『新オズのかかし』




                第九幕  温かい心になって

 一行は今度は小さな街の事務所の前に来ました、ドロシーはそのお店の前に皆を案内してからお話しました。
「ここがなのよ」
「スクルージさんのお家ですね」
「そうなの、それでね」
 ナターシャにさらにお話しました。
「この街も国でね」
「何かです」
 ここでナターシャはこう言いました。
「この街は昔のロンドンみたいですね」
「十九世紀中頃ね」
「そんな頃でしょうか」
「スクルージさんの時代のね」
「その頃のロンドンですね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「その頃よ、そしてスクルージさんはこの国の」
「国家元首ですね」
「そうなのよ」
 こうナターシャにお話しました。
「オズの国ではね」
「そうなんですね」
「それで今からね」
「スクルージさんにお会いして」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「お話をするのよ」
「わかりました」
「そしてね」
 それでというのです。
「皆で入るけれど」
「この事務所に」
「外観は小さな事務所だけれど」
「実は違いますか」
「どうしてそうなのか」
「そのこともですね」
「これからわかるわ。じゃあ中に入りましょう」
「わかりました」
 こうしたお話をしてでした。
 皆で事務所の中に入りました、すると中には痩せた穏やかな皺だらけの顔立ちのお年寄りの人がいてです。
 その人より少し若い位の男の人もいました、ですがその人は。
「お身体透けてるから」
「幽霊だね」
「ってことはね」
「この人がマーレイさんだね」
「そうよね」
「そうだよ、わしがマーレイだよ」
 幽霊の人はその通りだと答えました、見ればお二人共十九世紀中頃のイギリスの男の人の服を着ています。
「スクルージと一緒に働いていたね」
「そうですね」
「やっぱりマーレイさんでしたか」
「幽霊ですからわかりました」
「スクルージさんと幽霊っていいますと」
「やっぱりですね」
「わしだね、今では仲良くだよ」
 スクルージを見て言うのでした。
「オズの国で暮らしているよ」
「ははは、いい国でね」
 スクルージは気さくに笑って言いました。
「毎日楽しいよ」
「不満はないんだね」
「何もないよ」
 トトにも笑顔で答えました。
「本当にね」
「嫌なことを感じることも」
「ないよ、だからこうしてだよ」
 まさにというのです。
「いつも笑顔でね」
「過ごせているんだね」
「温かくね」
「そうそう、冷たいとね」
 それならというのです。
「それだけでどれだけ駄目であるか」
「君はわかったんだね」 
 臆病ライオンもスクルージに言いました。
「そうだね」
「よくね」
「そうなんだね」
「それはわかるよ」
 しみじみとして言う樵でした。
「僕だってね」
「貴方は確か」
「うん、最初は温かい心が欲しいとね」
「思われていましたね」
「そうだったんだ」
 こうスクルージに言うのでした。
「それでドロシー達と冒険をしたんだ」
「エメラルドの都まで」
「そうだったんだ」
 こうお話するのでした。
「かつてはね」
「そうでしたね」
「そして最初から持っていたとね」
「私に言われてね」
 魔法使いが笑って言ってきました。
「かかし君の知恵と臆病ライオン君の勇気とね」
「お二人共ですね」
「一緒だとわかってね」
「よかったとなりましたね」
「そうだったんだ」
 魔法使いもスクルージに笑顔で答えました。
「三人共ね」
「私は働いてお金を稼ぐことだけを考えて」
 スクルージはかつての自分のことをお話しました。
「そうして」
「他のことはだね」
「一切です」 
 それこそというのです。
「考えていませんでした」
「それが貴方の人生だったね」
「はい、ですが」
「見るに見かねて」
 マーレイが言ってきました。
「それで私がクリスマスに出て」
「そうしてだったわね」
