『オズのアリス』
第二幕 戻って来た兎
アリスは皆と一緒にティ―タイムを楽しみました、それが終わってからつぎはぎ娘が彼女に尋ねました。
「それであんたこれからどうするの?」
「それが。これまでは歩くままに進んでいって」
アリスはこう答えました。
「予定がなくね」
「やっていったの」
「こうした世界に来たら」
その時はというのです。
「不思議の国でも鏡の国でもね」
「そうだったのね」
「だからね」
それでというのです。
「今回もね」
「予定ないのね」
「そうなの」
「それじゃあここにいる?」
つぎはぎ娘はアリスに明るく提案しました。
「暫くね」
「この宮殿に?」
「そうして遊ばない?」
「貴方達と」
「そう、明るく楽しくね」
そうしたというのです。
「遊ばない?」
「そうするのね」
「何かあんたも色々冒険してきたのよね」
「ええ」
そうだとです、アリスは答えました。
「二つの世界でね」
「だったらねまたよ」
「冒険に出るの」
「そうなるわよ、巡り合わせでね」
「それでそれまではなのね」
「一緒に遊びましょう」
宮殿の中でというのです。
「そうしましょう」
「それがいいわね」
オズマも言ってきました。
「今はね」
「ここにお邪魔していいのね」
「いいわよ」
アリスに宮殿の主として答えます。
「貴女がそうしたいなら」
「そう言ってくれるの」
「ええ、それでどうするのかしら」
「それなら。本当に予定はないし」
これからどうするか決まっていないからだというのです。
「それならね」
「ええ、こちらでね」
「楽しくね」
「遊びましょう」
こうしてアリスは暫く宮殿にいることになりました、そうして皆でまずはクリケットをしましたが。
アリスと同じく宮殿にいることになったナターシャ達五人はクリケットをする中でこんなことを言いました。
「イギリスのスポーツよね」
「うん、クリケットってね」
「日本だとあまりしないね」
「学校でもそうだね」
「イギリスの子達はやるけれど」
「そうみたいね、イギリスではよくやっても」
アリスは五人と一緒にクリケットをしつつ応えました。
「他の国ではそうじゃないわね」
「イギリスのスポーツは色々あってね」
「サッカーやラグビーをして」
「あとラクロスだね」
「他にはテニスもだよ」
「色々しているけれど」
「クリケットはあまりなのね。けれどイギリスではよくやるの」
アリスはイギリス人として言います。
「結構ね」
「そうなのね」
「それでアリスもするのね」
「僕達の中で一番上手だし」
「ルールも詳しいね」
「ちゃんとしてるね」
「イッツノットクリケット」
ここでこう言ったアリスでした。
「よく言われるわ」
「ええと、どういう意味だったかしら」
そう聞いて首を傾げさせたナターシャでした。
「それって」
「学校で聞いたことあったかな」
ジョージはこう言いました。
「その言葉は」
「どういう意味だったかな」
神宝もどうだったかなとなっています。
「一体」
「イギリスの子が言ってたかな」
カルロスの記憶も曖昧な感じです。
「その言葉は」
「それはクリケットじゃない」
恵梨香は日本語に訳して言いました。
「スポーツマンシップのことかしら」
「そう、スポーツマンシップに反しているって意味なの」
まさにと言うアリスでした。
「クリケットはスポーツマンシップの象徴だから」
「やっぱりそういう意味だったのね」
「スポーツマンシップは守らないとね」
「スポーツをするなら」
「それでそう言うんだ」
「イギリスだとそうなのね」
「そうなの、凄くいい言葉だと思うから」
それでと言うアリスです。
「その通りにしていきましょう」
「スポーツマンシップは守らないとね」
臆病ライオンも思うことでした。
「絶対に」
「そう、スポーツをやるならね」
腹ペコタイガーも言います。
「スポーツマンシップは守る」
「絶対にね」
「明るく楽しくやって」
「そして礼儀正しく」
「紳士としてね」
「そしてレディーとして」
「そうよ、若し守らないなら」
スポーツマンシップをとです、アリスはまた言いました。
「スポーツはやったら駄目よ」
「全くだね」
トトも完全に同意することでした、生きものも皆もゲームに参加して一緒にクリケットを楽しんでいます。
