『新オズのかかし』
第八幕 宝島
一行はロビンソンさんの島の後で港町である国に来ました、そこは静かな港町であり一見すると国ではありませんでしたが。
「この街も国でね」
「それで、ですか」
「宝島の国ですね」
「あのジム=ホーキンスさんの国ですね」
「海と島で大冒険をした」
「あの人の国ですね」
「そうだよ、この国はね」
かかしはナターシャ達五人にお話しました。
「彼の国だよ」
「今度は宝島ですか」
「あの冒険は凄かったですね」
「よく生きて帰られましたね」
「どうなるかってはらはらしましたけれど」
「生きてお宝も手に入ってよかったです」
「本当にそうだね、それでね」
さらにです、かかしは五人に言いました。
「今からこの国の大統領に会おうね」
「その人がですね」
ナターシャが尋ねました。
「ジム=ホーキンズさんですね」
「そうだよ、彼だよ」
「そうですね」
「その彼のお家に行こう」
「わかりました」
ナターシャも他の四人も笑顔で頷きました、そうしてです。
一行は一見の宿屋に来ました、そこは古い木造の建物で居酒屋でもあります。四十代の十八世紀位ののイギリスの服を着ているご夫婦が迎えてくれまして。
小柄な茶色の髪と目の男の子と若い逞しい長身の青年に鸚鵡が出てきました、その少年こそがでした。
「僕がジム=ホーキンズだよ」
「あの大冒険をした」
「かつてね、今はこの国の大統領だよ」
ナターシャににこりと笑って答えました。
「オズの国の中にあるね」
「そうなんですね」
「うん、そしてね」
ジムはさらに言いました。
「この国は僕が暮らしていてね」
「大冒険から戻ってですね」
「暮らしているね」
そうしたというのです。
「港町がそのままだよ」
「国になっていますね」
「そうなんだ、僕とね」
「そちらの人がベン=ガンさんですね」
「そうだよ」
青年さんが笑顔で答えました。
「僕がベン=ガンだよ」
「あの島におられた」
「そうなんだ」
まさにというのです。
「僕はね」
「そうですね」
「そう、そしてね」
さらに言うのでした。
「僕の肩に止まっているのが」
「フリントである」
鸚鵡は自ら名乗りました、胸を張って威張った感じですがそれがまた結構愛嬌があっていい感じです。
「宜しくである」
「あの海賊と一緒にいた」
「そうである」
「そうなのね」
「じゃあ国の中を案内して」
ジムはお仕事のお話をしました。
「そしてね」
「そうしてだね」
樵が応えました。
「さらに」
「はい、船に乗って」
そうしてとです、ジムは樵に答えて言いました。
「そしてです」
「船の上でお話をするんだね」
「そうしましょう」
こうお話してです。
皆はまずはジムとベンそれにフリントに国の中を案内してもらいました。国は小さな港町でしたが昔のイギリスの建物と周りの景色特に海のそれがよくてです。
「前にも来たことがあったけれど」
「僕もね」
トトと臆病ライオンはその海を見てお話しました。
「海が奇麗だよね」
「見事なマリンブルーだね」
「何処までに拡がっている感じで」
「波がきらきらしていて」
「とてもいいね」
「そうだね」
「うん、建物や景色は昔のままだよ」
ジムは二匹に笑顔でお話しました。
「この島はね」
「そうなんだね」
「あの小説のままなんだね」
「けれど電気やガスや水道は通っていて」
そうであってというのです。
「スマートフォンもあるよ」
「いやあ、便利だね」
ベンはそのスマートフォンを出して笑顔で言いました。
「こうしたものは」
「あの大冒険からだね」
「そう、今ではね」
まさにとです、ベンはジャックに答えました。
「文明の利器に囲まれているよ」
「オズの国のだね」
「科学と魔法の中でね」
「この街もそうで」
「僕達もね」
「いやはや便利なものである」
ベンの左肩にいるフリントも言いました。
「パソコンもスマートフォンも」
「全くだね、今ではオズの国の何処でもね」
魔法使いがフリントのその言葉に応えました。
