『オズのヘンリーおじさん』




                第十二幕  最高のお寿司

 港町での楽しい旅もいよいよ最後の日となりました、ドロシーは朝ご飯を食べ終えるとおじさんとおばさんに言いました。
「もう今日でね」
「旅行は終わりで」
「お家に帰るのね」
「そうよ、帰りは列車でね」
 それを使ってというのです。
「帰るわ」
「そうするんだな」
「列車に乗って」
「お家まで一気にね」
 そうしてというのです。
「帰ってね」
「終わりだな」
「この楽しい旅も」
「そうよ、これからチェックアウトするけれど」
 それでもというのです。
「お昼ご飯を食べて」
「それからだな」
「お家に帰るのね」
「そしてお昼はね」
 昼食はといいますと。
「お寿司よ」
「ああ、あのお料理か」
「あれを食べるのね」
「そうしましょう」
 笑顔で言うのでした。
「最後にね」
「今回の旅はそもそもお寿司を食べてな」
「それからだったわね」 
 おじさんもおばさんも笑顔で言います。
「とても美味しかったけれど」
「最後もお寿司か」
「そうなるわ。お寿司ではじまってね」
 そうしてというのです。
「お寿司で終わるわね」
「そうだな」
「そう言っていいわね」
「列車に乗ったらね」
 そうしたらというのです。
「もうね」
「すぐだよ、お空を飛んでね」
 トトもお二人に言います。
「そしてだよ」
「帰るんだな」
「私達のお家に」
「そうなるからね」
 だからだというのです。
「お昼にね」
「お寿司をたっぷり食べましょう」 
 エリカは舌なめずりをして言いました。
「そうしましょう」
「今度のお寿司はどんなのかな」
「楽しみね」
「そうそう、お寿司っていっても」 
 トロットはお二人の言葉を聞いてふと気付いたことがありました、そのうえでドロシーに対して言いました。
「種類があるわね」
「握り寿司に巻き寿司に」
 ドロシーも答えました。
「ちらし寿司ね」
「ちらし寿司もあるのよね」
「ええ、ただこちらはね」
 トロットにさらに言いました。
「帰りの駅弁でね」
「食べてもらうのね」
「おじさんとおばさんにプレゼントして」 
 ちらし寿司のお弁当をというのです。
「そしてね」
「食べてもらうのね」
「そうしてもらうわ」
「そうね、それと」
 トロットはさらに言いました。
「お寿司はまだ種類があるわね」
「馴れ寿司ね」
「そうそう、馴れ寿司もね」
「あるわね、けれど」
「こちらはね」
「癖が強いから」
 だからだというのです。
「おじさんとおばさんにはね」
「どうかしら」
「いや、そちらも」
 おじさんは二人のお話を聞いて言いました。
「いただけるかな」
「わかったわ、それならね」
 ドロシーはそれならと応えました。
「そちらも出してくれるお店にね」
「行くか」
「そうするのね」
「握り寿司がメインだけれど」 
 それでもというのです。
「けれどね」
「そちらも出してくれるか」
「そうしたお店もあるから」
 だからだというのです。
「行きましょう」
「それじゃあな」
「お願いするわね」 
 またお二人で応えました。
「馴れ寿司もいただくわ」
「是非な」
「お昼までまだ時間があるけれど」
 ベッツイが言ってきました。
「それまで何をしようかしら」
「そうね、街で最後の観光をね」
 それをとです、ドロシーは答えました。
「しようかしら」
「市場とかも行って」
「そうもしてね」 
 そのうえでというのです。
「楽しみましょう」
「そうするのね」
「時間があったら」 
 その時はというのです。
「お休みするか」
「楽しむことね」
「そうするものでしょ」
「そうね、それじゃあね」
「観光を楽しみましょう」
「今回の旅で最後の観光ね」
「それになるわね」  
 こうお話してです。
 皆はチェックアウトをしてから街の市場に行って買いものもしました、そこでキャプテンは虹色に輝く巻貝の貝殻を見て言いました。
「宮殿で留守番をしている皆にあげようか」
「いいね」 
 ハンクが笑顔で応えました。
「お土産にね」
「旅に行ったらね」
 キャプテンはハンクに答えて言いました。
「やっぱりね」
「お土産もね」
「買って」
「プレゼントしないとね」
「だからね」
 それでというのです。
「わしはこれを買うよ」
「皆に」
「宮殿にいる皆にね」
「じゃあ僕も皆にプレゼントする為に」
 ハンクも言いました。
