『新オズのブリキの樵』




                第四幕  ラベンダー熊達の参加

 樵はかかしとジョージ達五人と共にコンサートの開催地の候補地の一つの中に入りました、そこはといいますと。
「森の中ですね」
「クマセンターの」
「ここにこんな立派なサッカー場があるなんて」
「思いませんでした」
「これまた凄いですね」
「このサッカー場はクマセンターのものなんだ」
 樵はグラウンドの中を巡りつつ五人の子供達に答えました。
「だからぬいぐるみの熊達とこの森にいる皆がね」
「使われていますか」
「そうなんですね」
「ここはそうした場所ですね」
「この森の皆がサッカーを楽しむ」
「オズの国でもサッカーが行われていて」
「そうだよ、この森の人達はサッカーが好きでね」
 そうであってというのです。
「他には形を変えてアメフトやラグビーや野球も出来るよ」
「そうしたスポーツも出来ますか」
「形を変えて」
「そうなんですね」
「野球も出来るんですね」
「こちらでは」
「そうなんだ」
 まさにというのです。
「ボタン一つでサッカー場から野球場に変わるんだよ」
「しかもドームにもなれるよ」
 かかしはこのことを言いました。
「このグラウンドはね」
「開閉式ですね」
 ジョージはかかしのお話を聞いて言いました。
「それは凄いですね」
「ドームっていいですよね」
 恵梨香はにこりと笑って言いました。
「どんなお天気でもスポーツが出来て」
「しかも気温が調整出来ますから」 
 神宝も言います。
「本当にいいですね」
「オズの国も雨が降る時ありますしね、雪だって」
 カルロスはお天気のお話をしました。
「そうした時はドームだといいですね」
「気温はその地域ごとで変わらないですが」 
 ナターシャはそれでもと言いました。
「ドームだとそこで一番スポーツしやすい気温に調整出来ますしね」
「だからね」
 それでと言うかかしでした。
「このグラウンドもだよ」
「ドームなんですね」
「開閉式の」
「雨の時でも出来る」
「それも快適に」
「そうした場所ですね」
「凄くいいサッカー場なんだ」
 かかしは笑顔でお話しました。
「だからコンサートを開くにもいいんだ」
「コンサートを開くとは」
 見ればクマ伍長もいます、伍長はそのお話を聞いて言いました。
「これまた面白いことだ」
「君もそう思うね」
「私もアイドルが好きであり」 
 樵にそれでと答えます。
「歌も踊りもだよ」
「好きだね」
「私はこのサッカー場の管理責任者でもあるが」
「コンサートを開いてもいいね」
「開催地になれば」
 その時はというのです。
「大賛成である」
「そう言ってくれるんだね」
「うむ、しかしである」
 伍長はこうも言いました。
「流石にオズマ姫の主催となる」
「君がいいと言ってもね」
「まだ足りないである」
 そうだというのです。
「国王陛下とである」
「ラベンダー熊君の賛成がね」
「必要である」
「じゃあこれからね」
「王宮に行くであろう」
「そうしようね」
 こうお話してでした。
 一行は今度はクマセンターの王様とラベンダーグマがいる王宮に向かいました、そしてそこでなのでした。
 王様にお話をすると玉座の王様は笑顔で返事をしました。
「開催地になったら」
「それならだね」
「是非開催して欲しいよ」
「全くだよ」 
 王様だけでなくラベンダーグマも言ってきました。
「是非ね」
「開催してくれるかな」
「うん、開催地になればね」 
 まさにとです、樵も言います。
「その時は宜しくね」
「それならね」
「頼むよ」
「そうさせてもらうよ」
 笑顔での返事でした。
「本当にね」
「うん、ただね」
 ラベンダーグマは樵に尋ねました。
「君はさっきまでお城にいたんだね」
「今朝までね」
 樵はすぐに答えました。
「僕のお城にいたよ」
「ブリキのだね」
「そうなんだ」
「それなのにすぐに来られたんだ」
「魔法使いさんの道具でね」
 魔法と科学を用いたそれでというのです。
「ある場所に付けたら行きたい場所にも出口が出来るフープがあってね」
「そのフープを使ってなんだ」
「そう、一瞬でね」
「この森にまで来たんだね」
「そうなんだ」
 こうラベンダーグマにお話します。
「魔法使いさんの道具は色々あってね」
「それを使えばなんだ」
「移動もね」
「鉄道や飛行機を使うよりもなんだ」
「速く行き来出来るんだ」
「凄いものだね」
「オズの国の科学と魔法を用いたものだね」