「自然とね」
「普通にね」
「パソコンもスマートフォンも使えるである」
「テレビも観られてね」
「ガスや水道も使えるである」
「そうだね」
「いやはや便利になったである」
しみじみとした口調で言うフリントでした。
「世の中は」
「そもそも深い眠りに入ったら」
それでと言うジムでした。
「この国に来ていたんだ」
「オズの国になのね」
「はい」
ドロシーに答えました。
「僕達は」
「多くの人と同じね」
「深い眠りに入ってですね」
「目が覚めるとね」
「オズの国に来ていますね」
「私は何度か。竜巻や大嵐でね」
そうしたものでというのです。
「来ているけれど」
「僕達みたいに来る人も多いですね」
「ボームさんがそうだしね」
王室の歴史編纂をしているその人もというのです。
「だからね」
「それで、ですね」
「貴方達もね」
「そうして来て」
「それがね」
オズの国ではというのです。
「普通よ」
「そうですね」
「それでオズの国に来てどうかしら」
「悪いことは何もありません」
ジムはドロシーに笑顔で答えました。
「本当に」
「そうなのね」
「何一つとして」
「快適ね」
「とても」
はっきりと言い切った言葉でした。
「本当に」
「それは何よりよ」
「いい国ですね」
「そうよね、そしてこの国もね」
「いい国ですか」
「何度かお邪魔してるけれど」
それでもというのです。
「来る度に思うわ」
「いい国とですか」
「とてもね」
「それは何よりです、僕達もいい国にしようと思って」
そうしてとです、ジムはドロシーにお話しました。
「お父さんお母さんがやっている宿屋、居酒屋でもあるそちらで暮らしながら」
「大統領のお仕事をしているわね」
「そうしています」
「ちなみに僕が主席補佐官で」
「吾輩が国務長官である」
ベンとフリントも言いました。
「そしてである」
「彼がだよね」
「そうである、副大統領である」
かかしに答えました。
「この国の」
「この国はアメリカ風だね」
「国家制度はそうである」
「そこがちょっとロビンソンさんのところとは違うんだよね」
「あちらはフライデーさんが首相であるからな」
「親戚やご家族が議員さんでね」
「吾輩達も議会はあるであるが」
この国にもというのです。
「またである」
「違うね」
「同じ大統領制の国家でもである」
「そうだね」
「面白いことである」
こう言うのでした。
「実に」
「あの、それでなんですが」
こでナターシャが尋ねました。
「副大統領の人は」
「まさかと思いますけれど」
恵梨香も尋ねます。
「あの人ですか」
「あの人以外考えられないですが」
神宝も言います。
「宝島ですと」
「やっぱりあの人ですよね」
ジョージはまさかと思いつつも言いました。
「他に思い当たらないですが」
「あの人なら」
それならと言うカルロスでした。
「まさにですが」
「そう、君達が思っている通りだよ」
かかしが答えました。
「彼がこの国の大統領だよ」
「やっぱりそうですね」
「あの人ですね」
「他にどなたも思い浮かばなかったです」
「ジムさんにベンさんにフリントで」
「もう一人となると」
「そうだよ、彼だけれど今は何処かな」
かかしは五人に応えつつでした、ふと海の方を見て言いました。
「さっき船に行くと言っていたけれど」
「その船にです」
ジムがかかしに答えした。
「僕達のもう一人の仲間がいます」
「やっぱりそうだね」
「我が国の副大統領が」
笑顔で言うのでした。
「います、そこでお昼にしましょう」
「彼は料理上手でもあるからね」
「そうなんです、船では料理晩もしていましたし」
「そうだったね」
「料理はもう」
それこそというのです。
「お手のものです」
「そうだね、では国の中を見せてもらった後は」
「はい、船は港にありますので」
「その船にだね」
「乗りましょう」
こうお話してでした。
皆は国の中を案内してもらってでした。
