『オズのエマおばさん』




               第七幕  バイソン料理

 ドロシーはエマおばさんとヘンリーおじさんにホテルの朝ご飯を食べた後で笑顔で今日のことをお話しました。
「草原に行きましょう」
「街の前に拡がっている」
「あそこにだね」
「ええ、そうしてね」
 そのうえでというのです。
「馬で走ったりして楽しみましょう」
「草原を馬でなのね」
「走るんだね」
「乗馬もね」
 こちらもというのです。
「楽しみましょう」
「いや、乗馬なんて」
「思えばしたことがなかったよ」
 おばさんもおじさんもしみじみとして言いました。
「これまでな」
「草原の中にいてもね」
「畑仕事ばかりしていたからな」
「カンザスにいた頃は」
「オズの国に来てからもそうよね」
 ドロシーはそれからのお二人のこともお話しました。
「そうだったわね」
「ええ、トラクターに乗ってね」
「畑仕事で馬は使っても」
「牛やトラクターと同じでね」
「乗ることはなかったよ」
「けれどね」 
 それでもというのです。
「今はね」
「乗っていいのね」
「観光だから」
「そうよ、だからね」
 ドロシーはお二人にさらにお話しました。
「これからね」
「馬に乗って楽しむ」
「乗馬を」
「他の遊びもあるし」
 そうだからだというのです。
「これからね」
「ええ、それじゃあね」
「今日は草原に行くんだな」
「そうしましょう」
 こうお話してでした。
 朝ご飯の後で街を出て草原で馬に乗ります、ただ臆病ライオンと腹ペコタイガーそれにトトはです。
「僕達は馬に乗れないからね」
「馬と同じで四本足で歩いて走れるからね」
「馬には乗らないよ」
「そうするのね。じゃあ馬に乗った私達と一緒にね」
 ドロシーは三匹に応えました、もう皆乗馬服と乗馬ズボンにブーツそれに帽子を被っています。馬に乗る恰好です。
「歩いて走ってね」
「運動してね」
「楽しむよ」
「そうさせてもらうよ」
「そうしてね、じゃあね」
 ドロシーは他の皆にあらためてお話しました。
「今から馬に乗りましょう」
「ええ、しかしね」
「乗馬服を着るなんてな」
 おばさんとおじさんは言いました、見ればです。
 お二人は青い乗馬服とブーツに帽子それにズボンです。紛れもなくマンチキンのものでモジャボロと弟さんそれにムシノスケ教授は緑です。
「思わなかったよ」
「馬に乗ること自体考えてなかったしね」
「いやいや、乗馬もいいものですぞ」
 教授がお二人に笑顔で言ってきました。
「運動にもなりますし馬に乗る人達のこともわかります」
「だからなの」
「いいものなんだ」
「はい、私も時々です」
 その緑と白の服で言うのでした。
「乗ってです」
「楽しんで」
「乗る人達のこともわかる様にしているんだね」
「学問として」
 教授が大好きなというのです。
「そうしています」
「乗馬は学問なのね」
「そうでもあるんだね」
「私としては」
「僕はたまに乗る位だけれど」
 それでもと言ったのはモジャボロでした。
「いいものだよ」
「うん、気持ちいいよね」
 弟さんが応えました。
「乗馬は」
「そうだね」
「風を感じてね」
「そして心地よい汗をかけて」
「いいスポーツだね」
「本当にね」
「オズの国には遊牧民の人達もいて」
 そうしてと言ったドロシーでした。
「馬に乗って生活しているのよ」
「羊や山羊と一緒に」
「そうしているんだね」
「そうよ、馬のお乳やそれから作った乳製品を食べて」
 おばさんとおじさんにこのこともお話しました。
「羊や山羊のお肉もね」
「食べてよね」
「暮らしている人達だね」
「決まったお家に住まないで」 
 そうしてというのです。
「組み立てられるテントみたいなお家に住んでいるのよ」
「ゲルですよね」
 カルロスが言ってきました、五人共白いズボンですがこの子の乗馬服とブーツ、帽子は全部黄色です。
「モンゴルの」
「僕達の学校モンゴルの子もいますけれど」
 ジョージは赤い乗馬服とブーツ、帽子です。
