『新オズのかかし』
第三幕 怪我も病気も戦争もないから
使節団は最初にどの国に行くのか、ドロシーはナターシャ達に言いました。
「最初は四姉妹の国よ」
「若草物語ですね」
まずはナターシャが応えました。
「四姉妹といいますと」
「一番上がメグさんで」
神宝はこの人のお名前を出しました。
「穏やかで包容力がある人ですね」
「二番目がジョーさん」
ジョージは笑顔でこの人について言いました。
「元気で活発な人ですね」
「そして三番目がベスさん」
カルロスはこの人のことを言いました。
「優しくてもの静かな人ですね」
「末っ子はエイミーさんなんですよね」
恵梨香はこの人のことを思って言いました。
「明るくて前向きな人ですね」
「四人共素敵な人達でね」
それでと言うドロシーでした。
「オズの国でも有名な人気者なのよ」
「四人共オズの国におられるんですね」
「今はそうなんですね」
「オズの国はお伽の国なので」
「あの人達も今はそうなんですね」
「オズの国で暮らしておられますね」
「そうなのよ、四人共凄く仲が良くて」
そうであってというのです。
「いつもにこにことして暮らしているのよ」
「そうなんですね、ところで国ですか」
ナターシャはこのことにも注目して言いました。
「そうなんですね」
「そう、四姉妹が暮らしていた街がね」
「その頃のですね」
「国になってるのよ」
「そうですか」
「王様はいなくて市長さんがいて」
「その人が国家元首ですか」
ナターシャはドロシーの言葉に頷きました。
「そうなんですね」
「そうよ、オズの国はその中に共和国もあるから」
だからだというのです。
「それでなの」
「市長さんが国家元首の国もありますね」
「都市国家でね」
「そうなんですね」
「それでその国にね」
「これから訪問するよ」
トトも言ってきました。
「ドロシーが代表でね」
「最初に行くのはあの国なんだね」
臆病ライオンは下の景色を眺めつつ言いました。
「四姉妹の国だね」
「そうだよ、あと少しで到着するよ」
かかしが臆病ライオンに答えました。
「一時間程でね」
「そうなんだね」
「そして着いたら市長さんと会談して街の中を見て回って」
そうしてというのです。
「レセプションにも参加してね」
「四姉妹とも会うんだね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「楽しみにしておこうね」
「是非ね、僕あの国にも行ったことあるけれど」
「いい国だね」
「落ち着いていてね」
「確か四姉妹の人達が揃って暮らしていた時は」
樵はその頃のことを言いました。
「アメリカは大きな戦争をしていたね」
「南北戦争だね」
かかしが応えました。
「確か」
「アメリカの内戦で」
「物凄く激しい戦争だったんだ」
「そうだったね」
「そしてね」
かかしは樵にさらにお話しました。
「四人のお父さん達も戦争に参加していたんだ」
「そうだったんだね」
「それで大怪我もしたよ」
「大変だったんだね」
「何とか回復して」
そうしてというのです。
「お家に戻って一家でまたね」
「暮らせる様になったんだね」
「そうなったけれどね」
「大変だったんだね」
「それでお父さんがいない間四人で頑張っていたんだね」
ジャックも言ってきました。
「そうだね」
「そうだよ、お母さんと一緒にね」
「仲良くだね」
「力を合わせてね」
そうしてというのです。
「暮らしていたよ」
「そうだったんだね」
「そして今はね」
「オズの国でだね」
「明るく仲良くね」
「一家で暮らしているんだ」
「オズの国の市民として」
そうしてというのです。
「暮らしているよ」
「それは何よりだね」
「そうだね、それではこれからね」
「四姉妹の国にだね」
「行こうね」
かかしも笑顔でした、そしてです。
ヘリは四姉妹の国、都市国家であるその国の東門の前に着陸しました、するとそこには十九世紀中頃のアメリカの礼装を着た人達が集まっていてです。
ヘリから出たドロシー達を出迎えてくれました、そこには穏やかな外見のメグ、活発な感じのジョー、優しい雰囲気のベス、明るい印象を与えてくれるエイミーもいます、とても優しそうなお父さんもお母さんもいます。
