『時空を越えた黄金の闘士』

第二十話 「本局にて」

 

傷ついたなのはは、至急、本局に移送され、管理局の医療施設に収容された。

シグナムとの戦いで傷ついたフェイトもまた検査を受けている。

なのはが襲われた事件は、現在、管理局で問題となっていた『魔導師襲撃事件』と同じ流れであった。

リンディとエイミィは、この事件が自分達の管轄になりそうで、休暇は延期になることを予想していた。

そして、検査を受けているフェイトに付き合っていたカノンとクロノが、今回の事件のことについて話していた。

「カノンさんが、奴らの結界を破壊したとき、アースラのモニターで奴らを確認しました。そして、なのはの魔力を奪った女の持っていたこの本……」

クロノは端末を操作して、金髪の騎士―――シャマルが抱えている本を映し出した。

「第一級捜索指定遺失物………ロストロギア『闇の書』……僕と母さんにとって……悪い因縁があるロストロギアです」

「因縁?」

「……はい。この事はなのはとフェイトには今は内緒にしてもらいたいんですが……」

クロノは語った。

父、クライド・ハラオウンが11年前に起こった『闇の書』事件で命を落としていることを……。

「フム。お前と奴らにそんな因縁があったとはな……。ならぱ、奴らを捕らえた方がよかったか……?」

カノンは、自身が管理局員ではないので、フェイトたちに経験を積ませる相手として、シグナムたちを見逃したのだが、自らの弟子であるクロノの父の敵だと知り、少し悪い気がしてきた。

「いえ、カノンさんは局員ではありませんし、奴らを捕らえてくれと依頼したわけじゃありませんので……」

フェイトは嘱託魔導師だが、カノンは管理局に何の責任もないのである。

あくまでクロノ達がカノンに頼んだのは、なのはを助けることであり、犯人の逮捕ではない。

「それに、これは僕たち管理局員の仕事です。いつもカノンさんに頼っているようでは、僕らの存在意義がありませんから……」

クロノはカノンの凄さを知っている。

だからこそ彼に師事しているのだから……。

しかし、あまりカノンの力に頼ることをよしとはしていなかった。

何故なら、カノンは管理局そのものに対しては余りいい感情を持っていないからである。

彼が今のところ自分達に協力的なのは、フェイトの為と、クロノ達アースラのクルーたちとは親しくなっているからに過ぎない。

「ですが……一つだけ聞きたいんです。確かに奴らを捕まえてくれとは頼みませんでしたし、フェイトたちに経験を積ませる為にというのも分かりますが……『魔導師襲撃事件』の犯人たちで、カノンさんもそれは予測が付いていた筈。なのにそれだけの理由で見逃すというのに、少し疑問を覚えるのですが……」

「……フッ、お前も知っての通り、俺は管理局自体は気に入らん。それに、次元世界を管理するなどというでかい事を口にしている組織なんだから、どんな事件でも、自分達で何とかしろ!と、言いたくてな……それに……戦ってみて分かったが、あの『ヴォルケンリッター』とかいう連中……俺たち聖闘士が戦うべき邪悪とは、とても思えなかったのでな……」

彼女達が、聖闘士が戦うべき相手――――世界を滅ぼそうする邪悪――――とは、とても思えなかったのだ。

カノンは、かつて自身が邪悪の化身であったが為、人の善悪くらい理解できるのである。

一部の魔力を持った者のみを襲うだけで、ポセイドンやハーデスの様に、人間全てを粛清しようなど考えているわけではない。

ならは、自分達聖闘士が出る幕はない。

カノンはそう考えていた。

「カノン!」

クロノと話していたカノンに声を掛けてきたのはムウであった。

「ムウか?」

「なのはのことは聞きました。容態はどうなのですか?」

「外傷はそれほど大したことはないそうだ……。ただ、魔力の源であるリンカーコアとやらがかなり消耗していて、しばらく魔法は使えんそうだ……」

「……そうですか……。私が聖域に行くのをもう少し遅らせていれば……」

ムウがそう考えるのも無理はなかった。

ムウがなのはの下から離れ、聖域に行ったのは数日前である。

あと数日、行くのを遅らせていれば……そう考えてしまう。

「ムウ……『自分があの時、ああしていれば……』と考えるのは自己過信というものだ。過去の失敗を悔いるのは当然として、度が過ぎればプレシアの様になってしまうぞ………」