 王様はすぐにわかりました。
「そうだね」
「そうだよ、移動用以外にもね」
「色々とだね」
「魔法使いさんは道具を使っているんだ」
「流石魔法使いさんだね」
「そう思うね、君も」
「心からね、若しね」
 それこそというのです。
「オズの国の技術が今のものが絶対とするなら」
「そんなものは出来ないね」
「科学も魔法もね」
「どちらの技術もだね」
「今の時点のものが絶対じゃなくて」
「どんどんね」
「進歩するである」 
 伍長も言ってきました。
「何処までもである」
「そうだよ、未来の技術はわからないから」
「夢があるである」
「果たしてどんなものが出来るか」
「生み出していくといいである」
「そうだよ、魔法使いさんも」
 この人もというのです。
「日本生まれの漫画家さんとお話してね」
「道具を生み出したであるか」
「ヒントを得てね、今は無理な技術でも」
「努力すればであるな」
「出来るよ、だから無理だ出来ないとか」 
 ここでもこのお話をするのでした。
「今の技術で否定してもね」
「愚の極みである」
「そうだよ、だからね」 
 それでというのです。
「魔法使いさんもだよ」
「沢山の道具を生み出しているであるな」
「そうなんだ」
 まさにというのです。
「努力してね」
「立派である、科学も魔法もである」
「どちらも進歩するよ」
 樵はさらに言いました。
「漫画やアニメや小説で未来の凄い技術を見れば」 
 そうすればというのです。
「もうね」
「それがどう実現出来るかであるな」
「考えてね」
「努力することであるな」
「そうすればその技術が実現出来なくても」
「何かが出来るである」
「出来ない、無理とね」
 その様にです。
「今の技術や知識であれこれ言ってもね」
「無駄の極みである」
「その通りだよ」
「若しそんなことで必死になってである」
 伍長は断言しました。
「夢を壊したとか得意になっているとである」
「小さいね」
 ラベンダーグマは一言で言い捨てました。
「何とまあつまらなく下らない行いか」
「そうであるな」
「うん、何も生み出さないでね」
「そして夢を壊すことにもである」
「ならないよ」
「そんな輩はその未来の技術にである」
「夢を持つ人達が生み出したね」
 そうしたというのです。
「それに鼻で笑われてだよ」
「終わりである」
「そんな人生送る人はオズの国にいないし」
「外の世界でもあるな」
「若しいたとしても」
 そうであってもというのです。
「科学を根拠にしていてもね」
「そんな非科学的な人はいないね」
 王様も言いました。
「だって科学は進歩するもので」
「今の科学は絶対じゃないよ」
 かかしが応えました。
「もうそれはね」
「科学を知っているとね」
「誰でもわかるものでね」
「言うまでもないからね」
「だからね」
 それでというのです。
「これ以上はないまでにだよ」
「非科学的だね」
「そうだよ、科学を何もわかっていない」
「科学を語りながら」
「そんな行いだよ」
「その通りだよ」 
 王様もまさにと頷きました。
「これ程非科学的なことはないね」
「科学でなくても学問はね」
「全てそうだね」
「そう、進歩し続けるものだから」
「非学問的でもあるね」
「そうだよ、そんな人が書いた本や主張はね」 
 そういったものはといいますと。
「間違いしかなくてね」
「下らないね」
「下らない本や主張は何かというと」
 まさにという口調で言いました。
「もうね」
「そんなものだね」
「そうだよ、もう一瞥の価値もない」
「そこまで下らないものだね」
「子供の夢は壊せないよ」
 かかしは言い切りました。
「決してね」
「物凄く大きなものだからね」
「そうだよ、ましてそんな下らない本や主張にだよ」
「何が出来るか」
「何も出来ないよ、未来に鼻で笑われてね」
 そうなってというのです。
「終わりだよ」
「その通りだね」
 王様も頷きました。
「それはもう外の世界でも実証されているね」
「今の技術や知識で未来を否定することがどれだけ愚かかね」
「エジソンさんやライト兄弟が証明してみせたね」
「そうだよ、レオナルド=ダ=ヴィンチさんが色々スケッチしたものは」 
 そうしたものはといいますと。
「当時は空想の極みだったけれど」
「実現したね」
 樵が言いました。
「あの人も今はオズの国にいるけれどね」
「ああ、あの人は確かに」
 ジョージは樵達の言葉にはっとなって言いました。
「芸術だけじゃなくて」
