『オズのアリス』
第七幕 ハンプティダンプティ
一行は鏡の森に入りました、ここでドロシーがアリスに言いました。
「この森も貴女にとっては馴染みのある場所ね」
「ええ」
アリスは笑顔で答えました。
「鏡の国よね」
「この森はね」
「だったらね」
それならというのです。
「懐かしいわ」
「馴染みがあって」
「ええ」
アリスは笑顔で答えます。
「私もね」
「それじゃあ楽しめるかしら」
「とてもね」
「何かね」
トロットはここでこんなことを言いました。
「不思議の森も不思議だけれど」
「鏡の森もよね」
ベッツィも言います。
「不思議よね」
「不思議の森に負けない位ね」
「そうよね」
「鏡っていうか」
ここで言ったのはつぎはぎ娘でした。
「もう一つの不思議かしら」
「そうね」
エリカはつぎはぎ娘の言葉に頷きました。
「何かと違うけれどね」
「似ているわね」
「そこにいる生きものもね」
「何かね」
トトが言うことはといいますと。
「言葉遊びが多いよね」
「どっちの世界でもね」
モジャボロがトトに応えました。
「それが盛んだね」
「その言葉遊びが面白いね」
弟さんはお兄さんに続きました。
「どちらの森も」
「言葉遊びはいい遊びだよ」
教授も思うことです。
「頭の体操になるからね」
「頭の体操ね」
ガラスの猫はそう言われて自分のガラスの中の赤い脳を見て思いました。
「私以上の頭はそうはないと思うけれど」
「頭は使えば使う程いいんだよ」
かかしは笑って言いました。
「そうすればどんどん動く様になるんだ」
「だからそうした遊びもいいんだよね」
樵も言います。
「言葉遊びも」
「僕も好きだよ、言葉遊び」
ジャックは陽気に言いました。
「結構それで遊ぶよ」
「けれど言葉遊びもお腹空くんだよね」
腹ペコタイガーは少し苦笑いになって言いました。
「頭使うと」
「そうそう、頭を使ってもなんだよね」
臆病ライオンは腹ペコタイガーに応えました。
「お腹って空くよね」
「けれどこれが楽しいのよ」
ビリーナにしてもです。
「言葉遊びもね」
「そうーーですーーね」
チクタクはビリーナの言葉に頷きます。
「私もーー好きーーです」
「だからこの二つの森に入ると」
それならと言うキャプテンです。
「皆で言葉遊びをしたくなるよ」
「色々言ってみよう」
ハンクは楽しそうに言いました。
「言葉を使ってね」
「ではです」
ジュリアはハンクの言葉を受けて微笑んで言いました。
「オズの国の言葉でいきましょう」
「そうね、じゃあね」
ポリクロームはそれならと応えました。
「皆で言っていきましょう」
「じゃあ誰から言うの?」
ボタンは皆に尋ねました。
「言葉遊びするなら」
「それならです」
大尉がボタンに応えました。
「やはりです」
「オズマよね」
こう言ったのはドロシーでした。
「こうした時は」
「私なの」
「だってオズの国の国家元首だから」
それでというのです。
「何といってもね」
「私になるのね」
「言ってみて」
「それじゃあね」
オズマは微笑んで受けました、そしてこの娘からオズの言葉を使った言葉遊びを考えて言いました。それからです。
皆それぞれ言って楽しみます、その中には当然ナターシャ達五人もいますがアリスは五人に言いました。
「貴女達も面白い言葉出したわね」
「ええ、けれどね」
ナターシャが応えました。
「色々考えたわ」
「ああでもないこうでもないって」
ジョージも言います。
「考えたよ」
「中々難しかったよ」
神宝はアリスに真面目なお顔で答えました。
「どの言葉でどうするか考えるだけで」
「確かに頭に体操になるね」
カルロスはこのことを実感していました。
「考えに考えるから」
「それでいいって言ってもらったから」
恵梨香はアリスに言いました。
「嬉しいわ」
「そうよね、ただね」
アリスは五人に言いました。
「何でも人によってはすぐにね」
「出て来るの」
「そうした遊びなんだ」
「なかなか難しいけれど」
「すぐに出る人もいるんだ」
「そうなの」
