『新オズのブリキの樵』
第三幕 各地を巡り
樵達がエルフのアイドルグループのコンサート会場を探して決めることになってすぐにウィンキーの色々な会場を巡ることになってです。
ドロシーは今度は大きな鏡を出して皆に言いました。
「この鏡は中に入られるの」
「鏡の世界になんだ」
「そう、そしてね」
樵にお話します。
「鏡の世界で遊べるの」
「これも魔法使いさんの生み出した道具だね」
「そう、そしてね」
ドロシーはさらにお話しました。
「移動もね」
「鏡の世界を通って」
「それが出来るのよ、しかもね」
「しかも?」
「鏡の世界を通っても時間はかかっていないから」
「時間的には一瞬でなんだ」
「行きたい場所に行けるの、行きたい場所の鏡や水面に出られるから」
即ち映る場所にというのです。
「便利よ」
「そんなものもあるんだね」
「そうなの、本当にね」
ドロシーは笑顔でこうも言いました。
「何かとね」
「魔法使いさんは二人組の漫画家さんとお話して」
「凄い道具を生み出しているわ」
「それも数多くの」
「そうなの、この鏡も使って」
そうしてというのです。
「ウィンキ―の中を巡りましょう」
「それではね」
「他にも色々あるしね」
ドロシーは他の道具も出してお話します。
「移動の道具だけでもね」
「本当に多いね」
かかしも見て驚きます。
「これは」
「そうでしょ。他にも色々な道具があるのよ」
「移動のもの以外でもだね」
「中には当てたら身体が一時小さくなるライトもあって」
懐中電灯の様な形の道具も出して言います。
「逆に大きくなるのもね」
「あるんだね」
「そうなの、変身出来る道具だってあるのよ」
「変身も出来るんだ」
「そうなのよ」
かかしにも笑顔でお話します。
「鳥でもオズの国にしかいない生きものにもね」
「じゃあ鳥になったらね」
つぎはぎ娘が踊りながら言いました。
「あたし達飛んでコンサート会場を巡れるわね」
「ええ、出来るわ」
ドロシーはにこりと笑って答えました。
「そうしたこともね」
「それじゃああたし孔雀になるわ」
つぎはぎ娘は踊ったまま言いました。
「そうしてお空を飛んで行くわ」
「孔雀って飛べないでしょ」
エリカは足に塗るとチーターみたいに速く走れるというクリームが入った容器を見ながらつぎはぎ娘に言いました。
「そうでしょ」
「オズの国では飛べるでしょ」
「ああ、そうだったわね」
エリカも確かにと頷きました。
「オズの国だとね」
「お外の世界だと飛べない鳥もよ」
「飛ぼうと思ったら飛べるわね」
「鳥ならね。それじゃあね」
「これからなのね」
「孔雀になってね」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「飛ぶのね」
「そうして探してくるわ」
「それじゃあね、私は足にこのクリームを塗ってね」
塗るとチーターの様に速く走られるというそれをというのです。
「木挽きの馬みたいによ」
「コンサート会場を巡るのね」
「そうしてね」
そのうえでというのです。
「いい会場を探すわ」
「それじゃあそれぞれね」
「道具を使って探しましょう」
「いい会場をね」
こうお話してでした。
皆それぞれ道具を使ってお空を飛んだり鏡の世界を移動したりドアを使ったり速く走ったりしてなのでした。
それぞれいい会場を探しに行きました、樵はジョージ達五人と一緒にです。
鳥になってお空を飛ぶことにしました、どの鳥になったかといいますと。
ジョージ達五人は燕になりました、ジョージは赤、神宝は青、カルロスは黄色、ナターシャは黒、恵梨香はピンクの燕になりまして。
樵はブリキの梟になりました、五人はその樵の姿を見て言いました。
「あっ、昔でしたね」
「樵さんその梟になられましたね」
「悪い女巨人の魔法で」
「それで大変なことにもなりましたね」
「そうでしたね」
「うん、あの時は困ったけれどね」
その姿になった樵が応えます。
「それでもね」
「今はですね」