そのうえで今度は港に行ってそこで舟に乗りました、するとそこには片足で真っ黒い濃い髭を生やした真っ赤な海賊の船長の船と帽子それに白いズボンを身に着けたその人がいてそれで笑顔で挨拶をしてきました。
「ようこそ宝の船に」
「貴方はまさか」
「そのまさかさ」
片足の人は笑顔で応えました。
「わしの名はジョン=シルバー、お嬢ちゃん達も知ってるな」
「あの海賊の」
「そうさ、しかし今ではな」
「この国の副大統領ですか」
「そしてこの船の船長でな」
そうであってというのです。
「料理人でもあるんだ」
「そうなんですね」
「じゃあちょっと軽い航海をしながらな」
ジョン=シルバーはナターシャに応えて言いました。
「昼食にしようか」
「これからですね」
「丁度いい卵があるからな」
だからだというのです。
「オムレツを焼くか」
「オムレツですか」
「そしてベーコンとジャガイモも焼こう」
こちらもというのです。
「そしてセロリとオニオンと人参とハムのスープだ」
「スープもありますか」
「そしてトマトやレタスをサラダにして」
そうもしてというのです。
「パンもある、デザートはオレンジだ」
「オレンジもあるんですね」
「ああ、そしてラム酒もあるが」
お酒もというのです。
「ちゃんと嬢ちゃん達も飲める子供用の酒もあるからな」
「飲んでいいんですね」
「そこにな」
そのラム酒にというのです。
「ライムを絞った汁を入れてな」
「飲みますね」
「それが船乗りの飲み方なんだよ」
「そうそう、そうして飲まないと」
ジムがここで言ってきました。
「壊血病になるからね」
「外の世界じゃそうだったな」
「それで今もね」
「わし等はそうして飲んでるんだよな」
「船の上だとね」
「それで今日も昼もな」
「副大統領が作ったお料理とね」
「そっちを楽しもうな」
「そうしようね」
こうしたお話をしてでした。
皆は船での時間を過ごすことになりました、船は出港して港町の傍の海を遊覧しはじめました。そうしてです。
皆で甲板の上にテーブルと席を出してジョンが作ってくれたお料理を楽しみました、どのお料理もとても美味しくてです。
皆青い海と空を眺めつつ食べてです、笑顔で言いました。
「いやあ、こうして海の上で食べるって」
「このこともいいね」
「ジョンさんのお料理も美味しいし」
「ライム汁を入れたラム酒もよくて」
「いいわね」
「喜んでくれて何よりだ、遠慮はいらないからな」
ジョンも食べています、そのうえでナターシャ達五人に言うのでした。
「どんどん食ってくれよ」
「わかりました、ただ」
ナターシャはオムレツ、大きくてケチャップをかけたそれを食べつつ言いました。
「ジョンさんは海賊で」
「ああ、大統領達とな」
「裏切ったりして」
「何度もやり合ったな」
「そうでしたね」
「それは昔のことでな」
それでとです、ジョンはバーコンとジャガイモをバターで炒めたものを食べながらそのうえで答えました。
「今はな」
「ああしたことはですか」
「しないさ、わしは地獄に行くってな」
その様にというのです。
「思っていたけれどな」
「オズの国におられますね」
「嬉しいことにな、多分な」
「多分?」
「わしを好いてくれる人が多くてな」
そうであってというのです。
「オズの国に来られたみたいだな」
「そうなんですね」
「ああ、どうもな」
そうだというのです。
「わしが思うにな」
「君は確かに悪人だったね」
かかしも言います。
「けれどね」
「それでもですか」
「何処か憎めないところがあって」
そうであってというのです。
「そして人として確かなものはあったから」
「だからですか」
「好きな人が多くてね」
「オズの国に来られたんですね」
「ジム達と一緒にね」
「そうなんですね」
「そう、そして」
それにというのでした。
「君は今この国の副大統領だけれど」
「そうですが」
「冒険の時みたいに叛乱を起こそうって考えているかな」
「まさか、もう悪いことはしませんよ」
