『オズのエマおばさん』




                第六幕  バーベキューの美味しさ

 フォアグラとトリュフがたっぷりと入った鹿肉のステーキをはじめとしたホテルのディナーを楽しんだ次の日の朝です。
 ドロシーはおばさんとおじさんにホテルの朝のビュッフェ形式の朝食、今日は中華風で麺類や蒸し餃子や焼売、餅にピータン、麻婆豆腐にスープ、炒飯にお粥にお饅頭があるそのお食事を食べつつ言いました。
「今日は山登りをしましょう」
「街の傍にある山によね」
「そうするんだね」
「ええ、そうしましょう」
 こう言うのでした。
「朝ご飯を食べたらね」
「街の次は山なのね」
「そちらに行くんだな」
「ええ、山登りをしてね」
「皆でよね」
「そうするんだね」
「そう、そうしてね」
 そのうえでというのです。
「山の景色を楽しむの」
「そうするのね」
「今日のわし等は」
「そしてね」
 中国のスプーンで炒飯を食べつつお話するドロシーでした。
「頂上に着いたらそこは公園になっているから」
「あら、そうなの」
「山の頂上は公園になっているんだね」
「そこで遊んでお昼もね」
 その時もというのです。
「お昼ご飯を食べましょう」
「お昼のメニューは何かな」
 食いしん坊の腹ペコタイガーは韮の蒸し餃子や焼売、それにお饅頭や担々麺を食べつつドロシーに尋ねました。
「一体」
「バーベキューよ」
 ドロシーはにこりと笑って答えました。
「それよ」
「ああ、バーベキューなんだ」
「山の幸にお野菜を焼いてね」
「そうして食べるんだね」
「色々なお肉を食べるから」
「山の幸のだね」
「楽しみにしていてね」
 こう言うのでした。
「今日のお昼もね」
「それじゃあね」
「どんなお肉が出るのかな」
 臆病ライオンはドロシーに尋ねました。
「それで」
「兎や雉、鶉よ」
 ドロシーは臆病ライオンにも答えました。
「そうしたもののお肉よ」
「兎だね」
「そうなの、兎や山の鳥のお肉をよ」
「いただくんだね」
「お昼はね」 
 バーベキューでというのです。
「そうするのよ」
「それもまたいいね」
「そうでしょ」
「うん、他にはあるかな」
「山羊もあるわよ」 
 この生きもののお肉もあるというのです。
「山のね」
「ああ、山羊もあるんだ」
「そうよ、勿論鹿や猪のお肉もあるから」
「昨日食べた」
「そうしたお肉もあるから」
 だからだというのです。
「そちらもね」
「楽しめばいいね」
「そうよ」 
 こうも言うのでした。
「だから楽しみにしておいてね」
「そうさせてもらうね」
 臆病ライオンも笑顔で応えました、腹ペコタイガーと同じものを食べつつそうしました。
「それじゃあね」
「いやあ、今日のお昼もご馳走になりそうだね」
 モジャボロはスープ、中国のといだ卵や細かく刻んだお野菜や茸が入っているスープを飲みつつ言いました。
「そんなバーベキューなんて」
「そうでしょ、実際にね」
「ご馳走になるんだね」
「そうよ」
 ドロシーは笑顔で応えました。
「だから楽しみにしておいてね」
「山登りを楽しんでだね」
「そして公園で遊んでね」
「お昼はバーベキューだね」
「それを頂くのよ」
「山登りはいい運動だよ」
 教授は韮餅をお箸で食べつつ笑顔で言いました。
「よく歩けて景色もだよ」
「楽しめるからね」
「非常にだよ」 
 この言葉を加えて言いました。
「いい運動だよ」
「そうでしょ、身体を動かしてね」
「そのうえでだね」
「山の景色もよ」 
 こちらもというのです。
「楽しむのよ」
「まことにいいことだよ、森林浴にもなるしね」
「森林浴ね」
「これもまたいいことだよ」
 山登りにはというのです。
「緑の中にいることもね」
「いいものね」
「そう、木々の間から差し込める優しいお日様の光を浴びて」
「森の空気に包まれて」
「それがまたいいんだよ」
「健康的よね」
「うん、森林浴もいいよね」
 モジャボロの弟さんは鶏の唐揚げを食べつつ頷きました。
