『新オズのブリキの樵』




                第八幕  ツアーになって

 エルフのアイドルの娘達のコンサートはツアーになりました、そうしてご本人達もウィンキーに入ってです。
 何かとお仕事が変わりました、それで樵は皆をブリキのお城の中にある会議室に集まってもらいました。
「これからのことで会議をしようね」
「それじゃあね、ただね」
 カエルマンが応えます、皆もうブリキの円卓を囲んでブリキの席に座っています。
「聞いていいかな」
「何かな」
「うん、あの娘達とマネージャーさんは」
「レッスンだよ」
「それを行ってるんだね」
「だからいないよ」
 今こちらにというのです。
「そうだよ」
「成程ね、わかったよ」
「じゃあ私達で会議をしましょう」
 ビリーナはこう言いました。
「ツアーのことでよね」
「そう、コンサートから変わったからね」
 樵はビリーナに答えました。
「だからだよ」
「やっぱりそうなるわね」
「うん、コンサートだと場所は一つだけれど」
「ツアーは幾つもだから」
「何かと違うからね」
「会議をして」
「そしてね」
 そのうえでというのだ。
「ことを進めていこう」
「わかったわ」
 ビリーナはそれならと応えました。
「それじゃあね」
「お話していこう」
「これからね」
 こうお話してでした。
 皆で実際にお話していくことになりました、樵は皆にウィンキーの皇帝ツアーが行われる国の国家元首として言いました。
「ツアーの時間はかなりあってね」
「沢山の場所を使えるのね」
「そうなんだ」
 アン王女に答えました。
「そうなったんだよ」
「幾つもなのね」
「それで問題はね」
「どの場所を使うかよね」
「幾つ使うかをね」
「これからお話して」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「決めていこう」
「わかったわ、これまで私達ウィンキー中のコンサートが開ける場所を巡ったわね」
「そこから何処を選ぶかね」
「その中から幾つを使用するか」
「お話しよう」
「それではね」
「色々な場所を巡ったからね」 
 臆病ライオンはそれでと言いました。
「その中から幾つか」
「そして開催する場所の数もだよ」
「これから決めるんだね」
「皆でお話をしてね」
「そうなるね」
「うん、じっくりとお話をして」
 そうしてというのです。
「決めていこう」
「うん、じゃあ開催場所と」
「その数もね」
「決めよう」
「そのことはわかったわ、それでね」
 つぎはぎ娘が言ってきました、座っていても踊っています。
「ツアーの期間はどれだけなの?」
「そのことだね」
「ええ、それも問題よね」
「そうだよ」
 樵はその通りだと答えました。
「まさにね」
「それで期間は決まっているの」
「三ヶ月だよ」
「あら、長いわね」
 つぎはぎ娘はその期間を聞いて言いました。
「それはまた」
「そうだね」
「それだとね」
 つぎはぎ娘は言いました。
「もう全部ね」
「これまで巡った候補地をだね」
「全部行けるでしょ」
「そうだね」
 樵も否定しませんでした。
「これだけあれば」
「どれもいい場所だったしね」 
 モジャボロはこれまで巡った候補地達を思い出して言いました。
「だったらね」
「全部で開催したいね」
「そう思ったけれど」
「じゃあ機関も長いし」
「充分全部巡れるね」
「余裕があるね」
「だからね」 
 それでというのです。
「そうしようか」
「候補地全部巡る」
「そうしよう」
「それじゃあね」
「どれも捨て難くて捨てなくて済むなら」
 教授は笑って言いました。
「全部持てばいいんだよ」
「そうだね」
「開催地もだよ」
 教授は樵にお話しました。
「同じだよ」
「そうだね」
「そう、ではね」
「全部で開催しよう」
「ステージも用意して」
「そうしようね」
「中には凄く広い場所があるわね」
 エリカも樵に言います。
「お客さんが何万も入る」
「そうした場所ばかりと言ってもいいね」
