『オズのアリス』




                第五幕  芋虫とフットマン

 一行は森の中を進んでいきます、そして湖のほとりにきますと。
 岩の上に座って水パイプを吸っている大きな人の顔をした芋虫がいました、アリスはその芋虫を見て言いました。
「今度はこの人に会えたわ」
「おや、あんたはアリス嬢か」
 芋虫もアリスを見て言います。
「オズマ姫も他の人達も一緒かい」
「お茶会に行くのよ」  
 オズマは芋虫ににこりと笑って答えました。
「皆でね」
「へえ、そうなんだ」
 芋虫はお話を聞いて頷きました。
「わしも参加するがね」
「貴方もなの」
「もう行く準備は出来ているから」
 だからだというのです。
「後はだよ」
「その時が来たら行くだけね」
「そうだよ」
 こうオズマにお話します。
「わしはね」
「貴方もなのね」
「この森と鏡の森の面々が集まるよ」
 芋虫は今度はドロシーに答えました。
「そうなるよ」
「それで貴方もなのね」
「楽しみにしているよ」
 ドロシーに言いました。
「わしもね」
「じゃあお茶会でまた会いましょう」
「そうしようね」
「しかしいい水パイプだね」
 キャプテンは芋虫が吸っているそれを見て言いました。
「実にね」
「今吸っている人は珍しいけれどね」 
 モジャボロはこう言いました。
「オズの国でもね」
「古風だね、けれどね」 
 弟さんはお兄さんに応えました。
「その古風なのもいいね」
「独特の風情があるね」 
 教授も言います。
「実に」
「というか僕殆ど見たことがないよ」 
 トトはそうでした。
「おじさんもおばさんも吸わなかったから」
「僕もだよ」
 臆病ライオンもでした。
「オズの国でパイプを吸う人少ないしね」
「パイプそれに煙草もね」
 腹ペコタイガーも言います。
「吸う人少ないね」
「別に吸わなくてもいいんじゃない?」
 こう言ったのはエリカです。
「煙草は」
「水パイプは風情があっても」
 それでもと言うハンクでした。
「煙草吸う人本当に少ないね」
「私も今は吸わないよ」
 魔法使いは自分のことをお話しました。
「全くね」
「それで何ともないし」
 ビリーナは魔法使いを見て言います。
「吸わなくても困らないしね」
「あたしなんて全く縁がないしね」
 つぎはぎ娘は自分で言いました。
「それで何思わないわ」
「僕は人間の身体だった時は兎も角」
 樵も自分のことを言います。
「今は全く縁自体がないしね」
「食べたり飲んだりする必要がないなら」
 それならと言うかかしです。
「煙草もだよ」
「最近見ることすらないね」
 ジャックはそうでした。
「煙草もパイプもね」
「水パイプをこの目で見たのは何時以来か」 
 大尉は芋虫が今も吸っているそれを見ています。
「果たして」
「私記憶にないわ」
 ガラスの猫はそうでした。
「見たかしら」
「私もーー吸わないーーので」
 チクタクはいつもの口調で言います。
「意識しないーーですーーね」
「こんなのあるんだ」 
 ボタンも水パイプを見て言います。
「成程ね」
「王宮で吸われる人はおられないですね」
 ジュリアの記憶にはありません。
「風情はあるといっても」
「しかしわしはこれが好きでな」
 芋虫は今も吸いつつ言います。
「離せないんだ」
「昔は結構吸う人いたのよね」 
 アリスも言います。
「煙草にしろ」
「そうだったな」
「今はすっかり減ったわ」
「葉巻もないな」
「ないわ」
 アリスははっきりと答えました。
「イギリスでもね」
「パイプも噛み煙草も嗅ぎ煙草もな」
「煙草自体が減ったわ」
「煙草ね」
 ナターシャはそのお話を聞いて思いました。
「いいものかしら」
「別にそうは思わないわ」
 恵梨香は考えるお顔で述べました。
「吸わなくてもいいわね」
「パイプとか風情があっても」 
 それでもと言う神宝です。
「なくてもいいんじゃないかな」
「というか昔は結構煙草も種類あったんだ」
 ジョージはそのことを知りました。
「あの咥え煙草だけじゃないんだ」
「色々あったんだね」
 カルロスも言います。
「葉巻は知っていたけれど」
「そうだよ、昔は大人の男の人は大抵吸っていたんだ」