「本当に」
「そうよね」
「うん、僕もだよ」
「好きなのね、森林浴」
「そうなんだ、幸いオズの国は森が多いね」
「あちこちに森があるわね」
「川や湖も多いけれどね」
 それと共にというのです。
「森、林も多いから」
「だからよね」
「そうした場所に行って」
 そうしてというのです。
「その中の景色を楽しんで」
「そしてね」
「森林浴も楽しむ」
「それがいいね」
「ええ、勿論森林浴もね」
 山登りではというのです。
「楽しみましょう」
「そうしようね」
「確かにオズの国って森が多いね」
 トトが言ってきました。
「林もジャングルもね」
「ええ、それで木々に覆われていない山はないでしょ」
 ドロシーは包、間に豚バラ煮込みを挟んでいるそれを尻尾を振りながら食べているトトにお話しました。
「そうでしょ」
「どの山もそうね」
「オズの国は木もなのよ」
「多いね」
「国全体がね」
 まさにというのです。
「そうなのよ」
「そのこともいいことだね」
「ええ、ただ外の世界では緑ね」
「木といえばね」
 トトもそれはと答えます。
「けれどオズの国はね」
「それぞれの国でそれぞれの色があるからね」
「緑とは限らないね」
「エメラルドの都は緑だけれど」
「それぞれの国の色がね」
「木にも出ていてね」
 そうなっていてというのです。
「この街はカドリングにあるから」
「その傍の山の木は赤だね」
「カドリングの色は赤だから」
 だからだというのです。
「そうなるわ」
「そうだね、それじゃあね」
「朝ご飯を食べたらね」
「赤い木々に囲まれて」
「山登りをしてね」
 そうしてというのです。
「そしてね」
「身体を動かして」
「景色も楽しんでね」
「日光浴もするんだね」
「そうしましょう」
 笑顔で言うのでした、そしてです。
 皆中華料理の朝ご飯を楽しんだ後でホテルを出て街のすぐ後ろにある山に入りました、そうして登っていきますが。
 そこで、です。カルロスは自分達の周りの森を見回して言いました。
「本当にカドリングだね」
「ええ、草木が赤くてね」
 ナターシャが応えました。
「まさによね」
「この赤い草木を見ていると」
 神宝も言います。
「カドリングだって思うよ」
「それぞれのお国の色が出てるところがね」
 ジョージはにこにことして言いました。
「まさにオズの国だね」
「それでいてお日様の光も森の空気も同じだから」
 それでと言う恵梨香でした。
「本当にお伽の国ね」
「うん、外の世界にない状況で」
 それでと言うカルロスでした。
「同じものもあってね」
「いいね」
「こうしたこともまた」
「お伽の国らしくて」
「素敵よね」
「全くだね、しかし」
 カルロスは笑顔でこうも言いました。
「いや、ホテルの朝ご飯もよかったね」
「そうだったわね」
「素敵なビュッフェだったわ」
「中華料理でね」
「どれも美味しかったわ」
「点心に麺類に炒飯も美味しくて」
 そうしてというのです。
「デザートにあった中国のお菓子もよかったよ」
「私は果物がよかったわ」
 おばさんがこう言ってきました。
「特にライチが」
「あの果物ですか」
「ええ、物凄く美味しかったわ」
「ああ、ライチ美味しかったな」 
 おじさんも言いました。
「わしはマンゴーもよかったがな」
「ええ、マンゴーもよね」
「美味しかったな」
「そうよね」
「勿論ライチもだよ」
 おじさんもこの果物のお話をします。
「美味しかったよ」
「そうだったわね」
「杏仁豆腐もよかったが」
「果物だってね」
「本当に美味しかった」
「そうだったわね」
「ライチもマンゴーも山で採れたものよ」
 ドロシーはお二人にこのことをお話しました。
「この辺りのね」
「そうなのね」
「ライチやマンゴーもなんだな」
「栗やあけびや柿のお話はしたけれど」
「そして食べたわね」
「そうしたね」
「そうした果物もよ」
 ライチやマンゴーもというのです。