「球場とかグラウンドとか」
「凄い場所ばかりだね」
「そうよね」
「そうした場所で開催していくんだ」
「あと入る人が少なめでも」
「いいホールばかりだね」
「ええ」
 エリカはその通りだと答えました。
「私達が観て回った場所はね」
「そうし場所を全てだよ」
「使って」
「開催しようね」
「思った以上に凄いものになったわね」
 エリカは思わず唸りました。
「一つの場所と思っていたら」
「ツアーになってね」
「全部なんてね」
「凄いね」
「全く以てね」
 それこそというのです。
「本当に」
「しかし全部巡るなら」
 熊の王様が言ってきました。
「問題は巡る順番だね」
「どういったコースにするかだね」
「幾ら飛行機を使って移動しても」
 それでもというのです。
「ウィンキーも広いからね」
「オズの国の五分の一だよ」
「西部全体だよ」
「そのウィンキーを東西南北動き回ったら」
 そうしてツアーを行ってもというのです。
「回るあの娘達も大変だし」
「合理的じゃないね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「どうもね」
「そうだね」
「だからね」
 それでというのです。
「僕達としては」
「そうしたこともだね」
「考えていこう」
「そうしたこともね」
「少なくともジグザグな感じで進むと」
「不都合だよ」
「とてもね」
 こうお話します。
「そうだしね」
「そこも考えよう」
「一番いいのは」 
 ラベンダー熊が言ってきました。
「この都からはじまって」
「それでだね」
「一旦ウィンキーの東まで行って」
 そうしてと樵にお話します。
「円を描く感じでね」
「ウィンキーの中を巡っていくんだね」
「これならどうかな」
「いいね」
 樵はラベンダー熊の提案に笑顔で頷きました。
「それでいくとね」
「いい感じで回れるね」
「そうなるよ」
 まさにというのです。
「円を描く様に国を回ると」
「道も動きやすいし」
「それじゃあね」
「そうしていこう」
「ツアーはね」
「あの娘達にも提案しよう」
「レイさんにもね」
 笑顔でお話します。
「このコースならどうか」
「提案しよう」
「あの娘達も移動が楽だし」
「巡りやすいしね」
「そしてである」
 伍長はまずはこう前置きしました。
「吾輩は食べないあるが」
「あの娘達にはウィンキ―の食事もだね」
「楽しんでもらうである」
 こう言うのでした。
「そうするである」
「それはいいね」
「そうであるな」
「僕もそう思うよ」
「ホテルでも街や村でもである」
「ウィンキーの食事を楽しんでもらおう」
「そうするである」
 伍長は笑って言いました。
「ツアーはファンが楽しんで、である」
「アイドルの娘達も楽しむ」
「そうであるべきである」
「その通りだよ」
 樵もまさにと頷きます。
「まことにね」
「ではそうするである」
「その通りだね。それでお客さん達にはステージを楽しんでもらって」 
 トトはこう言いました。
「グッズもだね」
「買ってもらってね」
「手に入れてもらうね」
「そうするよ」
「そうなるね」
「オズの国はお金がないからね」
 外の世界と違ってです。
「皆買うと言っても」
「お金を支払わないね」
「笑顔が代価だよ」 
 オズの国ではです。
「その笑顔をね」
「浮かべてもらうね」
「そうなるよ」
「そうだね」
 トトも確かにと頷きます。
「じゃああの娘達のグッズも」
「買ってもらうよ」
「全ての会場でだね」
「そうなるよ」
「そのことも楽しんでもらう」
「そうなるからね」
「ペンライトも使ってもらう」
 こちらもというのです。
「なるよ」
「そうなるね」
「全ての会場でね」
「どんどん決まっていきますね」
 クッキーは会議の状況を見て樵に言いました。
「そうですね」
「うん、会議は進むだね」
「そうですね」
「踊ってね」
 そのうえでというのです。
「そうなっているね」
「そうですね」
「会議は踊るで」 