 芋虫は五人にお話しました。
「この水パイプにしてもだよ」
「成程ね」
「そうだったのね」
「昔は男の人はだったんだ」
「大抵吸っていたんだ」
「そうだったんだ」
「外の世界は常に変わって」 
 そうしてと言う芋虫です。
「オズの世界も影響を受けるね」
「アメリカの影響を受けるわね」
 ナターシャが応えました。
「あの国のね」
「そうだね」
「ええ、それはね」
「だからだよ」
 それでというのです。
「昔はアメリカでも煙草を吸う人が多かったが」
「今は減ってなの」
「ましてや水パイプなんか」
 今も楽しんでいるそれはというのです。
「どれだけ少ないか」
「そこまでなのね」
「そうだよ、しかしわしは吸うよ」
 その水パイプをというのです。
「これからもね」
「そうしていくのね」
「好きだからな」
 ナターシャに言います。
「そうしていくよ」
「悪いことじゃないし」
「何が悪いんだい?」
 水パイプを吸うことがというのです。
「一体」
「煙が人にかかりでもしないと」
「そう、何が悪いんだい」
「貴方だけで楽しんでいるならいいわね」
「煙草もな、パイプで吸おうとも」
「人に迷惑をかけないならいいわね」
「その限りだ、吸うも自由で」
 そうであってというのです。
「吸わないこともだよ」
「自由ね」
「そう、あとお前さん達そろそろお昼だが」 
 それでと言う芋虫でした。
「何を食べるんだい?」
「そうね」
 オズマはそう言われて言いました。
「私が持って来たテーブル掛けで出すけれど」
「魔法のテーブル掛けからだね」
「このお昼は何を食べるかは」
 このことはというのです。
「まだね」
「決めていなかったのかい」
「そうだったわ」
「迷うのはよくない」
 芋虫は真剣なお顔で言いました。
「迷いあれこれ考えるのは頭の体操になるが」
「迷い過ぎると駄目ね」
「そうなってはいい答えが出ない」 
「だから迷ってもよね」
「すぐに決めることだ」
 そうすべきだというのです。
「やはりな」
「そうよね」
「それでだ」 
 芋虫はさらに言います。
「姫様達もすぐに決めることだ」
「それなら」
 トロットはそのお話を受けて言いました。
「すぐに決めましょう」
「そうね」
 ベッツィはトロットの言葉に頷きました。
「ここは」
「そうね、芋虫さんが吸っている水パイプの管を見て思ったけれど」
 ドロシーはそこからヒントを得ました。
「スパゲティはどうかしら」
「あっ、いいわね」
「そうね」
 トロットとベッツィはドロシーの言葉に頷きました。
「お昼にいいわね」
「スパゲティはね」
「それじゃあね」
「それにする?」
「そうね」
 オズマも頷きました。
「お昼はスパゲティにしましょう」
「どういったスパゲティにするの?」
 アリスが尋ねました。
「それで」
「ボロネーゼがいいかしら」
 オズマはアリスに少し考えてから答えました。
「ここは」
「ボロネーゼね」
「オリーブオイルとトマトと大蒜を沢山使った」
 そうしたというのです。
「素敵なね」
「ボロネーゼね」
「サラダも出して」 
 スパゲティ以外にというのです。
「チーズもよ」
「スパゲティにはチーズね」
「ええ、もうね」
 それこそというのです。
「欠かせないから」
「それでなのね」
「そちらもね」
 絶対にというのです。
「出すわ」
「そうしてくれるのね」
「飲みものはワインよ」
 こちらだというのです。
「子供用のアルコールのないワインもよ」
「そうしたワインもあるの」
「オズの国にはね」
「そうなのね」
「そのワインも出して」
 そうしてというのです。
「デザートはジェラートにして」
「出してくれるの」
「そうしましょう」
「ではそうしたらいい」
 芋虫も言ってきました。
「わしも楽しむ」
「お昼ご飯をなのね」
「わしはベジタリアンだからな」
 そうであってというのです。
「自分の家に帰ってサラダを食べる」
「そちらなのね」
「それにチーズもな」
 こちらもというのです。
「後はパンだな」
「そうしたものを頂くのね」
「そうする、ではお茶会でな」
「また会いましょう」
 オズマはにこりと笑って応えました、そうしてです。
