『時空を越えた黄金の闘士』
第十九話 「聖闘士対ベルカの騎士」
なのはの危機に駆けつけたフェイトは、襲撃者の前に立ちはだかった。
時空管理局の嘱託魔導師として、襲撃者……『鉄槌の騎士』ヴィータに武装解除と投降を呼びかけるが当然、拒否され戦闘に入った。
フェイトとヴィータは攻防を繰り広げていたが、そこにフェイトの援護をするアルフが加わり、彼女の『バインド』で見事ヴィータの拘束に成功する。
「終わりだね…・・・名前と出身世界……目的を教えてもらうよ!」
フェイトがヴィータに『バルディッシュ』を突きつけながら問う。
しかしその時、突然、フェイトに斬りかかる一人の女性が現れた。
守護騎士を束ねる『烈火の将』シグナムである。
同時にアルフにも、『盾の守護獣』ザフィーラが襲い掛かってきた。
「…『レヴァンティン』、カートリッジロード!」
シグナムのデバイスから薬莢が排出され、刀身が炎を纏う。
「…『紫電一閃』!』
炎の斬撃がフェイトに襲い掛かる。
フェイトは『バルディッシュ』で受け止めるが、真っ二つに断ち切られてしまう。
シグナムは続けて二撃目を放つが、バルディッシュが『ディフェンサー』を展開し防御する……が吹き飛ばされ、ビルに叩きつけられる。
「フェイト〜〜〜!」
アルフがフェイトの下に駆けつけようとするが、ザフィーラがそれを阻む。
「……新手か!……実力は、あの女の方がフェイトより少し上のようだな…」
フェイトとヴィータと戦闘を傍観していたカノンだったが、突如現れたシグナムの動きを見て、表情が変わった。
「カノン!」
「……リニスか…」
アースラに残していたリニスが、此方に来たようであった。
「アースラでこの周囲に展開されている結界の術式を調べているんですが、手間取っているようです」
「何!?どういうことだ…」
「この結界……私達が使う『ミッドチルダ式』の魔法ではなく、別系統の術式を用いた結界魔法のようです…」
「心当たりはあるのか?」
「先程、フェイトに攻撃を仕掛けたあの女性の持つデバイス……恐らくは『アームドデバイス』。あれを使う者は……恐らくは『ベルカ式』でしょう」
リニスは使い魔とはいえ、優秀な『デバイスマスター』である。
デバイスを見て、それがどの系統のデバイスなのかは、一目で分かる。
ベルカ式とは、管理局が主に使うミッドチルダ式とは別系統の魔法であり、遠距離戦や複数戦はある程度切り捨て(完全には切り捨てていない)、近接戦闘に特化しており、かつてはミッド式と次元世界を二分するほど勢力を誇っていた系統である。
ベルカ式を使用する魔導師の中で、特に優れた術者は『騎士』と呼ばれている。
「不味いです。アルフがあの男に足止めを受けていますので、フェイトはあの騎士と一対一で戦わなくてはなりません」
「その様だな……しかし、確かにあの女はフェイトよりも強いが……それほど実力差はあるわけではないと俺は見るが……?」
「ええ。フェイトを育てた私から見ても、あの二人は経験の差はかなりありますが、実力差はそれほどありません……。ですが……デバイスにも差がありすぎるのです」
リニスは唇を噛み締めながら、そう答えた。
「あの『バルディッシュ』はお前が作ったデバイスだったな……」
先程も述べたがリニスは『デバイスマスター』でもある。
特にあの『バルディッシュ』は彼女の自信作である。故にフェイトの力になると信じ、彼女に与えたのだ。
「しかし、相手がベルカ式の『アームドデバイス』では、分が悪いのです……」
ベルカ式のデバイスには『カートリッジシステム』が組み込まれているからである。
圧縮魔力を込めたカートリッジをロードすることで、瞬時に爆発的な魔力を得ることの出来るシステムである。
分かりやすく言えば、魔力のドーピングみたいなものである。
制御が難しく、身体に掛かる負担も大きく、使いこなせる術者が限られてしまい、それがベルカ式魔法が衰退した原因の一つである。
ミッド式の『インテリジェンスデバイス』は繊細な作りなので、このカートリッジシステムとは相性が悪く、研究はされたものの、デバイスの破損や術者に掛かる負担が相次いだ為、採用されることはなかった。
