『オズのヘンリーおじさん』




                第十一幕  珊瑚礁を見て

 夜空を列車で見た次の日は、でした。
「今日は海の底か」
「そこに行くのね」
「そう、そうしてね」
 ドロシーはおじさんとおばさんに答えました。
「そこの景色を観て楽しむのよ」
「そうするんだな」
「潜水艇に乗って」
「海の底が三百六十度球形で観られるから」
 その潜水艇の中ではというのです。
「だからね」
「もう見渡す限りか」
「景色も楽しめるのね」
「そうなの、潜水艇の中からね」 
 乗ったままでというです。
「それが出来るから」
「海の底なんてな」 
 おじさんはしみじみと思いました。
「観られるなんてな」
「夢みたいよ」
 おばさんも言いました。
「本当にね」
「全くだな」
「ええ、あんな場所はね」 
「行ける場所じゃなかったな」
「とてもね」
「浅い場所なら兎も角な」
「結構深い場所にも行くから」
 ドロシーはこう答えました。
「楽しみにしていてね。何ならね」
「何なら?」
「どうしたの?」
「深海にも行けるわよ」
 そちらにもというのです。
「潜水艇に乗ってね」
「深海か」
「そこまで行けるの」
「ええ、それでね」 
 そのうえでというのです。
「深海の生きものも観られるわ」
「凄いよ、深海の生きものって」
 トトもお二人に言いました。
「普通じゃ考えられないものばかりだから」
「オズの国でもか」
「そう言えるものなのね」
「そうだよ、よかったら行くよ」 
 その深海にもというのです。
「どうかな」
「それじゃあな」
「まずはね」 
 お二人もそれならと頷いてでした。
 まずは深海にと答えました、そうして実際に潜水艇に乗って深海に行きました。丁度港から出てすぐでした。
 深海に行く海のクレパスがあってそこを潜っていきますと。
「ああ、本当にな」
「凄い生きもの達が沢山いるわ」
 お二人は深海魚や他の深海の生きもの達を観て声をあげました。
「蟹や他の生きものも独特の形で」
「凄いな」
「トトの言う通りね」
「凄いものだな」
「そうでしょ、これが深海なの」
 まさにというのでした、ドロシーも。
「こうしてね」
「普通の海と違うか」
「そうなのね」
「そう、海であってもね」
 それでもというのです。
「場所が違うとね」
「こうした生きもの達がいてか」
「見どころがあるのね」
「そうなのよ、それで鮟鱇もね」
 前に食べたこのお魚もというのです。
「深海魚なのよ」
「あそこにいるな」
「そうね」 
 お二人は海底の砂のところにいる鮟鱇を見付けました、それで言いました。
「岩みたいに動かないわね」
「頭にある細長い部分の先が光っているな」
「何かランプみたいね」
「面白いな」
「そうでしょ、それであの生きものがね」
 その横のダンゴムシみたいな生きものも観て言います。
「ダイオウグソクムシだよ」
「聞いたことがあるな、殆ど食べないんだな」
「それで生きているのよね」
「私達は三食食べているけれど」 
 それでもというのです。
「ダイオウグソクムシはずっと食べなくても平気なのよ」
「本当に不思議よね」
 ベッツイは首を傾げさせて言いました。
「かかしさんや樵さんならわかるけれど」
「そうよね」
 ドロシーも確かにと頷いて応えました。
「食べる必要のない身体だとね」
「わかるけれど」
「私達と同じでね」
「食べる必要のある身体だから」
「それで食べないって」
「不思議なことよ」
「外の世界にもいるらしいけれど」
 トロットもどうしてなのかしらとなっています。
「そちらでもそうらしいわね」
「そうらしいわ」
 ドロシーはトロットに答えました。
「あの生きものはね」
「何ヶ月どころじゃなくて」
「本当にずっとらしいから」
「不思議よね」
「外の世界でもそうなんて」
「世の中不思議が一杯ってことかな」
 ハンクはこう言いました。
「オズの国も外の世界も」
「そうね、オズの国はそれこそね」
「お伽の国だからね」
「不思議が一杯で」