「最初からね」
「そう、そしてね」
「そして?」
「上手に出来ないからって」
スポーツがというのです。
「八つ当たりしたり暴力を振るうなんてね」
「そんなの駄目に決まってるでしょ」
エリカが言ってきました。
「教えてもね」
「そうよね」
「外の世界じゃいるみたいね」
「そんな人もいるのよ」
アリスは眉を曇らせて答えました。
「世の中にはね」
「そうよね」
「そして」
そうであってというのです。
「物凄く酷いこともするわ」
「暴力を振るったり」
「私は暴力は絶対に駄目だって教えられているから」
アリスはです。
「それでね」
「スポーツをしていてそんなことはしないわね」
「何があってもね」
「というかスポーツはルールを守って紳士レディーとして楽しむもので」
それでと言うトトです。
「出来ないからって暴力振るったら駄目よね」
「絶対にね」
「全くだね」
「オズの国ではそんなことはないですね」
「ええ、オズの国に暴力はないわ」
オズマが答えました。
「だから安心してね」
「よかったです」
「ええ、それと口調は砕けていいわ」
オズマはアリスにこうも言いました。
「私達の間ではね」
「そうですか」
「ええ、お友達だからね」
それでというのです。
「気にしないで」
「それじゃあ」
こうしてアリスは普通の口調でお話することになりました、そしてです。
皆でクリケットを楽しんでそれからお風呂に入って晩ご飯を食べました。晩ご飯はカレーライスでした。
キャプテンはそのカレーを食べつつ笑顔で言いました。
「やっぱりカレーはいいね」
「凄く美味しいわ」
笑顔で応えるアリスでした。
「このカレーは」
「気に入ってくれたんだ」
「凄くね」
笑顔での返事でした。
「私カレー好きだけれど」
「好きなんだ」
「大好きなの」
こうキャプテンに答えます。
「実は」
「そうなんだね」
「だからね」
それでというのです。
「晩ご飯カレーで凄く嬉しいわ」
「それはよかったね」
「本当によく食べるわ」
「カレーがあれば」
それならと言うドロシーです。
「他に何もいらない位ね」
「カレーには色々なものが入っているから」
「だからね」
それでというのです。
「カレーがあれば」
「もうこれだけで食べられるわ」
「お野菜が入っていて」
今食べているカレーにも人参や玉葱、ジャガイモにピーマンにアスパラガスに茄子にと色々入っています。
「お肉もね」
「入っているから」
「だからよ」
「カレーがあったらね」
「充分よ」
「そうよね」
「そして」
そうであってというのです。
「沢山食べられるから」
「さらにいいわね」
「カレーはね」
まさにというのです。
「凄くいい食べものよ、けれどね」
「けれど?」
「カンサスにいた時はね」
その頃はといいますと。
「食べたことがなかったの」
「そうだったの」
「カレーがあることを知らなくて」
そうであってというのです。
「ライスを食べたこともね」
「なかったの?」
「パンやオートーミールやジャガイモを食べていて」
カンサスにいた頃はです。
「お野菜とね」
「それでライスはなかったの」
「ええ」
そうだったというのです。
「殆どね」
「今こうしてカレーライスを食べていても」
「それでもね」
そうであってもというのです。
「カンサスにいた頃は」
「なかったのね」
「オズの国に来てからなの」
ドロシーがカレーライスを食べる様になったのはというのです。
「それから暫くしてからよ」
「そうだったね、カンサスではお米作っていなかったし」
トトも言います。
「カレーライスなんてレシピ自体をだよ」
「知らなかったわね」
「名前すらもね」
「そうだったわね」
「今と全然違うよ」
トトはこうも言いました。
「暮らしがね」
「その通りだったわね」
「けれどね」
それでもと言うのでした。
「懐かしいね」
「カンサスもね」
「大平原の真ん中にお家があって」
「そこでおじさんおばさんと暮らしていたわね」
「貧しくて何もなかったけれど」
「懐かしいわ」
ドロシーは微笑んで言いました。
「あの頃もね」
「そうだね」
「カンサスのことはよく知らないけれど」
それでもと言うアリスでした。
「決して悪いところじゃないのね」