 そしてというのです。
「されど進まずはね」
「よくないですね」
「オズの国の会議は違うね」
「踊って進むですね」
「どんどんね」
「だからいいですね」
「しかもその進む速さは」
 それはといいますと。
「風の如くだよ」
「どんどん進むから」
「そうなるよ」
「そうですね」
「だからね」
 それでというのです。
「この通りだよ」
「順調に進んでいますね」
「そうなっているよ」
「そうだよ、色々お話して進まないと」
 トトはそうした会議についてお話しました。
「駄目だよ」
「そうだね」
「皆でじっくりお話して」
「かつどんどん進める」
「そうでないとね」
「会議はよくないね」
「全くだよ」 
 まさにというのです。
「そうした会議でないとね」
「よくなくてね」
「オズの国の会議はね」
「順調に進むね」
「この通りね」
「だからいいね。本当に進まない会議なんて」
「いいものじゃないよ」
「その通りよ、今回の会議も順調でね」
 ドロシーも言います、それもにこりと笑って。
「何よりよ」
「全くだね」
「だからね」
 それでというのです。
「この会議もすぐに終わって」
「その後はね」
「皆で遊ぶのね」
「そうしよう、お仕事の後は」
 樵はそれが終わったらとです、ドロシーに言いました。
「やっぱりね」
「遊ぶことよ」
「それに尽きるね」
「本当にね」
「じゃあ遊ぶ為にも」
「会議はね」
「このまま順調に進めて」
 そうしてというのです。
「そのうえでね」
「遊びましょう」
「今日もね」
「是非ね、しかし遊ばないと」
 さもないと、とです。樵はこちらのお話もしました。
「僕達はね」
「それだけで辛くなるわね」
「オズの国にいるとね」
「遊べないとね」
「それだけでだよ」
「大変ね」
「そもそも寝る以外はね」
 それこそというのだ。
「はっきり言うとね」
「オズの国では全部遊びよ」
「僕達が今しているお仕事もね」
「遊びだしね」
「つまり遊んだ後でまた遊ぶ」
「そうなのよね」
「学問もスポーツも」
 そうしたものもというのです。
「全てね」
「遊びであって」
「そうであってね」 
 それでというのです。
「本当にね」
「遊べないと」
「想像もできない位にね」
「大変なことよ」
「全く以てね」
「だから遊ぼう」
「お仕事で遊んだら」
 その後はというのです。
「他の遊びでね」
「遊ぼう」
「そうしましょう」
「そうしようね、さてこれからもね」
 かかしは樵に言いました。
「会議をするね」
「そうだね、ただね」
「ただ?」
「とりあえず今お話することは」
「全部決まったね」
「そうだね」
「どうも」
 そうなったというのです。
「順調に進んで」
「そうなったね」
「開催場所も巡り方もね」
「決まったしね」
「じゃあ会議はね」
「これで終わりだね」
 会議はというのです。
「もうね」
「それじゃあね」
「皆で遊ぼうか」
「そうしよう、それで何で遊ぼうか」
 このお話になりました、そしてです。
 そのお話についてです、樵はかかしに言いました。
「トランプどうかな」
「室内で遊ぶんだね」
「うん、若しくはボードゲームでね」
「遊ぶんだね」
「お部屋の中で遊んでもいいね」
「そちらもとても楽しいよ」
「だからね」
 そうだからだというのです。
「これからはね」
「お部屋の中で遊ぶんだね」
「トランプにボードゲームで」
「遊ぼう」
「そうしよう」
 こうお話して実際にでした。
 皆それぞれ分かれてお城の大広間の中でトランプやボードゲームを楽しみます、樵はジョージ達とボードゲームをしていますが。
 遊びつつです、笑って言いました。
「ルーレットはわからないね」
「はい、どの数字が出るか」
 ジョージが最初に応えました。
「わからないですね」
「こればかりはですよね」
 恵梨香も言います。
「誰にもわからないですね」
「魔法を使ってやってもインチキで」
 ナターシャは笑って言いました。
「何にもならないですし」
「もう何が出るかわからない」
