『オズのエマおばさん』
第一幕 おばさんもまた
ドロシーはエメラルドの都の応急の中でオズマに政治のお仕事が一段落してからこんなことを言いました。
「この前ヘンリーおじさんのことでね」
「旅行に行ったわね」
「エマおばさんも一緒だったけれど」
一緒にティータイムを宮殿の中庭のテーブルに向かい合って座ってそのうえで楽しみながらお話します。
「けれどね」
「エマさんが主のおもてなしはね」
「していないから」
「今度はあの人ね」
「そうしましょう」
こう言うのでした。
「どうかしら」
「いいと思うわ」
オズマは笑顔で答えました。
「そうしましょう」
「ええ、それじゃあね」
「そしてね」
それでというのだった。
「今度もね」
「楽しんでもらうのね」
「そうしてもらいましょう」
「おばさんに」
「ええ、それでヘンリーさんも一緒よね」
「おじさんとおばさんはいつも一緒よ」
ドロシーはにこりと笑って頷きました。
「カンザスからね」
「だから漁港への旅行の時もよね」
「一緒だったわ」
「それで楽しんでくれたわね」
「だからね」
その為にというのです。
「今度おばさんをおもてなししても」
「ヘンリーさんも一緒ね」
「漁港の時みたいにね」
「ならいいわ、今回もお二人にね」
「楽しんでもらうのね」
「そうしてもらいましょう」
「それではね。ではこれから」
早速言うオズマでした。
「これからね」
「どう楽しんでもらうか」
「そのことをお話しましょう」
「それじゃあね」
ドロシーもそれならとなりました、こうしてでした。
二人でおばさんにどう楽しんでもらうかをお話しました、するとです。
今もドロシーの足元にいるトトがです、こんなことを言いました。
「前は海の幸を楽しんだね」
「ヘンリーおじさんの時はね」
ドロシーは確かにと答えました。
「そうだったわね」
「じゃあ今度は山の幸なんてどうかな」
「そうするのね」
「うん、今度もお二人は一緒だし」
そうであるからだというのです。
「それならね」
「次は山ね」
「それでどうかな」
「そうね」
少し考えてです、ドロシーは答えました。
「いいわね」
「そうだよね」
「おじさんとおばさんには海の幸を満喫してもらったし」
「それなら今度は山の幸だよね」
「それがいいわね」
「山海の珍味というけれど」
オズマも言ってきました。
「それならバランスがいいわね」
「ええ、海の次は山でね」
ドロシーは頷きました。
「そういえばこの前は川の幸も食べてもらったし」
「おじさんとおばさんにはね」
「今度は山とね」
「平地でもいいわね」
「そちらもね」
「今からお話しましょう」
オズマはドロシーにレモンティーを飲みつつにこりと笑ってお話しました。
「じっくりとね」
「わかったわ」
ドロシーはここからオズマとエマおばさんそれにヘンリーおじさんを次は何処に行くかをお話しました。
そしてです、カロリングの山の麓にある街に行くことにしました。
「あそこがいいわね」
「そうね、そういえばね」
ドロシーはオズマの提案に頷きつつ言いました。
「私カロリングの山の方には」
「最近行ってなかったわね」
「そうだったわ」
こう言うのでした。
「考えてみればね」
「そうだったわね」
「だからね」
それでというのです。
「今回はね」
「そちらに行くのね」
「そうするわ」
オズマに答えました。
「今回は。ただね」
「ただ?」
「いえ、山の幸といっても」
一口にそう言ってもとです、ドロシーは言うのでした。
「色々あるわね」
「それはね、平地の方もね」
「色々あるわね」
「海の幸だってそうだったしね」
「川の幸もね」
「それならね」
「山の幸、平地の幸も」
そうしたものもというのです。
「色々ね」
「山菜に果物に茸に」
オズマはその山の幸を具体的に出してきました。
「猪や鳥だってね」
「あるわね」
「熊だってね」
この生きものもというのです。
「あるでしょ」
「ええ、中華料理でも有名よね」
「熊の掌とかね」
