『オズのエマおばさん』
第五幕 山と平野の街
皆は午後アルテミス女神の神殿だけでなく街の色々な場所を巡りました、おじさんとおばさんはその中で、です。
ゴシック様式のとても奇麗な赤い大聖堂を見て思わず息を飲みました。
「何とまあ」
「奇麗な聖堂だな」
「こんな聖堂があるなんて」
「さっきの女神様の神殿に加えてな」
「ここはカトリックの聖堂よ」
ドロシーが二人にお話しました。
「オズの国のね」
「オズの国には色々な宗教があって」
「カトリックもあってだね」
「それで聖堂もあるから」
「中にはこんな素晴らしい聖堂もあるんだ」
「そうよ。勿論私達の宗派の教会もあるわよ」
お二人にこうもお話しました。
「この街にね」
「そうなのね」
「色々な場所があるんだな」
「宗教関係だけじゃなくてね」
さらにというのでした。
「図書館も劇場もあるわよ」
「そうなの」
「そうした場所もあるのかい」
「ええ、だから晩ご飯の後はね」
それからはというのです。
「劇場に行きましょう、それもロイヤルボックスよ」
「ロイヤルボックス!?」
「まさか」
「だって私はオズの国の王女だから」
ロイヤルボックスと聞いて仰天するお二人に笑って言うのでした。
「だからね」
「ああ、そうね」
「それならな」
お二人もドロシーがオズの国の王女だということを聞いてそれでとなりました。
「劇場ではロイヤルボックスね」
「そちらで観劇となるな」
「普通の席での観劇もいいけれどね」
「ドロシーは飾らないからね」
ここでトトも言ってきました。
「普通の席で観劇することも多いね」
「映画館でもね」
「そうだよね」
「ええ、けれど今回はね」
ドロシーはトトに答えました。
「おばさんとおじさんによ」
「ロイヤルボックスでの観劇を楽しんで欲しいからだね」
「それでよ」
「ロイヤルボックスでの観劇だね」
「そうよ」
まさにというのです。
「本当にね」
「そうするね」
「だからね」
それでというのです。
「今夜はね」
「ロイヤルボックスだね」
「そこで観劇しましょう」
「それじゃあね」
「それがいいね、しかしね」
モジャボロは街の中を見回しました、中世のドイツの街並みを思わせるとても奇麗で整った街並みです。
「いい街だね」
「うん、高層ビル街もいいけれどね」
弟さんも言います。
「オズの国にはそうした場所もあるし」
「そうだけれどね」
「こうした街もいいね」
「全くだよ」
モジャボロは弟さんの言葉に頷きました。
「独特の奇麗さがあってね」
「いいよね」
「ええ、ただこの街はさっき行ったみたいな日本料理のお店もあってね」
ドロシーはモジャボロと弟さんにもお話しました。
「中華街もあるのよ」
「そうだね」
「色々な場所があるね」
「中華街に行くと」
そうすればというのです。
「ここは四川料理が有名なのよ」
「あの辛いお料理だね」
「そちらなんだね」
「そちらは明日のお昼にね」
その時にというのです。
「楽しみましょう」
「今日のディナーはファアグラとトリュフでだよね」
臆病ライオンが言ってきました。
「ホテルでいただくんだね」
「ええ、そこにお野菜とね」
これにというのです。
「鹿が出るそうよ」
「鹿肉だね」
「そちらのお肉もね」
フォアグラとトリュフだけでなくというのです。
「出るのよ」
「尚更いいね」
「そうでしょ、だからね」
それでというのです。
「鹿肉そして他の山や平地の幸もね」
「楽しめばいいね」
「今夜もね」
「それは楽しみだね」
「いやあ、もう今からお腹が空いてきたよ」
腹ペコタイガーは舌なめずりをして言いました。
「本当にね」
「貴方らしい言葉ね」
「そうだよね、それじゃあね」
「いただくわね」
「晩ご飯もね」
「それじゃあね。それとこの街のジャガイモもね」
このお野菜もというのです。
「美味しいのよ」
「へえ、ジャガイモも美味しいんだ」
「そうなの」
これがというのです。
「とてもね」
「そのことも期待していいんだね」
「色々なジャガイモ料理があるしね」
この街にはというのです。
「お肉や山菜だけじゃないのよ」
「ジャガイモもだね」
「美味しいのよ」
「畑で採れて」
「そうしてなのよ」
こう腹ペコタイガーにお話するのでした。
