『新オズのかかし』
第一幕 かかしの故郷
かかしはこの時ブリキの樵のブリキのお城で樵それにカボチャ頭のジャックと一緒にいておしゃべりを楽しんでいました。
その中で、です。かかしはこんなことを言いました。三人でお庭のブリキの席に座ってブリキの噴水や造花に囲まれています。
「思えば遠くに来たね」
「ドロシーに会ってからね」
樵はかかしに笑顔で応えました。
「そうだね」
「うん、思えばね」
「僕達は最初マンチキンにいてね」
「そこでドロシーと出会ってね」
「それぞれ救われてね」
「僕はずっと畑にいてね」
その頃のことを思い出しながらです、かかしは笑顔で言いました。
「立ったままで」
「そのままだね」
「何時まで畑にいるのか」
「他の場所に行きたい」
「そう考えていてね」
そしてというのです。
「そこにだよ」
「ドロシーが来て」
「そしてね」
そうしてというのです。
「畑から出してもらってね」
「それでだったね」
「一緒にエメラルドの都まで行こうってなって」
「その次に僕だったよ」
樵はその時のことを思い出して笑顔で言いました。
「身体が錆びてね」
「動けなくなっていて」
「ずっと木を切るところで止まっていたけれど」
そうした状態だったけれどというのです。
「そこにね」
「ドロシーが来てね」
「油をさしてくれてね」
錆びた間接の部分にです。
「そうしてね」
「僕と一緒にね」
「エメラルドの都に行くことにして」
「その後臆病ライオン君とも会って」
「皆で行ったね」
「そしてそこから」
かかしはまさにと言いました。
「色々なことがあって」
「遠くに来たものだね」
「今はウィンキーの国にいて」
「僕は皇帝でね」
「僕はオズの国の相談役だよ」
「そうだね」
「脳がないから知恵がないと思っていたら」
かかし自身はです。
「それがね」
「考える能力は備わっていてね」
「しかもかなりのもので」
「君はオズの国一の知恵者だよ」
「そう言ってもらえる様になっているよ」
「そうだね」
「時々冒険にも出てるしね」
「今だってね」
「ドロシーと出会って」
そうしてというのです。
「どれだけのことがあったか」
「ドロシーは僕達の幸せの導き手だね」
「全くだよ」
「若しドロシーがオズの国に来なかったら」
ジャックもここで言いました。
「皆どうなっていたかわからないね」
「そうなんだよ」
かかしはジャックにもお話しました。
「まさにね」
「かかしさんも樵さんも」
「臆病ライオン君もでね」
「他の皆もだね」
「ドロシーがオズの国に来てくれて」
そうしてというのです。
「出会ってね」
「運命が変わったね」
「凄くよくね」
「そうなったね」
「そしてオズの国自体もね」
「変わったね」
「凄くよくね」
オズの国もというのです。
「変わったよ」
「その通りだね」
「ドロシーは不思議な娘だよ」
また樵が言いました。
「本当にね」
「あの娘が動くとね」
「必ず何かが起こってね」
かかしに笑顔でお話します。
「そして凄くいいことになるよ」
「そうだね」
「天使じゃないけれど」
「天使の様に幸せをもたらしてくれるね」
「あの娘はね」
まさにというのです。
「そうした娘だよ」
「僕達にもオズの国にもね」
「そうしてくれる娘だよ」
「ドロシーそれにオズマだね」
ジャックはオズの国の国家元首である彼女のこともお話に出しました。他ならぬ自分をこの世に送り出してくれた彼女のことを。
「あの娘もね」
「そう、二人共だよ」
「オズの国に必要な娘達だよ」
かかしも樵もその通りだと答えます。
「動けば何かが起こって」
「幸せなことになるよ」
「不思議だね、二人共」
ジャックはまた言いました。
「そうなるから」
「オズの国はお伽の国でね」
それでと言うかかしでした。
「不思議なことはいつもね」
「沢山起こるね」
「外の世界では絶対にないことがね」
まさにというのです。
「普通に起こるよ」
「そうした世界だね」
「そして特にね」
「ドロシーはだね」
「オズマ姫もでね」
「動くと何かが起こって」
「幸せなことになるからね」
だからだというのです。
「本当に不思議な娘だよ」
「かかしさんや樵さんを救い出してくれたし」
「あの娘がいてこそね」
まさにというのです。
「今の僕達があって」
「オズの国もだね」
「そうだよ、それで明日ね」
「明日?」
「僕と樵君はエメラルドの都に行くんだ」
ドロシーのいるその国にというのです。
