『ビリーおばさんとタビタおばさんのお話』





 タビタおばさんは子供達にです、お家の中でこう言うのでした。
「それじゃあお母さん今からね」
「うん、お買い物だよね」
「晩御飯のおかずを買ってきてくれるのね」
 トムと彼の妹のミトンとモペットがタビタおばさんに応えます。
「それで今日の晩御飯は何なの?」
「何を作ってくれるの?」
「お父さんが今川で釣りをしているからね」
 そこでお魚が手に入るというのです。
「だからお野菜を買って来るわね」
「それでシチューなの?」
「それを作ってくれるの?」
「お魚はムニエルにして。ソーセージも買って来て」
 タビタおばさんは子供達に応えながらトム達に言うのでした。
「それでシチューを作るわね」
「うん、それじゃあね」
「楽しみにしてるね」
「留守番していなさいね」
 タビタおばさんは子供達にこのことを強く言うことを忘れませんでした。
「戸締りをきつくしてね」
「犬が来ても入れない様にだね」
「お留守番をしないと駄目なのね」
「そうよ。それにお家の中でも悪いことをしたら駄目よ」
 このことを言うことも忘れません。
「散らかしたりしたら、わかるわね」
「うん、お尻を叩かれるんだよね」
「そうなるのね」
「そうよ、その時はお母さんは本当に怒るから」
 若しもです、お家の中を散らかしたりしたらだというのです。
「わかったわね」
「じゃあ何かをしなかったらいいんだね」
「お留守番さえしていたら」
「そうよ、絵本でも読んでいなさい」
 おばさんは子供達にこのことを勧めます。
「学校でも勉強してるでしょ」
「じゃあお勉強しろっていうの?」
「そう言うの?」
「そうよ。お勉強しなさい」
 お母さんは子供達に言うのでした。
「わかったわね」
「うん、じゃあ絵本を読んでね」
「お勉強しながらお母さんを待ってるわね」
 トムも彼の妹達もこう言ってタビタおばさんを送りました、そうしてです。
 タバタおばさんは市場に出掛けてまずはソーセージを買いました。おばさんはそのソーセージを見て肉屋のおじさんにこう言うのでした。
「このソーセージかなり大きいわね」
「そうでしょ、うちのお店の自慢の品だからね」
「手作りのソーセージね」
「そうだ、どのお店のソーセージにも負けないよ」
 そこまで美味しいというのです。
「どんな料理にしても抜群に美味いからね」
「それじゃあシチューにしても美味しいのかしら」
「勿論だよ」
 そのお料理に使っても美味しいというのです。
「だから安心してね」
「ええ、買わせてもらうわね」 
 こうしてソーセージを買ってでした、次は。
 お野菜を買いました、シチューに使う人参と玉葱、それにジャガイモをです。そういったお野菜を持って来たバスケットボックスに入れてです。
 タビタおばさんは意気揚々とお家に帰るのでした、ここまではまっすぐに帰ります。ですがその帰り道になのでした。
 タビタおばさんは従姉妹のビリーおばさんに会いました、そしてビリーおばさんに対して自分から声をかけました。
「ビリーちゃん、久し振りね」
「あら、タビタちゃんじゃない」
 ビリーおばさんは自分の方に歩いて来るタビタおばさんを見て笑顔で応えました。
「最近どうしてたの?」
「どうしたもこうしたもね」
 タビタおばさんはビリーおばさんに自分も笑顔で言うのでした。
「相変わらずよ」
「ご主人と子供さん達と一緒になのね」
「毎日普通に過ごしてるわよ」
「それじゃあ私と一緒ね」
「ビリーちゃんもなの」
「ええ、私の方もね」
 どうかとです、二匹はそれぞれの帰り道の途中で立ち止まってお話をするのでした。
「主人と子供達のね」
「世話をしてなのね」
「今も買い物の帰りよ」
「私もよ」
「そうよね、お掃除にお洗濯をして」
 家事をしてだというのです。
「朝もお昼も御飯を作ってね」
「それで晩御飯もおかずも買って」
「そっちの晩御飯は何なの?」
「主人が今お魚を釣ってるから」
 タビタおばさんはビリーおばさんにこのことをお話します。
「お魚をムニエルにしてね」
「あら、それはいいわね」
「それとシチューよ」
 それを作るというのです。
「お野菜とソーセージを買って来たから」
「それでシチューを作るのね」
「そうよ」
 そうするというのです。
「そう考えてるの」
「それもいいわね」
「ビリーちゃんは何作るの?」
「うちは鶏肉を焼いてね」
 まずはそれを作るというのです。
