前書き
DBの次元について、もう一度おさらい。
公式の次元
・次元T
トランクスが何らかの方法で17号、18号を倒したが、セルに殺されタイムマシンを奪われる次元。
・次元U
次元T、エイジ785年から分岐。
トランクスが実力で17号、18号を倒し、更にセルも実力で倒す次元。
・次元V
次元T、エイジ763年(セルが未来から卵の形で到着)から分岐した次元。
原作本編。
オリジナル次元
・次元W
次元T、エイジ767年から分岐した次元。
本作品。
・次元X
次元V、エイジ774年から分岐した次元。
ハーメルンに投稿している「DRAGON BALL IF」
『時空を越えた超戦士−Remake−』
其之六 異世界での生活
都市部より離れた小さな山に、少年の掛け声が響き渡っていた。
逆立った金髪の少年が、シャドーを行っている。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!りゃりゃりゃりゃりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
拳を突き出す度に、蹴りを放つ度に、その体を伝う汗が飛び散る。
これを他の誰かが見たら、驚愕していただろう。
なにせ、常人では肉眼では捕らえる事が不可能な突きの速さなのだから……。
【よし……悟飯!少し休憩にしよう】
横で見物している小さなドラゴンの腕に掛けられた宝玉の付いたネックレスから声が発せられた。
「…はい。お父さん」
少年の名は孫悟飯。
友達であるハイヤードラゴンと父・孫悟空の記憶と人格を複製したデバイス『カカロット』と共にこの世界に来て、2ヶ月が経過していた。
ブロリーとの闘いの後、神龍の力でミッドチルダと呼ばれる世界に送られた悟飯は、機動したカカロットとハイヤードラゴンと共に生活を始めた。
送られた地はミッドチルダ西部、エルセア地方の辺境地域。
人が住んでいない山の中に送られた悟飯は辺りを散策し、洞窟を見つけた。
中に入り、しばらく歩いていると先の方から光りが見えた。
どうやら天然トンネルだったらしく、外に出るとそこは丁度良い広さの広場に出た。
少し離れた場所に清涼そうな川が流れ、美味しそうな木の実や果物などが生茂っていた。
【悟飯。オラを川の水に近付けろ】
「えっ…!?はい…」
言われるがまま悟飯は、カカロットを川に近づけた。
【…分析完了……この川の水は飲料水として充分使えるぞ】
「すごいですね。そんな事が分かるんですか?」
【ああ。神龍はお前が生活する為に必要な機能をオラに付けてくれたからな。水だけじゃなく、果物や木の実、茸なんかにも近づけりゃ食える物と食えねぇ物を調べられるぞ!】
更にはこの世界の一般常識なども記録されている。
いうなれば、このデバイス『カカロット』は、博識な悟空……と言っていいデバイスなのである。
「ハハハッ……助かりますよお父さん。ハイヤードラゴン……荷物はある?」
「クアァァァ!」
ブロリーに襲われながらも、ハイヤードラゴンの首に掛けられていた鞄は、ボロボロながらもなんとか無事であり。悟飯は中からケースを取り出した。
「うん。どうやらカプセルに損傷はないようだ……」
中身を確認し、一つのカプセルを取り出し、スイッチを押して、放り投げた。
BOMG!!
煙が晴れるとそこには、立派な一戸建ての家が建っていた。
悟空の最初の仲間、ブルマの父であるブリーフ博士が発明したホイポイカプセルである。
世界を変えた発明と呼ばれ、このたったひとつの発明でブリーフ博士は、世界でも1、2を争う大会社『カプセルコーポレーション』を設立した。
ホイポイカプセルの売り上げは尋常ではなく、特許料だけでもとてつもない額に登る。
カプセルコーポレーションの事業は、カプセルと世界第一位のシェアを誇る乗り物だけではなく、他にも衣料、家電、簡易住宅などにも手を広げているのだ。
悟飯が今、出したカプセルハウスは、簡易住宅としてはかなりの高級品になる。
ハウスの中に高性能な小型自家発電装置が内臓されており、照明や家電に必要な電力程度ならば、充分賄える代物で、それ以外にもさまざまな機能が組み込まれており、快適な居住環境が整えられているので、軽く500万ゼニーはする製品である。
無論、そんな高価な代物を悟飯が買える筈もないのだが、そこはブルマが悟空やピッコロ達を喪い、1人で人造人間と闘おうと修行に励む悟飯の為に、無料で提供してくれたのだ。
【とりあえず悟飯。お前はこれから寝る時以外は、ずっと超サイヤ人でいるんだ】
「えっ……何故ですか?」
超サイヤ人に変身すると通常の50倍の戦闘力になるが、落ち着かなくなる気分や体に掛かる負担によって、その力をフルに使う事が出来ない。
しかし、常に超サイヤ人の状態でいることで、体を慣らし、興奮状態を克服する事で、パワーアップしても体に掛かる負担が減り、超サイヤ人の真の実力を引き出す事が出来る様になる。
超サイヤ人フルパワーの実力は、人造人間など軽く凌駕できるのだ。
「そうか……そんな事考えた事もありませんでしたよ……やっぱり、お父さんが生きていたら……俺たちの世界もあんな地獄にはならなかったんですね…」
人造人間が現れて、ピッコロ達を喪い、悟飯は何度も思った。
「お父さんさえ、生きていたら」……と。
悟飯は、潜在能力こそ悟空以上だが、所詮10歳の子供に過ぎず、戦歴が浅い。
もともと戦闘向きの性格をしていないので、指導してくれる師匠がいない状態では、なかなか巧く修行をすることも出来なかった。
