『新オズのかかし』




                第二幕  いざ出発

 皆は魔法使いが戻って来るまでの間エメラルドの都で使節団の準備を進めました、そして遊びもしましたが。
 野球をした後で、です。ドロシーは白地に赤と青のユニフォーム姿でかかしにこんなことを言いました。
「足長おじさんともお会いするけれど」
「あの紳士の人ともね」
「奥さんといつも幸せに過ごされているのよね」
「ジュディさんとね」
「あの人はね」 
 ドロシーはそのジュディのこともお話しました。
「孤児院からよ」
「アメリカのだね」
「そう、援助を受けてね」
「今結婚しているご主人の」
「そうして大学に行って」
 そのうえでというのです。
「学んだけれど体育もね」
「していたね」
「バスケットボールもしていたのよ」
 こちらのスポーツもというのです。
「それで野球観戦もね」
「していたね」
「私が最初にオズの国に来た時よりも」
「同じか少し前の頃だね」
「その頃にね」
 まさにというのです。
「大学生で」
「素敵なキャンバスライフを過ごしていたのよね」
 ベッツイがこう言いました。
「そうだったわね」
「そうそう、あの頃も懐かしいわ」
「ドロシーはそうなのね」
「ええ、ただカンサスはね」
 ドロシーが暮らしていた場所はといいますと。
「大平原で何もなくて」
「ジュディさんは都会におられたわね」
 トロットも言ってきました。
「農園にも行っていたけれど」
「ニューヨークにも行っていたわね」
「そこがドロシーと違うわね」
「同じアメリカでもね」 
 同じ頃か少し前のです。
「全然違ったわね」
「そうだったね、僕達はずっと大平原の中にいて」
 トトも言ってきました、ユニフォームを着られる人は皆着ていて白地に赤と青のものに白地で濃紺と赤があるものと二つのチームのそれに別れています。
「そしてね」
「暮らしていて学校にもね」
「通っていなかったね」
「言葉は自分達で学んでいたわ」
「おじさんおばさんが教えてくれたね」
「そうだったね」
「大学なんてね」
 それこそというのです。
「何処にあるのかさえね」
「知らなかったね」
「そうしたところがあるって聞いていたけれど」
「通うとかね」
「想像もしなかったわ」
 そうだったというのです。
「本当にね」
「そうだったわね」
「大学で学んでスポーツを楽しむ」
「そんな生活はね」
 そうしたものはといいますと。
「全くね」
「考えなかったわ」
「そうだったね」
「体操服を着ることも」
 このこともというのだ。
「想像もしなかったわ」
「あの、体操服といっても」
 ここでナターシャが言ってきました。
「今のものとは全く違いますね」
「私達は下は半ズボンですけれど」 
 それでもと言う恵梨香でした。
「あの頃はブルマーでしたね」
「何が膝まである大きな」
 ジョージも言います。
「随分動きにくそうなものでしたね」
「これよりズボンの方がいいんじゃないかって」
 こう言ったのは神宝でした。
「ジャージのそれで」
「当時はジャージなかったですが」
 それでもと言うカルロスでした。
「あまり動きやすそうじゃなかったですね」
「けれど昔はかなり革新的な服だったんだよ」
 かかしはこうお話しました。
「女の人がスポーツをする為の服でね」
「そうだったんですね」
「当時としては」
「今見ると動きにくそうですが」
「当時ではですか」
「そうした服だったんですか」
「動きやすくてね」
 そうであってというのです。
「画期的な服だったんだよ」
「当時と今は違う」
「そうでしたね」
「そして当時は凄く画期的で」
「女の人がスポーツをする為の服で」
「最先端だったんですね」
「そうだったんだ」
 かかしはナターシャ達五人にお話しました。
「ジュディさんは当時の女性の教育の最先端にいたんだよ」
「その教育をオズの国にも取り入れたのよ」
 オズマも言ってきました。
「私達はね」
「そうだったね」
 樵が応えました。
「僕達も色々勉強してね」
「オズの国に会う様にもして」
「そうしてだったね」
「整えてね」
 オズマはそうしてとお話しました。
「取り入れたわ」
「そしてそこから発展させてね」
「今に至るわ」
「そうだね」
「男の人だけでなくてね」
「女の人もね」
「ちゃんと教育を受けて」
 そうしてというのです。
