『犬と猫の雑貨屋のお話』
雄猫のジンジャーと猟犬のピクルスはこの時お店の中でお話をしていました。
「皆つけをしなくなったけれど」
「それはいいことだけれどね」
「それでもね」
「何か最近どうも」
ピクルスがジンジャーに言いました。
「お客さんの要望がね」
「独特のものになってきているね」
「うん、その要望に応えようにも」
「それがね」
「どうも難しくなってきて」
それでというのです。
「果たしてどうしたものか」
「お客さんの要望に応えないと」
ジンジャーはピクルスに深刻なお顔で述べました。
「やっぱりね」
「お店としてはどうかってなるね」
「そう、だから僕としては」
ジンジャーはさらに言いました。
「お客さんの要望にね」
「応えたいわね」
「是非ね」
「けれど」
「何か細かいものが多くて」
最近のお客さんの要望についてはというのです。
「それを適えるには」
「僕達のお店だとね」
「難しいね」
「今は。けれど」
それでもとです、ピクルスはジンジャーにお話しました。
「その難しいことをだよ」
「適えないといけないね」
「そう、何とかね」
「それは僕も同じ考えだけれど」
ジンジャーは腕を組んで難しいお顔でピクルスに応えます。
「細かいものが多くて」
「それをどうするか」
「それが難しくて」
「困ったものだよ」
二匹でああでもないこうでもないとお話します、ですが二人の今の商品を仕入れるルートでは限界があります。
それでジンジャーはピクルスに今度はこんなことを言いました。
「もう一つ仕入れるルートを手に入れようか」
「仕入れ先を増やすんだね」
「細かい商品を手に入れる」
そうしたルートをというのです。
「どうかな」
「具体的にはどんなルートかな」
ピクルスはジンジャーのお話を受けて彼に尋ねました。
「それは」
「それを今から探そうか」
「これからだね」
「そう、どうかな」
「そうだね、じゃあね」
それならとです、ピクルスはジンジャーの言葉に頷いてです。今度は二匹でどういったルートがいいのかを探しました。
そうして探しているとです、都会の方に面白い問屋があると家鴨のジマイマさんに教えてもらいました。それで、です。
お店がお休みの日に二匹でその問屋に行きました、すると。
そこに面白いものが一杯ありました、お客さんから要望があった面白いものも一杯ありました。そうしたものを見てです。
ジンジャーはピクルスにこう言いました。
「これはね」
「うん、そうだね」
ピクルスもジンジャーのその言葉に頷きます。
「お客さんから要望のあるね」
「細かいものが多いね」
「じゃあ細かいものは」
「ここでだね」
「仕入れて」
そうしてというのです。
「そのうえで」
「僕達のお店に並べようか」
「商品として」
「是非ね」
「じゃあここでも仕入れていこう」
「そうしていこう」
二匹でお話してでした、そのうえで。
彼等はすぐに問屋の店長さんとお話をしてでした、そうして沢山の細かい商品を仕入れる様にしました。それをお店で商品として並べますと。
お客さん達はその商品をこぞって買いました、それでお店の売り上げはさらによくなりました。それで、です。
お客さんにどうして細かいものを沢山売れる様になったのかを聞かれると二匹共笑顔でこう答えました。
「新しい仕入れ先見付けたんだ」
「ジマイマさんから聞いてね」
「それでなんだ」
「こうしたものを仕入れられる様になったんだ」
こうお客さん達にお話するのでした。
「有り難いことにね」
「色々探したけれど」
「その中でいいお店があるって聞いてね」
「実際に行ってみたらいいお店で」
「それで契約を結んだんだ」
こうお話するのでした。
「本当によかったよ」
「ジマイマさんには今回とても感謝しているよ」
「だから今度お店に来た時はサービスするよ」
「安くさせてもらうよ」
こう言います、それで若しジマイマさんの情報がなければどうしていたのかとも尋ねられましたが。
二匹はその質問にはです、こう答えました。
「やっぱり探していたよ」
「情報を集めながらね」
「そうしてそのうえでね」
「絶対に見付けていたよ」
「これが仕事だから」
「お客さんの要望には出来るだけ応えないといけないからね」
その為に努力もしなくてはならないとも言うのでした。
「だからだよ」
「それがお店の売り上げにもなるし」
「僕達の生活のことでもあるし」
「探し続けていたよ」
こう言ってです、二匹はお店に新たに仕入れた細かいものも売っていくのでした。持ち前の明るさとサービス精神を発揮しながら。
犬と猫の雑貨屋のお話 完
2019・8・4