皆使節団を迎えてくれてです、背が高くて知的な感じの市長さんが先頭に立って皆を色々な場所に案内してです。
ドロシーと会談もしました、そして晩餐会も開いてくれましたが。
そのメニューを見てです、臆病ライオンは言いました。
「今のメニューだね」
「そうね」
「十九世紀のメニューじゃないね」
「味付けもそうだね」
「当時のものかっていうと」
「違うね」
「街並みや服装はあの頃のままですが」
市長さんがお話します。
「ですが電化製品も揃っていまして」
「そうなんだ」
「はい、そして」
そうであってというのです。
「生活はです」
「現代のものなんだ」
「そうです」
かかしに答えました。
「そしてメニューもです」
「今のアメリカのものだね」
「調味料もキッチンもそうですから」
「成程ね、今とは違うんだね」
「左様です、それでです」
「食べられる人はだね」
「今のアメリカのお料理をです」
そちらをというのです。
「楽しんで下さい」
「それではね」
こうお話してでした。
皆で楽しくです、今のアメリカ料理を楽しみました。それからはミュージカルを観劇もして一行はホテルで休んで。
そしてです、皆でなのでした。
次の日皆は四姉妹のお家に行きました、するとです。
四姉妹が揃って迎えてくれました、ドロシーは彼女達の礼儀正しい挨拶を受けて皆と一緒に返礼してから言いました。
「元気そうね」
「はい、この通り」
ジョーが笑顔で応えました。
「私達は皆元気です」
「そうなのね」
「オズの国に来てからずっとです」
「皆元気なのね」
「元気で」
そしてというのです。
「平和です」
「オズの国に来てから」
「怪我も病気もなくて」
そうであってというのです。
「戦争もないですね」
「それだけでどれだけ素敵か」
メグは微笑んで言いました。
「本当に」
「オズの国は昔ノーム王が戦争を仕掛けようとしたけれどね」
「今は平和ですね」
「もう百年以上ね」
ドロシーはそれだけだと答えました。
「喧嘩すらないわ」
「それがどれだけ幸せか」
「そう言えるのね」
「はい、そして」
それでというのです。
「皆一緒ですから」
「尚更なのね
「素敵です」
「平和で健康なら」
ジョーもにこりとして言いました。
「それだけで幸せですよね」
「ええ、本当にね」
ドロシーも確かにと頷きました。
「その二つがあるなら」
「もうそれだけで」
まさんというのです。
「幸せです」
「それもずっとだからね」
「尚更です」
「そうよね」
「はい、そして」
ジョーはさらに言いました。
「一家がずっとです」
「一緒ね」
「そうして暮らせるんですから」
「尚更いいのね」
「オズの国に来られてよかったです」
「こうした暮らしがです」
ベスもドロシーに言います。
「幸せの基本ですね」
「そしてその基本がしっかりしていたら」
「そこからさらにです」
「幸せになれるわね」
「今の私達には本だけでなく」
これに加えてというのです。
「テレビにゲームもあってスマートフォンもです」
「あるわね」
「パソコンも。夢みたいです」
「あの頃も文明の進歩を感じていたんですが」
エイミーはその目をきらきらとさせて言いました。
「今はさらにです」
「感じているわね」
「はい」
まさにというのです。
「それもまだですね」
「進歩するわ」
「そうですよね」
「いや、僕達もね」
樵はここでこう言いました。
「オズの国の進歩には驚いているよ」
「そうなんですね」
「君達がいた頃のアメリカよりも」
ジョーに対して言うのでした。
「僕達がドロシーとはじめて出会った頃のオズの国よりもね」
「今は発展していますね」
「オズの国はね」
「そしてアメリカも」
「君達の頃は飛行機もなかったね」
「はい」
とてもとです、ジョーは答えました。
「気球はありましたが」
「そうだったね」
「飛行船もです」
「まだだったね」
「気球でお空を飛べるだけで」
それだけでというのです。
「凄いと思っていました」
「そうだったね」
「それがです」
まさにというのです。
「今ではです」