「スポーツをしてあらゆるお仕事によ」
「就くべきだよ」
「本当にね」
「男女平等で同権だよね」
 ジャックはまさにと言いました。
「あるべき姿は」
「私だって女の子でしょ」
 オズマはまさにと言いました。
「そうでしょ」
「紛れもなくね」
「男の人も女の人もね」
「性別は違ってもね」
「同じよ」
「そうだよね」
「だからよ」 
 それでというのです。
「女性もね」
「学んでスポーツをして」
「色々なお仕事に就いて」
「働いてね」
「色々とやっていくべきよ」
「全くだね」
「ただ女の人の方が偉いとか」
 こうもです、オズは言うのでした。
「それはないわ」
「男の人の方が偉いともね」
「私はオズの国の国家元首だけれど」
 そうであるがというのです。
「外の世界では男の人の国家元首も多いわね」
「そうだね」
「それに私はかつては男の子だったし」
「そうそう、僕を作ってくれた頃はね」
「そして今はなろうと思ったら」
 その時はといいますと。
「魔法でね」
「男の子になれるね」
「あの時に戻れるわ」
「そうだよね」
「じゃあオズマは両方の性別を持っているんだね」
 臆病ライオンはお話を聞いてこう考えました。
「そうだね」
「そうなるわね」 
 オズマも否定しませんでした。
「言われてみれば」
「そうだよね」
「そしてね」
 オズマはさらに言いました。
「そう考えたら女の人も学ぶべきで」
「スポーツをして色々なお仕事に就いて」
「それでいて女の人の方が偉いとか」
「そういう考えもないね」
「当然男の人の方が偉いということもないけれど」
 それでもというのです。
「あくまで男女平等で同権」
「そうあるべきだね」
「本当にね」
「そういえば」
 ここで言ったのはドロシーでした。
「四姉妹の人達もね」
「メグさん、ジョーさん、ベスさん、エイミーさんのね」
「あの人達も立派でね」
「前向きでね」
「男の人達と同じだけね」
「そうよね」
「セーラさんは私達より少し上のお歳なのに」
 それでもというのです。
「やっぱりね」
「立派な人でしょ」
「女の人でも負けてるなんてね」
「全くないわ」
「当然男の人もだしね」
「女の人と同じだけ立派よ」
 性別に関係なくというのです。
「オズの国にいる人達も」
「多くの人達がね」
「そう、性別が違えどね」
 かかしはにこりと笑ってお話しました。
「同権で平等だよ」
「そうよね」
「そうだよ、何が違うか」
 男の人と女の人はというのです。
「身体の仕組みだけでね」
「他は変わらないわね」
「そうだよ、だからオズの国でもね」
「同権で平等ね」
「そうであるべきだよ」
「そうよね」
 こうしたお話をです、皆でしました。そうしてお食事もお風呂も楽しんでそうしながら魔法使いを待っていますと。
 マンチキンの方からエメラルドの都に気球が来ました、トトはその気球を見上げて尻尾をぱたぱたと振って言いました。
「魔法使いさんが帰ってきたよ」
「そうだね」
 一緒にいた臆病ライオンも気球を見上げて頷きました。
「あの人もね」
「もう使節団の準備は出来たし」
「それじゃあね」
「一緒に行こう」
「皆でね」
「そして」
 そのうえでというのでした。
「色々な国を巡ろう」
「色々な人達に会ってね」
「若草四姉妹に小公女に小公子」
「足長叔父さんにロビンソン=クルーソーさん」
「そしてスクルージーさんにもね」
 二匹で笑顔でお話します、そして魔法使いが宮殿のお庭に気球を下ろしてそこから出て来るとです。
 ドロシーは魔法使いと笑顔で抱き合ってからです、こんなことを言いました。
「待っていたわ」
「そうしていてくれたんだね」
「ええ、じゃあ貴方が休んでね」
「疲れが取れたらだね」
「使節団の出発よ」
「楽しみだね、もう私は何時でもだよ」
「出発出来るのね」
 ドロシーは魔法使いに確認を取りました。
「そうなのね」
「そうだよ」 
 その通りだとです、魔法使いは答えました。今は再会を喜ぶ抱擁を終えて向かい合ってそのうえでお話しています。
「充分過ぎる程元気だよ」
「それではね」
「つぎはぎ娘とガラスの猫、木挽きの馬はまだね」
「あちらに残っていて」
「それで暫くあちらでお仕事をするけれど」 
 それでもというのです。
「私はね」
「お仕事を終えて」
「戻って来たよ」
「そうよね」
「そういえば」