ジョンは笑って答えました。
「全く」
「そうだね」
「悪いことをしたらいけないですよ」
「今はそうした考えだね」
「あの航海の後わしは女房と暮らす様になって」
それでというのです。
「穏やかで悪いことをせずに暮らせたら」
「それでいいとだね」
「思う様になりまして」
それでというのです。
「もうです」
「悪いことはしないね」
「心を入れ替えました、そして深い眠りに入ったら」
「オズの国に来ていたんだね」
「あの国に」
船の甲板から自分達の国その港町を見て答えました。
「そうでした、起きたらそこにジム達もいて」
「それでなんだ」
「はい、一緒に暮らしはじめて」
「政府もだね」
「作って政治をしようってお話にもなりまして」
それでというのです。
「今はです」
「こうしてだね」
「ジムが大統領、ベンが補佐官で」
「フリントが国務長官だね」
「もう普通にです」
そう言っていい位にというのです。
「国の中で決まりました」
「そうなんだね」
「はい、この国がオズに来たのはわし等がいたからだと」
「国民の人達に言われてだね」
「すぐに決まりました」
そうだったというのです。
「これが」
「成程ね」
「そしてです」
そのうえでというのです。
「わしはこの国の副大統領として」
「働いているんだね」
「今はそうしています」
「奥さんともどうかな」
「幸せに暮らしてますよ」
笑顔での返事でした。
「ちゃんと」
「そのこともいいことだね」
「悪いことなんかしなくても」
それでもというのです。
「本当にです」
「楽しくね」
「暮らせたら」
「それでいいね」
「そういうことですよ」
「不思議とです」
ジムはここでこんなことを言いました。
「副大統領とは色々あっても」
「裏切られたりだね」
「生きるか死ぬかになっても」
それでもというのです。
「嫌いじゃないです」
「君もだね」
「信頼出来るところもです」
「あったね」
「外の世界でも」
そうだったというのです。
「僕も」
「そうだね」
「そうなんですよね」
ベンも言ってきました。
「副大統領は不思議と憎めなくて」
「信頼出来るね」
「そうした人です」
こうかかしにお話します。
「本当に」
「そうだね」
「女房、子供達と幸せに暮らせたら」
そのジョンの言葉です。
「私はもうです」
「悪事なんかしないでだね」
「幸せに暮らしますよ、むしろです」
「いいことをしてかな」
「暮らせたら」
それが出来ればというのです。
「もうです」
「それでいいね」
「そうですよ」
今はというのです。
「本当に」
「いいことだね、ただね」
「ただ?」
「君は今もお料理を作っているけれど」
かかしと樵とジャックはいつも通り食べていません、それで彼等の前には空のお皿やコップがあって雰囲気だけがあります。
「得意料理は何かな」
「実はオズの国に入ってからメニューが増えまして」
「そうなんだね」
「特にシーフードが」
こちらを使ったお料理がというのです。
「増えました」
「そうなんだね」
「イギリスはどうしてもです」
自分達の祖国はというのです。
「お料理は」
「あまり、だね」
「そうでして。シーフードなんて」
「あまり使わないよね」
「ですがこの国は海に面していて」
そうであってというのです。
「普通にです」
「シーフードも豊富だね」
「それでそちらを使った」
「お料理をよく作る様になったんだね」
「フランスやイタリアやスペインの料理に」
それにというのです。
「中華料理に」
「和食だね」
「お刺身得意ですよ」
かかしに笑顔で答えました。
「よく作ります」
「お刺身いいよね」
臆病ライオンはお刺身と聞いて喉を鳴らしました。
「僕も好きだよ」
「僕もだよ」
トトも言いました。
「美味しいよね」
「本当にね」
「それでカルパッチョもです」
ジョンはこちらのお料理もと言いました。
「よく作ります」
「そうそう、オリーブオイルと塩胡椒で味付けして」
