『りすのナトキンのお話V』





 栗鼠のナトキンは自分のお家に来たピーターラビットに対してこんなことを言いました。
「僕は栗鼠で君は兎だね」
「それがどうかしたのかな」
 ピーターラビットはナトキンの言葉に首を傾げさせて尋ね返しました。
「一体」
「いや、実は兎と栗鼠って親戚同士だからね」
「同じ齧歯類になるんだよね」
 ピーターラビットはこう答えました。
「僕達は」
「鼠も入れてね」
「そうだね」
「しかしね」 
 ナトキンはお家の中の木製のテーブルに向かい合って座っているピーターラビットに一緒にミルクを飲みながらさらに言いました。
「それぞれ食べるものが違ったりするね」
「僕達兎はお野菜が好きでね」
「僕達栗鼠はナッツが好きだよ」
「そこが違うね」
「そうだね、まあ僕もお野菜を食べられるけれどね」
「僕もナッツをね」
「けれど好きなのはお野菜だね」
「人参とかほうれん草とかね。あとね」
 ピーターラビットはさらに言いました。
「最近おからを食べるよ」
「おから?」
「日本の食べものだよ」
 ピーターラビットはこう答えました。
「お豆腐の搾り粕なんだ」
「そうなんだ」
「最近市場でお豆腐屋さんあるけれど」
「ああ、あるね」
「そこでただかただみたいな値段で売ってるよ」
「それは気付かなかったよ」
 いつも市場に行っているナトキンでもです。
「そうだったんだ」
「そう、そしてね」 
 そうしてというのです。
「これが中々美味しいんだ」
「そうなんだ」
「お豆腐は大豆から作るけれど」
「大豆は大好きだよ」
「じゃあおからもどうかな」
「そうだね、安いんだね」
「凄くね」 
 ピーターラビットはその通りだと答えました。
「これがね」
「だったらね」
 それならというのでした。
「今度買って食べてみるよ」
「油でお野菜と一緒に炒めたりすると美味しいよ」
「それじゃあね」
 二匹でこうお話してでした、ナトキンはピーターラビットと美味しいお菓子を食べて一緒に遊んでからです。
 市場に行ってお豆腐屋さんでおからを買ってそのうえでピーターラビットが言った通りにお野菜と一緒に油で炒めてみました、お野菜は小さく切りました。
 そうして食べてみるとです。
「美味しいね」
「そうだよね」
「うん、君が言った通りにね」
 まさにというのだ。
「美味しかったよ」
「そうだよね、僕もそう思うよ」
 ピーターラビットは自分のお家に来てお話するナトキンに笑顔で応えました。
「おからは美味しいよ」
「これからはおからも食べていくよ」
「僕達兎は皆好きだよ」
「僕はこれから森の栗鼠の皆に紹介するけれど」
「じゃあ兎と栗鼠で同じ好きなものが出来るね」
「そうだね、前からあったけれど」
 そうした食べものはです。
「ここでまたね」
「新たに出来たね」
「おからがね、しかしね」
 ここでナトキンはこうも言いました。
「元々お豆腐は中国のものだったね」
「それが日本にも伝わったんだよね」
「そうだね、しかしそこからね」
 そのお豆腐からというのです。
「おからなんて出来るんだね」
「搾り粕のね」
「面白いね、それがまた別格に安くて」
「しかも美味しい」
「面白いね、じゃあこれからもおからを食べよう」
「皆でね」
 笑顔でお話してそうしてでした。
 ナトキンは森の栗鼠の皆におからのことをお話しました、すると栗鼠の皆もおからを食べる様になりました。ピーターラビットの一家も森の兎達にお話してです。
 森の兎と栗鼠の中で同じ好きなものが出来たのでした、皆でそのおからを食べます。おからはとても安くてしかも美味しいので皆大好きになりました。


りすのナトキンのお話V   完


                   2024・8・28








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