「そうなのよ」
「そうなのね」
「この辺りの山で採れるんだな」
「他には野苺や山葡萄もそうだから」
 こうした果物達もというのです。
「またね」
「この街にいる間になのね」
「食べるんだね」
「よかったらこのお昼にでもね」 
 この時にというのです。
「食べましょう」
「そうするのね」
「バーベキューの後でだね」
「野苺や山葡萄をね」
 そうした果物達をというのです。
「そうしましょう」
「いいわね」
「そのことも楽しみだよ」
 おばさんもおじさんも笑顔で応えました。
「この山登りでの運動もいいけれど」
「山の景色が見られてね」
「そして森林浴も出来てるし」
「お昼もそうなんてね」
「素敵だな」
「本当にね」
「そう、素敵に思ってくれたら」
 それならと言うドロシーでした。
「私もよ」
「いいのね」
「わし等が思ってくれたら」
「そうよ」
 まさにというのです。
「私も嬉しいわ」
「そうなのね、それじゃあね」
「皆で楽しもう」 
 おばさんとおじさんはドロシーの言葉に笑顔で返しました。
「今だってな」
「こうして山登りをしてね」
「そして頂上の公園に着いたら」
「そこで遊んでだな」
「バーベキューをいただいて」
「兎や雉や鶉のお肉を食べて」
「そしてデザートでね」
 それでというのです。
「山葡萄や野苺をね」
「食べるのね」
「そうするんだね」
「そうもしましょう、素敵な公園だから」
 だからだというのです。
「公園でもね」
「楽しめるのね」
「そちらも」
「そうなの。期待していてね」
 こうしたことも言ってです。 
 ドロシーはおばさんとおじさんにカルロス達五人に他の皆と一緒に山登りをしていきます、そうしてでした。
 頂上の公園に着くとでした、そこは。
「アメリカの森の中に」
「公園って感じでしょ」
「はい」
 カルロスはドロシーに答えました。
「そうした感じですね」
「この公園はそうなのよ」
 ドロシーは笑顔で答えました。
「こうしたね」
「アメリカの森ですね」
「その中にあるね」
「そうした公園ですね」
「そうなの」
 笑顔でお話するのでした。
「これがね」
「そうなんですね」
「奇麗でしょ」
 赤いカドリングの木々、針葉樹の多い中にです。
 大きなお池もあってコテージもあちこちにあります、その公園の中を見回してそのうえでカルロスにお話します。
「この公園も」
「これまでの山の景色も奇麗でしたけど」
「公園もでしょ」
「はい、とても」
 ドロシーに笑顔で答えました。
「そうですね」
「それでよ」
「これからですね」
「お昼までね」 
 その時までというのです。
「公園で遊びましょう」
「皆で」
「色々お散歩してもいいし」 
 公園の中でというのです。
「ブランコとかもあるし」
「そうなんですね」
「そうしたもので遊んで」
 そうもしてというのです。
「楽しみましょう」
「それじゃあ」
 カルロスも他の皆も頷いてでした。
 そうして皆で公園の中で遊びます、その中でモジャボロはお池を見て言いました。
「色々なお魚に亀もいてね」
「ああ、この亀は」
 弟さんもお池を見て言いました。
「ミドリガメだね」
「ワニガメもいるね」
「アメリカのお池ってわかるね」
「お魚にガーもいるしね」
「そうだね」
「大きなお池だからね」 
 それでと言う教授でした。
「小さな湖とさえだよ」
「言っていいね」
「そこまでの大きさだね」
「うん、私はそうした趣味はないけれど」
 それでもというのです。
「これは釣りをしてもだよ」
「いいんだね」
「そうしたお池だね」
「そうも思ったよ、そういえば」
 こうもです、教授は言いました。
「オズの国は色々なお魚がいるね」
「海も川もね」
「お池にもね」
「淡水の鮪やハマチや鯛もいてね」
 そうであってというのです。
「お刺身やお寿司にもするね」
「そうだね」
「日本のお料理のね」
「お空にもいるしね」
 お水の中だけでなくというのです。