「私達にとってはね」
ドロシーはにこりと笑って答えました。
「そうなのよ」
「成程ね、私にとってはイギリスね」
「貴女のお家がある」
「不思議な場所を巡っても」
そうしてもというのです。
「一番落ち着いて好きな場所は」
「お家ね」
「そうなの」
微笑んでお話します。
「チェシャ猫やハンプティダンプティやトランプの兵隊さん達にお会いしても」
「ハンプティダンプティっていうと」
ジャックはその名前を聞いて言いました。
「あの丸い卵みたいな身体の」
「彼ですね」
大尉が応えます、食べる必要のない人達も一緒にいるのです。
「マンチキンの森にいる」
「チャシャ猫もですね」
「芋虫もドードー鳥も」
「王様女王様も」
「あら、皆いるのね」
アリスは二人のお話を聞いて笑顔で応えました。
「あの人達が」
「ジャバウォークやバンダースナッチもいるよ」
かかしも言ってきました。
「スナークもね」
「あの森は二つ連なっているね」
樵も言います。
「不思議の森、鏡の森だね」
「二つの国がそのままあるの?」
「アリスの見方じゃそうなるね」
かかしはそうだと答えました。
「言うなら」
「そうだね」
樵はかかしの言葉に頷きました。
「言うなら」
「そうなのね、だったら」
アリスはそのお話を聞いて言いました。
「是非ね」
「行きたいね、その森に」
「そう思うね」
「ええ」
アリスは笑顔で答えました。
「機会があるなら」
「その機会は来るわよ」
ガラスの猫が言ってきました。
「きっとね」
「そうなるの」
「オズの国は機会が来る国だからね」
「機会が自分の方から来るの」
「そうよ、待っていてもね」
自分達がというのです。
「そうしてくるのよ」
「だから私もなのね」
「きっとよ」
「二つの森に行くのね」
「そうなるわよ」
「皆がいるのね」
アリスは懐かしむ様に言いました。
「二つの国の」
「あの森はいい森だよ」
晩ご飯の時から宮殿に来ているムシノスケ教授が言ってきました。
「面白いよ」
「だから行くことが出来たらね」
ハンクも嬉しそうに言います。
「行きたいね」
「じっくり見て回りたいものだ」
「そうだよね」
「何度も学ぶこともいいものだよ」
「一度でなくて」
「学んで時にそれを習う」
教授はカレーを食べつつこの言葉を出しました。
「それがだよ」
「学問だね」
「だからだよ」
そうであるからだというのです。
「二つの森には以前行ったことがあるけれど」
「これからもだね」
「行きたいよ」
こう言うのでした。
「本当にね」
「そう思うね」
「私もね」
この言葉と共に牛乳を飲みました、それからまた言います。
「チェシャ猫君ともお話をしたいよ」
「彼とだね」
「あのシニカルな感じが」
チェシャ猫のそれがというのです。
「実にね」
「いいね」
「だからだよ」
それでというのです。
「その機会を待とう」
「お話に出たしすぐかな」
「そうであることを願おう」
「二つの国に一度に行けるなら」
アリスは二度の冒険を思い出して言いました。
「素敵ね」
「そうよね」
ナターシャが応えました。
「そうなれば」
「ええ、だからね」
「機会を待つのね」
「行けるその時をね」
「そう思うとね」
「オズの国では機会が自分からやって来るから」
「そうなるからね」
だからだというのです。
「きっとよ」
「その二つの森に行けるわね」
「そして貴女が知っている人達にもね」
「会えるわね」
「私達も知ってるわ」
ナターシャは笑顔でこうも言いました。
「チェシャ猫さん達をね」
「有名だからよね」
「そうよ」
その通りだというのです。
「それでね」
「そうなのね」
「だからね」
それでというのです。
「私達も待つわ」
「機会が来る時を」
「そうするわ、あとね」
「あと?」
「今日のデザートは」
それはといいますと。
「フルーツの盛り合わせよ」
「林檎とかかしら」
「林檎にバナナにオレンジに葡萄に洋梨がね」
「出るのね」
「さっきジュリアさんが言ってたわ」
「その通りです」
そのジュリア=ジャムが言ってきました。オズマの傍に控えています。
「カレーの後はです」
「デザートでなのね」
「フルーツの盛り合わせがです」
「そちらも楽しみね」
「お好きですか」