リニスもカートリッジシステムのことは知っていたが、フェイトと『バルディッシュ』に掛かる負担を考え、搭載しなかったのだ。
「悔しいですが、カートリッジシステムを搭載した『アームドデバイス』が相手では、『バルディッシュ』では耐えられません……」
自らの自信作では、相手に勝てないことを自覚しているリニスはとても悔しそうであった。
「実力が近いなら、経験と武器の差は勝敗に大きく関わるな……」
フェイトとシグナムの闘いを見守っていたカノンだったが、明らかにフェイトが押されていた。
シグナムの『レヴァンティン』の斬撃に、フェイトの『バルディッシュ』が破損させられていた。あのままではなのはの『レイジングハート』と同じく大破してしまうだろう。
アルフとザフィーラの闘いは双方互角といったところであり、フェイトの援護には迎えない状況である。
そして、まだヴィータがいる。彼女が加わればフェイトの勝ち目は殆どない……。
「ユーノ……なのはの傍から離れるな……。リニスはフェイトとアルフを退がらせユーノと共になのはを護れ!奴らとは俺が戦おう」
カノンは2人にそう言い残すと、簡易デバイスを展開させ、飛び出した。
★☆★
アルフと攻防を続けていたザフィーラは突然、側面から蹴りを喰らい吹き飛ばされた。
「カノン!?」
突如、乱入してきたカノンに驚いたアルフだったが、リニスからの念話を受け、なのはの下に退がった。
フェイトを圧倒していたシグナムだったが、自分の方に蹴り飛ばされたザフィーラと衝突してしまい、体勢を崩してしまった。
「ザフィーラ!?」
「すまん……シグナム…。不意を突かれた」
体勢を整え、フェイトの方に視線を向けたシグナムとザフィーラの前に、フェイトを庇うようにして立つカノンの姿が見えた。
「あの男か?」
「ああ。突然、間合いに入り込まれ蹴り飛ばされてしまった……」
ヴィータもシグナムたちの傍に寄ってきた。
「アイツ……かなりの魔力を持っているぞ!」
「ああ、あの男の魔力を蒐集できれば、『闇の書の管制人格』の起動に必要な4百頁に一気に近づくことが出来るかも知れん……」
「先程、ヴィータが倒した少女と、今、シグナムが戦っていた管理局の嘱託魔導師、そしてこの黄金の鎧の男の魔力で『闇の書』が完成させられる」
シグナム達は、降って沸いたチャンスに、昂揚していた。
「フェイト。お前はなのはの下に行って、彼女を護れ!」
「でも……私はまだ戦える!」
「フェイト!」
今まで防戦一方だったので、悔しそうな顔で反論するフェイトにカノンが一喝し、フェイトはビクッとなる。
「お前も理解している筈だ。ただでさえ経験も武器も実力も向こうの方が勝っているのに、お前は傷ついたなのはの事が気になり、実力を出し切れていない……。そんな状態では万に一つも勝ち目などない!」
カノンの指摘に、フェイトは言葉を詰まらせながら、なのはがいる方角に視線を向ける。。
「今、この場は、お前が命を賭けるべき場所ではない……。悔しいのは分かるが、ここは退がれ!いいな!!」
フェイトは迎えに来たリニスと共に、なのはの下に向かった。
「さて、誰から来る?無論、3人まとめて掛かってきても構わんが……いや、むしろその方が手間が省けて助かる……」
カノンの言葉に、ヴィータが激怒した。
「てめぇ、アタシ達3人と同時に戦って勝てると思ってんのか!?」
「無論!」
即答したカノンに、ヴィータの怒りは更に増した。
「確かに魔力量は凄まじいが、それだけでベルカの騎士に勝てると思われているとは……舐められたものだな!」
シグナムも、表には出していないが内心では怒りを覚えていた。
「勘違いするな……。俺は戦闘に関しては飛行魔法しか魔法は使わん!」
「何だと!」
「魔法を使わずに我らを倒せると思っているとは……本当に舐めているな!」
もはや、ヴィータは暴発寸前であり、シグナムもザフィーラも怒りが表に出てきていた。
「ベルカの騎士を愚弄したことを後悔しやがれ〜〜〜〜『シュワルベフリーゲン』!」