「そのことも面白いよ。特にね」
「特に?」
「特にというと?」
「外の世界ではもういない古代のお魚もだよ」
 そうしたお魚もというのです。
「いることがいいね」
「ああ、太古のだね」
「それこそ両生類が生まれる前の」
「恐竜だけじゃないからね」 
 オズの国にいる昔の生きもの達はというのです。
「そうしただよ」
「生きものがいることもなんだね」
「面白いんだね」
「そうだよ、外の国にはもういない」
 そうしたとです、モジャボロと弟さんにお話します。
「そんな生きものも沢山いるなんてどれだけ素晴らしいか」
「それでだね」
「教授も学んでいるんだね」
「お魚のこともね」
「外の世界にもいる様なお魚だけでなく」
「大昔のもう外の世界にいない様なお魚もだね」
「学んでいるよ」 
 彼等のこともというのです。
「そうしているよ」
「成程ね」
「流石教授だね」
「うん、そしてね」
 公園のお池を見つつ言うのでした。
「このお池のお魚はね」
「外の世界のアメリカだね」
「そちらのお魚だね」
「亀もね」
 この生きものもというのです。
「そうだね、水鳥達もいるけれど」
「彼等もだね」
「アメリカの鳥達だね」
「そうだよ、アメリカの生態系がね」
 それがというのです。
「あるよ、こうした場所を見ることもいいよ」
「じゃあこのままだね」
「見ていくね」
「散策や遊びも楽しんでね」 
 教授は笑顔で言って実際にお池の生きもの達を見て学ぶだけでなく皆と一緒に遊ぶこともしました、その中でです。
 ドロシーはブランコをしましたが前後に大きく揺れて動きつつ言いました。
「こうしたブランコで遊ぶこともね」
「ドロシーは好きよね」
「オズの国に来てからだったね」
「そうなったわ」
 一緒にいるおばさんとおじさんに答えました。
「カンザスにはなくて」
「ええ、私達のお家にはね」
「その周りにもだったね」
「ブランコはなくて」
 そうであってというのです。
「公園だってね」
「なかったわね」
「わし等のお家の周りには」
「そうした場所だったから」
 それでというのです。
「本当にね」
「ブランコで遊ぶなんてね」
「していなかったわね」
「オズの国に来てはじめてだったけれど」
 ブランコをすることはというのです。
「今はこうして出来て」
「楽しめるわね」
「そうなっているね」
「とてもね」
 こうしたお話をするのでした、そしてです。
 皆でブランコを楽しくしていきます、そうしてでした。
 他の皆も公園にある滑り台やジャングルジムをして遊びました、臆病ライオンと腹ペコタイガーは滑り台を滑るカルロス達を見て言いました。
「皆楽しそうだね」
「そうだね」
 笑顔でお話するのでした。
「凄くね」
「いいことだね」
「遊ぶことは子供のお仕事でね」
「学校の勉強と並んでね」
「それを楽しめるならね」
「こんないいことはないよ」
「うん、凄く楽しいよ」
 カルロスが笑顔で応えました、皆滑り台で滑って楽しい思いをして笑顔になっています。
「滑り台もね」
「ただ滑るだけでも」
 神宝も笑顔で言います。
「これがいいんだよね」
「無性に楽しいんだよね」
 ジョージは今滑り終えて言いました。
「それだけのことが」
「ブランコもジャングルジムもね」
 ナターシャは微笑んで言うのでした。
「単純な様で楽しいのよね」
「皆でやると尚更なのよね」 
 恵梨香は微笑んでいます。
「公園にあるもので遊ぶと楽しいのよね」
「うん、鉄棒だってね」
 カルロスはそちらも見てお話しました。
「これがね」
「凄くいいね」
「そうだね」
「うん、ちなみに僕達皆逆上がり出来るよ」 
 臆病ライオンと腹ペコタイガーにお話しました。
「それで僕は一度に五回転したことあるよ」
「それは凄いね」
「君運動神経いいしね」
「出来た時嬉しかったよ、ただね」
 こうもです、カルロスは臆病ライオンと腹ペコタイガーに言いました。