プレシアがあのようになってしまったのも、後悔の余り、己を責めすぎたのも原因のひとつである。

『ヒュードラ』の実験を力ずくでも止めていれば、いや、そもそもこの仕事を請け負わなければ、いやいや、そもそもこの会社に入らなければ……。

考えがどんどんエスカレートしていき、あの様になってしまった。

「流石に、お前ほどの男がああなるとは思えんが……とりあえず、なのはの命は無事だったのだ。それで良しとしたほうがいい……」

「……そうですね…まさか、貴方に諭されるとは思いませんでしたよ……」

思慮深く、よく星矢達やアイオリア、ミロなど血気盛んな者をを諭していたのはムウであり、そんな自分が、まさか他人に諭されるとは思いもよらなかったようで苦笑するムウであった。

話をしている中、フェイトが診察室から出て来た。

フェイトの傷も大したことが無く、フェイトはクロノと共になのはの見舞いにいくことにした。

「カノンは行かないの?」

「俺は後で行く。少しムウと話があるのでな。久しぶりなんだから、ゆっくりとなのはと話をするといい…」

カノンにそう言われ、フェイトはクロノ共になのはの病室に向かった。

 

 ★☆★

 

「それで、話というのは何だ……ムウ?」

「ええ、今回、聖域を再び調査したところ、イージスの手記が見つかりました」

イージスとは、異世界に飛ばされた聖域の一画を死してなおも護ろうとした楯座の白銀聖闘士である。

その手記によれば、イージスと共にこの地に飛ばされたのは2人の青銅聖闘士だけではなかった。

あと一人、アテナに使えし巫女が一人、巻き込まれていた。

しかし、その巫女は聖闘士たちほど強くはなかった。

アテナの加護が届かない異世界でのたった4人だけの生活に耐え切れなくなった彼女は、その地を逃げ出したのだ。

「そうか……しかし、それはやむを得ないのではないか?所詮、戦うことが出来ず、アテナに祈ることしか出来ない巫女……いくら聖闘士が3人いても、自分達が今まで住んでいた世界と異なる世界に飛ばされれば、自暴自棄になって逃げたしたくもなる」

「はい。私も同感です。ですが……彼女はこの聖域に納められていた『神具』を持って逃げたらしいのです……」

「ッ……何だと!?」

神の力を宿した『神具』。

それをアテナの結界に護られた聖域から出したということは……『神具』が世に出てしまったことを意味する。

「持ち出された『神具』は?」

「……ティターン十二神の一柱、『記憶を司る女神』ムネモシュネの力が宿りし『神具』とのことです。死した人間の記憶などを再生することの出来るモノだそうですが……」

「再生するだけか?」

「はい、ですが記憶とは知識だけではありません。例えばその人間の技能なども記憶の一つに入りますので、そう言うモノも再生することが出来るらしいのですが……」

「ただ、人の記憶を再生するだけでは世界そのものを破滅させることには繋がらないな……」

「そうですね……しかも、その記憶を再生するには、血液や骨、髪の毛といった本人の一部が必要ですから……危険なロストロギアの作り方を知っている者の身体の一部など、なかなか手に入らないでしょうし、それにアレは『小宇宙』の力がないと発動できない類のモノですので、万人に使えるモノではありません……」

「だが、一応問題ではあるな……フックの『主』とやらなら、使うことができるからな……。とりあえず、クロノ辺りに調べてもらうことにしよう……。もしかしたらロストロギア扱いを受けて、管理局に回収されているかもしれんからな……」

それほど危険な『神具』ではないようなので、特に問題視してはいなかったが、後年、この『神具』がカノン達の災いになるとは、この時は、思いも寄らなかった。

 

 ★☆★

 