「とても美味しいのよ」
「そういえばあそこにジャガイモのお店ありますね」
カルロスは今自分達がいる場所から少し離れたところにある茹でたジャガイモを売っているお店を見ました、そこでは恰幅のいいカドリングの服を着た中年のおじさんがにこにことして茹でられたジャガイモを売っています。
「美味しそうですね」
「ジャガイモにバターを乗せて食べてますね」
ジョージはその店のお客さんを見て言いました。
「美味しそうですね」
「ほくほくとしたジャガイモの上のバターが溶けて」
そうしてと言う神宝でした。
「見ているだけで涎が出そうですよ」
「若しお昼食べたばかりじゃなかったら」
ナターシャはそれならと言いました。
「私達も、ですね」
「実は茹でたジャガイモに塩辛や海胆を乗せても美味しいんですよ」
恵梨香はその食べ方をお話しました。
「どちらも海の幸ですけれど」
「日本ではそうしてジャガイモを食べるの」
おばさんは塩辛や海胆と聞いて目を丸くさせました。
「それは面白いわね」
「ジャガイモは色々な食べ方があるけれど」
それでもと言うおじさんでした。
「そんな食べ方もあるんだね」
「面白いわね」
「全くだよ」
「私もその食べ方には驚いたわ」
ドロシーも言いました。
「けれど食べてみるとこれがね」
「美味しいの」
「そうなんだね」
「だから今度機会があればね」
その時にというのです。
「楽しんでね」
「ええ、それじゃあね」
「そうするよ」
「それじゃあ聖堂の中に入りましょう」
ドロシーは皆にあらためて言いました。
「そうしましょう」
「それで中で神様にもなのね」
「祈りを捧げるんだね」
「宗教や宗派が違っても」
そうであってもというのです。
「神様は神様でしょ」
「ええ、同じ神様ね」
「カトリックとプロテスタントでもな」
「オズの国はそうした考えだから」
だからだというのです。
「それでよ」
「これから中に入って」
「祈りを捧げよう」
お二人も頷いてでした。
そのうえで実際に皆で中に入りました、赤や青、黄色に緑といった色で輝くステンドグラスにカドリングの赤の石の壁に床に深紅の絨毯が敷かれた聖堂の中にです。
金色の礼拝堂があってそこに十字架のキリストもいます、教授はそのキリストのお顔を見て皆でのお祈りの後でドロシーに言いました。
「このキリストさんにはお髭があるね」
「ええ、濃くて長いね」
「しかし中にはお髭がない像や宗教がもあるね」
「結構多いわよね」
ドロシーも否定しませんでした。
「オズの国では」
「外の世界でも元々はね」
「キリストさんお髭がなかったのよね」
「お髭のない美青年に描かれていたんだ」
そうだったというのです。
「それが途中からだよ」
「今の様になったのね」
「長くて濃いお髭があるね」
そうしたというのです。
「姿になったんだよ」
「そうなったのね」
「けれどオズの国のキリストさんは」
「私も何度あお会いしているけれど」
「お髭がある場合とない場合があるね」
「ええ」
その通りだというのです。
「これがね」
「そうだね」
「時々お髭を剃っておられて」
そうしていてというのです。
「お髭がない時もあるわね」
「そうだね」
「あと結構大柄で逞しい方よ」
「私が見てもそうだよ」
「それに」
ドロシーはさらに言いました。
「イスラム教ではイーサーって呼ばれているわね」
「オズの国にもムスリムの人はいてね」
「それでそちらでは最後の最後までお元気ね」
「コーランではおおむねそうだね」
「聖書では悲しい結末でも」
「コーランでは違うよ」
そうだというのです。
「あちらではハッピーエンドが多いよ」
「そうなっているわね」
「そこは宗教の違いだね」
「それそれのね」
「イエス様が生きておられるなんて」
おばさんはこのことについても言いました。
「最初信じられなかったわ」
「全くだよ」
おじさんも言いました。
「イスラム教じゃそうだなんて」
「宗教によってそれぞれなんだな」
「キリスト教だけじゃないのね」
「オズの国ではってなったよ」
「オズの国だけでなくてね」
それでと言うドロシーでした。
「実は外の世界でもなのよ」
「同じね」
「それぞれの宗教と宗派があるんだね」
「それで仲よくすべきね」
「一緒にあるべきだね」