「無理だったものがあったよ」
「それは何かな」
「何が無理だったのかな」
「大車輪はまだ出来ないんだ」
 これはというのです。
「あれは難しいね」
「ああ、大車輪はね」
「出来たらかなり凄いよ」
 臆病ライオンも腹ペコタイガーもそれはと返します。
「やっぱり出来る様になるには」
「相当なものが必要だよ」
「だから努力してね」
 そうしてというのです。
「これからはね」
「努力してだね」
「出来る様になるんだね」
「うん、最初は誰も出来ないってね」
「そうそう、誰もだよ」
「最初はそうだよ」
 二匹もその通りだと答えます。
「出来ないよ」
「何だってね」
「だからね」
 そうであるからだというのです。
「僕もね」
「努力してだね」
「そうしてだね」
「出来る様になるよ」
 大車輪をというのです。
「何時かね」
「うん、頑張ってね」
「是非共ね」
 二匹は強い声で言うカルロスにエールを贈りました。
「そうしてね」
「応援しているよ」
「有り難う、高校生になっていたら」 
 その頃にはというのです。
「出来る様にね」
「なるね」
「そうだね」
「そう努力していくよ」 
 こう言うのでした。
「そして出来たらね」
「嬉しいよね」
「やったってなるのね」
「その喜びを噛み締めたいよ」 
 こう言うのでした、そして実際に五人で鉄棒もしました。そうして遊んでからお昼に公園ノバーベキューのコーナーに行ってです。
 そこにあるバーベキューの施設と食材を公園の管理人さんにお借りして受け取ってそうしてでした。
 バーベキューを作ります、おずの国の科学と魔法が用いられたバーベキューの器具はすぐに準備が出来てでした。
 火が出ました、その火が下にある網の上で山の幸のお肉やお野菜を焼いて食べますが。
 おばさんは兎のお肉を食べて言いました。
「これまたね」
「美味いよ」
 おじさんも兎のお肉を食べて言います。
「鶏肉みたいな味でね」
「いいわね」
「おソースにもあって」
「どんどん食べられるわ」
「兎ってそうなんだよね」
 トトは今は鶉のお肉を食べています、そのうえで言うのです。
「鶏肉みたいな味でね」
「美味しいわよね」
「そうだよね」
 ドロシーに笑顔で答えました。
「兎は兎でね」
「そうなのよね。あと私今鴨を食べてるけれど」
 ドロシーはそちらのお肉も食べています。
「こちらもね」
「美味しいね」
「それで兎もね」
 この生きものもというのです。
「おばさん達が言う通りにね」
「美味しいよね」
「鶏肉みたいな味でね」
「それでドロシーもだね」
「後でね」
「いただくね」
「ええ、鴨肉を食べて」
 そうしてというのです。
「その後でね」
「兎を食べるんだね」
「雉もね」 
 この鳥のお肉もというのです。
「いただくわ」
「そうするんだね」
「お野菜も食べてね。茸もね」
 こちらもというのです。
「いただくわ」
「そういえば」
 ここでおばさんが網の上の茸を見て言いました、見れば色々な種類の茸達も網の上で焼かれています。
「色々な種類の茸があるけれど」
「この山の幸のね」
「松茸があるけれど」
「松茸も美味しいでしょ」
「村に日系人の人がいるけれど」
 おばさんは兎肉を食べつつドロシーに言います。
「松茸がお好きでね」
「松茸は日本では貴重でね」
 それでと言うドロシーでした。
「ご馳走なのよ」
「だから村の日系人の人もなの」
「お好きだと思うわ」
「こうして焼いたりすき焼きに入れたり」
 そうした食べ方をしてというのです。
「ホイル焼きや土瓶蒸しやお吸いものにして」
「食べているのね」
「そうなの」
 そうしているというのです。
「その人はね。ご家族でね」
「私も実はね」
「実は?」
「オズの国の日系人の人にお誘いを受けて」
 そうしてというのです。
「いただいてね」
「美味しいと思ってなの」
「それでね」
「好きになったのね」
「ええ、すき焼きをご馳走になった時にね」 