「色々な分野で才能を発揮されていて」
「それでだったわね」
「ヘリコプターとか想像して」
「色々スケッチしていたわ」
 五人でお話します。
「想像して」
「どうしたら出来るか」
「生み出せるか」
「考えていたよ」
「あの頃に」
「そう、そして後世の人達が生み出したから」
 樵は五人にお話しました。
「当時はもう何を描いてるかわからなかっただろうけれど」
「途方もなさ過ぎて」
「お空を飛ぶプロペラとか」
「もう夢なんてものじゃなかったですね」
「それこそ」
「魔法でしたね」
「そんなものが実現されたんだよ」
 樵は笑顔で言いました。
「もうその時点でだよ」
「わかりますね」
「今の技術や知識で未来は語れない」

「決して」
「語ればそれは愚かなことですね」
「これ以上はないまでに」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「そう言うしかないよ」
「無闇に否定して」
「それで得意になっても」
「それでもですね」
「何にもなっていない」
「無駄なことですね」
「そうだよ、本当にこんな風になってはいけないよ」
 絶対にというのです。
「人はね」
「そうですね」
「何も生み出せなくて」
「何の役にも立たない」
「レベルの低い自己満足だけで」
「これ以上はないまでに下らないですね」
「オズの国と対極にあるよ」
 そうした人はというのです。
「全く以てね」
「その通りだよ、それでだけれど」
 王様は樵の言葉に頷きつつ彼に言いました。
「候補地を巡って決定することだけれど」
「そのことだね」
「我々も参加させてくれないだろうか」
 こう申し出るのでした。
「私にラベンダーグマに伍長もね」
「三人だね」
「いいだろうか」
「君達が申し出てくれるなら」
 それならというのです。
「もうね」
「いいんだね」
「いいよ」 
 まさにというのでした。
「君達がそう言ってくれるならね」
「それならだね」
「いいよ」
 笑顔で言うのでした。
「僕はね」
「それでは」
「今オズマとドロシーに確認を取ったけれど」
 かかしは王様に自分のスマートフォンを見せつつお話しました。
「いいってね」
「言ってくれたんだ」
「一緒にやる人は多い方がいいからね」
 だからだというのです。
「そう言ってくれたよ」
「そうなんだね」
「じゃあこれから宜しくね」
「こちらこそね」 
 まさにというのでした。
「楽しくやっていこう」
「皆でね」
 笑顔でお話してでした。
 クマセンターからも助っ人が三人も加わりました、こうしてより一層豊かな顔触れになってそのうえででした。
 樵達はカエルマンとクッキーの村の近くの候補地に行きました、何とその候補地は何処にあるかといいますと。
「私の暮らしているお池のね」
「底にあるんだね」
「そうなんだ」
 カエルマンは自分が暮らしているお池のほとりにきた樵達に笑顔で答えました。
「実はお池の中は広くてね」
「それもかなりだね」
「それでだよ」
 だからだというのです。
「大きなコンサートホールもあってね」
「それでだね」
「水族館もあって」
 それと共にというのです。
「コンサートもあってね」
「それでコンサートを開催出来るね」
「そうなんだ」
「管理人はカエルマンさんです」
 一緒にいるクッキーが言ってきました。
「いつも熱心にです」
「官吏してくれているんだね」
「コンサートホールも水族館も」
 両方共というのです。
「そうされています」
「そうなんだね」
「ですから」
 それでというのです。
「若しコンサートを開けるなら」
「それならだね」
「出来ます」
「あの」 
 ここでジョージが尋ねました。
「お池の底にあってどうして行くか」
「そのことだね」
「一体」
「潜水艦があるじゃないか」
 カエルマンはジョージにも笑ってお話しました。
「それを用いてだよ」
「お池のほとりからですね」
「水族館、ホールにまでだよ」
「行けますか」
「大きな潜水艦が何隻もあるから」
 だからだというのです。
「大勢の人が来てもね」
「大丈夫ですね」
「ホールや水族館の中に潜水艦のまま入って」
 そうしてというのです。
「入ったドックでお水を出して」
「そこからですね」
「中に入られるよ」
「そうなんですね」
「だからね」
 それでというのです。
「行き来は大丈夫だよ」
「心配無用ですね」
「全くね」
 そうであるというのです。
「そのことはね」
「これもですね」
