『新オズのかかし』




               第十幕  最高の幸せ

 次に訪問するのは国ではありませんでした、そして国家元首でもありませんでした。
「えっ、あの方もですか」
「あの方もオズの国におられたんですか」
「まさか、いや」
「有り得ますね」
「あの方も来られて」
「そうでしょ、とても素晴らしい人だから」
 ドロシーはナターシャ達五人に微笑んで答えました、今ヘリコプターはその人のお家に向かっています。
「オズの国でね」
「今は暮らしておられるんですね」
「ボームさんみたいに」
「そして他の人達みたいにですね」
「エジソンさんやベーブ=ルースさんみたいに」
「織田信長さんや関羽さんみたいに」
「そうよ、あの人が来てくれて」
 それでというドロシーでした。
「本当にね」
「嬉しいよね、ドロシーも」
「オズの国であの人のお話を聞いて」
 ドロシーはクッションの上に座っています、そこで隣にちょこんと座っているトトの言葉にも応えました。
「物凄く悲しくなっていたたまれなくなって」
「そしてだね」
「感動したわ」
「とんでもない苦難を乗り越えてね」
「生きてきた」
「素晴らしい人だね」
「なろうと思ってもなれないわ」
 とてもと言うドロシーでした。
「本当にね」
「あの人みたいにはね」
「だからね」
 それでというのです。
「オズの国に来られた時は」
「ドロシーも嬉しかったね」
「本当にね」
「まさかね」
 魔法使いも言いました。
「私達と同じ時代、それに私達の祖国でね」
「ああした偉大な方がおられるなんて」
「とてもね」
 それこそというのです。
「思わなかったよ」
「そうよね」
「そしてね」
 さらに言うのでした。
「何度お会いしても」
「その度にね」
「これ以上はないまでに素晴らしいものを感じるよ」
「そうよね」
「だからね」
 それでというのです。
「これからね」
「あの人にお会いして」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「最高に素敵な時を過ごそう」
「そうしましょう」
 ドロシーも言いました。
「本当にね」
「あの人とお会いして」
「是非ね」
「オズの国も素晴らしいよ」
 ジャックは言いました。
「けれど外の世界もね」
「素晴らしいわね」
「だってあんな人がいたんだから」
 それでとドロシーに言うのでした。
「だからね」
「それでよね」
「僕はこう思うよ」
「その通りね、オズの国はお伽の国で」
「素晴らしい国だけれど」
「外の世界もね」
 ドロシーはジャックにも言いました。
「素晴らしいわね」
「心から思うよ」
「そうね、それじゃあね」
「うん、今からね」
「ジャックもね」
「あの人と会って楽しい思いをするよ」
「心がうきうきしているよ」
 臆病ライオンも言ってきました。
「僕だってね」
「素敵な人だから」
「お会い出来ると思うだけでね」
「そうなるわね」
「よく頑張れたよ」
 臆病ライオンは心から言いました。
「ずっとね」
「最後の最後までね」
「僕にはとても無理だよ」
「私もよ」
「けれどあれだけの苦難を乗り越えて」
「それでだから」
「本当に素晴らしい人だよ」
 まさにというのです。
「そう思うしかないよ」
「全くよね」
 こうしたお話をしてでした。
 ヘリコプターは黄色い煉瓦の先にあるアメリカの古い感じのお家の前に着陸しました、古くて上品な感じのお家です。
 そのお家に着くとです、白い十九世紀後半のジョー達が着ていたみたいなアメリカの女性の服を着た整ったお顔立ちの優しい雰囲気の若い女性と濃紺の同じアメリカの女性の服を着た眼鏡をかけた知的な感じの女性が迎えてくれました。
 その女性を前にしてです、ナターシャはおずおずとした態度で尋ねました。
「貴女がヘレン=ケラーさんですね」
「そうよ」
 女性はとても優しい笑顔で答えました。
「私がヘレン=ケラーよ」
「そう、ですね」
「ええ、貴方達がオズの国の名誉市民の子達ね」
「そうです」
 まさにと答えたのでした。
「私達が」
「そうね、ようこそ我が家に」
 ヘレンさんは笑顔で答えました。
「お迎えさせてもらうわ」
「宜しくお願いします」
「ヘレン=ケラーさんにお会い出来るなんて」 
