『オズのアリス』
第三幕 出発までの間
ナターシャ達五人は王宮でアリス達と一緒に次のお茶会まで過ごすことになりました、五人共遊んで飲んで食べて楽しい時間を過ごしますが。
アリスと一緒にクリケットにテニス、ゴルフ、ラクロスに乗馬、水泳といったものを楽しんでそのうえで言うのでした。
「イギリスってスポーツ多いわね」
「何かとね」
「陸上競技やフェシングもあるし」
「スキーやカヌーだってするし」
「本当に多いわね」
「イギリス人はスポーツ好きな人が多いの」
アリスは五人と一緒にテニスをした後で答えます、五人共今は王宮のテニスコートでテニスウェア姿でいます。
「それで楽しむスポーツもなの」
「多いのね」
「サッカーで有名だけれど」
「それとラグビーだね」
「そうしたスポーツが有名だけれど」
「他にもあるのね」
「色々楽しんでいるのね」
「そうなの、ただね」
アリスは五人に少し真面目なお顔でお話しました。
「スポーツマンシップは守らないとね」
「駄目よね」
「そういえば僕達の学校のイギリスの子達も言うよ」
「スポーツマンシップは守らないとって」
「それも絶対に」
「そうね」
「そう、スポーツは楽しんで」
そしてというのです。
「絶対にね」
「スポーツマンシップは守る」
「礼儀正しくマナーを守る」
「悪いことはしない」
「お互いを尊重する」
「正しく楽しむのね」
「そうしないとね」
それこそというのです。
「駄目なのよ」
「その通りよ、スポーツマンシップは大事よ」
一緒に楽しんでいるドロシーも言います、勿論この娘もテニスウェアを着ていてその手にはラケットがあります。
「スポーツをするならね」
「そうよね」
「イギリスの人達がそのことを守っているなら」
アリスに微笑んでお話します。
「それだけね」
「いいことね」
「凄くね」
「その通りですね」
ナターシャも確かにと頷きました。
「スポーツをするならです」
「スポーツマンシップは絶対ですし」
神宝も言います。
「守らないといけないですね」
「ルールがあって礼儀作法もあります」
ジョージも言いました。
「そうしたことはちゃんと守らないと」
「ルールや礼儀作法を無視したら」
カルロスはそうした場合のことを考えました。
「大変ですよ」
「もう無茶苦茶になって」
それでと言う恵梨香です。
「どうしようもないですね」
「そうなるからよ」
ドロシーはそれでとお話しました。
「ちゃんとね」
「スポーツマンシップを守る」
「ちゃんとですね」
「それも絶対に」
「そうしてですね」
「楽しむことですね」
「そうすることよ」
こう言うのでした、そしてです。
皆でテニスを楽しんでそれからです、前に約束していた通りに兎の時計屋に行きました。すると多くの時計がお店のあちこちにありまして。
チクタクという音が聴こえる様です、兎はお店のカウンターにいますが。
何とお店の中の椅子にボタン=ブライトがいます、それでナターシャは言いました。
「今回も急に出て来たわね」
「お店に入ったらいたんだ」
兎はナターシャに答えました。
「お店の奥と二階がお家だけれどね」
「そうなのね」
「さあ開店しようとお店に入ったら」
その時にです。
「いたんだ」
「この子らしいわね」
「噂には聞いていたよ」
落ち着いてお話する兎でした。
「けれどね」
「お店に来たのははじめてなのね」
「寝ている間にね」
まさにその間にです。
「この子は何処かに行くことがあるんだね」
「それが何時かはわからないんだ」
ドロシーもいてその足元にいつも通りいるトトが応えました。
「ボタンはね」
「不思議な子だね」
「もうね」
それこそというのです。
「オズの国の中でも特にね」
「不思議な子だね」
「そのうちの一人だよ」
そうだというのです。
「本当にね。普通の男の子だけれど」
