校長から呼び出され
「この子は、マナ・シノンさん。留学生としてこの学校に通うなってね。
・・・君の所にホームステイする事になったんだ、仲良くするように。後は宜しく」
との事で家に住むようになった子だ。
どうやら御父さんが秘密裏にやっていたらしく、家にかえってきたら
「驚いたか」
と早々と仕事から帰り待ち構えていた御父さんと
「・・・」
なぜか不機嫌そうな慧の姿があった。
其の後直に歓迎会準備をするため近所の友人の雫、彰の三人で急いで準備して
其の最中に慧とマナは仲良くなっていたが・・・
友達としてではなく、「「ライバルです」」と答えていたが・・・
何のライバルなのかは、全く解らない。
「・・・気がついていないのか」
「仕方ないと思うよ。それが特徴だから」
と雫、彰が言っていたが何でしょう。

「あ、あの〜」

「あ、スミマセン」

「大丈夫ですか?ぼ〜としていましたけれど」

「いえ、少し昔の事を少々」

「それって、どのk「二人とも〜朝ご飯冷めるから早く〜」・・・」

「慧が呼んでますし、着替えますので先に行ってください」

「・・・はい」

マナが部屋から出て行き、着替えを済まそうとしていると下から

「慧さん!いい所で止めないで下さい!」
「抜け駆けするのは反則でしょ!」

「・・・なにを言い争っているかな?」
全く解らない。


着替えを済ませ、リビングに来るとマナと

「おはよう、翡翠♪」

「おはよう、慧」

そしてこの子は、斎賀慧(さいが けい)。
斎賀家の実子。
天然の茶色い鎖骨まである髪と髪と同じ茶色の目を持っているが一番目に行くのは
左目にある眼帯。生まれてきた時から見えていないと言っていた。
そんな不利な状態でも彼女は頑張っていた。
剣道部に入り、女子の副部長にまで成長したがまだまだらしい。
そんな彼女でも頑張ってでも駄目なことがある。それは、

「朝ごはん、何も手を出してませんよね・・・」

「なんですか、その危険物は無いか見る目は!」

「いや、だって・・・」

彼女は料理が壊滅的に出来ないのだ。
味の方は・・・思い出したくない。

「まあ、言い争っていたらご飯冷めちゃうに食べようか」

「そうだね」
「はい」

「それじゃ・・・」

「「「「いただきます」」」」

あれ、一人多いような・・・

「食べないのか、翡翠」

「御父さん、いつ居たの」

「最初からだ」

「・・・・」
(来た時は居なかったのに・・・)

謎だ・・・


暫らく朝ごはんを食べていた時に

「しかし、翡翠」

「はい・・・?」

「お前はどうしてこう男に見えないのだろう」

「そんなの、知りませんよ」

この家に居る男性は御父さんと
みんな曰く
「女顔で声も高くて、背も高くないから女性にしか見えない」
と言われる私、斎賀翡翠の二人なのだが。

「そんなに、男性に見えないのでしょうか」

「見えない」
「髪も長いし、さらさらだから一目じゃ絶対に見えない」
「髪色も蒼銀で、目の色も漆黒で綺麗ですから一目ではとても」


どうすれはいいのかな・・・




其の時はまだ知らなかった。
この高校二年生の始業式の朝はまだ。
この後の騒動には
まだ気がついていなかった。












「やっと、あいつに逢える」






始めまして、翠と言います。
まだかなりのあら削りですが
楽しめる事が出来れば幸いです。
頑張っていきたいので宜しくお願いします。



オリジナル作品を頂きました〜。
美姫 「ありがとうございます」
さて、どんなお話になるのか。
美姫 「続きも頂いているから、またそちらで」



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