『犬と猫の雑貨屋のお話U』
猫のジンジャーと犬のピクルスは一緒に雑貨屋を営んでいます、それで今は閉店後お店の倉庫の中で整理をしていますが。
ジンジャーは倉庫の中にある段ボール箱の一つを見てです、ピクルスに尋ねました。
「こんな箱あったかな」
「その箱は昔流行した柄のハンカチを入れてるんだよ」
ピクルスはすぐに答えました。
「流行から遅れると売れないからね」
「そうなんだ、けれどこのままここに置いておいてもね」
ジンジャーはそのお話を聞いて言いました。
「仕方ないよ」
「倉庫にあるだけだね」
「倉庫に置かれるものも限られているし」
ジンジャーはこうも言いました。
「だからね」
「それでなんだ」
「売った方がよくないかな」
こうピクルスに提案しました。
「幾ら昔の流行でも」
「それでもだね」
「お店に出してね」
「売るんだね」
「そうしよう」
こう言うのでした。
「ここはね」
「そうだね、このまま置いておいてもね」
それでもとです、ピクルスも考えるお顔になって応えました。
「仕方ないね」
「そうだよ、ハンカチなら誰でも使うね」
「そうだね、じゃあお店に出そうか」
「段ボール箱から出してね」
「ハンカチのコーナーに並べよう」
こうお話してでした。
段ボール箱をお店に出して箱を開けました、するとハンカチが箱の中に詰められていました。ジンジャーはそのハンカチ達を見てピクルスに言いました。
「今見ると別に古くもね」
「ないかな」
「そう思うよ」
その柄を見て言うのでした。
「これはね」
「そうなんだね」
「どのハンカチもいいアラベスク模様で」
「今の流行じゃなくてもだね」
「古くないし悪くもね」
「ないね、確かに」
ピクルスもその柄を見て言いました。
「よく見てみたら」
「だからお店に出せば売れるよ」
「確かにね、僕達二匹共いいっていうなら」
「いいっていうお客さんも結構いる筈だし」
「売れるね」
「じゃあお店に出そう」
こうお話して実際にお見せのハンカチのコーナーに出しました、すると結構なお客さん達がアラベスク模様の昔の流行のハンカチを買っていきました。
それを見てです、ピクルスはジンジャーに言いました、
「いや、本当にね」
「昔の流行でもだね」
「いい柄なら売れるね」
「アラベスク模様は素敵でね」
流行と関係なくです。
「人気があるから」
「流行抜きでも売れるね」
「流行は確かに大事だけれど」
「安定した人気の柄もあるね」
「そうしたことも考えてね」
そのうえでとです、ジンジャーはピクルスにお話しました。
「これからもお店をやっていこう」
「柄以外のことでもだね」
「流行と安定した人気」
「その両方を見てね」
「売っていくことだね」
「そうしていこう」
「それがいいね」
二匹で笑顔でお話しました、そしてです。
ピクルスからです、ジンジャーに言いました。
「いいことがわかったからね」
「それでなんだ」
「そのことをお祝いする為にね」
それでというのです。
「今晩は飲もうか」
「いいね、じゃあ森のパブに行ってね」
「一緒に飲もう、最近あそこのエールいいよね」
「ウイスキーも評判だね」
「じゃあどっちを飲もうか」
「流行も安定した人気も考えていくことにしたね」
ジンジャーはここでもこのことをお話に出しました。
「だったらね」
「お酒もだね」
「エールもウイスキーもね」
どちらのお酒もというのです。
「楽しもう」
「そうするんだね」
「うん、どうかな」
「いいね、それじゃあね」
「パブではね」
「どっちも飲もう」
笑顔でお話してです、二匹でお店が終わったらこの日は仲良くパブでエールもウイスキーも楽しみました。
この時からその両方を見てお店をやっていく様にしました。森の小さな雑貨屋でのお話です。
犬と猫の雑貨屋のお話U 完
2023・10・29