「気に入っておられますね」
「そのお姿も」
「それで、ですね」
「そのお姿になられて」
「飛んでね」
お空をというのです。
「いいコンサート会場を探そう」
「オズマ姫主催でお客さんも多いですから」
「大きな会場ですね」
「それもグラウンド位の」
「それ位の大きさで」
「しかも設備もいい」
「そうした会場を探そうね」
こうお話してでした。
皆で羽ばたきました、そしてです。
お空を飛びながら上からウィンキーを見回します、そうしてそのうえでコンサート会場に相応しい場所を探しますが。
アン王女の国の傍に来てです、ジョージは言いました。
「あそこに大きなアリーナがあるね」
「そうね」
恵梨香が確かにと頷きました、五人は樵の後ろに横一列になって飛んでいます。
「かなり大きいわ」
「ちょっと見てみる?」
神宝はこう提案しました。
「どんな場所は」
「まずは見てみないとね」
カルロスも言います。
「どんな場所か」
「中もね」
ナターシャはそちらもと言いました。
「しっかりと観てね」
「決めるべきだね」
「皆の言うべきだね」
先頭を飛ぶ樵も頷きました。
「ここは」
「樵さんがそう言われるなら」
「行きましょう」
「あのアリーナに」
「それで変身を解いて」
「中に入りましょう」
「あのアリーナはスポーツを行う場所でね」
樵は皆にアリーナの方に向かいつつお話しました。
「丁度ウィンキーの交通の便のいい場所があったから」
「それで、ですね」
「造ったんですね」
「あの場所にそうしたんですね」
「あれだけ大きなアリーナを」
「そうなんですね」
「オズマと僕達が話してね」
そうしてというのです。
「決めたんだ、それで室内競技を行うけれど」
「コンサートもですね」
「行えますね」
「そうですね」
「それで、ですね」
「行かれますね」
「中を観てみよう」
こうお話してでした。
皆アリーナの傍に降り立ってそのうえで変身を解きました、するとそこに何とです。
アン=アンヤコレヤ王女がいました、後ろには何人かの国民の人達がいます。王女は樵達を見て言いました。
「あら、どうしてここに」
「いや、実はね」
樵は事情をお話しました、するとです。
王女は頷いてです、樵に言いました。
「コンサートね」
「エルフのアイドルグループのね」
「面白そうね、実はここの管理はね」
「王女の国がしているね」
「昔は私の国も小さくてね」
それでというのです。
「人も少なくて」
「このアリーナの管理もだね」
「人手がとても足りなくて」
そうであってというのです。
「無理だったけれど」
「今は大丈夫だね」
「国民がうんと増えたから」
だからだというのです。
「昔は小さな村位だったけれど」
「それがだね」
「今は町位になったから」
国の人口がというのです。
「このアリーナの管理もね」
「出来るね」
「管理人を置けて」
そうしてというのです。
「スタッフもね」
「置けているね」
「そうなの、嬉しいわ」
実際に王女は笑顔で言いました。
「本当にね」
「国が大きくなって」
「賑やかで豊かになってね」
そうしてというのです。
「アリーナの管理も出来る様になって」
「王女も嬉しいね」
「とてもね。それでコンサートを開くなら」
王女はそれならと答えました、
「是非ね」
「開いていいんだね」
「そうしてね」
こう言うのでした。
「私は大歓迎よ」
「それならね」
「そう、ただね」
「ただ?」
「スポーツの場所でもコンサート開くのがね」
王女はこのことについても言うのでした。
「最初は違和感あったわ」
「ああ、そのことはだね」
「ええ、どっちも出来るなんて」
「それはね」
まさにというのです。
「スポーツも晴れでコンサートも晴れだから」
「催しだから」
「いいんだよ」
「どちらをしてもなのね」
「コロシアムで行うのは競技ばかりじゃないね」
「お芝居だってするわね」
「だからね」
それでというのです。
「アリーナでもだよ」
「コンサート行っていいのね」
「そうだよ、それでね」