 ジョージは感動を抑えられない様子でした。
「夢みたいだよ」
「全くだよ」
 神宝も感動を抑えられない感じです。
「本当にね」
「オズの国にヘレン=ケラーさんがおられるなんて」
 カルロスは感動のあまり泣きそうになっています。
「どれだけ素晴らしいか」
「そしてお会い出来るなんて」
 まさにと言う恵梨香でした。
「オズの国に来られてよかったです」
「大袈裟よ、私は何も偉くも素晴らしくもないのよ」
 ヘレンさんは感動する五人に微笑んで答えました。
「全くね」
「いえいえ、とんでもない」
「ヘレン=ケラーさんですよ」
「あれだけの苦労を乗り越えられた」
「それで頑張って来られた」
「素晴らしい人です」
「私だけでは何も出来なかったわ」
 そうだというのです。
「本当にね」
「あっ、サリバン先生ですね」
「この方もおられて」
「それで、ですね」
「あれだけの苦難を乗り越えることが出来ましたね」
「そうでしたね」
「そうなのよ」
 まさにというのです。
「私はね」
「そうでしたね」
「サリバン先生もおられて」
「それで、ですね」
「ヘレンさんは頑張れましたね」
「ずっと」
「私はヘレンに教えただけよ」
 今度はサリバン先生が言ってきました、この人もとても優しい笑顔で言います。
「ただね」
「そうですか」
「大したことはないですか」
「そうなんですか」
「サリバン先生にとっても」
「そうなんですね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「何もね」
「こうしたことを言えることがね」
 かかしはしみじみとして言いました。
「この人達の素晴らしいところだよ」
「全くだね」
 樵はかかしの言葉に頷きました。
「あれだけの苦難を乗り越えたのに」
「それでこう言えるんだからね」
「だからね」
 それでというのです。
「僕達から見ても」
「どれだけ素晴らしい人達か」
「オズの国の宝だよ」
「よく来てくれたよ」
「私は宝かしら」
 ヘレンさんはそう言われて首を傾げさせました。
「果たして」
「私もかしら」
 サリバン先生も首を傾げさせます。
「何処が偉いのかしら」
「そうよね」
「全く何もない」
「そうだと思うけれど」
「私達より大変だった人達は多いわ」
「それこそ幾らでもね」
「とんでもないです」
 ナターシャが強い声で言いました。
「ヘレンさんは目が見えなくて目が聞こえなくてお話することが出来なかったですね」
「そうだったわ」
「そんな三十九を乗り越えたんですよ」
 こう言うのでした。
「サリバン先生と一緒に」
「だからだというのね」
「はい」
 見れば恵梨香達四人もナターシャの言葉に頷いています。
「そんな方ですから」
「私は素晴らしい人なのね」
「偉大です、しかも差別や偏見に反対されて」 
 このことも言うのでした。
「どれだけ素晴らしい方か」
「私は私の思うことを言っただけよ」
「その言ったお考えが素晴らしいんです」
「そうなのね」
「私達皆ヘレンさんを尊敬しています」
 心からの言葉でした。
「本当に」
「そう言ってくれるのね」
「何があっても」
「その言葉だけで嬉しいわ」
 ヘレンさんは自分に言ったナターシャに微笑んで言いました。
「心に留めておくわ、けれど私はね」
「ヘレンさんは、ですか」
「本当に偉くなくて。それでね」
「それで?」
「今はサリバン先生と二人でね」
 サリバン先生を見て言うのでした。
「静かに暮らしているだけよ」
「そうですか」
「今の私はね」
「それだけですか」
「それだけよ」
 こう言うだけでした。
「オズの国でね」
「そうなんですね」
「今は凄く幸せだけれど」
「ヘレンさんはオズの国に来たことが最高の幸せって言ってくれているんだよ」
 かかしが五人にお話しました。
「オズの国では怪我も病気もないね」
「死ななくて」
「とうことはですね」
「目が見えて耳が聞こえる」
「今のヘレンさんはそうですね」
「実際お話もされていますし」
「そうなの、今の私は目が見えるのよ」
 ヘレンさんは満面の笑みで言いました。
「耳も聞こえてね」
「そしてお話出来て」
「それで、ですね」
「幸せですね」
「今のヘレンさんは」
「オズの国に来られて」