 ナターシャはお二人のお話を聞いてふと気付きました。
「つぎはぎ娘達いなかったわね」
「そうだったね」
「僕達も今気付いたよ」
「この宮殿に」
「今回私達がオズの国に来た時は」
「そうだったんだ、彼等もマンチキンでお仕事をしているんだ」
 魔法使いは五人にお話しました。
「私とは別のお仕事をね」
「そうなんですね」
「だからですね」
「僕達も見なかったんですね」
「マンチキンにいるから」
「都にいないので」
「もう暫くいるから」
 マンチキンにというのです。
「私達の使節団には参加しないよ」
「わかりました」
「じゃあ今回はあの人達とは別行動で」
「都に戻った頃にですか」
「会えますか」
「そうなりますか」
「そうなるね、ちなみに私はオジョと何かとね」
 マンチキンのその少年と、というのです。
「お仕事をしていたよ」
「お疲れ様だったわ」 
 オズマは微笑んで言ってきました。
「本当に」
「いやいや、疲れはしなかったよ」
「そうだったの」
「毎日よく食べて寝ていて」
 そうであってというのです。
「凄く楽しかったからね」
「それで今も元気なのね」
「英気がみなぎっているよ」
「心にも身体にも」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「僕はね」
「それは何よりね、それじゃあ」
「使節団でね」
「出発してね」
「そうさせてもらうよ」
 魔法使いはオズマにも笑顔でお話しました、そしてでした。
 丁度お昼だったので皆で昼食を食べました、今日のお昼はサラダに貝と玉葱のスープにそれにでした。
 オムライスでした、そのオムライスを食べてです。ナターシャは言いました。
「このオムライスがね」
「いいわよね」
「物凄く美味しいよね」
「何時食べてもね」
「最高だよね」
「本当にね。日本に来てはじめて食べてから」 
 恵梨香達四人にも笑顔で応えます。
「大好きよ」
「ええ、オムライスは素敵な食べものよ」
 ドロシーも言います、皆今は銀のスプーンを使っています。
「とても美味しいね」
「そうですよね」
「オズの国でも大人気なの」
「皆大好きですね」
「カレーライスやハヤシライスもいいけれど」
「このオムライスもですね」
「とても美味しくてね」
 そうであってというのです。
「外見も可愛いから」
「大人気ですね」
「そうなの」 
 まさにというのです。
「オズの国の皆からね」
「それだけのお料理ですね」
「普通のオムエツも美味しけれど」
 それと共にというのです。
「オムライスもね」
「美味しいですね」
「だから私達もよく食べるし」
「今もですね」
「食べているわ」
「いや、私も大好きで」
 魔法使いはにこにことして食べています。
「目にするだけでね」
「笑顔になるんですね」
「そうなんだ」 
 こうナターシャにお話します。
「そして食べると尚更ね」
「笑顔になりますか」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「今私は笑顔になっているね」
「はい」
 ナターシャは笑顔で答えました。
「本当にね」
「そうですね」
「そう、そして」
 そしてというのでした。
「デザートもね」
「ありますね」
「プリンだよ」
 デザートはというのです。
「そちらだよ」
「プリンとプティングはまた違うんだよね」
 こう言ったのは臆病ライオンでした。
「これがね」
「うん、これがね」
 トトも言ってきました。
「僕どちらも好きだけれど」
「僕もだよ」
「子供はプリンの方が好きだね」
「特に日本人だとね」
「けれどオズの国ではプティングも結構食べるね」
「そうだよね」 
 こうお話をしてです。
 二匹もオムライスを食べます、臆病ライオンは特大のそれを食べながらトトにこんなことを言ったのでした。
「腹ペコタイガー君も好きだしね」
「オムライスがね」
「若し彼が今ここにいたら」
「大喜びで食べていたね」
「今はグリンダのところに出張してるけれど」
「彼は何を食べているかな」
「何でもね」
 オズマが二匹に行ってきました。
「今朝はソーセージとパンケーキをたっぷりね」
「食べたんだ」
「そうなんだね」
「グリンダから連絡があって」
 それでというのです。
「彼と一緒にね」
「ソーセージとパンケーキを食べたんだ」