樵はあらためて言いました。
「このアリーナは候補地にだよ」
「入れるのね」
「そうさせてもらうよ」
「そうなのね、しかしね」
「しかし?」
「コンサート会場を探して決めるのは面白そうね」
王女は笑ってこうも言いました。
「だから私もお父様とお母様にお話して」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「探して決めるのに参加するのね」
「そうさせてもらいたいわ」
「僕は歓迎するよ」
こうも言ったのでした。
「是非ね」
「そう言ってくれるのね」
「うん、ドロシーにも確認取ろうね」
「今回の責任者になるのね」
「探して決定するね」
コンサートを開催する会場のです。
「だからね」
「それでよね」
「うん、今からね」
まさにというのです。
「探そうね」
「それではね」
こうお話してでした。
アン王女も参加することになりました、お国の王様も王妃様もオズの国の為になるからと快諾してでした。
樵がスマートフォンで確認を取ったドロシーもでした、こうしてです。
王女も参加しました、するとです。
早速です、王女はこう言いました。
「さて、まずはね」
「まずは?」
「変身したいわ」
樵に笑顔で言いました。
「ここはね」
「ああ、僕達みたいにだね」
「そうよ」
まさにというのです。
「鳥になりたいわ」
「うん、じゃあなろうね」
「これからね。それでね」
「僕のお城まで行くね」
「ブリキのね」
そちらのというのです。
「行かせてもらうわ」
「それじゃあなろうね」
「ええ、それでどうしてなるの?」
「このお薬を飲んでね」
白い丸薬を出して言いました。
「それでなりたいものを言えばね」
「なれるのね」
「そうなんだ」
「じゃあね」
「飲むね」
「いただくわ」
これからというのです。
「そうさせてもらうわ」
「それではね」
「じゃあ一個いただくわ」
「どうぞ」
笑顔でお話してでした。
王女は樵から丸薬を貰って飲みました、そこでこう言いました。
「鳩になりたいわ」
「鳩だね」
「赤と黄色のね」
この色のというのです。
「なりたいわ」
「じゃあ僕もね」
樵も飲みます、そしてジョージ達五人もです。
それぞれ丸薬を飲みました、するとでした。
王女は赤と黄色、お国の色の鳩になりました。樵はブリキの梟、そしてジョージ達五人はそれぞれの服の色の先程の燕達になりました。
そのうえでお空を飛ぶとまさに風よりも速く飛びまして。
すぐにお城に戻りました、するとです。
そこにはかかしに臆病ライオン、モジャボロに教授、そしてエリカとビリーナがいました。彼等もでした。
「僕達も見付けてきたよ」
「コンサートの候補地をね」
「それぞれね」
「いい場所があったよ」
「ウィンキーはいい球場やグラウンドが多くて」
「コンサート会場もね」
「うん、オズの国全体でね」
まさにと言う樵でした。
「そうした場所が多いね」
「テーマパークも多いけれど」
王女も言ってきました。
「もう国全体が、だからね」
「テーマパークだからね」
「コンサートを開く場所も」
「とても多いね」
「そうよね」
「それで候補地も多くなるね」
こう王女に言いました。
「コンサートを開くにしても」
「そうね、ただね」
王女は今いる面々を見回してお話しました。
「ドロシー王女がいないわね」
「実は今お話中なんだ」
かかしが答えました。
「オズマとね」
「コンサートのことで」
「そう、お城の中でね」
「もう帰ってるのね」
「そうなんだ、けれどね」
それでもというのです。
「コンサートのことで何かとね」
「お話することがあって」
「今は別のお部屋にいるよ」
「そうなのね」
「トトとつぎはぎ娘も一緒だよ」
ドロシーと、というのです。
「そうだよ」
「そう、そしてね」
それにというのです。
「お話が終わったらね」
「ドロシー王女も戻って来るのね」
「こちらにね」
「じゃあその時を楽しみにしてるわ」