「寝ている間に何処かに行くことがあるんだね」
「もうね」
「それが何時何処かはだね」
「わからないんだ」
「そして今もなんだね」
「このお店の中に出たんだ」
こう兎にお話します。
「彼はね」
「聞いていたけれど本当に不思議だよ」
兎はしみじみとして言いました。
「面白いね」
「面白いのね」
「うん、面白いよ」
ナターシャに笑って答えました。
「こうした子がいるなんてね」
「オズの国は不思議で一杯でね」
「あちこちに不思議があるね」
「そうした国だから」
「こうした子もいるね」
「そうなの、それで今回前に貴方とアリスがお話してたでしょ」
「王宮でね」
兎から言いました。
「時計屋さんをやっているって」
「それでお邪魔したの」
「それで時計を見てくれるかな」
「買ってもいいかしら」
「是非ね、オズの国はお金はないけれど」
「喜びがお金になっているわ」
ナターシャは微笑んで言いました。
「そうよね」
「外の世界で言うね」
「それで喜びをなのね」
「支払ってもらうよ、ではね」
「ええ、何か買わせてもらうわ」
「そうしてね、そして」
兎はナターシャの言葉に頷きつつさらに言いました。
「ボタン=ブライトをどうするか」
「これからね」
「別にこのまま寝ていてもいいけれどね」
兎の考えはそうでした。
「お客さんも別に困っていないし」
「寝ているだけだから」
「すやすやとね」
その様にというのです。
「それだけだからね」
「この子はそうよ」
ドロシーもボタンを見てお話します。
「いつもね」
「寝ている時は静かですね」
「起きても別にね」
これといってです。
「大人しい子よ」
「そう聞いていますが」
「実際にね」
「大人しいんですね」
「ただ寝ていると何時何処に移動するかわからないだけで」
それだけでというのだ。
「オズの国の扉の傍で寝ていることもあるけれど」
「外の世界のですか」
「その時も起きたら」
その時はというのです。
「すぐに戻って来るから」
「扉を通って」
「それで戻って来るし」
オズの国にというのです。
「別にね」
「困ったところはないですね」
「人畜無害よ」
そうだというのです。
「だからね」
「安心していいですね」
「このままでもね」
「それでは」
「じゃあ起こすわね」
アリスが言ってきました。
「これから」
「そうするんだね」
「この子とお話したいし」
そう思ってというのです。
「これからね」
「それではね」
「起こすわね」
こうしてでした。
アリスは椅子に座ってすやすやと寝ているボタンのところに来て声をかけました、すると彼は左手で左目をこすって起きました。
「もう朝かな」
「お昼近いわよ」
ドロシーが言いました。
「もうね」
「そうなんだ」
「十時半だからね」
「昨日九時に寝たけれど」
「物凄く寝たわね」
ドロシーは少し驚きました。
「九時に寝て十時半って」
「そうだよね」
「貴方よく寝るけれど」
「今日は特別に寝たよ」
「それじゃあすっきりしたかしら」
「凄くね」
今度は両手で背伸びしつつ言います。
「気持ちいい位だよ」
「それは何よりね」
「それでここは何処かな」
ボタンはお店の中を見回して言いました。
「ドロシーもトトもナターシャ達もいるけれど」
「エメラルドの都の時計屋だよ」
兎が微笑んで答えました。
「私が経営していて時計職人でもあるね」
「そうなんだ」
「それでこのお店にどうして来たか」
「わかんなーーい」
これがボタンの返事でした。
「どうもね」
「聞いた通りだね」
兎はうんうんと頷いて言いました。
「君は寝ている間に移動するね」
「そんな時があるんだ」
「それで何処に行くかもわからないね」
「そうなんだ」
「本当に不思議ね」
アリスもお話を聞いて思いました。
「こんな子がいるのね」
「そういう君は誰かな」
「アリスよ」