「飛行機そしてヘリコプターで飛べるからね」
「潜水艦で海の中も進めますね」
このことはメグが言いました。
「そのこともです」
「凄いね」
「私達の頃は蒸気船が出て」
「帆で風を受けて動かないで」
「自分達で動ける船が出て」
「漕ぐ必要もなくて」
「凄いと思っていたのが」
それがというのです。
「変わりまして」
「今では蒸気どころかね」
「原子力しかも」
ジャックが言いました。
「魔法や錬金術も使われているからね」
「オズの国ではそうですね」
「無限に動けるね」
「凄い船ですね」
「そんな船だからね」
「今はそうですね」
「灯りもです」
ベスはこちらのお話をしました。
「私達の頃は鯨油でした」
「そうそう、その頃はね」
トトがまさにと応えました。
「灯りはランプで」
「鯨油が燃料でした」
「そうだったんだよね」
「それが今はです」
「電灯だね」
「ボタンを押すと点いて」
灯りがです。
「お部屋全体を照らす」
「そうしたものだね」
「そうなりました」
「今はね」
「それがとても快適で」
ベスは微笑んで言いました。
「夜も皆でゲームをしたり読書をすることが楽になりました」
「ずっととても明るいからね」
「ですから」
「パーティーに出ても」
エイミーはこちらのお話をしました。
「ずっと明るくて出て来るお食事も」
「かなりいいよね、今なんてね」
魔法使いはにこにことして応えました。
「すぐに色々なお料理がね」
「出ますね」
「ハンバーガーもサンドイッチもね」
「暖かいものが」
「そしてパーティーも楽しめるね」
「舞踏会も。着心地のいいドレスを着て」
そうしてというのです。
「それで、です」
「素敵にだね」
「ずっと楽しめます」
「そうなったね」
「オズの国に来てどんどん」
「そうだね、文明が進歩してね」
「健康で平和で皆ずっと一緒にいられて」
この幸せの基本に加えてというのです。
「それでこうした暮らしですから」
「今の君達はとても幸せだね」
「そうです、本当に」
「戦争がないことはです」
お父さんは心から言いました、とても紳士的で礼儀正しい人です。
「どれだけ素晴らしいか」
「そうだね、ノーム王と戦争になりそうになって」
かかしはその時のことを思い出してお話しました。
「どれだけ皆危機感を持ったか」
「大変でしたね」
「もう知恵を使ってね」
「それも必死に」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「ノーム王の軍勢をね」
「退けましたね」
「戦争はとんでもない禍だよ」
「その禍がないですから」
だからだというのです。
「本当にです」
「それだけで違うね」
「しかも怪我もしませんから」
「貴方は戦争で大怪我をしたしね」
「一家も離れて」
お母さんはその時のことを思い出して言うのでした。
「どうなるか。心細さをです」
「感じていたんだね」
「そうでした」
お母さんもかかしに答えました。
「あの頃は」
「そうだったんだね」
「そして」
それにというのでした。
「娘達にどれだけ助けられたか」
「その頃は」
「私が娘達を支えて」
四姉妹を見つつかかしにお話します。
「私もです」
「支えられていたね」
「そうでした」
「そうした暮らしだったね」
「そして今はです」
お母さんはここで微笑んでこう言いました。
「ずっと皆一緒なので」
「いいね」
「安心して刺繍が出来てです」
「執筆出来ますから」
「本をじっくり読めるんですから」
「舞踏会も普通に開けますよね」
メグ、ジョー、ベス、エイミーの順に言うのでした。
「どれだけいいか」
「しかもずっといられますから」
「天国にいる様です」
「心から思っています」
「天国、そうですね」
ナターシャは四姉妹の言葉に頷いてこう言いました。
「オズの国はそう言っていいですね」
「そうよね」
「いられるだけで幸せな国だから」
「健康でいられて歳も取らなくて」
「平和で争いもなくて」
「いつも楽しいことばかりの国だから」
恵梨香達四人も頷きます。
「天国と言われると」
「確かに天国だね」
「こんないい国ないから」
「ずっと幸せに過ごせるから」
