1月22日 (日)  PM 9:15

 

「さ、もう寝ましょうか」

 

 そう微笑みながら後ろにいる少女――あすかちゃんに告げる。

 あすかちゃんは夕方になってから買ってきた雑貨の一つ――イチゴ模様がプリントされたパジャマを着て所在なさそうに立っている。その目は何度もわたしとベッドの間を往復して、やがて意を決したように口を開き、

 

「本当に、一緒でないとダメなのか?」

「ごめんなさい。今、他に空いてる部屋はないんです」

 

 そうは言っても、たぶん空き部屋があったとしても、こんな小さな子を一人で、という後ろめたさみたいなもので今と同じ判断をしているとは思う。

 それでもあすかちゃんは少しの間、頬を膨らませてむくれていたが、やがて観念してベッドの上に横になった。

 

「それじゃああすかちゃん、おやすみなさい」

「……おやすみ」

 

 そう言ってから数分、疲れていたのだろう、穏やかな寝息をたててあすかちゃんは眠ってしまった。そのあどけない寝顔を見て、つい笑みがこぼれてしまう。

 こんな無邪気な寝顔をする子が、千年以上生きているだなんて誰が信じるだろうか。

 志乃さんとあすかちゃんが不老不死ということは夕食のときに話して、ここの寮生の皆が知ることになった。そのことについては二人の了承を得ているし、皆の反応もおおむね良好。少なくとも、不老不死を理由に嫌悪を見せる子はいなかった。

 なお、そのとき志乃さんは夕食の席にいなかった。リスティから聞いた話では、またあすかちゃんや久遠ちゃんと殺し合いをしないように時間をずらして活動することにするとか。

 でも、できるなら志乃さんも一緒に夕食を取れるようにしたい。ご飯は皆で食べる方がおいしいに決まってるんだから。

 

「どうしたらいいんでしょうね……」

 

 今日の様子から、それは決して無理なことではないと分かるだけに余計にそう思ってしまう。

 あすかちゃんの方は我慢できると本人も言っていた。

 久遠ちゃんの方は那美ちゃんに説得してもらうとして――

 

「……でも、志乃さん自身が拒むでしょうし……」

 

 なんとなく呟いてみたことだけど、その姿を想像するのは難くなかった。

 なるべく早いうちに、本人も交えて相談してみよう。とりあえず今は、それしか結論が出ない。それに今、志乃さんはリスティと一緒に外に出ているので、どんなに考えを巡らしてもそれは結局独りよがり。

 そこで益体もない思考はやめて、あすかちゃんの隣に横になる。

 

「おやすみなさい」

 

 聞こえないと知りつつも、もう一度そう言って、母親が娘にそうするように、あすかちゃんを抱きしめるようにして眠りについた。

 

 

 その夜、さざなみ寮に絶叫が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

      第8話  「古傷」

 

 

 

 

 

 

  1月23日 (月) AM 1:13

 

「うおわっ!?」

 

 いきなり響いた悲鳴で、眠りからたたき起こされて飛び起きた。

 

「な、なんだぁ?」

「耕介様」

 

 ボウッと御架月の姿が浮かび上がる。

 

「御架月。さっきの声はどこから?」

「隣の愛様の部屋からのようです。あの声はおそらく、あすか様のものと思いますが」

 

 その指摘に慌てて霊剣『御架月』を手に取り、部屋を飛び出す。

 なにせここさざなみ寮は、退魔士が二人に霊剣、妖狐と霊的な力が強くなっており、そのせいで『そういうもの』が集まりやすくなっているとか。さらに影響のほどは分からないが、最近『呪い憑き』というのも二人増えたし。

 だからさっきの悲鳴も、事情を知らないあすかちゃんが幽霊でも見てしまったのかと思った。それがただの浮遊霊とかならまだいいけど、なにかしらの悪霊の可能性だってある。

 

「愛さん! 起きてる!?」

 

 やや乱暴にドンドンとドアを叩く。それでも中からの反応はない。

 そうしている間に、二階で寝ていた皆も下りてきた。

 

「耕介! なんだ、さっきの声は?」

「分かりません。御架月はあすかちゃんの声だって言ってましたけど」

「そりゃ分かってる。って、ええぃ! とにかく、さっさと開けろ」

 

 まだ返事はないままだが、真雪さんに言われるままドアを開け――

 

「熱っ!」

 

 ドアから漏れ出してきた空気が灼けるように熱い。ストーブの温度設定を間違えたってここまではならないだろうに。

 

「耕介、早く窓開けてこい!」

 

 後ろから真雪さんが怒鳴るように指示する。

 一瞬、いきなりなにをと思ったがすぐにその意味するところに気づいた。こんな高温の密室の中にいたら熱中症になってもおかしくない。

 慌てて明かりも点けずにドアの反対にある窓まで駆け寄って、やや乱暴気味に勢いよく開ける。その窓から流れ込んでくる冷気が気持ちいい。

 それからすぐに背後を確かめ、目当ての人物へと駆け寄る。

 