ボタンに対しても礼儀正しくお辞儀をして答えました。
「宜しくね」
「こっちことね、僕はボタン=ブライトだよ」
「貴方もオズの国の住人なのね」
「そうだよ、いつも楽しく暮らしているよ」
ボタンは笑顔で言葉を返しました。
「凄くね」
「それはいいことね」
「うん、ただね」
「ただ?」
「僕お家は何処かって聞かれるとね」
そうされると、というのです。
「知らないから」
「わからないのね」
「家族もね」
その人達もというのです。
「知らないから」
「そうなのね」
「わかんなーーいなんだ」
こう言うのでした。
「僕はね」
「そのことも不思議ね」
「けれど気付いたらそうだから」
「貴方が生まれてから」
「うん、生まれた時の記憶はなくて」
そうであってというのです。
「気付いたらこの姿で服なんだ」
「水兵さんの服ね」
「大好きだよ」
今度はにこりと笑って言いました。
「水兵の服がね」
「よく似合ってるわ」
「有り難う、それで君達これから何をするのかな」
「これから時計を買うの」
「その後は?」
ボタンはさらに尋ねました。
「何をするのかな」
「お茶会に行くまで皆で王宮で楽しく過ごすわ」
「お茶会?」
「そう、不思議の森と鏡の森の二つの森の王宮で行われる」
「あのチェシャ猫やジャバフォークがいる」
「その森でなの」
「面白そうだね、よかったら」
それならと言うボタンでした。
「僕も行っていいかな」
「お茶会になの」
「その時まで寝ている間に何処かに行かなかったら」
それならというのです。
「一緒に行っていいかな」
「いいわよ」
ドロシーは笑顔で答えました。
「それじゃあね」
「僕もだね」
「一緒に行きましょう」
こうボタンに言いました。
「そうしましょう、それでね」
「それで?」
「面白いお茶会になりそうだから」
それでというのです。
「皆でね」
「行くんだ」
「今王宮にいる皆でね」
「それはいいことです」
兎はドロシーの今の言葉に笑顔で応えました。
「それではです」
「皆で行きましょう」
「はい、大勢で賑やかに」
「皆で行ってね」
「皆で楽しみますね」
「そうしましょう」
「いいことです、皆さんが来られるなら」
兎はそれならと言いました。
「必ずです」
「素敵なお茶会になるわね」
「最高に楽しい。かつです」
兎はさらに言いました。
「礼儀正しい」
「私達がそうだから」
「お茶会は楽しくです」
「礼儀正しくよね」
「その様に行われるべきですね」
「上品にね」
「それが皆さんならです」
ドロシーを通じて王宮にいるオズの国の名士達を思い出します、誰もが礼儀作法を守る面々であることはオズの国なら誰もが知っていることです。
「安心です、むしろ」
「むしろ?」
「オズの国の国家元首が来られるので」
お茶会にというのです。
「これはです」
「凄くいいことだっていうのね」
「はい」
そうだというのです。
「実に」
「そうなのね」
「オズマ姫が来られるとなると」
オズの国家元首の彼女がというのです。
「これ以上はないことです」
「オズマもそう言ってくれたら喜ぶわ」
「そしてドロシー王女も」
「私もなの」
「オズの国の第二王女であられ」
第一王女は言うまでもなくオズマです。
「首相であられる方なので」
「だからなので」
「他の皆さんも来られるので」
だからだというのです。
「王様女王様も喜ばれます」
「事前に連絡してくれるかしら」
「勿論です」
一も二もない返事でした。
「それでは」
「すぐにさせて頂きます」
「それでだけれど」
今度はアリスが言います。
「途中の旅もね」
「面白くなりそうだね」
「皆が来てくれるのなら」
兎に笑顔で応えます。
「これ以上はないまでにね」
「素晴らしい道中になるよ」
「そうよね」
「そして」
それでというのです。
「その時までは」
「皆で遊びましょう」
「そうしようね」