 神宝もこう言います。
「その数字に従うだけですね」
「そのうえでどうするか」 
 カルロスは樵がルーレットを回すのを見て言いました。
「それがルーレットですね」
「そうだよね、この数字をどうにかすることは」 
 樵は笑顔で言いました。
「インチキでもないとね」
「出来ないですね」
「そしてインチキなんてしたら」
「絶対に駄目ですから」
「問題外ですね」
「それこそ」
「オズの国でする人はいないよ」
 全くというのです。
「一人もね」
「本当に誰もですね」
「それは遊びじゃないですから
「インチキであって」
「しないですね」
「誰も」
「そうだよ」
 その通りだというのです。
「それは常識だしね」
「そうですよね」
「ズルをしないなんてそうですよね」
「本当に常識です」
「そう言うしかないです」
「外の世界でも本来そうですし」
「ズルをして勝ってもね」
 そうしてもというのです。
「面白くないよね」
「何でもそうですね」
「正々堂々とやるから面白いですね」
「そうであるからこそ」
「何でもそうですね」
「ボードゲームに限らず」
「だからね」 
 それでというのです。
「オズの国ではそんなことしないから」
「誰もしない」
「そうして楽しんでいますね」
「ちゃんと」
「そうしていますね」
「そうですよね」
「そうだよ、だからルーレットでどんな数字が出ても」
 そうしてもというのです。
「楽しくやろうね」
「わかりました」
 五人は樵の言葉に笑顔で頷いてでした。
 そのうえで遊んでいきます、そして一回皆終わってからです、五人は樵にもう一度遊びはじめてから尋ねました。
「あの、オズの国はボードゲームも多いですか」
「樵さん達は寝ないですよね」
「休む必要もないですし」
「じゃあ夜の間はです」
「ボードゲームもされますか?」
「よくしているよ」
 樵は笑顔で答えました。
「かかし君やつぎはぎ娘達と一緒にね」
「それにチクタクですね」
「ジャックもそうですし」
「木挽きの馬もガラスの猫もですね」
「今はクマセンターの人達もいますし」
「そうした人達とですか」
「お散歩したりお喋りしたり歌ったり踊ったり」
 皆が寝ている間はというのです。
「そしてそのボードゲームもね」
「されていますか」
「それもよく」
「それなら一晩中でもですね」
「ボードゲームをされてますか」
「そんな時もありますか」
「そうなんだ、あってね」
 それでというのです。
「楽しんでいるよ」
「夜の間ずっとするとか」 
 ジョージは樵のお話を聞いて思いました。
「物凄いですね」
「しかも疲れないですから」
 恵梨香はそれでと言いました。
「いいですね」
「一回一晩中遊びたいと思います」
 神宝は実際に今そう考えています。
「ボードゲームでしてもいいですね」
「そうしたことがいつも出来るなんて」
 カルロスは羨ましいと思いました。
「いいですね」
「寝ないでいいお身体っていいですね」
 ナターシャも思いました。
「一晩中こうしたことが出来ますから」
「うん、この身体はとてもいいと思っているよ」
 樵は五人ににこりと笑って答えました。
「かかし君達もね」
「そうですよね」
「一晩中遊べるなんて」
「それも疲れないなんて」
「いいお身体です」
「私達も欲しいと思う時があります」
「そうだね、けれど身体はその人それぞれで」
 そうであってというのです。
「君達の身体もね」
「それぞれですか」
「いいところがありますか」
「樵さん達のお身体もそうで」
「僕達の身体もですね」
「いいところがあるんですね」
「そうだよ、食べて飲んで寝られる」
 こうしたことはというのです。
「凄くいいことだね」
「はい、確かに」
「言われてみますと」
「それは凄くいいことです」
「本当に」
「どれも凄く楽しくて気持ちがいいです」
「僕達はその楽しさと気持ちよさを知らないんだよ」
 こうお話するのでした。
「いつも皆が食べている横でその時の笑顔を見ているね」
「そうですね」