なのはとフェイトは、傷ついた相棒の姿に、心を痛めていた。

敵との戦いでレイジングハートとバルディッシュは、ユーノとリニスの2人が面倒を見ていた。

「ここにいたのか…」

そこに話を終えたカノンとムウが入ってきた。

「カノンさん……ムウさん」

「体の具合はどうですか、なのは?」

「はい。大丈夫です。心配かけてすみません……ムウさん…」

「いえ、こちらこそ肝心な時に居なくて、申し訳ありません」

「……カノンさんも……助けてくれてありがとうございます…」

「お前を助けたのはフェイトだ……俺は後から手を出したに過ぎない。だから、気にするな…」

そう答えると、カノンは傷ついたデバイスに視線を向けた。

「リニス……どうなんだ、こいつらは?」

「今は自動修復をかけています。基礎構造の修復が終わり次第、再起動して部品交換が必要でしょう……」

「そうか……」

なのはとフェイトは、頑張ってくれた相棒に労りの声を掛けていた。

「フェイト……そろそろ面接の時間だ……。なのはとカノンさんも来ていただけますか?」

クロノの要請に、怪訝な顔になるなのはとカノンであった。

「では私は、ユーノやリニス、アルフと一緒にいますので……」

ムウはユーノたちと残り、カノン、フェイト、なのはの3人はクロノと共にその場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

「あっ、ユーノ君にアルフ、そしてリニスさん…」

休憩室の自販機でジュースを買い、くつろいでいた3人にエイミィが声を掛けてきた。

「とりあえず、リニスさんの注文どおり、レイジングハートとバルディッシュの修理の為の部品を発注したけど……本当にアレでいいの?」

「はい……バルディッシュはもちろん、恐らくレイジングハートも同様の要請をするでしょうから……」

リニスが注文した部品に、エイミィは不安そうな顔になる。

「でも、インテリジェンス・デバイスにアレは……」

「しかし、あの子たちが、敵に対抗できるようになるには必要な措置です」

リニスとエイミィの会話を理解できないアルフは、怪訝な表情をしており、ユーノはエイミィの持ってきた部品の発注書に目を通し、驚愕した。

「リニスさん…これって!?」

リニスの考えを悟ったユーノも、エイミィ同様不安そうな顔になった。

 

 ★☆★

 

クロノに案内され、赴いたオフィスに一人の紳士が待っていた。

彼は、時空管理局顧問官ギル・グレアム提督。

クロノの指導教官であり、歴戦の勇士。

一番、出世していたときで艦隊指揮官、後に執務官長を務めていた人物であり、管理局内において『英雄』と呼ばれている。

今回、フェイトの保護監察官を務めることになり、フェイトたちと顔合わせの面接を行うことになったのだ。

ちなみに彼は、なのはと同じ世界―――第97管理外世界出身の英国人であり、魔法との出会い方も、なのはによく似ている。

なのはは、ユーノを助けて魔法と出会ったが、グレアムは管理局員を助けたのが、魔法との出会いである。

そして、時空管理局に入局して、現在の地位まで上り詰めたのだ。

グレアムの話だと、第97管理外世界の人間は、殆ど魔力を持っていないが、極稀にグレアムやなのはの様な、高ランクの魔力保持者が生まれるらしいのだ。

そして、フェイトたちとの歓談が終わり、グレアムはカノンの方に視線を向けた。

「君がカノン君か……私の出身世界の平行世界からやってきたという……」

「ああ、どうやらそのようだな……」

「それにしても、アテナの聖闘士……。アテナというのは『ギリシア神話』に登場する大神ゼウスの娘で、知恵と戦いの女神といわれるあのアテナなのだろう?」

「……そうだが……」

「……まさか……『神』が実際に存在していようとは……思いもよらなかったよ…」

時空管理局が管理する世界の中で、『神』が実在する世界はない。

そんな世界が、存在していれば間違いなく管理局は、その傲慢さゆえに、神の天罰を受けるだろう。

「………それで…カノン君に少し頼みがあるのだが……」

「何だ?」

グレアムは姿勢を正した。

「実は、君たちに管理局に入ってもらえないだろうか?」

「………」

「君も聞いていると思うが、数多の次元世界を管理している為、管理局は慢性的な人手不足なのだよ……優秀な人材は一人でも多く欲しい。ましてや、君たち聖闘士は、戦闘能力だけなら魔導師を圧倒する実力を持っているとのこと……その力を、次元世界全体の為に活かしてもらえないだろうか?」