 それでというのです。
「何でもだけれど」
「外の世界でもだね」
「オズの国と同じで」
「不思議が一杯だね」
「そしてダイオウグソクムシはね」
「オズの国で不思議で」
「外の世界でもなのよ」
 そうだというのです。
「そうした生きものなのよ」
「そうなんだね」
「ええ、結局ね」
 こうも言ったドロシーでした。
「どの世界も不思議に包まれていて私達がわかっていることは」
「その不思議のほんの一部だね」
「そうなのよ」
「ドロシーの言う通りだね」 
 まさにとです、キャプテンは答えました。
「わし等は何でも知っていてわかっているか」
「違うわよね」
「今自分達がいる国のこともだよ」
 そのオズの国にしてもというのです。
「知っていることといったら」
「ほんの一部ね」
「そうなのだよ」
 こう言うのでした。
「本当にね」
「そうよね」
「だからね」
 それでというのです。
「どんどん知っていく様にだよ」
「努力することね」
「不思議と思ったら」
 それならというのです。
「どうしてそうなのか」
「調べることね」
「そして学べばいいんだよ」
 こう言うのでした。
「わし等はね」
「そういうことね」
「そうだと思うよ」
「そうね、どんな不思議なことも絶対に根拠があるわ」
 オズマも言いました。
「どうしてそうなのか」
「ダイオウグソクムシにしても」
「驚く位何も食べなくても平気なのか」
「お腹が空かないのか」
「このこともね」
 ドロシーにそのダイオウグソクムシを観つつお話します。
「ちゃんとね」
「根拠があって」
「それでね」
 そのうえでというのです。
「調べればね」
「わかるのね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「何でもね」
「そうね、魔法だってね」
「根拠があるでしょ」
「魔法は実は不思議じゃないわね」
「絶対に根拠があるのよ」
 魔法もです。
「魔法は素晴らしいものでね」
「不思議なものじゃないわね」
「根拠があるから」
 ちゃんとです。
「決してね」
「不思議なものじゃないわね」
「そうよ、忍術だってそうで」
「仙術もそうだし」
「ちゃんとね」
 どんなものにもというのです。
「根拠がね」
「あるわね」
「そうなのよ」
「種も仕掛けもなくてもね」
 エリカは自分の身体の毛づくろいをしながら言います。
「根拠はあるのね」
「そういうことね」
「手品だってね」
「マジックね」
「やっぱりね」
 ちゃんと、というのです。
「根拠がね」
「あるわね」
「そうでしょ、世界は確かに不思議に覆われているけれど」
 ドロシーが言う様にです。
「ちゃんとね」
「根拠があるわね」
「どんな不思議でもね」
「そしてそれを知っていく」
「このことが大事ってことね」
「そういうことね」
「そうね、それでだけれど」
 恵梨香は話題を変えてきました。
「今日のお昼は何を食べるのかしら」
「そのことね」
「ここで食べるのよね」
「ええ、潜水艇の中でね」
 まさにとです、ドロシーは答えました。
「そうなるわ」
「そうよね、それで何を食べるのかしら」
「実はまだ考えていないの」
 ドロシーはこう答えました。
「何を出そうかって」
「そうなの」
「さて、何がいいかしら」
「場所も決まってないのかしら」
「もう少ししたら移動するつもりだけれど」
 深海からというのです。
「次はね」
「それじゃあね」
 エリカはドロシーの言葉を受けて言いました。
「まず場所をリクエストするわ」
「何処なの?」
「珊瑚礁よ」
 こちらだというのです。
「あそこは奇麗だから」
「そうね、お食事の時に観てもいいわね」
「そうでしょ、だからね」
「場所はあちらね」
「そしてね」
 エリカはさらに言いました。
「メニューはパエリアよ」
「そちらなの」
「そう、どうかしら」
「シーフードパエリアね」
「パエリアも色々な種類があるけれど」
「海の中だから」
「それに今回の旅行はシーフードを楽しむことが目的だから」