魔法使いが笑顔で応えました。
「食べるんだよね」
「あちらもいいですね」
「そうだよね」
「それで僕達三人いつも楽しんでいます」
ジムも笑顔で言います。
「副大統領のお料理を」
「副大統領は料理が趣味でして」
ベンも続きます。
「生きがいだそうで」
「この前はアクアパッツァ作ったよ」
フリントも言います。
「鱈のね」
「それはいいわね」
ドロシーは鱈のカルパッチョと聞いて応えました。
「鱈もね」
「はい、それのカルパッチョを作りまして」
「ジム達と一緒に食べたのね」
「そうしましたら」
そうしたらというのです。
「これがまた美味しくて」
「よかったのね」
「ミニトマトと香草に大蒜も沢山入れまして」
そうしてというのです。
「作りました」
「お話を聞くだけで美味しそうね」
「でしたら」
ジョンはそれならと応えました。
「今夜どうでしょうか」
「その鱈のアクアパッツァをなのね」
「作ります、お刺身とカルパッチョも」
そうしたお料理もというのです。
「作りますよ」
「そして私達もなのね」
「召し上がって下さい」
「そうしていいのね」
「是非」
まさにというのです。
「そうして下さい」
「それではね」
「面白い夜になりそうだね」
樵はそうなることをすぐに察しました。
「今夜も」
「そうだね」
ジャックは樵のその言葉に頷きました。
「その時は」
「皆で美味しいシーフードのお料理を楽しんで」
「僕達はそれを見てね」
「楽しい夜になりそうだね」
「歌も踊りもあればいいね」
「そうだね」
「歌でしたら」
ジムはそれならと言いました。
「僕達はいつもです」
「歌ってるんだ」
「そうなんだ」
「そうです、船乗りの歌や海の歌を」
樵とジャックにお話しました。
「いつもです」
「歌ってるんだね」
「そして踊ってるんだ」
「そうしています」
「そこは船乗りだね」
「船に乗っていた時と同じだね」
「やっぱり海は大好きです」
ジムは笑顔で答えました。
「ですから」
「それでだね」
「今もだね」
「船や海の歌を歌っています」
「そうしているんだね」
「今も」
「そうです」
まさにというのです。
「僕達は」
「あの」
ここでナターシャがジムに尋ねました、ライム汁を入れた子供用のアルコールがないラム酒を飲んでからです。
「お聞きしたいことがありますが」
「何かな」
「ジムさん達は冒険をされましたね」
「そう、それが今の僕達のはじまりだよ」
「それで多くのお宝も得ましたけれど」
「ああ、そのお宝は今何処にあるか」
「はい、一体」
このことを尋ねるのでした。
「何処にありますか」
「それはね」
ジムは笑顔で答えました。
「あるけれど使ってないよ」
「そうなんですか」
「だってオズの国にはおお金がないね」
「はい」
ナターシャはその通りだと答えました。
「お金がなくても何でも手に入ります」
「お店もあるけれどね」
「お店でもですね」
「普通にお金を使わないでね」
「笑顔が代金ですね」
「そうだからね」
そうした国だからだというのです。
「お宝は近所の山の洞窟にあるけれど」
「あるだけですか」
「そうだよ」
こうお話しました。
「あのお宝はね」
「そうなんですね」
「わしももう見向きもしないよ」
そのお宝を何としても手に入れようとしていたジョンの言葉です。
「オズの国では使わないからね」
「だからですね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「全くね」
「使わないですね」
「もうね」
実際にというのです。
「わしも」
「そうなんですね」
「それにね」
ベンは微笑んでお話しました。
「僕達は今本物のお宝をいつも持っているしね」
「それは何ですか?」
「友情だよ」
こう言うのでした。
「こうして一緒に楽しく暮らすね」
「その友情ですか」
「それが本当のね」
「皆さんのお宝で」
「それでね」
そうであってというのです。
「今こうしてね」