「そうよ、オズの国に来てわかったの」
ドロシーもというのです。
「この国の色々な宗教や宗派が仲よくしているのを見て」
「そしてなのね」
「ドロシーもわかったんだね」
「そうよ」
まさにというのです。
「そうしたものだって。そして外の世界でもよ」
「本当はそうなのね」
「仲よくあるべきだね」
「人の考えはそれぞれで」
そうであってというのです。
「そしてね」
「信仰もそうね」
「それぞれだね」
「そうよ、だからさっきはアルテミス女神の神殿にお参りして」
「今度はキリスト教の聖堂ね」
「お祈りしていいんだね」
「そういうことよ」
笑顔でお話します、そんなお話をしてです。
聖堂の後は街の中心地を歩きます、そちらも中世のドイツを思わせる街並みでとても奇麗でした。赤い煉瓦の道もです。
とても奇麗で、です。カルロスはこんなことを言いました。
「あの、実は欧州の街って長い間」
「どうしたの?」
「道の端にゴミとかを捨てていて」
そうであってというのです。
「かなり汚かったんですよね」
「そうらしいわね」
ドロシーもこのことを知っていました。
「外の世界では」
「ですがオズの国では奇麗ですね」
「ゴミはちゃんと捨てていてね」
そうしていてというのです。
「上下水道もちゃんとあるから」
「それで、ですね」
「誰も道の端にゴミを捨てたりしないからよ」
「奇麗なんですね」
「ゴミをちゃんと捨ててね」
「処理する様にして」
「それで水道も整えたらね」
そうすればというのです。
「街もね」
「奇麗になりますね」
「そうよ、事実この街もね」
「凄く奇麗ですね」
「匂いもしないでしょ」
「いい匂いがします」
ゴミ等の悪臭がするどころかというのです。
「お花の」
「そうでしょ」
「街のあちこちに花壇もあって」
そして色々な色の花々が咲き誇っています、特にチューリップが多いです。
「その匂いがしますね」
「そうでしょ」
「ただ奇麗なだけでなく」
街はというのです。
「香りもしますね」
「そうした意味でもいい街ね」
「はい、街の人達の身なりも奇麗で」
「ちゃんとお風呂に入ってお洗濯もよ」
「しているからですね」
「そうよ」
だからだというのです。
「だから清潔でね」
「いい匂いもしますね」
「人からもね」
「そうなんですね、確か」
カルロスはさらに言いました。
「昔の欧州はお風呂も滅多にですね」
「入らなくてね」
「やっぱり匂いましたね」
「服のお洗濯も殆どね」
こちらもというのです。
「しなくてね」
「不衛生で」
「匂いもよ」
「したんですね」
「同じ様な街並みでも」
そうであってもというのだ。
「当時と今じゃ違うしここはオズの国だから」
「尚更ですね」
「皆でいつもよ」
それこそというのです。
「奇麗にしているから」
「街も自分自身も」
「お家の中もね」
「だから奇麗で、ですね」
「いい匂いもするのよ」
「そういうことですね」
「そうよ」
笑顔でお話するのでした。
「この街だってね」
「そうなんですね」
「だから安心してね。それで街にいる生きもの達も」
彼等もというのです。
「街や人がそうでお風呂や水浴びに入れてもらったりしているから」
「奇麗ですね」
「鼠だってね」
「昔は鼠が一番汚かったんですよね」
中世の欧州ではというのです。
「確か」
「そうらしいわね」
「道の端、そのゴミとかで溢れてるところを群れで動き回っていて」
「かなり汚かったわね」
「そうですね」
「けれどオズの国ではね」
この国ではというのです。
「街は奇麗で生きもの達もね」
「清潔にしているからですね」
「その心配はないのよ」
「それは何よりですね」
「そういえば生きものに触っても心配いらないわね」
おばさんはこうしたことも言いました。
「オズの国だと」
「あっ、狂犬病ですね」
カルロスはおばさんの言葉にすぐにこの病気を思い出しました。
「他の病気もありますね」
「野生の生きものにもね」
「日本にいますと忘れてしまいますけれど」
それでもというのです。
「狂犬病ありますね」
「そうよね」
「だから怖いんですよね」
「オズの国ではそうした病気はないわ」
ドロシーが言ってきました。
「寄生虫だってね」
「いないのね」
「だからね」