「それでわかったんだね」
「そうなの、お昼はバーベキューを焼くって」
 その様にというのです。
「言っているから」
「じゃあ今頃はね」
「彼はバーベキューを楽しんでいるね」
「そちらもいいね」
「バーベキューも美味しいからね」
「そうよね、私達もバーベキューよく食べるわね」
 オズマは自分達のこともお話しました。
「そうよね」
「美味しいからね」
「そうしてるね」
「また今度しましょう」
 そのバーベキューをというのです。
「是非ね」
「そうしようね」
「皆でね」
「いや、皆いい笑顔だよ」
 かかしは食べている皆のそれを見て言いました。
「幸せで満たされているね」
「その笑顔を見るとね」
 樵も言います。
「僕達も笑顔になるよ」
「自然とね」
「満ち足りた幸せな笑顔はね」
「心の栄養になるよ」
「食べて飲まなくても」
 それでもと言うジャックでした。
「笑顔自体が最高のご馳走だね」
「全くだね」
「僕達にとってはね」
 かかしと樵はジャックにも応えました。
「そうなっているね」
「何といっても」
「だからいつもね」
「こうしてだよ」
「皆のお食事に同席しているよ」
「そうだよね、いや本当にいいよ」
 ジャックは満面の笑顔で言いました。
「皆の幸せな笑顔を見ることはね」
「それだけでね」
「素敵な気持ちになるね」
「いや、今回は皆とはもう少ししたら暫しのお別れだが」
 キャプテン=ビルもいて言ってきました。
「いい笑顔だね」
「そうだよね」 
 驢馬のハンクも言います。
「本当にね」
「ここにチクタクがいるとね」
「彼も言っていたね」
「今は腹ペコタイガーと一緒にグリンダさんのところにるけれど」
「そうだったね」
「何か色々な場所に色々な人が行ってますね」 
 ナターシャはここまで聞いて言いました。
「今回も」
「そうよ、そうしてね」
 オズマが答えました。
「政治を行っているのよ」
「オズの国の政治を」
「政治は議会でお話してサインをするだけじゃなくてね」
「色々な場所に行くこともですね」
「政治よ、見ることもね」
 こちらもというのです。
「必要なのよ」
「そしてそこでお話もしますね」
「人と会ってね」
「それで都からも」
「そう、いつもオズの国のあちこちに行って」
 そうしてというのです。
「そうしてね」
「楽しんでいますね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「どの人もね」
「そうなんですね」
「それで今回はね」
「私達もですね」
「ドロシーと一緒にね」
 とても美味しいオムライスを食べつつ言います。
「行ってもらうわ」
「わかりました」
 ナターシャもオムライスを食べます、そのうえでにこりとして頷きました。そのうえでまた言うのでした。
「それじゃあ」
「そうしてね、それとね」
「それと?」
「今回はお食事はね」
 こちらはといいますと。
「ドロシーがテーブルかけを持って行くけれど」
「それでもですか」
「それぞれの街や村で食べることが多いわね」
「そうなりますか」
「そうなると思うわ」
「そうなんですね」
「それでイギリス料理も食べると思うけれど」
 この国のお料理もというのです。
「外の世界じゃ色々言われてるわね」
「はい、美味しくないって」
「物凄く言われています」
「私達イギリスの子達とも仲良しですが」
「その子達も言います」
「イギリス料理は美味しくないって」
 ナターシャだけでなく他の四人の子達も言います。
「日本に来たらよくわかったって」
「献立もよくなくて」
「味付けも焼き加減も酷くて」
「調理の仕方も駄目だって」
「よく言われます」
「けれどオズの国では違うのよ」
 オズマはにこりと笑って答えました。
「どのお料理もちゃんと作られているの」
「だから美味しいんですか」
「イギリス料理も」
「そうなんですか」
「色々言われていますけれど」
「外の世界では」
「そうよ、下ごしらえもして」
 そうしてというのです。
「味付けも焼き加減もね」
「しっかりしていて」
「それで美味しいんですね」
「オズの国のイギリス料理は」
「だから僕達もですか」
「安心していいですか」
「オズの国で美味しくないものはないわ」
 こうも言うオズマでした。
「そうでしょ」
「あっ、そうですね」
「何時でも美味しいものが食べられますね」