 皆はお家に帰った芋虫と別れてお池のほとりにテーブル掛けを囲んで座ってお昼にしました、そしてです。
 そのうえで、です。旅を再開しましたが。
 今度は洋服を着て後ろ足で立つ蜥蜴に人間の身体にお魚の頭の門番と人間の身体に蛙の身体の門番が森の中にある大きなお屋敷の門の前にいました。
 その人達を見てです、アリスは言いました。
「今度はこの人達なのね」
「おや、アリス嬢じゃないか」
「これは奇遇だな」
「オズの国に来たのかい」
「そうなの、ただ」
 ここでアリスはあることに気付きました。
「皆私のことを覚えているのね」
「わしのことを覚えているな」
 蜥蜴はアリスに尋ねました。
「名前を」
「蜥蜴のビルさんよね」 
 アリスはすぐに答えました。
「それでお魚のフットマンさんと蛙のフットマンさん」
「左様、よく覚えているな」
「覚えていて何よりだ」
「わし等も嬉しいぞ」
「覚えているわ、けれど私のこともなのね」
 アリスは三人に言いました。
「覚えていてくれているのね」
「印象深かったからな」 
 ビルはそれでと答えました。
「不思議の国には滅多に来ない女の子だったからな」
「人間が来るのは珍しい国なんだよ」
 兎がアリスに言ってきました。
「不思議の国はね」
「そうなのね」
「実際君みたいな人間に出会ったかな」
「会ってないわ」
 アリスもそうだと答えます。
「言われてみると」
「そうだね」
「物凄く独特な人か生きものばかりよ」
「そう、しかし私達から見ると」
 アリスに言うのでした。
「アリス嬢はとびきりになんだ」
「独特なのね」
「外見も性格も行動も」
 全てというのです。
「そうなのだよ」
「それで皆覚えているのね」
「そうだよ、金髪碧眼で」
 アリスの外見はです。
「何ごとにも動じないで好奇心旺盛だね」
「よく言われるわ」
「泣いたり叫んだり怖がったり」
 そうしたことはというのです。
「しないね」
「そうした性格なの」
 自分で言うアリスでした。
「私はね」
「そうした性格の娘はそうはいないものだ」
 兎はアリスに言いました。
「それでだよ」
「皆印象に残るのね」
「そうだよ」 
「それで皆覚えていてくれているのね」
「外の世界でもアリス知らない人少ないわよ」
 ナターシャが言ってきました。
「そうはね」
「いないよね」
「僕達も知ってるしね」
「学校の他の子達だって」
「皆知ってるわ」
 五人全員で言います。
「アリスっていうとね」
「不思議の国だよ」
「外見や服装も思い浮かべる位」
「物凄く有名で」
「知らない人はいないわ」
「そうなのね、私がそんなに有名だなんて」
 アリスとしてはです。
「想像していなかったわ」
「一度見たら忘れるものか」
「アリス嬢のことは」
「わし等にしてもだよ」  
 ビルもフットマン達も言います。
「それで覚えていてだよ」
「オズの国で楽しい再会だ」
「どうして来たかは知らないが」
「来た経緯は前と同じなの」
 アリスは三人に正直にお話しました。
「兎さんを追いかけてなの」
「それでか」
「それで来たのかい」
「今度はオズの国に」
「それでオズマ姫達と一緒にトランプの王様女王様が催すお茶会に参加する為に来ているの」
 このこともお話するアリスでした。
「この森にね」
「よくわかった」 
「実にな」
 フットマン達が応えました。
「それではだ」
「このお屋敷にも入るといい」
「公爵家にな」
「そうすればいい」
「ああ、あの公爵夫人がいる」 
 ナターシャは二人のお話を聞いていいました。
「あそこね」
「そうだ、入るといい」
「今から公爵閣下にもお話しておく」
「わし等の携帯でな」
「奥方様にもな」
「それですぐね」
 アリスはフットマン達がそれぞれの携帯電話を出したのを見て応えました。
「連絡出来るわね」
「便利になったものだ」
「それも実に」
 二人でアリスに答えます。
「前はお屋敷に入ってお話をしていた」
「来客があればな」
「だが今は携帯で出来る」
「真に便利になった」
「わしも今はお屋敷で働いているが」
 ビルも言ってきます。
「文明の進歩に感謝している」
「携帯電話にしても」
「他のことでもな」
 そうだというのです。
「全力で前に進まないといけないが」