「天国よね」
「最後の審判の時までね」
ジョーはキリスト教のこの時のことから言いました。
「この国にいられるから」
「いいですね」
「多分ね」
ジョーはナターシャに笑ってこうも言いました。
「最後の審判はずっと先ね」
「何時になるか」
「この宇宙が終わる時かしら」
「物凄い先ですね」
「ええ、何百億年もね」
それだけというのです。
「先かしらね」
「本当に凄い先ですね」
「その頃に地球はね」
「ないですね」
「私達もどうなっているか」
「わからないですね」
ナターシャはあまりにも壮大な話に思わず笑ってしましました、そうしてこんなことを言ったのでした。
「もう」
「地球もあと何十億年はね」
「ありますね」
「その頃人類はね」
「どうなっているか」
「見当もつかないわね」
「何十億年もだと」
それだけ未来ならというのです。
「もうね」
「私達では想像がつかないわね」
「とても」
それこそというのです。
「私達には」
「最後の審判が果たして何時になるか」
「わからないですね」
「けれどそれまでの間ね」
「オズの国ではですね」
「少なくとも人類の歴史が続く限りは」
そうであるならというのです。
「私達はオズの国にいるわね」
「最後の審判は何時かしら」
メグは首を傾げさせて言いました。
「それはわからないわね」
「神様が定めていることですね」
「キリスト教の神様が」
「それが何時なのか」
「人ではわからないですね」
「どうも」
「昔は近いと思われていたけれど」
それでもと言うメグでした。
「どうも違うみたいね」
「宇宙のことも考えますと」
「そうですね」
「かなり先みたいですね」
「その日が来るのは」
「どうも」
「そしてね」
メグはさらにお話しました。
「それはキリスト教のお話であって」
「他の宗教では違いますね」
「神様も違いますし」
「ずっと世界が続く教えもありますね」
「宗教によって」
「そうですね」
「そのことがわかったわ」
メグは今度は確かな声で言いました。
「オズの国に来てね」
「オズの国にはオズの国の神々がおられますから」
「それに色々な神様がいますし」
「エジプトやメソポタミアの神様がおられて」
「北欧やギリシアの神様もですね」
「日本や中国の神様も」
「神様は沢山おられてね」
そしてと言うベスでした。
「それぞれの世界や教えがあるわね」
「そうなんですよね」
「オズの国に来るとよくわかります」
「神様は一柱じゃないです」
「沢山の神様がおられます」
「オズの国も外の世界も」
「宇宙もね、私達は今もクリスチャンだけれど」
それでもと言うベスでした。
「今は他にも神差がおられるってね」
「わかりましたね」
「僕達もそうです」
「日本は元々そうした考えの国ですが」
「オズの国に来てもわかりました」
「実際にこの目で見て」
「そうよね、目から鱗が落ちたわ」
ベスは右手の人差し指を立てて微笑んで言いました。
「そのことがわかった時にね」
「そうなりましたね」
「そう考えると何か一気に世界が広がりますね」
「他の宗教も認められて」
「学ぶことも出来て」
「しかも神様が一層わかりますね」
「そうよね、若しね」
エイミーも言ってきました。
「キリスト教以外はないって思ったら」
「世界が狭くなりますね」
「その分」
「そして間違いもしますね」
「神様がキリスト教の神様だけって思ったら」
「その時は」
「オズの国はそれがないから」
だからだというのです。
「そのこともいいわね」
「全くですね」
「そのことからも争いがないですね」
「沢山の神様がおられて」
「そのことが認められていますから」
「宗教にしても」
「それの何処が特別か」
ジャックは首を傾げさせて言いました。
「僕にはわからないよ」
「全くだね」
臆病ライオンもその通りだと頷きました。
「僕達はオズの国で生まれてね」
「その考えのままだからね」
「だからね」
それでというのです。
「色々な宗教があって神様も沢山おられる」
「それが普通だね」
「オズの国の神々がおられて」
「他の神々もね」
「普通にプロテスタントの教会があって」
そうしてと言う樵でした。