「大好きよ」
そうだというのです。
「本当にね。甘いものはね」
「大好きですか」
「どんなものでもね」
「お菓子もですね」
「そうなの。それで飲みものは」
そちらはといいますと。
「紅茶、それもね」
「ミルクティーですね」
「お砂糖も入れた」
「そちらですね」
「レモンティーやコーヒーは」
そうした飲みものはといいますと。
「あまりね」
「お好きでないですか」
「日本や中国のお茶も」
そちらもというのです。
「ミルクティーと比べたら」
「お好きでないですか」
「ミルクティーが一番なの」
アリスにとってはです。
「本当にね」
「そうですか」
「そう、そして」
それでというのです。
「今晩もね」
「お出ししますね」
「宜しくね」
アリスはにこりと笑って応えました、そしてです。
アリスはデザートを食べてそうしてミルクティーも飲みました、それからはお風呂にも入って皆と寝るまで遊びました。
そして次の日の朝はトーストに目玉焼き、焼いたソーセージにトマトにミルクティーを楽しみました。その朝ご飯についてアリスは言いました。
「この組み合わせが大好きなの」
「トーストに卵料理となのね」
「そうなの、そこにソーセージやベーコンがあれば」
ドロシーに笑顔で答えます、今も皆で食べています。
「それで少しお野菜や果物があれば」
「いいのね」
「いつもこうした朝ご飯だから」
そうであるからだというのです。
「本当にね」
「この組み合わせね、朝は」
「私はね、そして飲みものは」
それはといいますと。
「ミルクティーよ」
「貴女の飲みものはいつもそうね」
「そうなの、朝もお昼も夜も」
いつもというのです。
「ティータイムもね」
「ミルクティーね」
「いつもね」
それこそというのです。
「飲みたいの」
「それじゃあね」
「飲ませてくれるのね」
「そうさせてもらうわ、やっぱりね」
「ミルクティーなのね」
「私はね。だからね」
それでというのです。
「楽しんでね」
「そうさせてもらうわね」
「もっと言えばミルクティーがあれば」
アリスとしてはです。
「私は満足なの」
「そこまで好きなの」
「食べるものは何でもいいけれど」
「ミルクティ―は外せないのね」
「いつもね」
こうしたことを言ってまたミルクティーを飲みます、それは朝ご飯が終わって皆で遊ぶ時もでした。
朝ご飯の後は皆で宮殿のお庭に出てそちらでくつろぎながら読書を楽しみますがそこでもアリスはミルクティーを飲んでいます。
そんなアリスを見てです、ナターシャ達五人は思いました。
「アリスって本当にミルクティ―好きよね」
「いつも飲んでるね」
「今だってそうだし」
「イギリス人らしいね」
「そうよね」
「そうなの、イギリスにいると」
アリスは同じテーブルに座って読書をしている五人に言います。
「ミルクティーばかり出るからね」
「自然となのね」
ナターシャはロシアの紅茶を飲みつつ応えます、お砂糖が凄く入っています。
「好きになるのね」
「だからオズの国でも飲んでいるんだ」
ジョージはレモンティーを飲みつつ応えました。
「そうなんだね」
「もう飲みものはそれが一番っていう位に」
神宝は烏龍茶を飲んでいます。
「好きなんだね」
「他の飲みもの飲んでいないかな」
カルロスはコーヒーを飲みながらアリスを見て言います。
「オズの国に来てから」
「見ている限りそうよね」
恵梨香が飲んでいるのは麦茶です。
「私達が見ている限り」
「イギリスでもずっと飲んでいてね」
そうしていてと言うアリスです。
「馴染んでいるから」
「それでなのね」
「もうミルクティーが主食ならぬいつも飲むものになっていて」
「それでなんだね」
「大好きなんだね」
「それで今も飲んでいるのね」
「そうなの、もうミルクティーがあれば」
そうすればというのです。
「私は満足なの、実は食べものはね」
「好き嫌いないのね」
エリカが言ってきました。
「そうなのね」
「カレーも好きでね」
「他のお料理もなのね」
「最近イギリスも色々なお料理が入ってきているから」
「これまでは違ったの」
「バリエーションがなかったの」
イギリス料理はというのです。
「食べられればいいってね」
「そんな感じでなの」
「フィッシュアンドチップスやローストビーフに」