「遊牧してゲルで暮らしているそうです」
「解体して組み立てて」
 恵梨香はピンクの乗馬服とブーツ、帽子です。
「移動しながら暮らしているんです」
「それが遊牧民なんですよね」
 神宝は青い乗馬服とブーツ、帽子です。
「決まった場所で暮らしていないんです」
「街や村がなくて」
 ナターシャは黒の乗馬服とブーツ、帽子です。
「移動しながら生活していますね」
「そうした生活もあるんですね」
 カルロスはドロシーに尋ねました。
「オズの国でも」
「ええ、ただ多くはないわ」
 ドロシーはこう答えました。
「牧場は沢山あってもね」
「遊牧する人はですか」
「あまりね」
「多くないんですね」
「放牧はしてもね」
 それでもというのです。
「やっぱり牧場から出て」
「牧場に戻るんですね」
「そうしているから」
「遊牧民の人は少ないですね」
「オズの国も定住の文化だってね」
 その様にというのです。
「言われているわ」
「お家で暮らすんですね」
「そしてお仕事をしてるの」 
 そうなっているというのです。
「オズの国ではね」
「多くの人がそうしていますね」
「色々な場所で暮らしていても」
 オズの国のです。
「お空でも地中でも海底でもね」
「どの人達もですね」
「お家で暮らしていてね」
「お仕事を持っていますね」
「だから遊牧民の人はね」
 どうしてもというのです。
「少ないわ、僅かと言ってもいいわ」
「オズの国の遊牧民の人達は」
「ええ、けれど乗馬はね」
 このスポーツはというのです。
「盛んよ」
「そうなんですね」
「とてもね、それで今からね」
「僕達もですね」
「乗馬をしてね」
「楽しむんですね」
「そうしましょう、オズの国の鞍と鐙、手綱には魔法がかけられていて」
 そうなっていてというのです。
「絶対に落馬しないから」
「安心して乗馬が出来ますね」
「そうだからね」
「乗馬も安全にですね」
「出来るわよ、じゃあいいわね」
「今から乗馬をします」 
 こうお話してでした。
 皆で馬に乗って乗馬をはじめました、まずは歩いてです。
 少しずつ足を速めさせてそうして走りもします、また歩いて走ってそうしながらお喋りもしてです。
 乗馬を楽しみますがカルロスはその中でこんなことを言いました。
「乗馬もいい運動になるね」
「そうよね」
「こうしてやってみたら」
「ただ馬に乗っているだけじゃなくて」
「結構な運動よ」
「足を動かして手も使って」
 恵梨香達四人に言います。
「足腰も踏ん張って」
「背筋も使うし」
「しょっちゅう腰を上下させるし」
「もう何ていうかね」
「全身運動よ」
「だからスポーツなんだね」
「そうだよ、乗馬はまさにスポーツでね」
 教授は快適な感じで馬に乗りつつカルロス達に言ってきました。
「全身を使うものだよ」
「結構激しいですね」
「カロリーを消費しますね」
「足腰も鍛えられて」
「いいスポーツですね」
「これはまた」
「そうだよ、だからね」
 それでというのです。
「毎日する人もいるよ」
「健康の為にね」
 モジャボロも言ってきました。
「昔は軍人さんは絶対にだよ」
「軍隊には馬は欠かせなくて」
「騎兵隊もあるしね」 
 カルロスに笑顔でお話します。
「オズの国では今もね」
「騎兵隊がありますね」
「だからね」
 それでというのです。
「皆毎日ね」
「乗馬をされていますね」
「オズの国の軍人さんはね」
「そうして乗馬が上手になって」
「身体も鍛えているよ」
「そうなんですね」
「そしてね」
 弟さんも馬に乗っています、見れば見事な手綱捌きです。
「大切なことは馬と心を通わせることだよ」
「乗っている馬とですね」
「何に乗ってもね」
 そうしてもというのです。
「その相手とね」
「心を通わせることですね」
「そのことが大事でね」
 そうであってというのです。
「それでだよ」
「乗馬もですね」
「是非ね」
 まさにというのです。
「乗っている馬とね」
「心を通わせることですね」
「しかもオズの国は生きものも喋られるね」 