「珍味の中の珍味って言われていて」
「実際に私達も時々食べているけれど」
「驚く位美味しいわ」
「その熊もね」
オズマはドロシーにお話しました。
「楽しめるわ」
「そうよね」
「だからね」
「山の幸も期待出来るわね」
「エマさんにもヘンリーさんにもね」
お二人にもというのです。
「今回もね」
「心から楽しんでもらえるわね」
「素敵なおもてなしが出来るわよ」
「それはいいわね、それではね」
「今回も行きましょう」
「楽しい旅にね」
それにというのです、そしてです。
そうしたお話をしてでした、何処に行くかも決めました。そこで晩ご飯の時間となりましたがここで、でした。
ジュリア=ジャムが二人のところに来て笑顔で言ってきました。
「お客様です」
「ああ、誰かしら」
「カルロス達です」
ジュリアはオズマににこりと笑って答えました。
「今丁度宮殿の正門のところに来ました」
「またオズの国に来てくれたのね」
「はい」
まさにというのです。
「そうしてくれました」
「それはいいわね」
「どうされますか」
「勿論来てもらうわ」
オズマは満面の笑みで答えました。
「もう選択肢はね」
「ありませんね」
「あの子達はオズの国の名誉市民で」
そうであってというのです。
「私達のお友達だから」
「それで、ですね」
「何があってもね」
それこそというのです。
「拒むことはないわ」
「そうですね、それでは」
「こちらに案内して、そしてね」
「晩ご飯をですね」
「一緒に頂きましょう」
「わかりました」
こうしてです。
カルロス達五人はエメラルドの都の宮殿に案内されました、そうしてそのうえでまずはオズマ達に挨拶をしました。
「暫くぶりですね」
「そうね、この前来たのはそちらの時間で二週間前だったわね」
「はい」
カルロスは笑顔で答えました。
「そうです」
「またこちらに来たくなって来てくれたのね」
「そうでした」
オズマに笑顔のまま言うのでした。
「僕達も」
「そう言ってくれて嬉しいわ」
「そうなんですね」
「ええ、それでね」
オズマはカルロスに自分からも言いました。
「これからだけれど」
「晩ご飯の時間ですね」
「ええ、それでだけれど一緒にどうかしら」
「喜んで」
カルロスだけでなく五人全員が答えました。
「宜しくお願いします」
「わかったわ、それじゃあね」
「はい、食べましょう」
「それでメニューだけれど」
「何でしょうか」
「オムライスとね」
それにというのです。
「サラダ、そしてベーコンと人参と玉葱のスープよ」
「美味しそうですね」
「そうでしょ、それじゃあね」
「今からですね」
「皆で食べましょう」
「わかりました」
笑顔で応えてでした。
そうして皆で食堂に入ってそのうえでオムライスにサラダそしてベーコンと人参と玉葱のスープを食べるのでした。
そのオムライスを食べてです、モジャボロはとても嬉しそうに言いました。
「うん、オムライスはいつも最高だよ」
「そうだね」
魔法使いもにこにことして応えます。
「最初食べた時これは凄いってね」
「思ったものだね」
「全くだよ」
こうお話するのでした。
「本当にね」
「そうだよね」
「アメリカにはなかったしね」
「こうしたものはね」
「日本で出て来たけれど」
「よく考えたよ」
「そうなんですよね、僕も日本に来て物凄く美味しいって思ったんですが」
カルロスもオムライスを食べて言いました。
「日本人は日本のお料理って思ってなかったんですよ」
「フランスかイタリアのお料理と思ってたけれど」
その日本人の恵梨香が言います。
「違うのよね」
「ええ、違うわ」
ロシア人のナターシャが恵梨香に言いました。
「他の国にはこうしたお料理はないわ」
「オムレツはあるけれど」
アメリカ人のジョージも言います、皆でオムライスを食べながら。
「オムライスはないからね」
「卵の生地の中にチキンライスなんてね」
中国人のカルロスも言うことでした。
「ちょっとない発想だよ」