四発の鉄球を放り投げ、空中で静止し、開店しながら紅く発光し、『グラーフアイゼン』のハンマーヘッドで打ち出した。
先程、なのはやフェイトにも使用した魔法である。
四発の鉄球が、滑らかにホーミングしなからも高スピードでカノンに向かってくる。
しかしカノンは、無造作に腕を振るい、手の甲で四発全て粉砕してしまった。
「な……何!?」
バリアを張るわけでもなく、魔法で打ち落とすわけでもなく、あっさりと粉砕されてしまったことにヴィータは驚愕した。
「……この魔法は先程見た。それ以前にこの程度、初見で見切ることすら容易い……」
ベルカ式にしては珍しい中距離誘導型射撃魔法であり、驚異的な誘導操作を誇る魔法であるが、黄金聖闘士の目からすれば簡単に見切れてしまうのだ。
しかも、一度見ている。
聖闘士に一度見た技は通用しない……。
「今度は此方から行くぞ!」
カノンの拳が光ったと同時に、凄まじい衝撃がヴィータを襲った。
「グァッ!」
カノンから放たれた閃光のような拳がヴィータの防護服……いや、騎士甲冑を易々と貫いた。
「ヴィータ!?」
「バ……バカな…。攻撃が……まったく見えなかった!?」
「しかも、あっさりとヴィータの甲冑を貫いただと!?」
シグナムとザフィーラは驚愕した。
先程のカノンの光速の一撃……見切ることどころかいつ繰り出されたかさえ分からなかった。
光ったと思ったら、一瞬でヴィータの肩口を貫いたのだ……。
「俺がお前らを舐めている……と言ったが…お前たち……いや管理局を含む魔導師たちのほぼ全員が舐めている……魔法無しでは自分達に勝つことなど出来ないと考えていること自体……増長極まりない……その愚かしい先入観を粉砕してやろう…」
カノンから発せられた眼光を受け、脅威を感じたザフィーラが障壁を展開し、2人の前に庇うように立ちふさがる。
しかし、再びカノンの拳が光り、先程ヴィータに向けて放った一撃ではなく、無数の光速拳が放たれ、あっさりと障壁を貫け、ザフィーラの全身に浴びせられた。
「グワアァァァァァァァァァ!!!」
『盾の守護獣』という二つ名の通り、ザフィーラの防御力は守護騎士の中でトップクラスである。
しかし、破壊の究極を身につけている聖闘士の前ではその『盾』も無意味であった。
それでも、後ろのシグナムたちに攻撃を徹さなかったことは賞賛に値する。
「ザフィーラ!!」
「……な……何なんだよ……コイツ……?」
シグナムとヴィータは、戦慄していた。
先程のカノンの台詞……「魔法無しでは自分達に勝つことなど出来ないと考えていること自体、増長極まりない」。
まさしくその通りであったことを実感したのだ。
ヴィータへの一撃と、ザフィーラへの攻撃。
そのどちらにも魔力反応がなかったのだ。
カノンは、本当に飛行魔法以外魔法を使っていないのだ。
自分達が信じていた常識が音を立てて崩れていくのを感じていた。
特に、ヴィータは目の前の規格外の存在に恐怖を感じ始めていた。
「……そ……そんなバカなことがあって堪るか〜〜〜〜〜〜〜!!」
『闇の書』の主を護る守護騎士……『鉄槌の騎士』である自分が敵に恐怖を感じるなど……ヴィータは認めることが出来なかった。
「よせ!ヴィータ!!」
シグナムの静止も聞かず、ヴィータはカノンに踊りかかった。
カートリッジをロードし、『グラーフアイゼン』がロケット推進による大威力突撃攻撃を行う強襲形態『ラケーテンフォルム』に変形する。
「くらえ〜〜〜〜!『ラケーテンハンマー』!!」
なのはの『ラウンドシールド』を貫通させる威力を誇る『ラケーテンハンマー』を、渾身の力を込めて繰り出すが、カノンの前では無力であった。
『グラーフアイゼン』のハンマーヘッドがカノンの指拳で粉々に砕かれてしまったからである。
「……そ……そんな…!?」
『ラケーテンハンマー』は『ラケーテンフォルム』専用の魔法であり、彼女の使用する魔法の中では上位の攻撃魔法である。
絶対の自信があった魔法をあっさりと破られ、ヴィータは呆然自失となった。
その隙を逃すカノンではないので、呆然とするヴィータに一撃を加え、気絶させた。