王女アにこりと笑って言いました。
「ドロシー王女とお会いする時をね」
「アン王女ってドロシー王女お好きかな」
「大好きよ」
ジョージににこりと笑って答えました。
「あの人もオズマ姫もね」
「だからですね」
「お会い出来る機会だから」
直接というのです。
「本当にね」
「楽しみで」
「その時を待っているわ」
そうだというのです。
「じっくりとね」
「そうですか」
「ええ、たあね」
「ただね?」
「焦ることはね」
それはというのです。
「全くね」
「そうですか」
「焦っても意味ないからね」
だからだというのです。
「待つわよ、じっくりとね」
「じゃあ待つ間はね」
樵はそれならと言ってきました。
「お茶とお菓子はどうかな」
「いただいていいの」
「遠慮は駄目だね」
「オズの国ではね」
「だからどうかな、アップルティーとね」
まずは飲みものを出しました。
「アップルパイをね」
「林檎の組み合わせんね」
「王女が好きなね」
「やっぱりね」
王女は楽しそうな笑顔で応えました。
「我が国の特産品だし」
「だからだね」
「そう、本当にね」
まさにというのです。
「大好きよ」
「ティーにしてもパイにしても」
「他のお菓子にしてもね」
そうしてもというのです。
「大好きよ」
「そうよね」
「だからね」
それでというのです。
「これからね」
「出すよ」
「そうしてね」
「僕も大好きだよ」
モジャボロも嬉しそうに言ってきました。
「林檎とそのお菓子はね」
「飲みものもよね」
「そうだよ」
王女に笑顔で応えます。
「大好きだよ」
「そうよね」
「それじゃあね」
「喜んでね」
「頂くよ」
「全く以て素晴らしい食べものだよ」
教授もにこにことして言います。
「林檎はね」
「美味しいわね」
「美味しくてね」
王女ににこにことしたまま答えます。
「しかも栄養がある」
「そうしたものだから」
「本当にね」
まさにというのです。
「最高の果物の一つだよ」
「他にもいい果物は多いわね」
「キーウィもいいんだよ」
「あの果物も」
「凄く甘酸っぱくて美味しいね」
「キーウィはね」
「そうであってビタミンと繊維が豊富で」
そうであってというのです。
「凄くだよ」
「身体にいいんだね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「本当にね」
「それじゃあキーウィも食べていくわね」
「オレンジもいいしね、お野菜だと苺もね」
「美味しくて身体にいい」
「そうなのだよ、だからどんどん食べていこう」
「わかったわ、じゃあ今は林檎をね」
「食べようね」
こうお話してでした。
皆で実際に飲んで食べようとしました、するとそこでドロシーが来てそのうえで皆に言ってきました。
「あら、美味しそうね」
「ああ、今からね」
樵は笑顔で応えました。
「食べるところでね」
「私の分もあるのかしら」
「勿論だよ」
笑顔での返事でした。
「皆で食べる」
「それが一番美味しいわね」
「だからね」
それでというのです。
「ドロシーもトトもね」
「一緒に食べていいわね」
「そうだよ」
こう言うのでした、そしてです。
ドロシー達も加わりました、この娘とトトの分はありますがつぎはぎ娘は飲むことも食べることも必要ないので。
「席があればいいわね」
「僕達はね」
「そうだよね」
樵とかかしもそうです。
「飲んで食べたりしないから」
「席があればいいよ」
「そして飲んで食べる皆の笑顔を見る」
「それが僕達の栄養だよ」
「そう、そしてね」
それでというのでした。
「こうしてね」
「ここにいようね」
「笑顔が栄養ね」
王女は三人の言葉を聞いて思いました。
「確かにね」
「その通りね」
ドロシーも頷きます。
「私達もね」
「人の笑顔を見るとね」
「嬉しくなって」
「栄養になるわ」
「心のね」
「そう、だからね」
樵は二人の王女にお話しました。
「皆が食べている時はね」
「同席しているわね」
ドロシーは樵に応えました。
「いつもね」