「覚えておいてね、では今からね」
「実際に中に行きましょう」
 クッキーも言ってきました。
「そうしましょう」
「まずはですね」
「実際にどんな場所か」
「この目で見ることですね」
「それが一番dすね」
「はい」
 ジョージはその通りだと答えました。
「本当に」
「ですから」
「それで、ですね」
「潜水艦に乗って」
「水中、お池の外のコンサートホールにですね」
「行きましょう」
「そうしよう」 
 樵も笑顔で頷きました。
「これからね」
「では潜水艦は私が操縦するよ」
 カエルマンは樵にもにこりとして答えました。
「これからね」
「そうしてくれるんだ」
「うん、それでホールに行こう」
「それではね」 
 こうお話してでした。
 皆で実際にカエルマンが操縦する潜水艦水面に出ている分は小さいですが水面下は結構な大きさで本当に大型のバス位の人達が乗れる広さのそれにです。
 皆で乗ってカエルマンがバスの運転手さんみたいに操縦してお池の中を進んでです。ホールの入り口に入りますと。
 すぐにホールの門、シャッター式のそれが閉じられました。ドッグの中は最初はお水に満ちていましたがそのお水が抜かれてです。
 皆お外に出られる様にしました、ドッグはお水がないと普通の港で。
 そこからシャッターが開いてホールの中に入るとでした。
「これは」
「かなり立派ね」
「いいホールだね」
「外の世界でも滅多にない様な」
「そうしたね」
「そうだね、オズの国の最先端の技術を使って造ったホールなんだ」
 カエルマンは五人にお話しました。
「ここはね」
「音響も確かそうですね」
「広くてです」
「快適な感じで」
「観客席も広くて席も多くて」
「椅子も座り心地がいいですね」
「設備も整っていてね」
 ジョージ達五人にお話します。
「そしてなんだ」
「快適にですね」
「ステージを楽しめるんですね」
「そうしたホールですね」
「それならですね」
「候補地になれますね」
「うん、いい場所だよ」 
 樵自身も言いました。
「ここはね」
「そうだね」
「ドロシーともお話するよ」
「それではね、それとだけれど」
 カエルマンはステージ今は誰もいないその空間のところに皆を案内してそのうえで樵に提案しました。
「私も候補地選びに参加していいかな」
「君もだね」
「うん、今は幸い時間もあるからね」
「だからだね」
「どうかな」
「うん、君もいてくれるならね」 
 樵はカエルマンににこりと笑って答えました。
「嬉しいよ」
「そう言ってくれるんだ」
「うん、ドロシーとお話をしたうえで」
 それでというのです。
「正式に決めるよ」
「オズマともね、そうだ」
 かかしも言いました。
「カエルマン氏だけでなくて」
「うん、クッキー嬢もね」
 彼女を見て言います。
「どうかな」
「私もですか」
「そう、君達二人がいたらね」
 それならというのです。
「さらにいいと思ったから」
「カエルマンさんに加えて」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「どうかな」
「そうですね」
「私はそうして欲しいよ」
 カエルマンはクッキーにお顔を向けて右手の人差し指を立てて言いました。
「クッキー嬢もいるとね」
「それならですか」
「いつも助けてくれていているから」
「頼りにしてくれていますか」
「だからね」
 それでというのです。
「本当にね」
「私もですか」
「今回も一緒だと嬉しいよ」
「それでは」
「これで二人だね、じゃあ樵君今からだよ」
 かかしは早樵に言いました。
「まずはね」
「ドロシーそれにオズマにね」
「カエルマン氏とクッキー嬢も候補地を探すメンバーに参加してもらうか」
「決定してもらおう」
「スマートフォンで尋ねてね」
 二人でお話してスマートフォンを出してです。
 実際にどうかと聞きますと二人共是非共と明るい声で答えました、こうしてでした。
「宜しくね」
「これからね」
「有り難き幸せだよ」 
 カエルマンが笑顔で礼儀正しく応えました。
「それではね」
「皆でね」
「候補地を観て回ってそれから決定しよう」
「お話もして」
「そのうえでね」
「そうしようね」
 笑顔でお話してでした。
 皆はまた潜水艦に乗ってお池の中を進みました、そしてお池から出ますとジョージ達五人はこんなことをそれぞれ言いました。
「まさかね」
「カエルマンさんのお池がこんなに広いなんて」
「水面は普通のお池なのに」
「中は湖よ」