兎は笑顔で応えました、アリスはその笑顔を見て思いました。
「貴方凄く素敵な笑顔を浮かべるのね」
「そうかな」
「ええ、そのことに気付いたわ」
今そうなったというのです。
「私もね」
「そうなんだ」
「笑顔が素敵な人はいい人だってね」
「言うね」
「だから貴方もね」
「素敵なのかな」
「そうなるわ」
確かな声での言葉でした。
「それならね」
「そうなんだね」
「だからね」
それでというのです。
「私は素敵なお友達が出来たのね」
「いや、それを言うとだよ」
兎はそれならと返しました。
「私もだよ」
「素敵なお友達を得たの」
「アリス嬢の笑顔はとても奇麗だからね」
そうであるからだというのです。
「私はとても心が奇麗なレディーを友達に持てたよ」
「そうなるのね」
「そうだよ、凄く嬉しいよ」
笑顔で言うのでした。
「私もね」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのです。
「嬉しいよ、これまで気付かなかったけれどね」
「貴方もなの」
「アリス嬢が素敵なレディーだとね」
このことにというのです。
「気付かなかったけれど、気付いたから」
「嬉しいのね」
「これから一緒にお茶会に行くと思うと」
それならというのです。
「さらにね」
「幸せなのね」
「そうだよ、だから一緒にね」
是非にというのです。
「お茶会に行こうね」
「それではね」
アリスはそのとても奇麗な笑顔で応えました、そして一行はボタンを連れて王宮に戻りました。その時はお昼ご飯の時間でした。
それで皆でご飯を食べますがボタンはお昼ご飯のボルシチや羊の串焼き、ピロシキ、ロシア風のサラダにお魚のフライを食べて言いました。
「これって確か」
「そうなの、私の好きなお料理なの」
ナターシャが答えました。
「ロシアでよく食べてるの」
「どれもなんだ」
「これもね」
黒パンに小さな魚の卵と玉葱を細かく刻んだものを卵で和えたものを乗せてそのうえで食べつつお話します。
「そうなの」
「そうなんだね」
「美味しいかしら」
「どれもね、今ナターシャが食べている黒いパンにお魚の卵乗せたのも」
こちらもというのです。
「美味しいよ」
「これはキャビアっていうのよ」
ナターシャはにこりと笑って答えました。
「ロシアではお魚の卵をこうして食べるの」
「パンの上に乗せてなんだ」
「玉ねぎを刻んだものと一緒に卵で和えてね」
そのうえでというのです。
「食べるのよ」
「そうするんだね」
「これが凄く美味しくて」
それでというのです。
「ロシアではよく食べてね」
「ナターシャも好きなんだね」
「ええ、お魚の卵は何でもキャビアって言うのよ」
「そうなんだ」
「よくチョウザメの卵が言われるけれど」
キャビアと、というのです。
「鮭でも鱈でもね」
「お魚の卵ならだね」
「キャビアなのよ」
「それでこうして食べるんだ」
「そうなのよ」
「日本だと鮭はイクラで鱈はタラコで」
恵梨香が言いました。
「ご飯に乗せて食べるけれど」
「元々はロシアでパンに乗せていて食べていて」
それでと言うカルロスです。
「日本じゃそうなったんだよね」
「それでキャビアはチョウザメの卵だけじゃないんだよね」
ジョージはこう言いました。
「ロシアだとね」
「そのことを聞いて最初は驚いたよ」
神宝はそうだったとお話します。
「ロシアではそうなんだって」
「オズの国ではキャビアも食べるけれど」
それでもと言うオズマです。
「チョウザメのものを言うことが多いわね」
「そうよね、ちょっとね」
ベッツィはピロシキを食べつつ言います。
「他のお魚の卵は言わないわね」
「黒パンに乗せて食べることも少ないわ」
こう言ったのはトロットです、サラダを食べています。
「白パンよね」
「私達もそうよね」
「皆白パンを食べているわ」