それでというのです。
「野生の生きものと一緒にいてもね」
「心配いらないのね」
「そうよ」
まさにというのです。
「だから安心してね」
「そのこともいいことね」
「外の世界の狂犬病は怖いから」
ドロシーもこのことは知っています。
「この病気がなくてね」
「他の病気もなくて」
「それでね」
そのうえでというのです。
「寄生虫もいないから」
「安心出来るのね」
「そうなのよ」
オズの国ではというのです。
「そのこともいいことでしょ」
「本当にね」
おばさんも確かにと頷きました。
「いいことよ」
「オズの国はお伽の国だから」
「そうしたものもないのね」
「怖いものもね」
狂犬病等もというのです。
「そうなのよ」
「いいことね」
「街も人も生きものも奇麗で」
今自分達がいるというのです。
「それでね」
「そうした病気もない」
「それがオズの国なのよ」
まさにというのです。
「だからね」
「安心していいのね」
「生きものと仲よくしてもね」
「いいことね」
おばさんはドロシーのお話を聞いて心から思いました。
「狂犬病や他の病気の心配がいらなくて」
「寄生虫もね」
「それだけで幸せよ」
「全くだな、アメリカにも狂犬病はあったし」
おじさんも言います。
「今もあるんだな」
「その様だね」
教授も真剣なお顔で言ってきました。
「残念なことに」
「それは怖いわね」
「あの病気は怖いよ」
「オズの国に病気がなくて」
教授はおばさんとおじさんに応えてさらに言いました。
「あの病気もそうであってどれだけいいか」
「うん、あんな怖い病気もないよ」
モジャボロも今は暗いお顔でです、普段は明るくて気さくなこの人も狂犬病のことを考えるとそうなってしまうのです。
「色々怖い病気があるけれどね」
「そうなのよね」
「本当に怖い病気だよ」
おばさんとおじさんはまた言いました。
「トトが感染しなくてどれだけよかったか」
「私達にもね」
「こうして街も奇麗だしね」
モジャボロも街のこのことを言います。
「本当にいいよ」
「あまりにも街が汚いとベストが起こるしね」
教授は今度はこの病気のお話をしました。
「外の世界だと」
「そう、ペストよ」
「あの病気も怖いんだよ」
おばさんとおじさんはまさにと応えました。
「だから清潔にしないと駄目だってね」
「私達も教わったわ」
「私も子供の頃ペストのお話は聞いたわ」
ドロシーにしてもです。
「物凄く怖かったわ」
「全くだね、狂犬病も怖いけれどね」
トトも言いました。
「ペストも怖いよね」
「外の世界ではまだあるらしいわ」
「そうなんだね」
「だからね」
「清潔にしないと駄目だね」
「街はね」
どうしてもというのです。
「村もだけれどね」
「いつも清潔に」
「オズの国でもね、そのことも心掛けているから」
だからだというのです。
「オズの国はいいと思うわ」
「その通りだね」
「奇麗だとそれだけで気持ちがよくなって」
そうしてというのです。
「悪いことをしなくなるっていうしね」
「奇麗な場所にいると気持ちも奇麗になるからだね」
「周りからその奇麗な雰囲気を受けてね」
そうしてというのです。
「そうなるっていうし」
「だからだね」
「奇麗にしていることはいいことなのよ」
「街や村を」
「そして他の場所もね」
「そうだね」
「お家の中もね」
こちらもというのです。
「勿論お庭も」
「奇麗にしないとね」
「そうすることよ」
こうしたお話をしつつです。
皆で街の中を歩いていきます、歩くと街の中は市街地も奇麗ですが公園も沢山あって緑がとても豊です。道の左右には木々が並んでいます。
その木々を見てです、臆病ライオンは言いました。
「ここまで緑が多いと森の都だね」
「そうだね」
腹ペコタイガーもそれはと頷きました。
「そうした風だね」
「この街はね」
「それでね」
そうであるからだというのです。
「街並みと合わせてね」
「余計に奇麗に思えるね」
「そうだね、それで木の種類も色々だね」
「この街はね」
「前に行った漁港は水の都と呼ばれていてね」
ドロシーが二匹にお話してきました。
「海の都ともね、そしてこの街はね」
「何と呼ばれてるのかな」
「それで」
「木の都、森の都とね」
その様にというのです。