「進んでいるとなのね」
「その分進歩する」
 そうなるというのです。
「だからだ」
「いいのね」
「実にな」
 笑顔での言葉でした。
「そうなんだよ」
「これがな」
「全力で走るといいのね」
「そうだが」
 ここでビルが言ってきました。
「いつも全力で走られるか」
「かかしさんや樵さんみたいな身体でないと無理ね」
 アリスはビルにこう答えました。
「オズの国でもね」
「そう、ある程度全力で走り」
 そうしてというのです。
「適度にだ」
「休まないと駄目ね」
「さもないと疲れて動けなくなる、全力で走る場所から離れて」
 時にはというのです。
「そのうえでだよ」
「休むことね」
「アリス嬢は鏡の国でいつも全力で走らなくてはいけない床に出会ったな」
「ええ、変な床だったわ」
 アリスはその床のことを思い出しつつ答えました。
「つくづくね」
「あの床の上にずっといられるか」
「無理よね」
「だからだよ」
 そうであるからだというのです。
「時折休むことも必要だ」
「そうなのね」
「そして休む時は」
「お茶を飲んだり寝たり読書したり」
「他のことをすることだ」
 こう言うのでした。
「他のことを進めてもいいしな」
「そのことがわかったよ」
「我々もな」
 フットマン達も言ってきました。
「時には休むことも必要だ」
「他のことを進めることもな」
「そうよね、例えばお仕事やお勉強ばかりして」
 そうしてと言うアリスでした。
「そればかりじゃ面白くないしね」
「左様、休んでその間色々なことを行う」
「そうすることもいいのだよ」
「では皆さん仲にどうぞ」
「公爵様達がお待ちですぞ」
「それじゃあね」
 アリスがにこりと笑って応えてでした。緑の中に白と黒のチェスの盤と人間位の大きさの駒があるお庭を通ってです。
 一行はビル達にお屋敷の中に案内してもらいました、そのお屋敷の中に入るとすぐに公爵と公爵夫人とお会いしましたが。 
 公爵夫人がとても陽気で優しくてナターシャ達五人は驚きました。
「あんなに怖かったのに」
「不思議の国だとね」
「それがとても優しくて」
「にこにことしていて」
「別人みたいよ」
「私は私です」
 公爵夫人は微笑んで言いました。
「ただ怒らず癇癪を起さない様になっただけです」
「それだけなの」
「それだけでそう変わるんだ」
「そうなんだね」
「読んでいたら凄く怒ってばかりで」
「怖かったけれど」
「そのことを反省しまして」
 それでというのです。
「オズの国では変わったのです」
「あれだけの権幕が嘘みたいだわ」
 アリスも思うことでした。
「本当にね」
「これがオズの国なのね」
 ナターシャも思いました。
「これまでオズの国は何十回も来たから知っているつもりだったけれど」
「かなり詳しいつもりだったよ」
 ジョージも思っていました。
「本当にね」
「それがだね」
 カルロスも言います。
「こうしたことがあるんだね」
「怒りっぽい人も穏やかになる」
 恵梨香の口調はしみじみとしたものでした。
「それがオズの国なのね」
「誰も怒らないでいつも心から笑っている国だからだね」
 神宝はそれでと言いました。
「オズの国は」
「そうです、楽しいこと明るいことばかりなので」
 それでと言う公爵夫人でした。
「私もこの通りになりました」
「妻が明るくなって何よりだよ」
 公爵も言うことでした。
「私も嬉しいよ」
「あなたにもそう言って頂けるので」
 公爵夫人はご主人にも言います。
「嬉しい限りです」
「そうなんだね」
「心から。それで皆さんもう夕方です」
 公爵夫人は今度は時間のお話をしました。
「宜しければ今夜はこの屋敷に一泊して下さい」
「いいのかしら」
 オズマが一行の代表として尋ねました。
「そうしても」
「私達はお邪魔しただけだけれど」 
 ドロシーも言います。
「いいのかしら」
「遠慮は無用ですね」
 公爵夫人はオズの国のこの法律を出しました。
「ですから」
「いいのね」
「私達がお泊りしても」
「お部屋は充分にありますので」 
 そちらはというのです。
「皆さんがお一人一部屋ずつ泊まれます」
「まるでホテルね」
「そうね」