「これまでもそうでしたし」
「これからもですね」
「イギリス料理でも」
「だから安心してね」
 こう五人に言うのでした。
「本当にね」
「まあアメリカも昔はお料理はぱっとしないって言われてたね」
 魔法使いが笑ってこう言いました。
「どうにも」
「そうだったわね、ボリュームはあっても」  
 ドロシーも言いました。
「味はね」
「今一つだったね」
「そうだったわ」
「それがだよ」
「今は随分と美味しくなったのがわかるわ」
「オズの国はアメリカの影響を受けるからね」
「それでわかるわ、考えてみれば」
 ドロシーは魔法使いに笑顔で言いました。
「食材は豊富でね」
「海や川、平野や山にね」
「農業も盛んで」
「調味料、香辛料も揃っていてね」
「キッチンも充実していて」
「レシピの本も沢山あって料理番組もよく放送されているし」
「しかも世界中から人が集まるから」
 ドロシーはさらに言いました。
「世界中のお料理が食べられるから」
「美味しくならない筈がないよ」
「そうよね」
「それこそ美味しいものを食べようと思ったら」 
 アメリカでというのです。
「その時点でね」
「食べられるわね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「アメリカはね」
「そうよね」
「それで実際にね」
「美味しいものを食べたくなって」
「どんどんだよ」
「アメリカ料理はよくなっていっているわね」
「ハンバーガーやホットドッグに」 
 こうしたものにというのです。
「フライドチキンもあるし」
「他のお料理もいいわね」
「しかもボリュームはそのままだから」
 このこともあってというのです。
「尚更ね」
「いいわね」
「そうだよ」
 イギリス料理はというのです。
「本当にね」
「そうよね」
「アメリカ料理は美味しくならない筈がなくて」
「そうなったわね」
「そう言えるよ」 
 まさにというのです。
「それで僕達もね」
「そのアメリカ料理を食べられるわね」
「オズの国でね」
「そういえば今回の使節団は」
 ナターシャはここでこう言いました。
「もともとアメリカにいた人のところによく行きますね」
「そうなんだよね」 
 アメリカ人のジョージがまさにと応えました。
「四姉妹の人達も小公子セドリックさんもで」
「足長おじさんもジュディさんもだし」
 神宝も言います。
「そう考えますと」
「今回はアメリカ料理にもよく触れられるんですね」
 カルロスは嬉しそうに言いました。
「オズの国ではよく食べますが」
「今回は特にですね」
 まさにとです、恵梨香は頷きました。
「よく食べますね」
「そうなるわね」 
 ドロシーが五人ににこりと笑って応えました。
「本当に」
「嬉しいですね」
「アメリカ料理も色々ありますからね」
「本当に世界中から人が来ますから」
「そうした国ですから」
「そうなりますね」
「そう、そしてね」 
 それにというのでした。
「色々なアメリカの文化もね」
「楽しめますね」
「色々なものも」
「そこには昔のアメリカ文化もあるんですね」
「今ではオズの国にしかない様な」
「そうした文化も」
「そうよ、十九世紀や二十世紀初頭のね」
 その頃のというのです。
「街並みもあるしね」
「そういうものも視たいですね」
「是非共」
「それじゃあですね」
「今回の使節団も素敵なものになるんですね」
「必ず」
「そうなるわ」 
 ドロシーはまさにと答えました、そしてです。
 かかしもです、こうしたことを言いました。
「僕達もかつてのアメリカ文化は好きだよ」
「街並みだってね」
 樵も言います。
「いいよね」
「風情があるよね」
「そうだね」
「オズの国に最初からある様な」
 臆病ライオンも言いました。
「素敵なものだね」
「昔ながらのね、時代はどんどん変わっていて」
 それでと言うかかしでした。
「文化も街並みもだよ」
「変わっていくね」
「けれどね」 
 樵にそれでもと言いました。
「昔のものもね」
「残していくべきだね」
「そしてオズの国はだよ」
「そのことも出来ているね」
「だから尚更いいんだよ」
「最高の国になっているね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「この国は」
「そうだね、ではその昔の文化や街並みをね」