 弟さんはこのこともお話しました。
「そうだね」
「そのことも大きいですね」
「だから馬にどんどんね」
「お話することですね」
「そうしてね」
 そのうえでというのです。
「心を通わせようね」
「わかりました」
 カルロス達五人は弟さんの言葉に頷きました、そうして五人共それぞれが乗っている馬に話しかけてです。
 お話をしながら乗馬をしました、ドロシーはそんな五人を見てお話しました。
「それでいいのよ」
「馬君達とお話する」
「そうしてね」
「ええ、オズの国では生きものも喋られるから」
 一緒にいる臆病ライオンと腹ペコタイガーに応えました。
「だからね」
「いいんだね」
「今の風で」
「とてもね、そしてね」
 ドロシーは二匹にさらにお話しました。
「お馬さん達とね」
「心を通わせる」
「そうしていってね」
「乗馬をしていく」
「そうするのがオズの国の乗馬だね」
「そうよ、私も乗馬はオズの国に来てはじめてしたわ」
 ドロシーもというのです。
「そうしたわ、けれどね」
「それでもだよね」
「馬君達とお話をしながらだね」
「はじめてね」
 そうしてというのです。
「やっていってね」
「上手になったね」
「ドロシーもね」
「そうよ、お話はね」
 このことはというのです。
「それが出来たらね」
「是非しないとね」
「そうしてお互いを知らないとね」
「何も上手に出来ないわ、乗馬もそうでね」
「他のことだってね」
「お話出来たらしないとね」
「駄目よ、お話がね」
 これこそがというのです。
「心と心を通わせて」
「お互いを知って」
「あらゆることを上手くいかせるね」
「そうしたものなのよ」
 臆病ライオンと腹ペコタイガーに笑顔でお話しました。
「本当にね」
「全くだね」 
 トトもいます、そのうえでドロシーが乗っている白馬の足元に来てそのうえで彼女に応えて言うのでした。
「オズの国はそのことも嬉しいよね」
「色々な生きものとお話出来ることもね」
「そうだよね」
「貴方ともお話出来るしね」
「ううん、僕実は抵抗があったんだ」
 トトはドロシーにこう返しました。
「喋ることについてね」
「だから暫くお話しなかったのね」
「オズの国に来てもね」 
「そうだったわね、私どうしてトトだけ喋られないのか」
「不思議だったんだね」
「外の世界から来た生きものも喋ることが出来たのに」
 そうであったのにというのです。
「トトだけね」
「うん、本当に実はね」
「喋られて」
「それでもね」 
 実はそうであってもというのです。
「何か犬が喋られるってね」
「違和感があって」
「それでね」
「暫くは喋らなかったのね」
「喋られてもね」
 実はそうであってもというのです。
「そこはね」
「そうしなかったんだね」
「そうなんだ」
 こうドロシーにお話しました。
「僕はね」
「そうだったのね」
「けれどね」
「オズの国にいれば」
「どんな生きものでもだよ」 
 それこそというのです。
「お話出来るよ」
「人間の言葉でね」
「そうだよ」
「いや、それがね」
「最初どれだけ驚いたか」
 おばさんとおじさんも言ってきました。
「本当にね」
「生きものが皆喋られるんだから」
「これもお伽の国だからよ」
 笑顔で、です。ドロシーはお二人に答えました。
「オズの国がね」
「それで生きものも喋ることが出来るのね」
「わし等とお話が出来るんだね」
「そうよ、お伽の国だからね」
 オズの国がというのです。
「色々と不思議なことが普通でね」
「それでなのね」
「生きものも喋るんだね」
「魔法もあって」  
 そうであってというのです。
「ドラゴンも妖精もいて歳も取らなくて」
「誰も死ななくて」
「色々なものがあるんだね」
「色々な人が色々な場所にいてね」
 そうでもあってというのです。
「それでよ」
「生きものも喋られる」
「そうでもあるんだね」
「ええ、だから乗馬の時もね」
 この時もというのです。
「是非ね」
「馬とお話するのね」
「そうしてやっていくんだね」