 まさにその時にというのです。
「美味しくて」
「それでなのね」
「それ以来好きで」 
 それでというのです。
「今もね」
「バーベキューにも入れてるの」
「そうなの。それでおばさんもおじさんもね」
 おばさんだけでなくおじさんも見て言います。
「是非ね」
「食べていいのね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「そうしてね」
「そうさせてもらうわね」
 おばさんはドロシーの言葉に笑顔で頷きました。
「松茸もいただくわね」
「そうさせてもらうよ」
「オズの国では松茸も沢山あるのよ」 
 ドロシーはにこりと笑ってこうも言いました。
「他の茸もそうだし」
「あの、それはです」 
 カルロスはそのお話を聞いてドロシーに言いました。
「日本の人達が聞いたら」
「驚くわね」
「それでオズの国に行きたいって」
「言う人が沢山出るわね」
「秋になりますと」
 この季節になると、というのです。
「よくです」
「日本ではよね」
「松茸のお話が出ます」
「日本では秋は食欲の秋よね」
「スポーツの秋、芸術の秋、読書の秋で」
 そうであってというのです。
「食欲の秋ともいいます」
「それで沢山の食材が出るわね」
「梨に柿、葡萄に栗に銀杏に秋刀魚に」
「それで茸もでね」
「松茸もです」
 その茸の中にというのです。
「ありまして」
「それでよね」
「いつも言われます」 
 秋になると、というのです。
「日本では」
「そこまでのものね、松茸は」
「そうなんです、ですから」
「オズの国のこのお話聞いたら」
「勿論他の秋の味覚もですね」
「どれもね」
 まさにというのです。
「沢山あるわ、というか秋に限らず」
「何時でもですね」
「とても美味しくね」
 そうしてというのです。
「食べられるわよ」
「そうですと」
 それならというのです。
「オズの国にです」
「行きたい日本人多くなるわね」
「そうなります」
「そうよね、松茸ってね」 
 この茸はとです、ドロシーは言いました。
「実は日本以外の国だと」
「あまり注目されてないですね」
「そうなのよね」
「あくまで日本だけって感じですね」
「そうした食べもの多いでしょ」
「言われてみますと」
 カルロスは鹿肉を食べています、皆それぞれお肉やお野菜それに茸を焼いたものを笑顔で食べています。
「そうですね」
「それぞれの国でね」
「その国では好んで食べられていて」
「他の国だと然程ってのがあるわね」
「日本では色々と食べられてますけれど」
 それでもというのです。
「その松茸に秋刀魚もそうで」
「秋の味覚だと」
「あと柿もですね、ですが羊は」
 この生きもののお肉はというのです。
「あまりですね」
「食べないわよね」
「どういう訳か」
 首を少し傾げさせて言います。
「羊はですね」
「美味しいのにね」
「安くてカロリーも少なくて」
「色々なお料理が出来るのに」
 神宝もジョージもナターシャも言います。
「そうなのよね」
「日本は色々なものを食べる国なのに」
「羊はあまりだよね」
「匂いがするっていう人結構いるから」
 その日本人の恵梨香が言います。
「それでなのよ」
「そこはそれぞれね。ただ羊もよかったらね」
 ドロシーは恵梨香に言いました。
「食べてね」
「私は好きです」
「ならいいわ、どんどん食べてね」
「いただく時は」
「そうしてね」
「そうさせてもらいます」
「そしてね」 
 そのうえでというのです。
「楽しみましょう」
「そうさせてもらいます」
「今は羊のお肉は焼いていないけれど」
 それでもというのです。
「山羊肉は焼いているわよ」
「こっちも美味しいよ」
 丁度山羊肉を食べている臆病ライオンが言ってきました。
「とてもね」
「うん、そうだよね」
 腹ペコタイガーも山羊肉を食べています、そうして言うのでした。
「とてもね」
「これはいいね」 
 こう言うのでした。
「とてもね」