「楽しんでいこう」
「そうしよう」
 こうお話します、そしてでした。
 お食事も楽しんで、でした。それからです。
 皆でさらに準備を進めました、そして遂に使節団が出発することになりましたが今回向かうウィンキーの国に向かう都の西の城門のところでオズマ達は一行を見送りますが。
 そこで、です。かかしはそのウィンキーの方を見て言いました。
「ウィンキーは今僕達が暮らしている国だからね」
「よく知ってるよ」
 そのウィンキーの皇帝である樵が応えました。
「本当にね」
「そうだね、道もね」
「交通手段だってね」
「よく知っているよ」
「そうだね」
「まさにね」
 それこそというのです。
「すぐにだよ」
「彼等のところに行けるね」
「うん、ただね」
 ここで、でしだ。樵は少し困った様な顔になってかかしに言いました。
「皆オズの国の市民でウィンキーのそれだから」
「ああ、ドロシーにも君にもね」
「しかもどの人も礼儀正しいからね」
「物凄く恭しくね」
「君に会うと挨拶するね」
「そのことがね」
 どうにもというのです。
「困るよ」
「そうだね」
「うん、僕としてはね」
「砕けて欲しいね」
「礼儀作法は大事でも」
 それでもというのです。
「そんなに畏まらなくてもだよ」
「いいね」
「そういえば今回お会いする予定の人達は誰もが礼儀正しいね」
 ジャックも言われて気付きました。
「そうだね」
「僕は確かに今は皇帝だけれどね」 
 樵はジャックにも言いました。
「けれど元々は」
「樵さんだよね」
「普通のね、そして今だってね」
「樵さんだね」
「身体はブリキのものになって」
 そうしてというのです。
「皇帝になったけれど」
「君は君だね」
 かかしが笑顔で言ってきました。
「そうだね、僕はかかしでね」
「そう、樵だよ」
「そのことは変わらないね」
「変わる筈がないよ」 
 それこそというのです。
「オズマやドロシーみたいにね」
「そう言う私だってカンサスの娘よ」
 今度はドロシーが笑って言いました。
「何か神様みたいにね」
「恭しくして欲しくないね」
「幾ら礼儀正しい人達でもね」
「そうよね」
「そう思うよ」
「そうだね、しかしどの人もね」
 かかしはお会いする人達のことをお話しました。
「ちゃんとした立派な教育を受けてきたから」
「それでなのね」
「そう、だからね」
 ドロシーにその為にと言います。
「僕達はこう思っていても」
「それでもよね」
「礼儀作法を身に着けていると」
「それが出るのね」
「いい意味でね」
「いい意味なのね」 
 ドロシーはかかしの今の言葉に目を瞬かせて尋ねました。
「そうなの」
「そうだよ、やっぱり礼儀正しいなら」
 かかしはそれならと答えました。
「それに越したことはないよ」
「そうなのね」
「だからね」
「いい意味になるのね」
「そしていいことにね」
 そうもというのです。
「なるよ」
「そうなのね」
「むしろ無作法だと」
「駄目ね」
「だから僕達はそうしたことに抵抗があってもね」 
 自分達はというのです。
「元々の生まれがそうしたものにこだわらないから」
「そうした生まれだから」
「抵抗があるけれど」
「礼儀正しいなら」
 それならというのです。
「いいことでそれを向けられたら」
「受け入れることね」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「応えることだよ」
「礼儀正しく」
「これは好き嫌いじゃなくて」
「あっ、礼儀ね」
「一つとしてのね、だからね」
「私達自身が抵抗あっても」
「受け入れて」
 そうしてというのです。
「応えようね」
「そうすることね」
「人として。それじゃあ」
「これからね」
「その礼儀を受けて応える為にも」
 まさにその為にもというのです。
「行こうね」
「わかったわ」
 ドロシーは笑顔で頷きました、そうしてです。
 皆で出発しました、今回は前後にロータリーがある大型のエメラルドの都の緑色のヘリコプターに乗りました。
 中は豪華なホテルの客室の様になっていて皆その中でくつろぎます、その中で臆病ライオンがかかしに尋ねました。
「これから色々な国に行くね」
「ウィンキーの国にあるね」
 かかしが応えました、皆それぞれくつろいでいます。
「そうしていくよ、それとね」