「そうなのよ」
 まさにというのです。
「今の私は本当に幸せよ。サリバン先生も一緒だし」
「神様がプレゼントをくれたのよ」
 サリバン先生は笑顔で言いました。
「最後の最後まで頑張ったヘレンにね」
「オズの国に連れて来てくれたのね」
「そうなのよ。そしてね」
「目が見えて耳が聞こえる様にしてくれたのね」
「お話も出来てね」
「そうなのね」
「とても大変だったけれど」
 サリバン先生が見てもです。
「けれどね」
「それでもなのね」
「それでも頑張ったヘレンによ」
「神様がプレゼントしてくれて」
「オズの国に来たのね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「そして今ではね」
「目が見えて耳が聞こえてお話出来て」
「そのこともあってよ」
「幸せに暮らせているのね」
「そうなのよ」
「私は確かに目が見えなくて耳が聞こえなかったわ」
 ヘレンさんは自分からこのことを言いました。
「けれどね」
「それでもだね」
「外の世界でも幸せでした」
 こうかかしに答えました。
「とても」
「そうだったんだね」
「サリバン先生がいて色々な人がいてくれて」
 ご自身の周りにというのです。
「助けてくれて教えてくれて」
「色々なことを知ってだね」
「多くの国に行けて活動出来て」
「社会の為にね」
「そうしたことが出来て」
 そしてというのです。
「とても長く生きられて」
「幸せだったね」
「はい、多くの人が慕ってくれましたし」
 このこともあってというのです。
「本当にです」
「貴女は幸せだったね」
「外の世界でも。そして今は」
「目が見えて耳が聞こえて」
「サリバン先生と一緒にオズの国にいられて」 
 とても輝かしい笑顔で言うのでした。
「とてもです」
「幸せだね」
「はい」 
 そうだというのです。
「これ以上はないまでに」
「そう言ってくれるとね」
 かかしはヘレンさんに満面の笑顔で応えました。
「僕達オズの国の住人もだよ」
「嬉しいですか」
「とてもね」
 まさにというのです。
「ヘレンさんみたいな人に言ってもらうと」
「全くだよ」 
 樵も言いました。
「どれだけ嬉しいか。ではね」
「これからね」
「ヘレンさんとじっくりとお話して」
「一緒に周りを巡ったりしてね」
「楽しい時間を過ごそう」
「そうしよう」
 こうお話してでした。
 皆は実際にお家の中に案内してもらってヘレンさんそれにサリバン先生とお話をはじめました。そうしてでした。
 その中で、です。トトは思いました。
「ヘレンさんはドロシーより年上なんだよね」
「そうね」
 ドロシーは確かにと頷きました。
「生まれた頃はね」
「そうだったね」
「私やオズマよりもね」
「ベッツイやトロットよりもね」
「ヘレンさんは先に生まれているから」
「年上だね」
「そうなるわ」
 こうトトにお話しました。
「年代的にね」
「そうだったね」
「そしてね」
 ドロシーはさらに言いました。
「着ている服もね」
「その頃のアメリカのものだね」
「ジョーさん達と同じね」
「そうだね」
「服は急に変わったわね」
 サリバン先生が笑って応えました。
「特に女の人の服が」
「外の世界はそうですね」
「露出が高くなったわ」
「そうですね」
「アメリカもそうで」
「どの国もね」
「オズの国の服は昔のままであることが多いけれど」
 それでもというのです。
「スカートの丈が長くて」
「けれど外の世界だと」
「私達からしてみると驚く位に」
 そこまでというのです。
「短くなったわ」
「そうなのよね」
「この娘達は膝を隠していますけれど」
 ナターシャと恵梨香のスカートの丈を見て言います、いつも通りナターシャの着ている服は黒くて恵梨香はピンクです。もっと言えばジョージは赤、神宝は青、カルロスは黄色です。
「けれど」
「外の世界を見ると」
「本当に驚きます」
 ドロシーに笑って言いました。
「あまりにも短くて」
「私達が外の世界にいた頃からは考えられない位に」
「そうですから」
 だからだというのです。
「驚くばかりです」
「全くよね」
「あらゆるものは変わるからね」
 かかしはそれでと言いました。
「だからね」
「服もですね」
「時代と共に変わってね」