「ええ、不思議の国でも鏡の国でもね」
どちらでもというのです。
「皆すぐに出ているでしょ」
「そうね、確かに」
「即興の感じで出てるね」
「皆そうだね」
「すぐに出してね」
「披露しているわ」
「何でもやっていったら」
子度場遊びをというのです。
「すぐに出る様になるらしいよ」
「そちらも経験なのかしら」
ナターシャはアリスのお話を聞いて思いました。
「結局は」
「そうだと思うわ」
アリスはまさにと答えました。
「やっていったらね」
「経験を積んでいって慣れて」
「それでね」
そうなってというのです。
「出来る様になるのよ」
「すぐに」
「他のことと同じでね」
「言葉遊びもなのね」
「そうなってね」
そしてというのです。
「歌だってね」
「同じなのね」
「歌もね」
こちらもというのです。
「オズの国では多いみたいだし」
「実際にかなり多いわ」
ドロシーが答えました。
「何かとね」
「そうよね」
「そしてね」
それでというのです。
「二つの国、オズの国では二つの森ね」
「私達が今いる」
「ここでもね」
どうかというのです。
「同じよ」
「歌が多くて」
「マザーグースもね」
「ああ、イギリスの」
「それも多いのよ」
そうだというのです。
「これがね」
「マザーグースね」
そう聞いてです、ナターシャは思いました。
「アリスのお国のイギリスではね」
「皆知っていてね」
「よく歌うわね」
「寓話にもなってるし」
「貴女もよく知っているわね」
「マザーグースの曲はね」
それはというのです。
「物凄く馴染みがあるわ」
「そうよね」
「だからね」
それでというのです。
「今ここでも歌えるわ」
「そうなのね」
「ええ、だからね」
それでというのです。
「よかったらね」
「ここで歌いたいの」
「いいかしら」
「貴女がそうしたいならいいわ」
オズマがにこりと笑って言いました。
「歩きながらね」
「そのうえで」
「どうかしら」
「それじゃあ」
アリスはそれならと応えました。
そうして歌います、歌い終えると皆拍手をしました。そして前にある壁の上からも拍手が聞こえてきました。
皆その拍手の方を見るとでした。
卵みたいな身体におじさんの厳めしいお顔を持つタキシードと蝶ネクタイでお洒落をした妖精です、その妖精はといいますと。
「ハンプティダンプティね」
「久し振りだな、アリス嬢」
ハンプティダンプティはアリスに微笑んで応えました。
「元気そうだな」
「この通りよ」
アリスは両手でスカートを摘まんでお辞儀をして応えました。
「レディーになる様に日々努力をしているわ」
「いいことだ、実際にだ」
「実際に?」
「前に会った時よりも素敵になっている」
そうだというのです。
「レディーにな」
「そうなのね」
「礼儀作法だけではないな」
こうアリスに言うのでした。
「学んでいるのは」
「学校のお勉強もスポーツもよ」
「スポーツもしているか」
「ええ、クリケットにテニスに」
そうしたスポーツを挙げていきます。
「乗馬もはじめたわ」
「そしてスポーツマンシップを学んでいるな」
「どうしてスポーツをするか」
それはというのです。
「身体を整えてね」
「かつ楽しみだ」
「スポーツマンシップを学ぶものよね」
「人付き合いもな」
それもというのです。
「学ぶものだよ」
「そうよね」
「そしてアリス嬢もだな」
「学んでいるわ」
「いいことだ、だが」
「だが?」
「わしは割れかねないスポーツは避けたい」
むっとして言うのでした。
「スポーツをしてもな」
「卵の身体だから」
「歌にもあるだろう」
そちらにもというのです。
「マザーグースの」
「まさに貴方を歌ったものよね」
「不愉快な曲だ」
むっとしたまま言います。
「実にな」
「それで言うのね」
「そうだ」
まさにというのです。
「今も好きではないとな」
「オズの国では何があっても死なないし」
「わしも割れないな」
「だからいいんじゃないかしら」
「外の世界でのことが頭にあるのだよ」