「キャビアを乗せるにしてもね」
「そうよね」
「黒パンを食べるよりもご飯を食べる方が多いかしら」
「和食や中華料理でね」
そうしたお料理を食べる時にというのです。
「インド料理の時もそうだし」
「インド料理だとナンも食べるわね」
「ナンもパンよね」
「インドのね」
「黒パンを食べることは」
アリスが言いました。
「かなり珍しいわ」
「君はそうなんだね」
「ええ、こうして食べるなんて」
モジャボロに黒パンにキャビアを乗せてお話します。
「何時以来かしら」
「そんなにないんだ」
「イギリスだとこうして食べないから」
パンをというのです。
「お魚の卵もね」
「黒パンもでだね」
「ええ」
そうだというのです。
「パンは白パンよ」
「そちらだね」
「それかオートミールよ」
このお料理だというのです。
「朝はよく食べるわ」
「ああ、オートミールはね」
弟さんが応えました、兄弟で一緒にボルシチを楽しんでいます。見れば独特の赤紫の色のシチューです。
「僕達もよく食べるよ」
「オズの国でもなのね」
「うん、そうなんだ」
「じゃあオートミールも楽しみにしているわ」
「それではね」
「オートミールも大好きだよ」
腹ペコタイガーは羊の串焼き、それこそシェラスコみたいに大きなお肉を刺して焼いているものを食べつつ言いました。
「僕はね」
「確かに君オートミールも好きだね」
お魚のフライをどんどん食べている臆病ライオンが応えました。
「他のものもだけれど」
「朝に出るとね」
「大喜びだね」
「そうなんだ」
「ええ、朝に出たら」
アリスがまた言います。
「嬉しいわ」
「お昼や夜はどうなの?」
エリカはお魚のフライを食べつつ尋ねました。
「それで」
「お昼も夜も嬉しいわ」
アリスはにこりと笑って答えました。
「オートミールはね」
「そうなのね」
「それでミルクティーがあれば」
「そこでもミルクティーね」
「嬉しいわ」
そうだというのです。
「満足する位にね」
「あんた本当にミルクティー好きね」
ビリーナも思うことでした、見れば黒パンをついばんで食べています。
「聞いていると」
「一番好きかしらね」
こうビリーナに答えました。
「飲みものの中で」
「やっぱりそうなのね」
「毎日いつも飲んでいるから」
だからだというのです。
「外せないわ」
「決して」
「そう、決してね」
「それで今も飲みものはそちらだね」
キャプテンは笑顔で言いました、この人が飲んでいるのはウォッカです。
「ミルクティーだね」
「どのお料理を食べる時もね」
「ミルクティーだね」
「絶対にね」
「そこまで好きだから」
ハンクはしみじみとして言いました。
「飽きないんだね」
「飽きるなんて」
それこそと返すアリスでした。
「パンに飽きないでしょ」
「僕だと馬草だね」
「お水にも飽きないわね」
「飽きる筈がないよ」
それこそというのです。
「絶対にね」
「それと同じでね」
「アリスはミルクティーに飽きないんだね」
「そうなのよ」
「そういうことだね」
「お茶とミルクは身体いいのだから」
それでと言う教授でした。
「どんどん飲んでいいよ」
「栄養があるのね」
「そう、しかも美味しいから」
そうでもあってというのです。
「心の栄養にもなるのだよ」
「ミルクティーはいいことばかりね」
「そうした飲みものだよ」
「外の世界でも」
「勿論、どんどん飲むことだよ」
「それではね」
アリスはそれならと頷きました。
「頂くわね」
「そうするといい」
「何か楽しくなってきたわ」
つぎはぎ娘は自分の席に座ったまま踊りはじめました。
「踊りたくなったわ」
「何を踊るのかな」
ジャックが尋ねます、今回も食べる必要のない人達もそれぞれの席に座っています。そのうえで皆が食べて楽しむのを見ています。
「今回は」
「そうね、バレエかしら」