 ドロシーがマーレイの言葉に頷きました。
「スクルージさんを諭してくれたわね」
「三人の精霊達と一緒に」
「そうだったわね」
「若しマーレイと彼等がいなかったら」
 どうだったかとです、スクルージは言いました。
「今私はここにいません」
「温かい心もなくて」
「本当に碌な未来をです」
「迎えていなかったわね」
「絶対に」
 そうだったというのです。
「確信しています」
「そうよね」
「全く以て」
 さらに言うスクルージでした。
「クリスマスにマーレイが来てくれて」
「よかったわね」
「感謝してもしきれません」
 こうも言うのでした。
「本当に」
「そうよね」
「あの、それでなのですが」 
 ここでナターシャがドロシーに聞きました。
「この事務所は」
「外から見ると狭くてね」
「中は随分とです」
「広いわね」
「ドロシーさんが言われた通りに」
 事務所の玄関の前で、です。
「そうでしたね」
「玄関は依然のスクルージさんのお心なのよ」
「狭くて小さい」
「そして殺風景だったわね」
「はい、とても」
「けれどね」
「事務所の中はとても広くて」
 ナターシャはそれでと言いました。
「暖かいです」
「しかも奇麗で」
 恵梨香も言います。
「隅から隅まで」
「しかも色々なものがあって」
 神宝は事務所の中にあるものを見回しました。
「賑やかですね」
「絵や彫刻や壺があって」
 そしてと言うジョージでした。
「お花にカーテン、椅子にテーブルにペンにパソコン」
「何でもあって」 
 カルロスもお部屋の中を見回しています。
「いい感じですね」
「それが今の私という訳だよ」
 スクルージは五人の子供達にもお話しました。
「要するにね」
「そうなんですね」
「暖かくて広くて奇麗で」
「色々なものがある」
「そうしたお部屋がですね」
「スクルージさんのお心を映し出してるんですね」
「そうなんだ、今はマーレイとね」
 幽霊のその人を見て言います。
「事務員のボブ=クラチットそれに三人の精霊と暮らしているよ」
「過去、現在、未来だね」
 かかしが応えました。
「そうだね」
「それぞれの精霊達です」
「彼等だね」
「はい、それでなのですが」
 スクルージはさらに言いました。
「皆さん立ったままなので」
「座ってかな」
「お話しましょう、そろそろクラチット君達も戻ってきます」
「今は外出中なのかな」
「はい」
 そうだというのです。
「仕事で」
「そうなんだね」
「もうすぐ戻ってきます」
「それは何よりだね」
「それで彼等が戻ってきたら」
 スクルージはさらに言いました。
「お話しましょう」
「さらにだね」
「お茶も淹れますので」
「皆の分をだね」
「温かいお茶を」
 それをというのです。
「淹れさせてもらいます」
「お茶も温かいね」
「はい、それでなのですが」
 スクルージはさらに言いました。
「以前は紅茶を飲みましても」
「何とも思わなかったんだ」
「ただ飲んでいるだけで」
「水分補給だね」
「そう思うだけで」
 それでというのです。
「他にはです」
「思わなくてだね」
「それで、です」
 そうであってというのです。
「味気ないものでした」
「紅茶もだね」
「それに紅茶を飲むだけで」
「ティータイムもなかったんだ」
「そうでした」
 かつてはというのです。
「一緒にお菓子を食べることも」
「そうだったんだね」
「お菓子なぞお金の無駄だと」
「思っていたんだね」
「そうでして」
「食べなかったんだね」
「無駄と思ったものは徹底して省いて」
 そうであってというのです。
「働いてお金を稼ぐ」
「そのことだけを考えていたんだね」
「ずっとそうでした」
「それが変わってよかったわ」
 ドロシーはここまで聞いて言いました。
「お菓子は食べるだけでね」
「心が楽しくなりますね」
「そうしたものだからね」
「食べるといいですね」
「ティータイムでもね、紅茶もいいけれど」
「その紅茶に加えて」
「さらにね」 
 まさにというのです。
「お菓子もあればね」