「けれど召し上がられることはないです」
「飲んでいても」
「そして寝る時も」
「ずっと起きておられて」
「そうした楽しみを知らない、僕は以前人間の身体だったけれど」
 それでもというのです。
「もうこの身体になって久しいから」
「だからですね」
「もう忘れたんですね」
「そうなられたんですね」
「今は」
「ブリキの身体になられて」
「そうなったよ」
 実際にというのです。
「完全に忘れたよ」
「そうなったんですね」
「そうした時の楽しみを」
「そして気持ちよさを」
「寝ることも休むことも食べることもしなくても」
「ずっと遊べても」
「その身体それぞれで楽しみがあるから」
 だからだというのです。
「その身体で満足してね」
「嫌がることはない」
「羨ましく思うこともない」
「不平や不満を抱いたり」
「そんなことを思う必要はないですね」
「そうなんですね」
「そうだよ、少なくともオズの国ではそうだよ」 
 この世界ではというのです。
「だからね」
「それで、ですね」
「僕達もですね」
「それぞれの身体で楽しめばいいですね」
「この身体で」
「そういうことですね」
「そうだよ、お互い楽しんでいこうね」
 それぞれの身体でとです、樵は五人に笑顔で言ってです。
 またボードゲームをしました、そして。
 三時になると皆はティータイムとなりました。ドーナツにレモンティーやコーヒーを出してでした。
 アイドルの娘達も呼んで一緒に食べます、お城のお庭に席を出してそのうえでそれぞれ座って食べて飲みますが。
 そこで、です。モジャボロは笑顔で言いました。
「ドーナツとレモンティーの組み合わせがね」
「君は好きだね」
「アップルティーが一番好きだけれど」 
 教授に林檎好きということからお話します。
「レモンティーも好きでね」
「今飲んでいるね」
「そうしているよ」
「ドーナツはアップルティーでもいいけれど」
 ビリーナはエリカに言いました。
「紅茶はレモンティーかしらね」
「あんたもそう思うの」
「そうなんだね」
「ええ、私の好みだとね」
 エリカとトトに答えました。
「そうよ」
「そうなのね」
「君の好みは」
「私は今はストレートかしら」
「僕はローズティーだよ」 
 そうした紅茶もあって二匹はそれぞれ飲んでいます。
「ドーナツにも合うよ」
「とてもね」
「だからそこはそれぞれよ」
 ビリーナは二匹にあらためて言いました。
「その人それぞれよ」
「そうだね、僕は今ミルクを飲んでいるけれど」
 臆病ライオンはバケツみたいな巨大なカップになみなみと入っているホットミルクを飲みながら言います。
「ドーナツにも合うよ」
「そうよね」
「元々ミルク大好きでね」
「ドーナツと一緒に食べてもね」
「いいのよね」
「そうだよ」 
 ビリーナに笑顔で答えます。
「本当にね」
「私はこうしてね」
 王女はアップルティーを飲んで言いました。
「やっぱりね」
「アップルティーね」
「今もね」
「あんたは大抵そうよね」
「ええ、何といってもね」
 ビリーナに笑顔で答えました。
「紅茶はね」
「アップルティーよね」
「それが好きね」
「モジャボロさんと同じでね」
「林檎なら何でも好きよね」
「だからね」
 そうであるからだというのです。
「今もよ」
「アップルティーを飲んでいるのね」
「そうしているのよ」
「そうよね」
「飲みものもいいけれど」
 カエルマンはコーヒーを飲んでいます、そのうえで目の前のお皿の上にあるドーナツ達を見て言いました。
「ドーナツも色々あってね」
「いいですよね」
「オールドファッションにね」
「チョコレートに」
「ショコラもあってね」
「それぞれ何種類もありまして」
 クッキーはミルクティーを飲みつつ応えました。
「いいですね」
「全くだよ、ドーナツはいいものだよ」
「素敵なお菓子ですね」
「私も大好きだよ」
「私もです」
 クッキーも笑顔で言います、そうしてです。
 二人も食べます、ですが。
 食べない人達は食べる人達の笑顔を見て笑って言いました。