 それでというのです。
「パエリアもね」
「シーフードね」
「そちらにして」
 そうしてというのです。
「皆でね」
「楽しむのね」
「珊瑚礁を観ながらね」
「いいわね、それじゃあね」 
 ドロシーもそれならと頷きました。
「お昼は珊瑚礁でね」
「パエリアね」
「それを食べましょう」
「それじゃあね、海老や烏賊がたっぷり入った」
 そうしたというのです。
「美味しいパエリア食べましょう」
「それじゃあね」
 こうしたお話をしてでした。
 潜水艇は深海から珊瑚礁に行きました、すると色々な色と形の珊瑚達が周りにあって赤や青、黄色の様々なお魚達が泳いでいます。
 その海の中にいてです、ドロシーは言いました。
「海のこうした場所もね」
「素敵ですよね」
 恵梨香も珊瑚礁を見てうっとりとなっています。
「本当に」
「海の中でも特に素敵な場所の一つですね」
 神宝もこう言います。
「珊瑚礁って」
「珊瑚もお魚も奇麗で」
 それでと言うジョージでした。
「観ていて飽きないです」
「すっといたい位ですね」
 カルロスはにこにことしています。
「ここは」
「しかも周りが全部観られるから」
 ナターシャはうっとりと周りを観ています。
「何て素晴らしいのか」
「いや、深海もよかったが」
「珊瑚礁もいいわね」
 おじさんとおばさんも言います。
「何て言うかね」
「この世とは思えないな」
「そうよね」
「奇麗過ぎてな」
「どうにも」
「けれどね」
 それでもというのです。
「ここもね」
「実際にあるか」
「そうした場所ね」
「そうよ」
 まさにというのです。
「だから好きなだけね」
「観てか」
「楽しめばいいのね」
「そしてね」
 そのうえでというのです。
「お昼ご飯もね」
「パエリアだな」
「あのお料理をいただくのね」
「そうよ、パエリアもね」
 このお料理もというのです。
「いいでしょ」
「うん、とてもな」
「パエリアも美味しいわね」
「だから食べましょう、トマトにパプリカが入っていて」 
 そうしてというのです。
「海老や烏賊もね」
「入っているか」
「そうしたパエリアね」
「勿論貝もね」 
 こちらもというのです。
「入っていてアヒージョもね」
「出すのか」
「あちらもなのね」
「そう、今これもってね」
 まさにというのです。
「思ったけれど」
「いいな、パエリアも」
「そしてアヒージョもね」
「凄くな」
「じゃあ期待させてもらうわね」
「期待してもらって結構って」
 笑顔で応えたドロシーでした。
「誰か言っていたわね」
「はい、阪神タイガースの監督さんです」
 恵梨香が答えました。
「岡田さんが言われたんですよ」
「そうなのね」
「村山さんや藤村さんがおられたチームで」
「お笑いの街のあの野球チームで活躍している」
「あのチームの監督さんで」
「そんなことを言われたのね」
「凄く頭がいい人なんですよ」
 ドロシーににこりとしてお話します。
「名将って言われています」
「僕達全員阪神ファンですが」
「阪神を優勝させてくれるんですよ」
「日本一も達成して」
「素晴らしい人ですよ」
「そんな人なら」
 それならと言うドロシーでした。
「きっとやがてはね」
「はい、オズの国にもですね」
「来てくれますね」
「そしてあのチームで野球をされますね」
「そうされますね」
「あの人も」
「そうなってくれるわね、五人共岡田さんが好きみたいだけれど」
 それでもと言うドロシーでした。
「あのチームも魅力的だしね」
「そうですよね」
「華がありますよね」
「何があっても絵になって」
「勝っても負けても」
「いいチームですよね」
「スポーツで勝ち負けはあって」
 どうしてもというのです。
「負けるとどうしてもね」
「華がないですね」
「絵にならないですね」
「そうですよね」
「勝たないと」
「どうしても」
「けれどね」
 それがというのです。
「あのチームは違うのよね」
「はい、素敵です」
「どの野球チームよりも華があって」