「尚いいですね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「私も今はそう思います」
 スクルージはドロシーに答えました。
「心から」
「お菓子もあればいいわね」
「食べることはただ生きる為ではなく」
 お菓子に限らずというのです。
「楽しむ為でもあり」
「だからね」
「美味しいものはいいですね」
「そうよ、それにね」
 さらにというのです。
「お料理のことを考えるだけで」
「心が楽しくなりますね」
「それだけね、そして」
「そして?」
「もうすぐなのね、クラチットさん達が戻って来るのは」
「そうです、あと少しです」
 スクルージもそうだと答えます。
「ですからそろそろお茶を淹れて」
「そうしてなのね」
「お菓子も台sます」
「そしてティータイムね」
「丁度三時ですし」
「いい時間ね」
「嬉しいです」
「どうして嬉しいと言えるのですから」
「ティータイムを楽しめて」
 それでというのです。
「しかも皆さんと」
「その二つのことが嬉しいのね」
「はい」
 まさにというのです。
「本当に」
「そうなのね」
「ティータイム自体も嬉しくて」
「お茶にお菓子が楽しめて」
「しかも皆さんとですから」
「スクルージは今ではこうなんです」 
 それでと言うマーレイでした。
「誰かと一緒にお話をしたりティータイムを過ごしたり」
「そうしたことがなのね」
「大好きなのです」
「そうなったのね」
「かつては本当に仕事ばかりで」
 そうであってというのだ。
「只紅茶を飲んで机に向かっている」
「それだけだったのね」
「そうでした」
 まさにというのです。
「かつては」
「不愛想に」
 スクルージ自身も言います。
「ただ机に座って」
「紅茶を飲みつつペンを動かしていたのね」
「そうでした」 
「それだけで」
「本当に味気なかったです」
 かつてのスクルージの生活はというのです。
「そうしたものでした」
「それが変わって」
「そうです」 
 まさにというのです。
「マーレイ達のお陰で」
「そうなったのね」
「そうです、では今から用意をします」
「お手伝いをするわ」
「そうしてくれますか」
「駄目かしら」
「ご好意だけ受け取らせてもらいます」
 これがスクルージの返事でした。
「今は」
「そうなの」
「お客様なので」
 だからだというのです。
「おもてなしさせて下さい」
「そうしていいのね」
「宜しいでしょうか」
「そう言ってくれるなら」 
 スクルージの心を汲んで、でした。
 皆はスクルージがティータイムを用意してくれるのを待ちました、すると若いスクルージ達と同じ様な服を着た茶色の髪の毛と目の青年とです。
 フェアリーとお髭の男性、お顔にヴェールを被ったフードの男性が来ました、その彼等こそがなのでした。
「過去の精霊よ」
「現在の精霊だぜ」
「未来の精霊だ」
「私達に名乗ってくれたのね」 
 ナターシャはこのことをすぐに察しました。
「そうなのね」
「そうだね」
「多分ドロシーさん達はこの人達ともう顔見知りだし」
「それじゃあね」
「僕達に名乗ってくれたね」
「そうよね」
「そうだよ」
 青年の人も言ってきました。
「僕はボブ=クラチットだよ」
「スクルージさんのところで働いておられる」
「そうだよ」
 こうナターシャに答えました。
「ロンドンにいた頃からね」
「そうですね」
「うん、そしてね」
「そして?」
「楽しく暮らしているよ」
「オズの国に」
「クリスマスの頃からね」
 その頃からというのです。
「スクルージさんがマーレイさんと再会した」
「その時からですか」
「そうなったよ」
「お帰り」
 スクルージはここでクラチットに声をかけました。
「今丁度準備が出来たよ」
「ティータイムのですね」
「そう、そしてね」
 それにというのです。
「ぢょうど君達が帰って来る頃に合わせてたし」
「それで、ですね」
「今からね」
 まさにというのです。
「食べよう」
「わかりました、それじゃあ」
「席に着いてくれるかな」 