「本当にこんなお料理他にないから」
カルロスも恵梨香に言います。
「当然僕の国ブラジルでもね」
「皆そう言うのよね」
「ええ、洋食は日本料理のジャンルの一つで」
トロットも言いました。
「オムライスはそのうちの一つよ」
「私も大好きで」
ベッツイが続きました。
「よく食べているわ」
「そうですよね、カレーライスもハヤシライスもいいですが」
それでもと言うカルロスでした。
「オムライスもいいですよね」
「それで今夜はオムライスにしました」
ジュリアも言ってきました。
「宮殿ではここ暫く作っていませんでしたし」
「それでそろそろって思ったのね」
「人気メニューですし」
このこともあってとです、ジュリアはオズマに答えました。
「そうしました」
「有り難いわ、それで皆こうしてね」
「楽しんでくれていますね」
「ええ、ただこのオムライスがね」
こうも言うオズマでした。
「オズの国だとお笑いの街から出たのは意外ね」
「ええ、あそことはね」
ドロシーもそれはと応えました。
「私も思わなかったわ」
「そうよね」
「そのことはね」
ドロシーにしてもです。
「本当にね」
「意外だったわね」
「たこ焼きやお好み焼きが出て」
「焼きそばもモダン焼きもあって」
「バッテラにハリハリ鍋」
「そして自由軒のカレーにきつねうどん」
そうしたものを挙げていくのでした。
「色々あるけれど」
「オムライスもあるなんてね」
「思わなかったわね」
「そうよね」
「いや、あそこは食べものの街でもありますから」
カルロスはそれでと応えあました。
「色々とです」
「美味しいものもあるのよね」
「はい、お笑いと食べものの街です」
こうドロシーにお話しました。
「大阪は」
「外の世界のあの街はそうよね」
「それでお笑いの街もです」
オズの国の今お話になっているこの街もというのです。
「大阪ですから」
「水の都ともいうけれどね」
「お笑いの街もそうですね」
「そして大阪も」
「そこは同じね、だったら」
それならと言うドロシーでした。
「オムライスが出ても不思議じゃないわね」
「そうですね、それでなんですが」
「どうしたの?」
「はい、おかわりはありますか」
見ればカルロスのお皿からオムライスは奇麗になくなっています、それこそ誰よりも早く食べ終えています。
「オムライスの」
「あるわよ」
ジュリアが微笑んで答えました。
「じゃあもう一皿」
「いただきます」
「それじゃあね」
こうしてすぐにおかわりが来ました、そうして皆もオムライスをおかわりしました。そうしてからでした。
オムライスにサラダそれにスープの後はです。
「デザートだけれど」
「何でしょうか」
「今日のデザートは和風よ」
オズマはカルロスに答えました。
「そちらのお料理よ」
「和風デザートですか」
「何だと思うかしら」
「洋食でしたから」
そこから考えるカルロスでした。
そしてです、そのうえでオズマに答えました。
「苺と生クリームのケーキですね」
「そちらよ」
「あのケーキもいいですよね」
「素敵なケーキよね」
「はい、本当に」
「あのケーキも日本からなのよね」
この国からというのです。
「これが」
「そうなんですよね」
「このケーキも日本人に聞くとね」
「日本のものじゃないって言いますよね」
「そうなのよね」
「あのケーキも他の国にはないですが」
それでもというのです。
「そう思いますよね」
「日本人は」
「そこがね」
どうにもというのです。
「気になるわね」
「日本人って案外自分達のこと知らないですよね」
「そこも不思議よね」
「日本は不思議なことが多いですが」
「そのことも不思議よ」
「案外自分達のことを知らないことが」
「オズの国も不思議の国だけれど」
それでもというのです。
「あの国もね」
「不思議の国ですよね」
「あらゆる意味でお伽の国と言ってもね」
「言い過ぎじゃないですね」
「そう思うわ」
ドロシーは心から思って言いました。
「あの国は。武士に忍者に力士さんの国で」