「後はカボチャを買ったから」
「あっ、それね」 
 タビタおばさんはビリーおばさんのバスケットボックスを見ました、するとそこにはかなり大きなカボチャが頭を見せています。
「そのカボチャでなのね」
「パイを作ろうって思ってるの」
「それもいいわね」
「うちの子供達ってカボチャが好きだから」
「カボチャは栄養もあれし」
「そう、そのこともあってね」
 それでだというのです。
「今日はカボチャにするつもりなの」
「いいわね、カボチャのパイも」
 タビタおばさんはビリーおばさんのお話に頷いて応えます。
「そちらも」
「そう思うでしょ、ただね」
「ただって?」
「こうして主婦って毎日献立考えてるわよね」
「ええ、それはね」
 タビタおばさんやビリーおばさんだけではありません、主婦なら誰でもです。ですがそれがだというのです。
「けれどそれがなのね」
「ええ、大変よね」
「確かにね」
 タビタおばさんはビリーおばさんのその言葉に頷いて答えました。
「そのことはね」
「毎日考えて」
「作ってね」
「それが大変よね」
「お掃除にお洗濯もあって」
「ちょっと怠けると」
 それでだというのです。
「お部屋が散らかって」
「子供達がすぐに散らかすのよね」
「そうそう、服だってね」
 その服はどうなのかといいますと。
「朝折角洗ってもね」
「夕方には泥だらけに帰って来るのよね」
「お友達と遊んで帰って来て」
「もう泥んこよ」
「うちもよ」
 おばさん達はそれぞれ一緒だとお話するのでした、もうこのことはどのお家も全く同じことの様です、そしてです。
 タビタおばさんはトムのことを言うのでした。
「うちのトムなんてね」
「トムちゃんどうしたの?」
「何時でも泥んこになるのよ」
「服を汚してなの」
「もうお洗濯が大変よ」
 タビタおばさんは右の前足を上から下に振ってビリーおばさんにこのことを言います。
「毎日だから」
「トムちゃんも腕白なのね」
「男の子って手がかかるわね」
「そうよね、うちの子もね」
 ビリーおばさんも言うのでした。
「手間がかかって」
「男の子はね」
「女の子はまだましだけれど」
「そうそう」
 タビタおばさんは下の子供達のこともここで言います。
「あの娘達はまだね」
「けれどよね」
「そう、やっぱり子供はね」
「手がかかるわね」
「かといって主人も」
「うちの主人もよ」
 今度は旦那さん達のお話です、その人達はどうかといいますと。
「家事は何もしないのよ」
「うちのもよ」
 タビタおばさんは自分のところもだと言うのでした。
「もうお家に帰ったらね」
「寝てばかりよね」
「お風呂に入ってね」
 そうしてだというのです。
「寝るだけよ」
「そうそう、雄猫は気楽でいいわね」
「釣りか狩りをしてね」
「それで終わりよ」
「お魚なり小鳥なり鼠を捕まえて」
「それでね」
 終わりだというのです、雄猫は。
 ビリーおばさんはです、ご自分のご主人についてこんなこともあるというのでした。
「うちの主人ってお酒を飲んだらね」
「どうなるの?暴れたりするの?」
「それはないの。ただね」
「ただって?」
「もうすぐに寝て」
「暴れないならいいじゃない」
「それが違うのよ、物凄いいびきなのよ」
 お酒を飲んで寝るとです、ビリーおばさんのご主人はそれこそ雷の様ないびきを立てて寝てしまうというのです。
「五月蝿くて仕方ないのよ」
「それは大変ね」
「タビタちゃんのところのご主人もお酒好きでしょ」
「よく飲むわよ。けれどね」
「いびきはかかないの?」
「暴れたりもしないわ」
 そうしたこともないというのです、ですが。
 大変なことはいびきや暴れることだけではありません、タビタおばさんのご主人はお酒を飲むとどうなるかといいますと。
「もうね、朝までね」
「起きないのね」
「そうなのよ、朝になってもお酒を飲んだ次の日は」
「中々起きないのね」
「何をしてもね」
 それこそです、耳元で何を言ってもだというのです。
「耳元でフライパンをおたまでガンガンと鳴らしてね」
「それでやっとなのね」
「起きるのよ」
 そこまでしないと起きないというのです。
「本当にやっとなのよ」
「凄いのね、そっちも」
「もうね、お酒ってね」
「雄猫は皆好きだけれどね」
「一旦飲むとね」
 それでだというのです。
「大変なことになるから」
「憂さ晴らしで飲むとか言うけれど」
「こっちはね」
 雌猫の方はといいますと。