「一緒にいて」
「それでね」
「幸せですか」
「そうだよ」
「この四人に」
フリントも言います。
「町の皆がいるから」
「幸せなのね」
「外の世界では死んだお父さんもいて」
ジョンはそれでと言います。
「一緒に船に乗っていた人達も」
「一緒でね、本当に悪かった人は来ていないけれど」
ベンがまた言います。
「けれどね」
「そう、船の人達も一緒にいて」
「楽しく暮らしてるね」
「皆でね、それがね」
「宝ですか」
「僕達の本当のね」
こう言うのでした。
「そうなんだ、ただね」
「ただ?」
「あの時はね」
かつての冒険の時はというのです。
「そうは思わなかったよ」
「そうですか」
「手に入れた財宝がね」
それがというのです。
「お宝だってね」
「思われていたんですね」
「そうだったんだ」
こう言うのでした。
「あの時はね」
「そうでしたか」
「確かにお宝だよ」
冒険の末に手に入れた財宝はというのです。
「今もあるしね」
「だからですね」
「うん、けれどね」
「本当のお宝は」
「友情だったんだ」
「あの航海で出来たそれだよ」
フリントはまさにと言いました。
「本当にね」
「そういえばあの航海色々あって」
それでと言うカルロスでした。
「絆も生まれましたね」
「そうそう、ジムさんとジョンさんとだけでなくて」
ジョージも言います。
「参加してお宝を手に入れた人達の間でね」
「そうだったね」
神宝も応えました。
「あの航海は」
「ただの冒険じゃなかったわ」
恵梨香も言いました。
「絆も生まれた冒険だったわ」
「その冒険こそがなんだ」
まさにと言うジムでした。
「僕達の本当のお宝なんだ」
「そうなんですね」
「あの航海こそがですね」
「皆さんの本当のお宝で」
「それで、ですね」
「今そう言われるんですね」
「そうだよ、補佐官とも副大統領とも」
まさにと言うジムでした。
「そして国務長官ともね」
「僕供だね」
「一緒にいてね、何かとあって」
「友情が生まれたね」
「そうなったよ、あの頃の船は」
それはというのです。
「皆でいつも力を合わせて」
「そうそう、動かしていったね」
かかしが応えました。
「そうだったね」
「はい、帆船でしたから」
「そうだったね」
「今はこの船も外観は帆船ですが」
「実は違うね」
「はい」
そうだというのです。
「自動で幾らでもです」
「動けるね」
「そうした船です」
「オズの国の船だね」
「勿論操縦も出来ます」
それも可能だというのです。
「そうした船です」
「そうだね」
「ですがあの頃は」
「純粋な帆船でね」
「風で動きまして」
そうであってというのです。
「それで、です」
「皆で力を合わせないとね」
「動けなくて」
「少しでも油断するとね」
「沈んだりしました」
「嵐にも遭えばね」
「そうでした」
まさにというのだ。
「本当に」
「そうした船に乗ってだったから」
「絆がです」
「生まれたね」
「はい」
まさにというのです。
「そうでした」
「それで今そう言うね」
「友情がです」
「君達の最高のお宝だね」
「しかも本当の」
「そういえば」
ここでジャックが気付きました。
「これまで歴訪していた国は何処も絆があるね」
「そうだね」
樵も確かにと頷きました。
「四姉妹と小公子は家族でね」
「そうだね」
「小公女もね」
「ラメダスさんやベッキーさんは血はつながっていないけれど」
「ご家族だから」
それでというのです。
「同じだね」
「そうだね」
「そしてロビンソンさんとフライデーさんは」
「言うなら友情かな」
「今はね」
「かつては主従でも」
「今はそうだね、そして」
樵はさらに言いました。
「ジム達はね」
「友情だね」
「そうだね」
「そう、今回の歴訪はね」
まさにと言うドロシーでした。
「各国の状況とね」
「絆だね」
「それを見る為のものだね」
「そうよ」
樵とジャックにその通りだと答えます。
「今回はね」
「そうなんだね」
「やっぱりね」