「宮殿にね」
「そうするんだ」
「そう、そしてね」
そうしてというのです。
「ドロシーに会うんだ」
「そうするんだね」
「そうするけれど」
樵もジャックに言います。
「君は今暇かな」
「特に予定はないよ」
ジャックは樵に答えました。
「今の僕はね」
「そうなんだね」
「二人が都に行くなら」
それならというのでした。
「どうしようかな」
「それじゃあね」
そのお話を聞いてです、かかしはジャックに言いました。
「僕達と一緒にどうかな」
「都に行くんだね」
「うん、君も時間あるね」
「本当に暫くはね」
「予定がないね」
「そうなんだ」
「だったらね」
それならというのです。
「一緒に都に。どうかな」
「君さえよかったらね」
樵もジャックに言います。
「都に行かないかい?」
「いいんだ」
そのお話を聞いてです、ジャックは驚いた感じになって言いました。
「僕も一緒でも」
「いいよ、むしろ一緒に来てくれたら」
「その分賑やかになるからね」
「来てくれるかな」
「都に行かないかい?」
「うん、そう言ってくれるなら」
それならとです、ジャックは笑顔で頷きました。そうしてでした。
三人で都に行くことになりました、ウィンキーの樵のお城から都に向かいました。ただそこでなのでした。
ふとです、かかしは二人に黄色い煉瓦の道を進みながらこんなことを言いました。道の左右にはウィンキーの黄色の草原が広がっています。
「ナターシャ達も来ているよ」
「あの子達もだね」
「そうらしいよ、今ドロシーにスマートフォンでドロシーに連絡したら」
そうしたらというのです。
「今そちらに向かっているってね」
「そうしたらだね」
「ドロシーにだね」
「そう返事が来たんだ」
「あの子達もオズの国に来てるって」
「五人がね」
「あの子達はいつも面白い時に来るね」
笑顔で、です。樵は言いました。
「ここぞというか」
「何か楽しいことがある」
「その時に来るね」
「いつもね」
「運がいいというか」
「オズの国に相応しい子達だね」
「そうだね、じゃあね」
樵はとても楽しそうに言いました。
「あの子達とも会おう」
「そのことを楽しみにしながらね」
「都に向かおうね」
「そうしようね」
「さて、僕達はね」
ジャックもそのお話を聞いて楽しそうに言いました。
「ナターシャ達に会ったらね」
「そのことも楽しみだね」
「何をして遊ぼうかな」
「そのことも楽しみだね」
「とてもね」
笑顔で言うのでした。
「今からね」
「僕もだよ」
「僕だってそうだよ」
かかしだけでなく樵も言いました。
「今から昼も夜も歩いてね」
「そして向かっているけれどね」
「その時が楽しみだね」
「あの子達と会うのも」
「そうだね、それでね」
さらに言うジャックでした。
「一ついいかな」
「何かな」
「うん、僕達はこのまま歩いて」
「昼も夜もね」
「休むことなくね」
「そうして進むからだね」
「すぐに都まで行けるね」
そうなるいというのです。
「そうだね」
「そうだよ」
かかしはその通りだと答えました。
「僕達はね」
「そのことが有難いね」
「僕達は寝ることも休むこともしなくてよくて」
「食べることも飲むこともしなくてね」
「動こうとすればね」
そうすればというのです。
「本当にね」
「どれだけでも動けるね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「そのことがね」
「僕達の身体のいいところだね」
「僕達が気に入っているね」
そうしたというのです。
「凄くね」
「いいことだね」
「そう、普通の人は八時間位しかね」
「動けないね」
「一日のうちね」
二十四時間のうちにというのです。
「しかも疲れもするから」
「歩いても速度が遅くなったりもするね」
「そう、けれどね」
「僕達は疲れることもないからね」
「だからね」
そうであるからだというのです。
「本当にね」
「好きなだけ動けるね」
「一日二十四時間もね」
これだけもというのです。
「普通にだよ」
「動けるから」
「簡単に計算して」
そうしてというのです。
「普通の人の三倍の速さで」
「都まで行けるね」
「そうだよ」
「僕達はこの身体がとても気に入っているからね」
樵も言ってきました。
「これでいいね」
「最高の身体だね」
「全くだよ」
「寝ることも休むこともね」
「必要なくてね」
「食べることも飲むこともしなくてよくて」