「山羊肉もね」
「これまでも食べてきたけれど」
「ここで食べるのも美味しいよ」
「本当にね」
「実にいいよ」
「ええ、ただね」
 ここでドロシーは臆病ライオンと腹ペコタイガーに言いました。
「貴方達はヘラジカはどうかしら」
「ヘラジカのお肉かな」
「この場合は」
「そちらのお肉はどうかしら」 
 こう尋ねるのでした。
「猿や狸はね」
「ヘラジカは食べるけれど」
「猿もね」
「中華料理で猿の脳味噌食べるね」
「あっちでもかなりの珍味らしいね」
「それで狸もね。実はね」 
 ドロシーは二匹にさらにお話しました。
「昔の日本では猿や狸も食べていたのよ」
「そうだったんだ」
「猪は知っていたけれどね」
「そうした生きものも食べていたんだ」
「そうだったんだね」
「ええ、鎌倉時代の武士の人達はね」
 この人達はというのです。
「そうしたものを食べていたのよ」
「ああ、あの人達なんだ」
「信長さんや幸村さんより前の時代の人達で」
「オズの国にも来てね」
「毎日武芸に励んでいるね」
「あの人達は玄米を食べて」 
 そうしてというのです。
「そうしたものをおかずにしていたのよ」
「ワイルドだね」
「それはまたね」
「そうでしょ、その頃の武士の人達はそうだったのよ」」
「ワイルドだったんだね」
「食べるものが」
「そうしたものを食べて」
 そうしてというのです。
「武芸で身体を鍛えていてね」
「強いよね」
「今だってね」
「そうよ」 
 まさにというのです。
「貴方達も知ってるわね」
「凄い運動能力だからね」
「体力があって力も強くて」
「動きも俊敏でね」
「物凄いからね」
「そうしたお身体はね」
 鎌倉武士の人達のというのです。
「毎日の修行とよ」
「食べてもいたから」
「そうしたものを」
「それで強いのよ、それで猿や狸もね」
 そうした生きもの達もというのです。
「食べる人もいるのよ」
「鎌倉武士の人達みたいに」
「そうする人達もいるんだね」
「そうなの、ただね」
 ドロシーは雉肉を食べつつあらためて言いました。
「オズの国でもそうしたものを食べる人は少ないね」
「猿や狸を食べるなんて」
「凄いものだよ」
 おばさんもおじさんも言うことでした。
「本当にね」
「そうよね」
「オズの国は色々なものを食べても」
「それでもなのね」
「食べる人はかなりの少数派よ」
 そうだとです、ドロシーはお二人に答えました。
「本当にね」
「実際にはそうよね」
「やっぱりね」
「ええ、そうよ」 
 まさにというのです。
「そうした人はね。私も食べたことがあっても」
「あるのね」
「ドロシーはそうなんだね」
「オズの国で食べられるものは何でも食べてきているから」
 だからだというのです。
「そうしたものもよ」
「食べたことがあるのね」
「そうだったんだね」
「けれどね」
 それでもというのです。
「やっぱり牛や豚の方が美味しいわ」
「そうなのね」
「普通に食べているものの法が美味しいんだね」
「こうした普通の山の幸の方がよ」
「いいのね」
「そうなんだね」
「ええ、珍味は珍味でも」
 そうした食べものはというのです。
「けれど普通に食べられるのはどうしてか」
「普通に美味しいから」
「それでだね」
「珍味ではあってもね」
 またこう言うドロシーでした。
「普通に美味しいものの方がね」
「いいのね」
「食べるのなら」
「そうなの。だから今はね」
「兎や鶉を食べるのね」
「普通の山の幸を」
「そうしましょう」
 こう言ってでした、ドロシーはおじさんとおばさんによく焼けた鶉の肉を渡しました、そのお肉もとても美味しくてお二人は笑顔になりました。
 皆でバーベキューも楽しみました、そしてお食事が終わると下山しました。そしてまた街の観光を楽しんでホテルの夕食も楽しんだのでした。








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