『家鴨のジマイマのお話U』
家鴨のジマイマはこの時お家で子供達にこんなことを言われていました。
「僕達と鶏って違うんだよね」
「同じ鳥でも」
「そうよね」
「ええ、違うわよ」
実際にとです、ジマイマは子供達に答えました。
「私達はね」
「そうだよね」
「僕達は家鴨だからね」
「鶏とは違うのよね」
「同じ鳥でもね、けれどどうして急にそんなことを言うの?」
ジマイマは子供達に尋ね返しました。
「一体」
「いや、同じ鳥だしね」
「それに飛べないからね」
「飛べても上手じゃないし」
「そうなの。けれど私達は本当に違うから」
家鴨と鶏はというのです。
「同じ鳥で人と一緒に住んでいて飛ぶことは苦手でもね」
「色は同じ白でも」
「外見は違うし」
「種類もなのね」
「そうよ。私達が近いのは鴨よ」
この鳥だというのです。
「むしろね」
「あれっ、形は似ているね」
「羽毛の色は違うけれど」
「外見はね」
「それでお水にも強いでしょ」
家鴨も鴨もというのです。
「家鴨と鴨は殆ど同じ種類なのよ」
「そうなんだね」
「それじゃあだね」
「私達の親戚は鴨さん達なのね」
「そうなのよ」
こう子供達に言うのでした。
「そのことは覚えておいてね」
「うん、じゃあね」
「それじゃあね」
「そのことは覚えておくわ」
子供達も頷きました、これで子供達も納得しました。ですがそれで終わりではなくある日ジマイマはご主人に留守番をしてもらって子供達を連れてお家の近くの湖の方にお散歩に行くとでした。
そこにはちょっと変わった鴨がいました、少なくとも子供達にはそう見えました。それでまたジマイマに尋ねました。
「家鴨?」
「鴨じゃないの?」
「ちょっと違った感じだね」
「僕達と似てるけれど」
「少し違うね」
「どうも」
その鴨を見て言いました、見ればまだ子供です。それで子供達はいぶかしみながら言うのでした。
「お水の上上手に泳いでるけれど」
「少し大きい感じがするし」
「形や色もね」
いぶかしんでそうしてでした。
子供達はジマイマに尋ねました。
「お母さん、あの鴨何?」
「子供みたいだけれど」
「誰なの?」
「あの子は家鴨じゃないわよ」
ジマイマは子供達にはっきりとした声で答えました。
「それで鴨でもないわよ」
「じゃあ誰なの?」
「一体」
「あの子はどんな鳥なの?」
「あの子は白鳥の子供よ」
こう答えました。
「あの子はね」
「白鳥なんだ」
「あの子は」
「そうなの」
「ええ、見なさい」
子供達にその子をそうする様に言いました、するとです。
湖の岸辺の水草の近くで泳いでいるその子のところに二匹の奇麗な白鳥達が来ました、そうしてその子を優しく囲んでご飯をあげたり毛づくろいをしてあげたりしだしました。
その光景を見て子供達もわかりました。
「あっ、白鳥なんだ」
「白鳥の子供だったのね」
「そうだったのね」
「そうよ、あの子は今は変わった家鴨や鴨の子供に見えるけれど」
それでもというのです。
「大人になったら白鳥になるのよ」
「奇麗な白鳥になるんだ」
「今は変わった家鴨や鴨に見えても」
「そうなるのね」
「そうよ、このことも覚えておくのよ」
ジマイマは子供達に優しく言いました。
「あの子は白鳥の子供よ」
「うん、今は変わった風に見えても」
「大人になったらだね」
「とても奇麗な白鳥になるのね」
「そうよ、あの子はね」
こうお話してでした。
ジマイマは子供達に毛づくろいをしてあげてから今度は家鴨の奇麗さと鴨の奇麗さもお話しました。
「家鴨も白くて愛嬌のある身体で鴨は黒くてやっぱり愛嬌のあるね」
「どの鳥も奇麗なんだね」
「白鳥だけじゃなくて」
「家鴨も鴨もなのね」
「色や形は違っていてもね。そして鶏もよ」
この鳥もというのです、こうお話をしてでした。
ジマイマはお散歩を終えると子供達を連れてお家に帰ってご主人と一緒に晩ご飯を食べて帰りました。そうしてでした。
家族でぐっすりと寝ました、この日も家族で仲良く過ごすことが出来てジマイマはとても満足でした。
家鴨のジマイマのお話 完
2020・8・5