「だからね」
それでというのです。
「これからもだね」
「見ていくんだね」
「そうしましょう」
こう言うのでした。
「いいわね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「一つ思うことは」
「何かな」
「それは一体」
「副大統領さんは悪い人だったけれど」
ドロシーガ今言うのはこのことでした。
「けれどね」
「今オズの国にいるね」
「そうだね」
「そのことがね」
それがというのです。
「オズの国らしいわね」
「悪人でも反省して心を入れ替えるとね」
かかしも笑顔で言いました。
「善人になるんだよ」
「そうよね」
「仏教の教えではね」
この住協ではというのです。
「悪人は何であるか」
「仏教ではね」
「自分が悪いことを自覚しているからね」
「悪人ね」
「だからその悪いことをあらためて」
「なおしていく」
「反省してね、そして救われたいと思うなら」
それならというのです。
「もうね」
「救われるべきね」
「そうした考えが仏教の」
この宗教のというのです。
「浄土真宗にあるんだ」
「そうだったわね」
「これは仏教の考えで」
「オズの国にも仏教はあるし」
「だからね」
それでというのです。
「悪い人でもね」
「反省して心を入れ替えて」
「悪いことをしなくなったらね」
それならというのです。
「もうね」
「オズの国にいられるわね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「そうであったらね」
「だから副大統領さんも今はオズの国の住人ね」
「そうなってるんだよ」
「いや、わしは反省しているか」
ジョンは苦笑いになって応えました。
「それは」
「わからないかな」
「悪いことをしていたとは思いますが」
「反省はなんだ」
「悪いことをしなくなったにしても」
「いや、それがだよ」
かかしはジョンに笑顔でお話しました。
「いいんだよ」
「そうですか」
「そう、また言うけれど自分が悪いことをしているとね」
「自覚することですか」
「ことの善悪を理解してね」
そうしてというのです。
「そのうえでね」
「そうですか」
「だからね」
「私はいいですか」
「もう悪いことはしないね」
「しなくてもです」
これがジョンの返事でした。
「暮らしていけるので」
「だからだね」
「はい、もう二度とです」
それこそというのです。
「悪いことはしません」
「そうであってもいいんだ」
「悪いことを自覚して」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「しないことがね」
「大事ということですね」
「そうだよ、だからね」
「私はオズの国に来られて」
「そして今こうしてだよ」
「幸せに過ごせていますね」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
「これからもね」
「そうあることですね」
「うん、そうしていったらね」
それならというのです。
「君はずっとだよ」
「幸せに。大統領達とですね」
「一緒に暮らせるよ」
「それがいいですね、じゃあ夜は」
「皆にだね」
「シーフードを使ったお料理をです」
先程言ったそれをというのです。
「作って」
「皆に食べさせてくれるんだね」
「そうさせてもらいます」
笑顔で言うのでした。
「是非」
「うん、それではね」
「寝仕上がって下さい」
「僕は食べられないけれどね」
このことは笑って応えたかかしでした。
「何しろかかしらだからね、けれどね」
「それでもですね」
「皆が君が食べるお料理を楽しんで」
「その時を笑顔をご覧になられて」
「そして心の栄養にさせてもらうよ」
「それでは」
ジョンは笑顔で応えました、そうしてです。
夜はシーフードを使ったお料理を作って皆に振る舞いました、それを食べる皆の顔はとても幸せなものでした。