具体的なメニューを挙げていきます。
「パンに朝ご飯に。ビーフシチューね」
「他は?」
「カレーね」
「それで終わりなの」
「イギリスはね」
この国のお料理はというのです。
「後はティーセットのものね」
「サンドイッチにね」
モジャボロが言ってきました。
「バウンドケーキにスコーンだね」
「そうしたものがあるわ」
「そうなんだね」
「他の国に比べると」
アリスは言いました。
「どう見てもね」
「お料理は、だね」
「そうだったのよ、それがね」
アリスはにこりと笑って言いました。
「最近は変わって色々な国のお料理をね」
「食べられる様になったんだね」
「そうなのよ」
「それはいいことだね」
「映画なんかでもね」
こちらでもというのです。
「出て来るお料理が酷いって言われてたけれど」
「それも変わったんだね」
「ええ、鰊のパイや鰻のゼリーも」
そうしたものもというのです、モジャボロの弟さんにお話します。
「きっとね」
「変わるのかな」
「そうなるわ」
「そうなんだね」
「だから私もね」
「最近は色々なお料理を食べて」
「好き嫌いはないの」
食べもののそれはというのです。
「そうなっているの」
「成程ね」
「お菓子だってね」
こちらもというのです。
「ドーナツだって好きだし」
「他のお菓子は?」
ベッツィが尋ねました。
「アイスクリームとか」
「大好きよ、あと桃饅頭にね」
中国のお菓子も出しました。
「羊羹も好きなの」
「羊羹って日本のお菓子よね」
「そうね」
ベッツィとトロットはお顔を見合わせてお話しました。
「羊羹って美味しいのよね」
「あの食感と甘さがいいのよ」
「色々食べる様になっているわ、お菓子も」
そちらもと言うアリスです。
「けれど飲むものは」
「ミルクティーね」
「そのお茶ね」
「他の飲みものはいらない位になの」
そこまでというのです。
「好きなの」
「じゃあ他の飲みものはいいんだ」
「嫌いじゃないけれど」
今度はキャプテンに答えました。
「けれどね」
「ミルクティーがあるとだね」
「迷わずね」
「そちらを飲むんだね」
「そうするの」
笑顔での返事でした。
「私はね」
「そこまで好きなんだね」
「ミルクとお砂糖をたっぷり入れて」
そうしてと言うアリスです。
「飲むの」
「今みたいにだね」
「そうなのよ」
笑顔でお話しながらミルクティーを飲んで読書をします、その両方を楽しむアリスでしたがここで、です。
王宮の衛兵さんが来てです、オズマに言ってきました。
「ビリーナ女王の来訪です」
「また急ね」
オズマはビリーナが来たと聞いて応えました。
「今回は」
「予定になかったですね」
「聞いていないわ」
ビリーナが来るとはです。
「何かあったのかしら」
「お連れの方がいます」
「お連れの?」
「その人とも会われますか」
「ええ、誰かしら」
オズマは首を傾げさせて応えました。
「一体」
「気になるわね」
ドロシーも首を傾げさせて言います。
「誰かね」
「じゃあ会いましょう」
「そうしましょう」
こうお話をしてでした。
オズマはビリーナとそのお連れの誰かとお会いすることにしました、今自分達がいる王宮のお庭に来てもらいましたが。
ビリーナはまずです、こう言いました。
「まずは突然の来訪を謝罪するわね」
「それはいいけれどどうしたの?」
オズマは謝罪を受け入れてよしとしてから応えました。
「今回来た理由は」
「ええ、実は私の国に迷い込んだ紳士がいてね」
「鶏の国に?」
「そうなの、ここにいるわ」
「どうも」
見ればあのシルクハットとタキシードを身に着けた兎でした、左目にしっかりとモノクロの眼鏡があります。
「はじめまして」
「君昨日このお庭に来たよ」
ハンクが突っ込みを入れました。
「覚えてない?」
「あの時は急いでいて周りをあまり見ていなかったので」
それでと答える兎です。
「これといってです」
「僕達のこと見ていなかったんだ」
「それで気付けばです」
兎は礼儀正しくお話します。
「鶏の国にいました」
「兎の国から来たのだと思ったわ」
ビリーナが言いました。
「またね」
「いや、私はオズの国の兎でなくて」
「不思議の国の兎ね」
「元々は。しかし」
「しかし?」