「ええ、そうしていってね」
 お二人ににこりと笑ってお話しました。
「是非ね」
「それならね」
「馬とお話していくよ」
 お二人も頷いてでした。 
 そのうえで乗馬をしていきます、お二人は数時間馬に乗ってそのうえでドロシーに笑顔で言いました。
「楽しかったわ」
「乗馬ははじめてだったけれどな」
「いい運動にもなって」
「馬とお話も出来てな」
「それはよかったわ、乗馬もね」
 ドロシーはお二人ににこりと笑って答えました。
「いいものでしょ」
「そうね」
「またしたいよ」
「だったらね」 
 それならとです、ドロシーはお二人にお話しました。
「おばさんとおじさんの村にも牧場があるでしょ」
「馬がいるわね」
「そうだね」
「それで乗馬も出来るでしょ」
「ええ、そういえばね」
「よく村の人達が乗っているよ」
「だからね」
 それでというのです。
「よかったね」
「村に帰っても」
「乗馬をすればいいわね」
「そうしてね、本当に乗馬もね」 
 このスポーツもというのです。
「やっていってね」
「これからもね」
「そうしていくよ」
「おばさんとおじさんって仕事人間だからね」 
 トトが言ってきました。
「あまり遊んでこなかったね」
「そうなのよね」
 ドロシーもそれはと言います。
「カンザスにいた時からね」
「そうだよね」
「お仕事ばかりでね」
「趣味はね」
「これといってなくて」
「今でもね」
「畑仕事ばかりでね」
 それでというのです。
「私もなのよ」
「趣味を紹介しているね」
「実際にやってもらってね」
 それでというのです。
「趣味を持ってもらってるのよ」
「趣味はあるとね」
「その分人生が楽しくなるでしょ」
「そうだよね」
「お仕事が趣味なら」 
 それならというのです。
「そのお仕事以外にもね」
「趣味を持てればいいね」
「だからね」
 それでというのです。
「紹介してね」
「やってもらっているね」
「ええ、ただね」
 ここでドロシーはこうも言いました。
「趣味はあくまできにいるかどうかで」
「紹介してもだね」
「気に入らなかったら」
 それならというのです。
「もうね」
「それでだね」
「しないということでね」
「いいね」
「他の趣味をね」 
「見付けてだね」
「楽しめばいいのよ、趣味は出会いよ」
 こうもです、ドロシーは言いました。
「まさにね」
「そこは人や生きものと同じだね」
「そうね、だから私もね」
「おばさんとおじさんに紹介しているね」
「そうしてるの」 
 実際にというのです。
「今回みたいにね」
「そういうことだね、それでね」
 トトはドロシーにあらためて言いました。
「そろそろね」
「ええ、お昼よ」
「お昼ご飯の時間だね」
「さあ、今日のお昼は何かな」
 食いしん坊の腹ペコタイガーは今回も舌なめずりして言ってきました。
「一体ね」
「楽しみだよね」
 臆病ライオンはにこにことしています。
「何を食べるのか」
「そうだよね」
「そういえばバイソンがどうとかね」
「ドロシー言ってたね」
「ステーキがどうとかも」
「それならね」
「そうよ、今日のお昼はバイソンのステーキよ」
 ドロシーは二匹に笑顔で答えました。
「そちらになるわ」
「そうだね」
「じゃあそれを食べようね」
「ステーキにね」
 それにというのです。
「スープもあるしサラダもね」
「あるんだね」
「今日のお昼は」
「それでデザートは林檎のね」 
 この果物のというのです。
「タルトよ」
「それはいいね」 
 林檎が大好きなモジャボロはそう聞いて笑顔になりました。
「ステーキも楽しみだけれどね」
「そうでしょ」
「では早速食べよう」
「お外で食べるのよ」
 ドロシーはこうも言いました。
「近くのレストランに行ってね」
「外で食べるのもおつなものだよ」 
 教授がにこりとなって応えました。
「そちらもね」
「そうよね」
「うん、それではね」
「これからね」
「レストランに行こう」
「そうしましょう」
「乗馬でいい運動もしたし」