ハンプティダンプティは壁の上から言います。
「だからそうしたスポーツは嫌いなのだよ」
「じゃあどういったスポーツが好きなのかな」
ダイナがアリスの足元から尋ねました。
「一体」
「ゴルフだよ」
このスポーツだというのです。
「あれなら落ちたり打ち返されたり投げられたボールが来ることはなくだ」
「落ちることもないからなんだ」
「好きだ」
そうだというのです。
「ボールを打って歩いていくだけだからな」
「それでだね」
「好きでな」
そうであってというのです。
「よくやっている」
「成程ね」
「水泳も好きだ」
こちらのスポーツもというのです。
「水の中で卵は割れるか」
「聞かないわ」
ダイナにしてもです。
「そうしたことは」
「だからわしも好きだ」
「外の世界でのことがあるから」
「左様、だが」
「だが?」
「オズの国ではわしも何があっても割れないからな」
このことを自分でも言うのでした。
「次第に安心してきていてだ」
「色々なスポーツを楽しんでいるの」
「ラグビーもな」
「あの競技もなのね」
「楽しむ様になってきている」
「そうなのね」
「やってみると楽しい」
笑顔で言うハンプティダンプティでした。
「オズの国に来てよかった」
「そういえば」
ここでアリスはあることに気付いて言いました。
「貴方以前より気さくで明るくなっているわ」
「そうね、鏡の国だとね」
「もっと気難しい感じだったよ」
「近寄りにくいっていうか」
「そんな風でね」
「不愉快そうな雰囲気もしていたわ」
ナターシャ達五人も言います。
「あのお話だと」
「そうだったね」
「あの歌のお話をしても」
「どうにもって感じで」
「神妙なものも感じたわ」
「否定しない」
ハンプティダンプティもです。
「わしもな」
「そうなのね」
「貴方自身にしても」
「そのことを認めるんだ」
「あのお話での自分のことを」
「そうするのね」
「うむ、しかし変わった」
そうした性格がというのです。
「オズの国に来て安心出来る様になってな」
「安心出来たらね」
ドロシーが言ってきました。
「心が落ち着いて余裕が出来て」
「穏やかになるものだね」
「ええ」
ハンプティダンプティに答えました。
「これがね」
「わしもということだ」
「そういうことね」
「そして反省している」
こうも言うのでした。
「以前のわしはな」
「落ち着いてきて」
「そしてだ」
そのうえでというのです。
「今はいつも楽しくだ」
「過ごしているのね」
「そうしているよ」
実際にというのです。
「明るく楽しく」
「それはいいことね」
「全くだ。それであんた達は何故この森に来たんだ」
ドロシーに尋ねました。
「それで」
「王様と女王様が主催するお茶会に参加するの」
アリスが答えました。
「ハートのね」
「おお、そうなのか」
「それで皆一緒にいるけれど」
「わしも参加する」
笑顔での返事でした。
「そのお茶会にな」
「貴方もなの」
「他にもだな」
「ええ、チェシャ猫達もね」
アリスは笑顔で答えました。
「参加するわ」
「賑やかになるな」
「そうよね」
「いいお茶会にしよう」
笑顔での返事でした。
「是非。実はスナーク氏もだ」
「スナーク氏っていうと」
「あの歌のな」
「スナーク狩りの」
「あの御仁もだ」
「参加するの」
「丁度近くにいるからな」
それでというのです。
「会っていいだろう」
「スナーク氏と」
「あの御仁も変わった」
そうだというのです。
「昔はだ」
「ジョークを理解しなくて」
「付き合いが悪かったが」
そうであったがというのです。
「今は違う」
「そうなのね」
「だからな」
それでというのです。
「あの御仁ともだ」
「お話していいわね」
「うむ、存分にな」
「じゃあそうさせてもらうわね」
「他の連中も一緒の筈だ」
ハンプティダンプティはこうも言いました。
「ジャバウォークとバンダースナッチもな」
「あれっ、確か」
その二つの名前を聞いてです、ナターシャは言いました。
「アリスあの生きもの達に出会ってないわよね」