 サリバン先生にお話するのでした。
「それでだよ」
「スカートの丈も短くなりますね」
「そういうことだよ、オズの国でも着ようと思えば」
「ミニスカートもですね」
「着られるよ」
 そうだというのです。
「そうだよ」
「そうですね」
「どうも僕達はそうした服は着ないけれどね」
「オズの国の人達は」
「ファッションはね」
 そちらはというのです。
「昔ながらのものが好まれるね」
「そうですね」
「どの国の人達もね」
「着物なんか素敵ですよね」
 ヘレンさんが言ってきました。
「日本の」
「そうだよね、そういえばヘレンさんは」
 かかしはヘレンさんが日本の着物についてお話したところで言いました。
「来日もしているね」
「三度行っています」
「そうして歓待してもらったね」
「その都度でした」
「よかったね」
「そしてこの世界でもです」
 まさにというのです。
「日本の人達や日本の文化にです」
「触れているね」
「はい」
 そうだというのです。
「楽しんで」
「そうなのだね」
「勿論他の国の文化にもです」
「触れてるんだね」
「そうしています」
 まさにというのです。
「いつも」
「そうなんだね」
「平和でありたいなら」
「お互いを知ることだよ」
「そのことはです」
 ヘレンさんはかかしに言いました。
「外の世界にいた時からです」
「ヘレンさんの考えだね」
「はい、ですから」
 それでというのです。
「今もです」
「オズの国の中でだね」
「色々な国の人達とお会いして」
「文化に触れているね」
「そうしています」
「いいことだね」
「私は確かに目が見えず耳も聞こえず」
 そうであってというのです。
「話すことも出来ませんでした」
「そうだった、けれど」
「そのことがです」
 かかしに確かな声で言いました。
「私に他の人達に対して考えることと」
「思いやり、優しさだね」
「そう言われるものになるでしょうか」
「そうだね」 
 かかしはその通りだと答えました。
「貴女はそうしたものを備えたね」
「そうであればです」
「嬉しいね」
「はい、このうえなく」
 かかしに微笑んで答えました。
「そう思います」
「僕もだよ、貴女は外の世界での困難からね」
「多くのものを得ましたね」
「そうなったよ、例え五体満足でもね」
 そうであってもというのです。
「勿論そうでなくてもね」
「心が備わっていないならですね」
「その人は駄目だよ」
「そうですね」
「しかしね」
 それでもとです、かかしはさらに言いました。
「貴女は備えたからね」
「いいのですね」
「この上なくね、だからアメリカ以外の人や文化を理解して」
「触れることが大好きです」
「今もだね」
「そして人種の違いもです」
 それもというのだ。
「私はないとです」
「ずっと考えていたね」
「肌の色が違うと言われても」
 それでもというのです。
「私は見えず聞こえずだったので」
「関係なかったね」
「そうでした」 
 まさにというのです。
「全く」
「そうだよ、しかも見えても聞こえてもね」
「それでもですね」
「人種の違いなんてね」
「何もないですね」
「人の能力なんて全く変わらないよ」
 かかしはきっぱりと言いました。
「その人の努力次第でね」
「何ともなりますね」
「貴女とサリバン先生がそうじゃないか」 
 かかしは手振りを交えて言いました。
「苦難があっても乗り越えた」
「努力で、ですか」
「そのこと自体がね」
 まさにというのだ。
「証拠だよ」
「そうですか」
「そう、まして人種間の違いなんてね」
「何もないですね」
「まさにね、肌や髪の毛や目の色が違っても」
 そうであってもというのです。
「全く違わないよ」
「人はですね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「そうですね」
「そこを理解するかどうかで」
「全く違いますね」
「その通りだよ、スポーツでも学問でもね」 
 そうしたものでもというのです。
「努力すればね」
「同じですね」
「ハルク=アーロンさんなんか凄いよ」
 ジャックがこの野球選手の名前を出しました。
「物凄いホームラン打つよね」
「あの人とね」
 樵も言いました。
「ベーブ=ルースさんどっちが凄いか」