「それで絵になるんです」
「どんな勝ち方でも負け方でも」
「それで納得出来るんです」
「負けても華があって絵になるなんてね」
 このことはといいますと。
「最高ね」
「ええ、そんなチームがあるなんて」
 オズマも頷いて言いました。
「外の世界もいいわね」
「そうよね。オズの国だけじゃなくてね」
 ドロシーも応えて言います。
「外の世界もね」
「素敵ね」
「それじゃあね」
「岡田さんのこともね」
「覚えておきましょう」
「それであのチームを観ましょう」
 お笑いの街のこのチームをというのです、ただここででした。
 オズマはふとです、ドロシーに思って言いました。
「海に虎はいないわね」
「あのチームは虎だけれど」
「やっぱりね」
「虎は森の生きものよ」
「あそこにいるわね」
 こうお話するのでした。
「海じゃなくて」
「そうね、ただ腹ペコタイガーは」
 ここで彼の名前も出ました。
「お魚もね」
「大好きよね」
「パエリアもね、だったらね」
「だったら?」
「パエリアは趣向を凝らして」
 そうしてというのです。
「パエリアは元々黄色いけれど」
「ご飯がね」
「イカ墨のものも入れて」
 そちらのパエリアもというのです。
「黒と黄色の」
「虎模様ね」
「そうしましょう」
「そうした配色のパエリアね」
「確かに海に虎はいないけれど」
 それでもというのです。
「そうしてね」
「阪神を楽しむのね」
「そうしましょう、虎といえば」
 何といってもというのです。
「黒と黄色だから」
「あの模様よね」
「その模様でね」
 まさにというのです。
「パエリアを飾って」
「それで食べるのね」
「いいわよね」
「賛成よ」
 オズマはにこりと笑って答えた。
「青い海の中で」
「赤やオレンジの珊瑚達に囲まれて」
「黒と黄色のパエリアを食べるのもね」
「素敵でしょ」
「最高にね。それじゃあ」
「そうしたパエリアも出すわね」
「そうしましょう」
 こうお話してでした。
 パエリアそれにアヒージョを出しました、そのパエリアの中には実際に黒と黄色の虎模様のものもあってです。
 恵梨香達五人は満面の笑顔になってです、こう言いました。
「阪神タイガースね」
「まさにだね」
「パエリアでも再現出来るんだね」
「そして今から食べるのね」
「いいよね」
「黄色は普通のパエリアで」
 恵梨香はにこりとして言いました。
「黒はイカ墨ね」
「うん。そしてその中にね」
 ジョージはパエリアの具を見ました。
「トマトにアヒージョがあって」
「大蒜も茸も入っていて」
 神宝はそういったものを見ています。
「美味しそうだね」
「海老に貝、烏賊に蛸」
 カルロスはシーフードにうっとりとなっています。
「白身魚も入ってるよ」
「これは絶対に美味しいわ」
 ナターシャは確信しています。
「最高のパエリアよ」
「そうよね、それにアヒージョも」
 恵梨香は今度はそちらを見ました。
「美味しそうね」
「こっちも海老や貝や海老や烏賊が入っていて」
「茸や大蒜もで」
「ブロッコリーも入っていて」
「凄く美味しそうね」
「これはワインに凄く合うな」
 キャプテンは目を輝かせて言いました。
「凄くいいよ」
「ワインですか」
「このパエリアやアヒージョワインに合いますか」
「そうなんですね」
「どちらのお料理も」
「どっちも美味しいんですね」
「それも赤ワインだね」
 こちらだというのです。
「魚介類は本来は白だけれど」
「それはどうしてなの?」
 エリカが目をキラキラさせているキャプテンに尋ねました。
「赤になるのは」
「うん、どれも味が濃いからね」
「それでなの」
「本来の魚介類はあっさりしているから」
「白ワインなのね」
「けれどパエリアもアヒージョも味が濃いから」
 それでというのです。
「特に今回はね」
「確かに濃いわね」
 エリカが見てもです。
「パエリアはスパイスたっぷり使っているから」
「それにアヒージョはオリーブオイルだね」
「そして大蒜をたっぷり使っているから」
「だからだよ」