「そうだね」
「それが心の栄養になるから」
「幾ら飲んで食べなくても」
そうであってもというのです。
「心に栄養がないとね」
「困るわね」
「だからだよ」
「貴方達も栄養を摂っているわね」
「そうなんだよ」
「若し心に栄養が届かないと」
ビリーナは思いました。
「そうなるとね」
「参ってしまうよ」
「そうなるわね」
「幸せになれないよ」
「そう、幸せよね」
「それがないとね」
本当にと言う樵でした。
「僕達でもだよ」
「困ってしまうから」
「外の世界では鬱があるね」
「ええ、聞くわね」
「それがどんなものか知らないけれど」
オズの国には鬱というものがありません、心にそうしたものがない位幸せな世界がオズの国なのです。
「落ち込むからね」
「そうなるから」
「だからだよ」
「心に栄養は必要ね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「僕達もね」
「そういうことね」
「心の栄養ね。そういえばね」
エリカはそう聞いてこう言いました。
「思えばね」
「どうしたのかな」
「コンサートもそれね」
樵に対して言いました。
「そうね」
「そう、そこはね」
「その通りだよ」
「歌とダンスを見て」
「トークもあるね」
「それに他の観客の人達と一緒に応援して」
「一体感を感じてね」
そうもなってというのです。
「高揚も味わうから」
「心の栄養になるわね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「コンサート、ライブもね」
「いいわね」
「心にね」
「そうよね」
「だからね」
樵はさらに言いました。
「今回の僕達のお仕事はね」
「心の栄養にもなるわね」
「そうしたものだよ」
「若しも」
ジョージはここで思いました。
「歌やダンスがなかったら」
「世の中物凄くつまらないよ」
カルロスも言います。
「本当にね」
「何と味気ないものになるか」
心からです、恵梨香は思いました。
「わからない位ね」
「想像することすら難しいね」
神宝は本当に想像すら出来ませんでした。
「歌や踊りがないと」
「本当にそうね」
ナターシャはどうかというお顔で言いました。
「それは恐ろしい世界かも知れないわ」
「全くだね」
「歌も踊りもない」
「そんな世界ってどうなのか」
「想像も出来ない位よ」
「果たしてどんな世界か」
五人でお話します、そしてつぎはぎ娘はこう言いました。
「それを地獄っていうのかしら」
「オズの国や外の世界とは別にある」
「その世界だね」
「ええ、あたしは全然知らないけれど」
モジャボロと教授に応えて言います。
「歌も踊りがないとね」
「まさにだね」
「地獄だね」
「ええ。そうでね」
そうであってというのです。
「そんな世界絶対に嫌よ」
「全くだね」
「我々もそう思うよ」
モジャボロと教授はアップルパイとアップルティーを楽しみながらそのうえでつぎはぎ娘の言葉に同意して頷きます。
「そうした世界はね」
「あまりにも味気ないよ」
「どれだけ面白くないか」
「夢も希望もないか」
「そう考えるとね」
「確かに地獄だね」
「そう、色々な歌や踊りがあって」
つぎはぎ娘はそれでと言いました。
「いつも楽しめる」
「そうでないとね」
「世界は面白くないよね」
「そうよ、そんな世界じゃなくてよかったわ」
こうも言いました。
「オズの国がね」
「うん、けれどね」
トトはつぎはぎ娘の言葉を受けて言いました。
「ヘレン=ケラーさんは」
「あの人は目が見えなくて耳が聞こえなかったね」
臆病ライオンが応えました。
「そうだったね」
「外の世界ではね」
「しかも言葉も出せなくて」
「最初はね」
「三重苦の中にあったね」
「そう言われているね」
「丁度」
臆病ライオンはトトに言いました。
「ドロシーも君もまだカンザスにいて」
「そう、同じ時代の同じ国にね」
「いた時期があったね」
「そうなんだ、ヘレンさんもアメリカ人だからね」