「愛さん、大丈夫?」

 

 愛さんは自身の汗でぐっしょりとなって、ベッドの上で耳を押さえながら涙目になっていた。

 

「み、耳が……キーンって」

 

 さっきの悲鳴を間近に聞いてしまったからか。

 でも、こちらの問いに答えれるということは最悪の事態にはなっていない。それにまず安堵して、

 その横を割り込むように、人影が現れた。

 

「耕介さん」

「愛さんはわたしたちが」

「え? あ、うん、お願い」

 

 真雪さんからなにか指示を受けたのだろう。那美ちゃんと舞ちゃんが俺の腕から愛さんをひったくる勢いで連れて部屋を出て、そのまま風呂場の方へと向かった。

 それと入れ替わりに、真雪さんと美緒が部屋に入ってくる。

 

「……で、問題はそっちのちびっ子だけど」

「ええ……、そうですね」

 

 そしてこの騒動の原因のあすかちゃんはというと、愛さんとは反対の部屋の隅で震えていた。

 

「ごめんなさい……。ごめんなさい……。ごめんなさい……。ごめんなさい……」

 

 なにかから自分を守ろうとするように小さくなって何度も、何度も、泣きながら謝っていた。

 

「あすかちゃん……」

 

 その姿が痛ましくて、慰めようと思った。

 本当に、それだけのつもりだったのだけど――

 

「ヒッ……」

 

 伸ばされた手に焦点が合った。

 その瞬間、千年を生きたという少女の顔が混ぜ物のない恐怖一色に染められる。

 

「うぁ……。やぁ、いやだぁ」

 

 壁に背を擦らせながら、必死で後退さる。

 が、端まで行き着く前に体勢を崩して倒れた。

 

「ちょっ……大丈夫?」

 

 そう言って駆け寄る。それはもはや自分の本能とも言えるほどに自然と取った対応。

 けれど、今の恐慌状態のあすかちゃんには逆効果だったのか、状況はさらに悪化した。

 暗闇の中でなおはっきりと浮かび上がる黒い翼。

 そして、その恐怖一色の目が俺に向けられて――

 

 

 ドッ!

 

 

 いつの間にそこまで近づいていたのか、志乃があすかちゃんの首筋に手刀を叩き込んでいた。

 

「ぁ……」

 

 それきり力を失い、あすかちゃんはくてりと倒れそうになり、その肩を志乃が掴んで止めた。

 その姿をじっと見詰めてからふぅっと息を吐いて、 

 

「……いったい、なにしたの。この子の声、外まで聞こえてたよ?」

「いや、それは俺もさっぱり。なにせ、いきなりだったから」

 

 そう。本当にいきなりだった。

 なんの予兆もなく、なのに一発で寮生全員を叩き起こす――それどころか外にまで聞こえる悲鳴をこの子は上げた。

 まさか愛さんがなにかよからぬことをしたわけでもあるまい。

 となるとなんで――

 

「なにか怖い夢でも見たのかな?」

 

 ポツリと美緒が呟いた。

 その言葉に全員が納得した。

 というか、なんでその考えが出てこなかったのか不思議なくらいだ。

 フィリスから少し話は聞いていた。

 この子は、母親に関してなにかトラウマを背負っているらしい、と。

 それはたぶん昼に志乃の言葉で取り乱したトラウマとは別のもので、けれどこの子の人生の一番最初に影を落とした傷。

 そのことを、そのときその場にいなかった皆に話す。

 すると、それに誰より深い悲哀を見せたのは、志乃だった。

 

「母親、ね……」

 

 少しトーンの落ちた声で呟いて、志乃はあすかちゃんをひょいと抱き上げた。

 

「? 軽いね。ちゃんと食べてるのかな?」

「いや、それはその子がHGSだからじゃないかな」

 

 その前例として俺が知っているのは知佳だ。彼女の自然体重は百キロ以上あり、普段は能力を使って誤魔化している。それを初めて知ったとき、持ち上げてみてと言われて持ち上げれなかったのは、今はもう懐かしい思い出だ。

 

「へぇ……、そうなんだ」

 

 それだけ答えて、志乃はそのまま部屋を出ようとする。

 

「ちょっと、どこに行く気?」

 

 美緒の問いかけに志乃は振り返り、

 

「たぶん、誰かと一緒だとその母親のことを夢に見ちゃうんだと思うよ。だから、今夜はあたしの部屋に寝かせとく」

「は? キミ、子供は苦手とか言ってなかったか?」

「うん。でも、寝床を貸すくらい問題ないし」

 

 あっけらかんといった感じで答えた。少なくとも、昼間に奇襲まで仕掛けた人の科白じゃないと思う。けど――

 