そう言って、頭を下げるグレアム。

「……提督、それは!」

クロノが焦りを含んだ表情で口を挟もうとした。

「断る!」

クロノを遮り、カノンはあっさりと拒否した。

「……理由を聞かせてもらってもいいかね?」

「管理局に入局ということは、管理局の命令に従わなくてはならない……と、いうことだ。悪いが俺はアテナ以外の命令を聞くつもりはない……貴様らの犬になるつもりなどまったくない!」

言葉には出さないが、管理局の在り様には疑問点がある。

管理局は警察機構の様な存在の様だが、次元世界の平和を名目に全次元世界の征服に乗り出す可能性を否定できないのだ……。

今のところは、個人的に付き合いのあるアースラメンバーに協力しているだけに過ぎない。

しかし、管理局全体に協力……さらに入局してしまえば、見え隠れする管理局の闇に手を貸してしまうことになるかもしれない。

「邪悪が現れれば、それを討つために戦うことは吝かではない。しかし、管理局に従う理由にはならない……俺たちは聖闘士しての判断で戦う……それだけだ…」

邪悪と戦うことに異存はないが、それは自分達が独自で行う……。

聖闘士は、今までもこれからもそうしてきたのだから……。

「……そうか…。無理強いはすまい。今の要請は忘れてくれたまえ…」

 

 

 

 

 

クロノはグレアムに『闇の書』と『魔導師襲撃事件』の捜査を自分達が担当することになったことを伝え、二,三言葉を交わして退室した。

「……焦りましたよ…カノンさんがグレアム提督に食って掛かるんじゃないかと……」

カノンに師事しているクロノは、聖闘士という存在のことを管理局員の中で一番理解している。

故に、聖闘士が管理局に正式に入局することなど有り得ないと思っている。

外部協力者―――此方の指示に従わない――が精々だろう……と。

「予想はしていたからな……あのグレアムという男は、お前にとって大事な人なのだろう…だから自重した。しかし、管理局員というのは自分達管理局でなければ、世界を護れないとでも思っているのか?もし、そう思ってるのなら二、三発くらい張り倒してやった方がいいか?……神話の時代から我々が戦ってきた敵は管理局の手に負えるモノばかりではないぞ」

聖闘士が戦ってきたのは何もただ邪悪ばかりではない。

邪悪の神とはいえ、オリンポス十二神に数えられる神々とも戦っている。

とてもではないが、管理局に神と戦えるだけの力は無い。

天に唾をするものは、自らに返ってくる。

その理を打ち破るのは、聖闘士でも限りなく不可能に近いのだ。

星矢達は、その理を何度も打ち破っている。

その点に関しては完全に脱帽しているカノンだった。

カノンの過激な返答に、フェイトたちは冷や汗を掻いていた。

 

 ★☆★

 