「それもかなり広い」
 こうお話するのでした。
「水面も深くて」
「何か先は小さいけれど中身は大きな壺みたいだったわ」
「そんな感じだね」
「水面は瓢箪でも」
「中は大きな湯舟みたいな」
「ははは、何でも表面だけじゃ理解出来ないよ」
 カエルマンは五人に笑顔でお話しました。
「本当に一見だよ」
「あまり大きくなくても」
「表面だけ見ても」
「その実は違って」
「とても大きい」
「そんなことがありますね」
「私のお池がそうでね」
 五人にさらにお話します。
「中はとても広くてお魚も他の生きものもだよ」
「沢山いるんですね」
「広い湖みたいに」
「そうなんですね」
「それで底にはですね」
「ホールと水族館があるんですね」
「その水族館もね」
 そちらもというのです。
「私と湖の住人達がやってるけれどね」
「観るといいですか」
「機会があれば」
「そうすればいいですか」
「どんな場所か」
「自分の目で」
「そうしたらいいよ、何ならね」
 カエルマンは五人に提案しました。
「また潜水艦を動かすから」
「それで、ですか」
「水族館まで行くんですか」
「もう一度お池の底まで行って」
「そうしてですか」
「案内してくれますか」
「そうするけれどどうかな」 
 五人ににこりと笑ってさらに言います。
「これからね」
「気持ちは有り難いですが」
「また操縦してもらうのは」
「ご迷惑ですよね」
「お手数かけますから」
「ですから」
「ああ、カエルマン氏が操縦しなくてもね」
 ここで樵が言ってきました。
「僕にいい道具があるよ」
「魔法使いさんが作ってくれた」
「それがね、お水の中でも走られるバギーにね」
 これにというのです。
「浴びたら二十四時間水中でも普通に暮らしていけるライトもね」
「あるんだ」
「その二つを使えば」
 そうすればというのです。
「普通にだよ」
「水中もだね」
「普通に進めるよ」
「また凄い道具だね」
「両方共だね」
「その二つの道具もだよね」
 カエルマンは樵に唸る様にして言いました。
「魔法使いさんが日本から来た漫画家さんとお話をして作ったんだね」
「そうなんだ」
「二人の漫画家さんと」
「コンビのね」
「つくづくその漫画家さんのヒントが凄いね」
「僕もそう思うよ」
「いや、未来の科学の道具はどんなのがあるか」
 樵にさらに言いました。
「出来るか」
「そうであればいいとね」
「考えてだね」
「本当に色々な道具をだよ」
「漫画の中で考えて出していったんだね」
「そうだったんだ、そしてどの道具もね」
 それこそというのです。
「決してだよ」
「出来ない、無理じゃない」
「本当に努力と閃きでね」
「実現出来るね」
「今の科学の技術や知識で不可能と言っても」
 とんでもなく下らない人がというのです。
「それは一瞥にも値しない意見で」
「出来る、だね」
「そうだよ、だから魔法使いさんもだよ」
「生み出せているね」
「そうなんだ、それでこのお池の潜水艦もあるし」
「そのバギーもライトもだね」
「あるからね」
 だからだというのです。
「これからだよ」
「その二つの道具を使って」
「水族館に行こう」
「それではね」
「バギーは大きいから十人は乗れるよ」
 そうしたものだというのです。
「だからね」
「今から私達皆が乗って」
「水族館まで行こう」
「それではね」
 カエルマンはここでも笑顔で応えました、こうしてでした。
 皆でバギーに乗ってそのライト、浴びると水中でも普通に行動出来る様になるディープブルーライトペンライトから出るそれを浴びてでした。
 皆で水族館に向かいました、するとです。
 水族館はカエルマンと同じ人と同じ大きさで人と同じ様に立って歩き喋って服を着ている蛙人の人達がいてです。
 水族館で働いていました、そしてその中にです。
 お池の中の色々な生きもの達がいました、それぞれの生きものがそれぞれのコーナーにお池の中から常に何匹か入ってです。
 そこにいます、水族館はお池の中に浮かんでいる様でした。
「うわ、何か」
「本当にお池の中にいるみたいだね」
「お池の中とつながっていて」
「水槽は密封されてないし」
「本当にお池の中にいるみたいだね」
「そうなんだ、この水族館は特別な造りでね」
 カエルマンはジョージ達五人にお話しました。
「水族館の中に水路が巡っていて」
「そこからですね」 
 ジョージはその水路にガーが行き来しているのを見て観てました。
「それぞれの生きもののコーナーに入るんですね」
