『バウンサーさんのお話�V』
ベンジャミン=バニー夫人のご主人であるバウンサーさんは昨今の世相について甚だ不満に思っていました、それで奥さんにも言うのでした。
「煙草は駄目なのかい」
「皆禁煙って言うわね」
「火の元とか健康に悪いとかだね」
「それでよ」
仕事帰り支度でパイプをふかすご主人に言います。
「皆言うのよ」
「全く、誰が煙草を吸おうがいいじゃないか」
ご主人は安楽椅子に座ってパイプを咥えたまま言いました。
「別に」
「だから健康に悪いからよ」
「それに火を使うから火事の元だね」
「それで言われるのよ」
「いいことはないってだね」
「実際あなたもそうじゃないの?」
こうご主人に言うのでした。
「煙草を吸わない同じ年代の兎に比べたらね」
「不健康だっていうんだね」
「何かとね」
「自覚はないが若い頃から吸っているんだ」
「だからいいっていうの」
「誰かに迷惑をかけた覚えもないしね」
それでというのです。
「別にいいじゃないか」
「それでも健康に悪いのは事実よ」
こう返す奥さんでした。
「それで皆言ってるのよ」
「禁煙しようとだね」
「そうよ、あなたも考えてみたら?」
「考えないよ」
こう奥さんに言ってパイプで煙草を楽しみます、それで煙草が切れたので買いに行くとお店でもです。
「何だい、煙草少ないね」
「吸う人かなり減ったんで」
お店の栗鼠の若い子に言われました。
「パイプ用の煙草も巻煙草もです」
「全部かい」
「そうです、葉巻も噛み煙草も嗅ぎ煙草もですよ」
「全部だね」
「とりあえず置いてはいますが」
「少なくなったね」
「そうなんですよ」
店員さんはこう言います、それでバウンサーさんはパイプ用の煙草を買ってお家に帰ってまた煙草を吸います、ですが。
どうも今一つ美味しく感じません、奥さんに言われたこととお店でのたばこの少なさを思い出して。そしてこの日からでした。
バウンサーさんは以前より煙草を吸う量が減りました、すると奥さんに言われました。
「煙草吸う量減った?」
「うん、どうもね」
奥さんにいささか面白くない感じで答えました。
「自分でもわかってるよ」
「禁煙してるの?」
「そのつもりはないよ、ただ減っただけだよ」
理由は言いません、ですが確かにバウンサーさんは以前より煙草を吸う量が減りました。前よりも美味しく感じなくなってそれがずっと続いてです。
バウンサーさんのお話�V 完
2026・5・1