 クラチットにまた声をかけます、非常に優しくて暖かい言葉でした。
「いいかな」
「わかりました」
「ではお茶とお菓子を楽しみながらお話をしよう」
 こうしてでした。
 クラチット達も戻ってです、そのうえで。
 着席してそうして一緒に紅茶、ミルクティーにお菓子を楽しみました。そのお菓子は三段のティーセットでした。
「僕は食べないけれど」
「それでもだね」
「見ていていいね」
 ジャックはかかしに言いました。
「このセットはね」
「ティーセットはね」
「うん、とてもね」
 本当にというのです。
「楽しい気持ちになれるよ」
「エクレアにね」
 かかしはまずは上段のそれを見ました。
「バウンドケーキにね」
「ドライフルーツにナッツだね」
「中段と下段はね」
「そうなっているね」
「見ていてね」
 そうしていてと言うかかしでした。
「いい感じだね」
「そうだよね」
「僕も食べないけれど」
「見ているとね」
 そうしていると、というのです。
「それだけでね」
「楽しいよね」
「とてもね」
 ジャックににこりと笑って答えました。
「そうだよ」
「そうだね、やっぱりね」
「食べものそれに飲みものは栄養だよ」
「僕達にとってもね」
「全く以てね」
「だからね」
 それでというのです。
「これからね」
「皆に飲んで食べてもらうね」
「ティーセットをね」
「ティーセットを楽しむ」
 スクルージは深く考えるお顔で言いました。
「ささやかな様で」
「素晴らしいことだね」
「楽しく落ち着ける」
「そしてお友達ともお話出来てね」
「笑顔になれます」
「そうしたものだね」
「そのティータイムもです」
 ミルクティーを飲みつつ言うのでした。
「かつての私はです」
「見なかったね」
「見ようとしませんでした」
 そうだったというのです。
「紅茶を飲んでも」
「それだけだったね」
「本当に喉を潤すだけで」 
 そうしたものでというのです。
「しかも節約ばかり考えて」
「薄いものだったね」
「クラチットに煎れさせても」
 その時もというのです。
「出来る限り薄くする様に言って」
「濃いと怒ったんですよ」
 そのクラチットも言います。
「無駄遣いだって」
「兎に角無駄遣いといいますか」
 スクルージは言いました。
「無駄遣いがです」
「嫌いだったね」
「はい」
 まさにというのです。
「そうでして」
「それでだね」
「兎角です」
「紅茶も薄くしてだね」
「飲んでいました、お菓子なぞは」 
 ティーセットのそれはというのです。
「本当に無駄とです」
「思っていて」
「食べませんでした、ティータイムは時間の無駄だと」
 その様にというのです。
「思っていました」
「そして無駄だとだね」
「一切です」
 それこそというのです。
「しませんでした」
「忌み嫌っていたね」
「笑うことすらです」
 このことすらというのです。
「無駄だと思っていました」
「ただ働いてお金を稼ぐ」
「そのことだけでした」 
 まさにというのです。
「私は」
「味気なくてもだね」
「一切です」
 それこそというのです。
「構わないとです」
「思っていたんだね」
「まさにです」
「そうとさえ思って」
「味気ない、温かさも優しさもない」
「そうした暮らしだったね」
「全くの間違いでした」
 スクルージはきっぱりと言いました。
「そんな一生を送ってもです」
「いいことはないね」
「楽しさや喜びもです」
「なかったね」
「そうしたもの一切から背を向けて」
 そうしてというのです。
「暮らしていても」
「意味はないね」
「はい」
 かかしにきっぱりと答えました。
「そうしたものは」
「全くだよ」 
 樵はスクルージのお話をここまで聞いて本人に言いました。
「そんな人生何なのかな」
「そうなりますね」
「何も残らないね」
「私達はそのことを見せたんです」
 過去の妖精が答えました。
「このままではどうなるか」
「それを見せる為です」
 現在の妖精も言います。
「私達が動いたのは」
「マーレイの考えによって」
 未来の妖精も言いました。