「呼ばれているわ」
「そうなんだね」
「そう呼ばれるに相応しいね」
「何しろ山の麓にあって」
そうであってというのです。
「ここまで緑が多いからね」
「僕達今公演の中歩いているけれど」
「まるで森の中みたいだよ」
「こうした街だから」
「そう呼ばれるんだね」
「そうよ、それでね」
ドロシーはさらにお話しました。
「空気がとても奇麗なのよ」
「木がとても多いから」
「それでだね」
「そうよ、だからね」
それでというのです。
「このことも評判なのよ」
「それは当然だね」
「実際のことだしね」
「それじゃあね」
「木々も空気も楽しむことだね」
「そうしましょう、ほら見て」
ここで、でした。ドロシーは。
自分達の傍の木の一本を指差しました、するとそこには二匹の野兎がいました。
「兎がいるわ」
「そうですね」
カルロスもその兎達を見て言いました。
「あそこに」
「栗鼠もいますね」
ジョージは自分達の木の枝を見て気付きました。
「あの生きものも」
「あれは狐ですね」
神宝はその生きものを見付けました。
「僕達の方見ていますね」
「あそこにいるのはアナグマですね」
ナターシャは今その生きものを見ました。
「あの生きものもいるんですね」
「キツツキもいますし」
恵梨香は自分達の傍の木の一本にこの鳥を見ました。
「色々な鳥がいますね」
「そうでしょ、この街の公園は何処もこうなのよ」
ドロシーは五人に微笑んで言いました。
「自然も豊かなのよ」
「森の中にあるみたいに」
「街の中でもですね」
「こうして色々な生きものがいて」
「自然豊かなんですね」
「そうなんですね」
「それで妖精の人達もいるから」
彼等もというのです。
「それでね」
「そうしたことでもですね」
「素敵な場所なんですね」
「妖精の皆さんもいる」
「そのこともあって」
「尚更ですね」
「そうよ、だからね」
それでというのです。
「こうした自然も楽しんでね」
「こんなに緑豊かな街なんて凄いですからね」
「だからですよね」
「もう是非ですね」
「楽しむことですね」
「そうすべきですね」
「そうよ」
まさにというのです。
「是非ね」
「あら、野苺もあるわね」
おばさんは公園の中にこの果物を見付けました。
「果物もあるのね」
「そうよ、野生の桃や林檎の木もあるから」
「そうした果物も楽しめるのね」
「それでね」
ドロシーはおばさんにさらにお話しました。
「柿の木もあるから」
「柿って日本から来た果物ね」
「そう、あの木もあってね」
それでというのです。
「実が凄く実ってね」
「食べられるのね」
「これがまた美味しいから」
だからだというのです。
「柿の木もね」
「食べればいいのね」
「ええ、柿はね」
本当にというのです。
「物凄く美味しいから」
「だからなのね」
「どんどん食べてね」
こう言うのでした。
「皆で食べるしね」
「私達だけじゃなくて」
「皆で美味しい柿を食べて」
そうしてというのです。
「そちらからもね」
「楽しい思いをするのね」
「そうなりましょう」
こうしたお話もしてでした。
皆で公園の中を歩いてその景色や奇麗な空気それにそこにいる色々な生きものや木の実を見て楽しみました。そしておやつにです。
出店で売られていた柿を食べてです、おばさんもおじさんも笑顔になりました。
「ドロシーの言う通りね」
「そうだね」
お二人で言います。
「凄く美味しいよ」
「そうよね」
「いや、柿はこれまで食べたことがあるけれど」
「オズの国に来てからね」
「ここの柿は格別だよ」
「驚く位美味しいわ」
「しかも種もなくて」
「形も奇麗ね」
「この柿は富有柿っていってね」
そうしてとです、ドロシーが言ってきました。
「種のない柿だけれどこの街の柿の味はね」
「また違うのね」
「特別美味しいんだね」
「そうなの」
こうお話するのでした。
「これがね」
「そうなのね」
「これはいいな」
「もう一個食べたいわ」
「是非共」
「ええ、食べて」
ドロシーも笑顔で応えました。
「楽しんでね」
「うん、じゃあな」
「そうさせてもらうわね」
「それでね」
そのうえでというのです。
「明日もまた別のものをおやつの時にね」
「いただくのね」
「そうするんだね」
「そうよ、そしてね」