 ベッツィとトロットはそう聞いてこう思いました。
「一人ずつ個室があるなんて」
「凄いわ」
「使用人達も一人一部屋ずつ使っていまして」 
 そしてというのです。
「お客様のお部屋もそれだけあります」
「私達今回大所帯だけれど」
「大丈夫なのね」
「これだけいてもなの」
「一人一部屋なのね」
「僕はドロシーと同じお部屋でいいよ」
 トトはこう言いました。
「だっていつも一緒だからね」
「ええ、旅の時もそうだしね」
 ドロシーはトトに笑顔で応えました。
「それならね」
「同じお部屋で泊まろう」
「そうしましょう」
「僕はベッツィと一緒にいるよ」
 ハンクはベツィを見て言います。
「僕達はいつも一緒だしね」
「ええ、じゃあ一緒にね」
 ベッツィも笑顔で応えました。
「泊まりましょう」
「そうしようね」
「私は今日はトロットといたいわ」
 エリカはトロットの傍に来て言うのでした。
「そんな気分だからね」
「それでなのね」
「一緒に寝ましょう」
「貴女がそう言うならね」 
 トロットも断りませんでした。
「宜しくね」
「それじゃあね」
「僕達は二人で同じ部屋で休もうか」
 モジャボロは弟さんに言いました。
「そうしないかい?」
「いいね、兄弟だから遠慮はいらないしね」
 弟さんも笑顔で応えます。
「それじゃあね」
「同じ部屋で寝よう」
「そうしよう」
「僕はオズマと同じお部屋で寝るよ」
「僕もだよ」
 臆病ライオンと腹ペコタイガーはこう言いました。
「護衛も兼ねているからね」
「オズの国に危険はないけれどね」
「言うなら衛兵としてね」
「一緒にいるよ」
「その言葉有難く受け取らせてもらうわ」
 これがオズマの返事でした。
「それではね」
「うん、宜しくね」
「今夜はね」
「あんたこの前鶏のことを言ってたわね」
 ビリーナは教授に尋ねました。
「そうだったわね」
「先日のことだね」
 教授もまさにと答えます。
「鶏を生物学から見て言っていたよ」
「だったら今夜何かとお話するから」
「それでだね」
「同じお部屋で休みましょう」
「それではね」
「僕達は寝る必要がないから」
 ジャックは公爵夫人にお話しました。
「お部屋も入らなくていいよ」
「お屋敷の何処かで朝まで遊んだりお喋りして過ごすよ」 
 かかしも言ってきます。
「いつもそうしている通りにね」
「だからお部屋は他の誰かが使うといいよ」
 樵も公爵夫人にお話します。
「僕達は使う必要がないからね」
「あたしはずっと踊ってるわ」
 つぎはぎ娘は実際にくるくる踊っています。
「こうしてね」
「まあ適当にやっているわ」
 ガラスの猫は素っ気なく言いました。
「私達はね」
「寝る必要がないとです」 
 大尉はこう言いました。
「別に、ですね」
「ゼンマイがーー切れますーーと」
 チクタク自分の身体のお話をします。
「それでーー止まりますーーし」
「皆さんがそう言われるなら好きにされて下さい」
 公爵夫人は皆の意見を尊重しました。
「私が申し上げることではありません」
「そうしていいの」
「他の人に法律以外のことであれしろこれしろと言ってもです」
 アリスに対して答えます。
「何か意味があるか」
「お家の決まりとかは」
「家訓ですね」
「貴族のお家ならあるけれど」
「家訓は家の者に対してのものです」
 そうだというのです。
「ですから家族以外の人達に意味はありませんので」
「いいのね」
「はい」 
 そうだというのです。
「私は言いません」
「そうなのね」
「はい、貴方達がそうして泊まりたいのなら」
「好きにしていいのね」
「左様です」
「僕は一人で寝るのかな」
 ボタンはふと思いました。
「そうなるのかな」
「では私がご一緒に」 
 ジュリアが微笑んで言ってきました。
「小さなお子さんを一人にする訳にはいきません」
「だからなんだ」
「はい、ご一緒します」
 こう言うのでした。
「私でよければ」
「それじゃあお願いするね」
「それでは」
 二人が決まると残る子達も決まりました、ナターシャと恵梨香はアリスと同じお部屋で寝て神宝とジョージ、カルロスの男三人が同じお部屋でとなりました。
 こうして皆の泊まるお部屋が決まって夕食となりましたが。