★☆★
離れた場所で、シグナムたちを見守っていたシャマルは焦りを感じていた。
はやてとアイオリアに、もう直ぐ帰ると連絡した後、状況が一変したのだ。
かなり高い魔力を持つ黄金の鎧の男と、この男には及ばないもののそれでも高い魔力を持つ2人の少女。
上手くいけば、今回で蒐集が終わり、主であるはやてに迫る問題が解決できるだろう。
はやてとアイオリアと共に、これからも楽しい生活が送れるようになる筈であった。
しかし、それが如何に甘い考えであったかを痛感させられた。
ザフィーラに続き、ヴィータさえもあっさりと敗北してしまったのだ。
如何に自分達の中で一番強いシグナムとはいえ、あの黄金の鎧の男が相手では時間の問題である。
あの男からは、この場にいる誰よりも高い魔力を感知できるのに、飛行魔法以外、一切の魔法を使わずにシグナムたちを圧倒しているのだ。
シャマルから見れば、悪夢以外の何者でもなかった。
黄金の鎧の男と金髪の少女、そして最初にヴィータが狙った白い服の少女。
この3人の魔力を蒐集すれば、一気に『闇の書』の頁が埋まるというのに……。
あの男から蒐集するのは絶望的である。
切り札を使用しても、あの男のリンカーコアを捉えることは不可能だろう。
ならば、せめて『あの娘』からだけでも……。
シャマルは、金髪の少女達に囲まれている白い少女に目標を定めた。
★☆★
「さて、どうする……。残りはお前一人になったが…」
「……」
シグナム自身、悟っていた。
どう足掻こうが目の前の男には歯が立たないことを……。
『聖王』、『冥王』、『覇王』など古代ベルカ時代に名を馳せた『王』達の中にも、これほどの強さを持つ者など存在しない。
このまま闘い続ければ、間違いなくこの場に倒れているのは自分である。
非殺傷設定から殺傷設定に切り替えて戦っても、結果は同じだろう。
今、シグナムの心には二つの感情が生まれていた。
1つは、自分の全てを出しきっても、勝てないほどの強者が現れたことに対する喜びである。
後先気にせず、全力でぶつかって行きたいという想い。
もう1つは、ここで自分まで敗れてしまえば、『闇の書』を完成させることが叶わなくなってしまうことに対する絶望である。
ベルカの騎士に撤退はない。
しかし、ここで敗れ管理局に捕らえられてしまえば………愛しい主を救うことが出来なくなる。
自身の心にある相反する二つの想いが、シグナムを迷わせていた。
「なのはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
その時、先程まで戦っていた金髪の少女の絶叫がシグナムの耳に届いた。
★☆★
ユーノが張った『回復と防御の結界』の中にいるなのはを護るように、前後左右に囲んでいるフェイトたちだったが、改めてカノンの強さを見せ付けられていた。
「………これが……カノンの力…」
特にリニスは、今回初めて自身の新しい主であるカノンの戦いを目にしたので、その驚愕は計り知れなかった。
「本当に聖闘士の力って、戦闘に関しては魔導師を圧倒するな……」
「そして、カノンはSSランクの魔力量を持つから……」
「魔導師としても、凄く強くなるよね……」
ユーノ、フェイト、アルフも顔を引き攣らせながら、話していた。
しかし、カノンの戦いを見学しながらも、周囲の注意を怠ってはいなかった。
魔導師が、普通の聖闘士に勝るものの一つ。二つ以上のことを同時に思考、進行させるマルチタスクによって、話しながらも周囲を警戒していたのだ。
だが、攻撃は彼女達の思いもよらない方法で行われたのだ。
突然、なのはの胸部から腕が生えてきたのだ。
しかも、その手にはなのはの魔力の元である『リンカーコア』が掴まれていた。
「なのはぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
余りのことに、フェイトの絶叫が響き渡った。
★☆★
フェイトの絶叫を聞き、カノンもなのはに起こったことを把握した。