「苦手か? 今のアンタの姿見てると、とてもそうは見えねーけど」

 

 その意見には同感です、真雪さん。

 今のあすかちゃんを抱き上げてる姿も堂に入ってるし、経験でもあるように手慣れた感じもする。

 まあ一言で表すなら、母性に溢れている、というのが一番しっくりくる。少なくとも、外見上はリスティと同年代には見えないくらいには。

 そしてそれをどう受け取ったのか、志乃は少し困ったように笑って、

 

「子供を見ると考えちゃうんだよ。産んであげられなかったあたしの子が生まれていたら、どんな風に育っていたんだろうって……」

「ああ……」

 

 リスティがなにか心当たりでもあるように呟きを漏らした。

 けど、俺を含めた他の皆は初めて聞く話に絶句した。笑いながらそう言われても、対応に困る。

 

「まぁ、もう千年も昔のことだし、いいかげん引きづるのはやめるべきだと思うんだよ」

 

 そう呟く横顔は、胸の痛みを見て見ぬ振りをしているように痛ましいものだった。

 

 

 

      *   *   *

 

「なんとも、まぁ……」

 

 もう何度も同じ文章を読み返し、ようやく出てきた言葉はそれだった。

 だって仕方がない。その内容は、どこの空想の産物かと思わせるくらいに自分の常識を外れている。

 今自分がいるのは、アースラの艦長室。

 そこで今日の仕事の予定と昨日のメールを確認していたのだが、その中のある項目に辿り着いてそこで作業が止まってしまった。その画面には昨夜のうちにフェイトさんとシグナムさんから送られてきていたメールが表示されている。

 その内容は主に調査報告。フェイトさんからの分には最近の生活の様子なども書かれているが、それはついで程度の量しかない。

 そして、その内容がまた……

 フェイトさんはまだ慣れていない子供らしく、報告書としては拙い文章ながら自身の主観や推察なども加えていて、さらにはデバイスに残した音声記録までつけてくるという徹底ぶり。

 シグナムさんからの報告は、彼女の生真面目な性格が全面に出ていて、一切の無駄なく事実だけを書いている。当事者の人たちに聞いた話から得た情報。そしてそれによる周囲の反応など。

 

「どうしようかしらね……」

 

 もともと、この件について調べてみようと思ったのはある可能性を疑ったからだ。

 

 死者蘇生。

 かの大魔導士プレシア・テスタロッサが伝説にまで縋って求めたもの。

 それを自分の息子たちから実際に目の当たりにしたと言われて、しかしそれを自分の常識で説明しようとすればロストロギアくらいしかありえない。

 だから、その可能性を疑ったのだけど――

 

「……ふぅ」

 

 ため息しか出てこない。

 文章だけでははっきりとはしないが、それを成したのは魔法でもロストロギアでもなく、どうも現地の特異能力の一つらしい。

 これは、本局の方に報告すべきかしら……

 テーブルを指でコツコツと叩きながら思案していると、ノックの音が室内に響いた。

 

「はい、どうぞ」

 

 さして警戒せずに許可を出す。この時間なら来訪者はたぶん――

 

「失礼します」

 

 予想通りクロノだった。手には携帯端末と書類。それらと今の時間から察するに今日の予定の確認といったところか。

 

「ちょうどよかったわ。クロノ、ちょっとこれ読んでみて」

「はい? なんでしょうか?」

「昨日、フェイトさんたちから送られてきたメールよ」

 

 それを怪訝に思ったのか、クロノは首を傾げ、それでも言われた通りにそのデータに目を通して――

 思いっきり、眉をしかめた。

 表情で分かる。あれは、読みながら自分の目と頭を全力で疑っている顔だ。

 それもそうだろう。自分だって最初に読んだときは似たような気分だったから。

 今、クロノの目が追っているだろう場所もなにが書かれているかだいたい分かる。

 

 『開かれた霊穴』と彼らが呼んでいる、異能の力の持ち主が集まりやすい場所。

 HGSというあの世界特有の遺伝子の病気。

 『御巫』という傷を癒し、病を治し、死者の蘇生すら成す異能の力。

 そして、千年前から生き続けている不老不死の呪いを受けた人たち。それが現状確認している限りでも、四人――彼らの話を信じるなら、全部で十人もいるらしい。

 

 それらを思い出して、またため息が出た。

 これまでの自分の常識が色々と覆されている。しかもそれらの全てに、魔法や魔力は一切感知されていないらしい。

 

「あなたはどう思う?」

「……本気ですか、これは?」

「あの子たちが嘘をつくと思う?」

「……いいえ」

 

 苦渋に満ちた顔で答えた。

 自分の常識と彼女たちへの信頼。

 その二つを天秤にかけて、それでも彼女たちへの信頼が勝ったというのは褒めてあげたい気分だ。

 だけど――

 