「スクルージに見せました」
「いいことをしたよ」
 樵は妖精達に心から答えました。
「全く以てね」
「そうですね」
「本当にそう思います」
「お陰で彼は救われたのですから」
「荒療治だと思いました」
 そのマーレイも言います。
「ですがああしないとです」
「スクルージさんはわからなかったんだね」
「私もわからなかったので」 
 ジャックに答えました。
「それで」
「成程ね、そうだね」 
 ジャックはまさにと頷きました。
「お話を聞くとそうだったね」
「怖いものも見せたと」
「未来の妖精さんの時は」
「このままだとどうなるかと」
「スクルージさん本人に見せて」
「荒療治と」
 その様にというのです。
「思ったにしても」
「行ったね」
「そうして」
 そのうえでというのです。
「何とかしたということで」
「そういうことだね」
「未来って変わるからね」
 トトはそのスクルージが見た自分の未来から言いました。
「その行い次第で」
「そうそう、どうするかでね」 
 臆病ライオンはトトのその言葉に頷きました。
「それでね」
「変わるからね」
「そうなんだよね」
「だからスクルージさんも変わったね」
「運命がね」
「そうなったね」
「そうだよ」
 魔法使いもその通りだと答えました。
「まさにね」
「未来は変わるね」
「その時の行動次第で」
「いい行動はいい未来を導くよ」
 そうするというのです。
「確かにね」
「そうだよね」
「まさにね」
「そう、そしてね」
 それでというのです。
「マーレイさんは幽霊になって」
「スクルージさんを助けようと動いで」
「スクルージさんに妖精さん達に見せてあげて」
「そしてね」 
 その結果というのです。
「スクルージさんは救われたんだ」
「そうだね」
「実際にね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「その通りだよ」
「そうだよね」
「スクルージさんも温かくなる様に動いたからね」
「それでよくなったよ、そしてね」
 それにというのです。
「今ここにいるんだ」
「その通りです、マーレイにはいつも感謝しています」
 スクルージは魔法使いに答えました。
「私を助ける為に動いてくれて」
「見ていられなかったんだ」
 そのマーレイの言葉です。
「お前さんをな」
「このままでは救われない」
「そうだからな」 
 それ故にというのです。
「わしもだよ」
「動いてくれたんだな」
「そうしてよかったよ」
 マーレイも微笑んで言いました。
「実際に優しく温かくなって」
「そして救われて」
「今だってな」
 バウンドケーキを食べるスクルージに言いました。
「オズの国にいるしな」
「こうしてな」
「本当によかったよ」
「それでこの国だけれど」
 ドロシーはミルクティーのカップを片手に言いました。
「一つ気付いたのはね」
「何でしょうか」
「街並みは本当に十九世紀のイギリスね」
「ロンドンですね」
「私が聞いているね」
「そうですね、実際にです」
 スクルージは笑顔で答えました。
「この街は私が外の世界で暮らしていた頃のロンドンです」
「そうよね」
「その部分ですね」
「そうよね」
「ただあの時のロンドン程はです」
 そこまではというのです。
「大きくなくて」
「人も少ないわね」
「数千人位ですね」
「それ位ね」
「そしてその街で、です」
「貴方は主ね」
「市長をさせてもらっています」
 ドロシーに笑顔で言いました。
「私ならとです」
「皆選んでくれたわね」
「はい」
 まさにというのです。
「そうしてくれました」
「そうよね」
「この街は一つの国ですが」
「貴方は市長ね」
「そうなっています」
「あの、何か」
 ナターシャは二人のお話をここまで聞いてドロシーに言いました。
「国によって国家元首が違いますね」
「スクルージさんは市長さんですが」
 ジョージもドロシーに言います。
「ロビンソンさんは大統領で」
「ジムさんもそうでしたね」
 神宝も言いました。
「あの人も」