 それでとです、モジャボロの弟さんは言いました。
「それならだね」
「尚更美味しいでしょ」
「うん、それじゃあね」
「行きましょう」
 ドロシーは弟さんに笑顔で告げました、そうしてです。
 皆でレストランに行きました、するとすぐにお店の外のログハウス調の席に行ってそのうえでなのでした。
 皆で食べます、そこででした。
 カルロスはステーキを食べてこれはというお顔になって言いました。
「牛肉とはまたです」
「違うでしょ」
「これがバイソンですか」
「そのお肉よ」
 ドロシーもステーキを食べています、そのうえで応えるのでした。
「面白い味でしょ」
「はい、とても」
「匂いもね」
 バイソンの肉のそれもというのです。
「独特でね」
「面白いですね」
「牛ですけれど」 
 ジョージはそれでもと言いました。
「また違いますね」
「牛の仲間でも」
 それでもと言う神宝でした。
「味や匂いが違いますね」
「ですが美味しいです」
 恵梨香はにこにことして食べて言います。
「バイソンのステーキも」
「こうしたものも食べられるなんて」
 ナターシャも言いました。
「この街に案内させてもらってよかったです」
「全くだね」 
 モジャボロの弟さんも食べながら言います。
「この街は平地の幸もあるんだね」
「そうなの、それでね」
 ドロシーはサラダの中のチーズも見てお話しました。
「このチーズはね」
「バイソンのチーズかな」
「いえ、モツァレラチーズよ」
 そのチーズだというのです。
「赤いカドリングのね」
「ああ、水牛の」
「バイソンのチーズはね」
「あるんだね」
「それはそれだけでね」
「食べられるんだね」
「どうかしら」
 ドロシーは弟さんに尋ねました。
「それで」
「そのチーズを食べるんだね」
「そうよ」
 そうしてもらうというのです。
「よかったらね」
「それじゃあ」
 弟さんはそれならと頷いてでした。
 お店の人にバイソンのチーズを注文しました、そしてです。
 そのチーズを食べて言いました。
「うん、このチーズもね」
「いいですね」
 カルロスもそのチーズを食べて弟さんに応えました。
「中々」
「そうだよね」
「チーズも色々あるんですね」
「ステーキもそうでね」
「そうですよね」
「そうでしょ、この街に来たなら」
 ドロシーも笑顔でお話に入ってきました。
「色々な山の幸とね」
「平地の幸をですね」
「楽しめるから」 
 だからだというのです。
「バイソンのステーキやチーズもね」
「楽しめばいいですね」
「そうよ」 
 まさにというのです。
「そうしていいのよ」
「そうなんですね」
「今もね」
「いや、バイソンのステーキを食べられて」
 そしてというのです。
「チーズもなんて」
「思わなかったわね」
「はい、ですが」 
 それでもというのでした。
「一つ思うことは」
「何かしら」
「バイソンを家畜にしてるのは」
 カルロスはドロシーに言いました。
「外の世界ではないですね」
「ええ、牛の仲間でもね」
「牛とはまた違うので」
「だからね」
 それでというのです。
「外の世界ではね」
「家畜になっていないですね」
「牧場もないでしょ」
「はい、確かに」
「けれどオズの国にはあるのよ」
 こちらにはというのです。
「それもまたね」
「オズの国ならではですね」
「外の世界にはないことがね」
「色々あって」
「バイソンについても同じよ」
「バイソンの牧場がありますね」
「そうなのよ、それでね」
 ドロシーもバイソンのチーズを食べました、そのうえでまた言いました。
「何かとね」
「楽しむんですね」
「そうしましょう、それでね」
 ドロシーはさらに言いました。
「デザートもね」
「楽しむんですね」
「林檎のタルトをね」
「林檎は素敵な果物だよ」 
 ここでもです、林檎が大好きなモジャボロは言いました。
「そのまま食べても美味しいし」
「お菓子にしてもよね」
「美味しいよ」
「それでアップルティーもね」
 この飲みものもというのです。
「出るわよ」
「そうなんだ」