「歌舞伎や落語もありますね」
「お寺や神社もあって」
「お坊さんや巫女さんもいて」
「奥家さんが和歌を嗜んで」
そうもしてというのです。
「私達よりずっと長い歴史を持つ皇室もあって」
「そう、あの皇室の方々と一度お会いしたいと思っているの」
オズマが切実な声で言ってきました。
「私としては」
「オズマもなのね」
「特に天皇陛下とね」
「オズの国の国家元首として」
「外の世界の国々と国交を結べたらね」
それが出来ればというのです。
「国交を結んで」
「日本ともよね」
「ええ、そうして」
そのうえでというのです。
「そのうえでね」
「日本の皇室の方々とお会いして」
「天皇陛下と」
「若しもよ」
ケーキ日本のそれが出される中でオズマは言いました。
「日本の天皇陛下に晩餐会にお呼ばれしたら」
「最高の名誉ね」
「その時はオズの国の皆も一緒よ」
ドロシー達もというのです。
「それで皆でね」
「晩餐会に出席してもらって」
「そしてね」
そのうえでというのです。
「天皇陛下と同席させてもらいましょう」
「それではね」
「皇后陛下もおられるし」
晩餐会の時はというのです。
「私達にとって最高の名誉になるわ」
「そうなるわね」
「そうした皇室もあるね」
「不思議の国よね」
「日本はね」
「あらゆる意味でそうよね」
ドロシーも言うことでした。
「オズの国に来て実感しているわ」
「貴女もそうなっているのね」
「カンザスにいた時は名前位しか知らなかったけれど」
「それがよね」
「今ではこう思ってるわ」
「オズの国にも日本人来ているしね」
「恵梨香がね」
その彼女を見てお話しました。
「それに日系人の人達もいて」
「日本のことを知って」
「こう思うわね」
「本当にね」
「僕もそう思います、かなり不思議な国です」
カルロスも二人に言いました。
「これ以上はないまでに」
「そうよね」
「私達も時々行ってるけれどね」
「不思議な国よ」
「知れば知る程ね」
こうお話しながらです。
皆でそのケーキも食べます、そしてドロシーはここで皆にエマおばさんとヘンリーおじさんへのおもてなしのお話をしました。
「今度は主賓はエマおばさんなのよ」
「前回はヘンリーおじさんでね」
今も一緒にいるトトも言います。
「それでなんだ」
「今回はエマおばさんなの」
「二人一緒だけれどね」
「そこは違うよ」
「そして前回は海と川で」
ドロシーはこのこともお話しました。
「そしてね」
「山と平野の幸って考えてるんだ」
「面白そうだね」
カルロスはそのお話を聞いて笑顔になりました。
「それにいいことだよ」
「そうよね」
「おばさんとおじさんをおもてなしするなんて」
「このこともいいことだね」
「本当にね」
恵梨香達四人も言うのでした。
「おじさんが主賓ならね」
「今度はおばさんというのは」
「今度も二人一緒で」
「山と平野というのも」
「そうだよね、ドロシーさんらしい素晴らしい考えだよ」
カルロスも言うことでした。
「本当にね」
「そうだよね、それじゃあね」
「私達は賛成ということで」
「ドロシーさんのお考えに」
「手を挙げさせてもらいましょう」
「僕も賛成だよ」
モジャボロも言ってきました。
「やっぱり平等じゃないとね」
「駄目よね」
「うん、だからね」
ドロシーにそれでと答えます。
「そちらに行って来たらいいよ」
「私も賛成ということで」
魔法使いはすぐに手を挙げました。
「そうさせてもらうよ」
「それではね」
「勿論私も賛成よ」
「私だってね」
ベッツイとトロットも言ってきました。
「そうさせてもらうわ」
「こんないい考えないわ」
「こんないい善行はないよ」
こう言ったのはキャプテン=ビルでした。彼とハンクも一緒にいてこれまでは静かに食べていたのです。
「是非やるべきだよ」
「全くだね」
ハンクはキャプテンの言葉に頷きました。
「いいことはすべきだよ、しかもね」
「しかも?」
「その善行は独りよがりのものでなくて」