「プレゼントを買うけれど」
「何を買うんだい?」
「これにするよ」
 真珠のアクセサリー達を見て答えました。
「今見るとね」
「こちらも奇麗だね」
「だからね」
 それでというのです。
「今回はね」
「これを買うんだね」
「そうするよ」
「皆それぞれ買いましょう」
 オズマも言ってきました。
「ここはね」
「皆にそれぞれのお土産を買って」
「プレゼントするんだね」
「そうしたらね」
 どうなるかとです、オズマは言いました。
「プレゼントをあげた人達が喜んでくれて」
「笑顔になってくれてね」
 ドロシーも笑顔で応えました。
「そしてその笑顔を見てね」
「私達も笑顔になるわね」
「そうね、それじゃあね」
「皆買いましょう」 
 お土産をというのです。
「そうしましょう」
「それじゃあね」
「あの」
 ここで恵梨香が言ってきました。
「お土産といっても」
「何かしら」
「はい、お金支払わないですね」
「そうよ」
 ドロシーはその通りだと答えました。
「オズの国ではね」
「そうですよね」
「オズの国はお金がないでしょ」
「皆欲しいと思ったら」
「それを下さいって言えばね」
「貰えますね」
「貰った時笑顔になるわね」
 貰ったつまり買った人がというのです。
「それがね」
「オズの国のお金ですね」
「オズの国は欲しいと思ったら」 
 それならというのです。
「何でもあるわね」
「そうですね、木に生えたりして」
「そうした国だから」
「お金は必要ないですね」
「そうした国だから」
 それでというのです。
「別にね」
「お金は必要ないですね」
「だから買うといっても」
 そう表現してもというのです。
「お金はね」
「支払わないですね」
「オズの国ではね」
「このことって凄いですよ」
 神宝はしみじみとして言いました。
「お金がないって」
「外の世界では何でもお金ですから」
 ナターシャも言います。
「本当に」
「そのお金がなくてもやっていけるって」
 ジョージの口調もしみじみとしたものになっています。
「凄いですよ」
「何でもあって簡単に手に入るなら」
 カルロスはそれならと言いました。
「お金は必要ないんですね」
「そうよ、それがオズの国よ」 
 オズマが答えました。
「この国では最初からでしょ」
「はい、お金なかったですね」
「ドロシーさんが来られる前から」
「オズの国がはじまってから」
「そうでしたね」
「そして今も」
「だからね」 
 それでというのです。
「お土産もよ」
「笑顔を支払って」
「そうしてですね」
「買いますね」
「そうしますね」
「これから」
「そうしてもらうわ」 
 是非にというのです。
「いいわね」
「わかりました」
「それじゃあ買わせてもらいます」
「今から」
「お土産にさせてもらいます」
「それで皆に笑顔になってもらいます」
「そうしてね」
 オズマはにこりと笑って応えました。
「是非ね」
「さて、何を買おうか」
 おじさんはお土産を前に腕を組んで考えています。
「一体」
「村の人達にね」
 おばさんもそうしたお顔になっています。
「どれがいいかしら」
「迷うな」
「そうよね」
「どうにもな」
「ええと、迷ったらね」
 ドロシーがここで言いました。
「どれにしようかなってね」
「そう言ってか」
「そうしてなの」
「一語一語言いながらものを指さしていって」
 そうしてというのです。
「一語ごとにその対象を変えていって」
「最後にあたったものをか」
「変えばいいのね」
「しっかり考えないといけない時もあるけれど」 
 それでもというのです。
「そうして決めてもね」
「いいんだな」
「そうなのね」
「こうした時に迷ったらね、それかね」
 さらに言うドロシーでした。
「その人それぞれの好きなものでいいのよ」
「僕だと首輪が好きだよ」
 トトが笑って言ってきました。
「お洒落だからね」
「トト首輪一杯持ってるわね」
「うん、コレクションにしてね」
 ドロシーに尻尾を振って応えます。
「全部大事にしてるよ」
「そうよね」
「だからね」  
 それでというのです。
「僕だとね」
「首輪をプレゼントされると嬉しいわね」
「その人の好きなものをプレゼントしたら」
 そうしたらというのです。
「喜んでくれるよ」
「そうね」
「ただ皆に一度にプレゼントするなら」
「それならね」
 ドロシーはその場合もお話しました。
「やっぱりね」
「同じものでないとね」