「そうそう、詩に出たけれど」
それでもと言う神宝でした。
「出会ってないよ」
「姿はわかってるわね」
恵梨香はこちらはと言いました。
「ジャバウォークやスナークは」
「けれどアリスは会ってなくて」
ジョージも言います。
「実際にいるかどうかもはっきりしなかったよ」
「けれど実際にいたんだね」
カルロスは頷く様に言いました。
「オズの国にも」
「これがいるのだ」
ハンプティダンプティはそうだとです、ナターシャ達五人にいささか気取った勿体ぶった様な態度で言いました。
「鏡の国にもいてな」
「オズの国にもなのね」
「いるんだ」
「そうなのね」
「それで僕達も合えるんだ」
「そしてお話出来るんだ」
「左様、今から会うといい」
ここでも勿体ぶって言うハンプティダンプティでした。
「諸君等もな」
「それじゃあね」
「今から皆で行くし」
「アリスと一緒に行って」
「そうしてね」
「お話させてもらうよ」
「そうすることだ、ではまた会おう」
ハンプティダンプティは最後は笑顔になりました、そしてです。
一行に礼儀正しくお辞儀をしてそれからお別れとなりました、そうして道を進んで行くと道標があって右側にスナークの家とありまして。
そちらに行くと大きな木の下に洞穴があって一行が近付くとそこから砂色の蛇がにゅっと出て来て言ってきました。
「お客さんかな」
「ええ、そうよ」
オズマが笑顔で応えました。
「これからハートの王と女王のお茶会に参加するの」
「それは私もだよ」
蛇は微笑んで応えました。
「そして楽しく過ごすよ」
「貴方もなのね」
「そう、そして名乗るのが遅れたが」
「スナークよね」
アリスが言ってきました。
「貴方が」
「如何にも」
スナークは気取って答えました。
「私がスナークだ」
「そうよね」
「しかも今日は友人達も来ている」
「貴方のお家に」
「そしてゲームをしていた」
「ゲーム?」
「ファミコンをしていた」
そうだというのです。
「これがまた面白くてな」
「日本の昔のゲームよね」
「昔?そういえばそうなるか」
スナークはアリスの昔という言葉に応えました。
「外の世界では」
「オズの国でもそうじゃないかしら」
「ええ、もうかなり昔のゲームよ」
ドロシーが答えました。
「今はプレイステーションもかなり新しくなったわ」
「そうよね」
「それがなのね」
「いやいや、四十年位の差は見方では最近のこと」
スナークは笑って言いました。
「それで三匹でファミコンをして楽しんでいたのだ」
「見方によってはなの」
「左様」
ドロシーにまさにと返すスナークでした。
「だから私達は楽しんでいた、そして昔と言われてもな」
「楽しいのね」
「ファミコンのゲームもな」
「昔だから面白くないか」
「それは違うのだよ」
「そう言われるとそうね」
アリスは確かにと頷きました。
「昔のゲームも今してみるとね」
「面白かったりするわね」
ベッツィが応えました。
「そうよね」
「ええ、面白いゲームは年代を越えるわ」
トロットも言います。
「それこそね」
「その通り、私達はポパイやマリオブラザースをしていた」
スナークは具体的なゲーム名を挙げました。
「面白かったぞ」
「何だお客人か」
「そうなのかな」
ここで洞穴からもう二匹出て来ました、丸い頭と長い首を持っていて後ろ足で立つ二メートル位のドラゴンとドラゴンと同じ位の大きさの豹みたいな斑点のある犬です。見ればスナークも同じ位の大きさです。
「おや、オズマ姫」
「それにドロシー王女も」
二匹は一行を見て言いました。
「見ればオズの国の名士が勢揃い」
「外交団なのか」
「何でもハートの国王陛下と女王陛下の茶会に参加されるとのこと」
スナークは二匹にお話しました。
「我等もそうであるが」
「何と、それはいい」
「この人達もとはね」
二匹はスナークのお話を聞いて笑顔で言いました。
「賑やかになるね」
「それも楽しく」
「あの、貴方達がよね」
アリスはスナークとお話する二匹に尋ねました。
