この話は、『桜舞う日の邂逅』や『桜散りし日の決闘』を参考にして創作した話です。
すべてにおいて初挑戦の二次創作SSです。
文法などおかしな点が多々あると思いますが、海より深く、山より高く、大目に見てください。
『少年恭也と女子高生薫の恋物語』
第十二話 「それぞれの日常」
8月31日 さざなみ寮
朝、珍しく薫が一番遅かった。
「……お……お早う……ございます。」
「お早うございます。」
青い顔をした薫と少し紅みが差した顔の恭也が食堂に現れた。なぜ恭也も一緒かというと……。
「おはよう。神咲、少年。昨晩はお楽しみだったか。」
真雪がにやにやして、問いただした。
「……仁村さんが昨日、うちにお酒を飲ませるからでしょう。……あたた。」
「ケケケ。酔っ払って少年に抱きついてそのまま寝ちまったのはお前だろ。」
「……だから、うちにお酒を……飲ませた……のは誰ですか。」
昨日は、薫の誕生日。恭也、美由希、晶、瞳らを招待してパーティーを開いていた。そこでまた真雪とリスティの悪戯が炸裂し、薫は酔っ払って恭也に抱きつきそのまま寝てしまったのだ。まったく恭也を離そうとせず、そのまま、知佳とリスティの能力で二人まとめて薫の部屋に運び、朝まで恭也に抱きつきながら寝ていたのだ。起きたとき薫は驚いたのだか二日酔いで頭ががんがんして唸った。ちなみに恭也は素面だったのでなかなか眠れずドキドキして寝るのが遅かったのだが、しっかりと目を覚ましていた。が……朝目覚めたら、また頬を染めていた。
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高町家
恭也のいない朝食。
「あ〜。恭也が彼女の家に泊まりこむなんて、桃子さんなんだか複雑な気分。」
言葉とは裏腹ににやついていた。
「かーさん。お兄ちゃんは別に好きで泊まった訳じゃないよ。」
「美由希ちゃん。桃子さんはわかって言っているんだから。」
「あ〜〜〜〜。」
美由希が突っ込み、晶が呆れ、なのははよくわからない顔をしていた。
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風ヶ丘学園護身道部
「千堂。昨日の神咲ん家のパーティーどうだった。」
実家の花屋が忙しく、パーティーに参加しなかった尾崎は、参加した瞳に聞いていた。
「くすくす。それがね。」
薫が酔っ払い、恭也に抱きついて眠ったことを聞いた尾崎は、
「あはは。神咲もそりゃいい思いをしたな。」
「朝、目覚めたらどうなるかわからないけどね。」
明日の新学期、薫をからかう気満々な二人であった。
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鹿児島県、鹿児島市。神咲一灯流本家。
「私は認めん。」
神咲一樹は厳格な態度でそう呟いた。
「あなた、薫の恋愛に口を出さないように。」
雪乃がやんわりと嗜める。
「しかし、薫姉が五歳も年下の恋人を作るとわな。」
薫の一歳年下の弟、和真が複雑な顔をして聞いていた。
「薫ちゃん。うらやましいな。」
「う〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
双子の姉弟。姉の那美は彼氏ができた薫に純粋に羨望し、弟の北斗は幼いながら薫に姉以上の感情を持っていたため、なんとなく面白くなかった。
「だいだい、その小僧は日宮の一族なのだろう。」
外法を使い、退魔の世界から追放された日宮の血を引く恭也を気に入らない一樹。
「一樹殿、恭也君は日宮の一族には含まれん。それどころか最大の被害者じゃ。二度とつまらんことを言うでない。」
和音が一樹に強い視線を向ける。一樹も言い過ぎたと感じ素直に詫びた。
「しかし、それでも薫の婿になるつもりなら私を倒してからだ。」
「薫が恭也君をここに連れてくるときは間違いなくあなたより強くなっているわね。」
吠える一樹に、恭也の力量を知る雪乃が冷静に指摘した。
「それに薫は言っていたわ。恭也君との仲を神咲の一族に反対されたら、伝承者の資格を返上してでも恭也君と一緒になるって。」
「………。」
「そこまで強い薫の想い。親として、支えてやれなくてどうしますか。」
雪乃の言葉にその場は沈黙した。
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京都。神咲楓月流
「…薫に彼氏ができたんや。うちも彼氏作らんとあかん。」
「……楓。薫はんへの対抗心でしか彼氏を作る気がないん。」
楓の叫びに母親はため息をつきながら突っ込んでいた。
「楓。彼氏を作るのは一向に構わん、いい人を見つけてくれればな。しかし、それを理由に修行をおろそかにするんやないで。」
楓の父親は一樹ほど親馬鹿ではなく、むしろ桃子と同じく、早く孫の顔がみたいと感じる親であった。
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青森。神咲真鳴流
葉弓は、祖母・亜弓の仏前に手を合わせていた。
「おばあちゃん。薫ちゃんに恋人ができたよ。でもその男の子に辛いことが起きたの。」
夏織の事件を思い、葉弓は彼女の霊が安らげるよう祈りをささげた。
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香港。某所
「神咲薫……か。」
闇の中にいる一人の女性。
「恭也君はいい人を見つけたな。美由希も大きくなったらいい人を見つけるのだろう。」
一瞬、優しい母親の貌になる。
「美由希、恭也君。君達二人だけは、幸せになってくれ。」
女性は、再び修羅の貌に変わる。
「さて、仕事だ……。」
その後、一人の男が何者かに斬殺された。
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そして、新学期を向かえた。
〈第十二話 了〉
後書き
新学期の話を書くつもりが、新学期前日の話になってしまった。まっいっか。(←おい)
酔っ払った薫か。
美姫 「珍しいものね」
まあ、無理矢理飲まされたからだけれどな。
美姫 「今回は色々な方が出演ね」
一樹はやっぱり反対してますよ。
美姫 「娘が可愛いのね〜」
でも、和音も雪乃も賛成している以上、そう反対もしていられないかな。
美姫 「確かに、それもそうね」
さて、今回は新学期前日。という事は、いよいよ次回は新学期か。
美姫 「今度は何が起こるのかしらね」
次回も待ってます。