それでというのです。
「満喫しましょう。ティータイムもね」
「まさに今ね」
「三時だからね」
「楽しむけれど」
「それじゃあ今からなの」
「お茶もあるのかな」
「ええ、こちらのお店でね」
柿そして他の果物も売っているお店の隣にあるグリーンティーを出してくれるお店を見てお話しました。
「飲みましょう」
「ああ、グリーンティーね」
「このお茶もいいね」
「日本のお抹茶をね」
このお茶をというのです。
「冷やして甘くした」
「美味しいお茶よね」
「とてもね」
「柿に梨に蜜柑を食べて」
お店のそうした果物達を見てもお話します。
「グリーンティーも飲んで」
「ティータイムね」
「それになるね」
「そうよ、それを楽しんで」
そうしてというのです。
「ティータイムにしましょう」
「それじゃあね」
「グリーンティーも飲もう」
おばさんもおじさんも頷きました、そうして柿をもう一個いただいてです。
梨も蜜柑も食べてグリーンティーを飲みました。そうして行ったティータイムもまたとてもいいものでした。
ティータイムの後も街の中を散策してホテルに戻ります、ホテルに戻ると早速ディナーとなりましたが。
炒めた茸と山菜にです、生ハムをとハムそれに鴨のテリーヌのオードブル、スパゲティボロネーゼに生の牛肉のカルパッチョにです。
鹿肉のステーキというメニューでした、他には茹でられたジャガイモやパンもあります。パンには苺や葡萄のジャムが添えられています。
そのメニューを口にしてです、おばさんは言いました。
「今夜もね」
「美味しいものばかりだよ」
おじさんも言います。
「茸も山菜も美味しいわ」
「生ハムやテリーヌだってね」
「スパゲティもいいわね」
「カルパッチョも最高だよ」
「それにですよね」
カルロスも言いました、食べながら。
「ステーキがまた」
「絶品ね」
「鹿のそれがね」
「物凄く美味しいです」
そのステーキを食べつつ言うのでした。
「本当に」
「私の言った通りでしょ。このホテルのレストランも美味しいのよ」
ドロシーもステーキを食べています、そのうえでの言葉です。
「最高にね」
「あの、このステーキだけれど」
おばさんはドロシーに言いました。
「ステーキにフォアグラとトリュフが添えられていて」
「そちらも美味しいでしょ」
「ええ」
本当にというのです。
「最高よ」
「こうして豪勢にね」
「お料理をしてくれるのね」
「そうなの。だからね」
「今夜はなのね」
「ホテルのディナーにしたの」
「そういうことね」
ドロシーの言葉を聞いて頷きました。
「ドロシーも考えてなのね」
「そうしてみたの」
「嬉しいわ」
おばさんはドロシーの自分達への気遣い、この時も美味しいものを楽しんでもらおうというそれに笑顔で応えました。
「ここまでしてくれるなんて」
「そうだね、これは」
おじさんも言います。
「ドロシーにお礼をしないとな」
「そうよね」
「今度うちに来てくれたら」
「これまで以上のおもてなしをしないとね」
こうお話をするのでした。
「駄目ね」
「全くだね」
「ドロシーさんっていつもなんですよね」
カルロスも言ってきました。
「僕達にもです」
「こうしたことをしてくれるのね」
「楽しい場所に連れて行ってくれて」
そうしてというのです。
「楽しいことを教えてくれて」
「美味しいものをなのね」
「食べさせてくれます」
そうだというのです。
「いつも」
「そうしてくれるのね。カンザスにいた頃から」
まさにその頃からというのです。
「本当にね」
「ドロシーさんはこうした人ですね」
「あの時は何もなかったのに」
カンザスにいた時はというのです。
「そうであってもね」
「いつもですね」
「私達を気遣ってくれてよ」
「色々なことをしてくれたんですね」
「そうなのよ」
こうカルロスにお話します。
「ドロシーはね」
「素敵な人ですね」
「そうでしょ」
まさにというのでした。
「ドロシーは」
「はい、本当に」
「そんな娘だから」
ドロシーがそうした性格の持ち主だからだというのです。
「オズの国に来て」
「エマさんとヘンリーさんも呼んでくれて」
「楽しく過ごさせてくれてね」
そうしてくれてというのです。
「王女様として政治もよ」