「それで僕達が観られるんですね」
 カルロスは鯰を観て言いました。
「こうして」
「大きな水槽にもいますね」
 恵梨香はとても大きなヘラチョウザメを観ています。
「ああして」
「床もガラスになっていて」
 カルロスは自分達の下を泳いでいる鱒に気付きました。
「色々なお魚が観られますね」
「上もそうで」
 恵梨香は見上げて鮭の群れを確認しました。
「本当にお池の中にいるみたいです」
「そうした造りなんだ、頑丈なガラスで造っているから」
 水族館はというのです。
「お水が入ることもないし」
「凄いですね」
「水族館にも来られてよかったです」
「物凄く見応えがあります」
「入ってよかったです」
「本当に」
「そう言ってくれて嬉しいよ、あとこのお池にいる生きものは全種類この水族館に来てくれるけれどね」
 それでもというのでした。
「恐竜はいないからね」
「チャンプとかですね」
 ジョージが応えました。
「外の世界の」
「うん、外の世界では恐竜がいるという湖があるね」
「アメリカにもありまして」
 それでというのです。
「五大湖の方にです」
「確か北のカナダとの国境にある」
「はい、そちらにいるという」
 そうしたというのです。
「恐竜じゃないかと言われている生きものです」
「外の世界では確か」
 カエルマンは思い出した様に言いました。
「恐竜は絶滅したと言われているね」
「はい」
 ジョージはその通りだと答えました。
「それは」
「そうだね」
「ですが一説にはです」
 それがというのです。
「まだ生き残っているとです」
「言われています」
「チャンプ以外にもです」
「ネッシーやミゴーやモケーレ=ムベンベとか」
「日本にもイッシーやクッシーのお話があります」
 五人でカエルマンにお話します。
「海にもそうしたお話がありまして」
「シー=サーペントがそうとも言われています」
「南アフリカの海で観たとか」
「ベトナムの方でとか」
「カナダやオーストラリアで死体が打ち上げられたとか」
「色々なお話があるね、けれどね」
 カエルマンはそれでもと言いました。
「その中に恐竜の生き残りがいる可能性もあれば」
「他の生きものの可能性もありますね」
「実際言われています」
「鯨とか大きなアザラシみたいな生きものとか」
「大きなお魚とか」
「色々言われています」
「そうだね、外の世界ではわからないね」
 カエルマンは五人の子供達のお話に頷きつつ言いました。
「どうも、けれどオズの国ではね」
「恐竜いますね」
「普通に」
「湖でも海でも」
「そして陸地でもお空でも」
「結構見られますね」
「このお池にはいないけれどね」
 それでもというのです。
「普通にだよ」
「いますね」
「僕達も見たことがあります」
「恐竜以外の生きものも」
「何かとです」
「あちこち旅をする時に見ています」
「そうだね、だからね」
 それでというのです。
「オズの国では恐竜がいるとはっきりしているから」
「ありのままですね」
「ミステリーじゃないですね」
「普通に見られるので」
「受け入れられていますね」
「そうなっていますね」
「そうだよ、それもまたオズの国だよ」
 こう五人に言うのでした。
「恐竜や他の生きものがいることもね」
「そうそう、そうした生きものは外の世界では未確認動物と言うね」
「UMAですね」
 ジョージが応えました。
「英語で略して」
「そうだね、彼等についてもしっかりと調べて」
「いないとですね」
「碌に調べずにね」
「そうして言うことはですね」
「これもまた、だよ」 
 それこそというのです。
「未来の技術を否定することと同じで」
「駄目ですね」
「そうだよ、本当に実在するか」
 その未確認動物がというのです。
「そしてどんな生きものか」
「調べることですね」
「科学的にいる筈がないってね」
 その様にというのです。
「最初から決め付けてね」
「終わってはですね」
「そこでね」
 それこそというのです。
「終わりだからね」
「よくないですね」
「そうだよ、何度も言うけれど今の技術ではね」
「未来はわからなくて」
「この世の全てもだよ」
「わからないですね」
「人の知識なんてね」
 かかしはそれこそと言いました。
「本当に大海の中のスプーン一杯だから」
「その程度ですね」
「本当にね」
 クッキーに応えて言いました。
「そんなものだから」
「今の技術も」
「そんなものでこの世の全てを語れるか」
「そんな筈がないですね」