「でも、だとしたら私たちの管轄じゃなくなるのよ」

 

 時空管理局の役割はあくまで、次元世界の調和の担い手である。

 管理世界や観測指定世界であれば地上部隊や常駐部隊や観測部隊のように多少の融通は聞くが、あそこは管理外世界。一時期はやむをえずとはいえ『闇の書事件』の司令部を置いたが、本来はそう表立って干渉するのは好しとされてはいない。(とはいえ、その司令部だった物件は現在ではハラオウン家が住居として引き取っていたりするが)

 今回はロストロギアの可能性から調査を頼んでいたけれどそうではないと分かり、さらに他の次元世界への影響もなさそうな現状からすると、もはや自分たちが手を出すわけにはいかない。

 それを察したクロノも、その意見を援護するように、

 

「ええ。それにそもそも、この件は僕たちの独断みたいなところもありますし」

「そうね。ここで調査をやめても文句を言われることはないわ」

 

 実際、今回の件は本局の誰にも――レティにも話していない。現在は彼女に権限が回っているはやてさんたちを使っているのだから、本来はそれなりの説明があってしかるべきだというのに。

 

「けど、ねぇ……」

 

 この報告書の内容から察するに、フェイトさんは今後も関わろうとするだろう。はやてさん、ヴィータさんもなにやら関心を持っているみたいだし。なんとなく、そんな気がする。

 それをクロノも察したのか、

 

「でもフェイトはともかく、はやてたちは……」

「そうなのよ……」

 

 フェイトさんは裁判は終わっているし、管理局の嘱託魔導士の資格を持っている。とはいってもまだ保護観察中なのであまり目立つことはして欲しくない。

 はやてさんとヴィータさんは、今まさに『闇の書事件』の後始末の最中だ。裁判はさまざまな理由(事件中の死者がいないこと、主であるはやてさんに闇の書完成の意思がなかったこと、守護騎士たちが蒐集を開始した理由、事件解決後のはやてさんと守護騎士たちの管理局への献身的な態度)でかなり有利な状況だが、余計な波風はない方がいい。

 

 よって、ここは監視を引き上げさせて今後の接触を可能な限りやめさせるべきか。いやでもそれであの子たちが言うことを聞いてくれるだろうか。基本的にいい子たちだけど、こうと決めたらやり通そうとする強さを持っている。それをあの子たちの長所と取っている以上、否定するような真似はしたくはない。

 なんでかその様子は簡単に想像できた。ならどうしようかと考えて、一つ、妥協案のような案が浮かんだ。ポン、と手を合わせて、

 

「そうね。じゃあ、こうしましょう」

 

 そう前置きしてから言った提案を、クロノはどこか諦めたような顔で聞いていた。

 

 

 

  1月24日 (火)  PM 4:15

 

 今日もまた、いつものように学校の帰り道の途中で翠屋に寄っていた。

 そこでやり取りする学校の延長の会話。今日はアリサもすずかもお稽古はないということでゆっくりしている。その中で自分も皆と同じように笑いながら話をしている。

 

 でも思考の大半を占めているのは別のことだった。

 昨日の夜、日曜日の夜に送ったメールに対して、リンディ提督から返信があった。

 それによると、アースラはあの人たち――不老不死の人たちからは手を引くみたい。理由は場所が管理外世界で、あの人たちが使うのが魔法ではなくて、他の次元世界への影響はなさそうだからとか。

 それは仕方がないと納得している。今回のそれはジュエルシードや闇の書のようにロストロギアに指定されているわけでもない、管理外世界の不可解なだけの状況。人より長く――それこそ千年生きるというだけなら管理世界にも竜種のようにそれが可能な生物はいる。

 それでも、たぶん自分の要望――今後もあの人たちの様子を見てみたいという意見は分かってもらえたらしい。

 けれど、それについては条件を出してきた。

 その条件とは、攻撃系をはじめとする大半の魔法の使用不可。

 言われてみれば十分納得できる条件だった。ここは管理局にとって管理外の世界だし、魔法も認知されていない。以前の事件のような状況でもないのに使えば軽犯罪になりかねない。実際に、使用不可と念押しされているのはそういう危険性のあるものばかり。

 それに、飛行や探査系は禁止されていないので観察する分にはそう問題はないと思う。なら今夜からでも早速――

 

「あ」なにを見つけたのか、なのはがいきなり立ち上がって「はやてちゃん、こっちこっち〜〜」

 

 大きく手を振って呼びかけた。振り返ってみれば、そこにはシャマルに車椅子を押されてはやてがいた。

 

「あ、なのはちゃん。皆も」

 

 はやての方もこっちに気づいたようで、近づいてくる。

 

「相席、ええかな?」

「うん」

 

 四人ではやてとシャマルの分のスペースを作るためにガタガタと椅子を動かす。

 結果、一つのテーブルに六人。なんとか問題ない程度に隙間が残る形で落ち着いた。

 