 皆まずお屋敷の大浴場男湯と女湯にそれぞれ分かれて案内してもらって入ってからでした、食堂に入りましたがアリスはオムレツを食べて言いました。
「あら、今もね」
「味付けがいいかな」
「ええ、かなりね」
 食堂に控えているシェフに答えました。
「凄くね」
「肉料理と魚料理は胡椒を利かしているよ」
「鱈のムニエルも」
「そうしているよ」
「嬉しいわね」
「私は胡椒をどう使うか」
 このことがというのです。
「いつも考えていてね」
「それでなのね」
「今回の夕食でもだよ」
「考えて作ってくれたのね」
「故障の使い方をね。そしてね」
 それだけでなくというのです。
「他の香辛料、調味料もだよ」
「今はなのね」
「じっくりと考えて」
「使っているのね」
「加減をね」
「火加減もですね」 
 皆と一緒に食べている公爵夫人が言ってきました、怖そうなお顔が今ではとても穏やかです。ご主人は気品がある感じです。まさに十九世紀イギリスの穏やかな貴族といった感じです。
「そうですね」
「はい、勉強しまして」
 シェフは公爵夫人に答えました。
「それで、です」
「そうなりましたね」
「今は」 
 そうだというのです。
「そうなりました」
「何よりですね」
「若しもです」
 それこそと言うシェフでした。
「そうしたことが出来ていませんと」
「お料理は美味しくないですね」
「胡椒だけではありません」
 お料理で大事なものはというのです。
「他の香辛料もそうでして」
「火加減もですね」
「そのメニューごとの」
「左様ですね」
「それに調味料もというのです。
「お塩、お砂糖、お酢、オイル、チーズにバターも」
「全部何処でどう使うかなのね」 
 アリスは今度はドレッシングをたっぷりとかけたサラダを食べつつ言いました。
「大事なのは」
「そうだよ、オイルもだよ」
 こちらもというのです。
「オリーブオイルも使っているしね」
「このサラダのドレッシングにもよね」
「そうしているしね」
「不思議の国にいた頃と違って」
「あの国にいた頃はね」
 それこそというのです。
「わしもまだまだだったよ」
「料理人として?」
「そうだよ」
 その通りだというのです。
「本当にね」
「そうだったのね」
「反省しているよ、メニューの数も増えたしね」
 今はというのです。
「何かと作っているよ」
「だったら」
 ナターシャはそう聞いて言いました。
「イギリス料理以外もかしら」
「フランス料理やフランス料理も作られるよ」
 シェフはナターシャに笑顔で答えました。
「今はね」
「そうなのね」
 アリスが応えます。
「変わったわね」
「だからオリーブオイルも使うんだ」
「イタリア料理で使うから」
「フランス料理でも使うね」 
 オリーブオイルはというのです。
「時として」
「それで使って」
「それでだよ」 
 そのうえでというのです。
「このお屋敷でもいいって言われているよ」
「今の貴方のお料理は」
「そうなっているよ」
 笑顔で言うのでした。
「本当にね」
「それは何よりね」
「それでスパゲティも作る様になっているよ」
「そうなの」
「今回はマカロニだがね」
 見ればマカロニグラタンもあります。
「是非食べてくれ」
「それじゃあそちらも頂くわ」
 アリスは笑顔で応えました。
「マカロニグラタンもね」
「宜しく頼むよ」
「思えばね」
 こうも言ったアリスでした。
「イギリスのお料理も変わったわ」
「そうなのですね」
「ええ、昔は食べるといったら」 
 公爵夫人に答えます。
「もう食べるだけでね」
「味やメニューはですか」
「意識していない感じだったわ」
「そう言われますと」
 公爵夫人も頷きつつ応えました。
「私もでした」
「食べられるとよかったのね」
「プティング等を作ってもらい」
 シェフにというのです。
「後はです」
「食べて終わりね」
「何も思いませんでした」
 そうだったというのです。
「かつての私は」
「昔のイギリスと同じね」
「オートミールだけで充分な時もありました」
「お昼なんかそうだったね」 
 公爵も言います。
「不思議の国にいた頃は」
「そうでしたね」
「量があれば」
 それでというのです。
「もうね」
「よかったですね」