「ジャバウォークとバンダースナッチね」
「わしがジャバウォークでありますぞ」
まずはドラゴンが答えました。
「歌にも出る」
「僕がバンダースナッチだよ」
犬も言ってきました。
「荒れ狂うとかいう」
「実際に時計を止めるより難しいのかしら」
アリスはここでバンダースナッチの言葉を思い出しました。
「貴方は」
「ああ、それお酒飲んだ時だね」
バンダースナッチは笑って応えました。
「鏡の国で飲み過ぎてね」
「それでなの」
「くだを巻いた時に言われたんだ」
「そうだったの」
「普段はね」
これといってというのです。
「普通だよ、今じゃ飲んでもね」
「くだ巻かないのね」
「酔っぱらいを止めることが時間を止めるより難しい」
ジャバウォークが笑って言ってきました。
「そう言うが」
「酔っぱらいを止めるなんて」
「まさにでありましょうぞ」
「そうね、物凄いからね」
「時を止めるより難しいことは案外多い」
「酔っぱらいを抑えることもそうで」
「ゲームに夢中になり」
そうしてというのです。
「止めることもだ」
「難しいのね」
「現に今まで止まらなかった」
ジャバウォークはこのことも笑って言いました。
「わし等は」
「面白いからこそ」
スナークも言います。
「どうしても」
「そうであったな」
「そう、マリオブラザースにしても」
「亀だの蟹だの蠅だのと」
「配管の中で遊んで」
「それがまことに面白く」
「止められなかったね」
バンダースナッチも笑って言います。
「これが」
「そうであったな」
「実に」
残る二匹も応えます。
「そこでお客人が来て」
「止められた」
「きっかけがあって」
「つまりきっかけこそなのね」
アリスは三匹のお話を聞いて思いました。
「全てを止めることなのね」
「ええ、何かあればね」
オズマはアリスにまさにと答えました。
「それでどんなことでも止まるわ」
「そうなのね」
「それが小さなことでも」
きっかけがというのです。
「まさにね」
「そこからなのね」
「とんでもないことも止まったりするわ」
「そうなのね」
「オズの国でもね」
お伽の国であるこの国でもというのです。
「きっかけでね」
「止まるのね」
「色々なことがね」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのです。
「きっかけはね」
「バンダースナッチも止めるのね」
「酔っぱらってもね」
「凄いのね、きっかけって」
「ええ、それは貴女もでしょ」
アリス自身もというのです。
「きっかけがあって不思議の国に行って」
「兎を見て」
「そして鏡の国もでしょ」
「そうね」
アリスは言われてわかりました。
「私もそうだったわ」
「きっかけでね」
「何か起こったりするわね」
「そして止まるにもね」
「きっかけで止まるのね」
「自分でも他の誰でもどうしようもなくなっても」
そうした場合もというのです。
「時間を止めるより難しいことでもよ」
「止まるのね」
「そうよ」
まさにというのです。
「どんなことでもね」
「どんなことでも起こって」
「どんなものでも止められるのよ」
「それでそのきっかけを起こすのは」
アリスはさらに考えて言いました。
「神様ね」
「そうなるわね」
ナターシャが応えました。
「絶対に人間じゃないわね」
「そうよね」
「アリスの場合もそうだね」
「きっかけがあって二つの国に行ったけれど」
「そのきっかけだってね」
恵梨香達四人も言います。
「誰が起こしてるか」
「神様以外考えられないよ」
「神様が働いて」
「あれこれ手配してね」
「きっかけが起こるわね、そして今回のことも」
ナターシャはスナーク達を見て言います、三匹共もう洞穴から出ていてそれぞれの全身を見せています。
「同じね」
「そうなるな」
「わし等がゲームを止めたのも然り」
「神様の配剤だね」
「オズの国の神々の」
ナターシャは三匹にも応えて言います。
「そうね」
「外の世界には神様がいないと思っている人がいるけれど」