「しかも疲れない」
そうしたことが一切ないというのです。
「最高の身体だよ」
「全くだよ、ではね」
「このままね」
「都まで行こう」
「そうしよう」
笑顔でお話してでした。
皆で楽しくお喋りをしつつ都まで向かいます、やがて黄色い草原は国境を越えると緑色になりました。
そして都の前に来るとです、そこにはドロシーがトトと一緒にいました。
「いらっしゃい」
「宮殿じゃなくて街の城門で待ってくれているなんて」
「だって待ちきれなかったから」
ドロシーはかかしに笑顔で答えました。
「迎えに来たのよ」
「ここまでだね」
「そうなの」
かかしに笑顔のままお話します。
「私とトトはね」
「三人とは暫く会っていなかったからね」
トトはドロシーの足元にいます、そこから言いました。
「だからなんだ」
「僕達と早く会いたくて」
「そうだよ」
まさにというのです。
「そう思ってね」
「そこまで想ってくれるなんてね」
「嬉しい?」
「勿論だよ」
こうかかしに答えました。
「嬉しくない筈がないよ」
「そうなんだね」
「だからね」
それでというのです。
「今にも踊りたい位だよ」
「僕もだよ」
樵も言ってきました。
「そこまで想ってくれるなんてね」
「そうだよね」
ジャックも言います。
「わざわざ城門まで来てくれるなんて」
「本当に嬉しいね」
「全く以てね」
「それでだけれど」
ドロシーはそのとても嬉しそうな三人に言いました。
「これから宮殿に行きましょう」
「そうしようね」
「それでお話しましょう」
「皆でね」
「メールで知らせたけれど」
「ナターシャ達も来ているね」
「昨日来たのよ」
五人はというのです。
「それでね」
「今は宮殿で遊んでいるのかな」
「オズマや臆病ライオンとね」
「そうなんだね」
「実は臆病ライオンもここに来るつもりだったけれど」
それでもというのです。
「今は五人とね」
「遊んでいるんだ」
「オズマが一緒にって言ってね」
それでというのです。
「彼は宮殿に残ったの」
「成程ね」
「それじゃあね」
「今からね」
「来てね」
「うん、都に入らせてもらうよ」
「そうしてね」
こうお話してでした。
かかし達はドロシー達と一緒に都に入りました、すると都の中はいつも通りエメラルドで飾られていて緑色に輝いています。
その中を見回してです、ジャックが言いました。
「いつも通りね」
「緑に輝いて奇麗だね」
「そうだよね」
「この輝きがね」
緑のそれがというのです。
「この都ならではね」
「奇麗でね」
「とてもいいね」
「全くだよ」
「それでね」
かかしはさらに言いました。
「最初に来た時よりもね」
「奇麗になっているね」
「どんどんね」
エメラルドの都はというのです。
「そうなっているよ」
「昨日よりも今日はだね」
「さらに奇麗になっていて」
そうであってというのです。
「明日はね」
「もっとだね」
「奇麗になるよ」
「どんどん奇麗になるね」
「そしてその果てはね」
奇麗になるそれはというのです。
「ないんだ」
「ずっとだね」
「それこそ際限なくね」
「奇麗になるんだね」
「この都それにオズの国はね」
「オズの国全体がだね」
「僕達がドロシーと出会った時よりもね」
かかしはここでもでした、ドロシーと出会って最初の魔法使いと会って彼女がカンサスに帰るまでのことを思い出しながら言いました。
「ずっとだよ」
「奇麗になっているんだね」
「そうだよ、だからね」
それでというのです。
「これからもだよ」
「どんどんだね」
「奇麗になってね」
そうしてというのです。
「色々なものがある」
「素敵な国になるんだね」
「外の世界も随分変わったけれど」
このことはかかし達も聞いて知っています。
「オズの国はもっとだよ」
「変わってるね」
「そう、そしてね」
そうしてというのです。
「僕達も幸せになるんだ」
「オズの国が奇麗になっていくから」
「素晴らしい国になってね」
それでというのです。
「そうだからね」
「僕達も幸せになるんだ」
「そうだよ、いいことだね」
「オズの国は科学だけじゃないからね」
樵もジャックに言います。
「外の世界にあるのは科学だけだけれど」
「魔法もあるね」
「そう、魔法にね」
それにというのです。
「今は錬金術や超能力、仙術に陰陽道もね」
「あるね」
「だからね」
「今のオズの国は」
「僕達がドロシーと出会った時よりも遥かにだよ」