「そうしたことは出来ないから」
「憂さ晴らしをしようと思えば」
 それこそだというのです。
「もうね」
「こうしておしゃべり位しかないわよね」
「そうそう」
 こう言い合うのでした。
「気の合う者同士でね」
「それ位しかないから」
「雄猫は気楽でいいけれど」
「雌猫はね」
 つまりです、自分達はだというのです。
「気苦労ばかりで」
「休むこともあまり出来ないで」
「朝から晩まで働き通し」
「子供は言うことを聞かないで」
「主人はお家では何もしない」
「そんなのだからね」
 こうとりとめのないお話をしていくのでした、そうしてあれやこれやとお話をしているうちにです。ふと気付けば。
 影が長くなっていました、お日様もその姿を消そうとしています。タビタおばさんはそのことに気が付いてでした。
 ビリーおばさんにです、こう言いました。
「じゃあそろそろね」
「そうね、もう夕方だからね」
「今日はこれでね」
「またの機会にね」
「今度うちに来て」
 タビタおばさんはにこりと笑ってビリーおばさんに言いました。
「それでお茶でもね」
「いいわね、じゃあティーセットも揃えてね」
「お茶を飲みましょう」
 こう言うのでした。
「そうしましょうね」
「そうね、いいわね」
「そういうことでね」
 こうお話してでした、そのうえで。
 お家に帰るとです、戸締りはちゃんとしていました。タビタおばさんはまずはこのことによかったと思いました。
 それでお家の中に入るとです、散らかっていませんでした。そしてトム達はどうしているかといいますと。
 積み木で遊んでいました、タビタおばさんはそれを見て子供達に言いました。
「絵本は?」
「もう飽きたよ」
 トムは積み木を上に上にと重ねながら答えてlきました。
「だって何度も何度も読んだから」
「それで積み木をしてるのね」
「駄目かな」
「絵本の方がお勉強になるのよ」
 おばさんはちょっと怒った感じの口調でこう返します。
「全く、飽きっぽいんだから」
「飽きたから仕方ないじゃない」
 トムはお母さんに言い返します。
「何度も何度も読んで」
「十回は読んだわよね」
「そうよね」
 ミトンもモペットもそれぞれのお顔を見合わせて言います。
「もうね」
「それ以上かもね」
「だからいいじゃない」
「十回と言わずにね」
 お母さんは言い返してきた子供達にさらに言うのでした。
「二十回でも読みなさい」
「えっ、そんなに!?」
「そんなに読まないといけないの?」
「お勉強はそういうものよ」
 こう言うのでした。
「それこそ何度もね」
「ううん、十回も読んだのに」
「それでもなの」
「百回読んでもいいのよ」
 そこまでだというのです。
「だから今度からはね」
「お母さんが留守の間はなの」
「百回でも何度でもなのね」
「そうよ」
 タビタおばさんはミトンとモペットににこう言います。
「今は積み木をしてもいいけれど。積み木をしないといけない時は言うから」
「わかったわ、それじゃあ」
「今度からそうするわ」
「トムもいいわね」
 トムに言うことも忘れません。
「お母さんが絵本を読みなさいって言った時はね」
「百回でもなんだ」
「そうよ、読むのよ」
「わかったよ、それじゃあ」
「そうしなさいね。それじゃあお母さんは今からお料理を作るから」
 台所に向かいながらの言葉です。
「お父さんが帰って来たらお魚でムニエルを作るからね。パンを用意してね」
「うん、パンだね」
「ええ、出しておいてね」
 子供達に用事も言いつけてでした、そのうえで。
 まずはシチューの用意をします。そしてお父さん猫が帰って来た時に今度はお魚を捌いてムニエルも作るのでした。タビタおばさんとビリーおばさんのある一日のお話でした。


タビタおばさんとビリーおばさんのお話   完


                            2013・12・16



ほのぼのとした感じだだよな。
美姫 「流石に百回も読むのは辛い気がしないでもないけれどね」
まあ、勉強なら仕方ないさね。
美姫 「井戸端会議はどこの世界でもあるみたいね」
確かに。いや、何かまったりとしてしまうな。
美姫 「そうね。次回もこんな感じのお話かしらね」
かな。次回も待ってます。
美姫 「待ってますね」



▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る