「はやてちゃん、今日も病院だったの?」

「うん。でもまぁ、経過は順調。来月からは週一の通院でええってことになったんよ

「そうなんだ」

 

 そんな和やかに見える会話を聞きながら、それもそうだろうと冷静な部分は納得している。

 足の麻痺の原因だった闇の書――夜天の魔道書はもうない以上、今より悪化することはまずない。それに言っては悪いけど、リハビリはともかく治療の方はこの世界の人にできることはない。それに来月からは管理局の研修も始まるし、そのくらいでちょうどいいかもしれない。

 

 その調子で少しの間、他愛ない話が続く。

 その途中で急に思い出したように、アリサが切り出した。

 

「あ、そうそうはやて。今度の日曜日なんだけど、ヴィータ……だったっけ? あの赤い髪の子。あの子連れて行きたいところがあるんだけど、いい?」

「え? ん〜〜、大丈夫やと思うよ。今のところ仕事の予定はないはずやし」

「そう。よかった」

「うん。……ところで、どこ行くん?」

「あ〜〜、そうか、はやては知らないんだったっけ。ほら、この前の日曜日に会いに行った子がいるんだけど、その子がたぶん、ヴィータと知り合いみたいなのよ。だから、会わせてみようかなって思って」

「そうなん?」

 

 アリサが言っているのはあすかのことだと思うけど、それはわたしたちも初耳だ。

 

「誰やろな〜、どんな子?」

「HGSの子よ。名前はあすかっていうんだけど――」

 

 それだけの説明にはやては驚いた顔になって、

 

「あすかって、あのメールで言っとった子って、あの子やったんか。あの後どうなったか気になっとったんよ」

 

 まるであすかに会ったことがあるような言い方。

 それに気づいたのか、なのはが尋ねた。

 

「はやてちゃんも知ってるの?」

「うん。前に一回だけ、ヴィータが家に連れてきてそのときに会った」

『へぇ〜〜』

 

 思わぬ関係に皆揃って感心するようなため息が出た。世間って意外に狭い。それとも、これも神無さんが前に言っていた『開かれた霊穴』の効果なのかな。

 

「そうか〜〜。あの日アリサちゃんたちの方行っとったら、あの子に会えとったんか〜〜……」

 

 そこまで言ってなにに思い当たったのか、急にさっきまでの元気が消えて、考え込むように口元を引き締めて視線を手元に落とす。

 それが気になったのか、すずかが、

 

「はやてちゃん、なんだか元気ないみたいだけど……大丈夫?」

「大丈夫……やないかもしれん」

 

 その様子を見かねてかシャマルが横からフォローを出す。

 

「そうなんですよ。一昨日帰ってきてからずっとこの調子で……」

「一昨日って……」

 

 日曜日。確かなのはの家に行ったとか。そのときわたしたちはあすかの付き添いでさざなみ寮に行ってたけど、はやての方ではなにがあったんだろう?

 

「なに? なのはの家でなにかあったの?」

「え? そうなの、はやてちゃん?」

「ああ、そういうんとは……違わんか。なんていうか、なぁ……」フゥ、っと九歳にしてはやけに艶のあるため息を吐いて「一目惚れって、ホンマにあるんやね……」

 

 …………ブフゥ!

 何人かが、口の中のものを盛大に噴き出した。

 

「ちょっ……なんなん? わたし、おかしいこと言った?」

 

 その反応は予想外だったのか、はやてが困惑した様子で切り返すが、皆それどころではない。

 わたしは目を見開いてまじまじとはやての顔を見詰めていた。

 なのはは状況が分かってないのか「え? え?」と周りを見回している。

 アリサはよほどいいところに入ったのか涙目になって思いっきりむせている。

 すずかはさっき噴き出されて汚れたテーブルを拭きながらアリサの背中をさすっている。

 そしてシャマルははやての両肩を掴んで、

 

「はは、はやてちゃん! 一目惚れって、相手は誰ですか!? 誰なんですか!!? ああもう、私が目を離した隙にそんなことになってるなんて。これから私がゆっくり染めていくはずだったのに!!」

 

 思いっきり、取り乱していた。しかも最後、変なこと言ってるし。

 

「ちょっ、ちょう、シャマル、落ち、ついて……」

 

 ガックンガックンと肩を揺さぶられながらなんとかそれだけ言う。それでシャマルもはっと気づいて、

 

「あ……ゴメンなさい。すいません、取り乱して」

『あ、あはは……』

 

 そうは言われてもわたしたちは、突然の奇行に対して揃って乾いた笑いを上げるしかなかった。

 はやてはといえば、あれだけ激しくシェイクされた影響か、少し頭をふらつかせている。

 