「隣にギリシアのアポロン神の神殿があったり」
「普通だからね」
かかしも言います。
「そうだね」
「オズの国ではね」
「だからキリスト教しかないと言われても」
「違うって思うね」
「実際に色々な神様がおられるし」
「元々オズの国の神々だってそうだしね」
「外の世界ではずっとそうだったからね」
その外の世界から来た魔法使いがお話しました。
「アメリカとかではね」
「そうだったわね、同じキリスト教でもね」
ドロシーも言います。
「宗派が違うとね」
「色々揉めたね」
「アメリカでもね」
「プロテスタントじゃないと駄目とか」
「そういうことがあったわ」
「それもよくね」
「人はその目で見ないとわからないからね」
かかしは右手の人差し指を立てて言いました。
「だからだね」
「それでよね」
「そう、神様にしてもね」
「その目で見ないとわからないわね」
「そうだからね」
「その存在が」
「外の世界で神様を見ることは」
そうすることはといいますと。
「非常に難しいわね」
「感じることは出来ても」
「そうだからね」
「そうしたことがわからないのね」
「そして間違えるんだね」
「そうなのね」
「神様はね」
本当にというのです。
「多くの宗教があってね」
「沢山の神様がおられるのね」
「キリスト教の神様は一柱だね」
かかしはドロシーにお話しました。
「そうした世界ということだよ」
「キリスト教はキリスト教ね」
「そしてギリシア神話の世界ではね」
「神様は沢山おられるわね」
「ゼウス神やポセイドン神がね」
「そういうことね」
「本当にそれぞれね」
まさにというのです。
「世界はね」
「沢山あるのね」
「神様の世界もね」
「神様も沢山おられる」
「そうしたものだよ、世界は一つじゃないんだ」
「沢山あるのね」
「キリスト教だけじゃないから」
だからだというのです。
「そのことをわかって」
「信仰も行っていくことね」
「信仰はとても素晴らしいことだけれど」
「そうしたことをわかってこそ」
「本当の意味で神様の教えに近付けるんだよ」
「簡単な様でね」
かかしのお話を聞いてです、トトは言いました。
「理解することはね」
「難しいかな」
「僕達にはそうだね」
「キリスト教しかないと思っていたら」
「最初にそう言われたらね」
「それが絶対と思ってしまうね」
「だからね」
まさにそれでとです、トトはかかしにお話します。ドロシーの足元で穏やかで真面目なお顔になっています。
「それでだよ」
「君達にとってはだね」
「理解して受け入れるまでがね」
「難しかったんだね」
「大変だった人もいるよ」
「そうなんだね」
「オズの国で実際に見たら」
神様にはそれぞれの世界があって沢山の神様が存在していることがです。
「そのこともね」
「わかるね」
「うん、外の世界にいたままよりも」
「理解しやすい」
「そうだよ」
「そのことを理解する為に」
お父さんも言いました。
「人は外の世界で色々なことがあったね」
「そうね、けれど今の私達はね」
お母さんも言います。
「そのことを理解して受け入れられて」
「よかったね」
「その分平和になれるしね」
「相手の人を認められて」
「そのことからもね」
「そうね、あとオズの国は奴隷も存在しないし」
ドロシーはこのことを言いました。
「人種に関係なくね」
「一緒に暮らしていますね」
「平等に」
「そうでしょ、関羽さんのことはご存知よね」
「強くて学問が好きで勇敢で」
「とても立派な人ですね」
「そして真田幸村さんみたいに」
この人の様にというのです。
「とても素晴らしい人もおられるから」
「人種に関係なく」
「立派ですね」
「孫悟空さんなんてお猿さんだし」
ドロシーはくすりと笑ってこの神様のお話もしました。
「そしてね」
「妖怪さん妖精さんだっているしね」
「オズマだって妖精だよ」
オズの国家元首である彼女もとです、かかしはお話しました。
「生物学で言うと人間じゃないよ」
「オズの国じゃ普通のことだけれどね」
樵も笑って言います。
「かく言う僕も身体はブリキだし」
「僕はかかしだよ」
「身体は人間じゃないよ」
「そうなんだよね」