「樵さんは皇帝ですし」
 カルロスは樵を見て言いました。
「本当に違いますね」
「オズマ姫は王女ですし」
 恵梨香はオズの国全体の国家元首である彼女のことを思い出しました、何しろオズの国の国家元首といえばこの娘なので。
「それぞれ違いますね」
「国によって何かと違うものでしょ」 
 ドロシーは自分に尋ねた五人にこう答えました。
「王様が政治をしたり選挙で選ばれた人が政治をしたり」
「はい、違いますね」
「言われてみますと」
「国によって違います」
「王様が治める国もありますし」
「大統領が政治をする国もあります」
「そこはそれぞれだから」
 その国によってというのです。
「国家元首もね」
「国によって違いますね」
「大統領だったり皇帝だったりしますね」
「市長さんや王様だったり」
「色々違うんですね」
「そしてオズの国全体はね」
 それはといいますと。
「もうね」
「はい、オズマ姫ですね」
「王女であられる」
「あの人ですね」
「あの人が国家元首ですね」
「オズの国全体の」
「そうよ、ただオズマは女帝でも女王でもなければ」 
 こうも言うドロシーでした。
「大統領でも市長でもないのよ」
「王女ですね」
 ナターシャが言いました。
「そうですね」
「私やベッツイ、トロットと同じね」
「そうですね」
「オズの国では王女でもね」
「国家元首になれますね」
「そうよ、外の世界では国家元首になれば」 
 その時はというのです。
「もうね」
「女帝や女王になりますね」
「そうでしょ」
「はい、イギリスとかそうですね」 
 ナターシャはその通りだと答えました。
「まさに」
「そうでしょ、国家元首になるまでは王女でも」
「お姫様でもですね」
「即位したらね」
「女王ですね」
「それで帝国ならね」
「女帝ですね」
 ここでナターシャはロシアの女帝だった人達のことを思い出しました、かつてはロシアにそうした人達がおられたのです。
「そうなりますね」
「そうでしょ、けれどオズの国ではね
「そこが違いますね」
「そう、そしてね」
 そうであってというのです。
「オズマもね」
「王女のまま国家元首でおられますね」
「そうなのよ」
「何でも外の世界では皇帝は王様より偉いらしいね」
 その皇帝である樵の言葉です。
「そうだね」
「そうだよ」
 かかしが答えました。
「皇帝は王様を任命出来るよ、そして帝国の中に王国があったりもね」
「するね」
「そうなんだ、ムシノスケ教授の本で読んだよ」
「そうだね」
「けれどオズの国ではね」
「そこは違うね」
「エメラルドの都の国家元首がね」 
 その人がというのです。
「オズの国全体の国家元首だよ」
「そうなっているね」
「オズの国ではね」
「外の世界とは違うからね」
「オズの国はね」
「お伽の国だしね」
 このこともあってというのです。
「それでだよ」
「王女のまま国家元首になれるね」
「オズマにしてもね」
「そうだね」
「外の世界とは何かと違うことはね」
 このことはというのです。
「本当にね」
「よくわかっておくことだね」
「その通りだよ」
「皇帝もね」
 樵は自分のことを言いました。
「ウィンキーの国家元首だけれど」
「外の世界とは違うよ」
「そうだね」
「外の世界で言うなら」
 かかしはそれならと言いました。
「オズマは国際連合の事務総長かな」
「確か国連で一番偉い人だね」
「国連は外の世界の国が参加しているね」
「外の世界の殆どの国がね」
「その国連の国家元首みたいな人だから」
「オズマはだね」
「外の世界で言うとね」
 そう例えると、というのです。
「国連事務総長かな」
「一国の皇帝よりも上にある」
「国連を国家としたらね」
「オズの国全体を治める」
「オズマはそうなるよ」
「国連事務総長だね」
「王女であってね」 
 それと共にというのです。
「オズの国全体の国家元首だから」
「そのことをよく覚えておくことだね」
「そうすべきだよ」
「そうだね」
 樵もまさにと頷きました、そうしてです。