「やっておられますね」
「オズの国の総理大臣って聞いた時は驚いたわ」
ドロシーがというのです。
「心からね。けれどね」
「それでもですか」
「ドロシーの政治を見たら」
オズマと一緒にオズの国を治めている姿をというのです。
「素晴らしいってね」
「思われたんですね」
「そうよ」
まさにというのです。
「私もね。それで大丈夫だってね」
「そうも思われたんですね」
「そうなのよ」
カルロスにジャガイモを食べながら答えました。
「それで今は村で見守っているのよ」
「ドロシーさんの政治をですね」
「行い全てをね。それで聞くお話は」
村でというのです。
「いいお話しかないわ」
「そうなんですね」
「こんな評判のいい娘はいないってね」
その様にというのです。
「思ったら」
「違いますか」
「オズマ姫もベッツイ王女もトロット王女も」
四人共というのです。
「凄くね」
「評判がいいんですね」
「ええ、だから」
それでというのです。
「ドロシーだけじゃないのよ」
「そうですか」
「ドロシーも評判がいいけれど」
「悪いお話を聞かない位ですね」
「ええ、そのドロシーと同じだけね」
それだけというのです。
「四人共よ」
「評判がよくて」
「こんないい娘達なのねってね」
「思われていますか」
「そうなの。しかも四人共仲がいいから」
「尚更ですね」
「嬉しく思っているわ」
そうだというのです。
「私もね」
「そうなんですね」
「これからもね」
おばさんはドロシーを見つつカルロスにお話しました。
「ドロシーはそうした娘で」
「オズマ姫達もですね」
「そうよね」
「そうですね、ドロシーさん達ならです」
カルロスもまさにと答えます。
「きっとです」
「そうした娘達のままでいてくれるわね」
「絶対に」
「そしてオズの国も」
「皆が幸せな国になります」
「そうなるわね」
「何があっても」
それこそというのです。
「そうなっていくわ」
「そうですね」
「そうなる様にしていくわ」
ドロシー本人も言いました。
「私もね」
「そう言ってよね」
「そう考えてね」
そうしてとです、おばさんにステーキを食べつつ答えました。
「やっていくわ」
「そうよね」
「四人でね」
自分だけでなくというのです。
「仲よくね」
「やっていくのね」
「これからもね」
「ドロシーのそうしたところもいいのよ」
おばさんはにこりと笑って言いました。
「本当にね」
「そうなの」
「自分だけじゃなくて他の人もこともね」
「考えているっていうのね」
「それも第一にね」
「そのこともいいの」
「だからオズマ姫達もって言うでしょ」
自分だけでなくというのです。
「ちゃんと立ててね」
「そのことがいいのね」
「ええ、自分ファーストじゃないわね」
「そういうのはね」
どうにもとです、ドロシーはおばさんに答えました。
「好きじゃないから」
「ましてや自分オンリーじゃないわね」
「それはもっとね」
自分ファースト以上にというのです。
「好きじゃないわ」
「そうなのね」
「そう、だからね」
それでというのです。
「それは絶対によ」
「ない様にしているわね」
「私だけで出来ることなんて限られてるし」
「四人一緒だとなのね」
「色々なことが出来るから」
だからだというのです。
「それ以上に皆と一緒だと楽しいしいい娘達だし」
「オズマ姫達も立てているのね」
「そうなの」
こうおばさんにお話します。
「私はね」
「そうなのね」
「そう、そしてね」
それでというのです。
「これからも私はね」
「四人の評判がよくなる様に」
「そして皆がね」
自分達四人の王女達だけでなくというのです。
「幸せになる様にね」
「していくのね」
「評判も良くなる様にね」
「いいことね、それじゃあね」
「ええ、これからもね」
まさにというのです。
「私はオズマとベッツイ、トロットそしてね」
「他の皆を立てて」
「そして一緒にね」
そうしてというのです。
「楽しくやっていくわ」
「そうね、じゃあ頑張っていってね」
「そうしていくわ」
おばさんに笑顔で答えました、そうしてです。
ドロシーは皆と一緒にステーキも他のお料理も食べました、最後のデザートの苺のタルトも楽しんで後はお風呂にも入ってその日はゆっくりと休んだのでした。