「けれど」
それでもというのです。
「何が問題か」
「全くだね」
「問題なのは心だからね」
臆病ライオンはまさにと言いました。
「本当にね」
「その通りだよ、人種や種族のことなんてね」
「何でもないね」
「全く以てね」
かかしは臆病ライオンにもお話しました。
「その通りだよ」
「そうだね」
「信仰は色々と認めて」
「人は平等でね」
「人種や種族は関係ない」
「もっと言えば生きものだってね」
人以外のというのです。
「同じだよ」
「それがオズの国だね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「本当にね」
「その通りだね」
「あの頃の私達はそうしたことがわかっていない人が多かったから」
メグは少し悲しそうに言いました。
「奴隷やアフリカ系の人達のことが」
「今思うと同じなのにね」
ジョーも言いました。
「奴隷を廃止するかどうかで戦争になって」
「大変なことになったわね」
ベスも悲しそうに言います。
「アメリカを二つに割って」
「お父さんも戦争に行って」
エイミーもその時のことを思い出して言います。
「沢山の家族が離れ離れになったわ」
「そうしたことを理解することだよ」
かかしは四姉妹に真面目なお顔でお話しました。
「そうしたらね」
「その分平和になりますね」
「他の人のことを理解したら」
「信仰や人種のことを」
「そうしたら戦争も減りますね」
「その筈だよ、他にも考えないといけないことはあるよ」
戦争についてはというのです。
「けれどね」
「そうしたことを理解するとですね」
「その分戦争は減りますね」
「そしてオズの国では理解されているので」
「平和なんですね」
「ずっとね、平和でありたいならね」
そうなることを願うならというのです。
「相手を、神様や人種のこともね」
「理解することですね」
「どういったものでどういった人か」
「そうすることですね」
「そうでありたいなら」
「そうだよ、相手を認められないなら」
そうであるとならといいますと。
「その分戦争も起こるよ」
「そうですね」
「その通りですね」
ご夫婦はかかしの言葉に頷きました。
「本当に」
「そうなってしまいますね」
「だからオズの国はそうしているしね、あの前ノーム王もね」
ラゲドー氏もというのです。
「今ではね」
「そうした人になりましたね」
「自分以外の人を認められる」
「無欲で邪心もなくて」
そうであってというのです。
「平和な人になったから」
「オズの国の人達は皆そうで」
「平和ですね」
「そうだよ、自分達以外を認めていこうね」
かかしは今度は一言で言いました、そうしてです。
四姉妹と楽しく色々なお話をして国中を観て回りました、ホテルでも楽しい時間を過ごしたのですが。
明日は次の国に発つその日にです、使節団は国のレストランに入って昼食をいただきました、その昼食を食べる中で。
ふとです、ナターシャ達五人はこんなことを言いました。
「ベーコンのステーキにオムレツに」
「玉葱と人参とハムのスープ、チーズに」
「ボイルドベジタブルに鶏肉のパイ」
「バターに固めのパン」
「それでデザートは林檎ね」
「これが当時のアメリカのお料理の標準の一つなんだよ」
魔法使いが言いました。
「お昼もこういうのが結構食べたね」
「そうなんですね、やっぱりです」
ナターシャが言ってきました。
「調味料やキッチンは今のものですね」
「昔のメニューでも」
それでもと言う恵梨香でした。
「そうしたものはそうですね」
「おソースやケチャップもありますし」
ジョージは実際にそうした者を使っています。
「塩胡椒も利いていますね」
「火もよく通っていて」
そしてと言う神宝でした。
「切り方もいいですね」
「同じメニューを作っても」
カルロスはそれでもと言いました。
「やっぱり昔と今は違いますね」
「そうだよ、オムレツだってね」
魔法使いはケチャップをかけたオムレツを食べつつ答えました。
「違うんだよ」
「同じ様に思えて」
「昔と今は違いますね」
「十九世紀と二十一世紀だと」
「そして外の世界とオズの国ですと」