「本当にね」
「それが今では違っていて」
 アリスはまた言いました。
「普通に美味しいものを食べたいわね」
「様々なものを」
「私もよ。カレーなんか大好きよ」
「カレーはいい食べものですね」
「そうよね」
「私も大好きです、後です」 
 公爵夫人はさらに言いました、長方形のテーブルを皆で囲んで食べつつお話しています。その中での言葉です。
「ビーフシチューがです」
「好きなのね」
「よく作ってもらっています」
 シェフを見て言います。
「お野菜を沢山入れてもらい」
「人参や玉葱やジャガイモを」
「お肉だけでなく」
「そうなのね」
「そしてカレーもです」 
「今は好きなのね」
「よく食べています」 
 そうだというのです。
「素敵なお料理ですね」
「ええ、実は皆大好きよ」 
 アリスは今度はキャベツと玉葱とベーコンがそれぞれたっぷりと入ったコンソメスープを食べつつ応えました。
「ここにいる皆がね」
「そうなのですね」
「特に子供達がね」
「僕も好きだよ」 
 ボタンが言ってきました。
「カレーはね」
「おお、それなら丁度いい」 
 シェフはボタンの今の言葉を聞いて言いました。
「明日の朝はカレーだからな」
「そうなんだ」
「しかも甘口にするつもりだよ」
「甘口?」
「ミルクにすった林檎に蜂蜜も入れて」 
 そうしたものをというのです。
「甘口にするよ」
「それは嬉しいね、僕カレーはね」
「甘口が好きか」
「そうなんだ」
 笑顔での返事でした。
「だから嬉しいよ」
「では明日の朝楽しみにしてくれ」
「それじゃあね」
「私も甘口が好きなの」
 アリスもでした。
「カレーはね」
「アリス嬢もかい」
「そうなの、それもミルクや林檎で甘くしてくれるのね」
「蜂蜜も入れるよ」
「そのことも嬉しいわ」
「外の世界だと栄養満点ね」
 ナターシャはその食材達を聞いて言いました。
「凄くね」
「そうね」
 アリスはナターシャの言葉に頷きました。
「言われてみるとね」
「そうよね」
「かなりあって」
 栄養がというのです。
「食べると風邪なんてね」
「吹き飛びそうね」
「他のお野菜もお肉も沢山入ってるし」
「それならね」
「さらにいいわ」
 栄養があるというのです。
「かなりいいわね」
「そうね」
「私も甘口が好きで」
 それでというのです。
「皆好きよ」
「ええ、好きよ」
「甘口のカレーもいいね」
「明日の朝が楽しみだよ」
「今も楽しんでいるけれど」
 恵梨香達四人も言います。
「それならね」
「明日の朝もね」
「楽しみして」
「カレー頂くわ」
「甘口のカレーをね」
「カレーと言っても色々ありますね」
 公爵夫人がパンを食べつつ言ってきました。
「そうですね」
「そうなんですよね」
 ナターシャが応えます。
「実は」
「味もそうですが」
「種類も多いですね」
「鶏肉や豚肉のカレーもあれば」 
 それにというのです。
「野菜カレーやシーフードカレーもあります」
「カツカレーに海老フライカレーも」
「実に多くのカレーがあります」
「そして今はですね」
「甘口のカレーをです」
「頂きますね」
「皆でそうしましょう」
 こう言うのでした。
「楽しくです」
「それでは」
 ナターシャも頷きました、そしてです。
 そのうえで、です。皆でカレーを食べました。そうしてそれぞれのお部屋でぐっすりと寝て翌朝は美味しいイギリス風の朝食を食べまして。
 出発の時にです、公爵夫人はアリスに言いました。
「握手と抱擁をお願いしたいです」
「その両方をなのね」
「はい」
 アリスに微笑んで言います。
「友情の証として」
「それでなのね」
「いいでしょうか」
「お願いするわ」
 アリスも微笑んで応えました。
「宜しくね」
「それでは」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「お茶会でね」
「また会いましょう」
「宜しくね」 
 二人は握手と抱擁を交えてでした。
 そのうえで皆と一緒に先に進みました、旅はさらに続くのでした。








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