「そちらも好きでしょ」
「大好きだよ」 
 これがモジャボロの返事でした。
「尚更嬉しいよ」
「そうでしょ、だからね」 
 それでというのです。
「そちらもね」
「楽しめばいいね」
「そうよ、それじゃあ」
「うん、楽しむよ」
「アップルティーもね」
 笑顔でお話してです、皆でデザートを楽しんで午後は牧場に行って牛や馬と遊びました。そして羊達も見ましたが。
 おばさんはふとです、おじさんにこんなことを言いました。
「羊もいいわね」
「うん、見ているとね」
 おじさんは羊を見つつ応えました。
「穏やかでね」
「優しい感じがするわね」
「どうもね」 
 おじさんはこうしたことも言いました。
「結構意地悪な羊がいるらしいけれど」
「そうなの」
「人が川辺に立っていたら」
 その時にというのです。
「後ろからどんと頭突きをして」
「川に突き落とすの」
「そうしたことをする羊もいるらしいよ」 
 こうおばさんにお話します。
「どうやらね」
「それは悪い羊ね」
 おばさんも聞いて眉を曇らせました、そのうえで言いました。
「怒らないとね」
「全くだね」
「僕達はそんなことしないからね」
 ここで羊のうちの一匹が言ってきました。
「安心してね」
「そうなのね」
「当たり前だよ、皆いい子達だから」
 だからだというのです。
「そんなことはしないよ」
「だったら私達も」
「安心してね」
 そうしてというのです。
「ここにいて楽しんでね」
「そう言ってくれるなら」
「是非ね」
 おばさんとおじさんはそれならと応えてでした。
 安心して楽しく羊達ととも遊びましたがふとです。
 そこに牧場の人が来てです、こう言ってきました。
「羊の毛を刈りたいですが」
「羊毛ね」
「それを採るんだね」
「はい、そうしたいですが」
「ええ、それじゃあね」
「やってくれるか」
「今からしますね」
 こう言ってでした。
 牧場の人は羊にです、服を被せまして。
 その服を取ると毛が一気に取れました、お二人はそれを見て驚きました。
「へえ、バリカンじゃなくて」
「服で取るんんだね」
「魔法みたいね」
「全くだ」
「この服外の世界でもあるわ」
 ドロシーが驚くお二人に答えました。
「それでね」
「そのうえでなのね」
「こうして毛を刈っているのね」
「そうなの、それでね」
 そのうえでというのです。
「すぐに安全にね」
「はい、こうして毛を取るとです」
 牧場の人も言ってきました。
「すぐですしバリカンみたいに羊の肌を傷付けないんですよ」
「そうなのね」
「だからいいんだね」
「すぐに刈ることが出来て安全で」 
 そうであってとお二人にお話します。
「いいです、バリカンですと」
「時間がかかるわね」
「一匹の羊の隅から隅までだから」
「はい、ですが」
 それでもというのです。
「こうしてです」
「服を被せて毛を服に付けて」
「一気に取ったら」
「本当にすぐで」 
 それでというのです。
「羊も怪我しないです」
「オズの国のバリカンは安全でも」
 羊も言ってきました。
「時間はかかるよね」
「うん、どうしてもね」
 牧場の人は羊にも答えました。
「そうなるよ」
「そうだよね」
「けれどね」 
 それでもというのです。
「あの服を使えば」
「すぐだね」
「本当にね」 
 まさにというのです。
「羊毛を取れるよ」
「いいことだね」
「そして羊毛はね」 
「色々使えるよね」
「凄くいいものだよ」
 羊ににこりと笑って答えました。
「それが手に入るからね」
「嬉しいね」
「君達がいてくれて」 
 羊達がというのです。
「助かってるよ」
「そうだね」
「だからね」
 それでというのです。
「これからも宜しくね」
「こちらこそね」
 お互いに笑顔でお話します、そしてです。
 そのやり取りを見てです、おばさんとおじさんはまた言いました。
「いや、カンザスにいた時と」
「羊毛の取り方も変わったんだね」
「あの頃から百年以上経って」
「外の世界もそうなったんだね」
「オズの国でもね」 