「その方がいいわね」
「そうだね」
「じゃあここは」
 おじさんはドロシーのお話をここまで聞いて言いました。
「ドロシーの言ったやり方でね」
「選ぶわ」
「どれにしようかなって言いながら」
「指を動かしていくわ」
「ものごとの決め方は色々だな」
「こうしたやり方もいいわね」
「そうよ、日本では結構あるらしいの」
 恵梨香を見つつお二人にお話します。
「これがね」
「そうなんだな」
「日本ではあるのね」
「そう、他にもコインの裏表とか賽子とかあるけれど」
 物事の決め方にはです。
「こうしたやり方もあるから」
「今回やってみてな」
「これからもやっていくわね」
「そうしていってね」
「ああ、じゃあな」
「今からやってみるわね」
 お二人も応えてです。
 実際にやってみました、そしてそれぞれのお土産を決めました。そうしたお買いものをしているうちにです。
 お昼の時間になりました、ドロシーは皆を街のお寿司屋さんの中の一店に紹介しました、そうしてです。
 和風のお店の親父さんにです、笑顔で言いました。
「馴れ寿司もね」
「ああ、それもですか」
「お願い出来るかしら」
「ええ、流石ドロシー王女」 
 こう返した親父さんでした、如何にも日本の寿司職人といった外見でお話する口調も元気なものです。
「わかってますね」
「あっ、私も皆もいただくけれど」
 ドロシーは正直に答えました。
「おじさんとおばさんにね」
「あっ、ご馳走したいんですね」
「握り寿司や巻き寿司にね」
 そういったものに加えてというのです。
「そちらもね」
「そうですか」
「それでね」
「馴れ寿司もですね」
「お願いするわね」
「それじゃあ出しますね」
「お願いするわね、それでね」
 さらに言うドロシーでした。
「握り寿司とかはお任せでね」
「出していいですか」
「親父さんのお勧めをね」
「握っていいですね」
「ええ、お願いするわ」
「じゃあどんどん握っていきますね」
「お願いね」
 笑顔でやり取りをしてでした。
 皆でお寿司を食べはじめました、そこで。
 皆はお寿司に舌鼓を打ちましたがおじさんはこう言いました。
「凄くな」
「美味しいわね」
「全くだな」
 おばさんと一緒に言うのでした。
「今日のお寿司も」
「ドロシーがご馳走してくれたのも美味しかったが」
「こちらのお寿司もね」
「いいな」
「驚く位美味しいわ」
「これがなのよ」 
 ドロシーも答えます。
「職人さんが握ってくれたお寿司なのよ」
「そうなんだな」
「これがなのね」
「だからね」
 それでというのでした。
「今回もね」
「食べていいか」
「遠慮なく」
「そうしてね」
 こう言ってでした。 
 ドロシーも食べます、今食べているものは。
「いや、この卵もね」
「美味しいな」
「卵焼きもね」
「それに」
 お二人にさらに言います。
「他のものもね」
「このイクラがね」
 トロットは軍艦巻きのそれを食べています。
「いいわよね」
「海胆もね」
 ベッツイも軍艦巻きを食べています。
「絶品よ」
「そうよね」
「どちらもね」
「青魚もいいぞ」
 キャプテンは秋刀魚を食べています。
「こちらも」
「鰯最高よ」
 エリカは喉を鳴らして食べています。
「こちらもね」
「そうだな」
「ええ、かなりね」
「勿論鯛とかもいいわよ」
 オズマは実際に鯛を食べています。
「こちらもね」
「何でもいいわね」
「ええ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「そうね、もう私もね」
「ドロシーもよね」
「今心からね」 
 満面の笑顔で言うのでした。
「美味しいからね」
「嬉しいと思ってるわね」
「とてもね、私もそう思ってくれて」
「皆もだから」
「特にね」
 さらに言うのでした。
「おじさんとおばさんがね」
「美味しいと思って」
「楽しんでくれてるから」
 だからだというのです。
「本当にね」
「嬉しいのね」
「そうなの」
 まさにというのです。
「私もね」
「それは何よりね」
「ええ、だからね」
 それでというのです。
「今とても幸せよ」
「最高の気分ね」
「最高のさらに上があるけれど」
「幸せには限りがないから」
「最高と言ってもね」
 それでもというのです。
「そうでね」
「それでよね」
「さらにね」 
 言葉を続けるのでした。
「上があって」
「他のことだってね」
「どんどんよくなって」