「いい国になっているね」
「色々な人も来てくれているしね」
「そう、実はね」
ここでドロシーが三人に言いました。
「今度都からオズの国の多くの国に訪問団を送るの」
「そうなんだ」
「代表は私でね」
かかしに笑顔でお話しました。
「他にも人が参加するけれど」
「このお話の流れだとね」
「ええ、よかったらね」
かかしにお顔を向けてお話します、都のメインストリートを宮殿に向かって歩きながらそうしています。
「貴方達もね」
「うん、そのお話はね」
「宮殿でね」
「少しお話しよう」
こうしたお話をしながらです。
かかし達は宮殿に向かってそちらに入りました、すると宮殿の正門のすぐ傍のお庭のところでなのでした。
臆病ライオンがいました、そしてです。
「あっ、かかしさん」
「ブリキの樵さんもおられるね」
「それにジャックも」
「今来てくれたんだ」
「待っていました」
ナターシャ達五人がいました、丁度臆病ライオンと一緒に日本古来の遊びである蹴鞠を楽しんでいました。
その蹴鞠を中断してです、臆病ライオンがかかし達に嬉しそうに言ってきました。
「いや、待っていたよ」
「暫く振りだね」
「元気そうで何よりだね」
「うん、この通りだよ」
かかしとジャックに喉を鳴らして笑顔で応えました。
「僕はとても元気でね」
「そして楽しくだね」
「遊んでいたんだね」
「ナターシャ達とね」
「何をしようかってお話しまして」
ナターシャが言って来ました。
「それでサッカーをしようかとか」
「あとクリケットに」
ジョージも言います。
「ゲートボールもお話に出まして」
「バスケもありました」
神宝はそちらもと言いました。
「バレーボールも」
「それとドッヂボールもで」
カルロスはそちらもと言いました。
「何かとお話して」
「丁度そこでオズマ姫が蹴鞠の本を読んでいて」
そしてというのです、恵梨香は言いました。
「それをしようってお話しまして」
「それでだね」
「さっきまで遊んでいました」
またナターシャがお話しました。
「かかしさんが来られるまで」
「そうなんだね」
「それで今来られましたね」
「この通りね」
「それで今からオズマに挨拶に行くから」
樵もナターシャに言います。
「後で一緒に遊ぼう」
「わかりました、じゃあその間は」
「うん、一緒にね」
「遊びましょう」
こうお話してでした。
かかし達は一旦ナターシャとお別れしてそうしてでした、宮殿の中に入ってそのうえでオズマと会いました、そして挨拶を交えましたが。
ここで、です。オズマはドロシーそれにベッツイ、トロットと一緒にいましたがその場でドロシーと同じお話をしました。
「今オズの国の中の国々にね」
「外交使節を送るんだね」
「そうなの、実はその国々はね」
かかしにお話しました。
「ウィンキーの国々よ」
「ああ、僕達が今暮らしている」
「その国の中にあるね」
「アン王女の国じゃないね」
「熊センターでもないわ」
「また別の国々だね」
「四姉妹に小公女に小公子」
オズマはかかしに微笑んでお話しました。
「足長おじさん、ロビンソン=クルーソーの国々よ」
「ああ、そうした人達の国だね」
「どの人も最初はね」
オズマはさらに言いました、
「オズの国じゃなくてね」
「アメリカやイギリスにいた人達だね」
「そうよ、その人達の国にね」
「使節団を送るんだね」
「都からね」
「それでドロシーが代表で」
「他にも人が必要でね」
そうであってというのです。
「その人達を探しているけれど」
「私とトトとね」
ドロシーが言ってきました。
「臆病ライオン、魔法使いさんとナターシャ達五人なの」
「その人達は決まったけれど」
トロットは微妙な感じのお顔で言いました。
「あと三人位参加して欲しいの」
「けれど私とオズマとトロットは宮殿のお仕事があるから」
ベッツイもお話します。
「行けないの」
「ハンクとキャプテンさんもお仕事があってね」
またオズマが言います。
「腹ペコタイガーも残ってもらうしモジャボロは弟さんと一緒にリンキティンク王の国を訪問してるの」
「では僕達三人だね」
かかしはここまで聞いて言いました。
「丁度三人だしね」
「ええ、お願いしたいとね」
「オズマ達も思っていたね」
「丁度ね」
まさにというのです。
「思っていたの」
「まさに渡りに舟だね」
「そう思っているわ」
実際にというのです。
「私達もね」
「じゃあ丁度いいね」
「いや、素敵な使節団になるね」