「味が濃いから」
「赤ワインだよ」
 今飲むお酒はというのです。
「何といってもね」
「それでなのね」
「これからね」
「赤ワインも出してもらって」
「楽しませてもらうよ」
「そうなのね」
「是非ね」 
 こうエリカに言いました。
「そうさせてもらうよ」
「ううん、これはね」
 トトはパエリアとアヒージョを見て考えるお顔になって言いました。
「チーズも欲しいかな」
「そう言うと思ってたわ」
 出したドロシーが笑顔で応えました。
「私もね」
「わかっていたんだ」
「ええ、そう言うってね」
 その様にというのです。
「私もね」
「チーズもなんだ」
「出すわ」
「そうするんだね」
「当然ワインも出すし」
 キャプテンのリクエストに応えてです。
「他の飲みものもね」
「出すんだね」
「ジュースもね」
「牛乳もいいわね」
 トロットは飲みものと聞いて言いました。
「これは」
「そうね、牛乳も一緒に飲んで」
 ベッツイも言いました。
「そうしたらね」
「かなり合うわね」
「そうよね」
「濃い味みたいだしね」
「このパエリアとアヒージョは」
「それならね」
「牛乳もいいわね」
 二人でお話します、その横でです。
 ハンクは今ドロシーが出したパンを見て思いました。
「固めの薄くスライスされたものだから」
「ええ、アヒージョのオリーブオイルに漬けたら」
「美味しそうね」
 トロットとベッツイが応えました。
「パンもね」
「そうして食べたら」
「そうだね、オリーブオイルってね」
 ハンクはさらに言いました。
「そうして食べても美味しいよね」
「そうなのよね」
「これがね」
「だからそうして食べればいいね」
「ええ、そうしましょう」
「是非ね」
 トロットとベッツイはハンクを囲んで言いました、そのうえで皆で食べますが。
 おじさんもおばさんもパエリア虎模様のそれだけでなく普通のイカ墨の黒いものや黄色いものを食べて言いました。
「どのパエリアも美味しいな」
「そうね」
「珊瑚礁の中で食べてな」
「潜水艇の中からね」
「そのことも楽しめて」
「最高にいいわね」
「アヒージョも美味しいな」
 おじさんはこちらも食べて言いました。
「凄く」
「ええ、オリーブオイルが味も付けていて」
 おばさんは沸騰させられて今は落ち着いた温度になっているオリーブオイルの中の具を木の串で取って食べておじさんに応えました。
「美味しいわ」
「オリーブオイルなんてな」
 おじさんはしみじみと言いました。
「昔はな」
「殆どお料理に使わなかったわ」
「そうだったな」
「カンサスにいた頃は」
「それが今ではね」
 ドロシーがお二人に笑顔で応えました、自分も楽しく食べながら。
「こうしてね」
「ふんだんに使ってな」
「そのお料理を食べられるわね」
「オズの国でもね」
「そうだな」
「凄くいいわね」
「ええ、私もね」
 ドロシーもというのです。
「オリーブ大好きよ」
「色々なお料理に使えるしな」
「こうしてね」
「そうよ、パスタにも欠かせないしね」
 こちらのお料理にもというのです。
「こんな素敵なオイルもそうはないわ」
「全くだな」
「こうした素敵なお料理にもしてくれるし」
「オリーブオイルは最高だな」
「そう言っていいわね」
 お二人も笑顔で応えます。
「シーフードにも合うし」
「何か海にも合うな」
「それはね」
 オリーブがどうしてそう感じられるかをです、ドロシーはお話しました。
「オリーブが元々は地中海の産だからだと思うわ」
「ああ、欧州のか」
「あちらね」
「地中海のギリシアとかイタリアとかスペインとかね」
「全部海に面しているな」
「それで魚介類もよく食べるのよね」
「そうした国々で沢山作られていて」
 そうしてというのです。
「オズの国でも海が近くて暖かい場所でね」
「作られているか」
「そうなのね」
「だからね」 
 それでというのです。
「海にもね」
「合うんだな」
「そういうことね」
「そうだと思うわ、海にもシーフードにもね」
 まさにそのどちらにもというのです。