「そうだよ、未来の技術もそうで」
 そうであってというのです。
「未確認動物についてもね」
「同じですね」
「全てを語れないよ、生物学の常識だって」
 そう言われているものもというのです。
「後で覆ることなんてね」
「普通ですね」
「そうしたものだからね」
「よく調べることですね」
「最初から無理と言ってね」 
 そうしてというのです。
「個々でも子供の夢を壊したとか得意になっていたら」
「本当に馬鹿ですよね」
「そんな人って」
「未確認動物についても」
「まずじっくり調べる」
「そのことが大事ですね」
「実際によく調べてね」
 その結果とです、かかしはジョージ達五人にも答えました。
「恐竜じゃなかったにしても」
「頭から否定しないで」
「まずは調べる」
「実際にいるのか」
「そしてどんな生きものか」
「否定しないでやっていくことですね」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「最初から否定しないことだよ」
「何かネッシーは色々言われていますけれど」
「あの湖では大きな生きものはいつもいられないって」
「有名な写真は実は偽物で」
「流木の診間違えばかりだって」
「サーカス団が立ち寄った時にいた生きものの見間違いとか」
「そうしたことを調べることもだよ」
 まさにというのです。
「学問だよ、ムシノスケ教授もだよ」
「あの人もですね」
「そう言っておられますね」
「まず否定は駄目だよ」
「よく調べることだと」
「それが学問だって」
「そうだよ、実際にね」
 それこそというのです。
「最初から否定して何を学ぶのか」
「全くだよ、最初から否定したらね」
 樵も言います。
「学問はね」
「そこで止まるね」
「進歩しないよ」
「実際に未来の技術を否定している人が進歩しているか」
「それはね」
 それこそというのです。
「どう見てもだよ」
「進歩していないね」
「あれは無理これは無理とね」
「漫画やアニメの技術を否定して」
「子供の夢を壊したと一人悦に入っているだけで」
「誰の役にも全く立っていなくて」
「世の中に何一つ貢献していなくて」
 そうであってというのです。
「本当にだよ」
「無駄だね」
「本人さんも全く成長しないし」
「これ以上はなく無駄で下らない人生だよ」
 こう二人でお話します。
「外の世界の人でも」
「そう思うね」
「全く以てね」
「そんな人生を送るなら」
 カエルマンは二人のお話を聞いて心から思いました。
「嫌だね」
「残るものなんてね」
「何もないね」
「そう、全くね」
 樵は断言しました。
「魔法使いさんとお話した漫画家さんはお二人で物凄く大きなものを残したよ」
「そうしてオズの国に来たね」
「そう、子供達を楽しませてね」
 外の世界のというのです。
「夢も与えたよ」
「本当に大きなことだね」
「けれどそんな人はね」
「夢を壊したとか得意になっても」
「全くね」
 それこそというのです。
「そんなこともなくて」
「まさに何もなくて」
「残すものなんてね」
「何もないね」
「誰の何の役にも立たなくて」
 全くというのです。
「そうしてね」
「終わるんだね」
「そうだよ、子供に夢を与えることはとても素晴らしいことで」
「そしてその夢は大きい」
「しかも美しいよ」 
 樵は笑顔で言いました。
「それがそんな下らない人にどうにか出来るか」
「出来る筈がないね」
「そうだよ、何があっても」
 それこそというのです。
「そうした人にはね」
「壊せない」
「勝手に壊したと得意になっているだけで」
 その人だけがというのです。
「本当にね」
「何にもなっていないね」
「壊されたと絶望する子供なんていなくて」
「下らないとわかって」
「一蹴されてね」
 そうなってというのです。
「終わりだよ」
「それに過ぎないね」
「そうだよ、けれど漫画家さんも僕達もね」
「全く違うね」
「そう、子供達と同じく夢を持って」
「そのうえでだね」
「何でもやっていこう」
 こう言うのでした。
「是非ね」
「そうあるべきだね、ではコンサートも」
「とても夢のあるものにしていこうね」
「そうしていこう」
 笑顔でお話してでした。
 今はカエルマンと一緒に水族館の中を巡りました、そうしてカエルマンもまた一緒にコンサートの候補地を巡るのでした。








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