つぎはぎ娘は少し考えてから答えました。
「今回は」
「そちらなんだね」
「それがいいわね」
「そういえばあんたバレエも好きね」
ガラスの猫が言ってきました。
「色々な音楽が好きで」
「今日の午前中はヒップホップを踊ったけれど」
「今度はバレエね」
「そちらを踊りたいわ」
「君のダンスは凄いからね」
樵が笑顔で言ってきました。
「だからね」
「楽しみなのね」
「そうだよ」
樵はつぎはぎ娘に答えました。
「凄くね」
「じゃあ踊らせてもらうわね」
「これからね」
「それで音楽は何かな」
かかしはそちらを尋ねました。
「一体」
「バレエの曲ね」
「うん、どの曲を踊るのかな」
「アイーダがいいかしら」
つぎはぎ娘は言いました。
「アイーダってバレエあるでしょ」
「大行進曲の後だね」
「物凄く派手な音楽でしょ」
「聴いていて心が弾むね」
「あちらにするわ」
「じゃあすぐに音楽をかけよう」
トトはピロシキを食べるのを一時止めて言ってきました。
「そうしよう」
「ええ、ではかけてね」
「CDを出してね」
「オズの国にもCDがあるのね」
アリスはトト達のやり取りを聞いてこのことを知りました。
「そうなのね」
「外の世界と同じよ」
ドロシーはにこりと笑って答えました。
「そのことはね」
「それで音楽が聴けるのね」
「いつもね、レコードもあるしね」
「あちらもなのね」
「今もあるわよ」
オズの国ではというのです。
「そうなのよ」
「それで今回はCDなのね」
「それで聴けるし」
「つぎはぎ娘も踊るのね」
「そうなのよ」
ドロシーは黒パンとキャビアを一緒に食べつつ答えました。
「楽しみにしていてね」
「それじゃあね」
「踊るわよ」
つぎはぎ娘はトトがかけた音楽に乗ってそのうえでバレエを踊りはじめました、するとぬいぐるみの身体を活かしてです。
ぴょんぴょんと物凄く弾んで踊ります、人間ではとても無理な動きを自由自在にやってみせてです。
見事に踊ります、音感も凄くて。
「凄いわ」
「そうね」
ナターシャもアリスも思わず唸りました。
「こんなバレエはじめてよ」
「これがつぎはぎ娘のダンスなの」
ナターシャはつぎはぎ娘にお話しました。
「凄いでしょ」
「ぬいぐるみの身体を使って踊るのね」
「だから関節もなくてね」
「骨もなくて」
「もう自由自在に動けて」
身体がというのです。
「疲れもしないから」
「ぬいぐるみの身体だから」
「全くね」
それこそというのです。
「疲れなくてね」
「それで飛び跳ねも出来るのね」
「人間だと無茶な動きもね」
それもというのです。
「出来るのよ」
「そんな身体の人もいるのね」
「オズの国ではね」
「あたしの身体は最高よ」
踊り終えたつぎはぎ娘が言ってきました。
「自由自在に動けて飛び跳ねられて疲れない」
「本当に凄い身体ね」
「飲んで食べて寝る必要もないのよ」
「貴女夜も起きているの」
「そうよ」
その通りだというのです。
「オズの国にはそうした人達もいるのよ」
「私も然りです」
大尉が言ってきました。
「ブリキや藁、ぬいぐるみや木やガラスの身体ならです」
「そうしたことをする必要がないのね」
「実に快適です」
大尉は笑ってお話しました。
「これ以上はないまでに」
「そうーーですーーただ」
このお昼にバド王の国から帰ってきたチクタクが言ってきました。
「私はーーゼンマイをーー巻いてーーもらって」
「動くのね」
「はい」
アリスにそうだと答えます。
「私ーーは」
「そうした身体の人もいるのね」
「外のーー世界ではーーロボットーーです」
そうなるというのです。
「私ーーは」
「ゴーレムにもなるかな」
ジャックは少し考えて思いました。
「僕達って」
「私は猫よ」
ガラスの猫はこう言いました。
「紛れもなくね」
「猫の心を持っているからだね」
「外見も猫でしょ」