「オリーブオイルは合うのよ」
「私もそう思うわ」 
 まさにとです、オズマも食べながら言ってきました。
「オリーブオイルは色々なお料理に使えるけれど」
「シーフードにも合うわよね」
「そうよね」
「勿論お野菜にも使えて」
 そしてというのです。
「そのうえでね」
「シーフードにもよね」
「最高に合うわ」
「素晴らしいことにね」
 ドロシーも笑顔です、そのうえでの言葉です。
「魔法みたいよね」
「そう、オリーブオイルもまたね」
「魔法なのね」
「そこまで言っていいね」
 そうしたというのです。
「最高のね」
「食材ね」
「そう思うわ」
 まさにというのです。
「私もね」
「そうした食材もあるわね」
「そう言うと胡椒や大蒜もね」
「魔法みたいよね」
「ええ、沢山のお料理を最高に美味しくする」
 ドロシーはまた言いました。
「魔法みたいな食材ね」
「そうだと思うわ、色々な調味料や香辛料がね」
「魔法みたいなものね」
「そこまで素晴らしいものよ」
「不思議ね、けれど根拠はね」
「あるわ、どれもお料理の味を最高に引き出すね」
 オズマは笑顔で応えました。
「味があるのよ」
「そういうことね」
「それなら」
 そう聞いてです、恵梨香はまさにと言いました。
「お醤油が」
「ええ、和食だとね」
 ドロシーは確かにと応えました。
「そうよね」
「もうです」
「和食は何でもお醤油を使って」
「物凄く美味しくなります」
「お醤油がないと」 
 まさにとです、ドロシーは思いました。
「日本のお料理はね」
「想像も出来ないですね」
「そこまでよね」
「お鍋の時も」
「食材を食べる時にお碗の中にぽん酢を入れるけれど」
「そのぽん酢にです」 
 そちらにというのです。
「お醤油が入っています」
「そうよね」
「本当にです」
 何と言ってもというのです。
「お醤油がないと」
「和食は成り立たないわね」
「絶対に」
「お醤油か、わし等はな」
 おじさんは今はチーズを食べています、そうして赤ワインを一口飲んでからそのうえで言いました。
「お醤油にはとんとな」
「縁がなかったわね」
 おばさんも言います。
「オリーブオイルもだけれど」
「オズの国に来てな」
「暫く経つまでね」
 まさにそれまでというのです。
「私達はね」
「おソースとオイルがあって」
「あとお塩とお酢、お砂糖」
「それ位だったな、カンサスだと」
「それでオズの国に来て」
「ケチャップとかマヨネーズを知ってな」
「オリーブオイルも知って」
 そうしてというのです。
「最後にね」
「お醤油だったな」
「そうだったわね」
「けれどそれが」
「日本だとなんだな」
「お塩とお酢、お砂糖にです」
 恵梨香はパエリアを食べながらお二人に答えました。
「それでお味噌で何といっても」
「お醤油か」
「やっぱりそうなるのね」
「もう第一とです」 
 そう言っていいまでにというのです。
「お醤油は欠かせないです」
「そういえば君は特にお醤油使うな」
「和食以外でもね」
「そうして食べてるな」
「そうね」
「それが一番美味しいので」
 恵梨香にとってです。
「そうさせてもらいます」
「恵梨香はそうね、私もお醤油嫌いじゃないけれど」
 それでもと言うドロシーでした。
「恵梨香の場合はね」
「欠かせないです」
「そうよね」
「お味噌もそうですが」
「そのお味噌よりもね」
「お醤油ですね」
 恵梨香も答えます。
「イタリアやスペインやギリシアの人達がオリーブオイルを使うよりも」
「日本人はお醤油を使っていて」
「欠かせなくなっています」
「それでお刺身にもお寿司にもね」
「お醤油です」
 絶対にという口調でした。
「ないとお話にならない位です」
「そうよね」
「港町にもお醤油がふんだんにありますね」
「和食のお店も多いからね」
「嬉しいです」
 何といってもというのです。
「本当に」
「そうなのね」
「はい、ただ」
「ただ?どうしたの?」
「私普通のお醤油は何でもないですが」