「そうだったね」
「だからね」
そうであるからだというのです。
「尚更ね」
「ヘレンさんのことを考えるね」
「うん、あの人はその歌も踊りもない」
「見ることも聞くことも出来ない」
「そうした世界にだよ」
まさにというのです。
「おられたんだよ」
「そうだったね」
「そう考えるとね」
本当にというのです。
「あの人は凄いね」
「歌も踊りもないのに克服した」
「見えない、聞こえない、喋れないね」
「そんな恐ろしい世界にいたのに」
「つくづく凄いね」
「全くだね」
こうお話しました、歌も踊りもない世界がどんなものか思って。
それでドロシーもです、こう言いました。
「誰にとってもそうした世界はね」
「嫌だね」
「歌も踊りもない世界なんて」
「ええ、そして美味しいものも食べたら駄目とか言うなら」
樵とかかしに応えました。
「もうそこはね」
「地獄だね」
「つぎはぎ娘の言う」
「それに違いなくて」
そうであってというのです。
「もう誰もよ」
「暮らせない」
「そんな世界だね」
「心の栄養なんてね」
笑顔がもたらすというのです。
「ないわ。そうした世界はコメディーやそうしたこともないでしょうし」
「笑いがなくなって」
「どうしようもないね」
「そうなるわ、人は笑わなくなると」
「もうそれだけでね」
「絶望しきるね」
「そうよ、だから歌や踊りは必要よ」
絶対にというのです。
「世界にね、そしてコメディーもで」
「美味しいものもね」
「必要だね」
「そうよ、あれも駄目これも駄目とかいう」
「禁止ばかりでね」
「美味しいものも歌も踊りもコメディーもとなると」
「それはもう何もない」
そうしたというのです。
「つぎはぎ娘の言うね」
「地獄だね」
「それになるね」
「そうなるわ」
こう言うのでした。
「だから私達は今回は」
「うん、エルフの娘達のコンサートをね」
「成功させようね」
「そうしましょう」
「そうですね、歌や踊りがある世界」
ジョージも言いました。
「それだけで違いますね」
「全くね、オズの国では誰でもね」
「いつも色々な歌や踊りを楽しめますね」
「だからね」
そうであるからだというのです。
「本当にね」
「幸せな国ですね」
「美味しいものもふんだんにあって」
「コメディーもで」
「あのお笑いの街なんてね」
「日本から人達が大勢おられる」
「豊臣秀吉さんが主の街はね」
その街はといいますと。
「本当にね」
「素晴らしい街ですね」
「色々なお笑いがあって」
「漫才に落語に新喜劇に」
「歌や踊りも一杯で」
「しかも美味しいものに満ちていて」
「野球まであるから」
だからだというのです。
「笑顔に満ちた」
「最高の街ですね」
「そうよ、それじゃあね」
「僕達は今は」
「コンサートの場所を決めましょう」
「色々巡って」
「そうしましょう、そしてね」
そのうえでというのでした。
「さっきオズマとお電話したけれど」
「結構長くお話していたね」
樵が応えました。
「そうだったね」
「ええ、実はコンサートの期間がね」
それがというのです。
「長くなるかも知れないの」
「そうなんだ」
「まだ正式に決まっていないけれど」
「そうなる可能性があるんだね」
「一日や二日じゃなくてね」
「もっとだね」
「そうなの」
樵にお話しました。
「これがね」
「僕は一日や二日と思っていたけれど」
「私もよ、けれどね」
それがというのです。
「長くなる可能性がね」
「出て来たんだ」
「そうなの」
「それじゃあ」
「ええ、何かとね」
「変わってくる可能性が出て来たね」
「日程が長くなると」
そうなると、というのです。
「その分ね」
「変わるからね」
「だからね」
そうなるからだというのです。
「今後のことはね」
「これからだね」
「考えていってね」
「それじゃあね」
樵はドロシーの言葉に頷きました。
「そうしていこう」
「そういうことでね」
「しかしね」
ここでかかしはこんなことを言いました。