「ルースさんは白人でね」
「アーロンさんは黒人だけれどね」
「どっちの人も凄いよ」
「本当にね」
「僕張良さんにお会いしたことあるけれど」
 臆病ライオンはこの人の話をしました。
「凄く頭がいいよ」
「うん、魏徴さんの真面目さもいいよね」
 トトはこの人のお話もしました。
「魏徴さんは学問もあるけれど」
「全く違うね」
「そうだよね」
「そしてね」
「真面目だからね」
「お二人共仙人さんでもあるし」
「オズの国で仙術を身に着けて」
 そうしてというのです。
「凄くなったね」
「本当にね」
「一体人種や国の違いが何か」
 ドロシーも言いました。
「考える必要があるね」
「本当にそう思います、私達五人は人種も国も違いますが」
 ナターシャはドロシーに応えて言いました。
「こうしていつも一緒にいます」
「宗教も違っていたりしますが」
 神宝も言います。
「それでもです」
「一緒にいてお話して遊んでいますと」
 それならと言うジョージでした。
「そうしたことは何でもないとわかります」
「大事なのはその人の性格ですよね」
 カルロスも言いました。
「そうですよね」
「お勉強やスポーツはその人の努力次第です」
 まさにと言う恵梨香でした。
「そのことがわかりました」
「君達の通っている学校は世界中から人が来ているからね」
 かかしは五人にも言いました。
「外の世界のそこはね」
「はい、そうですから」
「だからです」
「僕達いつも世界中の人と一緒にいて」
「色々お話をして遊んで」
「お互いをわかっているつもりです」
「そうだね、そのことはとても素晴らしいことだよ」
 かかしは笑顔でお話しました。
「本当にね」
「全くですね」
「僕達もそう思います」
「世界中の人と一緒にいてです」
「お話をして遊んで」
「お互いを知りますね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「そのことは平和への第一歩だよ」
「お互いを知って理解する」
「そのことがですね」
「平和への第一歩ですね」
「そうですね」
「そこからなんですね」
「そうだよ、だからこれからも皆と仲良くしていこうね」 
 こう言うのでした。
「本当にね」
「かかしさんの言われる通りですね」
 サリバン先生も言ってきました。
「まことに」
「そう言ってくれるんだね」
「はい、他にもです」
「平和でいられるのはどうすればいいか」
「それはです」
 まさにというのです。
「色々とありますが」
「外の国にはね」
「そうです、ですがお互いを知って理解することは」
「外の世界でも重要だね」
「そこは同じです」
「そうだね」
「ヘレンはその考えをです」
 サリバン先生はヘレンさんを見て微笑んでお話しました。
「見事なまでにです」
「備えているね」
「はい」
 そうだというのです。
「彼女の苦難がです」
「備えさせてくれたね」
「苦難に打ち勝っていく中で」
 そこでというのです。
「備えていきました」
「人種的偏見がなくて」
「他の国の人や文化への理解する力を得て」
「そして優しさや思いやりもね」
「身に着けました」
「そうだね」
「そうなりました」
「若し私が目が見えず耳が聞こえず話すことが出来なかったなら」 
 ヘレンさんも考えるお顔になって言いました、
「そうなっていたか」
「わからないんだね」
「そうかも知れません」
「苦難が素晴らしいものを与えてくれる」
「そうかも知れないんだね」
「若しかして」
 こうかかしに言うのでした。
「そうも思います」
「そうなんだね」
「そして今は」
「オズの国でだね」
「こうして目が見えて耳が聞こえて」
 そうであってというのです。
「お話も出来る」
「そのことがだね」
「やはり嬉しいです」
「そうなのだね」
「とても」
「いいことだね」
「そう思います、それでなのですが」
 ヘレンさんはお話が一段落したと見てでした、そのうえでその場にいる皆に足してこんなことを言ったのでした。
「お昼ですし」
「お昼ご飯だね」
「そうしませんか」
「実はです」
 サリバン先生が微笑んで言ってきました。
「ヘレンはホットドッグが大好きなんです」
「それで今もです」
 そのヘレンさんも言いました。