「限りがないけれど」
 それでもというのです。
「今の私はね」
「最高の気持ちね」
「そうなの」
 まさにというのです。
「嬉しくて仕方ないわ」
「それは何よりね」
「本当にね」
「いや、わしだって最高に幸せだよ」 
 おじさんは河豚の握り寿司を食べつつ言ってきました。
「何と言ってもね」
「そうなの、おじさんも」
「美味しいものを皆と特にエマとドロシーと食べられて」 
 そうしてというのです。
「ドロシーがそう思ってくれてね」
「嬉しいのね」
「そうだよ」
 こう言うのでした。
「凄くね」
「おじさんもなのね」
「当たり前だよ、皆が特に」
「おばさんとなのね」
「ドロシーがそう思ってくれるなら」
 それならというのです。
「どれだけ嬉しいか」
「それで幸せか」
「全く以てだよ」
 それこそというのです。
「嬉しいか」
「そうなのね」
「私だって同じよ」
 おばさんは鰻を食べつつ言いました。
「皆が。そして」
「特におじさんと」
「ドロシーがそう思ってくれるならね」
 最高に幸せと、です。
「こんなに嬉しくてね」
「幸せなことはないのね」
「そうよ」
 実際にというのです。
「私もね」
「そうなのね」
「皆がお互いにそう思っていたら」
 オズマはハマチを食べて言いました。
「いいわね」
「最高よね」
「そうよね」
「ええ、自分だけが嬉しく思って」
「幸せになるんじゃなくてね」
「皆がそうなって」
 そしてとです、ドロシーは鮪を食べながら言いました。
「特にその時一番そうなって欲しい人がそうなってくれたら」
「最高にね」
「嬉しいわね」
「そうよね」
「本当にね」
 こうお話するのでした。
「何と言っても」
「全く以てね」
「それに」
 さらに言うドロシーでした。
「皆が皆をね」
「お互いにそう思い合えるならね」
「こんないいことはないわよね」
「こうした状況であることもね」
「幸せよね」
「全く以てね」
 オズマも言います。
「幸せなことよ」
「よかったわね」 
 ベッツイはにこりとして生蛸を食べて言いました。
「こうしたことになって」
「そうよね」
 ドロシーも笑顔で応えました、今度はコハダを食べています。
「素敵な旅行になれてね」
「美味しいシーフードを皆で食べて」
「そしてね」
 その中でというのです。
「色々なものを見て」
「喜んでくれてね」
「そうしてくれてね」
 それでというのです。
「特におじさんとおばさんが笑顔になってくれて」
「よかったわね」
「お互いにそうも思い合ってね」
「今回の旅も最高ね」
「そうなっているわ」
「まだ旅はあるから」
「そう、お家に帰るまでがね」
 まさにその時までがというのです。
「旅だから」
「まだ続いてるわね」
「そうよ、けれどね」 
 それでもというのです。
「今の時点ではね」
「そう思っているわね」
「そしてね」
「終わる時もね」
「そう思えるわね」
「間違いなくそうなるわね」 
 トロットはカレイを食べて言いました。
「今回の旅も」
「そう言ってくれるのね」
「ええ、オズの国はそうした国だから」
「それでよね」
「そうなるわ」
 間違いなくというのです。
「本当にね」
「そうね、じゃあそうなる様にね」
「最後の最後までよね」
「頑張って」
 そうしてというのです。
「そのうえでね」
「お寿司を食べて」
「列車に乗って」
「そこでも駅弁のちらし寿司を食べてね
「そうなる様にするわ」 
 ドロシーは穴子を食べつつ答えました。
「本当に」
「そうなる様にしましょう」
「私だけじゃなくて」
「皆でね。皆で幸せになって」
「お互いにそのことを喜ぶなら」
「それならね」
 まさにというのです。
「皆でやるものでしょ」
「そうね」
 ドロシーも言われて頷きました。
「言われてみれば」
「だから私達もね」
 是非にというのです。
「そうなる様にね」
「やっていくのね」
「そうするものよ」
「その通りだよ」
 キャプテンは甘海老を食べつつ頷きました。
「わしもそう思うよ」
「幸せになるなら」
「まさにだよ」 
 こうドロシーに言うのでした。
「皆でね」
「やっていくことね」
「自分だけが幸せになるよりも」
「皆もで」
「他の人の幸せも喜びたいのなら」 
 そう考えるならというのです。
「皆でだよ」
「やることなのね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「そうね、それが人としてあるべきで」