それでもと言う魔法使いです。
「それは違うよ」
「ええ、神様はいるわ」
ドロシーは魔法使いの言葉に頷きました。
「間違いなくね」
「こうしたきっかけのことを考えてもね」
「いるわね」
「ただ神様はね」
真帆痛快はドロシーにお話しました。
「キリスト教だけじゃないね」
「そうよね」
「色々な神様の世界があってね」
「沢山の神様がいるわ」
「オズの国ではこのこともよくわかるね」
「ギリシャや北欧や中国の神様がいて」
「エジプトやメソポタミアの神様もね」
そうしてというのです。
「日本の神々もだよ」
「そう考えるとね」
「そう、オズの国にいてもわかるし」
「外の世界でもね」
「同じだよ」
「そうよね」
「そして」
それでというのです。
「そのきっかけでね」
「時間も止まって」
「それよりも難しいこともだよ」
「止まるわね」
「つまりきっかけを起こす神様はね」
「どんな難しいことも出来るわね」
ドロシーは魔法使いの言葉に頷きました。
「そうね」
「そうだよ、そして」
それでというのです。
「思えば私達がこうしているのも」
「きっかけからね、私のきっかけは」
ドロシ―は微笑んで言いました。
「いつも凄いわね」
「竜巻でオズの国に来たりね」
「海の嵐に出会ったりしてよね」
トトとビリーナが応えました。
「物凄いわね」
「いつもね」
「オズの国に来た時もそうで」
それでと言うドロシーです。
「定住してからもね」
「きっかけばかりで」
「いつもかなりの冒険だけれど」
「全部神様のお仕事よ」
二匹にも応えて言います。
「全部ね」
「その通り、きっかけは驚くべき力がある」
スナークは断言しました。
「私も今はジョークが好きだが」
「貴方昔はジョークは嫌いだったわね」
「いいと思わなかった」
アリスに答えました。
「全く」
「そうだったわね」
「それが今では」
どうかといいますと。
「好きになった」
「そうなったのね」
「お笑い番組や言葉遊びもだ」
「好きになって」
「毎日笑っている」
「そうなったのね」
「たまたま見たコメディーのジョークに噴出してしまい」
そうなってというのです。
「それからだよ」
「冗談が好きになったのね」
「笑い、そしてユーモアもな」
「そうなったのね」
「面白いお笑いは実にいい」
スナークはにこりと笑って言いました。
「それは宝石の様な価値がある」
「そこまでなのね」
「ゲームもいいが」
「お笑いもなのね」
「実にいい、尚私は上品な笑いが好きだ」
「上品なのね」
「どうかというとな」
こうお話します。
「そちらだ」
「そうなのね」
「そしてだ」
それにといいます。
「オズの国のお笑いの街もいいな」
「あそこは実にいい街ありますな」
ジャバウォークは舌なめずりして続きました。
「料理も美味しくて」
「街並みも独特でね」
バンダースナッチも言います。
「面白い街だよ」
「私は落語も好きになっていて」
それでと言うスナークです。
「そっちの言葉遊びもしてみている」
「そうなの」
「あの街の野球チームだが」
「虎のチームだね」
かかしが応えました。
「他には牛のチーム、勇者のチーム、鷹のチームがあるけれど」
「やはり第一となると」
「虎のチームだね」
「あのチームの球場に大銀さんがあるな」
「ああ、日除けのね」
今度は樵が応えました。
「あれだね」
「『傘』と『さん』をかけているな」
「そうだね」
「これも言葉遊びだが」
「気に入っているんだ」
「面白いと思う」
やはり洗笑って言うスナークでした。
「実にな」
「成程ね」
「そしてだ」
そうであってというのです。
「お笑い、ジョークもだ」
「好きなんだね」
「今ではそうだね」
「そうなった、ジョークを理解出来ないなら」
かつての自分の様にというのです。
「その分損をしている」
「全くでありますな」
「その通りだね」
ジャバウォークとバンダースナッチもお話します。
「寂しいよ」
「その分だけ」
「そうだ、そもそも私自身何かと寓話的だ」