 恵梨香はドロシーにお話しました。
「しょっつるは中々慣れませんでした」
「そうだったの」
「最近まであの匂いが」
 どうしてもというのです。
「抵抗がありました」
「そうだったのね」
「はい」 
 こうドロシーに言うのでした。
「私は」
「しょっつる?何だいそれは」 
 おじさんは恵梨香とドロシーのお話にアヒージョの中の蛸を食べてから尋ねました、興味深そうにそうしました。
「はじめて聞くが」
「確かあれよ」
 おばさんがそのおじさんに横から言いました。
「ナムプラーと同じでね」
「ああ、魚から作るか」
「そのお醤油よ」
「そちらか」
「お醤油は大抵は大豆から作るけれど」
「お味噌と同じだな」
「けれどね」
 それがというのです。
「匂いがきついらしいのよ」
「そうなのか」
「だから恵梨香ちゃんもね」
「その匂いが駄目だったか」
「そうじゃないかしら」
「はい、そうなんです」
 恵梨香もその通りだと答えました。
「本当に」
「そうだったか」
「最近までそうだったのね」
「今は美味しいことがわかって」 
 それでというのです。
「匂いにも慣れて」
「それでか」
「平気になったのね」
「そうなりました」
 こうお二人に答えました。
「私も」
「それは何よりだな」
 おじさんはここまで聞いて頷きました。
「やっぱりな」
「好き嫌いがないとですね」
「それで色々な食べものが楽しめたら」
 それならというのです。
「本当にだよ」
「それが何よりですね」
「そうだよ」 
 恵梨香に優しいお顔で答えました。
「わしもそう思うよ」
「本当にそうですね」
「私もそう思うわ、それにナムプラーとね」
 ドロシーはパンをアヒージョのオリーブオイルに漬けました、そうしてそのパンを食べてからお話しました。
「コリアンダーの組み合わせもね」
「美味しいですよね」
「タイ料理やベトナム料理だと」
「その二つがいいですね」
「どちらもね」
 ナムプラーもコリアンダーもというのです。
「どちらのお料理にも欠かせないわね」
「そうですよね」
「コリアンダーの香りはね」
「食欲をそそりますね」
「臭いって言う人はね」
 どうしてもというのです。
「いるけれど」
「それでも美味しいですね」
「ナムプラーもね」
「臭いって言うならもうね」
 オズマはそれこそと言いました。
「大蒜もチーズもね」
「どちらもよね」
「臭いわ、特にチーズでね」
 この食べものでというのです、皆が好きでよく食べるそれは。
「ウォッシュチーズなんてね」
「物凄い匂いよね」
「けれどね」
 それでもというのです。
「美味しいのよね」
「ウォッシュチーズもね」
「臭くても」
「美味しいのよね」
「これがね」
「わしはあのチーズ好きだよ」
 おじさんが笑顔で言ってきました。
「あの匂いがだよ」
「いいのよね」
「わしにとってはな」
「臭くても」
「その臭さがだよ」
 まさにそれがというのです。
「食欲をそそってな」
「いいのよね」
「そうだよ」
 まさにというのです。
「本当にね」
「そう、匂いはね」
 これはと言うドロシーでした。
「その味を知れば」
「それでだね」
「臭いとはね」
 その様にというのです。
「感じないで」
「美味しい匂いと感じるな」
「そうよね、じゃあそのチーズも出す?」
 ウォッシュチーズもというのです。
「そうする?」
「いや、今はいいよ」
 おじさんは笑って断りました。
「今出ているチーズで充分だから」
「それでなのね」
「いいよ」
 こう言うのでした。
「今は」
「そう、じゃあね」
「パエリアとアヒージョをだね」
「チーズとね」
 こちらを言うのは忘れませんでした。
「皆で食べていきましょう」
「潜水艇の中で」
「珊瑚礁を観ながらね」
 こうお話します、そのうえでお食事も楽しみました。このこともおじさんとおばさんそして皆にとって素敵な体験になりました。








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