所変わって、海鳴市内、八神家。

「はやてちゃん。お風呂の支度できましたよ」

「うん。ありがとう」

テレビを見ていたはやてが、シャマルに返事をした。

「ヴィータちゃんも、一緒に入っちゃいなさいね……」

「……アタシは、リアを待ってるから、それに……今日は風呂に入る気が起きないから明日の朝に入るよ」

「明日は朝から病院です……。余り夜更かしなさいませんように……アイオリアから説教されますよ…」

「は〜い」

新聞を読んでいたシグナムに忠告され、はやては素直に頷いた。

「シグナムはお風呂、どうしますか?」

「私も、今夜はいい…。ヴィータと同じく明日の朝にするよ」

「お風呂好きが珍しいじゃん」

「たまには、そういうときもあるさ」

はやては、シャマルに抱っこされて、風呂場に向かった。

はやての姿が見えなくなってから、ヴィータの表情が歪んだ。

「傷か痛むか?」

シグナムが気遣わしげな表情でヴィータの肩を見る。

「こんなの……なんでもね〜よ…ッ!イテテ…」

強がって肩を回すが、激痛が走り、痛むところを手で押さえる。

「無理をするな……。騎士甲冑諸共貫かれたんだ……。シャマルの回復魔法でも、すぐには追いつかん…」

「アタシより、ザフィーラの方が深刻だろ?」

「我は盾の守護獣。この程度の傷など……」

最も深い傷を負ったザフィーラは、動くのも辛そうであった。

「表面上の傷はシャマルの回復魔法で塞いだが……ダメージはまだまだ回復していないのだろう……お前も無理をするな」

はやての前では何でもないように振舞っていたが、先程のカノンとの戦闘のダメージがヴィータとザフィーラを蝕んでいた。

「ちっきしょ〜〜〜。何なんだよ…アイツは…。あんな化け物、見たことね〜ぞ!」

自分達『ヴォルケンリッター』三人を相手に圧倒するなど、信じられなかった。

「……アテナの聖闘士……『双子座』のカノン…。やっかいな相手だ……」

「悔しいが、我らではまったく歯が立たん……。次に奴と戦うことにでもなれば……」

これからの蒐集活動に支障をきたすのは間違いなかった。

「それに、やっかいなのは奴だけではない」

シグナムはそう言うと、着ている服を捲った。

腹から腰にかけて、一線の痣が付いていた。

「あの金髪の少女との戦闘か?」

フェイトとの戦いは、終始シグナムが圧倒していたと思われていたが、彼女の放った一撃が、シグナムの騎士甲冑を打ち抜いたのだ。

「澄んだ太刀筋だった。良い師に学んだのだろうな…。武器の差がなければ、少々苦戦したかもしれん…」

フェイトが相手では、負ける気はないが……。

「だが、あの少女はともかく、あの黄金の鎧の男は……」

「ベルカの騎士としては屈辱だが……あの男が出てきたら、即効で退却する……それしかない…。我らはまだ、捕まるわけにも、死ぬわけにもいかないのだから……」

自分達が今、敗れれば掛け替えのない主である八神はやては……。

「それしかないな……」

「アタシも賛成だ……。もうアイツとは戦いたくない…」

認めたくないが、あの男に恐怖を感じているヴィータだった。

「ただいま!」

玄関からアイオリアの声が聴こえ、先程までの暗い顔が、パッと明るくなる。

「お帰り、リア〜〜!」

リビングに入ってきたアイオリアに駆け寄る。

「ねぇ、アイスは?」

「ちゃんと買ってきたから、心配するな……一つだけだぞ!前みたいにお腹を壊すからな…。後は冷凍庫に入れて置け。はやては……シャマルと風呂か?」

ヴィータは、アイオリアから受け取ったアイスを食べる為に台所に向かった。

「すいません……買い物に行かせて……」

「気にするな。女性を夜遅くにお使いに行かせるわけにもいくまい…」

朗らかな笑顔でそう答えたアイオリアだが……突如真面目な顔になり、シグナムに近づき呟いた。

「お前たちが何をしているのか……想像は付いているが……あえて訊かん!訊けば、どのような理由があろうとも、お前たちを止めなくてはならないからな……お前たちがはやての為にやっていることはわかっている……だが……絶対にはやてを哀しませるなよ!」

シグナムたちの口から、はっきりと聞かされれば、聖闘士して止めなくてはならない……しかし、そうなるとはやては……。

アイオリアは葛藤の末、シグナムたちを信じ、気付かぬ振りをすることにしたのだ。

シグナム達の行動が、聖闘士として、絶対に見過ごせない行いではないと信じて……決して、不用意に人の命を奪うようなことではないと……。

シグナムは、やはりアイオリアには気づかれていたことを悟ったが、アイオリアの対応に感謝した。

しかし、彼女は知らない。

目の前の男が、先程自分達を圧倒した男と同格の力を持つ闘士であることを……。

 

〈第二十話 了〉

 


今回から、文章が明朝体ではなくゴシック体になります。

真一郎「何で?」

気分…!

真一郎「あっそ!……ところで、なんか聖域から神具が持ち出されたらしいけど……」

2000年前だけどね。

真一郎「それが、カノン達の災いになる…」

その件に関してはネタバレになる。それ以上訊くな!

では、これからも私の作品にお付き合い下さい

真一郎「お願いします」




管理局への勧誘がやっぱりあったか。
美姫 「でも、それも予想通り断ったわね」
だろうな。この事件では殆どカノンたちの介入はないかもな。
美姫 「変な事が起こらない限りはそうだと思うけれどね」
うーん、どんな感じで進んでいくんだろう。
美姫 「次回も待っていますね」
待ってます。



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