樵も言います、それもとても楽しそうに。
「これは」
「絶対にね。実は私もあの人達にお会いしたかったの」
「四姉妹に小公女に小公子にだね」
「足長おじさんにね」
この人にというのです。
「それにロビンソンさんにね」
「皆にだね」
「是非ね。オズの国はお伽の国だから」
「色々な人達が来てくれて」
「住人になってくれているから」
だからだというのです。
「それでね」
「色々な物語の人が住人になってくれているね」
ジャックも嬉しそうに言います。
「そうした国だね」
「だから孫悟空さんや関羽さんもおられて」
「真田幸村さんと十勇士の人達もで」
「今お話している人達もね」
「今ではオズの住人だね」
「そう、外の世界の素敵な人達もね」
「オズの国の住人だね、そういえば」
ここでジャックはある人のことを思い出してドロシーに言いました。
「ヘレン=ケラーさん」
「とても素敵な人よ」
ドロシーはそのお名前を聞いてぱっと明るいお顔になりました、そのうえでジャックに対して言いました。
「優しくて穏やかで思いやりのある」
「素敵な人だね」
「とてもお心が奇麗なの」
ヘレン=ケラーさんはです。
「誰よりもね、誰よりも幸せだって」
「言われているね」
「いつもね、それでね」
そうした人でというのです。
「目が見えて耳が聞こえる」
「そのことがだね」
「何よりも嬉しいって」
「言われているね」
「だから幸せだってね」
「目が見えて耳が聞こえてね」
かかしはお二人のお話を受けてこう言いました。
「喋ることが出来る、何でもない様で」
「とても素晴らしいことよね」
「そうだよ、その三つが出来ている僕達はね」
「それでよね」
「とても幸せだよ」
「そうよね」
「こんな幸せなことはない」
それこそというのです。
「そう言っていいまでにね」
「素晴らしいことよね」
「そうだよ」
まさにというのです。
「ヘレンさんの言う通りだよ」
「本当にそうね」
「あの人のお話は僕も聞いているよ」
かかしもというのです。
「外の世界だと目が見えなくて耳が聞こえなくて」
「そして喋ることが出来なくて」
「その三つの苦難に勝ったね」
「素晴らしい人ね」
「そうなんだ、そして今はね」
「オズの国におられるわね」
「サリバン先生と一緒にね」
強い絆で結ばれているこの人と、というのです。
「幸せに暮らしているよ」
「嬉しいことね」
「素晴らしい人が皆ね」
「来てくれる国よね」
「このオズの国はね」
「そうして楽しく過ごしてくれているから」
「とてもだよ」
まさにというのです。
「素晴らしい国だよ」
「本当にそうね」
「そして今回訪問する人達も」
「素晴らしい人達よ」
「そうだね」
「どの人達もね、それじゃあね」
ドロシーはかかしにとても明るい笑顔で言いました。
「これから準備をするから」
「それが整うとだね」
「出発しましょう」
「それではね」
「それとね」
さらにです、ドロシーはかかしにお話しました。
「外で臆病ライオンがいるわね」
「宮殿のお庭にね」
「ナターシャ達と蹴鞠をしているけれど」
「その蹴鞠にだね」
「私達も参加しましょう」
「そして一緒に楽しもう」
「そうしましょう、あと魔法使いさんは」
使節団に参加するもう一人の人はといいますと。
「今はマンチキンの国で公務をしていてね」
「それが終わるとだね」
「気球で戻って来るから」
「ああ、気球でなんだ」
「あの人が好きなね」
かかしに微笑んでお話します。
「気球でオズの国に来て一旦アメリカに戻ったけれど」
「その気球でだね」
「そう、都に戻って来るの」
「そうなんだね」
「あの人が戻って来る頃にはね」
その頃にはというのです。
「準備を整えて」
「使節団のそれを」
「そしてね」
「出発だね」
「そうしましょう」
「それではね」
こうして使節団の参加者が決まってでした。
かかし達はナターシャ達と蹴鞠を楽しみに宮殿のお庭に出ました、そうして遊んで一緒に遊んだのですが。
夕方になってです、夕食の時にオズマがお話しました。
「魔法使いさんのお仕事は順調とのことよ」
「そうなの」
「だからもうすぐお仕事が終わって」
ドロシーにお話します。
「それでよ」
「気球で都に戻って来るわね」
「そうしてくれるわ」
「じゃあそれまでにね」
ドロシーは食べながら応えました。
「私達はね」
「ええ、使節団の準備をね」
「しておくわ」
「宜しくね」
「そして」