「そうなるんですね」
「そうだよ、同じものを作ってもね」
それでもというのです。
「時代と場所によってね」
「味が変わりますね」
「そうですね」
「キッチンや調味料が違って」
「それで、ですね」
「変わりますね」
「中身は全然違うよ、食材だってね」
こちらもというのです。
「品質がよくなっていて保存もね」
「あっ、冷蔵庫ありますね」
「今は」
「そこで長い間保存出来ます」
「冷凍も出来ます」
「そうです」
「そのこともあるからね」
冷蔵庫の存在もというのです。
「味が全然違うよ」
「確かに今の方がずっと美味しいわ」
ドロシーも言います。
「オズの国でもね」
「同じものを食べてもだね」
「私よくオムレツ食べるけれど」
「私もだよ」
「けれど昔と比べてね」
「今の方が美味しいね」
「そう思うわ」
こう魔法使いにお話します。
「他のものもね」
「例えばお菓子だってね」
「そうなっているわ」
「そう、本当にね」
「時代と場所によって同じお料理でも味が違うわね」
「そうだよ、四姉妹の人達もそうしたこと言っていたね」
「そうだったわ」
「それはね」
何と言ってもというのです。
「実際に感じているからだよ」
「言ったことね」
「そうだよ、本当に見てね」
「感じることは大事ね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「何と言ってもね」
「それで私達もわかって」
「四姉妹の人達もだよ」
「わかってくれているのね」
「そうだよ、しかしこの牛乳はいいね」
魔法使いは飲みもののそちらをお口にして言いました、皆飲んでいるものは牛乳や果物のジュースです。
「物凄く美味しいよ」
「この国の牧場の牛乳ね」
「これなら幾らでも飲めるよ」
「じゃあ次はね」
ドロシーは魔法使いの言葉を聞いて言いました。
「私牛乳を飲むわ」
「今の林檎ジュースからだね」
「そうするわ」
「そうしたらいいよ、牛乳だってね」
「時代と場所によって」
「変わるからね」
そうなるというのです。
「味がね」
「そうよね」
「乳牛から搾ってね」
「それからね」
「今の技術で精製してね」
そうしてというのです。
「冷蔵庫で保存しているから」
「これだけ美味しいのね」
「やっぱり搾ってすぐにだよ」
「飲む牛乳は美味しいわね」
「うん、けれどね」
それでもというのです。
「こうしてだよ」
「今の技術で精製した牛乳はね」
「美味しいよ」
「そうよね」
「しかも衛生的だしね」
このこともあってというのです。
「いいんだよ」
「そうよね」
「そしてね」
魔法使いはさらに言いました。
「食器だってね」
「いいわね」
「昔のものと比べてね」
「そうよね」
「それでいて昔のものもだよ」
「いいものはね」
「守っているからね」
そうしているというのです。
「いいんだよ」
「そうよね」
「このコップだって」
飲んでいる牛乳が入ったガラスのそれを見ました。
「昔と比べて」
「今のコップはね」
「いいよ」
「そうよね」
「同じデザインでもね」
「品質がよくなっているわね」
「製造する技術と素材もよくなっていて」
そうなっていてというのです。
「職人さんの腕もね」
「よくなっているから」
「そう、職人さんもね」
この人達もというのです。
「技術が受け継がれているなら」
「よくなっていくわね」
「そうだよ、代々ね」
「どんどんそうなるのね」
「設備に素材にね」
「科学や魔法の技術に」
「それに職人さんの腕がね」
そういったもの全てがというのです。
「よくなっていっているから」
「同じガラスのコップでも」
「全く違うよ」
「よくなっているわね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「そのことを理解して」
「そうしてよね」
「私達もだよ」
「オズの国で生きて」
「さらによくなる様にね」
「政治をしていくのね」
「そうしていこうね」
魔法使いは笑顔で言いました、そうしてです。
皆で四姉妹の国の十九世紀のアメリカのお料理も楽しみました、そして四姉妹と別れて次の国に向かうのでした。