「オズの国でもだね」
「そう考えられているわね」
「そうだよ」
「当然でしょ、私だってね」
 エリカは鮭を食べながら言いました。
「そうしたことはね」
「考えているのね」
「そしてやってるでしょ」
「ええ」  
 ドロシーは鱈の白子を食べつつ頷きました。
「それはね」
「猫だってね」
「そうしたことを思って」
「そしてよ」
 そのうえでというのです。
「ちゃんとね」
「やっていっているわね」
「昔は我儘だったわね」 
 エリカは自分から言いました。
「けれどそれもね」
「あらためて」
「そうしてよ」
「今は皆と一緒にね」
「仲よくね」
「幸せになって」
「他の皆の幸せが嬉しくなっているわ」
 そうなっているというのです。
「私だってね」
「オズの国は皆そうだから」
 トトは蝦蛄を食べながらドロシーに言いました。
「いいんだよね」
「他の人の幸せだってね」
 ドロシーはトトにも応えました、そうしながら誰よりも嬉しくなっています。そのうえで言うのです。
「喜べるわね」
「嫉んだり僻むなんてね」
「オズの国にはないから」
「どんな気持ちか」
「最初からいる人は知らなくて」
「僕達みたいなね」
 今はイクラを食べているドロシーに言いました。
「外の世界から来ても」
「オズの国にいると」
「忘れるね」
「そうよね」
「そんな気持ちはね」
 嫉んだり僻んだりするそれはというのです。
「絶対にだよね」
「よくないわ」
「そうだよね」
「だからね」 
 それでというのです。
「私もね」
「そう言うね」
「ええ」 
 まさにというのです。
「心からね」
「全くだね」
「いや、嫉んだり僻んだりとか」 
 ハンクもそうした気持ちがわからなくなっています、もっと言えば知らないでおしんこ巻きを食べています。
「そんな気持ちは何にもならないね」
「ええ、そうよ」
 ドロシーはその通りだと河童巻きを食べながら言いました。
「もうね」
「そうだよね」
「そんな気持ちがあっても」
「多分ね、もう忘れたけれど」
 それでもと言うドロシーでした。
「自分がね」
「嫌な気持ちになるだけだね」
「そうでしょうね」
 こう言うのでした。
「本当に」
「そうだよね」
「それで嫌なこともしたら」
「余計に嫌だね」
「それよりもね」
「幸せにね」
「ならないとね」
 そうしたことを思うよりもというのです。
「駄目よ」
「その通りだね」
 ハンクもまさにと頷きました。
「僕もそう思うよ」
「だから今ね」
「こうしていられて思えて」
「心から嬉しくて」
 そしてというのです。
「幸せよ」
「そうだよね」
「何かお話を聞いてますと」
 恵梨香は鰹のたたきを食べつつ言いました。
「人の幸せを楽しめるっていいですね」
「オズの国でいつも実感してますけれど」
 ジョージはしめ鯖を食べています。
「素晴らしいことですね」
「自分だけじゃないですからね」
 神宝は赤貝を食べています」
「世の中にいるのは」
「それで皆が幸せになる様に出来て」 
 ナターシャはあじを食べながら言いました。
「そうして喜べたら最高ですね」
「そうなる様にです」
 カルロスは帆立を食べています。
「僕達もしていきたいです」
「そうしていってね」 
 ドロシーは五人にも答えました。
「貴方達も」
「それが一番ですよね」
「幸せですよね」
「他の皆の幸せも喜べたら」
「その為に動けたら」
「それで」
「市分だけの幸せはね」
 それはといいますと。
「もうね」
「まさに自分だけで」
「それで、ですね」
「小さいですね」
「狭いですね」
「そうした幸せですね」
「だからね」 
 それでというのです。
「貴方達もそうしているしね」
「してます?」
「そうしてます?」
「私達も」
「そうですか?」
「ちゃんとしてますか?」
「しているわ」
 こう言うのでした。
「だからこれからもね」
「わかりました、やっていきます」
「そして楽しんでいきます」
「僕達五人も」
「オズの国の皆さんみたいに」
「そうなっていきます」
「そうしていってね」 
 こう言うのでした。
「皆でね」
「そうね、オズの国はこれからもね」 
 またオズマが言いました。
「是非ね」
「そうした国であるわね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「そうなっていくわ」