次元Tの悟飯が、人造人間に殺されてしまったのもそれが原因だろう。
この2ヶ月、常に超サイヤ人になっていた御蔭である程度、体が慣れて来ていた。
流石に『精神と時の部屋』で修行をしていた訳ではないので、次元V、セルゲーム当時の悟飯ほどではないが、人造人間程度なら苦もなく倒せる程の実力を身に付けようとしていた。
【これで、逆上してぶっちぎれたら、超サイヤ人2に覚醒できるだろうけど……この世界じゃ必要ねぇだろうな】
「……!?何か言いましたかお父さん?」
【いや、なんでもねぇ……このままだと、あと4ヶ月程度もあれば、超サイヤ人の力をフルに使う事が出来る様になるだろう】
「そうですね。大分、力の|制御《コントロール》も上手く出来る様になりましたし……」
何しろ最初の頃は、力の制御が上手くいかないので、食事などは外でとっていたりしていた。
下手に家の中で食事などをしていると、食器類が全滅していただろう……。
カプセルハウスは、洗濯機を使う時と寝る時だけしか利用せず、食事などはピッコロと修行していた時の様に木の実を集めたり、外で火を起こして狩った獣の肉や釣った魚などを焼いてりして食べていた。
★☆★
その日は、激しい豪雨に見舞われていた。
力の制御もほぼ問題がなくなったので、悟飯はカプセルハウスの中で、この世界の関する勉強をしていた。
今日は、この世界の文字の勉強をしていた。
教えているのは勿論、カカロットである。
「本当のお父さんだったら、まずこちら方面では頼りにならないですよね……」
【まあな。孫悟空の記憶と人格を持ってるとはいえ、オラ自身はデバイスだからな……】
何しろ悟空は結婚前は、常識と世間一般知識がまったくなく、○○って何だ?が口癖だった。
チチとの結婚後、非常識な言動が少なくなったが、だからと言って悟空に勉学の指導は不可能。
先にも述べたがこのデバイス『カカロット』は、『博識な悟空』なのだ。
【あと……オラには、27の秘密の機能が組み込まれているけど、お前が魔導師として成長しなけりゃ全部は使えこなせねぇからな】
27の秘密の機能。
先に述べた飲食物の安全性の検査もその一つである。
悟飯には、この世界でいう魔力資質……つまりリンカーコアがある。
しかし現在の悟飯の魔力量は、この世界の基準でCランク程度しかなく、どれだけ鍛えてもAランクがやっとである。
と、いっても戦闘力に関してならば、たとえSSSランクの魔導師であっても、悟飯には到底及ばないが……。
何しろ、SSSランクの魔導師で、初代ピッコロ大魔王レベルなのだ。
そして現在、SSSランクの魔導師など存在しない。
オーバーSランク魔導師で、亀仙人とほぼ互角程度なので、こと戦闘力という面に関しては、魔導師など悟飯の敵にもならないのだ。
【それにお前は、魔導師としては戦闘向けじゃねぇしな】
悟飯の魔導師としての資質は、某白い悪魔の様な戦闘魔導師向けではなく、某フェレットの様な後方支援型の魔導師に向いている。
そもそも魔法による身体強化など、悟飯には必要ないし…。
「それにしても……よく降りますね……これだけ降ると川が氾濫しますね…」
悟飯は、窓から外の豪雨の風景を眺めてそう言うと……ハッとなった。
カプセルハウスは立地的にも問題ないが、下流の方は間違いなく氾濫しているだろう…。
【どうしたんだ悟飯?】
「お父さん。確か数日前すら下流の方で、人の気が感じられたでしょう!?」
おそらく誰かが、下流でテントを張って滞在していたはず……。
「この急な豪雨で川が氾濫したとなると……」
【そいつが危ねぇ!】
悟飯は急いでカプセルハウスから飛び出した。
少女は今、生命の危機に瀕していた。
亡くなった兄の夢を叶えるため、兄から教わった魔法を身に付けるため、山篭りを敢行した。
しかし、運悪く例年にない豪雨に襲われる羽目になった。
雨季でもないのに、これほどの豪雨になるのは実に70年ぶりである。
いかに魔法や科学が発達しようと、自然とは人間の予測を超えるものなのだ。
少女がテントを張った場所の周りは既に浸水しており、これ以上水嵩が増せば流されてしまうは必定。
少女は魔法学校の生徒なので、簡単な魔法は使えるが、やはり正規の訓練を受けた魔導師ではないので、この様な状況では為す術もなかった。
「これまでなの……?お兄ちゃん……助けて…」
このまま死にたくはなかった。
兄の葬儀の時の事が頭に浮かぶ。
死んだ兄に対し、心無い台詞を吐き捨てる兄の上司……悔しくて、悲しくて……。
「キャアァァァァァァァ!」
そして、とうとう決壊し少女はテントごと濁流に飲み込まれそうになったその時、何処からともなく飛来した閃光に抱かれて、少女は濁流から救われた。
「大丈夫ですか?」
目を明けた少女が見たのは、逆立った金髪と碧眼を持った自分と同年代の少年だった。
後書き
真一郎「とある少女との出会い」
まあ、誰かはお分かりだと思います
真一郎「デバイス『カカロット』27の秘密ってまさか仮面○イダーV3……」
ギクッ!ま……まあ最初は108の秘密にしようかと思ったけど……
真一郎「108つも考えるのにが面倒になったな」
……ではこれからも私の作品にお付き合い下さい。
真一郎「お願いします」
博識な悟空ってのは少し違和感が。
美姫 「まあ、実際は悟空ではなくデバイスだものね」
まあな。で、今回は悟飯の修行と少女の出会いか。
美姫 「この少女は多分」
だと思うが実際はどうかな。
美姫 「次回が楽しみよね」
ああ。気になる所で終わってるからな。
美姫 「次回も待ってますね」
ではでは。