「シャマルさん、やっぱりはやてちゃんの好きな人のこと、気になるんですか?」

「当然です。はやてちゃんの好きな人ということは、私たち守護騎士の主同然になるかもしれないんですよ? それを気にしないわけありません!」

 

 言われてみれば納得のいく理由。

 さらにシグナムが「器を試す」とか言って勝負を挑むところとか、ヴィータが嫉妬心全開で襲い掛かるなんてイメージも簡単に想像できちゃったし。でもそれじゃあ、さっきの怪しい発言はなかったことにできないような……。

 

「大丈夫や。あの人は悪い人やないし、それにシグナムたちはもう会っとる」

 

 やけに自信ありそうに言う姿に、感嘆のため息が出た。

 

「それで、誰なのよ。はやてが一目惚れしたって相手は?」

 

 アリサが好奇心を隠す様子も見せずに口元をニヤニヤさせながら訊いた。

 

「一昨日にな、なのはちゃんの家で会ったんよ。真っ白な髪で、真っ赤なコートみたいなの羽織っとる人」

 

 その特徴。ひょっとして……

 

「恭也さんに『神雷さん』て呼ばれとった――」

「だ、ダメ! あの人だけは絶対ダメ!!」

 

 バン! とテーブルを叩き、その勢いのままに立ち上がって叫んで――

 そこまでして気づく。わたしはなんでこんな……。見れば、皆呆気に取られたようにわたしを見ている。 

 

「……フェイトちゃん、なんでそんなに焦るんや?」

「あ……それは……えと……」

 

 言葉が出ない。なんであんなことを口走ったのかのかも分かっていないのだから、その続きが言えるはずもない。

 それでもなんとか取り繕おうとしていると、誰かがふぅっとため息を吐いて、

 

「フェイトの言う通りよ。あの人はやめた方がいいわ」

 

 なぜかアリサが弁護してくれた。その顔に、さっきのニヤけた笑いはない。

 

「アリサちゃんまで? なんでなん!?」

「だってあの人、自分の目を抉ったのよ? しかも、あたしの手を使って!」

 

 それは初耳だった。

 アリサの態度からあの人となにかあったと察するのは簡単だったけど、その理由までは知らなかった。

 

「どこかおかしいわよ、あの人。絶対、普通じゃないわ」

「あ〜〜、そやね。あの人、死ぬのが目的とか言っとったもんなぁ」そのときのことを思い出しているのかぼんやりと宙を見上げて「でも、そんな悪い人には見えんかったけどなぁ……」

 

 あれ? 今、はやて――

 その疑問を口にする前に、すずかが尋ねた。

 

「ねぇ。はやてちゃんは、なんでその人のことを好きになったの?」

「すずか。さっきはやては一目惚れって言ってたじゃない。だったら見た目しかないでしょ?」

「え? ……ああ、ゴメン、ちょっと違うわ。一目惚れ言うんは一目見てって意味やなくて、一回会っただけでっていう意味や」

 

 そういうのって、一目惚れって言うのかな?

 

「……ふーん。だったら、はやてはあの人のなにが気に入ったの?」

 

 ものすごく険のある声でアリサが改めて尋ねた。

 

「最初はな、変な人くらいにしか思わんかったんよ。神無さんがごっついキスしたときも、ようやるなぁくらいにしか感じんかったし……。でもな、その後であの人からあの人の呪いとか目的とか聞いて、うちの子たちと重ねてしもうて……」

 

 語りながらはやては、首に掛けられた剣十字のネックレス――リインフォースの遺した欠片に手を当てた。

 それははやてにとって後悔と決意の象徴。

 

「でな、その後その人、恭也さんと試合したんよ。でも恭也さん、シグナムとは互角やったのにその人相手にはまったく手も足も出んかった」

「お兄ちゃんが?」

「うん。もう出来過ぎっちゅうかやり過ぎっちゅうくらい一方的。それでな、途中であの人――神雷さんが恭也さんに訊いたんよ。お前はなんのために剣を振るんだ? って」

「なんのためって……」

 

 それは聞いたことがある。恭也さんは守るための剣だと言っていた。

 

「そのときにわたしも考えてみたんよ。わたしはなんのために頑張ろうとしとるんか。そんでいろいろ考えて、その答えをあの人が聞いたらなんて言うんかなぁって考えてたら、こんな風になっとった」

 

 ……そういうのって、好きって言うのかな?