トトはお話を聞いて首を傾げさせました。
「どうしたのかな」
「オズの国はお伽の世界にまつわる誰もが集まる国で」
「ああ、不思議の国も鏡の国もだね」
「今はこちらにありまして」
オズの国にというのです。
「私も来てトランプの王様と女王様のお茶会に招かれて」
「そちらに行こうとしたら」
「そうしたらです」
その時にというのです。
「急ぐあまり周りを見ていなくて」
「ああ、それは駄目だね」
臆病ライオンはそのお話を聞いて言いました。
「急いでもね」
「周りは見ることですね」
「君焦っていたよね」
「はい」
兎はその通りだと答えました。
「かなり」
「焦るとね」
そうなると、というのです。
「本当にね」
「失敗の元ですね」
「そうだよ、急ぐことはいいことでもね」
「焦っては駄目です」
「今度から気を付けようね」
「反省します」
兎は今も礼儀正しく応えました。
「今後は」
「それでお茶会はどうなったのかな」
腹ペコタイガーはこのことを尋ねました。
「遅刻だって言ってそれで急いでいたんだよね」
「これが私は日を間違えていまして」
「そうだったんだ」
「来月でした」
お茶会が行われるのはというのです。
「そうでした」
「間違えてたんだ」
「今月はもう終わっていまして」
「そっちは行ったんだ」
「そうでした」
これがというのです。
「それが今月のはじめで」
「間違えていたんだね」
「うっかりしていました」
兎はこのことも反省して言います。
「実に」
「あんたかなり慌てるみたいね」
つぎはぎ娘はここまで聞いて思いました。
「どうも」
「自分でも思います」
「焦っても何もならないわよ」
「臆病ライオン氏が言われる様に」
「そう、急いでもね」
そうしてもというのです。
「決してね」
「焦らないことですね」
「そうすることよ」
「今後は」
「そこはわかってね」
こう兎に言います。
「くれぐれもね」
「今後は」
「そういうことでね」
「今度は落ち着いて行けるわね」
ガラスの猫は自分の身体を見てチェックしつつ言いました。
「お茶会に」
「もう日は確認しましたので」
「それじゃあね」
「その様に」
「私はいつも焦らないけれどね」
ガラスの猫はです。
「自分のペースを守るわ」
「絶対にですか」
「誰かに合わせるなんてしないわ」
決してというのです。
「あんたもそうしたらいいのよ」
「いや、君は猫だからね」
それでと言うシジャックです。
「猫と兎ではね」
「考えが違うのね」
「猫は本当に自分のペースで動くけれど」
常にです。
「兎は兎でね」
「考えがあってなの」
「動くからね」
「私の様にとはいかないのね」
「完全にね」
「そうなのね」
ガラスの猫も納得しました。
「じゃあもう言わないわ」
「それで君はだね」
「このままでいくわ」
「自分のペースで生きていくね」
「そうしていくわ」
「若しです」
ここで大尉は言いました。
「猫は自分のペースを守らないのなら」
「猫じゃないね」
教授が応えました。
「もうね」
「そうですね」
「猫は自分のペースで生きる」
「それはどういった身体でもですね」
「猫ならね」
この生きものならというのです。
「そうでないとだよ」
「逆にですね」
「猫ではないよ」
「ガラスの猫もエリカもね」
かかしはそれでと言いました。
「そうでないとね」
「逆に猫かなって思うね」
樵も言います。
「自分のペースで生きていないと」
「その通りだね」
「だからね」
「ガラスの猫はそれでいいよ」
「エリカもね」
こうお話します、そしてです。
かかしと樵はあらためてです、兎に尋ねました。
「それで君はどうするのかな」
「これからだけれど」
「次のお茶会まで時間があると思うけれど」
「どうするのかな」
「特にです」
兎はすぐに答えました。
「予定はありません」
「そうなんだね」
「予定はないんだ」
「お家に帰りまして」
そうしてというのです。
「お仕事をする位ですね」
「そのお仕事は何かな」
「何なのかな」
「実は時計を造っていまして」
兎はかかしと樵に答えました。
「売っています、自慢はこの懐中時計でね」
「おや、随分と質がいいね」
かかしはその時計を見てすぐにわかりました。
「デザインもいいよ」