 皆がティータイムを楽しむことを彼とかかし、ジャックといった飲んだり食べたりする必要のない面々は見て楽しみました、それはマーレイも同じでした。
 それが終わってからです、マーレイはスクルージに言いました。
「あらためて街を案内させてもらおうか」
「そうだね」
 スクルージはマーレイの言葉に賛成しました。
「それがいいね」
「ドロシー王女達がいいと言うなら」
「それならね」
 その時にというのです。
「そうしよう」
「それではね」
「お願い出来るかしら」
 そのドロシーの言葉です。
「よかったら」
「はい、それでは」
「今から案内させてもらいます」
 二人で答えました。
「皆さんをこれから」
「この街を」
「何度か来たことがあるし」
 この街にはと言うトロシーでした。
「この事務所に来るまでも見せてもらったけれど」
「あらためてですね」
「ご覧になられたいですね」
「ええ、だからね」 
 それでというのです。
「お願い出来るかしら」
「はい、それでは」
「案内させてもらいます」
「これからです」
「そうさせてもらいます」
「それじゃあね」
 二人の返事を受けてでした。
 ドロシーはにこりと笑って応えました、そうしてです。
 使節団の一行はスクルージ達に国の中を案内してもらいました、するとでした。
「確かにロンドンだけれど」
「十九世紀中頃の」
「お空は曇ってないし」
「霧もないし」
「澄んだ感じがするね」
「ははは、外の世界のロンドンといえば」
 スクルージはナターシャ達五人に笑って応えました、皆で一緒に街の中を歩いています。彼とマーレイが先頭にいます。
「霧だよね」
「お空は曇っていて」
「それで雨ですね」
「スモッグですね」
「あの頃は工場の煙も凄くて」
「そうだけれどね」
 それがというのです。
「ここはオズの国だからね」
「それで、ですね」
「何かと違いますね」
「そうなんですね」
「霧も雨もないですね」
「煙も」
「だから澄んでいますね」
「いつも青空で温度も快適で」
 そうであってというのです。
「快適なんだよ」
「十九世紀のロンドンの街並みでも」
「やっぱりオズの国なんですね」
「快適ですね」
「過ごしやすいですね」
「そうした街ですね」
「そうだよ、思えばロンドンは何でもあって便利だったけれど」
 それでもというのです。
「雨と霧は常だったよ」
「しかも寒かったですね」 
 クラチットが言ってきました。
「そうでしたね」
「いつもね」
「セーラさんも言っておられますね」
「彼女もロンドンにいたからね」
「そうでしたからね」
「何でも揃っていて便利でも」
 そうした街でもというのです。
「寒くてね」
「雨も霧も多いですね」
「煙だってね」
「そうでしたね」
「それこそね」
 スクルージは笑って言いました。
「霧が出たら手を前に出して」
「自分の手首が見えなくなる位でしたね」
「そうだったよ」
「凄い霧でした」
「そして今思うとその霧がね」
 それがというのです。
「とてもね」
「ロンドンでしたね」
「そうだったよ」
「今では懐かしいですね」
「今も霧は出るけれど」
 それでもというのです。
「雨も降って」
「あの時みたいにいつもじゃないですね」
「それがね」
「また違いますね」
「そうだね」
 スクルージは微笑んで答えました。
「この国の霧はね」
「いつもじゃないですね」
「晴れる時が多いよ、けれどね」
「晴があって雨も霧もある」
「そうだからね」
 それでというのです。
「色々な気候が楽しめてね」
「いいですね」
「そうだね、それならね」
「是非ですね」
「これからもね」
「オズの国で、ですね」
「一緒に楽しく過ごそう」
「そうしていくことですね」
「今はね」
 こうしたお話をしてでした。
 皆で国の隅から隅まで見て回りました、昔のロンドンの趣のある国はとても奇麗でした。オズの国にあるのでオズの国の素晴らしさもあって尚更でした。








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