「身体が生身かガラスかの差だね」
「その違いだけでね」
「君は猫だね」
「大体ロボットでもね」
そうであってもというのです。
「人の心があったらね」
「人間だね」
「そうなるわよ」
「それじゃあ機械の身体でも」
アリスはそれでもと言いました。
「それでロボットでも心が人間なら」
「人間よ」
ガラスの猫はきっぱりと言いました。
「だからこここにいる色々な身体の人達もよ」
「人間なのね」
「そうよ、何がどう違うのよ」
「そう言われたら」
アリスも否定出来ませんでした。
「人間ね」
「そうでしょ」
「じゃあお肌や髪の毛や目の色が違っても」
「人間よ」
そうだというのです。
「只の個性の違いでしょ」
「外見のなのね」
「何がどう違うのか」
それこそというのです。
「そうでしょ」
「猫だって色々な毛の猫がいるけれど」
エリカはそれでもと言いました。
「別にね」
「違わないわね」
「白猫と黒猫は違うかしら」
「全く違わないわ」
アリスはないと答えました。
「毛色が違うだけで中身はね」
「性格が違ってもね」
「猫は猫よ」
「だから身体が違ってもね」
エリカも言うことでした。
「人間もよ」
「人間ね」
「例え身体が卵でもトランプでもね」
「人間なのね」
「そうなるわ」
「オズの国は色々な種族の人がいるのよ」
国家元首であるオズマが一番よく知っていることです。
「エルフもドワーフもノームもホビットもね」
「皆いるの」
「リザードマンもね、人魚だっているわよ」
「皆同じなのね」
「オズの国の市民よ」
そうなっているというのです。
「何も違わないね」
「種族が違っても」
「人間と同じよ」
そうだというのです。
「全くね」
「そうなのね、私凄いことを学ばせてもらったわ」
「心が人間なら人間ね」
「姿形や種族の問題ではないことが」
人間が人間である条件はというのです。
「違いがないこともね」
「わかったのね」
「そうなったわ、オズの国に来てよかったわ」
笑顔での言葉でした。
「美味しいものも食べられて」
「今こうして」
「それと共にね」
「そうなのね」
「嬉しいわ」
心から言うのでした。
「これからも学ばせて欲しいわ」
「別にお肌や髪の毛や目の糸の違いなんて」
ナターシャも言います。
「何なのかしら」
「違わないわね」
「そうしたものにこだわると」
ボルシチを食べつつ言います。
「何もわからなくなるわね」
「なるわね」
実際にとです、アリスは頷きました。
「物凄く些細なことだから」
「私は外の世界では日本の学校で教わったの」
「日本に来て」
「幼稚園から留学していて」
そうしていてというのです。
「そのうえでね」
「教えてもらったの」
「そうなの」
アリスにお話します。
「貴女は」
「そう、そしてね」
それでというのです。
「人を見るのはね」
「中身ね」
「そうする様に心掛けているわ」
「いいことね、そういえば」
アリスはナターシャのお話を受けて考えるお顔になって言いました。
「私がこれまで行った国は」
「不思議の国も鏡の国も」
「色々な人がいたし生きものもね」
「色々だったわね」
「ドードー鳥だっていたし」
「しかも喋ったわね」
「人間の言葉をね」
「そのことを思い出したら」
それこそです。
「人間のお肌や髪の毛の違いなんて」
「何でもないわね」
「そうよ、大体ね」
「大体?」
「実はイギリスから外国に来た子で」
そうした子供達でというのです。
「私達よりずっと凄い子だってね」
「いるのね」
「大勢ね、お肌の色が違っても」
それでもというのです。
「そうだしね」
「人は中身ね」
「心がどうかよ」
「本当にそうね」
かかし達を見てお話します、そうしてでした。
皆でお昼を楽しみました、皆で楽しい時間を過ごしてそのうえで森に行く時を待つのでした。そしてその時が来たのでした。