「これは職人さんが造ったものだね」
樵も見て言います。
「つまり君が造ったんだね」
「腕時計や鳩時計も自信がありますが」
それ以上にというのです。
「懐中時計がです」
「最もだね」
「自信があるんだね」
「それでその中でもです」
「一番の自信作がその時計だね」
「そうなんだね」
「はい、それでお家に帰りましたら」
そうすればというのです。
「後はお仕事ですね」
「そのお家は何処にあるのかしら」
アリスが尋ねました。
「一体」
「都です」
兎はアリスにも礼儀正しく答えました。
「このです」
「エメラルドの都になの」
「その大通りにあります」
「そうなのね、そういえば」
ここでアリスはあることに気付いて言いました。
「私貴方のことよく知らないわ」
「ああ、そう言う貴方は」
兎もアリスを見て言います。
「不思議の国でお会いした」
「ええ、覚えているのね」
「お名前は確か」
「アリスよ」
アリスは席を立って礼儀正しく一礼して応えました。
「どうぞ宜しく」
「これは素敵なレディーです」
兎はアリスの一礼を見てわかりました。
「実に立派です」
「そう言ってくれるのね」
「はい、ただ」
「ただ?」
「私は貴女のことをよく知らないですね」
「私も」
アリスは兎の言葉に気付きました。
「そういえば」
「お互いそうですね」
「そうよね」
「ではです」
兎はそれならと応えました。
「これからはです」
「お付き合いをしてね」
「お互いを知りますか」
「そうしましょう」
アリスは笑顔で応えました。
「是非ね」
「これからですね」
「これまで何もなくても」
それでもというのです。
「これからはじめればいいわね」
「何ごとも」
「だからなのね」
「まずはお友達になろう」
兎から言ってきました。
「そうなろうね」
「お友達ね」
「そう、そしてね」
兎はさらに言いました。
「一緒にだよ」
「お茶会に行くの」
「そうしよう、今度は間違えないから」
お茶会の日をというのです。
「行こうね、お茶会に」
「けれどお茶会は来月よね」
アリスはこのことを言いました。
「だとすると私その間はイギリスに戻らないといけないわ」
「帰り道はわかっているのかな」
「そう言われると」
兎に言われてこのことを思い出しました。
「実は」
「君はこれまで目覚めたら戻ってきた感じだったね」
「イギリスにね」
「だからこれまでもだね」
「帰り道はわからなかったわ」
「それで今度もだね」
「考えてみたら」
そのことに気付いたのでした。
「そうなのよね」
「じゃあどうするか」
「帰り道はあるわよ」
オズマが言ってきました。
「今はオズの国と外の世界を行き来出来る扉があるから」
「そうなの」
「世界のあちこちにあって」
それでというのです。
「イギリスにもあるわよ」
「そうだったの」
「多分貴女も気付かないうちにその扉を通ってね」
「オズの国に来たのね」
「その筈だから」
「その扉の場所はわかるの」
「ええ、扉のことは全部把握しているわ」
オズマはすぐに答えました。
「王宮がね」
「じゃあ帰る時は」
「イギリスに通じる扉を使えばいいのよ」
「それでイギリスに帰られるわね」
「それも貴女は自分の脚で扉を通ったから」
それでオズの国に来たからだというのです。
「貴女のお家は扉のすぐ傍ね」
「そうなのね」
「だからすぐにね」
「帰られるのね」
「しかもオズの国でどれだけ過ごしても」
オズマは時間のお話もしました。
「外の世界では一瞬よ」
「ちょっとうたた寝して起きた位?」
「そう、その位でね」
まさにというのです。
「戻れるから」
「幾らいてもいいの」
「少なくとも一ヶ月位はね」
「そうなのね」
「だからね」
アリスにさらにお話します。
「貴女がよかったらその間王宮にいてね」
「一緒に暮らしていいの」
「そうしてもいいわ。お部屋もあるし」
「何か悪いわね」
「悪くないわ、こうして会ったのも縁だから」
そうであるからだというのです。
「是非ね」
「一緒にいていいのね」
「そうよ、楽しい時間を過ごしましょう」
「そう言ってくれるなら」
アリスも笑顔で頷きました、こうしてです。
次のお茶会に行く時まで王宮で暮らすことになりました、オズの国はまた素敵なお客さんを迎えたのでした。