「それと?」
「うん、今回は一泊ごとにね」
 それごとにというのです。
「ホテルに宿泊してね」
「各国を訪問していくんだね」
「そしてね」
 それでというのです。
「色々な国をね」
「巡って」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「ホテルでもね」
「色々と楽しめるんだね」
「そうだよ、ホテルもいいね」
「このヘリコプターの中も」 
 こちらもとです、臆病ライオンは答えました。
「ホテルみたいだしね」
「ホテルもいいよね」
「そう、だからね」
 それでというのです。
「今回はね」
「ホテルも楽しむんだね」
「色々なね」 
 それこそというのです。
「そうしていこう」
「わかったよ」
 笑顔で、です。臆病ライオンは笑顔で応えました。
「それではね」
「ホテルも楽しんでいこう」
「わかりました」 
 こうお話してでした、皆で今は空の旅を楽しみます。樵はその中でにこにことしてそのうえで皆にお話しました。
「皆景色はどうかな」
「三百六十度球形のだね」
「この中全体が透明になってだよ」
 かかしににこにことしたままお話します。
「そのうえで観られる」
「あの景色をだね」
「どうかな」
「じゃあ多数決を取ろう」
 かかしは樵の言葉を受けて提案しました。
「ここはね」
「そうしてだね」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「景色を楽しむかどうか」
「決めるんだね」
「多数決が一番だね」
「民主的でね」
 樵はまさにと答えました。
「いいね」
「そうだね、勿論景色を楽しみながら他のことも楽しめるね」
「トランプもお茶もお食事もね」
「全部だね」
「景色を楽しみつつね」
 そうしつつというのです。
「出来るよ」
「そうなんだね」
「そのことも踏まえて」
「見ていこう」
「それじゃあね」 
 こうお話してでした。
 かかしは皆に多数決を取りました、そうするとです。
「皆賛成だね」
「だって景色を楽しめてね」
 ジャックが答えました。
「他のことも一緒に楽しめるね」
「そうだよ」
 樵が答えました。
「一緒にね」
「だったらね」
 それならというのです。
「賛成しない筈がないよ」
「そういうことだね」
「それで今からだね」
「このボタンを押せばね」
 樵は今自分がいるすぐ傍の壁にある黄色いボタンを見て答えました。
「それでだよ」
「すぐに景色が観られるね」
「そうなるよ」
 まさにというのです。
「僕達はね」
「それならね」
 ジャックは笑顔で答えました。
「景色を楽しませてね」
「今すぐにね」
 樵は笑顔で答えました、そしてボタンを押すとです。
 皆は三百六十度球形にです、自分達が今いる場所からお空に浮かんでいるみたいに景色を観る様になりました。上も下も前後左右もです。
 全部観られます、その景色を観てナターシャ達は言いました。
「こうして全部観られるのっていいわね」
「そうだよね」
「窓からだけじゃなくて」
「上も下も前後も観られる」
「最高だよ」
「そうだね、これがね」
 かかしも笑顔でお話します。
「オズの国の技術の一つだよ」
「全部観られる」
「それもですね」
「オズの国の技術ですね」
「潜水艦でもそうでしたし」
「お空でもですね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「この通りね」
「見られますね」
「陸もお空も」
「もう全部」
「好きなだけ見られますね」
「お空を旅する間は」
「そうだよ、そしてね」
 そのうえでというのです。
「他のことも楽しもうね」
「トランプやおはじきも」
「色々遊ぶものありますね」
「ボードゲームもかなりありますね」
「そうしたものもして」
「楽しみますね」
「そうしていこうね、ボードゲームも最高だよ」
 こちらの遊びもというのです。
「そちらも皆で楽しもうね」
「わかりました」
 笑顔で、です。
 ナターシャ達五人は応えました、そうして景色を観つつそのうえでトランプやボードゲームを楽しみました。お空の旅はそうしたものでとても楽しいものになったのでした。








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