『チミー=ウィリーのお話V』





 チミー=ウィリーは今は森の中を歩いています、お仕事を終えて家に帰る途中でそうしていますがその彼のところにです。
 子猫のトムが来てです、彼に聞いてきました。
「ねえウィリーさんボール知らない?」
「ボール?何のボールだい?」
 逆にチミーの方がトムに尋ねました。
「一体」
「ラグビーのボールだよ」
 トムはそれだと答えました。
「あのアーモンドの形をしたね」
「あのボールか、知らないよ」
 チミーはトムに答えました。
「別にね」
「そうなんだ」
「ああ、悪いがね。しかしお前さんそのボールを探してるんだな」
「蹴ったらこの辺りに飛んで行ったんだ」
 トムはそうだと言いました。
「ここに飛ぶとは思わなかったよ」
「ひょっとしてサッカーボールと同じだと思ったのかい」
「そう思って蹴ったけれど」
「ラグビーのボールは違うんだ」 
 チミーはトムにお話しました。
「思わない方向に飛んで転がるものだよ」
「そうなんだね」
「形が違うからな」
「サッカーボールは丸いけれどね」
「ラグビーのボールはあの形だろ」
「アーモンドだね」
「だから独特な飛び方、転がり方をするものだ」
 そうだというのです。
「だから注意しないと駄目なんだよ」
「そうなんだね」
「そして形があの形だから」 
 アーモンド形だというのです。
「あの形のものが落ちていたらな」
「それなんだね」
「この辺りは胡桃やドングリが多いが」
「よくお店の人達が拾って売ってるね」
「しかし胡桃やドングリとは形が違うだろ」
「アーモンドはね」
「だったらあの形のものを探すことだな、わしも手伝おう」
 チミーはトムに申し出ました。
「声をかけられたのも縁だしな」
「そうしてくれるんだ」
「ああ、一緒に探すか」
「有り難う、じゃあお願いするね」
「そうしような」
 こうお話してでした。
 チミーはトムと一緒に彼のラグビーボールを探すことにしました、周りは確かに胡桃やドングリの実が沢山あります。
 ですがその中で一つです、アーモンド形のものがあり。チミーはそれを指差してトムに対して尋ねました。
「あれじゃないかな」
「あっ、あれだよ」
 トムは大きな胡桃の実の隣にあるそれを見て言いました。
「ラグビーボールだよ」
「そうか、やっぱりな」
「うん、確かにね」 
 トムはそれの方に駆け寄って手に取って確かめて言いました。
「僕のラグビーボールだよ」
「そうか、見付かってよかったな」
「おじさん見付けてくれて有り難う」
「いやいや、礼には及ばんさ」
 チミ―はお礼を言うトムに笑って返しました。
「今度からは気を付けて遊ぶ様にな」
「ラグビーボールのことをだね」
「本当に独特な飛び方転がり方をするからな」
「うん、しっかり頭に入れておくよ」
「そうするんだぞ、じゃあこれでな」
「うん、またね」 
 二匹は笑顔で再会までのお別れの挨拶をしました、そうしてです。
 チミーはトムのボールを見付けられていいことをしたと満足した気持ちでお家に帰りましたそしてご家族とその気持ちのまま楽しいお家での時間を過ごしたのでした。


チミー=ウィリーのお話V   完


                        2025・4・30








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