 分からない。今はやてが持っている感情を、自分は持ったことがないから分からない。

 

――ワタシハ、ニンギョウダカラ

 

 一瞬、脳裏に浮かんだ言葉を頭を振って否定する。

 

「フェイトちゃん、どうしたの?」

「あ……。ううん、なんでもない……」

 

 どう見てもなんでもなくない返答。それでもなのはは、それが聞かれたくないことだと察してくれたらしく心配そうな顔をしながらも追求はやめてくれた。

 それに、今ははやての方が気になる。

 

「よく分かんないけど、それであの人を好きになったってこと?」

「うん。とりあえず今の目標は、もう一回会ってちゃんと話することやな」

 

 その言って微笑む顔は、とてもかわいい恋する少女のものだった。

 

 

 

  1月25日 (水)  PM 5:26

 

 バタン。ガチャッ。

 

「鍵よし。それじゃ行こうか、アルフ」

 

 施錠を確認してリードを片手に、子犬フォームのアルフと一緒に晩ご飯の買出しに出かける。

 もうすでに外は暗くなっているが、こればっかりは朝のうちに確認していたのに買い物を忘れていた自分のミス。思い出したのはついさっき、晩ご飯を作ろうと思って冷蔵庫の中を見てからだった。

 とりあえず、なにか買ってこないとまともな晩ご飯にならないし、無理をしても明日の朝ご飯は完全にアウト。

 なのはや桃子さんにはいつでもうちに食べに来てくれていいと言われてるけど、今からだと急すぎて迷惑になると思う。

 そんなわけで、こんな時間になってから出かけることになったのだが――

 その道すがら考えるのは、昨日はやてが言っていたこと。

 それはきっと応援なり祝福なりすべきはずだと思う。大切な友達の、精一杯の恋心なのだから。

 

 でも、胸の中――心の奥でナニカが、声なき声で叫んでいる。

 あの日、夕方の公園であの人に会ったときの違和感が、最近やけに気にかかる。

 

 そもそも、わたしにとってあの人はいったいなんなんだろう?

 

 神無さんはずっと昔から――それこそ千年も前からあの人のことを想い続けていた。わたしなんか絶対に生きられない、名前さえも残せないほどに長い時間、たった一人をどこまでも一途に。

 その想いの前ではどんな言葉を口にしても子供の戯言程度にしかならない。

 

 はやては、これから始まる夢と償いと恩返しの人生を見守ってくれる人として、あの人を求めているような気がする。

 それを恋というのかは分からないけど、それでもその根幹にあるのはきっと同じもの――絶対的な信頼。あの日、自分の知らないところでいったいなにがあったんだろう。

 

 久遠は……なんとなく他の二人とは違うと思う。あの子のそれは恋とかそういうのじゃなくて……なんだろう、ちょうどいい言葉が思いつかない。

 でもどこかで覚えがある気がする。それはどこだったろうかと考えて、考えて、そうしてようやく、答えを見つけた。

 それはアリシアの記憶の中にある、アリシアが母さんに向けていた愛情によく似ていた。

 

 そこに思い至り納得した途端、ギシリ、と胸の奥でナニカが軋んだ。

 

――フェイト……あなたはやっぱりアリシアの偽者よ。折角上げたアリシアの記憶も、あなたじゃダメだった。アリシアを蘇らせるまでの間、わたしが慰みに使うだけのお人形。だからあなたはもういらないわ。どこへなりと、消えなさい!

 

 いけない。

 必死に思考を中断し、それ以上の痛みと回想をカットする。

 あの日から――あの人に『ヒカリ』と呼ばれて記憶を掘り起こされてから、ちょっと油断するとあの記憶が出てくるようになった。ときには夢にまで見て汗だくになって目を覚ますこともある。

 

 結局、わたしは、人形なの?

 

 胸の内で自分だけに問いかける。

 普段なら、違うと出るはずの答えが、今回は出なかった。

 周りのみんなは言ってくれる。

 あなたは人間だと。

 でもその度に安堵とともに疑問も覚える。

 本当にそうなのだろうか、と。

 その疑問はずっと――自分の真実を知ったときから、フェイト・テスタロッサという人格を締め付けるように消えない毒。

 こんな調子では、わたしなんかに養子縁組の話をしてくれたリンディ提督に申し訳ないと思う。半年もの時間をかけて、少しずつ自分の中で整理をつけて、もう少しで答えを出せそうだったのに……

 でも、今のままでは返事は出せそうにない。こんな半端な気持ちでは、あの優しい人に迷惑をかけてしまう。

 こんな弱い自分が嫌になる。なんでこんなに――

 

「フェイト……」

 

 急に呼ばれて振り向いてみれば、アルフが悲しそうにわたしを見ていた。

 

 主と使い魔は精神リンクによって繋がっている。

 

 たぶん、今の落ち込んでいた感情がアルフに流れてしまったのだろう。

 

「あ……大丈夫だよ、アルフ。わたしは大丈夫だから……」

 

 アルフに、というより自分に言い聞かせるように言う。

 

「でもフェイト、そんな泣きそうな顔で大丈夫なんて言われても、あたしは全然納得できないよ」

 

 そんなに酷い顔をしていたのだろうか。

 そうは思っても鏡がないから分からない。そしてそれに構わず、アルフは必死に続ける。

 