「そうよね、それじゃあ」
「これからもね」
「私達はそうした国である様に」
「努力していきましょう」
「そうしていきましょう」 
 二人でも笑顔でお話します、そしてです。
 そのお話の後で、です。馴れ寿司が来ました。皆でそのお寿司も食べますがおじさんもおばさんも言いました。
「これはまた」
「珍味ね」
「こんな食べものがあるのか」
「それでお寿司も」
「素晴らしいな」
「本当にね」
「そうなのよ」
 まさにと言うドロシーでした。
「何でも本来はね」
「本来は?」
「というと?」
「こちらのお寿司がはじまりらしいのよ」
 お寿司のというのです。
「前にもお話したと思うけれど」
「そうなのか」
「この馴れ寿司がなのね」
「本来のお寿司でか」
「はじまりなの」
「このお寿司は普通に作ったら」
 外の世界でというのです。
「時間がかかるから」
「それでか」
「それが理由でなの」
「それでね」
 まさにその為にというのです。
「すぐに作られる様にね」
「他のお寿司が出来たんだな」
「そうなのね」
「ええ、そうなの」
 その通りだというのです。
「日本の江戸時代にね」
「そうなんだな」
「ずっとあると思っていたけれど」
「それでもか」
「馴れ寿司が最初なのね」
「そうなのよ」
「何でもです」
 恵梨香も馴れ寿司を食べつつ言いました。
「歌舞伎でも江戸時代より前を舞台にした作品で」
「そちらでなのね」
「お寿司が出たら」
「実はなのね」
「この馴れ寿司らしいです」
「そうなのね」
「そうみたいです」 
 こう言うのでした。
「学校で先生に教えてもらいました」
「江戸時代にはないから」
「服とかは江戸時代でも」
 歌舞伎ではというのです。
「実はと」
「歌舞伎はオズの国でもね」
「上演されていますね」
「ジャパニーズオペラとも呼ばれてね」
 そうしてというのです。
「中国の京劇とかアメリカのミュージカルと合わせて」
「人気がありますか」
「そしてね」
 それでというのです。
「私も知っているけれど」
「そうなんですね」
「けれどね」
 それでもとうのでした。
「そうしたこともあるのね」
「そうみたいですね」
「成程ね」
「そうか、そう聞くとな」
 おじさんはあらためて思いました。
「お寿司の歴史もな」
「面白いわね」
 おばさんも言いました。
「本当に」
「そうだよな」
「さらにね」
「お寿司が好きになったな」
「その歴史を知るとね」
「全くだな」
 こう二人でお話しました。
 馴れ寿司も楽しみました、それからです。
 皆でお吸いものや茶わん蒸しも楽しんでからお店を出て街の正門のところに出てそうしてそこで、でした。
 列車に来てもらいました、それに皆で乗りまして。
 おじさんとおばさんの村に向かいます、その途中で皆に駅弁のちらし寿司が配られましたがドロシーはお二人に言いました。
「是非ね」
「ああ、これもだな」
「ちらし寿司ね」
「これも食べるんだな」
「そうすればいいのね」
「夕方になったら」
 その時にというのです。
「皆で食べましょう」
「それじゃあな」
「夕方にね」
「その時にね」
 さらに言うのでした。
「それで食べ終わったら」
「夜までにはか」
「お家に着くのね」
「そうなるから」
「そうか、それでな」
「この旅も終わりね」
「そうなるわ、それでどうかしら」
 お二人に笑顔で尋ねました。
「この旅は」
「いいよ」
「今もとても楽しいわ」 
 お二人も笑顔で答えます。
「とてもね」
「いい旅だよ」
「そう言ってくれて嬉しいわ」
 ドロシーもです。
「本当にね。それじゃあね」
「うん、帰ったら」
「その時はね」
「またね」
 まさにというのでした。
「機会があればね」
「旅行に行くと」
「私達もね」
 これがお二人の返事でした。
「とても楽しかったからね」
「趣味の一つにするよ」
「そうしてね」
 こうお二人に言うのでした、そしてです。
 夕方になると皆でちらし寿司も食べました、そちらのお寿司もとても美味しかったです。
 お二人がお家に着いて皆も都に帰りました、皆帰ってからそれぞれ留守の人達にお土産をあげて旅を振り返ってとても楽しかったとお話したのでした。


オズのヘンリーおじさん   完


                  2023・11・11








▲頂きものの部屋へ

▲SSのトップへ



▲Home          ▲戻る