オズマはメインのポークソテーを食べつつ言いました。
「色々な人達とお会いして」
「お話を聞くのね」
「そして見て来てね」
「色々な国の状況を」
「どうすればもっとよくなるか」
「そのことをね」
まさにとです、ドロシーもポークソテーを食べつつ応えました。
「見てきてね」
「そうしてくるわね」
「そしてね」
「どの国もね」
「よくなる様にね」
「治めていくわね」
「オズの国は連邦国家でしょ」
このこともです、オズマは言いました。
「私が国家元首でエメラルドの都があるけれど」
「都も一つの国家でね」
「大きく分けて五つの国家があって」
「都もそのうちの一つよ」
「マンチキン、ギリキン、ウィンキー、カドリングがあって」
この四カ国がというのです。
「そしてそれぞれの国の中に」
「色々な国があるのよね」
「そうした国でね」
「どういった国かというと」
「連邦国家よ」
「色々な国家の連合国家ね」
「アメリカみたいにね」
この国の様なというのです。
「沢山の国家から形成されている」
「国家連合ね」
「そうした国だから」
「中に色々な国があって」
「都から使節団を送ることもあるのよ」
「そうよね」
「そしてそれぞれの国もね」
都だけでなくというのです。
「使節団を送ったりするわ」
「お互いにね」
「こうした国家って実は結構あるのよね」
「外の世界でもね」
「アメリカもそうだけれど」
「昔の日本だって言うなら」
それならとです、かかしが言ってきました。
「そうだったね」
「幕藩体制よね」
ドロシーが応えました。
「確か」
「うん、幕府があってね」
「オズの国で言うエメラルドの都ね」
「日本全体を治めていて」
「三百位の藩があって」
「それぞれの藩がね」
かかしはドロシーにお話しました。
「一つの国家としてね」
「動いていたわね」
「そうだったんだ」
「その頃の日本と同じだって考えれば」
「オズの国はわかりやすいよ」
「そうよね」
「アメリカは五十の州がそれぞれの国家で」
そうであってというのです。
「上にワシントンがある」
「そうした国よね」
「けれどね」
「オズの国とはちょっと形が違うね」
「そうね」
ドロシーも確かにと頷きます。
「アメリカはね」
「だから考えてみたら」
「オズの国が似ているのは」
「昔の。江戸時代の日本だろうね」
「ムシノスケ教授もそんなこと言ってたわね」
「そう、考えていったら」
そうすると、というのです。
「そうなるね」
「外の世界を学んで」
「そうするとね」
「そうよね」
「勿論何かと違う点はあるよ」
オズの国と江戸時代の日本はです。
「けれど似ていると考えるとね」
「そうなるわね」
「江戸時代の日本はね」
「そうよね」
「ちょん髷はしていないけれどね」
かかしは笑ってジョークも入れました。
「似ている、色々参考に出来る部分もあるよ」
「江戸時代の日本は」
「何しろ二百年以上ずっと平和で穏やかでね」
樵も江戸時代の日本についてお話しました、当然ながらこの人とかかしそれにジャックは食べていなくてお食事の場に一緒にいて飲んで食べて楽しんでいる皆の笑顔を見てそれを心の栄養にしています。
「繁栄した」
「そう、素敵な時代なのよ」
オズマが応えました。
「その頃の日本はね」
「そうだよね」
「その日本よりもずっとね」
「いい国にしたいね」
「あの国みたいに平和で穏やかで繁栄していて」
「それに多くの人が幸せで」
「そこからさらにね」
まさにというのです。
「平和で賑やかな」
「そんな国にしたいね」
「オズの国をね」
「そうだね」
「それでその為にもね」
「今回使節団を送るね」
「そうするわ、色々な国と友好を深めて」
使節団が訪問する国々と、というのです。
「そしてね」
「そのうえで」
「そう、さらにね」
「その国々を見る」
「周りもね」
そうしてというのです。
「それからもっといい政治をしていくのよ」
「そうするね」
「うん、そして」
そのうえでというのです。
「もっともっとね」
「いい国にしていくわね」
「オズの国をね」
「そして私達は」
ドロシーは自分から言いました。
「そのオズマと一緒にね」
「政治をしてくれるわね」
「オズの国のね。一緒に頑張りましょう」
「ええ、一緒にね」
「そしてね」
「どんどんね」
「いい国にしていきましょう」
笑顔でお話をしてでした。
今は皆と一緒に夕食を食べます、その夕食はとても美味しいものでした。