「ホットドッグをよく食べていまして」
「それでだね」
「今日のお昼もです」 
 まさにというのです。
「ホットドッグがあります」
「そうなんだね」
「はい、そして」
 そのうえでというのです。
「野菜スティック、ハムと玉葱と人参と大蒜のスープもです」
「出るんだね」
「チキングリルも出ます」
「いいね」
「かかしさんもそう思われますね」
「美味しいものの名前を聞くことは好きだよ」
 かかしはヘレンさんに笑顔で言いました。
「いつもね」
「そうなのですね」
「それを聞いた皆の顔が笑顔になるからね」
 だからだというのです。
「本当にね」
「お好きですね」
「美味しいものの名前を聞くことがね」
「僕もだよ」
 樵も言ってきました。
「名前を聞くだけでね」
「いいよね」
「本当にね」
「だからね」 
 それでというのです。
「ホットドッグと聞いても」
「嬉しくなるね」
「ついついね」
「それでデザートは何かな」 
 ジャックはヘレンさんに尋ねました。
「それで」
「ケーキです」
 ヘレンさんはにこりと笑って答えました。
「そちらです」
「ケーキなんだ」
「はい、苺の」
「白いケーキかな」
「生クリームのです」
「あれだね」
 そこまで聞いてです、ジャックはとても嬉しそうに言いました。
「日本のケーキだね」
「日本で生まれたケーキでしたね」
「その苺と白い生クリームのケーキはね」
「そのケーキはオズの国で好きになりました」
「日本のケーキだからだね」
「そうです、では皆さんで」
「一緒にね」
「お昼を食べましょう」
 こうお話してでした。
 皆でお昼を食べました、見ればヘレンさんは本当にホットドッグが好きでとても美味しそうに食べます。
 その中で、です。こんなことを言いました。
「辛子を忘れない」
「そのことは絶対よね」
「オズの国でもね」
 サリバン先生ににこりと笑って答えました。
「何があっても」
「貴女はホットドッグが好きでね」
「それでね」
 そのうえでというのです。
「いただく時はね」
「マスタードは絶対ね」
「これがあってこそね」
「ホットドッグは最高ね」
「ホットドッグだけでも最高だけれど」
 それでもというのです。
「さらにね」
「最高になるわね」
「ベストのね」
「さらにベストね」
「そうなるわ」
 こう言うのでした。
「まさにね」
「その通りね」
「ハンバーガーでもそうですよね」
 ナターシャは笑顔で言いました。
「マスタードは必要ですね」
「その通りね」
 ヘレンさんはナターシャにも応えました。
「そちらにも」
「そうですよね、ケチャップもです」
 ナターシャはこちらもと言いました。
「必要です」
「そうなるわね」
「やっぱり、ただ」
「ただ?」
「私ロシア人ですが」
 ナターシャはここで自分の国のお話をしました。
「ホットドッグもハンバーガーも好きです」
「そうなのね」
「昔はどちらもロシアではありませんでした」
「アメリカのお料理だからよね」
「どちらも」
「それではね」
「入ってきませんでした、それが入りまして」
 ロシアにもというのです。
「皆食べる様になりまして」
「貴女も食べて」
「そうしてです」
 そのうえでというのです。
「今ではよく食べます」
「そうしているのね」
「外の世界でもそうでして」
「オズの国でもよね」
「そうです」
 まさにというのです。
「今みたいにです」
「よく食べるのね」
「そうしています」
「それは何よりね」
「色々な国のお料理を食べる」
 ドロシーが言ってきました。
「このことも平和にとってはいいことよ」
「その国を知ることになりますね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「だからね」
「それで、ですね」
「皆でね」
 実際にというのです。
「食べていきましょう」
「色々な国の食べものを」
「オズの国でもね」
「そうするといいですね」
「そこからも他の国のことを知られるし」
 ドロシーは野菜スティックを食べながらにこりと笑って言いました、マヨネーズを付けて食べています。
「美味しい思いも出来るわね」
「はい、確かに」
 ナターシャはその通りだと答えました。
「本当に」
「だからね」
「それで、ですね」