「そりゃあさ、あたしじゃあフェイトがどんなことに悩んで、どんなことに苦しんで、どんなことに痛みを感じるのか分からないかもしれないよ? でも、それでもあたしは話して欲しいんだよ。教えてもらっても、一緒に悩んだり悲しんだりするくらいしかできないかもしれないけど、あたしはフェイトの使い魔なんだから」

 

 真摯な瞳で見上げそう言ってくれる、いつだって傍にいてくれた使い魔というよりも妹のような家族。

 この子になら全てを打ち明けてもいいんじゃないかと、そう思った。

 

「うん……あのね――」

 

 けど、結局その先を伝えることはなかった。

 

 異臭が、ツンと鼻についた。

 それは枯れ草と、錆びた鉄と、血の匂い。

 

 その匂いの惹かれるように振り向き――

 

「あ」

 

 思わず声に出た。

 そこに、あの人が――神雷さんがいた。




 

 

 

 うがああああぁぁぁぁぁぁ!!

「キャッ!? なんですか、いきなり?」

 ああ。リンディ、いたのか

「……何気に酷いことを言いますね。呼んだのはあなたなのに」

 いやなに。気がつけば投稿を始めて半年が過ぎ、話数も二十話を超えていた。

「はぁ……」

 だから、そろそろ溜まったものを吐き出そうかと思ってな。そういうときは無心で吼えるのが常套だろう

「そうなんですか?」

 そう思っとけ。それに、今回どうも中身の調節がうまくできなくて、前回した予告とは少しズレたし。まぁ、そんなわけで今回は本編の内容――あすかのトラウマとか、あすかとヴィータの今後とか、はやての一目惚れ発言とかは横に置いといて、執筆に関しての愚痴を聞いてもらおうかと思って君を呼んだわけだ

「なぜ私を?」

 確かに、順当に行けば今回はフェイトを呼ぶべきだろう。けど、今の構想なら次回も呼ぶことになるし、なら今後出番のなさそうなリンディに一度来てもらっとこうかと

「なっ!? 出番が……ない?」

 まぁな、最初の予定にあったはやてをメインヒロインにする章は都合により削除、もしくは第1部終了後に番外編という形になった。そこで時空管理局を出すために割りと早い段階から一度出てもらってたんだけど……

「はぁ……、まぁいいです。今まで放っておかれたからなんとなく予想はしてましたし……」

 そう言う割りに、やけに落ち込んで見えるが

「気のせいでしょう。それで、なにか愚痴があるということですけど?」

 ああ。まあ一気に言うと、文字のサイズ、漢字の読み仮名、視点切り替えに関して、か

「? それのなにが気になるんですか?」

 一つずついこうか。まず文字のサイズだけど、これは自分のパソコンが文字のサイズの表示は『大』で他の作品と比べてもちょうどいいくらいだけど、他のサイズにすると自分のだけ違うのよ。一時期、それを気にして修正版を出していただけに気になる

「そんな理由だったんですか?」

 そう、俺ってばそんなことが気になるバカだから。で次、漢字の読み仮名。例えば前回出てきた小太刀『七葉』。なんて読むと思う?

「え〜〜っと、『ななは』かしら?」
 はずれ。正解は『しちよう』。当て字だから読み方間違えても仕方ないけど、他にも同じように読み方に困る文字があるんじゃないか? とか思ったりして。で、あと最後に視点切り替えに関して。ここは日時だけ入れてたりするけど、ついでに場所と誰視点かを足した方がいいかなと疑問に思って。

「そうですね。確かに、その方が読み手には優しいですね。この作品は登場人物が多い方でしょうし」

 そう。最初の五・六行でだいたい分かるように配慮してるけど、そううまく分かってもらえるとは限らないし。いっそ、またその辺足した修正版出そうかとか考えたりも

「はぁ……、その辺は好きにしてください。どうせこの先私の出番はないんでしょうし」

 うわ、ひょっとして拗ねてる?

「いいえ。いつになったら出番が来るのかとか、そのときはどんな風に活躍するのかとか、そんなこと考えてませんから!」

 ……考えてたんだ。

「だから、考えてません!」

 ……そう言うなら、まぁいい。あ〜〜〜〜……、すっきりした。溜まってたもの吐き出すと少しは気が晴れる

「そうですか。それはよかったですね」(棒読み)

 ああ。さて、長くなったがここらであてになるか分からない次回予告。この後、フェイトと神雷、そしてリスティと志乃が、それぞれ自身の抱える真実を打ち明けることに。ちょっと重たい話になりそうなので書くのがまた疲れそうな予感





あすかの絶叫にはびっくりだよ。
美姫 「精神の方は外見相応なのかもしれないわね」
しかし、あそこまで絶叫するという事は相当酷いトラウマなんだな。
美姫 「フェイトにも何かありそうだし」
さてさて、どうなることやら。
美姫 「それでは、また次回で〜」
ではでは。



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