《カノン!……どうやら敵はなのはちゃんの魔力を奪うのが目的だったようです》
リニスからの念話が届き、カノンは意識を飛ばし、なのはの胸から生えている腕の持ち主を探し始めた。
かつて十二宮の戦いのとき、教皇に扮したサガが、瞬を異次元に送り込もうとしたときに邪魔をした一輝の居場所を教皇の間から意識を飛ばし、探したときのように……蟹座のデスマスクが黄泉比良坂から意識を飛ばし、五老峰から紫龍の無事を祈る春麗の居場所を探したときのように……。
それらに比べればかなり近い位置にいる、腕の持ち主……シャマルの居場所は直ぐに見つかった。
「失せろ〜〜〜〜〜!」
カノンは小宇宙で作り出したエネルギーの塊りをシャマルに向けて撃ち出した。
ハーデスの尖兵を装い、乗り込んできたサガが双児宮からカノンの居る教皇の間に攻撃を仕掛けたときのように、強力な力がシャマルに襲い掛かった。
「キャァァァァァァ!!」
直撃こそしなかったものの、余波により吹っ飛ばされたシャマルは、なのはのリンカーコアの蒐集を中断させられた。
しかし、それでもなのはの半分以上の魔力を蒐集することが出来た。
《シャマル!大丈夫か!?》
シグナムからの念話が届く。
《なんとか直撃は避けられたから……でも、これ以上は不味いわ。さっきのあの男の一撃で結界が破壊されてしまったわ。ヴィータちゃんとザフィーラを連れて撤退しましょう!》
《それが、懸命だな》
シャマルは転送魔法の準備を始めた。
★☆★
「悪いがここは退かせてもらう……」
「……好きにしろ」
カノンにシグナムを追うつもりはないようであった。
「お前なら、我らを逃がすことなく倒すことなど造作もないはずだが……」
シグナムは疑問に思ったことを口にした。
「俺は管理局員ではない……それに今は貴様らより、なのはの治療が先決だ……逃げるならさっさと逃げろ!」
カノンの返答を聞き、自分達がこの男の眼中にないことを悟る。
自分達を軽く見られているようで少し悔しいが、このままでは勝ち目がまったく無いのは理解できている。
逃がしてもらえるなら、逃げたほうがいい。
シグナムはそう冷静に判断を下し、その場を後にしようとする。
「テスタロッサには名乗ったが、私はベルカの騎士、ヴォルケンリッターが将、シグナム……。我らを凌駕する強者である貴公の名を教えてもらいたい……」
「……アテナの聖闘士、『双子座』の黄金聖闘士、カノン…」
「……セイント?……そのような存在は聞いたこともないが……貴公の強さは敬意を超え、畏怖を覚えるほどだ……。その名は私の記憶に永久に留めておこう……」
シグナムは、気絶しているヴィータたちの下に行き、シャマルの転送魔法でその場を後にした。
《カノン……何故、彼女達を逃がすのですか?》
《管理局にそこまでの義理はない……。それに、俺から見ればたいした奴等でもないがフェイトたちにとって、あいつらとの戦いはいい経験になるだろう……恐らく流れからいって、この事件の解決は、アースラのスタッフの仕事になりそうだからな……》
リニスにそう答えたカノンは、魔力を奪われたなのはの下に向かった。
〈第十九話 了〉
真一郎「カノン無双だな」
まあ、カノンが直接、守護騎士たちと戦うのは今回だけだからな…
真一郎「これからは、基本的に原作どおりの展開になるわけだな」
そういうこと。
真一郎「しかし、なんでアイオリアと一緒に居るシグナムたちは聖闘士のことを知らないんだ?」
アイオリアは、シグナムたちに自分の実力を見せてないからね。多少の強さは感じているけどね。でも眠れる獅子の状態のアイオリアは穏やかだから、シグナム達の目を持ってしても真の実力には気付かないんだ
では、これからも私の作品にお付き合いください。
真一郎「お願いします」
シグナムたちが聖闘士の事を知らなかったか。
美姫 「だからこそ油断も少しあったのね」
とは言え、それがなくとも黄金闘士の拳を避けるのは難しいだろうけれどな。
美姫 「アイオリアがカノンの前に出てくるかしらね」
どうなるかな。ちょっと楽しみではあるが。
美姫 「次回も待っていますね」
ではでは。