「この笑顔がいいのよね」
「全くだよ」
 かかしはにこにことしてつぎはぎ娘に応えました。
「美味しいものを食べた時の」
「飲んでね」
「その時の笑顔がね」
「とてもいいのよね」
「その通りである」
 伍長もにこりとしています。
「笑顔を見るのはいいものであるが」
「飲んで食べる時も笑顔もね」
「最高である」 
 ラベンダー熊に応えました。
「だからこうしてである」
「誰かが食べる時は一緒にいるね」
「食べる者達と」
「そうなんだよね」
「人の笑顔は最高のご馳走だよ」 
 熊の王様も言いました。
「何と言ってもね」
「その通りです」
「まことに」
 伍長もラベンダー熊も答えました。
「それではです」
「ここでもです」
「楽しもう」
「楽しくなってね」
 そしてとです、つぎはぎ娘は言いました。
「歌って踊りたくなったわ」
「いいね」
「そうだね」
 かかしも樵も頷きました。
「それじゃあね」
「これから楽しもうね」
「僕達も踊るよ」
「そうしていいね」
「勿論よ」 
 つぎはぎ娘は一も二もなく答えました。
「食べない人達でそうしましょう」
「よし、それなら」
「僕達もね」
「一緒に歌って踊るである」
 クマセンターの人達もそうしてでした。
 皆で歌って踊ります、アイドルの娘達はそれを見て言いました。
「凄いわね」
「ええ、つぎはぎ娘達の踊りはね」
「歌もね」
「かなりよ」
「跳んで跳ねて」
「身体を使ってね」
「あの人達の身体はそうした身体だからよ」
 レイさんは六人に同じテーブルでドーナツと紅茶を楽しみつつお話しました。
「私達とはまた違うわ」
「そうですね」 
 サキは確かにと頷きました。
「ぬいぐるみや藁やブリキの身体ですから」
「身体の仕組みは違います」
 ユウも言います。
「骨も筋肉もないですから」
「関節も自由に曲がったりして」 
 それでと言うヒミカでした。
「全く違います」
「衝撃を受けてもそのまま跳ねて活かせて」
 ミユも言います。
「凄いですね」
「いや、ぬいぐるみやブリキや藁の身体は」
 しみじみとしてです、言ったのはトモキでした。
「私達の身体とまた違いますね」
「だからああした動きが出来るんですね」
 アズキはレイさんに言いました。
「そうですね」
「そう、あの人達はあの人達の身体を使っているのよ」 
 レイさんは六人にあらためて言いました。
「そしてね」
「私達はですね」
「私達の身体を使うんですね」
「エルフの」
「人間の身体と同じ身体を」
「それを使って歌って踊る」
「そうすればいいですね」
 六人はそれならと応えました。
「そうですね」
「ではですね」
「これからですね」
「私達はエルフとしてですね」
「歌って踊ればいいですね」
「そうすればいいですね」
「そうよ、ツアーの時もね」
 レイさんはまた言いました。
「そうするのよ、ただね」
「ただ?」
「ただっていうと?」
「何かあります」
「お話して下さい」
「どんなお話ですか?」
「今ここでお話して欲しいです」
 六人でレイさんに言います、レイさんはこう言いました。
「参考には出来るわ、そして私達の出来る限りでね」
「あの人達の歌と踊りを取り入れる」
「そういうことですね」
「完全には無理でも」
「出来ることと取り入れる」
「そうすればいいんですね」
「私達は」
 六人もはっとなって頷きました、そしてそれぞれドーナツと紅茶を楽しみながらそのうえで言ったのでした。
「それじゃあね」
「あの人達の踊りを見て」
「歌もね」
「私達の出来る範囲で採り入れましょう」
「いいと思ったところをね」
「そうしていきましょう」
「そうよ、そして私達自身のよさも引き出して」
 そうもしてというのです。
「どんどんよくなることよ」
「ええ、そうしてね」
 ドロシーもそのお話を聞いて言いました。
「よくなるものよね」
「歌と踊りはそうですよね」
「そうよ」
 ドロシーはレイさんにコーヒーを飲みながら答えました。