「今回のエルフの娘達は有名みたいだね」
「エルフの世界でね」
「そうだね」
「もうね」
ドロシーはお話しました。
「トップアイドルなのよ」
「そのグループだね」
「どの娘も可愛くて奇麗でスタイルがよくて」
そうであってというのです。
「歌も踊りも凄くてね」
「人気なんだね」
「それでね」
「オズの国全体にだね」
「デビューすることになって」
そうなってというのです。
「それでなのよ」
「今回だね」
「オズマがエルフの王様とお話して」
そうしてというのです。
「そのデビューのコンサートをプロデュースすることになったの」
「そういうことだ」
「本当にね」
ドロシーはさらに言いました。
「歌と踊りはね」
「心の栄養だね」
「だからね」
そうであるからだというのです。
「本当にね」
「今回のコンサートは凄いものにするんだね」
「皆でね」
「それで僕達は会場を選んでいるね」
「ウィンキーの国の中から。けれど」
ドロシーは首を少し傾げさせて言いました。
「どうもその候補地がね」
「多いね」
「そうなっているわね」
「僕もそう思うよ」
「多くて」
そうなっていてというのです。
「選ぶ方もね」
「大変だね」
「そうなっているわ」
「基準として数万人のお客さんが入る会場だね」
トトが言ってきました。
「そうなるとね」
「限られてもね」
「それでもウィンキーも広くて人が多くて」
「大きな街だってあるわね」
「このお城のお隣の首都も」
ウィンキーのというのです。
「相当大きな街だしね」
「ええ、何百万も人がいるね」
「大都市だよね」
「エメラルドの都に負けない位のね」
「そうだね、他にもそうした大都市が多いし」
ウィンキーの国にはです。
「これは他の国もそうだけれど」
「マンチキン、ギリキン、カドリングもね」
「そしてエメラルドの都も」
「都自体大都市ね」
「オズの国も人口が増えて」
そうなってというのです。
「街や村が増えて」
「それぞれの人口もよ」
「相当なものになって」
そうしてというのです。
「今ではね」
「数百万の人が暮らしている大都市も多いわ」
「そうなってね」
「数万のお客さんが入られるコンサート会場も」
「幾つもあるよ」
「そうなっているわ」
「だからね」
それでというのです。
「そこから選ぶとなると」
「相当なものになっているね」
「ええ」
まさにというのです。
「私達もね」
「そうだね」
「けれどね」
「僕達としては」
「その中から選ぶのよ」
「どの会場で開催するか」
「そうなのよ」
ドロシーはトトにお話しました。
「候補地を探してね」
「その中から選ぶ」
「そうしてね」
「その会場で開催するんだね」
「そうよ」
「そうなると」
アン王女はドロシーとトトのお話を聞いて言いました。
「選ぶこともね」
「ええ、それもね」
「色々お話する必要がありそうね」
ドロシーに応えて言いました。
「そうなりそうね」
「だから皆どの候補地も見てね」
「一番いいのは何処か」
「お話もしてね」
「決めることね」
「そうするのよ」
「わかったわ」
王女はドロシーの言葉に笑顔で頷きました。
「それじゃあね」
「そうしていきましょう」
「皆でね」
「そう、皆でね」
ドロシーはまさにと答えました。
「やっていくのよ」
「そうよね」
「一人で出来ることは限られているけれど」
樵は右の人差し指を立てて頭の横にやって笑顔で言いました。
「皆で力を合わせて行うとね」
「凄いことが出来るわね」
「そう、一人では出来ないこともね」
「出来るわね」
「本当に凄いこともだよ」
王女が言う通りにというのです。
「出来るからね」
「それでよね」
「皆で力を合わせて」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「楽しくよね」
「やっていきましょう」
こうお話してでした。
皆でそれぞれの候補地を巡ることにしました、魔法使いの魔法の道具を仲よく使ってそのうえで、でした。