スナークは自分のお話もします。
「食べると味がどうとか輪になって動くだの」
「そうそう、貴方尻尾を咥えて輪になってタイヤみたいに動くのよね」
アリスはこのことを思い出しました。
「そうよね」
「その通りだ」
まさにと答えたスナークでした。
「歌にある通りな」
「そうよね」
「だが実は人は襲わない」
「そうよね」
「この大きさで食べられる筈がない」
人をというのです。
「そうだな」
「そうね」
ドロシーも確かにと答えます。
「流石にね」
「見てわかるな」
「無理だってね」
そのことがというのです。
「わかるな」
「ただ私が作る輪の中に入って逃げられるとな」
「終わりなのね」
「そこまで近寄られてそこまでされるとな」
そうなると、というのです。
「力の差は明らかだ」
「だからなのね」
「どうしようもない」
そうだというのです。
「だからだ」
「逃げられることもなの」
「当然だ、それで貴方達はこれからどうする」
「これから?」
「そろそろ夜だ」
その時間になるというのです。
「私達もそれぞれの家で食事を摂る」
「わしも近くに家がある」
「僕もだよ」
ジャバウォークとバンダースナッチも言います。
「それぞれのお家に帰ってね」
「晩ご飯を食べてお風呂に入って寝る」
「そうするからね」
「貴殿達もとなりますね」
「そうね、少し行ったらお池があるから」
オズマは森の地図を開いて現在位置を確認しつつ言います。
「そこで身体を奇麗にして」
「そうしてなのね」
「晩ご飯にしましょう」
ドロシーにお話しました。
「そうしましょう」
「今夜はね」
「それで何を食べるのかな」
臆病ライオンが尋ねました。
「今夜は」
「そうね、サンドイッチとサラダにソーセージとスープにしましょう」
オズマはこうしたものを挙げました。
「そうしましょう」
「いいね、サンドイッチなんだ」
臆病ライオンは笑顔で応えました。
「食べやすいね」
「しかも美味しいでしょ」
「凄くね」
「だからね」
「今夜はサンドイッチね」
「皆で食べましょう」
「沢山食べよう」
腹ペコタイガーはまさにと続きました。
「サンドイッチもサラダもね」
「スープとソーセージもだね」
「そう、そしてね」
臆病ライオンにさらに言いました。
「デザートも楽しみだね」
「デザートはフルーツの盛り合わせよ」
オズマはデザートのこともお話しました。
「林檎にオレンジ、洋梨に葡萄にバナナよ」
「そういったものだね」
「ええ、これでどうかしら」
「そっちも楽しみだよ」
「飲みものは牛乳でね」
こちらでというのです。
「どうかしら」
「いいね、じゃあね」
「晩ご飯はね」
「サンドイッチとだね」
「そういったものよ」
「サンドイッチ大好きよ」
アリスは目を輝かせて言いました。
「何でも挟めるのがいいわね」
「それがサンドイッチよね」
「ええ、まさにね」
ドロシーに応えて言いました。
「サンド、砂とウィッチ、魔女以外はね」
「挟めるわね」
「それで食べられるわ」
「だからいいわね」
「サンドイッチはね」
「ははは、今のは面白い」
スナークは二人の会話に笑って応えました。
「砂と魔女以外は挟める」
「サンドイッチは」
「実にいい言葉遊びでジョークだ」
「そう思うのね」
「うむ、ジョークがわからないよりわかった方がいい」
「その分楽しくなるから」
「だからだ」
そうであるからだというのです。
「それでいい、ではな」
「これからもね」
「ジョークを聞いていこう」
「そうしていくわね」
「私自身も言ってな」
そうもしてというのです。
「楽しむ、そしてお茶会も」
「王様と女王様が主催する」
「それにも参加して」
「楽しむのね」
「そうする」
こう言うのでした。
「存分にな」
「ではその時にね」
「また会おう」
「その時を楽しみにしているわ」
笑顔でお話してでした。
一行はスナーク達と別れました、そうして森のお池の傍まで行ってそこで水浴びをしてから晩ご飯を食べました。そのうえで出したテントの中で休んだのでした。