 ドロシーがここでまた言ってきました。
「何かとよ」
「変わっていってるわね」
「進歩し発展していっているね」
「そうなの。科学と魔法がね」
 その二つがというのです。
「一緒にね」
「変わっていっていて」
「凄くなっていっているだね」
「そうよ、そしてね」 
 それでというのです。
「羊についてもね」
「そうなっていて」
「すぐに取れるんだね」
「今はね、外の世界もそうで」
 そしてというのです。
「オズの国でもよ」
「同じね」
「進歩し発展していっているのね」
「そうなの、そしてね」
 そのうえでというのです。
「他のこともね」
「同じね」
「何でも」
「そうなの」
「成程、何かね」
「わし等は凄い世界で生きているんだね」
「凄くないわよ」 
 ドロシーはお二人ににこりと笑って答えました。
「全くね」
「そうなの?」
「凄くないのか」
「それが人の世界よ」
「外の世界もオズの国も」
「そうなのかい?」
「常に変わっていって」
 そうしてというのです。
「進歩し発展するのがね」
「人の世界であって」
「当然のことなんだ」
「だからね」
 それでというのです。
「楽しめばいいのよ」
「驚かないで」
「そうすればいいんだ」
「そうよ、ステーキだってね」
 先程食べたそれもというのです。
「昔は火の上でフライパンを使って焼いていたけれど」
「フライパンは使うわね」
「それは変わらないね」
「ええ、けれど火じゃなくてね」
 それを使わずというのです。
「電気で熱されてね」
「ああ、それね」
「科学と魔法でそうなる」
「それを使ってよ」 
 そうしてというのです。
「焼いてるのよ」
「このステーキだってそうなのね」
「昔と違うんだね」
「そうよ、だからね」 
 お料理の場所、キッチンも変わっているからというのです。
「もうね」
「その変化を受け入れて」
「楽しむことだね」
「科学と魔法はどんどん進歩するのよ」 
 オズの国のこの二つはというのです。
「そして私達の暮らしも文明もね」
「どんどんよくなるのね」
「そうなるんだね」
「ええ、だからね」
「それを受け入れて」
「楽しむことだね」
「美味しいでしょ」 
 笑顔でこうも言ったドロシーでした。
「新しい技術で焼かれたステーキは」
「ええ、とてもね」
「美味しいよ」
「調味料と香辛料、おソースもね」
 ステーキに使われているこうしたものもというのです。
「作り方が進歩しているから」
「美味しくなっているわね」
「言われてみれば」
「他のお料理も同じよ」
 ステーキと一緒に出ているそれ等もというのです。
「やっぱりね」
「進歩して発展したキッチンで作られていて」
「調味料もよくなっているから」
「食品自体もね」
 そちらもというのです。
「育て方や栽培の仕方がね」
「よくなっているわね」
「昔と比べて」
「そうなっていてね」
 そうしてというのです。
「保存方法もよ。冷蔵庫なんて昔はなかったわね」
「想像もしなかったわ」
「カンザスにいた頃は」
「そうした技術もね」
「進歩して発展して」
「出来たんだね」
「そうよ、科学と魔法がね」
 またこの二つをお話に出すドロシーでした。
「そうなってのことよ」
「それで美味しいものも食べられる」
「それはこれからもだね」
「どんどん発展してね、果てしなくね」
「進歩して発展していく」
「世の中はそうなんだね」
「そうよ、だからね」 
 それでというのです。
「羊毛の取り方も変わったのよ」
「そうなのね」
「いや、何もかもが変わるんだね」
「変わらないものはなくて」
 そうしてというのです。
「素晴らしくなっていくのよ」
「そういうことね」
「オズの国は」
「そして外の世界はね」
 笑顔で言うのでした、そしてです。
 一行は牧場でも楽しく遊びました、そのうえで午後も素晴らしい時間を堪能したのでした。








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