『ピーターラビットのお母さんのお話U』





 この時ピーターラビットのお母さんは子供達にお家の中で言っていました。
「いい?お父さんが風邪をひいてお休みだからね」
「僕達お父さんに近寄ったら駄目なんだね」
「風邪がうつるから」
「だから今日はお父さんと離れて」
「ご飯を食べて遊ばないと駄目なのね」
「そうしなさい。貴方達まで風邪をひいたら大変よ」
 お母さんはピーターラビット達に言いました。
「だからお父さんの風邪が治るまではね」
「わかったよ」
 子供達の一番上のピーターラビットが子供達を代表して応えました、そうして四匹はお外で遊ぶ為に外出しました。
 お母さんは子供達がお家を出るとすぐに台所に入って人参やジャガイモ、蕪、玉葱それに大蒜と生姜を沢山入れたスープを作りました。
 お野菜はことことととても柔らかくなるまで煮ました、それが出来ると自分のベッドで寝ているお父さんのところに持って行きました。
 お父さんは丁度ベッドの中で横になって本を読んでいました、お母さんはそのお父さんに対してお部屋に入って声をかけました。
「あなたお昼ができたわよ」
「食欲がないよ」
 お父さんはお部屋に入ってきたお母さんにこう返しました。
「だからいいよ」
「そんなこと言ったら駄目よ、食べないと元気になれないわよ」
「風邪も治らないんだね」
「そう、暖かくしてじっと寝てね」
 そうすると共にというのです。
「そしてよ」
「食べないと駄目なんだね」
「スープを作ったから」
「それを飲むんだね」
「お野菜を沢山入れたスープよ」
 そのスープを出します、コンソメのとても美味しそうなスープです。
「お野菜も柔らかいから飲む様に食べられるから」
「飲む様にだね」
「だから食欲がなくても大丈夫よ、暖かいスープを飲んで」
 そうしてというのです。
「風邪を治してね」
「うん、じゃあね」
「ええ、食べさせてあげるわね」
 こうも言ってでした。
 お母さんはお父さんの枕元に座って自分がスープを木のスプーンですくってお父さんのお口の中に近寄せてでした。
 少しずつ飲ませていきます、するとお父さんはスープをとても美味しくいただいておかわりまでしました。
 その食欲を見てです、お母さんはにこりと笑って言いました。
「それ位食べられたら大丈夫ね」
「うん、美味しかったよ」
「身体にいいものをたっぷり入れたから」
「そうだね。本当に」
「すぐに元気になるわ。晩ご飯は牛乳をたっぷり入れたオートミールよ」
「それを作ってくれるんだ」
「それも食べてね」
 食べ終わって上機嫌になったお父さんにお話します。
「早く元気になってね」
「そうなるよ」
 お父さんはお母さんに笑顔で約束しました、そして晩ご飯はお母さんにオートミールを食べさせてもらってです。
 お父さんはその夜ぐっすりと寝ました、そうして朝起きると自分からベッドを出て朝ご飯を作っているお母さんに言いました。
「この通りだよ」
「風邪が治ったのね」
「そうだよ、すっかり元気になったよ」
「それは何よりね。じゃあ今朝は焼き林檎を食べてね」
「林檎も身体にいいしね」
「中にバターをたっぷり入れて焼いたから」
 そうしたお料理だというのです。
「それを食べてね」
「さらに元気になってだね」
「お仕事に行ってね」
「そうするよ、じゃあ朝ご飯が出来るまではここで紅茶を飲んでいいかな」
「ええ、ミルクをたっぷりと入れて飲んでね」
 栄養に満ちたそれをというのです、お母さんはこう言って焼き林檎が出来るとお父さんに差し出しました、お父さんは自分からそれを食べてです。
 もっと元気になってピーターラビット達が起きるより早くお仕事に行きました、もう風邪は何処にもありませんでした。


ピーターラビットのお母さんのお話U   完


                 2022・3・31








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