「そして他のこともよね」
「世の中の」
「オズの国でもね」
「いいと思ったなら」
 それならというのです。
「完全でなくても」
「観て学んでね」
「取り入れることですね」
「そうしていってね」
「よくなることですね」
「見て羨ましいと思って」
 そうしてというのです。
「ひがんだり妬んだりすることはね」
「外の世界ではありますね」
「そうすることはね」
 ドロシーはお顔を曇らせて言いました。
「やっぱりね」
「よくないことですね」
「オズの国では」
「かつてのラゲドー氏ですね」
「前のノーム王だったね」
「いいものを見ても」
「そう、ひがんだり妬んだりするだけで」
 それだけでというのです。
「もうね」
「取り入れることはなかったですね」
「そうよ、そして悪いことばかりして」
 そうであってというのです。
「いいことを努力することもね」
「なかったですね」
「そうだったのよ」
「だからよくなかったですね」
「かつての妖魔達もそうだったし」
「東の魔女、西の魔女、ググも」
「そうだったから」
 だからだというのです。
「よくなくて幸せでもね」
「なかったですね」
「ひがんだり妬んだりしてね」
 ドロシーはさらに言いました。
「幸せか」
「そんな筈がないよ」
 トトも言ってきました。
「絶対にね」
「そうよね」
「それは凄く嫌な感情でね」
 ひがんだり妬んだりすることはです。
「そんな感情を持ってね」
「幸せな筈がないわ」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「その通りよね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「いいものを見たら」
「出来る限りね」
「取り入れる」
「その為に努力して」
「よくなることだね」
「その中で考えもしても」
 そのうえでというのです。
「自分なりにアレンジも加えることもね」
「いいね」
「そしてよくなっていくことよ」
「それがいいね」
「そうよ、若しね」
 ドロシーはさらに言いました。
「何も努力しないで」
「ひがんだり妬んだりばかりで」
「そうだったらね」
「かつてのラゲドー氏みたいになるね」
「そうよ、完全に模倣して」
「所謂パクリだね」
「自分のものと言うのは駄目だけれど」
 そうした行為はというのです。
「けれどね」
「それでもだよね」
「いいと思ったものをね」
「自分で出来る限りだね」
「取り入れることはね」
 それはというのです。
「本当にね」
「いいことだね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「とてもね」
「その通りだね」
 トトも確かにと頷います。
「僕もそう思うよ」
「つぎはぎ娘達の踊りだってね」
「出来る限りだね」
「いいと思ったら採り入れて」
 そうしてというのです。
「やっていくことよ」
「そうだよね」
「だからね」
 それでというのです。
「アイドルの娘達もね」
「つぎはぎ娘達の踊りを見て」
「採り入れていったらいいよ」
「いいと思ったらね」
「出来る範囲でね」
「そうよ、ではね」
 ドロシーはトトにあらためて言いました。
「ツアーのスケジュールもね」
「日程だね」
「組んでいきましょう」
「そちらも大事だね」
「そうよ、宣伝も行うし」
「ウィンキーの国中で」
「いえ、オズの国全体でよ」
 トトに笑って答えました。
「来られる人達はね」
「どんどん来たらいいんだね」
「そう、だからね」
「オズの国全体でだね」
「宣伝するのよ」
「わかったよ、それじゃあね」
「宣伝もやっていきましょう」
「そうしようね」
 トトは笑顔で応えました、そうしてです。
 皆でお仕事をしていくのでした、歌にダンスにお仕事にと皆明るい笑顔で楽しんでやっていました。








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