そうであってというのです。
「暴走もしていなかったら」
「いいわね」
「やるべきだ」
「そう、独りよがりだったり暴走したら」
オズマはまさにと答えました。
「もうそれは善行ではなくなるわ」
「悪いことよね」
「まずはよく考えて」
「落ち着くことね」
「そうよ、若しそうした状態でやることを正しいと言うなら」
オズマは強い声で言いました。
「駄目よ」
「独りよがりは駄目で」
「冷静さもね」
「常にないと駄目よね」
「そうよ、だからね」
オズマはさらに言いました。
「これからもね」
「ええ、正しいことをしていきましょう」
「皆がね」
笑顔で応えたドロシーでした、そしてです。
皆でケーキも楽しみました、その後はお風呂に入って寝ました。そして日の出と共に起きたのですが。
起きて今宮殿にいる皆で朝ご飯を食べた時にです、カルロスはふとこんなことを言いました。
「あの、皆毎日お風呂に入っていますね」
「ええ、それで冒険の時は川や湖で水浴びをするわね」
オズの国一の冒険家のドロシーが応えました。
「そうね」
「そうですよね」
「温泉もあるしね」
オズの国にはです。
「それこそあちこちに」
「そうした場所には必ずボディーソープやシャンプーの容器が出る草があって」
「何処でも身体を奇麗に出来るわね」
「そうですが」
カルロスは朝ご飯のトーストを食べつつ言いました。
「ドロシーさんはカンザスにおられた時は」
「お風呂ね」
「お家にお風呂なかったですね」
「大きな桶があったから」
ドロシーはカルロスにこう答えました。
「そこに暖かい時にお湯を沸かしてね」
「そこに入れるんですね」
「沢山ね。そうしてね」
そのうえでというのです。
「その中に入って」
「身体を奇麗にするんですね」
「お水はお家の近くの井戸から汲んでね」
そうしてというのです。
「沢山用意して」
「そのお水を沸かして」
「暑いともうそのままだったわ」
ドロシーはベーコンを食べつつカルロスに答えました、今朝のメニューはトーストに焼いたベーコンにソーセージにスクランブルエッグそしてトマトとレタスのサラダです。ジャムが入ったヨーグルトもあります。
「お水でね」
「水浴びですね」
「そうしていたわ」
「そうですか」
「そしてね」
ドロシーはさらに言いました。
「かなり大変なお仕事だったわ」
「井戸からお水を汲んで」
「温めてお湯にしてね」
「水槽の中に入れていって」
「そう、それでお外で順番に入っていたけれど」
「大変だったんですね」
「水道はなくて」
そしてというのです。
「その水道からお湯も出なかったから」
「今みたいに」
「お風呂を用意するだけでね」
「大変なお仕事だったんですね」
「カンザスにいた時はね」
ドロシーはカルロスに自分のトーストに苺ジャムを塗りつつお話します。
「そうだったのよ」
「そんな風だったんですね」
「ええ、けれど今はね」
「水道があって」
「そこからお湯が出て」
そうしていてというのです。
「すぐに入られるわね」
「はい、お風呂に」
「その分ね」
「便利ですね」
「そして毎日でも入られるから」
そのお風呂にというのです。
「そのことも幸せよ」
「幸せですか」
「毎日温かいお風呂が入られる」
「そのことも幸せですね」
「そうでしょ、けれどカンザスにいた時もね」
カルロスに遠いその頃のことを思い出しつつお話するのでした。
「今思うとね」
「幸せでしたか」
「いつもおばさんとおじさんそれにトトと一緒でね」
微笑んで言うのでした。
「お金に困ってばかりで自然のことで振り回されることもあったけれど」
「それでもですか」
「あちらにいた頃もね」
懐かしむ、そんなお顔での言葉でした。
「今思うとね」
「幸せでしたか」
「凄くね」
明るい笑顔で言うのでした、そしてです。
ドロシーはカルロスに苺ジャムが美味しいからと勧めました、それでトーストに塗った苺ジャムは確かにとても美味しくてカルロスもそれを食べた他の皆も幸せになりました。