「これからもね」
 まさにというのです。
「外の世界でもオズの国でもね」
「色々な国の食べものを楽しむことですね」
「そうよ」 
 まさにというのです。
「そうしていったらいいわ」
「そうですか」
「そう、そしてね」
 それにというのでした。
「今はヘレンさんが大好きな」
「ホットドッグをですね」
「楽しみましょう」
「わかりました」 
 ナターシャは確かなお顔で頷きました、それは恵梨香達四人も同じでした。そうして皆でお昼を食べてです。
 皆でヘレンさんのお家の中やお庭を見せてもらいました、ヘレンさんご自身が案内してくれてサリバン先生も交えてです。
 皆で観て回りました、そうしてからでした。
 かかしはお庭のお花を観る中で皆にこんなことを言いました。
「この優しい雰囲気がね」
「それがですね」
「ヘレンさんだね」
 こう言うのでした。
「本当に」
「そう言われますと」
 サリバン先生はあかしの言葉に頷いて言いました、お庭にあるお花も百合等優しい雰囲気のものばかりです。
「そうですね」
「お家全体がね」
「お家は住んでいる人の色が出ますので」
「そうだね」
「それで、ですね」
「このお家はね」
「ヘレンの優しさが出ていますね」
「この上なくね」
「そうですね」
 サリバン先生もその通りだと答えます。
「私もそう思います」
「そうよね」
「はい」
 まさにというのです。
「私も」
「そうだね、だからね」
「このお家はですね」
「ヘレンさんの雰囲気がね」
「出ていますね」
「もうヘレンさんそのものの様な」
 そこまでのというのです。
「優しいね」
「雰囲気に満ちていて」
「そしてね」
 そうであってというのです。
「こうして僕達もね」
「おられて」
「そうしていてね」
「優しい雰囲気に包まれて」
「心が癒されるよ」
「そうなるんですね」
「そうだよ」
 笑顔で言うのでした。
「心からね」
「そうなのですね」
「人は苦難に打ち勝つと」
 そうすると、というのです。
「その分素晴らしいものを手に入れるんだ」
「そうなのですね」
「オズの国では楽しいことをして手に入れるけれど」
「外の世界ではですね」
「時としてね」
 サリバン先生に穏やかな声でお話します。
「苦難もあるよ、苦難は受けるとね」
「大変ですね」
「ヘレンさんもそうだったね」
「そうでした」
 サリバン先生はその通りだと答えました。
「それがどれだけ大変だったか」
「サリバン先生も知っているね」
「ずっと傍にいましたので」
 だからだというのです。
「そのつもりです」
「そのつもりじゃなくてまさにね」
「誰よりもわかっていたと」
「思うよ、苦難はね」
 それはというのです。
「外の世界にはあるよ」
「楽しいことだけでなく」
「オズの国は楽しいけれど危機一髪な」
「そうしたことはありますね」
「僕達もどれだけ経験してきたか」
 あと少しでどうなっていたことか、かかしはドロシーと出会ってから自分達に起こった様々な出来事を思い出しつつ言いました。
「その中でね」
「経験を積まれましたね」
「そしてヘレンさんもだよ」
「苦難に打ち勝って」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「とても優しい人になったんだ」
「そうなのですね」
「うん、それでお家もね」
 今自分達がいるこの場所もというのです。
「とてもね」
「優しい雰囲気に包まれていますね」
「そうだよ、ではね」
「それではですね」
「今はね」
「この雰囲気をですね」
「心から楽しんでいいかな」
 サリバン先生に優しい笑顔で言いました。
「そうしていいかな」
「どうぞ」
 ヘレンさんが優しい笑顔で答えました。
「皆さんが望まれるだけ」
「それではね」
「そうされて下さい」
 こうお話してでした。
 皆はヘレンさんのお家の中をこの人が出しているとても優しい雰囲気の中で案内してもらいました、そうしてでした。
 出発の時が来るとヘレンさん達にお別れを告げました、その時はもう歴訪が終わっていたのでエメラルドの都に戻ったのでした。








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